平成26年度税制改正大綱

平成25年12月12日
自 由 民 主 党
公 明 党

目 次
第一 平成26年度税制改正の基本的考え方 ------------------------ 1
第二 平成26年度税制改正の具体的内容 ------------------------- 8
T 秋の大綱(民間投資活性化等のための税制改正大綱)での決定事項 -- 8
一 民間投資の活性化 ------------------------------------ 8
二 中小企業対策 --------------------------------------- 12
三 民間企業等によるベンチャー投資等の促進 ------------------ 13
四 収益力の飛躍的な向上に向けた経営改革の促進 --------------- 14
五 設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応 --------- 16
六 所得の拡大 ---------------------------------------- 18
U 年末での決定事項 ------------------------------------- 21
一 個人所得課税 --------------------------------------- 21
二 資産課税 ------------------------------------------ 58
三 法人課税 ------------------------------------------ 74
四 消費課税 ------------------------------------------ 96
五 国際課税 ------------------------------------------ 104
六 納税環境整備 --------------------------------------- 107
七 関税 --------------------------------------------- 114
第三 検討事項 ------------------------------------------- 116
【付記】国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更) ------- 120
(別紙) ------------------------------------------------ 133

第一 平成26年度税制改正の基本的考え方
 わが国が直面する最重要課題はデフレ脱却及び日本経済再生との認識の下、安倍政権は、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を「三本の矢」として一体として強力に推進してきた。
  こうした状況の下、企業等の投資行動を加速化させる等の観点から、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)に盛り込まれている民間投資を活性化させるための税制措置等について、年末における通常の年度改正から切り離して秋に前倒しで決定した(「民間投資活性化等のための税制改正大綱」(平成25年10月1日))。
  現状の経済情勢については、「三本の矢」の効果もあり着実に上向いている一方で、景気回復の実感は中小企業や地域経済には未だ十分浸透していないと指摘されている。年末においては、景気回復の実感を広く行き渡らせるため、復興特別法人税の1年前倒し廃止等の「好循環実現のための経済対策」(平成25年12月5日閣議決定)に基づいた対応を行うとともに、秋の大綱に引き続き企業の積極的な投資行動を促すための措置、企業の交際費に着目した消費活性化のための措置、地域経済の活性化のための措置等を講ずる。こうした政策税制については、その政策効果について事後的にしっかりと検証を行うなどによりその有効性や必要性について国民の理解を得ることが重要である。
  また、税制改正に当たっては、このような足下の経済情勢への適切な対応が重要である一方、少子高齢化が急速に進む中にあって財政健全化を確保しつつ社会保障分野をはじめとした各種政策遂行に要する財源を確保することや世代間・世代内での格差を是正すること、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築すること等の中長期的な課題にも与党として責任をもって取り組むことが必要である。平成25年10月1日に、政府により平成26年4月からの消費税率引上げについて確認がなされたことも踏まえつつ、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(税制抜本改革法)においても示されているこうした課題について検討を進め、所要の措置を講ずる。また、今後、内外の社会情勢の変化を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税につ いて検討を進める。
  「地方・地域の元気なくして国の元気はない」という考え方の下、魅力あふれる地域を創ることができるよう、地方分権を推進し、その基盤となる地方税の確保に努める。その際、地方の独自税源を充実させるとの視点も重要である。
  さらに、東日本大震災からの復興について、その進捗状況を踏まえつつ、引き続き税制面からも強力に支援する。
  法人実効税率のあり方について検討を行った。わが国経済の競争力の向上のために様々な対応を行う中で、法人実効税率を引き下げる環境を作り上げることも重要な課題である。その場合、税制の中立性や財政の健全化を勘案し、ヨーロッパ諸国でも行われたように政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大や、他税目での増収策による財源確保を図る必要がある。また、産業構造や事業環境の変化の中で、法人実効税率引下げと企業の具体的な行動との関係や、現在の法人課税による企業の税負担の実態も踏まえ、その政策効果を検証することも重要である。こうした点を踏まえつつ、法人実効税率のあり方について、引き続き検討を進める。

以下、この年末における主要項目について基本的考え方を述べる。
1 デフレ脱却・日本経済再生に向けた税制措置
(1)復興特別法人税の1年前倒し廃止
  経済の好循環を早期に実現する観点から、経済政策パッケージに盛り込まれた所得拡大促進税制の拡充や政労使会議での取組とともに、足元の企業収益を賃金の上昇につなげていくきっかけとするため、復興特別法人税を1年前倒しで廃止する。確実な成果を得るため、引き続き、経済界への徹底した要請などの取組を行うとともに、地方の中小企業等への効果を含め、賃上げの状況についてフォローアップを行い、公表する。
(2)民間投資と消費の拡大
  消費税率引上げに伴う経済対策と成長力強化のための総合的な対策が必要であることから、「日本再興戦略」に盛り込まれた民間投資を活性化させるための税制措置等について、通常の年度改正から切り離して前倒しで「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を決定した。その中では、生産性の向上につながる設備等への投資を促進するための税制、民間企業等によるベンチャー投資の促進のための税制や、事業再編を促進するための税制を創設するとともに、研究開発税制を拡充することとした。また、賃上げをしていく企業を一層支援するため、所得拡大促進税制を拡充することとした。
  これらに加え、今般、消費の拡大を図る観点から、交際費課税の見直しを行い、大企業にも飲食のための支出の50%の損金算入を認める。また、秋の大綱では、設備投資につながる制度・規制面での環境整備に応じた税制として、耐震改修を促進するための税制の創設などを盛り込んだが、更に港湾の民有護岸の耐震化を推進するための税制の創設などを行う。更には、海外投資等損失準備金制度の延長により、引き続き重要資源の確保にも尽力していく。
(3)地域経済の活性化
  日本経済の真の再生には、地域経済の活性化を図る必要がある。このため、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」では、地域経済を支える中小企業を支援する観点から、中小企業投資促進税制を拡充することなどを決定した。これに加え、今般、税制面で中心市街地の活性化やコンパクトシティの形成を支援する。
(4)国家戦略特区
  企業にとって活動しやすい環境作りの契機とするため、国家戦略特区において行われるわが国の経済再生に大きく寄与する事業について、特区に認定されなかった地域とのバランスに配慮しつつ、積極的に税制で支援する。今般、医療分野を中核事業として支援することなどを決定したが、今後、特区における具体的な事業が決まった後、引き続き検討する。
  なお、特区の事業が十分な効果を発揮するためには、国、地方公共団体及び民間事業者の緊密な連携が必要であり、事業推進のため、地方公共団体の自主的な取組が求められる。

2 税制抜本改革の着実な実施
(1)車体課税の見直し
  税制抜本改革法第7条第1号カの規定及び平成25年度与党税制改正大綱、さらには、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を踏まえ、経済情勢に配慮する観点から、消費税率引上げの前後における駆け込み需要及び反動減の緩和も視野に入れ、国、地方を通じ、車体課税について、以下のように見直すこととする。
@ 自動車取得税については、消費税率8%への引上げ時において、平成22年度燃費基準を満たした自動車等の取得に係る税率を引き下げることとし、自家用自動車については5%から3%、営業用自動車及び軽自動車については3%から2%にそれぞれ引き下げるとともに、平成26年度までの措置であるエコカー減税の軽減率を拡充する。エコカー減税については、平成27年度税制改正において基準の切替えと重点化を図る。
  自動車取得税は、消費税率10%への引上げ時(平成27年10月予定)に廃止する。そのための法制上の措置は、消費税率10%段階における他の車体課税に係る措置と併せて講ずる。
A 自動車税については、平成25年度末で期限切れを迎える「グリーン化特例」について、対象車種にクリーンディーゼル車を追加する等の基準の切替えと重点化、拡充を行った上で2年間延長する。
  また、消費税率10%段階において、平成25年度与党税制改正大綱を踏まえ、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能課税(環境性能割)を、自動車税の取得時の課税として実施することとし、平成27年度税制改正で具体的な結論を得る。その大要は、以下のとおりとする。
イ 課税標準は取得価額を基本とし、控除及び免税点のあり方等について併せて検討する。税率は、省エネ法に基づく燃費基準値の達成度に応じて、0〜3%の間で変動する仕組みとする。具体的な燃費基準値達成度の税率への反映方法等については、省エネ法に基づく平成32年度燃費基準への円滑な移行を視野に入れて検討を行う。
ロ 環境性能課税の税収規模は、平均使用年数を考慮した期間において、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさない規模を確保するものとする。
ハ 自動車税(排気量割)のグリーン化特例については、環境性能割の導入時に、環境性能割を補完する趣旨を明確化し、環境性能割非課税の自動車に対象を重点化した上で、軽課を強化する。
ニ 環境性能課税及びグリーン化特例の制度設計に当たっては、幅広い関係者の意見を聴取しつつ、技術開発の動向等も踏まえて、一層のグリーン化機能が発揮されるものとなるよう、検討するものとする。
B 軽自動車税については、平成27年度以降に新たに取得される四輪車等の税率を、自家用乗用車にあっては1.5倍に、その他の区分の車両にあっては農業者や中小企業者等の負担を考慮し約1.25倍にそれぞれ引き上げる。
  また、軽自動車税においてもグリーン化を進める観点から、最初の新規検査から13年を経過した四輪車等について、平成28年度から約20%の重課を行うこととし、併せて軽課についても検討を行うこととする。二輪車等については、税率を約1.5倍に引き上げた上で、2,000円未満の税率を2,000円に引き上げる。
C 自動車重量税については、エコカー減税を拡充するとともに、その財源の確保及び一層のグリーン化等の観点から、経年車に対する課税の見直しを行う。
  平成27年度税制改正において、現行エコカー減税の期限到来に併せ、エコカー減税の基準の見直しを行うとともに、エコカー減税制度の基本構造を恒久化する。
  自動車重量税については、道路等の維持管理・更新や防災・減災等の推進に多額の財源が必要となる中で、その原因者負担・受益者負担としての性格を踏まえる。また、その税収の一部が公害健康被害補償の財源として活用されていることにも留意する。
(2)地方法人課税の偏在是正
  地方税制については、消費税率8%段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率を引き下げるとともに、当該引下げ分に相当する、課税標準を法人税額とする地方法人税(仮称)を創設して、その税収全額を交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰り入れ、地方交付税原資とする。なお、この偏在是正により生じる財源(不交付団体の減収分)を活用して、地方財政計画に歳出を計上する。また、地方法人特別税・譲与税の規模を縮小し、法人事業税に復元する。
  消費税率10%段階においては、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進める。また、地方法人特別税・譲与税を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行う。
(3)給与所得控除の見直し
  給与所得控除については、税制抜本改革法において、そのあり方について検討することとされている。現行の水準は、所得税の課税ベースを大きく浸食しており、実際の給与所得者の勤務関連支出に比しても、また、主要国の概算控除額との比較においても過大となっていることから、中長期的には主要国並みの控除水準とすべく、漸次適正化のための見直しが必要である。
  このため、当面、特に高所得の給与所得者に係る給与所得控除の見直しを行う。
  具体的には、平成28年より、給与等の収入金額が1,200万円を超える場合の給与所得控除の上限を230万円とし、平成29年より、給与等の収入金額が1,000万円を超える場合の給与所得控除の上限を220万円とする。
(4)軽減税率
  消費税の軽減税率制度については、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。
  このため、今後、引き続き、与党税制協議会において、これまでの軽減税率をめぐる議論の経緯及び成果を十分に踏まえ、社会保障を含む財政上の課題とあわせ、対象品目の選定、区分経理等のための制度整備、具体的な安定財源の手当、国民の理解を得るためのプロセス等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成26年12月までに結論を得て、与党税制改正大綱を決定する。

3 復興支援のための税制上の措置
  東日本大震災からの復興は政府・与党の最優先課題である。税制面でも引き続き復興を支援するため、起業や新設企業の誘致を図る観点から、復興特区制度における再投資準備金制度の要件を緩和するとともに、事業用資産の即時償却制度の延長、被災者の住宅確保のための復興優良賃貸住宅の特別償却制度の拡充・延長などを行う。
  また、東日本大震災に係る津波により甚大な被害を受けた区域のうち、市町村長が指定する区域における土地及び家屋について、固定資産税及び都市計画税を免除する措置等について、評価替えが行われる平成27年度に一般の措置に移行することとし、それまでの暫定的な措置として、適用期限を1年延長する。
  このほか、被災自動車等及び被災自動車等の代替自動車等に係る自動車重量税、自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の非課税措置等の適用期限を2年延長する。

4 円滑・適正な納税のための環境整備
  税制に対する国民の信頼を確保し、公正な税制を実現するため、納税者利便の向上や課税の適正化などの環境整備を図っていくことが重要である。
  納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、納税者の申請に基づき換価の猶予をできることとするなど、国税の猶予制度の見直しを行う。地方税の猶予制度については、国税の猶予制度の見直しや地方団体における実態等を踏まえ、引き続き検討する。
  税理士制度について、申告納税制度の円滑かつ適正な運営に資するよう、税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、税理士の業務や資格取得のあり方などに関し見直しを行う。
  行政不服審査制度の抜本的な見直しに合わせて、国民の権利利益の救済等に資する国税・地方税の不服申立手続の見直しを行う。
  復興特別法人税の1年前倒し廃止に伴い、納税者利便の向上の観点から、復興特別所得税額を法人税から控除できる仕組みに改める。
  また、税制を円滑かつ公平に執行するため、必要な定員の確保など税務執行体制の一層の充実を図る。

第二 平成26年度税制改正の具体的内容

T 秋の大綱(民間投資活性化等のための税制改正大綱)での決定事項

一 民間投資の活性化
(国 税)
〔新設〕
1 生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置(生産性向上設備投資促進税制)の創設
  産業競争力強化法の制定に伴い、青色申告書を提出する法人が、同法の施行の日から平成29年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアで、同法に規定する生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その生産性向上設備等を国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その取得価額の50%(建物及び構築物については、25%)の特別償却とその取得価額の4%(建物及び構築物については、2%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
  なお、産業競争力強化法の施行の日から平成28年3月31日までの間に取得等をしたものについては、その普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却とその取得価額の5%(建物及び構築物については、3%)の税額控除との選択適用ができることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の措置は、平成26年4月1日前に終了する事業年度において産業競争力強化法の施行の日から平成26年3月31日までの間に対象資産の取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、特別償却相当額又は税額控除相当額の償却又は控除ができることとする。
(注2)生産等設備とは、その法人の事業の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいう。なお、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は該当しない。
(注3)生産性向上設備等とは、先端設備及び生産ラインやオペレーションの改善に資する設備として産業競争力強化法に規定するものをいう。
(注4)先端設備とは、先端性に係る設備要件を満たす次の機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備及びソフトウエアをいう。

減価償却資産の種類
対象となるものの用途・細目
機械装置 (限定なし)
工具 ロール
器具備品(ホについては、中小企業者等が取得等をするものに限る。) イ 陳列棚及び陳列ケースのうち、冷凍機付又は冷蔵機付のもの
ロ 冷房用又は暖房用機器
ハ 電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器
ニ 氷冷蔵庫及び冷蔵ストッカー(電気式のものを除く。)
ホ 電子計算機(サーバー(ソフトウエア(OS)を同時に取得するものに限る。)に限る。)
ヘ 試験又は測定機器
建物 断熱材及び断熱窓
建物附属設備 イ 電気設備(照明設備を含む。)のうちその他のもの
ロ 冷房、暖房、通風又はボイラー設備
ハ 昇降機設備
ニ アーケード又は日よけ設備(ブラインドに限る。)
ホ イ〜ニ以外のその他のもの(日射調整フィルムに限る。)

ソフトウエア(中小企業者等が取得等をするものに限る。)

設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの

  なお、先端性に係る設備要件は、次の@及びAのいずれにも該当することとする。
@ 最新モデル(機械装置:10年以内、工具:4年以内、器具備品:6年以内、建物及び建物附属設備:14年以内、ソフトウエア:5年以内に、それぞれ販売が開始されたもので最も新しいモデルをいう。ただし、販売開始年度が取得等をする年度及びその前年度であるモデルを
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含む。)であること。
A 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するものであること。
  ただし、機械装置のうち中小企業者等が取得等をするソフトウエア組込型機械装置における上記@は、10年以内に販売が開始されたもので最新モデル及びその最新モデルの1つ前のモデルとし、ソフトウエアには、上記Aは付さないこととする。
(注5)生産ラインやオペレーションの改善に資する設備とは、生産性の向上に係る要件を満たすことにつき経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアをいう。
  なお、生産性の向上に係る要件は、投資計画における投資利益率が15%以上(中小企業者等にあっては、5%以上)であることとする。
(注6)一定の規模以上のものとは、それぞれ次のものをいう。
@ 機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
A 工具及び器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの(それぞれ1台又は1基の取得価額が30万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
B 建物、建物附属設備及び構築物 それぞれ一の取得価額が120万円以上のもの(建物附属設備については、一の取得価額が60万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
C ソフトウエア 一の取得価額が70万円以上のもの(一の取得価額が30万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が70万円以上のものを含む。)
〔延長・拡充等〕
1 試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度について、試験研究費の増加額に係る
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税額控除を次の措置に改組した上、制度の適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
  青色申告書を提出する法人の増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の5%を超え、かつ、試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える場合には、増加試験研究費の額に30%(増加割合が30%未満の場合には、増加割合)を乗じて計算した金額の税額控除ができることとする。
(注1)増加試験研究費の額とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を控除した残額をいう。
(注2)増加割合とは、増加試験研究費の額の比較試験研究費の額に対する割合をいう。
(地方税)
〔新設〕
1 生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置(生産性向上設備投資促進税制)の創設
  産業競争力強化法の制定に伴い、中小企業者等が、同法の施行の日から平成29年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウエアで、同法に規定する生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その生産性向上設備等を国内にあるその中小企業者等の事業の用に供した場合に選択適用できることとされる法人税の特別償却又は税額控除を法人住民税及び法人事業税に適用する。
〔延長・拡充等〕
1 中小企業者等の試験研究費に係る法人住民税の特例措置について、試験研究費の増加額に係る税額控除を次の措置に改組した上、試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度の適用期限を3年延長する。
  増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の5%を超え、かつ、試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える場合には、増加試験研究費の額に30%(増加割合が30%未満の場合には、増加割合)を乗じて計算した金額の税額控除ができることとする。

二 中小企業対策
(国 税)
〔新設〕
1 生産性向上設備投資促進税制(再掲)
(1)先端設備について、中小企業者等は、器具備品のうち電子計算機(サーバー(ソフトウエア(OS)を同時に取得するものに限る。)に限る。)及び一定のソフトウエアを対象とする(所得税についても同様とする。)。
(注)機械装置のうち中小企業者等が取得等をするソフトウエア組込型機械装置については、要件を緩和する。
(2)生産ラインやオペレーションの改善に資する設備における生産性の向上に係る要件について、中小企業者等は、投資計画における投資利益率が5%以上(中小企業者等以外の法人にあっては、15%以上)であることとする(所得税についても同様とする。)。
〔延長・拡充〕
1 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
  産業競争力強化法の制定に伴い、中小企業者等が同法の施行の日から平成29年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等のうち生産性向上設備投資促進税制の生産性向上設備等に該当するものについては、その普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却(現行30%の特別償却)ができることとする。
  なお、中小企業者等(現行 特定中小企業者等)にあっては、その特別償却とその特定機械装置等のうち生産性向上設備投資促進税制の生産性向上設備等に該当するものの取得価額の7%(特定中小企業者等にあっては、10%(現行7%))の税額控除との選択適用ができることとし、税額控除における控除限度超過額は、1年間の繰越しができることとする。
(注1)上記の改正は、平成26年4月1日前に終了する事業年度において産業競争力強化法の施行の日から平成26年3月31日までの間に生産性向上設備等に該当するものの取得等をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度において、特別償却相当額又は税額控除相当額の償却又は繰越控除ができることとする。
(注2)中小企業者等とは、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法人等又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するものをいう。
(注3)特定中小企業者等とは、資本金の額若しくは出資金の額が3,000万円以下の法人等又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するものをいう。
2 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(地方税)
〔新設〕
1 生産性向上設備投資促進税制(再掲)

三 民間企業等によるベンチャー投資等の促進
(国 税)
〔新設〕
1 ベンチャー投資を促進するための税制措置の創設
産業競争力強化法の制定に伴い、青色申告書を提出する法人で、同法の施行の日から平成29年3月31日までの間に同法に規定する特定新事業開拓投資事業計画について認定を受けた投資事業有限責任組合に係る投資事業有限責任組合契約を締結しているもの(その投資事業有限責任組合の有限責任組合員に限り、その法人が適格機関投資家である場合にはその投資事業有限責任組合に対する出資予定額が2億円以上であるものに限る。)が、その認定を受けた日以後にその投資事業有限責任組合に出資をし、かつ、同日からその投資事業有限責任組合の存続期間終了の日までの期間内においてその特定新事業開拓投資事業計画に従ってその投資事業有限責任組合の組合財産となる同法に規定する新事業開拓事業者の株式等を取得した場合において、その株式等の価格の低落による損失に備えるため、その期間内の日を含む各事業年度終了の時において有するその株式等のその終了の時における帳簿価額の合計額の80%以下の金額を新事業開拓事業者投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できることとする。
  この準備金は、その積み立てた事業年度の翌事業年度にその積み立てた金額の全額を取り崩して、益金算入する。
(注1)上記の措置は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。
(注2)上記の適格機関投資家は、その投資事業有限責任組合契約を締結した日を含む事業年度開始の時におけるその他有価証券である株式等の帳簿価額が20億円以上のものに限る。
2 創業促進のための登録免許税の税率の軽減措置の創設
  個人が、産業競争力強化法に規定する認定創業支援事業計画に係る認定を受けた市区町村において、同計画に記載された特定創業支援事業による支援を受けて株式会社の設立をする場合には、当該株式会社の設立の登記(同法の施行の日から平成28年3月31日までの間に受けるものに限る。)に対する登録免許税の税率を、1,000分の3.5(最低税額7万5千円)(本則1,000分の7(最低税額15万円))に軽減する措置を講ずる。

