平川税務会計事務所   中島 由貴


第24回
法人が取得した借家人保償金の取り扱い


補償金等
 収用等に伴い取得する補償金にはいろいろな種類の補償金がありますが、これらの補償金を分類すると次のように区分されます。

(1) 対価補償金(資産の対価となる補償金)
(2) 収益補償金(事業等の収益の減少や損失の補てんに充てられるものとして交付される補償金)
(3) 経費補償金(事業上の経費の補てんに充てられるものとして交付される補償金)
(4) 移転補償金(資産の移転に要する経費の経費の補てんに充てられるものとして交付される補償金)
(5) その他の補償金

借家人補償金
 収用し、または使用する土地の上にある建物の借家人または借間人(以下「借家人」という。)は、その土地の収用または使用により損失を受ければ、その損失の補償を受けることができます。

 しかし、土地収用法上は借家人に対しどのような補償をすべきかについて特別の規定はなく、同法88条の「その他土地を収用し、又は使用することに因って土地所有者又は関係人が通常受ける損失」として補償されることになります。

 借家人は土地の収用又は使用に伴ってその土地の上にある建物は移転しなければならないため、この移転に伴う損失が借家人の通常受ける損失であると考えられます。

法人税の取り扱い

 上記(1)〜(5)の補償金のうち、収用等の課税の特例がある補償金は、原則として対価補償金だけとなっています。しかし、借家人補償金については「他人の建物を使用していた者が、その建物を収用等されたことに伴い転居先の建物の賃借に要する権利金等に充てるべきものとして交付を受ける借家人補償金は、対価補償金とみなして取り扱うことができる。(措通 64(2)−21)」としています。

 したがって、借家人補償金を取得した者が他に転居先を求めて土地建物を取得した場合には、その土地建物を代替資産として、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例が適用されます。

 なおこの規定の適用を受ける場合は、確定申告書に明細書の添付が必要です。

消費税の取り扱い

 消費税においても課税の対象となる補償金は、土地収用法等の規定に基づき収用等された場合の対価補償金のみとなります。

 消費税においては、借家人補償金については法人税のような特別な取り扱いはないため、本来の移転補償金として扱われます。したがって、課税の対象とはなりません。

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2001.10.5 ビジネスメールUP! 208号より )

 

 
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