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A社B社方式否認も「偽りその他不正の行為」に該当せず
横浜地裁、除斥期間後の決定処分として取消判決(確定)

 

 横浜地方裁判所第1民事部(川勝隆之裁判長)は、3月17日、A社B社方式の相続税(節税)スキームを実施し、B社(A社の出資持分の現物出資により設立された会社)の出資持分を子(原告)らに譲渡していた事案に対して、当該譲渡が「著しく低い価額の対価での譲渡」に該当するものと認定した。一方、「著しく低い価額の対価での譲渡」に係る贈与税の不申告行為が国税通則法70条5項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当するかどうかについて、「本件一連の行為を基礎とする本件不申告行為について、通則法70条5項の規定を適用することはできない。」と判示し、無申告の場合の除斥期間(5年)の経過後にされた決定処分等は違法であるとして、納税者の処分取消請求を認容した(横浜地裁平成13年(行ウ)第28号)。

事案の概要
 本件は、いわゆるA社B社方式が実施された事案であるが、原告の父の生前(平成3年12月)に、父から原告に対してB社(A社の出資持分の現物出資により設立された会社)の出資持分を譲渡していた点に特徴がある。B社の出資持分の譲受の対価は評基通185及び186−2を適用して計算した42億円余であったが、被告の主張する本件出資の時価は、86億円余(純資産価額方式による評価に際して法人税額等に相当する金額を控除しないで計算した額)であり、差額である44億円余が相続税法7条が規定する「著しく低い価額の対価での財産の譲渡」に該当し、原告が父から贈与により取得したものとみなされるとして、平成11年3月に贈与税の決定処分等を行った。
 本件譲渡が低額譲渡と認定され、本件譲渡時にみなし贈与が生じるものとすれば、当該贈与税の法定申告期限は平成4年3月16日である。原告は(みなし贈与には該当しないとする立場であり)、当該贈与税の申告をしていないので、税務署長は決定(通則25)を行うことになるが、決定は法定申告期限から5年を経過した日以後はすることができない(通則70B)。税務署長は、偽りその他不正の行為により全部若しくは一部の税額を免れた国税についての決定は、法定申告期限から7年を経過する日まで、することができる(通則70D)ものとされており、通則法70条5項の規定に基づくものとして決定処分等を行ったものである。

争点1・本件出資の時価評価(A社B社方式と総則6項の適用)
 横浜地裁は本件出資の時価について、以下の判示を行い、被告の主張に即して法人税額等相当額を控除しない純資産価額方式で計算した86億円余であると認定した。
 「本件出資に係る評価差額は、もっぱら相続税の負担の軽減を目的として意図的に生み出されたものであり、本件譲渡の前後を通じて父ないし原告が直接又は間接に所有していた資産の客観的な価値には変動がなく、しかも原告は、B社の解散による清算所得への課税を経ることなく、B社の資産を減資払戻金として自己の直接所有の形態に移すことが予定されていたのであるから本件出資の時価の評価に際して、評価基本通達185及び186−2を形式的に適用して、課税時期における相続税評価額から評価差額に対する法人税額等に相当する金額の控除をすることは、評価基本通達がこのような控除規定を置いた上記の趣旨に反し、ひいては、相続税法22条が財産の価額は時価によるものとしている規定の趣旨に反する結果を生じ、かえって他の納税者との間での実質的な租税負担の公平に害することが明らかであるから、評価基本通達によらないことが相当と認められるような特別の事情があるものというべきである。」

争点2・本件不申告行為が通則法70条5項(「偽りその他不正の行為」)に該当するか
 さらに横浜地裁は、「原告側が、税額を免れる意図の下に、贈与税の賦課徴収を不能又は著しく困難にするような偽計その他の工作をしたものとは認められない。」と認定した上で、以下の判示を行い、本件一連の行為を基礎とする本件不申告行為について、通則法70条5項の規定を適用することはできないと判断し、通則法に定める決定をすることができる期間の経過後にされた本件贈与税決定処分等は違法であるとした。
 「本件譲渡については、相続税法22条、7条の規定に照らせば、また、評価基本通達6の趣旨に照らしても、原告に贈与税の納税義務が成立していることが明らかであるにもかかわらず、これに対する課税がされないという容認し難い結果を生じることとなったのは、被告課税庁側において自らが定めた評基通185及び186−2の規定を形式的に解釈、適用し、相続税法22条、7条の規定の趣旨、目的に従った適正な課税事務処理をせず、このため通則法70条3項が規定する決定の期間制限を徒過してしまったことによるものといわざるを得ないのである。」



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週刊「T&A master」084号(2004.9.27)「最重要ニュース」より転載)

 

(分類:税務 2004.11.15 ビジネスメールUP! 639号より )

 

 
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