四 収益力の飛躍的な向上に向けた経営改革の促進
(国 税)
〔新設〕
1 事業再編を促進するための税制措置の創設
  産業競争力強化法の制定に伴い、青色申告書を提出する法人で同法の施行の日から平成29年3月31日までの間に同法に規定する特定事業再編計画について認定を受けたものが、積立期間内の日を含む各事業年度のその積立期間内において、その特定事業再編計画に記載された同法に規定する特定事業再編に係る同法に規定する特定会社の特定株式等の取得(その特定事業再編前の取得を除く。)をし、かつ、その特定株式等をその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合において、その特定株式等の価格の低落又は貸倒れによる損失に備えるため、その特定株式等の取得価額の70%以下の金額を特定事業再編投資損失準備金として積み立てたとき(その特定事業再編をした最初の事業年度において、その特定事業再編前からその最初の事業年度終了の日まで引き続き有しているその特定会社の特定株式等の帳簿価額の70%以下の金額を特定事業再編投資損失準備金として積み立てた場合を含む。)は、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できることとする。
  この準備金は、その積立期間終了の日を含む事業年度の翌事業年度から5年間で、その積立期間終了の日を含む事業年度終了の時における準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する。
(注1)上記の措置は、平成26年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。なお、平成26年4月1日前に終了する事業年度において産業競争力強化法の施行の日から平成26年3月31日までの間に特定株式等の取得をした場合には、平成26年4月1日を含む事業年度においてその準備金積立相当額の損金算入ができることとする。
(注2)積立期間とは、その法人がその特定事業再編計画について認定を受けた日から同日以後10年を経過する日(その特定事業再編計画に記載された特定事業再編に係る特定会社が、同日までに3期連続で営業利益を計上した場合には、その営業利益を計上した最後の事業年度終了の日)までの期間をいう。
(注3)特定株式等とは、設立若しくは資本金の額等の増加に伴う金銭の払込み、合併、分社型分割若しくは現物出資に伴い取得する特定会社の株式(出資を含む。)又はその特定会社に対する貸付金に係る債権をいう。
2 事業再編等に係る登録免許税の税率の軽減措置の創設
  産業競争力強化法に規定する事業再編計画、特定事業再編計画又は中小企業承継事業再生計画の認定(同法の施行の日から平成28年3月31日までの間にされたものに限る。)を受けた認定事業者等が、これらの計画に基づき行う株式会社の設立等に係る次に掲げる登記に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
(1)株式会社の設立又は増資の登記 1,000分の3.5(本則1,000分の7)
(2)合併による株式会社の設立又は増資の登記 1,000分の1(純増部分については、1,000分の3.5)
  (本則1,000分の1.5(純増部分については、1,000分の7))
(3)分割による株式会社の設立又は増資の登記 1,000分の5(本則1,000分の7)
(4)法人の設立等の場合における次に掲げる登記
@ 不動産の所有権の移転登記 1,000分の16(本則1,000分の20)
A 船舶の所有権の移転登記 1,000分の23(本則1,000分の28)
(5)合併による法人の設立等の場合における次に掲げる登記
@ 不動産の所有権の移転登記 1,000分の2 (本則1,000分の4)
A 船舶の所有権の移転登記 1,000分の3 (本則1,000分の4)
(6)分割による法人の設立等の場合における次に掲げる登記
@ 不動産の所有権の移転登記 1,000分の4 (本則1,000分の20)
A 船舶の所有権の移転登記 1,000分の23(本則1,000分の28)

五 設備投資につながる制度・規制面での環境整備への対応
(国 税)
〔新設〕
1 既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設
  青色申告書を提出する法人で、その有する耐震改修対象建築物につき平成27年3月31日までに建築物の耐震改修の促進に関する法律の規定による耐震診断結果の報告を行ったもの(その報告に関する命令又は必要な耐震改修に関する指示を受けたものを除く。)が、平成26年4月1日からその報告を行った日以後5年を経過する日までの間に、その耐震改修対象建築物の部分について行う耐震改修により取得し、又は建設したその耐震改修対象建築物の部分について、その取得価額の25%の特別償却ができることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)耐震改修対象建築物とは、建築物の耐震改修の促進に関する法律の既存耐震不適格建築物のうち耐震診断結果の報告が同法の規定により義務付けられるもの(同法の要安全確認計画記載建築物又は要緊急安全確認大規模建築物)をいう。
(注2)耐震改修とは、地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕又は模様替であって、その耐震改修対象建築物に係る耐震基準に適合することとなるものとして次の者による証明がされたものをいう。
@ 地方公共団体の長
A 指定確認検査機関
B 建築士
(地方税)
〔新設〕
1 耐震改修を行った既存家屋に係る固定資産税の減額措置の創設
耐震改修を行った既存家屋(住宅を除く。以下同じ。)に係る固定資産税について、次のとおり税額を減額する措置を講ずる。
(1) 建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正に伴い耐震診断を義務付けられ、その結果が所管行政庁に報告された家屋(その報告に関する命令又は必要な耐震改修に関する指示の対象となったものを除く。)について、政府の補助を受けて、平成26年4月1日から平成29年3月31日までの間に建築基準法に基づく現行の耐震基準(昭和56年6月1日施行)に適合させるよう改修工事を行った場合において、その旨を市町村に申告したものに限り、改修工事が完了した年の翌年度から2年度分の当該家屋に係る固定資産税について、当該家屋に係る固定資産税額の2分の1に相当する金額(当該2分の1に相当する金額が当該補助対象改修工事に係る工事費の2.5%に相当する金額を超える場合は、当該2.5%に相当する金額)を減額する。
(2) 減額を受けようとする対象家屋の所有者は、上記耐震基準に適合した工事であること等につき、地方公共団体、建築士又は指定確認検査機関が発行した証明書を添付して、改修後3月以内に市町村に申告しなければならないこととする。
2 浸水防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置の創設
  浸水想定区域内の一定の地下街等の所有者又は管理者が、水防法に規定する浸水防止計画に基づき、浸水の防止を図るために取得する一定の償却資産に係る固定資産税について、課税標準を最初の5年間価格に次の割合を乗じて得た額とする措置を平成26年4月1日から3年間に限り講ずる。
(1) 大臣配分資産又は知事配分資産 3分の2
(2) その他の資産 3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
3 ノンフロン製品に係る固定資産税の課税標準の特例措置の創設
  ノンフロン製品(自然冷媒を利用した一定の冷凍・冷蔵機器)に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格に次の割合を乗じて得た額とする措置を平成26年4月1日から3年間に限り講ずる。
(1) 大臣配分資産又は知事配分資産 4分の3
(2) その他の資産 4分の3を参酌して3分の2以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
4 排出ガス規制に適合した特定特殊自動車に係る固定資産税の課税標準の特例措置の創設
  特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律における一定の基準適合表示の付された特定特殊自動車に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする措置を、平成26年4月1日から、同法に基づき、特定特殊自動車の定格出力ごとに定められる規制の開始までの期間(定格出力が130kW以上560kW未満のものについては、当該規制の開始後1年を経過するまでの期間)に限り講ずる。

六 所得の拡大
(国 税)
〔延長・拡充〕
1 雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(1)雇用者給与等支給増加割合の要件(現行5%以上)を次の適用年度の区分に応じ次のとおりとする。
@ 平成27年4月1日前に開始する適用年度 2%以上
A 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する適用年度 3%以上
B 平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する適用年度 5%以上
(2)平均給与等支給額に係る要件について、平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の計算の基礎となる国内雇用者に対する給与等を継続雇用者に対する給与等に見直した上、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ること(現行 以上であること)とする。
(注1)継続雇用者に対する給与等とは、適用年度及びその前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいう。ただし、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度に基づき雇用される者に対する給与等を除く。
(注2)上記の改正は、平成26年4月1日以後に終了する適用年度について適用する。なお、法人が同日を含む適用年度に改正後の制度を適用する場合において、経過事業年度(平成25年4月1日以後に開始し、平成26年4月1日前に終了する事業年度で改正前の制度の適用を受けていない事業年度)において改正後の要件の全てを満たすときは、その経過事業年度について改正後の規定を適用して算出される税額控除相当額を、その適用年度において、その税額控除額に上乗せして法人税額から控除できることとする。合わせて、控除上限額についても、経過事業年度の期間に応じて上乗せする。
(地方税)
〔延長・拡充〕
1 中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合に係る法人住民税の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(1)雇用者給与等支給増加割合の要件(現行5%以上)を次の適用年度の区分に応じ次のとおりとする。
@ 平成27年4月1日前に開始する適用年度 2%以上
A 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する適用年度 3%以上
B 平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する適用年度 5%以上
(2)平均給与等支給額に係る要件について、平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の計算の基礎となる国内雇用者に対する給与等を継続雇用者に対する給与等に見直した上、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ること(現行 以上であること)とする。

U 年末での決定事項

一 個人所得課税
1 給与所得控除の見直し
(国税・地方税)
(1)給与所得控除の上限の引下げ
給与所得控除の上限について、次のとおり漸次引き下げる。

  現 行 平成28年分の所得税(注1) 平成29年分以後の所得税(注2)
上限額が適用される給与収入 1,500万円 1,200万円 1,000万円
給与所得控除の上限額 245万円 230万円 220万円

