平成27年度税制改正大綱

平成26年12月30日
自由民主党
公明党

目次
第一 平成27年度税制改正の基本的考え方-----------------------1
第二 平成27年度税制改正の具体的内容-------------------------13
 一 個人所得課税--------------------------------------13
 二 資産課税------------------------------------------41
 三 法人課税------------------------------------------60
 四 消費課税------------------------------------------82
 五 国際課税------------------------------------------105
 六 納税環境整備--------------------------------------113
 七 関税---------------------------------------------122
第三 検討事項-------------------------------------------124

第一 平成27年度税制改正の基本的考え方

 安倍内閣は、これまで、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策(「アベノミクス」)を一体的に推進してきた。税制面においても、平成25年度及び平成26年度の税制改正を通じて、企業の賃金引上げや設備投資を促進するための措置等を、これまでになく大胆に講じてきた。こうした取組みもあり、就業者数や名目総雇用者所得の増加など雇用・所得環境は改善傾向が続くとともに、企業部門も高水準の経常利益を実現するなど、景気は緩やかな回復基調が続いている。
 他方、足下では個人消費等に弱さが見られ、平成26年7-9月期の実質GDP成長率が2四半期連続でマイナス成長となった。また、景気の回復状況にはばらつきがみられ、特に地方や中小企業ではアベノミクスの成果を十分に実感できていない。
 このような状況の下、経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期は平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。
 今後、デフレ脱却・経済再生をより確実なものにしていく必要がある。そのため、企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じてさらなる企業収益に結び付くという、経済の好循環を着実に実現していくことが重要である。税制においても、企業が収益力を高め、賃上げにより積極的に取り組んでいくよう促していく必要がある。こうした観点から、平成27年度から法人税改革に着手し、一部の黒字企業に税負担が偏っている状況を是正して、広く負担を分かち合う構造へと改革する。まず、平成27年度税制改正では、課税ベースの拡大等により財源を確保しつつ、経済の好循環の実現を力強く後押しするために税率引下げを先行させる。これにより、国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となる。さらに、引き続き、平成28年度以降の税制改正においても、20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続していく。
 わが国は急速な人口減少局面にあることに加え、地方においては東京圏等への人口流出と地域経済の縮小が進んでいる。こうした構造的な課題を克服するため、東京一極集中の是正や若い世代の結婚・子育ての希望の実現等を通じた地方創生に向けて、税制面で所要の措置を講ずる。
 自らの発想で特色を持った地域づくりができるよう、地方分権を推進し、その基盤となる地方税の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することが重要である。また、インフラ整備や治安、社会保障など、行政サービスの多くは地方公共団体が直接の担い手となっていることに鑑みれば、公共サービスの対価を広く公平に分かち合うという地方税の応益課税を強化することが重要である。
 経済のグローバル化の進展に対応するため、G20・OECDの枠組みにおける国際的な租税回避防止の取組みを踏まえ、納税者の信頼を確保し、また、国内外の事業者の競争条件を公平化する観点から、国境を越えた取引や人の動きに係る課税の適正化を図る。
 また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進めていく。
 東日本大震災からの復興について、その進捗状況を踏まえつつ、引き続き税制面からも強力に支援する。
 目下はデフレ脱却・経済再生に向けて税制を含めあらゆる政策資源を集中投入すべき状況にある。他方、税制は社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならない。
 もとより、税制の基本は財源調達機能にあることに鑑みれば、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性も念頭において、税制改正に取り組む必要がある。

