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与党が「平成18年度税制改正大綱」を公表
実務上の注目は、5,000円以下の飲食費、同族会社の役員給与、祖父母からの贈与

 

 自由民主党・公明党は、15日夕、「平成18年度税制改正大綱」をとりまとめ、公表 した。
 http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2005/pdf/seisaku-018a.pdf
 概要としては、定率減税の完全廃止、税源移譲に伴う税率見直し、たばこ税の引き 上げ、酒税の見直し、地震保険料控除の創設などがメイン項目とされているが、実務 上、非常に大きな改正点があり、早急に対応する必要が出てきた。

大会社も含め1人5,000円以内の飲食費は損金に
 まず、大綱は、交際費等の損金不算入について、損金不算入となる交際費等の範囲 から「1人当たり 5,000 円以下の一定の飲食費」を除外するとした。17年度税制改正において、交際費等の範囲の明確化が要請されていたことに伴うものだが、金額基準が廃されている現行実務に対して、これほど明確な「形式基準」が法令上用意されるという点に注目すべきだ。
 一定の飲食費とは、「役職員の間の飲食」を除くそれ以外のすべての飲食という意味であるが、現実的には、会議費名目での出費が該当することになるだろう。会議費に関しては、下記のような取扱いがあるが、5,000円という金額基準の登場により、これらの取扱いは実質的にも変更を余儀なくされることになる。また、この損金算入措置は会社の大小を問わない措置であり、交際費等の損金算入が一切認められていない大企業にとっては一種の“朗報”と言えるだろう。
【租税特別措置法施行令 第37条の5】
 法第六十一条の四第三項に規定する交際費等から除かれる費用は、次に掲げる費用とする。
一 略
二 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
【租税特別措置法通達】
(会議に関連して通常要する費用の例示)
61の4(1)−21 会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として措置法令第37条の5第2号に規定する「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。(注) 会議には、来客との商談、打合せ等が含まれる。

同族会社オーナーへの給与支給に増税措置
 中小企業関係の改正項目で最も注目されるのが、同族会社が支給する社長への給与のうち「給与所得控除相当額」を損金不算入とする措置である。これは、個人の事業と、それと実質的に変わらないような同族法人との税負担格差を是正するものとされる。
 同族会社からオーナー社長へ給与が支給された場合、個人・法人全体の課税範囲は、
<法人税>支給給与部分が損金算入
<所得税>支給給与部分のうちの一定額(給与所得控除)が控除
となって減少する。
 会社からの給与という形態を採ることによって、法人・個人の両方で控除できる部分が発生する格好であり、これが個人事業形態の税負担との間に不均衡があるとして手当てされるものである。具体的には、上記の<所得税>は現行どおりだが、<法人税>段階での社長に対する給与のうち「給与所得控除相当額分」は損金に算入されない。
 適用会社は、「社長及び同族関係者等が株式の90%以上を所有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている」同族会社であるが、一定の零細な会社は除かれる。ただ、このような同族会社は決して少なくない。“経費の二重控除”是正としての措置だが、今回、同族会社の留保金課税が実質的になくなった事を差し引いても、あまりに大きい増税措置である。

祖父母からの住宅取得資金贈与は本年12月末が期限
 相続・贈与関連では、住宅取得資金の贈与特例(いわゆる「5分5乗方式」)の廃止がある。贈与に関しては、いわゆる相続時精算課税制度があり、これが拡充される一方で、5分5乗方式贈与特例が平成17年12月31日をもって廃止となる格好だ。ただ、相続時精算課税はあくまでも、後の相続税精算を担保にする猶予的特例であり、また、親からの贈与のみを対象としている。5分5乗方式贈与特例がカバーしていた祖父母からの贈与は本年12月31日までが特例の期限である。該当する事案にあっては、早急な検討・対応が必要である。

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(分類:税制改正 2005.12.16 ビジネスメールUP! 789号より )

 

 
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