(注1)個人住民税については、平成29年度分について適用。
(注2)個人住民税については、平成30年度分から適用。
(2)その他
  給与所得控除の上限の引下げに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表及び特定支出控除の適用判定の基準となる控除額などについて所要の措置を講ずる。
2 金融・証券税制
(国税・地方税)
(1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している、又は開設していた者は、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定の年分の属する勘定設定期間と同一の勘定設定期間内に、次の手続の下で非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすることができることとする。ただし、当該非課税口座を廃止した年分の非課税管理勘定に既に上場株式等を受け入れていた場合には、当該廃止した年分は、非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすることはできない。
@ 非課税管理勘定廃止通知書の交付
イ 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している居住者等が、当該非課税口座に設けられるべき非課税管理勘定を当該非課税口座以外の非課税口座に設けようとする場合には、当該非課税口座に当該非課税管理勘定が設けられる日の属する年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日までの間に、当該金融商品取引業者等の営業所の長に、金融商品取引業者等変更届出書(以下「変更届出書」という。)を提出しなければならない。この場合において、当該変更届出書を提出する日以前に当該非課税管理勘定に既に上場株式等の受入れをしているときは、当該金融商品取引業者等の営業所の長は、当該変更届出書を受理してはならない。
ロ 変更届出書の提出があった場合において、当該変更届出書に係る非課税管理勘定が既に設けられているときは、当該非課税管理勘定は、当該提出があった日に廃止されるものとする。また、当該提出があった日の属する年の翌年以後の各年(同日の属する勘定設定期間内の各年に限る。)においては、当該非課税管理勘定が設けられていた非課税口座には新たに非課税管理勘定を設けることができないものとする。ただし、同日後に下記Bの手続が行われた場合は、この限りでない。
ハ 変更届出書の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、当該変更届出書を提出した者の氏名、整理番号、当該変更届出書の提出を受けた旨その他の事項を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法により提供しなければならない。
ニ 所轄税務署長に上記ハの事項の提供をした金融商品取引業者等の営業所の長は、当該変更届出書を提出した居住者等に対し、非課税管理勘定の廃止年月日、非課税管理勘定の再設定ができる年分その他の事項を記載した非課税管理勘定廃止通知書を交付するものとする。
A 非課税口座廃止通知書の交付
イ 非課税口座廃止届出書(以下「廃止届出書」という。)の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、当該廃止届出書を提出した者の氏名、整理番号、当該廃止届出書の提出を受けた旨その他の事項を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法により提供しなければならない。
ロ 所轄税務署長に上記イの事項の提供をした金融商品取引業者等の営業所の長は、当該廃止届出書を提出した居住者等に対し、非課税口座の廃止年月日、非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定ができる年分その他の事項を記載した非課税口座廃止通知書を交付するものとする。
B 非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定の手続
イ 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の再開設をしようとする居住者等は、非課税口座開設届出書に非課税管理勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書(以下「廃止通知書」と総称する。)を添付して、その非課税口座の再開設をしようとする年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日までの間に、当該金融商品取引業者等の営業所の長に提出しなければならない。
ロ 既に金融商品取引業者等の営業所に非課税口座を開設している居住者等が当該非課税口座に非課税管理勘定の再設定をしようとする場合には、当該居住者等は、その非課税管理勘定の再設定をしようとする年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日までの間に、廃止通知書を当該金融商品取引業者等の営業所の長に提出しなければならない。
ハ 廃止通知書(非課税口座開設届出書に添付して提出されるものを含む。以下同じ。)の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、その提出を受けた後速やかに、当該提出をした者の氏名、整理番号、当該廃止通知書の提出を受けた旨その他の事項(以下「提出事項」という。)を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法により提供しなければならない。
ニ 当該提出事項の提供を受けた所轄税務署長は、当該廃止通知書を発行した金融商品取引業者等の営業所の長からの上記@ハの変更届出書又はAイの廃止届出書に係る届出事項の提供の有無を確認するものとし、当該確認をした所轄税務署長は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める事項を、当該提出事項の提供をした金融商品取引業者等の営業所の長に、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法により提供するものとする。
(イ)これらの届出書に係る届出事項の提供がある場合((ロ)に掲げる場合に該当する場合を除く。) 当該金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすることができる旨その他の事項
(ロ)これらの届出書に係る届出事項の提供がない場合又は当該提出事項が提供された時前に既に当該所轄税務署長若しくは当該所轄税務署長以外の税務署長に対して同一の居住者等に係る提出事項の提供がある場合 当該金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定ができない旨その他の事項
ホ 上記ニ(イ)に定める事項の提供を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、当該営業所に非課税口座の再開設又は当該営業所の非課税口座に非課税管理勘定の再設定をするものとする。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に変更届出書又は廃止届出書が提出される場合について適用する。
(2)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、上場株式等を発行した法人等を委託者とする金銭の信託契約であって、その信託契約に係る信託の受託者は、当該上場株式等の取得をするとともに、当該委託者の従業員等に勤続年数その他の事由を勘案して定められた基準に応じて当該上場株式等の交付を行うことを定める規則に従い当該上場株式等の交付を行うこととされているもの(いわゆる「ESOP信託」)に基づき、当該受託者を通じて当該委託者の従業員等が取得した上場株式等を加える。
(3)次に掲げる書類を提出する際に、その提出者が本人確認書類の提示等をすることとされている場合には、当該書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとする。
@ 特定口座異動届出書
A 非課税口座異動届出書
B 無記名公社債の利子等に係る告知書
C 無記名割引債の償還金に係る告知書
D 株式等の譲渡の対価の受領者が告知すべき事項を記載した帳簿への記載申請書
E 先物取引の差金等決済をする者が告知すべき事項を記載した帳簿への記載申請書
F 上記D又はEの帳簿の記載事項の変更届出書
(4)一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例について、対象となる公社債の範囲から農水産業協同組合貯金保険法の対象となる農林債を除外する。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に行う公社債の譲渡について適用する。
(5)上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる特定公社債の範囲について、次の措置を講ずる。
@ 社債のうちその発行の日前6月以内に有価証券報告書等を内閣総理大臣に提出している法人が発行するものを、社債のうちその発行の日前9月以内(外国法人にあっては、12月以内)に有価証券報告書等を内閣総理大臣に提出している法人が発行するものとする。
A 平成27年12月31日以前に発行された公社債の範囲から、その発行の際に同族会社に該当する会社が発行した社債を除外する。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に行う上場株式等の譲渡について適用する。また、同族会社が平成27年12月31日以前に発行した特定公社債以外の公社債の利子でその同族会社の株主等が平成28年1月1日以後に支払を受けるものは、利子所得の20%源泉分離課税(所得税15%、住民税5%)の対象から除外される。
(6)割引債の差益金額に係る源泉徴収等の特例について、次の措置を講ずる。
@ 対象となる割引債の範囲について、利子が支払われる公社債でその利率が著しく低いものに代えて、利子が支払われる公社債でその発行価額が額面金額の90%以下であるものを加える。
A マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、支払を受ける割引債の償還金について所得税の納税義務者となる内国法人の範囲に、マンション敷地売却組合(仮称)を加える。
(注)上記@の改正は、平成28年1月1日以後に支払われる割引債の償還金について適用する。
(7)公社債及び公社債投資信託等の受益権の譲渡の対価等の受領者の告知に係る本人確認書類の提示について、公社債又は公社債投資信託等の受益権の譲渡の対価等の支払者が、平成27年12月31日以前に本人確認書類の提示を受けて当該譲渡の対価等の受領者の氏名又は名称及び住所その他の事項を記載した帳簿を備えているときは、当該帳簿は、当該受領者の本人確認書類の写しを添付した申請書の提出を受けて作成された帳簿とみなして、平成28年1月1日以後に支払を受ける当該譲渡の対価等については、本人確認書類の提示を要しないものとする。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に支払う公社債又は公社債投資信託等の受益権の譲渡の対価等について適用する。
(8)居住者等に対して支払う公社債又は公社債投資信託等に係る利子等に係る調書について、当該調書を同一の者に対する1回の支払ごとに作成する場合には、当該調書をその支払の確定した日の属する月の翌月末日までに提出しなければならない特例の対象に加える。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出する調書について適用する。
(9)沖縄振興特別措置法の改正を前提に、エンジェル税制(@特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例、A特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及びB特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用対象となる株式会社の範囲に、産業集積経済金融活性化特別地区(仮称)の区域内において、同地区の指定の日以後に設立され、かつ、本店又は主たる事務所を有する会社であって、産業集積経済金融活性化促進計画(仮称)に記載された特定産業(仮称)を行う会社として平成26年4月1日又はその指定の日のいずれか遅い日から平成29年3月31日までの間に沖縄県知事の認定を受けたもののうち、次に掲げる要件を満たす会社を加える。
@ 主として特定産業に該当する事業を営む会社であって、産業集積経済金融活性化特別地区の区域内において特定産業を主として営んでいること。
A 産業集積経済金融活性化特別地区で常時使用する地元の従業員の数が5人以上であること。
B 設立後10年未満の中小企業者であること。
C 金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。
D 発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。
E 払込みにより当該会社の株式の取得をする者と投資契約(当該投資契約に係る払込金を、産業集積経済金融活性化特別地区において実施する産業集積経済金融活性化促進計画に記載された特定産業の用に供する旨の記載があるものに限る。)を締結する会社であること。
F その会社の営む事業が公序良俗に反しておらず、かつ、風俗営業に該当しないこと。
(10)特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、対象となる総合特別区域法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。
(11)特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等について、対象となる地域再生法の認定地域再生計画に記載された事業を行う株式会社に係る同法の規定に基づく確認期限を2年延長する。
(12)特定の取締役等が受ける特定外国新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、対象となる特定外国新株予約権を付与する特定外国株式会社に係る特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法の規定に基づく認定期限を2年延長する。
(13)勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。
@ 勤労者が、育児休業等(産前産後休業及び法令の規定に基づき3歳未満の子を養育するためにする休業をいう。)をする旨、当該育児休業等の期間その他の事項を記載した申告書を、当該育児休業等を開始する日までに勤務先等及び金融機関の営業所等を経由して当該勤労者の住所地の所轄税務署長に提出した場合には、当該勤労者が締結した勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約に基づき当該育児休業等の開始の日の直前に金銭等の払込みをすべき日から当該育児休業等の終了の日の直後に金銭等の払込みをすべき日(以下「再開日」という。)までの間は、当該契約に基づく金銭等の払込みがないときであっても、当該契約に係る勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等につき、引き続き勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税措置を適用する。
A 再開日に当該勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄契約に基づく金銭等の払込みがなかった場合には、上記@にかかわらず、当該育児休業等の終了の日後に支払を受けるべき当該契約に係る勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等については、当該非課税措置は適用しない。
B その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に上記の申告書を提出する場合について適用する。
(14)投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正に伴い、新投資口予約権を株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の対象となる株式等の範囲に加える等、新株予約権と同様の取扱いとする。
(15)発行法人から与えられた新株予約権等でその権利行使時に経済的な利益に対して課税されるものを、権利行使前にその新株予約権等の発行者に譲渡した場合には、当該譲渡の対価の額を、事業所得に係る総収入金額、給与等の収入金額、退職手当等の収入金額、一時所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額とみなして課税することとする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行う新株予約権等の譲渡について適用する。
(16)中小企業等協同組合法の一部改正に伴い、次の措置を講ずる。
@ 金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用について、対象となる金融機関の範囲から火災共済協同組合及び火災共済協同組合連合会を除外する。
A 生命保険料控除の対象となる共済契約の範囲に、共済協同組合連合会の締結した生命共済契約を加える。
B 地震保険料控除の対象となる共済契約の範囲に、火災共済協同組合の締結した火災共済契約に代えて、火災等共済組合の締結した火災共済契約を加える。
C 道府県民税利子割の対象となる利子等の支払の取扱いをする者の営業所等に関し、当該利子等の支払の取扱いをする者について、振替口座簿に記載等された公社債以外の公社債の利子の支払の取次ぎをする金融機関の範囲に、火災共済協同組合及び火災共済協同組合連合会に代えて、火災等共済組合及び共済協同組合連合会を加える。
(17)金融商品取引業者等の営業所の長が、顧客の依頼に基づき、当該営業所に開設された有価証券の保管等に係る口座(以下「国内証券口座」という。)から国外において金融商品取引業を営む者の営業所等に開設された有価証券の保管等に係る口座(以下「国外証券口座」という。)に有価証券の移管をした場合又は国内証券口座に国外証券口座から有価証券の移管を受けた場合には、当該金融商品取引業者等の営業所の長は、その移管に係る有価証券の種類、数又は金額その他の事項を記載した調書を、当該営業所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととする。
(注)上記の制度は、平成27年1月1日以後に行われる有価証券の移管について適用する。
3 土地・住宅税制
(国 税)
(1)都市再生特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
@ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象となる特定の民間再開発事業及び既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例等の適用対象となる特定民間再開発事業の施行区域の範囲に、都市再生特別措置法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。
A 都市再生特別措置法の改正により業務が拡大される都市再生推進法人(仮称)(現行:都市再生整備推進法人)について、次のとおりとする。
イ 都市開発事業等の用に供される土地の供給等の業務を行う一定の都市再生推進法人に対する当該業務を行うために直接必要な土地等を譲渡した場合にも、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用する。
ロ 一定の都市再生推進法人が行う都市再生整備計画又は立地適正化計画(仮称)に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合にも、特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を適用する。
(2)マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。
@ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、改正後のマンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)に基づく当該マンション敷地売却を施行する者に対する土地等の譲渡で一定の要件を満たすものを加える。
A 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象に、建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する通行障害既存耐震不適格建築物に該当するマンションの敷地の用に供されている土地等が、マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定するマンション敷地売却に伴う売渡し請求又は分配金取得により当該マンション敷地売却を施行する者に一定の要件の下で買い取られる場合を加える。
B マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定するマンション敷地売却に伴い、マンションの借家権を有する者が同法の規定により資産の移転等に係る補償金の交付を受けた場合において、その交付の目的に従って資産の移転等の費用に充てたときは、一定の要件の下で、その費用に充てた金額は、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととする。
(3)短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用除外措置の範囲から独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外するとともに、適用停止措置の期限を平成29年3月31日まで延長する。
(4)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
@ 適用対象に、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)に基づく当該マンション敷地売却を施行する者に対する土地等の譲渡で一定の要件を満たすものを加える。(再掲)
A 適用対象となる特定の民間再開発事業の施行区域の範囲について、次のとおりとする。
イ 都市再生特別措置法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。(再掲)
ロ 都市計画法の地区計画の区域及び都市再生特別措置法の認定整備事業計画の区域を除外する。
B 適用対象から、独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外する。
C 都市開発事業等の用に供される土地の供給等の業務を行う一定の都市再生推進法人(仮称)に対する当該業務を行うために直接必要な土地等を譲渡した場合にも、対象とする。(再掲)
(5)短期譲渡所得の課税の特例について、適用除外措置の範囲から独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外する。
(6)収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等について、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
@ 子ども・子育て支援法等の施行に伴い、収用対象事業用地の買取りに係る簡易証明制度の対象に、地方公共団体等の設置に係る幼保連携型認定こども園及び一定規模以上の小規模保育事業の用に供する施設を加える等の措置を講ずる。
A 独立行政法人中小企業基盤整備機構が工業再配置等業務に関連して卸電気事業者に代わり資産を買い取る場合における収用等証明書の記載事項の特例を廃止する。
(7)特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象に、地方独立行政法人法施行令の改正に伴い、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が博物館又は植物園(博物館法の規定により博物館に相当する施設として指定を受けたものに限る。)の設置及び管理の業務を主たる目的とする地方独立行政法人に買い取られる場合を加える(法人税についても同様とする。)。
(8)特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
@ 適用対象に、建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する通行障害既存耐震不適格建築物に該当するマンションの敷地の用に供されている土地等が、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)により当該マンション敷地売却を施行する者に一定の要件の下で買い取られる場合を加える。(再掲)
A 適用対象に、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づいて、農地中間管理事業の推進に関する法律に規定する農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える。
B 一定の都市再生推進法人(仮称)が行う都市再生整備計画又は立地適正化計画(仮称)に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合にも、対象とする。(再掲)
(9)農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除について、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
@ 適用対象に、農地中間管理事業の推進に関する法律に規定する農地中間管理機構(一定のものに限る。)に農用地区域内にある農用地等を譲渡した場合を加える。
A 適用対象となる山林に係る土地の譲渡に係る当該土地を取得した者は、森林経営計画について、森林法施行規則の改正を前提に、改正後の認定基準に従って作成し、認定を受けた者とする。
(10)既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例等の適用対象となる特定民間再開発事業の施行区域の範囲について、次の措置を講ずる。
@ 都市再生特別措置法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。(再掲)
A 都市計画法の地区計画の区域及び都市再生特別措置法の認定整備事業計画の区域を除外する。
(11)居住者が、地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準(以下「耐震基準」という。)に適合しない既存住宅を取得した場合において、当該既存住宅の取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、その者の居住の用に供する日までに耐震改修工事を完了していること等の一定の要件を満たすときは、当該既存住宅を耐震基準に適合する既存住宅とみなして、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けることができることとする。
(注1)本措置は、既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除の適用を受ける場合には、適用しない。
(注2)上記の改正は、平成26年4月1日以後に既存住宅の取得をし、自己の居住の用に供する場合について適用する。
(12)特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡対価に係る要件を1億円(現行:1.5億円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用する。
(13)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
(14)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
(15)小笠原諸島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、小笠原諸島への帰島に伴う譲渡所得等の課税の特例の適用期限を5年延長する。
(地方税)
(1)都市再生特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
@ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象となる特定の民間再開発事業及び特定民間再開発事業の施行区域外へ転出した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象となる特定民間再開発事業の施行区域の範囲に、都市再生特別措置法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。
A 都市再生特別措置法の改正により業務が拡大される都市再生推進法人(仮称)(現行:都市再生整備推進法人)について、次のとおりとする。
イ 都市開発事業等の用に供される土地の供給等の業務を行う一定の都市再生推進法人に対する当該業務を行うために直接必要な土地等を譲渡した場合にも、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用する。
ロ 一定の都市再生推進法人が行う都市再生整備計画又は立地適正化計画(仮称)に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合にも、特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を適用する。
(2)マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。
@ 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、改正後のマンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)に基づく当該マンション敷地売却を施行する者に対する土地等の譲渡で一定の要件を満たすものを加える。
A 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象に、建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する通行障害既存耐震不適格建築物に該当するマンションの敷地の用に供されている土地等が、マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定するマンション敷地売却に伴う売渡し請求又は分配金取得により当該マンション敷地売却を施行する者に一定の要件の下で買い取られる場合を加える。
B マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定するマンション敷地売却に伴い、マンションの借家権を有する者が同法の規定により資産の移転等に係る補償金の交付を受けた場合において、その交付の目的に従って資産の移転等の費用に充てたときは、一定の要件の下で、その費用に充てた金額は、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととする。
(3)短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用除外措置の範囲から独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外するとともに、適用停止措置の期限を平成29年3月31日まで延長する。
(4)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
@ 適用対象に、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)に基づく当該マンション敷地売却を施行する者に対する土地等の譲渡で一定の要件を満たすものを加える。(再掲)
A 適用対象となる特定の民間再開発事業の施行区域の範囲について、次のとおりとする。
イ 都市再生特別措置法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。(再掲)
ロ 都市計画法の地区計画の区域及び都市再生特別措置法の認定整備事業計画の区域を除外する。
B 適用対象から、独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外する。
C 都市開発事業等の用に供される土地の供給等の業務を行う一定の都市再生推進法人(仮称)に対する当該業務を行うために直接必要な土地等を譲渡した場合にも、対象とする。(再掲)
(5)短期譲渡所得の課税の特例について、適用除外措置の範囲から独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外する。
(6)収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等について、次の措置を講ずる。
@ 子ども・子育て支援法等の施行に伴い、収用対象事業用地の買取りに係る簡易証明制度の対象に、地方公共団体等の設置に係る幼保連携型認定こども園及び一定規模以上の小規模保育事業の用に供する施設を加える等の措置を講ずる。
A 独立行政法人中小企業基盤整備機構が工業再配置等業務に関連して卸電気事業者に代わり資産を買い取る場合における収用等証明書の記載事項の特例を廃止する。
(7)特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象に、地方独立行政法人法施行令の改正に伴い、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が博物館又は植物園(博物館法の規定により博物館に相当する施設として指定を受けたものに限る。)の設置及び管理の業務を主たる目的とする地方独立行政法人に買い取られる場合を加える。
(8)特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の措置を講ずる。
@ 適用対象に、建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する通行障害既存耐震不適格建築物に該当するマンションの敷地の用に供されている土地等が、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)により当該マンション敷地売却を施行する者に一定の要件の下で買い取られる場合を加える。(再掲)
A 適用対象に、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づいて、農地中間管理事業の推進に関する法律に規定する農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える。
B 一定の都市再生推進法人(仮称)が行う都市再生整備計画又は立地適正化計画(仮称)に記載された公共施設の整備に関する事業の用に供するために土地等が買い取られる場合にも、対象とする。(再掲)
(9)農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除について、次の措置を講ずる。
@ 適用対象に、農地中間管理事業の推進に関する法律に規定する農地中間管理機構(一定のものに限る。)に農用地区域内にある農用地等を譲渡した場合を加える。
A 適用対象となる山林に係る土地の譲渡に係る当該土地を取得した者は、森林経営計画について、森林法施行規則の改正を前提に、改正後の認定基準に従って作成し、認定を受けた者とする。
(10)特定民間再開発事業の施行地区外転出した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象となる特定民間再開発事業の施行区域の範囲について、次の措置を講ずる。
@ 都市再生特別措置法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。(再掲)
A 都市計画法の地区計画の区域及び都市再生特別措置法の認定整備事業計画の区域を除外する。
(11)居住者が、地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準(以下「耐震基準」という。)に適合しない既存住宅を取得した場合において、当該既存住宅の取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、その者の居住の用に供する日までに耐震改修工事を完了していること等の一定の要件を満たすときは、当該既存住宅を耐震基準に適合する既存住宅とみなして、住宅借入金等特別税額控除の適用を受けることができることとする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に既存住宅の取得をし、自己の居住の用に供する場合について適用する。
(12)特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡対価に係る要件を1億円(現行:1.5億円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用する。
(13)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
(14)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
(15)小笠原諸島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、小笠原諸島への帰島に伴う譲渡所得等の課税の特例の適用期限を5年延長する。
4 租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
(1)個人が、その有する債務について免除を受けたことにより生じる経済的な利益について、次の措置を講ずる。
@ 事業を営む個人が、その有する債務につき、債務処理に関する計画で一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき作成されていることその他の要件を満たすものに基づき免除を受けた場合において、当該準則に定められた方法により減価償却資産及び繰延資産等の評定を行っているときは、これらの資産の評価損の額に相当する金額は、その免除を受けた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する特例を創設する。ただし、当該必要経費に算入する金額は、この特例を適用しないで計算したその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額を限度とする。
A 個人が、その有する債務につき、破産法の規定による免責許可の決定、再生計画認可の決定その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる事由により免除を受けた場合には、当該免除により受ける経済的な利益の額については、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。ただし、当該経済的な利益の額のうち、次に掲げる金額に相当する部分については、この限りでない。
イ 当該免除を受けた年において、当該経済的な利益の額がないものとして当該債務を生じた業務に係る各種所得の金額を計算した場合に当該各種所得の金額の計算上生じる損失の金額
ロ 当該免除を受けた年において、当該経済的な利益の額を当該債務を生じた業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入して計算した場合に、その生じる各種所得の金額から純損失の繰越控除により控除すべきこととなる金額
(2)「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成25年10月1日閣議決定)において実施することとされた「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」として給付される給付金については、所得税を課さないこととする。
(3)「好循環実現のための経済対策」(平成25年12月5日閣議決定)において実施することとされた「子育て世帯に対する臨時特例給付措置」として給付される給付金については、所得税を課さないこととする。
(4)東日本大震災により住宅、家財等又は事業用資産に損失が生じた場合において、被災したこれらの資産に関連する原状回復費用等をその災害のやんだ日から3年以内に支出をすることが困難な事情があるときは、その困難な事情がやんだ日の翌日から3年以内に支出される原状回復費用等を雑損控除及び雑損失の繰越控除又は被災事業用資産の損失の繰越控除の特例の対象となる災害関連支出としてこれらの特例の適用を受けることができることとする(法人税についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後にした原状回復費用等の支出について適用する。
(5)東日本大震災事業者再生支援機構の支援決定の対象となった内国法人(中小企業者に該当するものに限る。)の取締役等である個人でその内国法人の保証債務を有するものが、当該個人の有する資産(有価証券を除く。)で現に当該内国法人の事業の用に供されているものを、同機構の定めた準則に従って策定されたその内国法人に係る債務処理計画に基づきその内国法人に贈与した場合を、債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例の対象とする。
〔延長・拡充等〕
(1)肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の適用期限を3年延長する(法人税についても同様とする。)。
(2)政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除の適用期限を5年延長する。
(3)森林法施行規則の改正を前提に、改正後の認定基準により認定を受けた森林経営計画に基づいて山林の伐採又は譲渡をした場合にも、山林所得に係る森林計画特別控除の適用ができることとする。
(4)公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例について、次の措置を講ずる。
@ 公益法人等が寄附を受けた株式等を株式交換等(株式交換等に係る譲渡所得等の課税の特例の対象となる株式交換等に限る。)により譲渡し、その株式交換等により交付を受けた株式を引き続き公益目的事業の用に直接供する場合には、一定の要件の下で非課税特例の継続適用を受けることができることとする。
(注)上記@の改正は、平成26年4月1日以後に行われる株式交換等について適用する。
A 国税庁長官の非課税承認の要件である寄附者の所得税等を不当に減少させる結果とならないことを満たすための条件に、株式の寄附を受けた公益法人等が当該寄附によりその株式発行法人の発行済株式の総数の2分の1を超えて保有することにならないことを加える。
(注)上記Aの改正は、平成26年4月1日以後に行われる株式の寄附について適用する。
B 公益法人等は、買換え又は合併等により寄附財産を移転する場合に事前届出により非課税特例を継続できる措置の適用を受けるため、寄附財産を特定して申請を行うこと等一定の要件の下で、非課税承認対象財産に該当するかの確認を国税庁長官に求めることができることとする。
C 非課税承認を受けた寄附財産を有する公益法人等が事前届出を行わずに合併等によりその寄附財産を他の公益法人等に移転した場合に、当該他の公益法人等が移転を受けた財産に非課税承認対象財産があることを知った日から2月以内に届出を行うこと等一定の要件の下で、非課税特例の継続適用を受けることができることとする。
(注)上記B及びCの改正は、平成26年4月1日以後に行われる申請又は届出について適用する。
D 非課税承認の取消しにより公益法人等に対して所得税を課税する場合において、当該公益法人等が当該取消しのあった年以前に合併又は解散をしたときにおける納税義務の成立時期、課税年分及び確定申告期間については、次のとおりとする。
イ 納税義務の成立時期 合併の日の前日又は解散の日(現行:非課税承認が取り消された日(以下「承認取消日」という。)の属する年の終了の時)
ロ 課税年分 上記イに定める日の属する年分(現行:承認取消日の属する年分)
ハ 確定申告期間 合併の日又は解散の日の翌日から2月以内(現行:承認取消日の属する年の翌年2月16日から3月15日まで)
(注)上記Dの改正は、平成26年4月1日以後に公益法人等が合併又は解散を行う場合について適用する。
E 地方独立行政法人法施行令の改正に伴い、博物館等(博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館をいう。)の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人に対する財産の寄附に係る非課税承認の要件について、他の業務を行う地方独立行政法人と同様の措置を講ずる。
(注)上記Eの改正は、平成26年4月1日以後に行う財産の寄附について適用する。
(5)国等に対して重要文化財等を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例について、地方独立行政法人法施行令の改正に伴い次の措置を講じた上、下記Aの特例の適用期限を2年延長する。
@ 非課税の特例の対象に、重要文化財を博物館等(博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館で、博物館法の規定により博物館に相当する施設として指定を受けたものをいう。)の設置及び管理の業務を主たる目的とする地方独立行政法人に譲渡した場合を加える。
A 2分の1課税の特例の対象に、重要有形民俗文化財を上記@の地方独立行政法人に譲渡した場合を加える。
〔廃止・縮減等〕
(1)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
@ 相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする。
A 相続財産の譲渡に係る確定申告書の提出期限後に、当該相続財産の取得の基因となった相続に係る相続税額が確定した場合(相続税の期限内申告に限る。)には、当該相続税の期限内申告書を提出した日の翌日から2月以内に限り、更正の請求により本特例の適用を受けることができることとする。
B 本特例について、次のとおり現行の取扱いを法令に規定する。
イ 適用対象者の範囲に、非上場株式等についての贈与税の納税猶予の適用を受けていた個人で、当該非上場株式等の贈与者の死亡によって当該非上場株式等を相続により取得した者とみなされるものを加える。
ロ 計算の基礎となる相続税額について、次のとおりとする。
(イ)農地等についての相続税の納税猶予等の規定の適用があった場合には、その適用後の相続税額とする。
(ロ)相続税の修正申告により相続税額が異動した場合には、当該修正申告後の相続税額とする。
ハ 対象となる相続財産には、相続財産である土地等に係る換地処分により取得した土地等を含むこととする。
ニ 対象となる相続財産の譲渡には、譲渡所得の基因となる不動産の貸付けを含むこととする。
ホ 同一年中に複数の相続財産の譲渡をした場合において、譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額は、当該譲渡をした資産ごとに計算することとする。
(注)上記@及びAの改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用する。
(2)定額給付金の非課税規定を削除することとする。
(地方税)
〔新設〕
(1)個人が、その有する債務につき、破産法の規定による免責許可の決定、再生計画認可の決定その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる事由により免除を受けた場合には、当該免除により受ける経済的な利益の額については、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととする。ただし、当該経済的な利益の額のうち、次に掲げる金額に相当する部分については、この限りでない。
@ 当該免除を受けた年において、当該経済的な利益の額がないものとして当該債務を生じた業務に係る各種所得の金額を計算した場合に当該各種所得の金額の計算上生じる損失の金額
A 当該免除を受けた年において、当該経済的な利益の額を当該債務を生じた業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入して計算した場合に、その生じる各種所得の金額から純損失の繰越控除により控除すべきこととなる金額
(2)「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応について」(平成25年10月1日閣議決定)において実施することとされた「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」として給付される給付金については、個人住民税を課さないこととする。
(3)「好循環実現のための経済対策」(平成25年12月5日閣議決定)において実施することとされた「子育て世帯に対する臨時特例給付措置」として給付される給付金については、個人住民税を課さないこととする。
(4)東日本大震災により住宅、家財等又は事業用資産に損失が生じた場合において、被災したこれらの資産に関連する原状回復費用等をその災害のやんだ日から3年以内に支出をすることが困難な事情があるときは、その困難な事情がやんだ日の翌日から3年以内に支出される原状回復費用等を雑損控除及び雑損失の繰越控除又は被災事業用資産の損失の繰越控除の特例の対象となる災害関連支出としてこれらの特例の適用を受けることができることとする。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後にした原状回復費用等の支出につ いて適用する。
(5)東日本大震災事業者再生支援機構の支援決定の対象となった内国法人(中小企業者に該当するものに限る。)の取締役等である個人でその内国法人の保証債務を有するものが、当該個人の有する資産(有価証券を除く。)で現に当該内国法人の事業の用に供されているものを、同機構の定めた準則に従って策定されたその内国法人に係る債務処理計画に基づきその内国法人に贈与した場合を、債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例の対象とする。
〔延長・拡充等〕
(1)肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の適用期限を3年延長する。
(2)森林法施行規則の改正を前提に、改正後の認定基準により認定を受けた森 林経営計画に基づいて山林の伐採又は譲渡をした場合にも、山林所得に係る森林計画特別控除の適用ができることとする。
(3)公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例について、次の措置を講ずる。
@ 公益法人等が寄附を受けた株式等を株式交換等(株式交換等に係る譲渡所得等の課税の特例の対象となる株式交換等に限る。)により譲渡し、その株式交換等により交付を受けた株式を引き続き公益目的事業の用に直接供する場合には、一定の要件の下で非課税特例の継続適用を受けることができることとする。
(注)上記@の改正は、平成26年4月1日以後に行われる株式交換等につい て適用する。
A 国税庁長官の非課税承認の要件である寄附者の所得税等を不当に減少させる結果とならないことを満たすための条件に、株式の寄附を受けた公益法人等が当該寄附によりその株式発行法人の発行済株式の総数の2分の1を超えて保有することにならないことを加える。
(注)上記Aの改正は、平成26年4月1日以後に行われる株式の寄附につい て適用する。
B 非課税承認を受けた寄附財産を有する公益法人等が事前届出を行わずに合併等によりその寄附財産を他の公益法人等に移転した場合に、当該他の公益法人等が移転を受けた財産に非課税承認対象財産があることを知った日から2月以内に届出を行うこと等一定の要件の下で、非課税特例の継続適用を受けることができることとする。
(注)上記Bの改正は、平成26年4月1日以後に行われる届出について適用 する。
C 地方独立行政法人法施行令の改正に伴い、博物館等(博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館をいう。)の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人に対する財産の寄附に係る非課税承認の要件について、他の業務を行う地方独立行政法人と同様の措置を講ずる。
(注)上記Cの改正は、平成26年4月1日以後に行う財産の寄附について適 用する。
(4)国等に対して重要文化財等を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例について、地方独立行政法人法施行令の改正に伴い次の措置を講じた上、下記Aの特例の適用期限を2年延長する。
@ 非課税の特例の対象に、重要文化財を博物館等(博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館で、博物館法の規定により博物館に相当する施設として指定を受けたものをいう。)の設置及び管理の業務を主たる目的とする地方独立行政法人に譲渡した場合を加える。
A 2分の1課税の特例の対象に、重要有形民俗文化財を上記@の地方独立行政法人に譲渡した場合を加える。
(5) 農業経営基盤強化準備金制度について、平成26年度予算措置を前提に、対象となる交付金等に係る所要の見直しを行う。
(6) 金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限を2年延長する。
(7) 特定災害防止準備金制度の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)相続財産に係る譲渡所得の課税の特例について、次の措置を講ずる。
@ 相続財産である土地等を譲渡した場合の特例について、当該土地等を譲渡した場合に譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額から、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする。
A 本特例について、次のとおり現行の取扱いを明確化する。
イ 適用対象者の範囲に、非上場株式等についての贈与税の納税猶予の適用を受けていた個人で、当該非上場株式等の贈与者の死亡によって当該非上場株式等を相続により取得した者とみなされたものを加える。
ロ 計算の基礎となる相続税額について、次のとおりとする。
(イ) 農地等についての相続税の納税猶予等の規定の適用があった場合には、その適用後の相続税額とする。
(ロ) 相続税の修正申告により相続税額が異動した場合には、当該修正申告後の相続税額とする。
ハ 対象となる相続財産には、相続財産である土地等に係る換地処分により取得した土地等を含むこととする。
ニ 対象となる相続財産の譲渡には、譲渡所得の基因となる不動産の貸付けを含むこととする。
ホ 同一年中に複数の相続財産の譲渡をした場合において、譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額は、当該譲渡をした資産ごとに計算することとする。
(注)上記@の改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用する。
(2) 次の準備金制度において、青色申告書の提出の承認を取り消された場合又は青色申告書による申告をやめる旨の届出書の提出をした場合の準備金の取崩し方法を2年均等取崩しから一括取崩しに見直すこととする。
@ 金属鉱業等鉱害防止準備金
A 特定災害防止準備金
B 特定船舶に係る特別修繕準備金
C 探鉱準備金
D 農業経営基盤強化準備金
(3) 特定の基金に対する負担金等の必要経費算入の特例について、適用対象から次の負担金等を除外する。
@ 特定の事業を営む者に対する信用の保証をするための業務(信用保証協会、農業信用基金協会及び漁業信用基金協会の営む業務を除く。)に係る基金に充てるための負担金
A 水産動物の種苗の生産及び放流、その放流に係る水産動物の増殖による漁業生産の増大に係る経済効果の実証等の沿岸漁場の整備及び開発に資するための業務に係る基金に充てるための負担金
B 農地利用集積円滑化団体が行う農用地の利用の集積の円滑化、農業構造の改善等に関する業務に係る基金に充てるための負担金
C 都道府県青年農業者等育成センターが行う就農支援業務に係る基金に充てるための負担金
D 独立行政法人環境再生保全機構が行うポリ塩化ビフェニル廃棄物処理費用助成等の業務に係る基金に充てるための負担金
E 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が行う退職金支払確保契約に関する業務に係る基金に充てるための同契約に係る掛金
5 その他
(国 税)
(1)被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律及び国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律等の施行に伴い、国家公務員共済、地方公務員共済及び私立学校教職員共済について、次の措置を講ずる。
@ 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行の日(平成27年10月1日。以下「一元化法施行日」という。)前に給付事由が生じた退職共済年金等について、引き続き現行の退職共済年金等に係る税制上の措置を適用する。
A 一元化法施行日以後に給付事由が生じる退職共済年金の職域加算額に相当する年金給付(下記Cにおいて「旧職域加算年金給付」という。)について、引き続き現行の退職共済年金に係る税制上の措置(下記Cの源泉徴収を除く。)を適用する。
B 退職等年金給付について、次のとおりとする。
イ 拠出段階
組合員等の本人が拠出する掛金について、社会保険料控除を適用する。
ロ 給付段階
(イ)受給権者が支給を受ける退職年金について、公的年金等控除を適用するとともに、国税徴収法に規定する「給料等」として一定額までの差押えを禁止する。
(ロ)受給権者が支給を受ける有期退職年金に代わる一時金又は整理退職の場合の一時金について、所得税法に規定する「退職手当等」とみなすとともに、国税徴収法に規定する「退職手当等」として一定額までの差押えを禁止する。
C 一元化法施行日以後に国家公務員共済組合連合会等から支払を受ける公的年金等に旧職域加算年金給付又は退職等年金給付が含まれる場合における源泉徴収については、次のとおりとする。
イ 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出しなければならないこととする。
ロ 源泉徴収税額は、国家公務員共済組合連合会等が支払う公的年金等の金額から各種控除の月割額(4万7千5百円の調整控除額を控除)に公的年金等の支給月数を乗じて計算した金額を控除した残額に5%(当該残額の月割額のうち16万2千5百円を超える部分については、10%)の税率を乗じて計算することとする。
(注)退職共済年金の特例として65歳未満の者に支給される年金その他一定の年金である場合には、上記の調整控除額を控除しない。
D 一元化法施行日以後に給付事由が生じる恩給公務員期間等を有する者に支給される退職共済年金等について、次のとおりとする。
イ 退職共済年金について、公的年金等控除を適用するとともに、国税徴収法に規定する「給料等」として一定額までの差押えを禁止する。
ロ 障害共済年金を受ける者又は遺族共済年金を受ける遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加える。
E その他所要の措置を講ずる。
(2)厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う存続組合が支給する特例年金給付等に関する政令の一部改正により新たに支給されることとなる一時金について、次の措置を講ずる。
@ 特例退職共済年金、特例退職年金、特例減額退職年金又は特例通算退職年金に代えて支給される一時金について、次のとおりとする。
イ 所得税法に規定する「退職手当等」とみなす。
ロ 国税徴収法に規定する「退職手当等」として、一定額までの差押えを禁止する財産に加える。
A 特例遺族共済年金、特例遺族年金又は特例通算遺族年金に代えて支給される一時金について、次のとおりとする。
イ 所得税を課さないこととする。
ロ 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(3)譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用する。
(4)雑損控除の対象となる資産の損失金額について、その資産の時価(損失が生じた時の直前におけるその資産の価額)を基礎として計算する方法のほか、その資産の取得価額に基づく価額(その資産の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額)を基礎として計算する方法を加える。
(注)上記の「減価償却費累積額相当額」とは、その取得から譲渡までの間に業務の用に供されていた期間のない資産の場合には、その資産の耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の償却率により求めた1年当たりの減価償却費相当額にその資産の取得から譲渡までの期間の年数を乗じて計算した金額をいう。
(5)企業型確定拠出年金の拠出限度額について、次のとおり引き上げる。