  以下、平成27年度税制改正の主要項目について基本的考え方を述べる。

Ⅰ デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置
1 成長志向に重点を置いた法人税改革
(1)改革の趣旨
 今般の法人税改革は、欧米各国も行ってきたように「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変えるものである。すなわち、より広く負担を分かち合い、「稼ぐ力」のある企業や企業所得の計上に前向きな企業の税負担を軽減することで、企業の収益力の改善に向けた投資や新たな技術開発等への挑戦がより積極的になり、それが成長につながっていくように、法人課税の構造改革を行うものである。この改革を通じて、企業が収益力を高めれば、継続的な賃上げが可能な体質となり、より積極的な賃上げへの取組みが可能となる。これまで、企業に賃上げを促すために所得拡大促進税制を創設・拡充してきたが、今回、さらにその要件を緩和するとともに、法人事業税の外形標準課税においても、新たに所得拡大促進税制を導入し、企業の賃上げへの動き出しを一層力強く後押しする。
 経済界においては、今般の改革がもたらす経営環境の変化も踏まえ、収益力や生産性の向上に向けて一層の企業努力を行い、得られた利益を従業員や株主に適切に還元するとともに、取引先企業への支払単価を改善することを通じて、経済の好循環の実現に向けて積極的に貢献していくことを求めたい。
(2)改革の枠組み
 平成27年度を初年度とし、以後数年で、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す。その際、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するため、制度改正を通じた課税ベースの拡大等により、恒久財源をしっかりと確保する。
 税率引下げと課税ベースの拡大等の改革は、大きく分けて2段階で進めることとし、以下のとおり取り組む。
①第1段階として、平成27年度税制改正において、欠損金繰越控除の見直し、受取配当等益金不算入の見直し、法人事業税の外形標準課税の拡大、租税特別措置の見直しを行う。これらの改革に当たっては、地域経済を支える中小法人への影響に配慮して、大法人を中心に改革を行う。また、賃上げへの配慮措置や地域で雇用を支える中堅企業の負担増の軽減措置、改革を段階的に実施する等の激変緩和措置も講ずる。
 法人税については、平成29年度にかけて段階的に財源が確保されることとなるが、経済の好循環の実現を力強く後押しするために税率引下げを先行させることとし、平成27年度から、現行の25.5%から23.9%に引き下げる。また、大法人向けの法人事業税所得割(地方法人特別税を含む。)については、外形標準課税の拡大にあわせて、現行7.2%の標準税率を、平成27年度に6.0%、平成28年度に4.8%に引き下げる。これらにより、国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となる。
②第2段階として、平成28年度税制改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、平成28年度における税率引下げ幅の更なる上乗せを図る。さらに、その後の年度の税制改正においても、引き続き、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。このため、以下をはじめとして、幅広く検討を行う。
イ 大法人向けの法人事業税の外形標準課税の更なる拡大に向けて、平成27年度税制改正の実施状況も踏まえつつ、引き続き検討を行う。その際、分割基準や資本割の課税標準のあり方等について検討する。あわせて、外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。
ロ 生産性向上設備投資促進税制(平成28年度末期限)、所得拡大促進税制(平成29年度末期限)及び研究開発税制(増加型・高水準型は平成28年度末期限)については、経済の好循環の定着状況等を踏まえつつ、取扱いについて検討を行う。
ハ 減価償却については、中小事業者等における設備投資への影響に留意しつつ、経済の好循環の定着状況等を見極めながら、定額法への一本化について、検討を行う。
ニ 法人事業税の損金不算入化について、税の性格上は損金算入が自然であるとの考え方もある一方、地方独自の減税措置の効果が国税等の課税ベースの変動により減殺されてしまうことや、各税目の税負担が納税者にとって不明確となることを考慮しつつ、検討を行う。
ホ 租税特別措置については、毎年度、期限が到来するものを中心に、廃止を含めてゼロベースで見直しを行う。
③全法人の99%を占める中小法人(資本金1億円以下)については、軽減税率や各種の政策税制(例えば、中小企業投資促進税制)が適用されるほか、欠損金繰越控除の控除限度、特定同族会社の留保金課税、法人事業税の外形標準課税をはじめとする多くの制度において、大法人と異なる扱いが認められている。
 中小法人の実態は、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人まで区々であることから、そうした実態を丁寧に検証しつつ、資本金1億円以下を中小法人として一律に扱い、同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う。その上で、中小法人のうち7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、中小法人課税の全般にわたり、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き、幅広い観点から検討を行う。
④公益法人等については、非収益事業について民間競合が生じていないか、収益事業への課税において軽減税率とみなし寄附金制度がともに適用されることが過剰な支援となっていないかといった点について実態を丁寧に検証しつつ、その課税のあり方について引き続き検討を行う。
⑤協同組合等については、特に軽減税率のあり方について、事業分量配当の損金算入制度が適用される中で過剰な支援となっていないかといった点について実態を丁寧に検証しつつ、今般の法人税改革の趣旨に沿って、引き続き検討を行う。
2 高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化
 高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じて、すそ野が広く経済波及効果が大きい住宅需要を刺激するとともに、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅ストックの形成を促すことが重要である。また、消費税率引上げの前後における駆け込み需要及びその反動による住宅市場への影響を踏まえ、その影響の平準化及び緩和を図ることが必要である。そのため、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、適用期限を延長した上で拡充する。
3 投資家のすそ野拡大・成長資金の確保
 家計の安定的な資産形成を支援するとともに、経済成長に必要な成長資金を確保することが課題である。こうした観点から、若年層への投資のすそ野の拡大等を図るためジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)を創設するとともに、NISAの年間投資上限額の引上げを行う。

