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自己の見解の正当性は「更正の請求」という方法で
平成14年分以降の一時所得申告に「正当な理由」を認めず

 

 東京地裁民事38部(杉原則彦裁判長)は平成19年3月20日、ストックオプション(以下「SO」という)の権利行使益の所得区分を一時所得として申告した平成14年分・平成15年分の所得税の申告(異なる原告)について、「国税通則法(以下「通則法」という)65条4項所定の『正当な理由』があるとは認められないから、過少申告加算税賦課決定処分は適法である。」と判示し、原告の過少申告加算税賦課決定処分を取り消す請求を棄却する判決を言い渡した。

事案の概要
 平成19年3月20日には、東京地裁民事38部で2件の判決が言い渡された。原告Aは平成14年分の申告において、SOの権利行使益の所得区分を一時所得として申告したことについて、「正当な理由」があると認められるとして、過少申告加算税の賦課決定処分の取消しを求め、原告Bは平成15年分の所得税の申告について、Aと同様の争点で争っている。
 いずれの原告も、平成9年分および同10年分などの所得税について、処分行政庁(税務署長)の給与所得に該当するものとして行われた更正処分および過少申告加算税の賦課決定処分について、課税処分の取消訴訟を提起して争ってきた。
 平成17年1月25日最高裁第三小法廷判決は、SOの権利行使益の所得税法上の所得区分を給与所得とする判断を示したが、平成18年10月24日最高裁第三小法廷判決では、平成12年分の所得税の確定申告において、SOの権利行使益の所得区分を一時所得として申告したことについて、「正当な理由」が認められるとの判断を示している。当該最高裁判決では、「平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記したというのである。」との判示が行われていた。

納税者の主張
 課税庁が権利行使益の所得区分についての解釈の変更を通達で明示した時期は、平成14年6月24日付通達改正であるところ、同14年分の所得税の法定申告期限は同15年3月17日であり、同15年分の所得税の法定申告期限は同16年3月15日である。しかし、(略)課税庁による通達が発せられた後であっても、納税者がいずれの所得区分で申告すべきかにについて周知され、定着した状況があったと評価することはできず、課税庁の見解変更による混乱状況が続いている状況下において申告がされた場合には、通則法65条4項の「正当な理由」があると認められるべきである。
 そして、上記通達の改正がされてから約半年後の同14年11月26日に、当庁民事第3部において、権利行使益が一時所得に当たる旨の初めての司法判断がされ、(平成14年分の所得税については、)法定申告期限まで、権利行使益についての司法判断はなかった。(平成15年分の所得税については、同15年8月26日には東京地裁民事2部においても同旨(一時所得)の判断が示され、その後同16年1月21日に横浜地裁において初めて給与所得に当たる旨の判断が示されたが、)このような状況において、納税者が権利行使益を一時所得として申告することは無理からぬ面があったということができるから、一時所得として申告した原告に過少申告加算税を課すことは不当または酷になるということができる。「正当な理由」があると認められることが明らかである。

裁判所の判断(課税庁の主張を採用)
 原告は、課税庁が権利行使益の所得区分を給与所得とする旨の取扱いを納税者に通知させ、これが定着するよう必要な措置を講じた時期以降における本件確定申告に際し、そのような課税上の取扱いを明確に認識しながら、上記の通達改正前における課税上の取扱いの変更を不服として、独自の判断に基づいて権利行使益を一時所得として申告したものというべきであるから、原告が権利行使益を一時所得として申告をしたことは、原告の主観的な事情に基づくものというほかなく、真に原告の責めに帰することのできない客観的事情があるということはできない。
 したがって、過少申告加算税の趣旨に照らすと、原告に過少申告加算税を賦課することが不当または酷になるような事情があるということはできないから、原告が、本件確定申告において、権利行使益を一時所得として申告し、給与所得としては税額の計算の基礎としていなかったことについて、通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできない。

見解の相違があれば「更正の請求方式で」
 また、杉原裁判長は、原告の(不当または酷になるという)主張に対し、次のように判示して斥けた。
 「課税庁の取扱いを知りながら、あえて、自己の見解に従って、権利行使益を一時所得として申告したものである上、このような場合に自己の見解が正当であると考える場合には、課税庁の取扱いに沿った申告納税を行った上で、自己の見解に基づき更正の請求をするという方法を選択することにより、過少申告申告加算税を賦課されることなく司法判断を受けることができるのであるから、かかる原告に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるということはできない。
 さらに、申告納税制度が適正に機能するためには、国民が自発的に申告することが必要であり、このような申告納税制度を維持する上で、誤った所得区分にもとづいて算定された過少な税額で申告することは、適正な申告とはいえないのであって、過少申告加算税を賦課することによって、そのような不適正な申告をした者と当初から適正な申告をした者との間に生じる客観的不公平を実質的に是正することが必要である。
 これらの点に照らすと、原告の前記主張はいずれも失当というべきであるから、採用することができない。」

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  キーワード 「東京地裁民事38部」⇒22

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(以上、最新順)

週刊「T&A master」211号(2007.5.21「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2007.6.25 ビジネスメールUP! 1002号より )

 

 
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