   
(現 行)
  (改正案)
@ 他の企業年金がない場合 月額5.1万円 月額5.5万円
A 他の企業年金がある場合 月額2.55万円 月額2.75万円

(6)小規模企業共済法施行令の一部改正を前提に、小規模企業共済等掛金控除等の対象となる小規模企業者の範囲を、宿泊業又は娯楽業を営む者で、常時使用する従業員の数が20名以下(現行:5名以下)のものに拡充する。
(7)所得税の予定納税制度について、次の措置を講ずる。
@ 災害等に係る国税通則法による納期限等の延長(以下「期限延長」という。)により、その年分の所得税につき納付すべき予定納税額の納期限がその年12月31日後となる場合には、その期限延長の対象となった予定納税額はないものとする。
A 災害等に係る期限延長により、その年6月15日において申告等の期限が延長されている場合には、同日までに税務署長が行うこととされているその年分の所得税に係る予定納税額等の通知は、期限延長により延長された第1期分の予定納税額の納期限(以下「延長後の納期限」という。)の1月前までに行うものとする。ただし、延長後の納期限がその年12月31日後となる場合には、当該通知は要しないものとする。
(注)特別農業所得者について、同様の措置を講ずる。
(8)公的年金等に係る確定申告不要制度等について、次の措置を講ずる。
@ 公的年金等に係る確定申告不要制度について、源泉徴収の対象とならない公的年金等の支給を受ける者は同制度を適用できないこととする。
A 2以上の居住者の控除対象配偶者又は扶養親族に該当する者をいずれの居住者の控除対象配偶者又は扶養親族に該当するかの判定の基礎となる申告書等の範囲に、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を加える。
(注)上記@の改正は、平成27年分以後の所得税について適用し、上記Aの改正は、平成26年分以後の所得税について適用する。
(9)支払調書等について、次の措置を講ずる。
@ 支払調書、源泉徴収票、計算書又は報告書(以下「調書等」という。)を提出すべき者が、所轄税務署長の承認を受けた場合には、当該所轄税務署長以外の税務署長に対し、その調書等に記載すべき事項(以下「調書等記載事項」という。)を記録した光ディスク等を提出する方法又は当該調書等記載事項を電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法のいずれかの方法により提供できることとする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に提出すべき調書等について適用する。
A 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)に係る非課税適用確認書の交付申請書の記載事項(以下「申請書記載事項」という。)を所轄税務署長に提供する金融商品取引業者等の営業所の長についても、上記@と同様とする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に申請書記載事項を提供する場合について適用する。
B 上記@又はAの所轄税務署長の承認を受けるための申請書又は調書等記載事項若しくは申請書記載事項を記録した光ディスク等を提出する場合における税務署長の承認を受けるための申請書の提出があった場合において、その提出の日から2月を経過する日までにその申請につき承認又は却下の処分がなかったときは、その日においてその承認があったものとみなすこととする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に提出する申請書について適用する。
(10)奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(11)独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から独立行政法人地域医療機能推進機構への改組後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(12)電気事業法の改正に伴い、広域的運営推進機関を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(13)災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律に基づく所得税の減免の申請について、期限後申告、更正の請求又は修正申告においてできることとする。
(14)雇用保険法の改正を前提に、同法の失業等給付について、引き続き次の措置を講ずる。
@ 所得税を課さないこととする。
A 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(15)母子及び寡婦福祉法の改正を前提に、同法の自立支援教育訓練給付金(仮称)及び高等職業訓練促進給付金(仮称)について、次の措置を講ずる。
@ 所得税を課さないこととする。
A 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(16)高等学校等就学支援金の支給に関する法律の高等学校等就学支援金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
@ 所得税を課さないこととする。
A 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(17)職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律の職業訓練受講給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
@ 所得税を課さないこととする。
A 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(18)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
@ 所得税を課さないこととする。
A 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
B 障害年金を受けている者又は遺族年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(19)児童扶養手当法の改正を前提に、児童扶養手当と公的年金給付の併給制限の見直し後の同法の児童扶養手当について、引き続き次の措置を講ずる。
@ 所得税を課さないこととする。
A 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
B 受給者である母を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(20)難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)の制定及び児童福祉法の改正を前提に、難病の患者に対する医療等に関する法律の規定による医療及び改正後の児童福祉法の規定による医療について、次の措置を講ずる。
@ 難病及び小児慢性特定疾患の患者に対する医療費として支給される金品について、所得税を課さないこととする。
A 難病及び小児慢性特定疾患の患者に対する医療費の支給を受ける権利について、国税の滞納処分による差押えを禁止する。
B 社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用対象となる社会保険診療の範囲に、これらの法律の規定による医療を加える(法人税についても同様とする。)。
(地方税)
〈個人住民税〉
(1)被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律及び国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律等の施行に伴い、国家公務員共済、地方公務員共済及び私立学校教職員共済について、次の措置を講ずる。
@ 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行の日(平成27年10月1日。以下「一元化法施行日」という。)前に給付事由が生じた退職共済年金等について、引き続き現行の退職共済年金等に係る税制上の措置を適用する。
A 一元化法施行日以後に給付事由が生じる退職共済年金の職域加算額に相当する年金給付について、引き続き現行の退職共済年金に係る税制上の措置を適用する。
B 退職等年金給付について、次のとおりとする。
イ 拠出段階
組合員等の本人が拠出する掛金について、社会保険料控除を適用する。
ロ 給付段階
(イ) 受給権者が支給を受ける退職年金について、公的年金等控除を適用するとともに、一定額までの差押えを禁止する。
(ロ) 受給権者が支給を受ける有期退職年金に代わる一時金又は整理退職の場合の一時金について、退職手当等とみなすとともに、一定額までの差押えを禁止する。
C 一元化法施行日以後に給付事由が生じる恩給公務員期間等を有する者に支給される退職共済年金等について、次のとおりとする。
イ 退職共済年金について、公的年金等控除を適用するとともに、一定額までの差押えを禁止する。
ロ 障害共済年金を受ける者又は遺族共済年金を受ける遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加える。
D その他所要の措置を講ずる。
(2)厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う存続組合が支給する特例年金給付等に関する政令の一部改正により新たに支給されることとなる一時金について、次の措置を講ずる。
@ 特例退職共済年金、特例退職年金、特例減額退職年金又は特例通算退職年金に代えて支給される一時金について、次のとおりとする。
イ 退職手当等とみなす。
ロ 一定額までの差押えを禁止する財産に加える。
A 特例遺族共済年金、特例遺族年金又は特例通算遺族年金に代えて支給される一時金について、次のとおりとする。
イ 個人住民税を課さないこととする。
ロ 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(3)譲渡損失の他の所得との損益通算及び雑損控除を適用することができない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)を加える。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡について適用す る。
(4)雑損控除の対象となる資産の損失金額について、その資産の時価(損失が生じた時の直前におけるその資産の価額)を基礎として計算する方法のほか、その資産の取得価額に基づく価額(その資産の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額)を基礎として計算する方法を加える。
(注)上記の「減価償却費累積額相当額」とは、その取得から譲渡までの間に業務の用に供されていた期間のない資産の場合には、その資産の耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の償却率により求めた1年当たりの減価償却費相当額にその資産の取得から譲渡までの期間の年数を乗じて計算した金額をいう。
(5)企業型確定拠出年金の拠出限度額について、次のとおり引き上げる。

   
(現 行)
 (改正案)
@ 他の企業年金がない場合 月額5.1万円 月額5.5万円
A 他の企業年金がある場合 月額2.55万円 月額2.75万円

(6)小規模企業共済法施行令の一部改正を前提に、小規模企業共済等掛金等控除等の対象となる小規模企業者の範囲を、宿泊業又は娯楽業を営む者で、常時使用する従業員の数が20名以下(現行:5名以下)のものに拡充する。
(7)奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き公共法人等が支払を受ける利子等に係る非課税措置等の対象とする。
(8)独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から独立行政法人地域医療機能推進機構への改組後も、引き続き公共法人等が支払を受ける利子等に係る非課税措置等の対象とする。
(9)電気事業法の改正に伴い、広域的運営推進機関を公共法人等が支払を受ける利子等に係る非課税措置等の対象とする。
(10)雇用保険法の改正を前提に、同法の失業等給付について、引き続き次の措置を講ずる。
@ 個人住民税を課さないこととする。
A 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(11)母子及び寡婦福祉法の改正を前提に、同法の自立支援教育訓練給付金(仮称)及び高等職業訓練促進給付金(仮称)について、次の措置を講ずる。
@ 個人住民税を課さないこととする。
A 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(12)高等学校等就学支援金の支給に関する法律の高等学校等就学支援金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
@ 個人住民税を課さないこととする。
A 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(13)職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律の職業訓練受講給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
@ 個人住民税を課さないこととする。
A 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(14)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
@ 個人住民税を課さないこととする。
A 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
B 障害年金を受けている者又は遺族年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(15)児童扶養手当法の改正を前提に、児童扶養手当と公的年金給付の併給制限の見直し後の同法の児童扶養手当について、引き続き次の措置を講ずる。
@ 個人住民税を課さないこととする。
A 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
B 受給者である母を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(16)難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)の制定及び児童福祉法の改正を前提に、難病の患者に対する医療等に関する法律の規定による医療及び改正後の児童福祉法の規定による医療について、次の措置を講ずる。
@ 難病及び小児慢性特定疾患の患者に対する医療費として支給される金品について、個人住民税を課さないこととする。
A 難病及び小児慢性特定疾患の患者に対する医療費の支給を受ける権利について、地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
B 社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用対象となる社会保険診療の範囲に、これらの法律の規定による医療を加える。
(17) 子ども・子育て支援法等の施行に伴い、次の措置を講ずる。
@ 幼保連携型認定こども園を設置する学校法人又は社会福祉法人に対する寄附金について、幼稚園又は保育所に対する寄附金と同様に、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の対象とする。
A 幼保連携型認定こども園における教育又は保育に対する助成を目的とする特定公益信託について、認定特定公益信託となる認定の対象とする。
(18) 特定公益増進法人の範囲に、博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人を加える。
(19) 国庫補助金等の総収入金額不算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で水素利用技術研究開発事業(仮称)等に係るものを加える。
(20) 金融商品取引法の改正により追加される情報伝達・取引推奨行為に対する課徴金等について、同法の他の課徴金と同様に必要経費に算入しないこととする。
(21) 会社法の改正を前提に、みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得について、その範囲から株式の併合に反対する株主からのその併合により端数となる株式の買取請求に基づく取得を除くこととする。
(22) 国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
(23)都道府県又は市区町村に対する寄附金に係る個人住民税の寄附金税額控除について、所得税の最高税率が引き上げられたことに伴い、特例控除額の算定に用いる所得税の限界税率を、課税所得4,000万円超の場合は100分の45とする措置を講ずる。
(注) 上記の改正は、平成28年度分以後の個人住民税について適用する。
(24)県費負担教職員制度の見直しに係る財政措置として、個人住民税所得割2%の税源移譲について指定都市所在道府県及び指定都市の間で合意されたことを踏まえ、県費負担教職員の給与負担事務の移譲とあわせて税源移譲を行うこととし、具体的な措置の検討を行う。
(25)平成26年度分の個人住民税に係る非課税限度額(均等割・所得割)については、現行どおりとする。
〈国民健康保険税〉
(26)国民健康保険税の後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を16万円(現行14万円)に、介護納付金課税額に係る課税限度額を14万円(現行12万円)に引き上げる。
(27)国民健康保険税の軽減措置について、5割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定における被保険者の数に世帯主を含め、2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を45万円(現行35万円)に引き上げる。
(28)旧老人保健制度における拠出金に係る費用を国民健康保険税の標準基礎課税総額に含めて徴収することとする経過措置について、その適用期限を3年延長する。

二 資産課税
1 復興支援のための税制上の措置
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、警戒区域設定指示等の対象区域内に居住していた者に係る受贈期限を警戒区域設定指示等の解除後1年(現行 3月)に延長する。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。
(2)独立行政法人中小企業基盤整備機構が建築した仮設建築物に係る所有権の保存登記に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長する。
(3)小規模企業者等設備導入資金助成法の廃止に伴い、特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置について、規定の整備を行う。
(4)青年等の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法の廃止等に伴い、株式会社日本政策金融公庫等が実施することとなる東日本大震災により被害を受けた者に対する青年等就農資金の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書については、引き続き印紙税を課さないこととする。
(5)独立行政法人中小企業基盤整備機構が作成する不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)東日本大震災に係る津波により甚大な被害を受けた区域のうち、市町村長が指定する区域における土地及び家屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税免除等の適用期限を1年延長する。
(2)独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う仮設施設整備事業により整備す る施設に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(3)独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う仮設施設整備事業により取得する施設に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
2 租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
〈相続税・贈与税〉
(1)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設
@ 相続税
イ 概要
  個人(以下「相続人」という。)が持分の定めのある医療法人の持分を相続又は遺贈により取得した場合において、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、当該相続人が納付すべき相続税額のうち、当該認定医療法人の持分に係る課税価格に対応する相続税額については、移行計画(仮称)の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内に当該相続人が持分の全てを放棄した場合には、猶予税額を免除する。
(注)認定医療法人(仮称)とは、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律に規定される移行計画(仮称)について、認定制度の施行の日から3年以内に厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいう。
ロ 税額の計算
(イ)通常の相続税額の計算を行い、持分を取得した相続人の相続税額を算出する。
(ロ)持分を取得した相続人以外の者の取得財産は不変とした上で、当該相続人が持分のみを相続したものとして相続税額の計算を行い、当該相続人の相続税額を算出し、その金額を猶予税額とする。
(ハ)上記(イ)の相続税額から上記(ロ)の猶予税額を控除した金額を持分を取得した相続人の納付税額とする。
ハ 猶予税額の納付
  移行期間内に持分の定めのない医療法人に移行しなかった場合又は認定の取消し、持分の払戻し等の事由が生じた場合には、猶予税額を納付する。また、基金拠出型医療法人(仮称)に移行した場合には、持分のうち基金として拠出した部分に対応する猶予税額についても同様とする。
ニ 利子税の納付
  上記ハにより猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、相続税の申告期限からの期間に係る利子税を併せて納付する。
ホ 税額控除
  相続の開始から相続税の申告期限までの間に持分の全てを放棄した場合には、納税猶予は適用せず、上記ロの計算により算出される猶予税額に相当する金額(基金として拠出した部分に対応する金額を除く。)を相続人の納付すべき相続税額から控除する。
A 贈与税
イ 概要
  持分の定めのある医療法人の出資者が持分を放棄したことにより他の出資者の持分の価額が増加することについて、その増加額(経済的利益)に相当する額の贈与を受けたものとみなして当該他の出資者に贈与税が課される場合において、その医療法人が認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、当該他の出資者が納付すべき贈与税額のうち、当該経済的利益に係る課税価格に対応する贈与税額については、移行計画(仮称)の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内に当該他の出資者が持分の全てを放棄した場合には、猶予税額を免除する。
ロ 税額の計算
(イ)上記イの経済的利益及びそれ以外の受贈財産について通常の贈与税額を算出する。
(ロ)上記イの経済的利益のみについて贈与税額を算出し、その金額を猶予税額とする。
(ハ)上記(イ)の贈与税額から(ロ)の猶予税額を控除した金額を納付税額とする。
ハ 猶予税額の納付、利子税の納付及び税額控除については、相続税と同様とする。
B その他所要の措置を講ずる。
(注) 上記の改正は、移行計画(仮称)の認定制度の施行の日以後の相続若しくは遺贈又はみなし贈与に係る相続税又は贈与税について適用する。
〈登録免許税〉
(2)全国新幹線鉄道整備法第6条の規定に基づき国土交通大臣から指名された中央新幹線の建設主体が、中央新幹線の事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の保存登記若しくは移転登記又は地上権の設定登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
(3)中心市街地の活性化に関する法律の改正を前提に、同法の認定特定民間中心市街地交流拠点緊急整備事業者(仮称)が、同法の認定特定民間中心市街地交流拠点緊急整備事業計画(仮称)(平成28年3月31日までに認定を受けるものに限る。)に従い不動産を取得する場合における当該不動産に係る所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
@ 所有権の保存登記 1,000分の2(本則1,000分の4)
A 所有権の移転登記 1,000分の10(本則1,000分の20)
(4)関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律に規定する空港運営権者が、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に受ける関西国際空港及び大阪国際空港に係る公共施設等運営権の設定登録に対する登録免許税の税率を、1,000分の0.5(本則1,000分の1)に軽減する措置を講ずる。
(5)個人が、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に、宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の住宅用家屋を取得する場合における当該住宅用家屋に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の税率を、1,000分の1(一般住宅1,000分の3、本則1,000分の20)に軽減する措置を講ずる。
(6)農地中間管理事業の推進に関する法律に規定する農地中間管理機構が、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に、農地売買等事業により農用地区域内の農用地等を取得する場合における当該農用地等に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の税率を、1,000分の10(本則1,000分の20)に軽減する措置を講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈相続税・贈与税〉
(1)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
@ 特例適用農地等を収用等のために譲渡した場合の利子税の特例について、平成26年4月1日から平成33年3月31日までの間に特例適用農地等を収用等のために譲渡した場合には、利子税の全額(現行2分の1)を免除する。
A 特例適用農地等を譲渡し、代替農地等を取得した場合の買換え特例について、三大都市圏の特定市の特例適用農地等を収用等のために譲渡した場合には、取得時に三大都市圏の特定市の生産緑地地区内の農地等又は市街化調整区域内の農地等に該当しないものであっても、譲渡後1年以内にこれらの農地等に該当することとなる土地については、代替農地等に該当することとする。
B 三大都市圏の特定市の特例適用農地等を収用等のために譲渡した場合において、譲渡後1年以内に、その譲渡があった日において特例適用者が有していた特例適用農地等以外の三大都市圏の特定市の生産緑地地区内の農地等若しくは市街化調整区域内の農地等又は譲渡後1年以内にこれらの農地等に該当することとなる土地(譲渡をした特例適用農地等に係る相続等の開始前において有していたものを除く。)で、譲渡時における価額がその譲渡対価の額の全部又は一部に相当するものを納税猶予の適用対象とする見込みであることにつき、税務署長の承認を受けたときは、次のとおりとする。
イ その譲渡はなかったものとみなす。
ロ 譲渡後1年を経過する日において、その譲渡対価の額の全部又は一部に相当する価額の農地等が納税猶予の適用対象とされていない場合には、譲渡した特例適用農地等のうち納税猶予の適用対象とされなかった価額に相当する部分については、その日において譲渡がされたものとみなす。
C 農地中間管理事業の推進に関する法律により創設される農地中間管理事業のために行われる賃借権等の設定による貸付けを特定貸付けの特例の対象とするほか、同法の制定に伴う所要の措置を講ずる。
D 農業経営基盤強化促進法及び農地法の改正に伴う所要の措置を講ずる。
(注)上記@からBまでの改正は、平成26年4月1日以後の収用等のための譲渡について、上記C及びDの改正は、同日以後の貸付け等について適用する。
(2)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置及び特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例について、適用対象となる既存住宅用家屋の範囲に、地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合しない既存住宅を取得した場合において、当該既存住宅の取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、その者の居住の用に供する日までに耐震改修工事を完了していること等の一定の要件を満たす既存住宅用家屋を加える。
(3)相続財産を贈与した場合の相続税の非課税制度の対象となる法人の範囲に、博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人を加える。
(4)森林法施行規則の改正を前提に、改正後の認定基準により森林経営計画の認定を受けた場合にも、特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例及び計画伐採に係る相続税の延納等の特例を適用することとする。
〈登録免許税〉
(5)特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(6)認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(7)マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置について、次の措置を講ずる。
@ マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、適用対象にマンション敷地売却組合(仮称)が受ける次の登記を加える。
イ 分配金取得手続開始の登記(仮称)
ロ マンション敷地売却組合(仮称)が売渡請求権の行使により取得する区分所有権又は敷地利用権の取得の登記
ハ 権利消滅期日(仮称)後の建物及び土地に関する権利について必要な登記
A 適用期限を2年延長する。
(8)預金保険法に規定する第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定又は特定第一号措置に係る特定株式等の引受け等を行うべき旨の内閣総理大臣の決定に基づく預金保険機構による金融機関等の株式の引受け等に伴い、当該金融機関等が受ける資本金の額の増加の登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(9)認定経営基盤強化計画等に基づき行う株式会社の設立等の登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象から金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法に規定する認定経営基盤強化計画に基づき行う株式会社の設立等の登記を除外した上、その適用期限を2年延長する。
(10)国際船舶の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(11)国家戦略特別区域法の国家戦略民間都市再生事業を定めた同法の区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたことによりその事業の実施主体に対して都市再生特別措置法の民間都市再生事業計画の認定があったものとみなされた場合には、その計画に基づいて行われる都市再生事業により整備される建築物について、認定民間都市再生事業計画に基づき特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置を適用できることとする。
(12)特定の社債的受益権に係る特定目的信託の終了に伴い信託財産を買い戻した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長する。
(13)株式会社地域経済活性化支援機構法の改正を前提に、株式会社地域経済活性化支援機構が金融機関等からの債権の買取りにより取得する不動産に関する権利等の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について、適用対象に株式会社地域経済活性化支援機構が再生支援対象事業者に対する資金の貸付けに伴い金融機関等から取得する不動産に関する権利等の移転登記等を加える。
〔廃止〕
(1)次に掲げる特別措置について、適用期限の到来をもって廃止する。
@ 国立公園特別保護地区等内の土地に係る相続税の物納の特例
A 新関西国際空港株式会社が移転補償事業により買い取った土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置
B 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から交換により建物を取得した場合の登記に対する登録免許税の免税措置
C 認可地縁団体が特例民法法人から取得した不動産の所有権等の移転登記に対する登録免許税の免税措置
(地方税)
〔新設〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)認定こども園の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
(2)小規模保育事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
(3)社会福祉事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に病児保育事業及び子育て援助活動支援事業の用に供する固定資産を加える。
(4)景観法の規定により指定を受けた景観重要建造物のうち世界遺産に登録された一定の固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を価格の3分の1とする措置を講ずることとし、対象となる資産が世界遺産に登録された場合に、法制上の措置を講ずる。
(5) 国家戦略特別区域法に基づく特定中核事業のうち医療分野における一定の研究開発に関する事業の実施主体として同法の認定区域計画に定められた者が国家戦略特別区域内において取得した、当該研究開発の用に供する一定の設備等(法人税の即時償却の対象となるものに限る。)に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする措置を平成28年3月31日まで講ずる。
(注1)特定中核事業とは、国家戦略特別区域法の特定事業のうち中核となる事業をいい、具体的には、イノベーションにより新たな成長分野を切り開いていくために、特に促進していくべき事業として、次の@からBまでのいずれにも該当するものを行う事業をいう。
@ 当該地域に存する人的・物的資源を活用することによって実現できる先端的な取組。
A 革新的な技術開発による国民生活の改善や、新規産業・新規市場の創出につながる取組。
B 他の地域に広くメリットが波及する取組。
なお、特定中核事業は、特区の具体的な内容について検討が進んだ段階において、関係者の合意を得て、必要に応じて追加されていくもの。
(注2)一定の研究開発とは、研究開発で基礎的な事業等収益性の低いもの。
(6)ラジオ放送を行う基幹放送事業者又は基幹放送局提供事業者が取得した災害対策のための一定の無線設備に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の4分の3とする措置を2年間に限り講ずる。
(7)都市再生特別措置法の改正に伴い、同法に規定する認定区域整備事業者(仮称)が誘導施設(仮称)の整備に係る事項が記載された認定区域整備事業計画(仮称)に基づき整備する公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を最初の5年間価格の5分の4とする措置を平成28年3月31日まで講ずる。
〈不動産取得税〉
(8)認定こども園の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(9)小規模保育事業の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(10)社会福祉事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に病児保育事業及び子育て援助活動支援事業の用に供する不動産を加える。
(11)農地中間管理機構が取得した農地等について、一定期間不動産取得税の徴収を猶予し、取得の日から5年以内に売却等された場合には、当該徴収猶予された税額に係る納税義務を免除する措置を講ずる。
(12)農地の贈与を受けたために不動産取得税の納税を猶予されている者が、当該農地を農地中間管理機構に貸し付けた場合において、当該納税猶予を継続する措置を講ずる。
(13)マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正に伴い、認定建替事業又は認定建物敷地売却により、施行者が取得する区分所有権等に係る不動産取得税について、非課税とする措置を2年間に限り講ずる。
(14)全国新幹線鉄道整備法第6条に基づき国土交通大臣から指名された中央新幹線の建設主体が同法に規定する整備計画に基づき取得する中央新幹線の事業の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
〈事業所税〉
(15)認定こども園の用に供する施設に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(16)小規模保育事業の用に供する施設に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(17)社会福祉事業の用に供する施設に係る事業所税の非課税措置について、対象に病児保育事業及び子育て援助活動支援事業の用に供する施設を加える。
(18)電気事業法の改正に伴い設立される広域的運営推進機関の行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(19)マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正に伴い、マンション敷地売却組合(仮称)の行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
〔拡充・延長等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)地震防災対策の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、東南海・南海地震防災対策推進地域に代えて南海トラフ地震防災対策推進地域を対象地域とした上、その適用期限を3年延長する。
(2)国内路線に就航する航空機に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、最大離陸重量200t未満で地方路線の就航時間割合が3分の2以上の航空機の課税標準を次のとおり(現行 最初の5年間価格の5分の2)とした上、その適用期限を2年延長する。
@ 最大離陸重量50t未満で東京国際空港又は大阪国際空港発着の路線を除く路線の就航時間割合が3分の2以上の航空機
イ 最大離陸重量30t未満のもの 最初の5年間価格の4分の1
ロ 最大離陸重量30t以上50t未満のもの 最初の1年間価格の8分の3、その後4年間価格の5分の2
A @以外の航空機 最初の5年間価格の5分の2
(3)公害防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
@ 水質汚濁防止法の特定施設に係る汚水又は廃液を処理するための施設について、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 3分の1
ロ その他の資産 3分の1を参酌して6分の1以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
A テトラクロロエチレン系溶剤及びフッ素系溶剤を使用するドライクリーニング機に係る活性炭利用吸着式処理装置について、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 2分の1
ロ その他の資産 2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
B 対象となる大気汚染防止法に規定する指定物質の排出又は飛散の抑制に資する装置を、テトラクロロエチレン系溶剤を使用するドライクリーニング機に係る活性炭利用吸着式処理装置に限定する。
(4)農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律の認定を受けた事業者が取得する一定のバイオ燃料製造設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(5)電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に規定する一定の認定発電設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(6)新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置の適用期限を2年延長する。
(7)新築の認定長期優良住宅に係る固定資産税の税額の減額措置の適用期限を2年延長する。
(8)鉄道事業者等がその事業の用に供する鉄道施設等を高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する公共交通移動等円滑化基準に適合させるために実施する一定の鉄道駅等の改良工事により取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(9)日本貨物鉄道株式会社が取得する新たに製造された一定の機関車又はコンテナ貨車に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(10)地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する鉄道事業再構築事業を実施する路線において取得する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(11)新耐震基準に適合しない中古住宅を取得し、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する場合について、既存住宅の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例措置と同様の措置を講ずる。
(12)不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
(13)新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200平方メートルを限度)相当額の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
(14)小笠原諸島振興開発特別措置法の一部改正により、小笠原諸島へ帰島する者が取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(15)河川法に規定する高規格堤防の整備に係る事業のために使用された土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が当該土地の上に取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(16)新築の認定長期優良住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈事業所税〉
(17)沖縄振興特別措置法の改正に伴い、次の措置を講ずる。
@ 産業高度化・事業革新促進地域における一定の産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、当該施設に設置される機械装置及び器具備品の取得価額要件に関し、機械装置及び器具備品の範囲に開発研究用器具備品を加える。
(注)開発研究用器具備品を加える措置の対象となる事業は、製造業、自然科学研究所及び研究開発支援検査分析業等とする。
A 国際物流拠点産業集積地域における一定の産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、対象となる事業に航空機整備業を加える。
(18)消防法施行令の改正に伴い新たに消防用設備等の設置が義務付けられる事業所等について、当該消防用設備等に対する資産割に係る事業所税の非課税措置を講ずる。
(19)特定農産加工業経営改善臨時措置法の改正に伴い、同法に規定する承認計画に基づき特定農産加工業者等が事業の用に供する一定の施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を1年9月(個人の事業については2年)延長する。
〔廃止・縮減等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)成田国際空港株式会社がその事業の用に供する一定の施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、課税標準を価格の6分の5(現行5分の4)とした上、その適用期限を2年延長する。
(2)テレビジョン放送事業者が取得した地上放送デジタル化のための設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止する。
(3)独立行政法人森林総合研究所が行う特定中山間保全整備事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置を廃止する。
(4)特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律における一定の基準適合表示の付された特定特殊自動車に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止する。
(5)特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行した法人が設置する施設で、移行の日の前日において非課税とされていたものについて、平成25年度分まで固定資産税及び都市計画税の非課税措置を継続する措置を廃止する。
(6)独立行政法人日本万国博覧会記念機構の廃止に伴い、独立行政法人日本万国博覧会記念機構が業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置を廃止する。
(7)指定特定重要港湾において、特定国際コンテナ埠頭の整備を図るため、港湾管理者の認定を受けた運営者が、国の無利子資金の貸付けを受けて取得した荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止する。
(8)特定外貿埠頭の管理運営に関する法律に規定する指定会社等が国の補助又は無利子貸付けを受けて取得した一定のコンテナ埠頭に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を廃止する。
〈不動産取得税〉
(9)日本環境安全事業株式会社が取得するPCB廃棄物処理事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置を廃止する。
(10)特例民法法人の業務を承継するために設立された認可地縁団体が、当該特例民法法人から取得する残余財産に係る不動産取得税の非課税措置を廃止する。
(11)独立行政法人日本万国博覧会記念機構の廃止に伴い、独立行政法人日本万国博覧会記念機構が取得するその業務の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置を廃止する。
(12)大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法において準用する土地区画整理法による清算金等により取得する代替不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止する。
〈事業所税〉
(13)外国公益法人等が平成25年11月30日までに開始する事業年度分の事業所税に係る当該外国公益法人等を公益法人等とみなす措置について、適用期限の到来をもって廃止する。
3 その他
(国 税)
(1)次に掲げる一時金等について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とする。
@ 小規模企業共済法施行令の改正を前提に、小規模企業共済制度の加入対象者に追加される小規模企業者の死亡に伴い支給を受ける一時金
A 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律及び国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律等の施行により、国家公務員共済、地方公務員共済及び私立学校教職員共済に創設される退職等年金給付のうち共済組合員等の死亡に伴い遺族が支給を受ける一時金等
(2) 調書について、次の措置を講ずる。
@ 調書を提出すべき者が、所轄税務署長の承認を受けた場合には、当該所轄税務署長以外の税務署長に対し、その調書に記載すべき事項(以下「調書記載事項」という。)を記録した光ディスク等を提出する方法又は当該調書記載事項を電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法のいずれかの方法により提供できることとする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に提出すべき調書について適用する。
A 上記@の所轄税務署長の承認を受けるための申請書又は調書記載事項を記録した光ディスク等を提出する場合における税務署長の承認を受けるための申請書の提出があった場合において、その提出の日から2月を経過する日までにその申請につき承認又は却下の処分がなかったときは、その日においてその承認があったものとみなすこととする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に提出する申請書について適用する。
(3)子ども・子育て支援法等の施行に伴い、次の措置を講ずる。
@ 幼保連携型認定こども園の設置を主たる目的とする学校法人又は社会福祉法人に対する寄附を、相続財産を贈与した場合の相続税の非課税制度の対象とする。
A 幼保連携型認定こども園における教育又は保育に対する助成を目的とする認定特定公益信託を、相続財産を拠出した場合の相続税の非課税制度の対象とする。
B 相続税又は贈与税が課されない公益事業を行う者の範囲に、認定こども園を設置し、運営する事業又は小規模保育事業、家庭的保育事業若しくは事業所内保育事業を行う者を加える。
C 学校法人、公益社団法人及び公益財団法人、社会福祉法人並びに宗教法人が認定こども園又は小規模保育事業、家庭的保育事業若しくは事業所内保育事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税を非課税とする措置を講ずる。
D その他所要の措置を講ずる。
(4)奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き非課税法人(印紙税法別表第二)とし、その受ける登記等について引き続き非課税措置(登録免許税法別表第三)を講ずる。
(5)独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から独立行政法人地域医療機能推進機構への改組後も、引き続き非課税法人(登録免許税法別表第二、印紙税法別表第二)とする。
(6)独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う工業再配置等業務及び産炭地域経過業務の廃止に伴い、これらの業務に係る登録免許税及び印紙税の非課税措置を廃止する。
(7)母子及び寡婦福祉法の改正を前提に、父子家庭の父等が作成する同法に定める資金の貸付けに関する文書については、印紙税を課さないこととする。
(地方税)
(1)固定資産評価基準における鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造のホテル・旅館の用に供する家屋に係る経過年数を45年(現行50年)に短縮し、平成27年度の評価替えから適用する。
(2)母子及び寡婦福祉法等の改正に伴い、改称後の母子・父子福祉施設(仮称)等に係る不動産取得税、固定資産税、事業所税及び都市計画税について、引き続き非課税とする措置を講ずる。
(3)農業経営基盤強化促進法等の改正に伴い、所要の措置を講ずる。
(4)固定資産課税台帳の閲覧制度について、閲覧を求めることができる者に預金保険法に基づく特定管理を命ずる処分があった場合における預金保険機構を加える。