Ⅱ 地方創生・国家戦略特区
 「まち・ひと・しごと創生法」にも掲げられているとおり、「東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保」するとともに、「急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかける」ことが重要である。
 1東京圏への人口集中の是正・各地域での住みよい環境の確保
(1)地方拠点強化税制の創設
 人口の東京への過度な集中を是正するためには、地方の企業において雇用の場を確保し、人材を定着させることが必要である。このため、地方公共団体における計画的・戦略的な企業誘致の取組みと相まって、企業が、その本社機能等を東京圏から地方に移転したり、地方においてその本社機能等を拡充する取組みを支援するため、本社等の建物に係る投資減税を創設するとともに、雇用の増加に対する税額控除制度(雇用促進税制)の特例を設ける。
(2)ふるさと納税
 ふるさと納税を促進し、地方創生を推進するため、個人住民税の特例控除額の上限の引上げを行うとともに、確定申告が不要な給与所得者等がふるさと納税を簡素な手続で行える「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を創設する。これとあわせ、地方公共団体に対し、返礼品等の送付について、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を要請する。
(3)外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
 消費税免税店の拡大及び利便性向上を図る観点から、商店街やショッピングモール内などにおける免税手続きを、「免税手続カウンター」でまとめて行えるようにするなど、外国人旅行者向け消費税免税制度を拡充する。
2 国家戦略特区
 平成26年度に創設した国家戦略特区の税制については、わが国の経済再生に大きく寄与する事業を支援する観点から、特定中核事業の追加等を行うとともに、今後、各区域における実際の事業の実施状況を見極めた上で、特区に認定されなかった地域とのバランスや、地方創生や国際戦略総合特区等における他の税制との役割分担や整合性等に留意しつつ、引き続き検討する。
  なお、特区の事業が十分な効果を発揮するためには、国、地方公共団体及び民間事業者の緊密な連携が必要であり、事業推進のため、地方公共団体をはじめ地方における関係者の自主的な取組みが求められる。
3 少子高齢化の進展・人口減少への対応
(1)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
 将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる大きな要因の一つとなっていることを踏まえ、祖父母や両親の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を後押しするため、これらに要する資金の一括贈与に係る非課税措置を講ずる。
(2)学校法人等への個人寄附に係る税額控除制度の拡充
 少子化の進展に伴い、園児等の数が減少していく中で、幼稚園・保育所等の教育・子育ての環境の充実を図る観点から、学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件を緩和する。
(3)少子化への対応、働き方の選択に対する中立性の確保等の観点からの個人所得課税の見直し
 わが国においては、少子高齢化の進展・人口減少、働き方の多様化や所得格差の拡大等の社会・経済の構造変化が著しい。若い世代が結婚し子どもを産み育てやすい環境や女性が働きやすい環境を整備することが極めて重要な課題となっており、税制のみならず関連する諸制度を総合的に検討すべきである。その際、社会の基本は「自助」にあることを踏まえ、家族の助け合いの役割も正しく評価する必要がある。これらを踏まえ、個人所得課税について、効果的・効率的に子育てを支援する観点、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点を含め、社会・経済の構造変化に対応するための各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討する。

