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国税庁、平成23事務年度も重点的課題と認識
個人への税務調査、「富裕層」をターゲット

 いわゆる「富裕層」に対する税務調査が急増している。国税庁が先日公表した資料によると、平成22事務年度の富裕層への実地調査は、前事務年度比56%増の4,793件であることが判明した。富裕層の資産運用は、その金額もさることながら、国内外を問わず行われている。近年、特に海外における資産運用益や不動産の譲渡益などを申告しない事例が相次いでいることを受け、富裕層に対する実地調査が本格化している模様だ。今年9月に行われた全国国税局課税部長会議においても、富裕層への調査は、重点的課題の1つに挙げられており、今事務年度以降も、「富裕層」をターゲットとした税務調査は増え続ける見込みだ。

「富裕層」への実地調査、前年比50%超の大幅増
富裕層、1件当たりの追徴税額は312万円

 国税庁が10月20日に公表した「平成22事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」によると、富裕層への実地調査は前事務年度より1,732件増加(+56%)し、4,793件となった。
 東日本大震災や生保年金の還付事務手続への対応により、実地調査全体の件数が前事務年度を下回る水準にとどまっていることから考えても、国税庁が富裕層に対する実地調査を重点的に取り組んでいることを読み取ることができる。
有価証券や不動産、高額な役員報酬等に着目
 国税庁は、調査のターゲットとなる「富裕層」の具体的な金額基準は明らかにしていない。
 しかし、有価証券や不動産の大口所有者といったストックの面と役員報酬など経常的な所得が特に高額なフローの面の2つの側面から判断しているとしている。また、各国税局の実情や経済状況等を考慮したうえ、基準が決められている模様だ。

送金調書の提出基準未満で送金するも基準改正により発覚
 富裕層の申告漏れ事案は海外取引をともなうことが多い。国税庁が、富裕層に対する調査事例で、海外取引をともなうものとして公表した事例を紹介する(概要は参照)。

 会社役員であるA(居住者)は、外国人経営者への海運業等の経営ノウハウの伝授の見返りとして受け取った謝礼を海外の金融機関に留保・運用委託し、多額の運用益を得ていたが、その運用益を申告から除外していた。
 また、運用益を税務当局に把握されないように、金融機関が提出する国外送金等調書の提出基準に満たない金額に分割して国内へ送金していた。当時は、国外送金調書の提出基準が200万円超であったことから、たとえば150万円など、提出基準以下の金額に分割をしたうえ、送金を繰り返していた。
提出基準が200万円超から100万円超に
 その後、平成22年4月1日に国外送金調書の提出基準が200万円超から100万円超に改正されたが、会社役員Aは、これに気付かずに送金を継続。金融機関が提出した国外送金等調書が端緒となり、申告漏れが発覚するに至った。
 なお、申告漏れ所得金額は、7年間で6,600万円、加算税を含む追徴税額は、3,300万円であった。
国外送金等調書、別の事例でも発覚の端緒に
 また、別の事例でも国外送金等調書が端緒となり申告漏れが発覚したものがある。会社員B(居住者)が相続により取得した海外不動産を譲渡して得た譲渡益を全く申告しなかったものだ。
 この事例では、申告漏れ所得金額は2,200万円であり、加算税を含む約400万円が追徴課税されることとなった。

memo
平成23年度税制改正で創設の無申告ほ脱犯、査察の際に告発へ

 国税庁では、富裕層だけでなく、悪質な無申告者に対しても重点的な調査を実施している。税務署によっては、前事務年度から無申告調査の専担者を設置するなどして対策にあたっている模様だ。平成22事務年度は、悪質な無申告者に対して、過去最高となる10,233件の実地調査を実施。1件当たりの申告漏れ所得金額の1,494万円は、富裕層を上回る規模で実地調査全体の約1.7倍であった。
 なお、平成23年度税制改正において、税を免れる故意をもって申告をせず、税を免れた行為に対して新たに刑事罰が課せられることになった(いわゆる無申告ほ脱犯)。この改正は、8月30日以後にした行為から適用される。
 国税庁によると、無申告ほ脱犯による告発は、通常の実地調査ではなく査察の際に行われるとしている。

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  キーワード 「富裕層」⇒39

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登録日

オフィシャル税務

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(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」425号(2011.10.31「SCOPE」より転載)

(分類:税務 2012.1.16 ビジネスメールUP! 1633号より )

 

 
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