三 法人課税
1 復興特別法人税の1年前倒し廃止
(国 税)
復興特別法人税の課税期間を1年間前倒しして終了することとする。
  なお、復興特別法人税の課税期間終了後、法人が各事業年度において利子及び配当等に課される復興特別所得税の額は、各事業年度において利子及び配当等に課される所得税の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除する。この場合に、復興特別所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額があるときは、その金額を還付する。
(地方税)
復興特別法人税の課税期間終了後、法人が各事業年度において利子及び配当等に課される復興特別所得税の額が法人税の額から控除されることについて、法人住民税において所要の措置を講ずる。
2 民間投資と消費の拡大
(国 税)
〔新設〕
(1) 港湾の民有護岸等の耐震化の推進のための税制措置の創設
  青色申告書を提出する法人で、その有する港湾法の特定技術基準対象施設のうち護岸、岸壁及び桟橋で同法の港湾隣接地域内にあるもの(以下「民有護岸等」という。)につき平成27年3月31日までに同法の規定による民有護岸等の維持管理状況に関する報告を行ったもの(その民有護岸等について必要な措置をとるべきことの勧告を受けたものを除く。)が、港湾法の一部を改正する法律のその報告に関する改正規定の施行の日からその報告を行った日以後3年を経過する日までの間に、その民有護岸等の部分について行う現行技術基準に適合するための耐震工事により取得等をしたその民有護岸等の部分について、その取得価額の20%の特別償却ができることとする。
(2) 放送ネットワーク災害対策促進税制の創設
  青色申告書を提出する基幹放送事業者等でその作成した放送法第108条の放送の確実な実施に特に必要な基幹放送設備等の整備計画につき総務大臣の確認を受けたものが、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に、その整備計画に記載された予備送信設備等の取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の15%の特別償却ができることとする。
(3) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例のうち船舶から船舶への買換えに
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ついて、譲渡資産から船齢が45年以上である港湾の作業船を除外し、買換資産に環境への負荷の低減に係る要件等に該当する港湾の作業船を加える(所得税についても同様とする。)。
〔延長・拡充等〕
(1) 交際費等の損金不算入制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
@ 交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することとする。
(注)飲食のために支出する費用には、専らその法人の役員、従業員等に対する接待等のために支出する費用(いわゆる社内接待費)を含まない。
A 中小法人に係る損金算入の特例について、上記@との選択適用とした上、その適用期限を2年延長する。
(2) 海外投資等損失準備金制度について、対象株式等の範囲から債権及び購入資源株式等を除外した上、その適用期限を2年延長する。
3 地域経済の活性化
(国 税)
〔新設〕
(1) 中心市街地活性化のための税制措置
特定再開発建築物等の割増償却制度について、中心市街地の活性化に関する法律の改正を前提に、同法の認定特定民間中心市街地交流拠点緊急整備事業計画(仮称)に係る商業施設等で同法の認定特定民間中心市街地交流拠点緊急整備事業者(仮称)が取得等をするものにつき、5年間30%の割増償却が適用できる措置を加える(所得税についても同様とする。)。
(2) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、都市再生特別措置法の改正を前提に、都市機能誘導区域(仮称)以外の地域内にある土地等、建物等又は構築物から都市機能誘導区域内にある土地等、建物等、構築物又は機械装置で、認定区域整備事業計画(仮称)に記載された誘導施設(仮称)において行われる事業の用に供されるものへの買換えを適用対象に加える(所得税についても同様とする。)。
4 国家戦略特区
(国 税)
〔新設〕
(1) 国家戦略特別区域法の制定に伴い、次の措置を講ずる。
@ 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度等の創設
イ 青色申告書を提出する法人で国家戦略特別区域法の一定の特定事業の実施主体として同法の認定区域計画に定められたものが、平成26年4月1日又は同法の区域計画に関する規定の施行の日のいずれか遅い日から平成28年3月31日までの間に、国家戦略特別区域内において、同法に基づく事業実施計画(仮称)に記載された機械装置、開発研究用器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定事業の用に供した場合には、その取得価額の50%(建物及びその附属設備並びに構築物については、25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物及びその附属設備並びに構築物については、8%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができる。
  なお、特定中核事業の用に供される一定の機械装置及び開発研究用器具備品については、その普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却ができることとする。
(注1)国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度又は国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特例との選択適用とする。
(注2)一定の特定事業とは、国家戦略特別区域法の特定事業のうち、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資するものとして我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる事業をいう。
(注3)特定事業の具体的な内容については、政府における検討と併せて、与党の税制調査会においても検討する。
(注4)一定の規模以上のものとは、機械装置については1台又は1基の取得価額が2,000万円以上のものとし、開発研究用器具備品については1台又は1基の取得価額が1,000万円以上のものとし、建物及びその附属設備並びに構築物については一の建物及びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計額が1億円以上のものとする。
(注5)特定中核事業とは、一定の特定事業のうち中核となる事業をいい、具体的には、イノベーションにより新たな成長分野を切り開いていくために、特に促進していくべき事業として、次の(イ)から(ハ)までのいずれにも該当するものを行う事業をいう。
(イ)当該地域に存する人的・物的資源を活用することによって実現できる先端的な取組
(ロ)革新的な技術開発による国民生活の改善や、新規産業・新規市場の創出につながる取組
(ハ)他の地域に広くメリットが波及する取組
  なお、特定中核事業は、まずは、先端的技術を活用した医療等医療分野を対象とし、さらに、特区の具体的な内容について検討が進んだ段階において、関係者の合意を得て、必要に応じて追加される。
ロ 上記イの特別償却の適用を受ける特定中核事業の用に供された設備が開発研究用資産である場合において、研究開発税制の適用を受けるときは、その減価償却費は、特別試験研究費として取り扱うこととする。
A 国家戦略特別区域法の国家戦略民間都市再生事業を定めた同法の区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたことによりその事業の実施主体に対して都市再生特別措置法の民間都市再生事業計画の認定があったものとみなされた場合には、その計画に基づいて行われる都市再生事業により整備される建築物について、特定再開発建築物等の割増償却制度における都市再生事業に係る措置の対象とする(所得税についても同様とする。)。
(地方税)
〔新設〕
(1) 国家戦略特別区域法の制定に伴い、次の措置を講ずる。
@ 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の創設
  国家戦略特別区域法の一定の特定事業の実施主体として同法の認定区域計画に定められた法人が、平成26年4月1日又は同法の区域計画に関する規定の施行の日のいずれか遅い日から平成28年3月31日までの間に、国家戦略特別区域内において、同法に基づく事業実施計画(仮称)に記載された機械装置、開発研究用器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定事業の用に供した場合に選択適用できることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に適用する。
A 国家戦略特別区域法の国家戦略民間都市再生事業を定めた同法の区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたことによりその事業の実施主体に対して都市再生特別措置法の民間都市再生事業計画の認定があったものとみなされた場合に、その計画に基づいて行われる都市再生事業により整備される建築物について適用できることとされる法人税の割増償却を法人住民税及び法人事業税に適用する(個人住民税についても同様とする。)。
5 地方法人課税の偏在是正
(1) 法人住民税法人税割の税率の改正
  法人住民税法人税割の税率を次のとおりとし、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

 
現 行
改 正 案
 
[標準税率]
[制限税率]
[標準税率]
[制限税率]
道府県民税法人税割
5.0%
6.0%
3.2%
4.2%
市町村民税法人税割
12.3%
14.7%
9.7%
12.1%

(2) 地方法人税(国税)(仮称)の創設
@ 納税義務者
  法人税を納める義務がある法人は、地方法人税(仮称)を納める義務がある。
(注)法人には、人格のない社団等及び法人課税信託の引受けを行う個人を含む。
A 税額の計算
イ 地方法人税(仮称)額は、各課税事業年度の基準法人税額(課税標準)に4.4%の税率を乗じて計算した金額とする。
ロ 基準法人税額は、次の法人税額とする。ただし、附帯税の額を除く。
(イ) 各事業年度の所得又は各連結事業年度の連結所得に対する法人税を課 される法人
各事業年度の所得に対する法人税の額(所得税額控除、外国税額控除 及び仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除を適 用しないで計算)
(ロ) 退職年金業務等を行う法人
各事業年度の退職年金等積立金の額に対する法人税の額
ハ 税額控除
外国税額控除及び仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税(仮称)額の控除を行うこととする。
B 申告及び納付
イ 地方法人税(仮称)の申告及び納付は、国(税務署)に対して行うものとする。
ロ 申告書の提出期限は、法人税の申告書の提出期限と同一とする。
C その他
質問検査権、罰則等については、法人税と同様とし、その他所要の規定の整備を行う。
D 適用区分
地方法人税(仮称)は、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。
(3) 地方法人特別税の税率の改正
  地方法人特別税の税率を次のとおりとし、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。

 
現 行
改正案
@ 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 148% 67.4%
A 所得割額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 81% 43.2%
B 収入割額によって法人事業税を課税される法人の収入割額に対する税率 81% 43.2%

(4) 法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の税率の改正
  法人事業税の標準税率を次のとおりとし、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。
@ 資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人の所得割の標準税率

 
現 行
改正案
年400万円以下の所得
1.5%
2.2%
年400万円超年800万円以下の所得
2.2%
3.2%
年800万円超の所得
2.9%
4.3%

A 資本金1億円以下の普通法人等の所得割の標準税率

 
現 行
改正案
年400万円以下の所得
2.7%
3.4%
年400万円超年800万円以下の所得
4%
5.1%
年800万円超の所得
5.3%
6.7%

B 特別法人の所得割の標準税率

 
現 行
改正案
年400万円以下の所得
2.7%
3.4%
年400万円超の所得
3.6%
4.6%
(特定の共同組合等の年10億円超の所得
4.3%
5.5%)