Ⅲ 社会保障・税一体改革
1 消費税率10%への引上げ時期の変更
 経済再生と財政健全化を両立するため、平成27年10月に予定していた消費税率10%への引上げ時期を平成29年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29年4月の消費税率10%への引上げは、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。
 消費税転嫁対策特別措置法の適用期限について、消費税率10%への引上げ時期の変更にあわせ、平成30年9月30日まで1年半延長することとし、引き続き消費税の円滑かつ適正な転嫁について万全な対応を進める。
2 消費税率引上げ時期の変更に伴う対応
(1)住宅取得等に係る措置
 消費税率引上げによる住宅投資への影響の平準化・緩和策である住宅ローン減税の拡充等の措置及び東日本大震災の被災者に対する再建住宅の取得等に係る住宅ローン減税の拡充措置について、消費税率引上げ時期の変更を踏まえて、その対象期間を平成31年6月30日まで1年半延長する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。また、一般の住宅取得及び被災者の住宅再建に係る給付措置の対象期間についても平成31年6月30日まで1年半延長する。なお、住宅市場に係る対策については、今般の経済対策を含むこれまでの措置の実施状況や今後の住宅着工の動向等を踏まえ、必要に応じて検討を行う。
(2)車体課税の見直し
 平成26年度与党税制改正大綱等における消費税率10%段階の車体課税の見直しについては、平成28年度以後の税制改正において具体的な結論を得る。
 自動車取得税及び自動車重量税に係るエコカー減税については、燃費基準の移行を円滑に進めるとともに、足下の自動車の消費を喚起することにも配慮し、経過的な措置として、平成32年度燃費基準への単純な置き換えを行うとともに、現行の平成27年度燃費基準によるエコカー減税対象車の一部を、引き続き減税対象とする等の措置を講ずる。
 自動車重量税については、消費税率10%への引上げ時の環境性能割の導入にあわせ、エコカー減税の対象範囲を、平成32年度燃費基準の下で、政策インセンティブ機能を回復する観点から見直すとともに、基本構造を恒久化する。また、平成25年度及び平成26年度与党税制改正大綱に則り、原因者負担・受益者負担の性格等を踏まえる。
 軽自動車税については、一定の環境性能を有する四輪車等について、その燃費性能に応じたグリーン化特例(軽課)を導入する。この特例については、自動車税・軽自動車税における環境性能割の導入の際に自動車税のグリーン化特例(軽課)とあわせて見直す。また、二輪車等の税率引上げについて、適用開始を1年間延期し、平成28年度分からとする。
 なお、消費税率10%段階の車体課税の見直しにおいては、税制抜本改革法第7条に沿いつつ、自動車をめぐるグローバルな環境や課税のバランス、自動車に係る行政サービス等を踏まえた議論を行う。
(3)地方法人課税の偏在是正
 平成26年度与党税制改正大綱における消費税率10%段階の地方法人課税の偏在是正については、平成28年度以後の税制改正において具体的な結論を得る。
3 消費税の軽減税率制度
 消費税の軽減税率制度については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。平成29年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める。

Ⅳ 固定資産税
 固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、今後ともその税収の安定的な確保が不可欠である。
 土地に係る固定資産税については、商業地等の据置特例の対象土地における税負担の不均衡や、現行の一般市街化区域農地の負担調整措置により生じている不均衡等の課題があるものの、平成9年度から負担水準の均衡化を進めてきた結果、負担水準の均衡化は相当程度進展してきている状況にある。一方、地価の状況は、アベノミクスにより、東京都心部は上昇し、地方圏も下げ止まりつつあるものの、力強さに欠ける状況にある。
 このような状況及び現下の最優先の政策課題はデフレ脱却であることを踏まえ、平成27年度から平成29年度までの間、土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する。
 その一方、今後、デフレから脱却し、地価が一定程度の上昇に転じる場合には、商業地等の負担水準がばらつき、負担の不均衡が再拡大する等の問題が生じ、商業地等の据置特例等の負担調整措置の見直しが必要となると考えられる。
 また、農地に関しては、早期の宅地化を期して市街化区域に編入された農地の税負担が長期にわたって低い状態にとどまるため、長く市街化区域内で営農されている農地との間での不均衡等の課題も生じている。これについては、都市農業の振興に係る措置の検討とあわせて、検討を進める必要がある。
 これらを踏まえ、次期評価替えまでの間において、デフレ脱却の動向を見極めつつ、これらの課題への対処について検討を進めるとともに、税負担の公平性や市町村の基幹税である固定資産税の充実確保の観点から、異なる用途の土地や他の資産との間の税負担の均衡化等、固定資産税の今後を見据えた検討を行う。