C 収入金額課税法人の収入割の標準税率

 
現 行
改正案
電気供給業、ガス供給業及び保険業を行う法人の収入金額に対する税率
0.7%
0.9%

(注)3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものの所得割に係る税率については、軽減税率の適用はない。
(5) その他
  その他所要の措置を講ずる。
6 復興支援のための税制上の措置
(国 税)
〔延長・拡充〕
(1) 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
@ 産業集積事業用機械装置に係る普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却ができる措置の適用期限を2年延長する。
A 復興居住区域に係る措置について、次のとおり適用対象となる被災者向け優良賃貸住宅の要件の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
イ 各独立部分の床面積について、120u以下で、かつ、25u以上(現行50u以上)とし、床面積が50u未満の各独立部分については、その賃貸が単身者に対し優先して行われると明らかにされているものであることとする。
ロ 共同住宅又は長屋を構成する各独立部分の数について、床面積が25u以上のものが10以上又は50u以上のものが4以上(現行50u以上のものが10以上)とする。
(2) 被災代替資産等の特別償却制度における償却割合を引き上げる措置の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(3) 被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について、上記(1)Aと同様に適用対象となる被災者向け優良賃貸住宅の要件の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
(4) 再投資等準備金制度について、特定復興産業集積区域内にある事業所以外の事業所(次の@及びAの要件を満たすものに限る。)を有する事業年度においても適用できることとする。
@ その事業所の業務を行う従業員の数の合計が、常時使用全従業員数の30%又は2人のいずれか多い人数以下であること。
A 産業集積事業に係る業務で、主たる業務以外の業務を行う事業所であること。
7 沖縄振興関連
(国 税)
〔新設・拡充〕
(1) 産業集積経済金融活性化特別地区(仮称)に係る措置の創設
  沖縄振興特別措置法の改正により、金融業務特別地区制度を発展的に解消し、産業集積経済金融活性化特別地区制度を創設することに伴い、次の措置を講ずる。
@ 産業集積経済金融活性化特別地区における認定法人の所得控除制度の創設
  金融業務特別地区における認定法人の所得控除制度を改組し、青色申告書を提出する内国法人で、産業集積経済金融活性化特別地区の区域内において、同地区の指定の日以後に設立され、かつ、本店又は主たる事務所を有するものであって、産業集積経済金融活性化促進計画(仮称)に記載された特定産業(仮称)を行う法人として平成26年4月1日又はその指定の日のいずれか遅い日から平成29年3月31日までの間に沖縄県知事の認定を受けたもの(認定法人)が、一定の要件を満たす場合には、その設立の日から10年を経過する日までの間に終了する各事業年度において、所得金額の40%に特区内従業員数割合を乗じた金額の所得控除ができる制度とする。
(注1)特定地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度又は沖縄の認定法人の所得控除制度との選択適用とする。
(注2)一定の要件とは、次のイからハまでのいずれにも該当することをいう。
イ 主として特定産業に該当する事業を営む法人であって、産業集積経済金融活性化特別地区の区域内において特定産業を主として営んでいること。
ロ 産業集積経済金融活性化特別地区で常時使用する地元の従業員の数が5人以上であること。
ハ 認定法人の営む事業が公序良俗に反しておらず、かつ、風俗営業に該当しないこと。
(注3)特区内従業員数割合とは、認定法人の常時使用する従業員の数のうちに認定法人の産業集積経済金融活性化特別地区の区域内の事業所において常時使用する従業員の数の占める割合をいう。
A 産業集積経済金融活性化特別地区において特定産業用設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の創設
  金融業務特別地区において金融業務に係る事業用設備等を取得した場合の法人税額の特別控除制度を改組し、青色申告書を提出する法人が、平成26年4月1日又は産業集積経済金融活性化特別地区の指定の日のいずれか遅い日から平成29年3月31日までの間に、同地区の区域内において、一定の機械装置、器具備品並びに建物及びその附属設備の取得等をして、産業集積経済金融活性化促進計画に記載された特定産業の用に供した場合には、その取得価額の50%(建物及びその附属設備については、25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物及びその附属設備については、8%)の税額控除との選択適用ができる制度とする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は4年間の繰越しができる(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
(注1)上記@の制度、特定地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却若しくは法人税額の特別控除制度又は沖縄の認定法人の所得控除制度との選択適用とする。
(注2)対象となる機械装置、器具備品並びに建物及びその附属設備は、一の生産等設備を構成するこれらの減価償却資産の取得価額の合計額が1,000万円を超えるもの又はその減価償却資産のうち機械装置及び器具備品の取得価額の合計額が100万円を超えるものとする。
(2) その他の地区に係る措置
沖縄振興特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
@ 観光地形成促進地域に係る措置
観光地形成促進地域において特定民間観光関連施設を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、次の見直しを行う。
イ 一の設備の取得価額の合計額の下限要件を1,000万円超(現行 5,000万円超)に引き下げる。
ロ 特定民間観光関連施設のうちに対象資産を構成する部分が、建物及びその附属設備にあっては共用部分以外の床面積の合計の2分の1以上であることとし、構築物にあっては取得価額の合計額の2分の1以上であることとする要件を廃止する。
ハ 特定民間観光関連施設のうち、休養施設(温泉保養施設及び国際健康管理・増進施設に限る。)及び集会施設について、一定の要件の下、対象資産に宿泊の用に供する施設を備えたもの及び宿泊の用に供する施設に附属するものを加える。
A 情報通信産業特別地区又は情報通信産業振興地域に係る措置
イ 情報通信産業特別地区における認定法人の所得控除制度について、次の見直しを行う。
(イ)常時使用する従業員の数の要件を5人以上(現行10人以上)に引き下げる。
(ロ)対象となる特定情報通信事業に情報通信機器の相互接続検証事業を加える。
ロ 情報通信産業振興地域において電気通信業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、対象資産における一の生産等設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が1,000万円超であることとする要件(現行要件)に、その減価償却資産のうち機械装置及び器具備品の取得価額の合計額が100万円超であることとする要件を加えた上、現行要件との選択とする。
(注)地区・地域の指定及び事業者の認定に係る権限を沖縄県知事へ移譲する。
B 産業高度化・事業革新促進地域に係る措置
産業高度化・事業革新促進地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しを行う(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
イ 対象資産における一の生産等設備を構成する減価償却資産のうち機械装置及び器具備品の取得価額の合計額の下限要件を100万円超(現行 500万円超)に引き下げる。
ロ 一定の対象事業に係る対象資産に開発研究用器具備品を加える。
(注)一定の対象事業は、製造業、自然科学研究所及び研究開発支援検査分析業等とする。
C 国際物流拠点産業集積地域に係る措置
イ 国際物流拠点産業集積地域における認定法人の所得控除制度について、次の見直しを行う。
(イ)常時使用する従業員の数の要件を15人以上(現行20人以上)に引き下げる。
(ロ)対象となる特定国際物流拠点事業に航空機整備業を加える。
ロ 国際物流拠点産業集積地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しを行う(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
(イ)対象資産における一の生産等設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が1,000万円超であることとする要件(現行要件)に、その減価償却資産のうち機械装置の取得価額の合計額が100万円超であることとする要件を加えた上、現行要件との選択とする。
(ロ)対象となる国際物流拠点産業に航空機整備業を加える。
(注)地域の指定及び事業者の認定に係る権限を沖縄県知事へ移譲する。
8 その他の租税特別措置等
(国 税)
〔新設・拡充等〕
(1) 関西国際空港及び大阪国際空港に係る公共施設等運営権対価について、延払基準の方法により益金算入することができる措置を講ずる。
(2) 特定地域における工業用機械等の特別償却制度における奄美群島に係る措置について、奄美群島振興開発特別措置法の改正を前提に、同法の認定産業振興促進計画(仮称)に記載された区域及び事業に係る措置に改組した上、その適用期限を1年延長する(所得税についても同様とする。)。
(3) 原子力発電施設解体準備金制度について、積立限度額の算出方法を定額方式(現行 発電量比例方式)に改めるとともに、原子炉の運転廃止の届出後1年以内に原子力発電施設の解体に着手しない場合の一括取崩しに関する要件を緩和する。
(4) 農業経営基盤強化準備金制度について、平成26年度予算措置を前提に、対象となる交付金等に係る所要の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
(5) 法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度について、次の措置を講ずる。
@ 適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
イ マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、対象に、改正後のマンションの建替え等の円滑化に関する法律(仮称)に規定するマンション敷地売却(仮称)に伴う売渡し請求又は分配金取得(仮称)に基づく当該マンション敷地売却を施行する者に対する土地等の譲渡で一定の要件を満たすものを加える。
ロ 対象となる特定の民間再開発事業の施行区域の範囲について、次のとおりとする。
(イ)都市再生特別措置法の改正を前提に、同法の認定区域整備事業計画(仮称)の区域を加える。
(ロ)都市計画法の地区計画の区域及び都市再生特別措置法の認定整備事業計画の区域を除外する。
ハ 対象から、独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外する。
ニ 都市再生特別措置法の改正を前提に、都市開発事業等の用に供される土地の供給等の業務を行う一定の都市再生推進法人(仮称)に対する当該業務を行うために直接必要な土地等を譲渡した場合にも、対象とする。
A 適用停止措置の期限を平成29年3月31日まで延長する。
(6) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、次の見直しを行った上、長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換え以外の措置の適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
@ 都市再生特別措置法の改正を前提に、都市機能誘導区域(仮称)以外の地域内にある土地等、建物等又は構築物から都市機能誘導区域内にある土地等、建物等、構築物又は機械装置で、認定区域整備事業計画(仮称)に記載された誘導施設(仮称)において行われる事業の用に供されるものへの買換えを適用対象に加える。(再掲)
A 既成市街地等の内から外への買換えについて、農林業用以外の買換資産の対象区域に都市開発区域を加える。
B 市街化区域又は既成市街地等の内から外への農業用資産の買換えについて、買換資産を認定農業者又は認定就農者が取得する一定の特定資産に限定する。
C 航空機騒音障害区域の内から外への買換えについて、譲渡資産を特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等の規定により譲渡されるもの(土地等にあっては、平成26年4月1日又はその資産の所在地が航空機騒音障害区域となった日のいずれか遅い日前に取得をしたものに限る。)に限定する。
D 誘致区域の外から内への買換え及び都市開発区域等の外から内への買換えのうち都市開発区域に係る措置を除外する。
E 市街地再開発事業による買換えについて、買換資産を市街地再開発事業の施行区域の面積が5,000u以上である場合のその施行区域内にあるものに限定するとともに、買換資産から地上階数4以上の中高層の耐火建築物以外のもの及び建築物のうち住宅の用に供される部分を除外する。
F 農用地区域等内にある土地等の買換えについて、譲渡資産を農業振興地域整備計画において農用地区域として定められている区域内にある土地等に限定するとともに、買換資産を農用地利用集積計画により認定農業者又は認定就農者が取得する一定の土地等に限定する。
G 防災再開発促進地区内にある土地等の買換えについて、所要の経過措置を講じた上、対象区域を地震時等において著しく危険な密集市街地に限定する。
H 船舶から船舶への買換えについて、次の見直しを行う。
イ 譲渡資産から船齢が45年以上である港湾の作業船を除外し、買換資産に環境への負荷の低減に係る要件等に該当する港湾の作業船を加える。(再掲)
ロ 譲渡資産のうち港湾の作業船以外の船舶を船齢が25年未満のものに限定するとともに、買換資産について、漁船にあっては船齢が15年未満のものに限定するほか、外航船舶及び内航船舶の環境への負荷の低減に係る要件を見直す。
I 対象となる資産の譲渡及び取得の範囲から、非適格現物分配による譲渡及び取得を除外する(震災特例法についても同様とする。)。
(7) 投資信託及び投資法人に関する法律施行令の改正を前提に、投資法人に係る課税の特例及び特定投資信託に係る受託法人の課税の特例について、対象となる投資法人及び投資信託の要件に「再生エネルギー発電設備及び公共施設等運営権以外の特定資産の割合が50%を超えること」を加える。
  ただし、投資信託及び投資法人に関する法律施行令の改正の日から平成29年3月31日までの間に再生エネルギー発電設備を取得して賃貸の用に供した投資法人で次の要件を満たすものについては、再生エネルギー発電設備を最初に賃貸の用に供した日から10年以内に終了する事業年度に限り、上記の追加された要件を満たす必要がないこととする。
@ 公共施設等運営権の割合が50%を超えないこと。
A 設立に際して公募により投資口を募集したこと又は投資口が上場されていること。
B 再生エネルギー発電設備の運用の方法が賃貸のみであることが規約に記載されていること。
(8) 投資法人に係る課税の特例について、投資法人法制の見直しを前提に、正ののれんがある場合には、支払配当等の額が配当可能利益の額の90%を超えていることとする導管性要件の判定において、正ののれんの償却額の70%を配当可能利益の額から控除する。
〔延長〕
(1) 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する。
(2) 雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(3) 公害防止用設備の特別償却制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(4) 特定農産加工品生産設備等の特別償却制度における特定農産加工品生産設備に係る措置について、特定農産加工業経営改善臨時措置法の期限が延長されることを前提に、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(5) 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度の適用期限を1年延長する(所得税についても同様とする。)。
(6) 金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(7) 特定災害防止準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(8) 国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特例の適用期限を2年延長する。
(9) 認定研究開発事業法人等の課税の特例の適用期限を1年延長する。
(10) 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を撤廃する。
(11) 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置の適用期限を2年延長する。
(12) 損害保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例の適用期限を5年延長する。
(13) 退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1) エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(環境関連投資促進税制)について、対象資産から熱電併給型動力発生装置等を除外する(所得税についても同様とする。)。
(2) 法人税額から控除される特別控除額の特例について、当期の法人税額から控除できる税額控除可能額の合計額を当期の法人税額の90%に引き下げる(所得税についても同様とする。)。
(3) 集積区域における集積産業用資産の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(4) 障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度について、対象資産から構築物及び車両運搬具を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(5) 次の準備金制度において、青色申告書の提出の承認を取り消された場合又は青色申告書による申告をやめる旨の届出書の提出をした場合の準備金の取崩し方法を2年均等取崩しから一括取崩しに見直すこととする(次のA、B及びHからJまでの準備金制度は、所得税についても同様とする。)。
@ 海外投資等損失準備金
A 金属鉱業等鉱害防止準備金
B 特定災害防止準備金
C 新幹線鉄道大規模改修準備金
D 使用済燃料再処理準備金
E 原子力発電施設解体準備金
F 関西国際空港用地整備準備金
G 中部国際空港整備準備金
H 特定船舶に係る特別修繕準備金
I 探鉱準備金又は海外探鉱準備金
J 農業経営基盤強化準備金
(6) 農用地等を取得した場合の課税の特例について、対象となる農用地等の取得の範囲から非適格現物分配による取得を除外する(所得税についても同様とする。)。
(7) 短期の土地譲渡益に対する追加課税制度について、適用除外措置の範囲から独立行政法人環境再生保全機構に対する土地等の譲渡を除外した上、適用停止措置の期限を平成29年3月31日まで延長する。
(8) 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、適用対象から次の負担金等を除外する(所得税についても同様とする。)。
@ 特定の事業を営む者に対する信用の保証をするための業務(信用保証協会、農業信用基金協会及び漁業信用基金協会の営む業務を除く。)に係る基金に充てるための負担金
A 水産動物の種苗の生産及び放流、その放流に係る水産動物の増殖による漁業生産の増大に係る経済効果の実証等の沿岸漁場の整備及び開発に資するための業務に係る基金に充てるための負担金
B 農地利用集積円滑化団体が行う農用地の利用の集積の円滑化、農業構造の改善等に関する業務に係る基金に充てるための負担金
C 都道府県青年農業者等育成センターが行う就農支援業務に係る基金に充てるための負担金
D 独立行政法人環境再生保全機構が行うポリ塩化ビフェニル廃棄物処理費用助成等の業務に係る基金に充てるための負担金
E 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が行う退職金支払確保契約に関する業務に係る基金に充てるための同契約に係る掛金
(地方税)
〔延長・拡充等〕
(1) 国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用期限を2年延長する。
(2) 難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)の制定及び児童福祉法の改正を前提に、難病の患者に対する医療等に関する法律の規定による医療及び改正後の児童福祉法の規定による医療について、事業税の実質的非課税措置の対象となっている社会保険診療に追加する。
(3) 電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、他の電気供給業を行う法人から託送供給を受けて電気の供給を行う場合の当該供給に係る収入金額のうち、電気事業法に規定する特定規模需要に応ずる電気の供給に係る託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(4) 預金保険法に規定する協定銀行に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(5) 預金保険法に規定する承継銀行に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(6) 銀行等保有株式取得機構に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(7) 北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(8) 新関西国際空港株式会社及び関西国際空港土地保有株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(9) 中部国際空港株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(10) 大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法に規定する特定鉄道事業者に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(11) 東京湾横断道路株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(12) 株式会社地域経済活性化支援機構に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
〔廃止〕
(1) 外国公益法人等が平成25年11月30日までに開始する事業年度分の法人住民税に係る当該外国公益法人等を公益法人等とみなす措置について、適用期限の到来をもって廃止する。
9 その他
(国 税)
(1) 投資信託及び投資法人に関する法律の改正により投資法人が発行することができることとなる新投資口予約権について、所要の措置を講ずる。
(2) 公益法人等の収益事業に係る課税について、次の見直しを行う。
@ 商工会等が小規模事業者に対して基盤施設事業として行う不動産の貸付業及び認定基盤施設計画に従って行う無体財産権の提供等の事業を収益事業から除外する措置について、宿泊業及び娯楽業を行う小規模事業者の範囲を拡充する。
A 母子及び寡婦福祉法の改正を前提に、母子福祉団体が都道府県から事業資金の貸付けを受けて行う事業を収益事業から除外する措置について、対象法人に父子家庭の父の福祉の増進を目的とする法人を加える等の措置を講ずる。
B 次の事業について、収益事業から除外する措置を廃止する。
イ 公益社団法人等が行う児童福祉施設の児童の給食用の輸入脱脂粉乳の販売業
ロ 小規模企業者等設備導入資金助成法の貸与機関が設備貸与事業又は設備資金貸付事業として行う設備の販売業、金銭貸付業及び物品貸付業
ハ 独立行政法人中小企業基盤整備機構が工業再配置等業務及び産炭地域経過業務として行う不動産販売業及び不動産貸付業
ニ 食品流通構造改善促進機構が食品流通構造改善促進法の認定構造改善事業として行う不動産販売業及び不動産貸付業
ホ 公益社団法人等が独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の委託を受けて行う年金福祉施設等の運営又は管理に係る医療保健業
(3) 企業再生税制について、次の措置を講ずる。
@ 株式会社地域経済活性化支援機構がその準則に従って策定した債務処理に関する計画に従って債権者間の調整等のみを行い、2以上の金融機関等により債務免除が行われた場合についても企業再生税制の適用対象とする。
A 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例について、特定投資事業有限責任組合の組合財産となる債権の債務者についての債務処理に関する計画を策定する場合に従うべき準則の範囲に株式会社地域経済活性化支援機構の準則を加える。
(4) 子ども・子育て支援法等の施行に伴い、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
@ 幼保連携型認定こども園を設置する学校法人又は社会福祉法人に対する寄附金について、幼稚園又は保育所に対する寄附金と同様に、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の対象とする。
A 幼保連携型認定こども園における教育又は保育に対する助成を目的とする特定公益信託について、認定特定公益信託となる認定の対象とする。
(5) 特定公益増進法人の範囲に、博物館、美術館、植物園、動物園又は水族館の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人を加える(所得税についても同様とする。)。
(6) 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で水素利用技術研究開発事業(仮称)等に係るものを加える(所得税についても同様とする。)。
(7) 中小企業等協同組合法の改正により火災共済協同組合が火災等共済組合となることに伴い、保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度及び保険会社等の異常危険準備金制度について、火災等共済組合を火災共済協同組合と同様の取扱いとする等の所要の整備を行う。
(8) 金融商品取引法の改正により追加される情報伝達・取引推奨行為に対する課徴金等について、同法の他の課徴金と同様に損金の額に算入しないこととする(所得税についても同様とする。)。
(9) 国家公務員の退職給付の給付水準の見直し等のための国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律等の施行に伴い、国家公務員共済、地方公務員共済及び私立学校教職員共済に新たに創設される退職等年金給付に係る積立金について、他の企業年金と同様に、退職年金等積立金に対する法人税の対象に加える。
(10) 会社法の改正を前提に、次の整備を行う。
@ みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得について、その範囲から株式の併合に反対する株主からのその併合により端数となる株式の買取請求に基づく取得を除くこととする(所得税についても同様とする。)。
A 損金の額に算入される役員に対する利益連動給与の決定の手続に係る要件について、監査等委員会設置会社においては、取締役会の決議において監査委員の過半数がその決議に賛成していることとする。
B 使用人兼務役員とされない役員の範囲に監査等委員会の委員である取締役を加える。
(11) 奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き公共法人(法人税法別表第一)とする。
(12) 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から独立行政法人地域医療機能推進機構への改組後も、引き続き公共法人(法人税法別表第一)とする。
(13) 電気事業法の改正に伴い、広域的運営推進機関を公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(14) マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、マンション敷地売却組合(仮称)を公益法人等とみなして、収益事業から生じた所得以外の所得について非課税とする。
(地方税)
(1)独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から独立行政法人地域医療機能推進機構への改組後も、引き続き非課税独立行政法人とする(非課税独立行政法人の規定があるその他の全ての税目についても同様とする。)。
(2)移行型地方独立行政法人等に係る非課税措置について、適用対象を全ての地方独立行政法人に拡充する(非課税地方独立行政法人の規定があるその他の全ての税目についても同様とする。)。
(3)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

四 消費課税
1 車体課税の見直し
(国 税)
(1)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に係る自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「自動車重量税のエコカー減税」)について、平成26年4月1日以後に新車に係る新規検査を受けた検査自動車のうち、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を免除された検査自動車については、当該新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する。
(2)平成26年4月1日以後に継続検査等を受ける自家用の検査自動車のうち、新車新規登録から13年を経過したもの(新車新規登録から18年を経過したものを除く。)に係る自動車重量税の税率について、別紙のとおり見直しを行う。
(地方税)
〈自動車取得税〉
(1)平成26年4月1日以後に取得される平成22年度燃費基準を満たす自動車等に対して課する自動車取得税の税率を、次のように引き下げる。
@ 自家用の自動車(軽自動車を除く。) 100分の3(現行100分の5)
A 営業用の自動車及び軽自動車 100分の2(現行100分の3)
(2)平成26年4月1日以後に取得される自動車について、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(新車に限る。)に対して課する自動車取得税に係る特例措置(いわゆる「自動車取得税のエコカー減税」)において、現行、税率を75%軽減する自動車に係る軽減割合を80%に、税率を50%軽減する自動車に係る軽減割合を60%に拡充する。
(3)その他所要の措置を講ずる。
〈自動車税〉
(4)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)について、次の見直しを行った上、2年延長する。
@ 環境負荷の小さい自動車
イ 平成26年度及び平成27年度に新車新規登録された自動車で、平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年ガソリン自動車排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもののうち、平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの(平成32年度燃費基準を満たすものに限る。)並びに電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、一定の排出ガス性能を備えた天然ガス自動車及び平成21年排出ガス規制に適合したディーゼル自動車(乗用車に限る。)について、当該登録の翌年度の税率を概ね100分の75軽減する。
ロ 平成26年度及び平成27年度に新車新規登録された自動車で、平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年ガソリン自動車排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもののうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(イに該当するものを除く。)について、当該登録の翌年度の税率を概ね100分の50軽減する。
A 環境負荷の大きい自動車
  平成26年度及び平成27年度に以下の年限を超えている自動車(電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車のうちガソリンを燃料とするもの、メタノール自動車、一般乗合用バス及び被けん引車を除く。)について、その翌年度から次の特例措置を講ずる。
イ ディーゼル自動車のうち、バス・トラックで新車新規登録から11年を経過したものについて、税率を概ね100分の10重課する。
ロ ディーゼル自動車のうち、イに該当するもの以外の自動車で新車新規登録から11年を経過したものについて、税率を概ね100分の15重課する。
ハ ガソリン自動車又はLPG自動車のうち、バス・トラックで新車新規登録から13年を経過したものについて、税率を概ね100分の10重課する。
ニ ガソリン自動車又はLPG自動車のうち、ハに該当するもの以外の自動車で新車新規登録から13年を経過したものについて、税率を概ね100分の15重課する。
(5)その他所要の措置を講ずる。
〈軽自動車税〉
(6)四輪以上及び三輪の軽自動車に係る税率を次のとおりとし、平成27年4月1日以後に新規取得される新車から適用する。

   
現行
改正案
@四輪以上 乗用・自家用
7,200円
10,800円
  乗用・営業用
5,500円
6,900円
  貨物用・自家用
4,000円
5,000円
  貨物用・営業用
3,000円
3,800円
A三輪  
3,100円
3,900円

(7)最初の新規検査から13年を経過した四輪以上及び三輪の軽自動車に係る税率を次のとおりとし、平成28年度分以後の軽自動車税について適用する。

@四輪以上 乗用・自家用
12,900円
  乗用・営業用
8,200円
  貨物用・自家用
6,000円
  貨物用・営業用
4,500円
A三輪  
4,600円

(8)原動機付自転車及び二輪車に係る税率を次のとおりとし、平成27年度分以後の軽自動車税について適用する。

   
現行
改正案
@原動機付自転車 50cc以下
1,000円
2,000円
  50cc超90cc以下
1,200円
2,000円
  90cc超125cc以下
1,600円
2,400円
  ミニカー
2,500円
3,700円
A二輪の軽自動車 (125cc超250cc以下)
2,400円
3,600円
B二輪の小型自動車 (250cc超)
4,000円
6,000円

2 復興支援のための税制上の措置
(国 税)
〔延長〕
(1)被災自動車等に係る自動車重量税の還付措置の適用期限を2年延長する。
(2)被災自動車等の使用者であった者が取得する自動車に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を2年延長する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈自動車取得税〉
(1)被災代替自動車等の取得に係る自動車取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
〈自動車税・軽自動車税〉
(2)自動車税及び軽自動車税の非課税措置の適用期限を次のとおり2年延長する。
@ 平成25年度に被災代替自動車等として取得された自動車等については平成26年度分の、平成26年度に被災代替自動車等として取得された自動車等については平成26年度分及び平成27年度分の、平成27年度に被災代替自動車等として取得された自動車等については平成27年度分及び平成28年度分の自動車税及び軽自動車税を非課税とする措置を講ずる。

3 租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
(1)石油石炭税課税済みの原油を精製する過程等で発生する非製品ガスについて、平成26年4月1日から平成29年3月31日までの間の措置として、石油石炭税の還付制度を創設する。
〔延長・拡充等〕
(1)入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置について、ウイスキー及びブランデーに係る特例税率を1?につき600,000円(現行500,000円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長する。
(2)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置について、特例税率を1,000本につき11,000円(現行10,500円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長する。
(3)特定の用途に供する石炭に係る石油石炭税の軽減措置の適用期限を3年延長する。
(4)特定の石油製品を特定の運送又は農林漁業の用に供した場合の石油石炭税の還付措置の適用期限を3年延長する。
(5)輸入・国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を3年延長する。
(6)航空機燃料税の税率の特例措置の適用期限を3年延長する。
(7)沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置について、適用対象に沖縄県の区域内の各地間を航行する航空機を加えた上、その適用期限を3年延長する。
(8)特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の適用期限を3年延長する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈自動車取得税〉
(1)都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスに係る自動車取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
〈航空機燃料譲与税〉
(2)航空機燃料譲与税の譲与割合を引き上げる措置の適用期限を3年延長する。
4 その他
(国 税)
(1)消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、次の見直しを行う。
@ 金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%(現行60%)とする。
A 不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を40%(現行50%)とする。
B その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。
(2)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しを行う。
@ 次の方法で販売することを前提に、免税販売の対象物品に消耗品(その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する50万円までの消耗品に限る。)を追加する。
イ その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する消耗品の額が5千円超であること
ロ 国土交通大臣及び経済産業大臣が財務大臣と協議して定める方法により包装すること
ハ 購入後30日以内に輸出することを、免税購入する旅行者が誓約すること
A その旅行者に対して、同一店舗で1日に販売する見直し前の免税対象物品(消耗品以外の物品)の額が100万円を超える場合には、輸出物品販売場を経営する事業者が保存しなければならない書類に、その旅行者の旅券等の写しを追加する。
B 購入記録票等の様式の弾力化及び手続きの簡素化を行う。
C その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成26年10月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。
(3)消費税の課税売上割合の計算上、金銭債権の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入することとする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用する。
(4)電気事業法の改正に伴い、広域的運営推進機関を消費税法別表第三に追加する。
(5)マンションの建替えの円滑化等に関する法律の改正を前提に、マンション敷地売却組合(仮称)を、消費税法別表第三に掲げる法人とみなす。
(6)子ども・子育て支援法の施行に伴い、消費税が非課税とされる社会福祉事業等の範囲に、同法に基づく施設型給付費、特例施設型給付費、地域型給付費及び特例地域型給付費の支給に係る事業として行われる資産の譲渡等を加える。
(7)難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)の制定及び児童福祉法の改正を前提に、消費税が非課税とされる医療等の範囲に、難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)及び改正後の児童福祉法の規定に基づく医療費の支給に係る医療等を加える。
(8)予防接種法の改正を前提に、新たなワクチン追加後の同法の健康被害救済給付に係る医療について、引き続き消費税を非課税とする。
(9)母子及び寡婦福祉法の改正を前提に、改正後の母子家庭日常生活支援事業等について、引き続き消費税を非課税とする。
(10)投資信託及び投資法人に関する法律の改正により金融商品取引法の有価証券に追加される新投資口予約権の譲渡について、他の有価証券の譲渡と同様に消費税を非課税とする。
(11)食品表示法の制定に伴い、酒税が非課税とされる収去酒類等の範囲に、酒類の製造場又は保税地域から同法の規定により収去される酒類を加える。
(地方税)
(1) 地方消費税に係る徴収取扱費について、所要の経過措置を講じた上、次の見直しを行う。

現 行
改正案
@ 譲渡割に係る徴収取扱費
  徴収取扱費算定期間内に各都道府県に払い込むべき譲渡割として納付された額の総額 × 0.35%
A 貨物割に係る徴収取扱費
  徴収取扱費算定期間内に各都道府県に払い込むべき貨物割として納付された額の総額 × 0.55%
@ 譲渡割に係る徴収取扱費
  徴収取扱費算定期間内に各都道府県に払い込むべき譲渡割として納付された額の総額(社会保障財源化分を除く。) × 0.45%
A 貨物割に係る徴収取扱費
  徴収取扱費算定期間内に各都道府県に払い込むべき貨物割として納付された額の総額(社会保障財源化分を除く。) × 0.50%

(2) 鉱業法の規定により特定区域における試掘権のみなし存続期間に試掘することができる者を、鉱区税の納税義務者である鉱業権者の範囲に含めることとする。
(3) 航空機燃料譲与税の譲与基準について、次の見直しを行う。
@ 騒音世帯数割の算定に用いる航空機騒音に係る評価指標をWECPNL(通称W値)からLdenに変更する。
A 着陸料割の譲与割合を2分の1(現行3分の1)とし、騒音世帯数割の 譲与割合を2分の1(現行3分の2)とする。
B 空港管理団体に係る着陸料割の割増補正率を10倍(現行5倍)とする。
C 次のとおり激変緩和措置を講ずる。

年度
譲与割合
騒音世帯数
平成26年度 着陸料割 7/18
騒音世帯数割 11/18
平成23年度から平成25年度までの間における補正世帯数の平均の3分の2に相当する数と平成26年度における補正世帯数の3分の1に相当する数とを合算した数
平成27年度 着陸料割 4/9
騒音世帯数割 5/9
平成23年度から平成25年度までの間における補正世帯数の平均の3分の1に相当する数と平成27年度における補正世帯数の3分の2に相当する数とを合算した数
平成28年度以降 着陸料割 1/2
騒音世帯数割 1/2
当該年度における補正世帯数

D その他所要の措置を講ずる。

五 国際課税
1 国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更)
(国 税)
(1)外国法人の国際課税原則の見直し
  外国法人に対する課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法を、2010年改訂後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直す。
(2)恒久的施設に帰せられる所得の位置づけ
  外国法人がわが国に有する恒久的施設(Permanent Establishment)(以下「PE」という。)に帰せられる所得(以下「PE帰属所得」という。)を、従来の国内事業所得に代えて国内源泉所得の一つとして位置づける。
(3)PE帰属所得の算定
@ PE帰属所得
  PE帰属所得は、外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に当該PEに帰せられるべき所得とする。
A 内部取引
  PE帰属所得の算定においては、外国法人のPEと本店等との間の内部取引について、移転価格税制と同様に、独立企業間価格に基づく損益を認識する。
B PEへの資本の配賦及びPEの支払利子控除制限
  外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべき資本(以下「PE帰属資本」という。)をPEに配賦する。また、外国法人のPEの自己資本相当額がPE帰属資本の額に満たない場合には、外国法人のPEにおける支払利子総額(外国法人のPEから本店等への内部支払利子及び本店等から外国法人のPEに費用配賦された利子を含む。)のうち、その満たない部分に対応する金額について、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入しない。
(4)外国法人に係る外国税額控除制度の創設
  外国法人のPEのための外国税額控除制度を創設する。
(5)内国法人の外国税額控除
  内国法人が国外に有するPEに帰せられる所得(以下「国外PE帰属所得」という。)を国外源泉所得の一つとして定義し、内国法人の外国税額控除に関して国外PE帰属所得を算定する際には、上記(3)に準じて内部取引等を勘案する。
(6)その他
@ 文書化
  PEと本店等との間の内部取引の存否及び内容を明確にするための文書を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示し、又は提出しなければならないこととする。
A 個人課税
  非居住者(個人)課税については、原則として、帰属主義に変更する外国法人に準じた取扱いとする。また、居住者(個人)課税についても、原則として、帰属主義に変更する内国法人に準じた取扱いとする。
(7)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用する。
(以上につき付記参照)
(地方税)
(1)国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更)
  非居住者及び外国法人に対する国税の課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法が、2010年改訂後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直されることに伴い、個人住民税、法人住民税及び事業税について、原則として、帰属主義に変更する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税並びに平成30年度分以後の個人住民税について適用する。
(以上につき付記参照)
2 その他
(国 税)
(1)民間国外債等の利子の非課税制度について、平成28年1月1日前に発行された特定民間国外債は、同日以後も目論見書等の記載事項の要件を満たす特定民間国外債として、当該記載事項の変更を要しないこととする。
(2)振替割引債の差益金額等の課税の特例の対象となる特定振替割引債のうち振替国債及び振替地方債については、特殊関係者に関する書類の提出を要しないこととする。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に特定振替割引債の償還金が支払われる場合について適用する。
(3)国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、その対象となる非関連者を通じた取引の範囲に役務提供取引等を加える。

六 納税環境整備
1 猶予制度の見直し
(国 税)
猶予制度について、次の措置を講ずる。
(1)換価の猶予の特例(申請)の創設
@ 税務署長は、滞納者につき国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その国税の納期限から6月以内にされたその者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、換価の猶予をすることができることとする。ただし、その申請に係る国税以外の国税(猶予の申請中の国税及び一定の猶予中の国税を除く。)について滞納がある場合は、この限りでないこととする。
A 上記@の換価の猶予をする場合には、その猶予に係る国税(その納付を困難とする金額として、滞納国税の額から納付可能な額を控除した一定の額を限度とする。)の納付については、税務署長においてやむを得ない理由があると認める場合を除き、その猶予期間内において、毎月納付の方法により、その猶予に係る金額をその者の財産の状況及び納付能力からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させなければならないこととする。
B 税務署長は、上記@の換価の猶予をした場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、滞納者の申請に基づき、その期間を延長(当初の猶予期間と併せて2年間を限度)することができることとする。
C 換価の猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請をしようとする者は、次の事項を記載した申請書に、財産目録及び収支の状況等を明らかにする一定の書類を添付した上で提出しなければならないこととする。
イ 国税を一時に納付することによりその事業の継続若しくはその生活の維持を困難にする事情の詳細又は猶予期間を延長する場合のその期間内に納付することができない理由
ロ 猶予を受けようとする金額及びその分割納付の方法
ハ 担保の種類、数量、価額及び所在その他担保に関し参考となるべき事項
ニ その他必要な事項
D 上記の他、延滞税の軽減については換価の猶予(職権)と同様とし、担保の徴取基準、猶予の申請手続(猶予の不許可事由、申請に係る補正の手続等、猶予の取消事由)については、見直し後の納税の猶予(下記(2)@及びCからEまでを参照)と同様とする。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に納期限が到来する国税について適用する。
(2)納税の猶予及び換価の猶予(職権)の見直し
@ 担保の徴取基準の見直し
イ 要担保徴取額の最低限度額を100万円(現行50万円)に引き上げる。
(注)所得税及び相続税の延納の担保並びに移転価格税制に係る納税の猶予の担保についても同様とする。
ロ 猶予期間が3月以内の場合には担保を不要とする。
(注)所得税の延納の担保及び移転価格税制に係る納税の猶予の担保についても同様とする。
A 納付方法の見直し
イ 納税の猶予をする場合 その猶予期間内において、その猶予に係る金額をその者の財産の状況及び納付能力からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付する方法を定めることができることとする。
ロ 換価の猶予をする場合 上記(1)Aと同様とする。
B 申請・添付書類の整備
イ 納税の猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請をしようとする者は、その猶予の種類等に応じ、猶予該当事実の詳細、猶予を受けようとする金額・期間、分割納付の方法その他必要な事項を記載した申請書に、猶予該当事実を明らかにする書類、財産目録及び収支の状況等を明らかにする一定の書類を添付(災害等による納税の猶予の場合で提出が困難な場合を除く。)した上で提出しなければならないこととする。
ロ 換価の猶予(その猶予期間の延長を含む。)をする場合において、税務署長は、必要があると認める場合には、財産目録及び収支の状況等を明らかにする一定の書類が添付された分割納付計画書の提出を求めることができることとする。
C 猶予の不許可事由の整備
  税務署長は、納税の猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、その猶予を認めないことができることとする。
イ 滞納者の財産につき強制換価手続が開始された場合等一定の場合において、その者がその猶予に係る国税を猶予期間内に完納することができないと認められるとき
ロ 申請に係る事項についての職員の質問に対して答弁せず、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
ハ 不当な目的で猶予の申請がなされたとき、その他その申請が誠実にされたものでないとき
D 申請に係る補正の手続等
  提出された申請書若しくは必要な提出書類について記載不備があった場合又は必要な提出書類の提出がなかった場合には、税務署長はこれらの書類の補正又は提出を申請者に請求することができることとする。この場合において、請求後20日以内にこれらの書類について補正又は提出がされなかった場合には、納税の猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請は取り下げたものとみなすこととする。
E 猶予の取消事由の整備
  猶予の取消し(猶予期間の短縮を含む。)の事由について、次の場合をその対象に加える。
イ 上記Aにより定めた分割納付の方法により国税を納付しないとき(税務署長がやむを得ない理由があると認めるときを除く。)
ロ 新たに猶予に係る国税以外の国税を滞納したとき(税務署長がやむを得ない理由があると認めるときを除く。)
ハ 偽りその他不正な手段により猶予の申請がされ、その申請に基づき猶予をしたことが判明したとき
F 納税の猶予の申請に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる納税の猶予の申請又は同日以後に行われる換価の猶予に係る国税について適用する。
(3)その他所要の措置を講ずる。
2 税理士制度の見直し
  税理士制度について、申告納税制度の円滑かつ適正な運営に資するよう、税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から、次の見直しを行う。
(1)租税教育への取組の推進
  税理士会及び日本税理士会連合会の会則に記載すべき事項について、租税に関する教育その他知識の普及及び啓発活動に関する規定を、その対象に加える。
(2)調査の事前通知の規定の整備
  税務官公署の当該職員は、租税の課税標準等を記載した申告書を提出した者について調査する場合において、その租税に関し税理士法第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、国税通則法等の定めるところにより、当該税理士に対し調査の事前通知をしなければならないこととする。
(注)上記の改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知について適用する。
(3)報酬のある公職に就いた場合の税理士業務の停止規定等の見直し
  報酬のある公職に就いた場合の税理士業務の停止等について、兼業禁止規定がない一定の公職に就いた者を、その対象から除外する。併せて、非税理士に対する名義貸しの禁止規定及びその違反に対する罰則を設ける。
(4)税理士試験の受験資格要件の緩和
  一定の事務又は業務に一定期間従事したことにより認められる受験資格について、その従事期間を2年以上(現行3年以上)とする。
(5)補助税理士制度の見直し
  他の税理士又は税理士法人の補助者として常時税理士業務に従事する税理士(補助税理士)について、その所属する他の税理士又は税理士法人の承諾を得て、他人の求めに応じ自ら税理士業務の委嘱を受ける場合の手続を設ける。その業務範囲の見直しに伴い、その名称の変更、登録事項及び税務書類等への付記の見直し等所要の措置を講ずる。
(6)公認会計士に係る資格付与の見直し
  税理士の資格について、現行税理士法第3条第1項及び第2項とは別に、公認会計士は、公認会計士法第16条に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、一定の税法に関する研修を受講することとする旨の規定を設けることとする。
(注1)上記の税法に関する研修は、次のとおりとする。
@ 実務補習団体等が実施する税法に関する研修を国税審議会が指定する。
A 指定する研修は、税法に属する試験科目の合格者と同程度の学識を習得することができる研修とする。
(注2)上記の改正は、平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者について適用する。
(7)税理士に係る懲戒処分の適正化
  税理士に係る懲戒処分のうち、税理士業務の停止について、その期間を2年以内(現行1年以内)とする。
(8)懲戒免職等となった公務員等に係る税理士への登録拒否事由等の見直し
  懲戒免職等となった公務員等が、欠格期間を経過した後に税理士の登録申請をした場合において、その登録を拒否することができることとする等所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後の登録申請について適用する。
(9)事務所設置の適正化
  税理士の登録事務について、日本税理士会連合会及びその登録申請等に係る税理士会は、その申請者等に対し、事務所の所在地等の登録事項(変更登録を含む。)に関し、必要に応じ、指導又は助言を行うことができることとする。
(10)税理士証票の定期的交換
  税理士証票について、税理士は、日本税理士会連合会及びその所属する税理士会の会則の定めるところにより、定期的にその交換を受けなければならないこととする。
(11)電子申告等に係る税理士業務の明確化
  電子申告等の電子情報処理組織を使用して行う業務について、税理士業務に含まれることを明確化する。
(12)会費滞納者に対する処分の明確化
  税理士会の会費を滞納する者に対して、懲戒処分をすることができる旨を明確化する。
(13)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、(2)、(6)、(8)及び(11)を除き、平成27年4月1日から適用する。
3 国税不服申立制度の見直し
(国 税)
  国税に関する不服申立て手続について、行政不服審査法の見直しに伴い、次に掲げる所要の規定の整備を行う。
(1)処分に不服がある者は、直接審査請求ができることとする(現行「異議申立て」と「審査請求」の2段階の不服申立前置)。なお、現行の審査請求に前置する「異議申立て」は「再調査の請求(仮称)」に改める。
(2)不服申立期間を処分があったことを知った日の翌日から3月以内(現行2月以内)に延長する。
(3)審理関係人(審査請求人、参加人及び処分庁)は、担当審判官の職権収集資料を含め物件の閲覧及び謄写を求めることができることとする(現行 審査請求人及び参加人の処分庁提出物件の閲覧のみ)。
(4)審査請求人の処分庁に対する質問、審理手続の計画的遂行等の手続規定の整備を行う。
(5)国税庁長官の法令解釈と異なる解釈等による裁決をするときは、国税不服審判所長は、あらかじめその意見を国税庁長官に通知しなければならないこととする。国税庁長官は、国税不服審判所長の意見を相当と認める一定の場合を除き、国税不服審判所長と併せて国税審議会に諮問することとする。国税不服審判所長は、その議決に基づいて裁決しなければならないこととする。
(6)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、(5)を除き、改正行政不服審査法の施行の日から適用する。
(地方税)
地方税に関する不服申立て手続について、行政不服審査法の見直しに伴い、次に掲げる所要の規定の整備を行う。
(1)督促に欠陥があることを理由とする不服申立期間を、差押えに係る通知を受けた日(その通知がないときは、その差押えがあったことを知った日)の翌日から3月以内(現行30日以内)に延長する。
(2)固定資産の価格に係る不服審査について、審査の申出をすることができる期限を、納税通知書の交付を受けた日後3月以内(現行60日以内)に延長する。
(3)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、改正行政不服審査法の施行の日から適用する。
4 その他
(国 税)
(1)公売財産の見積価額について、税務署長は、近傍類似又は同種の財産の取引価格、公売財産から生ずべき収益、公売財産の原価その他の公売財産の価格形成上の事情を適切に勘案して、決定しなければならないこととする。また、その決定をする場合において、差押財産を公売するためのものであることを考慮しなければならないこととする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行う見積価額の決定について適用する。
(2)公売又は随意契約による売却について、差押財産を、相互の利用上、他の差押財産(滞納者を異にするものを含む。)と一括して同一の者に買い受けさせることが相当と認めるときは、これらの差押財産を一括して売却できることとする。また、差押財産が一括して売却された場合において、各差押財産ごとに売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各差押財産の見積価額に応じて按分して得た額とする(各差押財産ごとの滞納処分費の負担についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行う公売公告に係る公売又は見積価額の決定に係る随意契約による売却について適用する。
(3)差押財産について、3回公売に付しても買受けの申込みがなかった場合において、差押財産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に換価に付してもなお買受人がないと認められるときは、その差押えを解除することができることとする。
(4)所轄税務署長は、差し押さえた財産を換価するために必要があると認めるときは、国税局長又は他の税務署長に滞納処分の引継ぎをすることができることとする。また、所轄税関長は差し押さえた財産を換価するために必要があると認めるときは、他の税関長に滞納処分の引継ぎをすることができることとする。
(5)税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人の同意がある場合として税理士法第30条の規定による書面にその旨の記載がある場合には、当該納税者への通知に代えて、税務代理人への通知ができることとする。
(注)上記の改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知について適用する。
(地方税)
(1)税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人の同意がある場合として税理士法第30条の規定による書面にその旨の記載がある場合には、当該納税者への通知に代えて、税務代理人への通知ができることとする。
(注)上記の改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知について適用する。

七 関税
1 暫定税率等の適用期限の延長
(1) 平成26年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(433品目)について、その適用期限を平成27年3月31日まで延長する。
(2) 平成26年3月31日に適用期限の到来する特別緊急関税制度及び牛肉・豚肉に係る関税の緊急措置(牛肉の発動基準数量の算出基礎の特例を含む。)について、その適用期限を平成27年3月31日まで延長する。
2 暫定的減免税制度の適用期限の延長
(1) 平成26年3月31日に適用期限の到来する航空機部分品等の免税制度について、その適用期限を平成29年3月31日まで延長する。
(2) 平成26年3月31日に適用期限の到来する加工再輸入減税制度について、その適用期限を平成29年3月31日まで延長する。
3 減免税制度の対象拡充
(1) 地方公共団体等が経営する博物館等に陳列する標本等に対する免税措置の対象に、地方独立行政法人が管理する博物館等に陳列する標本等を追加する。
(2) 幼稚園等において使用する教育用物品に対する免税措置の対象に、幼保連携型認定こども園において使用する教育用物品を追加する。
(3) 幼稚園、保育所等において使用する給食用脱脂粉乳に対する減税措置の対象に、幼保連携型認定こども園及び小規模保育事業等において使用する給食用脱脂粉乳を追加する。
4 通関手続の迅速化等
(1) 入国者の輸入貨物(携帯品・別送品)に対する簡易税率については、現行水準(酒類(蒸留酒300円/?、その他200円/?)、その他の物品15%)を維持する。
(2) 少額輸入貨物に対する簡易税率の適用対象を「10万円以下の貨物」から「20万円以下の貨物」に拡大する。
5 その他
  行政不服審査法の見直しに伴う関税の不服申立て制度に係る所要の措置、中国のWTO加入議定書(条約)の一部失効に伴う関係規定の削除等を行う。

第三 検討事項
1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意して、年金制度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。

2 医療費控除については、長らく基本的な制度変更は行われておらず、その間の医療費の増大や医療・医薬品を取り巻く環境変化、当該控除に係る執行面の実情等を踏まえ、公正な課税を確保するため、対象となる医療費の範囲や適用下限額の見直し、適正な執行の確保等について、そのあり方を総合的に検討する。

3 NISAについては、投資家のすそ野を広げ、経済成長に必要な成長資金の供給を拡大する観点から、措置の実績や効果の検証等を踏まえ、引き続き検討する。
デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、意図
的な租税回避の防止に十分留意し、引き続き検討する。
4 寄附金税制については、これまでの制度拡充の効果等を踏まえ、所得控除による対応を基本としている所得税において税額控除を適用する場合の対象範囲等についての考え方や、控除の選択制の適否を含めた控除方式のあり方等について、主要国の制度も参考にしつつ総合的に検討し、早期に具体的な結論を得る。

5 小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人に対する課税のバランスを図るための外国の制度も含め幅広い観点から検討する。

6 寡婦控除については、家族のあり方にも関わる事柄であることや他の控除との関係にも留意しつつ、制度の趣旨も踏まえながら、所得税の諸控除のあり方の議論の中で検討を行う。

7 地域医療を担う医療法人の医業継続に係る税制のあり方については、新たに創設する医業継続のための相続税等の納税猶予の効果を見極めつつ、医療法人制度上の課題を検討した上で、医業継続の実効性確保や課税の公平性等の観点から検討する。

8 低炭素化設備の普及を目的とした贈与税の特例措置については、環境政策上の位置付けやその中における当該設備の購入に係る実質的負担、対象設備や他分野への波及、金融商品を対象とすることによる問題点、生前贈与による相続課税の回避を防止するという贈与税の役割、既存の特例措置の趣旨等を踏まえ、引き続き検討する。

9 投資法人等の課税については、税会不一致等による投資法人等の活動の制約の解消を図る観点から、平成27年度税制改正に向けて、運用対象資産の範囲を含む投資法人制度及びその会計基準と課税のあり方について、わが国における投資法人の活動実態、諸外国における制度・事例や通常法人との課税の公平性にも留意しつつ、検討する。

10 日本郵便株式会社等に係る税制上の措置については、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保のために必要な措置の実現に向けた検討とともに、引き続き所要の検討を行う。

11 医療に係る税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ適切な措置を講ずることができるよう、医療保険制度における手当のあり方の検討等と併せて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。

12 国境を越えた役務の提供等に対する消費税の課税のあり方については、国際機関や欧州諸国における対応状況等を踏まえ、内外判定基準の見直し及びそれに応じた適切な課税方式について、リバースチャージ方式の導入も含めて、平成27年度税制改正に向けて具体的に検討する。

13 酒税については、同一の分類に属する酒類間における税率格差が、商品開発や販売数量に影響を与え、それがひいては、酒税の減収にもつながっている。
  このため、類似する酒類間の税負担の公平性の観点や厳しい財政状況、財政物資としての酒類の位置付け等を踏まえ、同一の分類に属する酒類間の税率格差を縮小する方向で見直しを行うこととし、速やかに結論を得るよう検討を進める。その際、必要に応じ、税率構造の簡素化や各酒類の定義の見直し等も検討する。

14 原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

15 わが国は、本年11月に開催された気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)において、2020年の温室効果ガス削減目標を、2005年比で3.8%減とすることを表明した。この目標を確実に達成するためには、排出抑制対策と森林吸収源対策の両面から、多様な政策への取組みを推進していかなければならない。
  こうした中、地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例措置を講じているが、この税収はエネルギー起源CO?排出抑制のための諸施策の実施のための財源として活用することとなっている。
  一方、森林吸収源対策については、国土保全や地球温暖化防止に大きく貢献する森林・林業を国家戦略として位置付け、造林・間伐などの森林整備を推進することが必要であるが、安定的な財源が確保されていない。このため、税制抜本改革法第7条の規定に基づき、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて専門の検討チームを設置し早急に総合的な検討を行う。

16 事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。

17 現在、電気供給業、ガス供給業及び保険業については、収入金額による外形標準課税が行われている。今後、これらの法人の地方税体系全体における位置付けや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引き続き検討する。

18 設備投資促進を目的とした固定資産税の償却資産課税に関する税制措置については、固定資産税が基礎的自治体である市町村を支える安定した基幹税であることを踏まえ、政策目的とその効果、補助金等他の政策手段との関係、新たな投資による地域経済の活性化の効果、市町村財政への配慮、実務上の問題点など幅広い観点から、引き続き検討する。

19 利用の効率化及び高度化の促進が必要な農地に対する課税については、農地中間管理機構による事業の実施状況、制度・規制面での環境整備の状況、農地間の税負担の公平性等を勘案しながら、保有に係る課税の強化・軽減等の方策について、総合的に検討する。

20 セルフメディケーション(自己治療)の推進の重要性にかんがみ、効果的な予防サービスや健康管理の充実の観点から、今後のセルフメディケーションの推進に資する薬局の役割や機能に関する制度設計を踏まえ、その税制のあり方について検討する。

【付記】国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更)
(国 税)
一 外国法人に対する課税
1 外国法人の国際課税原則の見直し
  外国法人に対する課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法を、2010年改訂後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直す。
2 国内源泉所得の範囲
(1)外国法人がわが国に有する恒久的施設(Permanent Establishment)(以下「PE」という。)に帰せられる所得(以下「PE帰属所得」という。)を、従来の国内事業所得に代えて国内源泉所得の一つとする。
(2)国内源泉所得とされる国内資産譲渡所得の範囲については、国内不動産、国内不動産関連株式及び事業譲渡類似株式の譲渡所得その他の譲渡所得で、現行制度上、わが国にPEを有しない外国法人(以下「Non-PE外国法人」という。)において課税対象となる資産の譲渡所得と同様のものに限ることとする。
3 PEを有する外国法人のPE帰属所得以外の国内源泉所得に対する課税
  わが国にPEを有する外国法人のPE帰属所得以外の国内源泉所得については、PE帰属所得とは分離して課税することとし、Non-PE外国法人が得る国内源泉所得と同様の課税関係とする。
4 PE帰属所得
(1)PE帰属所得
@ PE帰属所得の考え方
PE帰属所得は、PEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に当該PEに帰せられる所得とする。
A 支店形態以外のPEの取扱い
支店形態以外のPE帰属所得についても、支店形態のPEと同様に取り扱う。
(2)PEと本店等との間の内部取引
@ 内部取引損益の認識
PE帰属所得の算定においては、PEと本店等との間の内部取引について損益を認識する。
A 内部取引に対する移転価格課税等の適用
イ 内部取引価格が独立企業間価格と異なることによりPE帰属所得が過少となっている場合には、移転価格税制と同様に、内部取引価格を独立企業間価格に引き直して、PE帰属所得を計算する。
ロ 更正期限を延長する特例、同業者に対する質問検査権、内部取引に係る独立企業間価格の算定に関する文書の作成及び当該文書の提示又は提出がない場合の推定課税についても、移転価格税制と同様とする。
ハ PEから本店等に対する寄附に相当する内部取引が行われた場合には、国外関連者に対する寄附金と同様に全額損金不算入とする。
B 特定の種類の内部取引の取扱い
イ PEと本店等との間での内部保証取引に係る保証料及び内部再保険取引に係る再保険料については、内部取引として認識しない。
ロ 2010年改訂前のOECDモデル租税条約第7条に相当する租税条約の規定の適用がある場合には、PEと本店等との間での無形資産の内部使用料及び一般事業会社の内部利子を認識しない。
C 資本等取引
  本店からPEへの支店開設資金の供与やPEから本店への利益送金等については、資本等取引として擬制する。
D 内部取引に係る源泉課税
  PEから本店等に対する内部支払利子等のみなし支払に関しては、わが国の源泉課税を行わない。
(3)PE帰属所得の計算
@ 単純購入非課税
  PEが本店等のために行う単なる購入活動からは所得が生じないものとする単純購入非課税の取扱いは、廃止する。
(注)単純購入非課税の取扱いを認める租税条約の適用がある場合には、当該租税条約に定めるところによる。
A 保険会社であるPEへの投資資産及び投資収益の帰属
  保険会社であるPEが計上した投資資産の額が、PEの責任準備金等に応じてPEに帰せられるべき投資資産の額に満たない場合には、その満たない投資資産の額(以下「投資資産不足額」という。)に対応する投資収益の額を、PEに帰せられる収益の額として、PE帰属所得の計算上、益金の額に算入する。
  ただし、次のいずれかに該当する場合には、この措置は適用しない。
イ 投資資産不足額がPEに帰せられるべき投資資産の額の10%以下である場合
ロ 投資資産不足額に対応する投資収益の額が1,000万円以下である場合
ハ PEの総資産の額(本支店勘定相当額を除く。)が総負債の額及び一定の純資産の額の合計額(本支店勘定相当額を除く。)を超える場合
B 費用配賦
  本店等で行う事業とPEで行う事業に共通する費用を合理的な基準でPEに配賦した場合には、PEにおける費用として認める。
ただし、費用配賦の算定に関する書類の保存がない場合には、損金算入を認めない。
  なお、その保存がない場合であっても、その保存がなかったことについてやむを得ない事情があると認められるときには、その書類の提出があった場合に限り、損金算入を認める。
C PEの譲渡による所得
  PEが外部に譲渡される場合には、その譲渡による所得はPE帰属所得とする。
D PEの閉鎖等の場合の時価評価等
イ 時価評価損益の計上
  PEが閉鎖等に伴ってPEに該当しないこととなる場合には、その該当しないこととなる直前のPEに帰せられる資産(以下「PE帰属資産」という。)の時価評価損益を、PEの閉鎖等の日の属する事業年度のPE帰属所得として認識する。
ロ 繰り延べた損益の計上
(イ)長期割賦販売につき繰り延べた収益の額及び費用の額がある場合には、PEの閉鎖等の日の属する事業年度において益金の額及び損金の額に算入する。
(ロ)国庫補助金に係る特別勘定等を設けている場合には、PEの閉鎖等の日の属する事業年度において取り崩して、益金の額に算入する。
(ハ)その他繰り延べた一定の損益を、PEの閉鎖等の日の属する事業年度において益金の額又は損金の額に算入する。
ハ 繰越欠損金
PE帰属所得に係る繰越欠損金は、PEの閉鎖等に伴い消滅するものとする。
(4)PEへの資本の配賦及びPEの支払利子控除制限
@ 支払利子控除制限
  PEの自己資本相当額が、PEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべき資本(以下「PE帰属資本」という。)の額に満たない場合には、PEにおける支払利子総額(PEから本店等への内部支払利子及び本店等からPEに費用配賦された利子を含む。)のうち、その満たない部分に対応する金額について、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入しない。
A PE帰属資本の額
  PE帰属資本の額は、次のいずれかの方法によって計算した金額とする。
  ただし、選択した方法は、特段の事情がない限り、継続して適用する。
イ 資本配賦アプローチ
(イ)資本配賦アプローチは、外国法人の自己資本の額に、外国法人の資産の額に対するPE帰属資産の額の割合を乗じて、PE帰属資本の額を計算する方法とする。
(ロ)外国法人の資産の額及びPE帰属資産の額は、信用リスク、市場リスク、業務リスク及びその他のリスクを考慮した金額(以下「リスクウェイト資産の額」という。)とする。
なお、金融機関以外の外国法人については、資産の帳簿価額とすることも認める。
(ハ)外国法人の自己資本の額及び外国法人の資産の額は単体ベースの金額を原則とするが、外国法人の自己資本比率が著しく低い場合その他の場合には、連結ベースの自己資本の額及び資産の額とする。
ロ 過少資本アプローチ
(イ)過少資本アプローチは、わが国において同種の事業を行う法人で事業規模その他の状況が類似するもの(以下「比較対象法人」という。)の資産の額に対する自己資本の額の割合をPE帰属資産の額に乗じて、PE帰属資本の額を計算する方法とする。
(ロ)比較対象法人の資産の額及びPE帰属資産の額はリスクウェイト資産の額とする。
なお、金融機関以外の外国法人については、比較対象法人の負債資本比率を用いてPE帰属資本を計算することも認める。
(ハ)比較対象法人の自己資本比率が著しく低い場合には、その値を比較対象として用いることができない。
(5)銀行又は証券業を営むPEに帰せられる一定の負債利子の損金算入
  銀行又は証券業(第一種金融商品取引業に限る。)を営む外国法人の規制上の自己資本のうちに負債に該当するものがある場合には、規制上の自己資本とされる負債につき当該外国法人が支払った利子のうち、上記(4)AによりPE帰属資本の額に応じてPEに配賦した金額は、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入する。
(6)PEに対する過少資本税制及び過大支払利子税制の適用
@ PEに対する過少資本税制の適用
資本の配賦に基づいてPEの支払利子の損金算入を制限する上記(4)の措置の導入に伴い、PEにおいて損金算入される支払利子を算定する上で、過少資本税制は適用しない。
A PEに対する過大支払利子税制の適用
イ PEから本店等に対する内部支払利子を、PEに対する過大支払利子税制の対象となる関連者支払利子等に含める。
(注)本店等からPEに費用配賦された利子で関連者等に対する支払利子に相当するものは、従来どおり、関連者支払利子等に含まれる。
ロ 上記(5)により銀行又は証券業(第一種金融商品取引業に限る。)を営むPEに配賦される負債利子のうち、関連者等に対する支払利子に相当する部分については、過大支払利子税制の対象となる関連者支払利子等に該当しないこととする。
(7)PE帰属所得に係る文書化等
  PEを有する外国法人は、次の書類を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示し、又は提出しなければならない。また、PEと本店等との間の内部取引について、外国法人と第三者との外部取引と同様に、帳簿に記載しなければならない。
@ 外部取引に関する書類
  外部取引から生ずる所得がPEに帰せられるものについての取引に係る明細を記載した書類その他の書類
A 内部取引に関する書類
イ PEと本店等との間の内部取引に関する注文書、送り状、領収書等の証憑類に相当する書類
(注)上記イの書類は外国法人である青色申告法人の帳簿書類保存義務の対象とする。
ロ 内部取引においてPE及び本店等が果たす機能及び事実関係を示す書類その他の書類
(注)内部取引の内容に関する上記イ及びロの書類に加えて、内部取引に係る独立企業間価格の算定に関し、移転価格税制と同様の書類の作成を必要とする。
5 課税標準
(1)PEを有する外国法人
  PEを有する外国法人の課税標準は、PE帰属所得とPE帰属所得以外の国内源泉所得(以下「PE非帰属国内源泉所得」という。)とに区分することとし、これらを通算しない。
(2)Non-PE外国法人
  Non-PE外国法人の課税標準は、PE非帰属国内源泉所得とする。
6 繰越欠損金
(1)PEを有する外国法人
  PEを有する外国法人の繰越欠損金は、PE帰属所得に係る繰越欠損金とPE非帰属国内源泉所得に係る繰越欠損金とに区分することとし、それぞれPE帰属所得及びPE非帰属国内源泉所得から控除する。
(2)Non-PE外国法人
  Non-PE外国法人の繰越欠損金は、PE非帰属国内源泉所得に係る繰越欠損金とする。
7 税額の計算
(1)PEを有する外国法人
  PEを有する外国法人の法人税額は、PE帰属所得とPE非帰属国内源泉所得のそれぞれに税率を乗じて計算するものとする。
(注1)中小法人の軽減税率の適用については、PE帰属所得とPE非帰属国内源泉所得のそれぞれについて行う。
(注2)中小法人の軽減税率の対象となる中小法人の判定については、現行どおり、外国法人の資本及びその外国法人を含む企業グループ全体の状況に基づいて行う。
(2)Non-PE外国法人
  Non-PE外国法人の法人税額は、PE非帰属国内源泉所得に税率を乗じて計算するものとする。
8 外国法人のPEに係る外国税額控除
(1)基本的考え方
  外国法人のPEが本店所在地国以外の第三国で得た所得がPE帰属所得としてわが国の課税対象となることに伴い、PEのための外国税額控除制度を設ける。
(2)基本的な仕組み
  一括限度額方式、繰越控除等の基本的な仕組みは、内国法人における外国税額控除と同様とする。
(3)控除限度額の計算の基礎となる国外源泉所得の範囲
  控除限度額の計算の基礎となる国外源泉所得は、外国法人のPE帰属所得について、PE帰属所得のソースルールとは別に、それぞれの所得種類のソースルールで源泉地の判定をした場合に、国外で生じたものと認められる所得とする。
(4)控除の対象となる外国法人税
@ 原則
  控除の対象となる外国法人税は、外国法人に対して本店所在地国以外の第三国で課された外国法人税のうちPEに帰せられるものとする。
A 本店所在地国で調整されない外国源泉税の取扱い
  PEが本店所在地国への投資等から得る所得について本店所在地国で外国源泉税が課され、当該外国源泉税が本店所在地国において税額控除等の対象とならない場合には、当該外国源泉税は、PEにおける外国税額控除の対象となる外国法人税に該当する。
B 本店所在地国で全世界所得を対象に課された外国法人税の取扱い
  外国法人の本店所在地国において当該外国法人の全世界所得を対象に課された外国法人税は、PE帰属所得に対応する部分としてPEに配賦された場合であっても、PEにおける外国税額控除の対象となる外国法人税に該当しない。
(注)当該配賦された金額は、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入しない。
C 租税条約の限度税率
  PEが第三国から得る所得について第三国で課された外国法人税に関し、外国税額控除の対象とする金額は、その課された外国法人税のうちわが国と第三国との間の租税条約に定める限度税率によって計算される金額を限度とする。
(注)わが国と第三国との間の租税条約に定める限度税率を超える部分については、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入する。
9 納税義務
  PE帰属所得に対する法人税の納税義務者は当該PEを有する外国法人とする。
10 申告
(1)PEを有する外国法人
  PEを有する外国法人については、事業年度ごとにPE帰属所得(法人税の課税対象となるPE非帰属国内源泉所得を有する事業年度においては、当該PE非帰属国内源泉所得を含む。)に係る法人税の申告書を提出する。
(注)租税条約等の規定により法人税を非課税とされる国内源泉所得のみを有する場合は、当該申告書の提出を要しない。
(2)Non-PE外国法人
  Non-PE外国法人については、法人税の課税対象となるPE非帰属国内源泉所得を有する場合にのみ、当該PE非帰属国内源泉所得に係る法人税の申告書を提出する。
(注)租税条約の規定により法人税を非課税とされるPE非帰属国内源泉所得のみを有する場合は、当該申告書の提出を要しない。
11 適正な課税の確保
  外国法人のPE帰属所得及び税額の計算に関し、同族会社の行為計算否認規定に類似した租税回避防止規定を設ける。

二 内国法人に対する課税
1 外国税額控除の控除限度額の基礎となる国外源泉所得
(1)国外源泉所得の定義
  国内源泉所得以外の所得とされている国外源泉所得の範囲について、内国法人が国外に有するPEに帰せられる所得(以下「国外PE帰属所得」という。)、国外資産の運用保有所得、国外資産の譲渡所得、外国法人の発行する債券の利子及び外国法人から受ける配当等、積極的に定めることとする。
(2)国外資産譲渡所得の範囲
  国内源泉所得である国内資産譲渡所得の範囲と同様、国外源泉所得である国外資産譲渡所得の範囲も、国外不動産、国外不動産関連株式及び事業譲渡類似株式等の譲渡所得に相当するものに限ることとする。
2 国外PE帰属所得
(1)国外PE帰属所得の範囲
  国外源泉所得である国外事業所得の範囲を国外PE帰属所得とする。
(2)国外PE帰属所得の計算
  国外PE帰属所得の計算については、独立企業間価格による内部取引を勘案する等、原則として上記一4の外国法人のPE帰属所得の計算に準じて行う。
  ただし、次の点については、PE帰属所得の計算の場合と異なる取扱いとする。
@ 国外PEへの資本配賦及び国外PE帰属所得の加減算
イ 国外PEで計上された支払利子総額のうち、国外PEの自己資本相当額が国外PEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべき資本(以下「国外PE帰属資本」という。)の額に満たない部分に対応する金額について、国外PE帰属所得に加算する。
(注1)この取扱いは、確定申告書に計算明細を添付する等の要件を満たす場合に限り、適用する。
(注2)国外PE帰属資本の額の計算方法は、上記一4(4)Aで述べた方法と同様とする。
  なお、認識される全てのリスクのうちに信用リスクが占める割合が80%を超え、かつ、認識される全ての信用リスクのうち貸出債権に係る信用リスクが過半を占める銀行の国外PE帰属資本の額の計算については、貸出債権に係る信用リスクのみを用いて、リスクウェイト資産の額の計算を行うことを認める。
ロ 銀行又は証券業(第一種金融商品取引業に限る。)を営む内国法人については、規制上の自己資本のうち負債に相当するものがある場合には、その負債に係る利子のうち国外PE帰属資本に対応する部分の金額は、国外PE帰属所得から減算する。
A 国外PEの閉鎖時の時価評価等
  内国法人の国外PE帰属所得の算定においては、PE閉鎖時の時価評価損益の計上(上記一4(3)Dイ)及び繰り延べた損益の計上(上記一4(3)Dロ)は行わない。
B 国外PE帰属所得に係る繰越欠損金
  外国税額控除の控除限度額の計算の基礎となる当期の全世界所得金額及び当期の国外所得金額は、現行制度と同様、繰越欠損金の控除前の金額とする。
C 保険会社である国外PEへの投資資産及び投資収益の帰属
  保険会社である国外PEが計上した投資資産の額が、国外PEの責任準備金等に応じて国外PEに帰せられるべき投資資産の額を超過する場合には、その超える部分の金額(以下「投資資産超過額」という。)に係る投資収益の額を、国外PE帰属所得から減算する。
  ただし、次のいずれかに該当する場合には、この措置は適用しない。
イ 投資資産超過額が国外PEに帰せられるべき投資資産の額の10%以下である場合
ロ 国外PEが計上した投資資産の額が国外PEに係る内国法人の有する投資資産の総額の5%以下である場合
ハ 投資資産超過額に対応する投資収益の額が1,000万円以下である場合
3 国外PEの範囲
  国外PEの範囲は、租税条約の相手国等に所在するものについては租税条約に定めるPEとし、それ以外の場所に所在するものについては、わが国の国内法に定めるPEに相当するものとする。
4 外国税額控除の対象から除外する外国法人税
  国外PEから本店等に対する内部支払利子等のみなし支払について国外PEの所在地国において源泉課税された場合は、わが国の外国税額控除の対象としない。
5 国外PE帰属所得に係る文書化
(1)外国税額控除の適用を受けようとする場合には、国外PE帰属所得の算定に関し、上記一4(7)に相当する書類を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示し、又は提出しなければならない。
(2)国外PE帰属所得の算定においては、本店等で行う事業と国外PEで行う事業に共通する費用の国外PEへの配賦計算に関する書類を作成しなければならない。

三 その他所要の措置
1 個人課税
(1)非居住者(個人)への帰属主義の適用
  非居住者(個人)課税については、帰属主義に変更する外国法人の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(2)外国法人との差異
@ 税額計算
  非居住者(個人)の所得税額の計算においては、非居住者(個人)の総合的な所得を基準とし、これをPE帰属所得とPE非帰属国内源泉所得のうち総合課税の対象となるものとに区分しない。
A PEの閉鎖等に伴う時価評価
  非居住者(個人)のPE閉鎖等の場合においては、PE帰属資産の評価益に対して課税しないこととする。
(3)居住者(個人)課税
  居住者(個人)課税については、原則として、外国税額控除は内国法人に準じた取扱いとするとともに、帰属主義への変更に伴う所要の措置を講ずる。
2 その他
  その他所要の措置を講ずる。

四 適用時期
  上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用する。

(地方税)
一 非居住者及び外国法人に対する課税
1 非居住者及び外国法人に対する国税の課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法が、2010年改訂後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直されることに伴い、個人住民税、法人住民税及び事業税について、原則として国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
2 法人住民税均等割の税率の判定及び事業税資本割の算定に係る「資本金等の額」並びに事業税における外形標準課税対象法人の判定に係る「資本金の額又は出資金の額」については、PE帰属資本を用いず、現行どおりの取扱いとする。
3 国外で事業を行う内国法人等に係る事業税付加価値割、資本割、所得割及び収入割の算定については、国内事業に帰属するものを課税対象とする現行どおりの取扱いとする。
4 その他所要の措置を講ずる。

二 適用時期
  上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税並びに平成30年度分以後の個人住民税について適用する。
(別紙)新車新規登録から13年を経過した自家用の検査自動車(新車新規登録から18年を経過したものを除く。)に係る自動車重量税の税率の見直し
(単位:円)

車 種
車検
期間
 
現 行
改 正 案
平成26年4月1日〜
平成28年3月31日
平成28年4月1日以後
乗用自動車
2年
車両重量0.5tごと
10,000
10,800
11,400
1年
5,000
5,400
5,700
バス
1年
車両総重量1tごと
5,000
5,400
5,700
トラック
車両総重量
2.5t超
1年
5,000
5,400
5,700
車両総重量
2.5t以下
1年
3,800
3,900
4,100
特種車
2年
10,000
10,800
11,400
1年
5,000
5,400
5,700
小型二輪
2年
定額
4,400
4,400
4,600
1年
2,200
2,200
2,300
検査対象軽自動車
2年
7,600
7,800
8,200
1年
3,800
3,900
4,100