Ⅴ 国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和に向けた取組み
 現在、G20・OECDが推進している「BEPS(注)プロジェクト」や「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換」の取組みは、国際的な租税回避を各国協調して防止することで、公平な課税を実現し、税制に対する納税者の信頼を確保するとともに、節税を利用しない企業の競争条件を改善するものである。わが国においても、こうしたグローバルな取組みの趣旨を十分に踏まえ、国境を越えた取引や人の動きに係る課税の適正化に向けて取り組んでいく。
(注)Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転
 国内外の事業者間の競争条件の公平性を確保する観点から、国外事業者が国境を越えて行う電子商取引を消費税の課税対象とする。
 国際的な二重非課税を防止する観点から、外国子会社の所在地国において損金に算入される配当を外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外する。
 国境を越えた人の動きに係る租税回避を防止する観点から、出国時における株式等に係る未実現のキャピタルゲインに対する譲渡所得課税の特例を創設する。これにあわせて、現行の財産債務明細書について、所得税・相続税の申告の適正性を確保するため、記載内容を充実するなどの見直しを行う。その際、記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に配慮することとする。
なお、個人住民税に係る譲渡所得課税の特例の導入について、引き続き検討を行う。
 国際的な脱税及び租税回避を防止する観点から、非居住者の金融口座情報を租税条約等に基づき各国税務当局と自動的に交換するため、金融機関に対し非居住者の口座情報の報告を求める制度を整備する。
 健全な国際的投資交流の促進によりわが国経済を活性化する等の観点から、今後とも租税条約の締結・改正を推進し、租税条約ネットワークの迅速な拡充に努める。また、その実現に向けて、関係当局の体制強化等を進める。

Ⅵ 復興支援のための税制上の措置
 東日本大震災からの復興は最優先課題である。税制面でも引き続き復興を支援するため、福島の避難解除区域等に帰還して事業を再開しようとする事業者を対象に、投資費用を積み立てやすくするための準備金制度を創設する。住民の帰還促進など被災地域の復興再生を加速化する観点から、「一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設」(仮称)に係る都市計画事業による土地等の買取りに係る譲渡所得に対して、5,000万円特別控除等を適用する。
 また、消費税率引上げ時期の変更を踏まえて、東日本大震災の被災者に対する再建住宅の取得等に係る住宅ローン減税の拡充措置の対象期間及び被災者の住宅再建に係る給付措置の対象期間について、平成31年6月30日まで1年半延長する〔再掲〕。東日本大震災の被災者が住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、平成31年6月30日まで延長・拡充する。

Ⅶ 円滑・適正な納税のための環境整備
 国外居住親族に係る扶養控除等の適用の適正化の観点から、その適用を受ける納税者に対して、親族関係書類等の添付等を義務付ける。
 マイナンバーが付された預貯金情報を税務調査において効率的に利用できるようにする観点から、銀行等に対し預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することを義務付ける。
 納税者の国税関係書類の保存に係るコスト削減等を図る観点から、スキャナ保存制度の要件を緩和する。税務手続の電子化を促進する観点から、個人の納税者が行う電子申告において電子署名を不要としID・パスワードによる申告を可能とする等、電子申告の手続の簡素化を進める。
 地方税の猶予制度について、地方分権を推進する観点から一定の事項については条例で定めることとした上で、国税の昨年度の改正を踏まえた所要の見直しを行う。個人住民税等における還付加算金の起算日について所要の見直しを行う。
 また、税制を円滑かつ公平に執行するため、必要な定員の確保等の税務執行体制の一層の充実を図る。

第二 平成27年度税制改正の具体的内容

一 個人所得課税
1 金融・証券税制
(国税・地方税)
〔新設〕
(1)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置を次のように創設する。
①非課税措置の概要
イ 居住者等が、未成年者口座に設けた次に掲げる勘定の区分に応じそれぞれ次に定める期間内に支払を受けるべき当該勘定において管理されている上場株式等の配当等(当該未成年者口座において支払を受けるものに限る。)及び当該期間内に譲渡した当該上場株式等の譲渡所得等については、所得税を課さない。
(イ)非課税管理勘定当該非課税管理勘定を設けた日から同日の属する年の1月1日以後5年を経過する日までの期間
(ロ)継続管理勘定当該継続管理勘定を設けた日からその未成年者口座を開設した者がその年1月1日において20歳である年の前年12月31日までの期間
ロ 非課税管理勘定は、平成28年から平成35年までの各年(当該未成年者口座を開設している者が、その年1月1日において20歳未満である年及び出生した日の属する年に限る。)に設けることができることとし、毎年80万円を上限に、新たに取得した上場株式等及び同一の未成年者口座の他の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができる。
ハ 継続管理勘定は、平成36年から平成40年までの各年(当該未成年者口座を開設している者がその年1月1日において20歳未満である年に限る。)に設けることができることとし、毎年80万円を上限に、同一の未成年者口座の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができる。
(注)上記ロ及びハの80万円の上限は、新たに取得した上場株式等についてはその取得対価の額により、他の非課税管理勘定から移管がされる上場株式等についてはその移管の時の価額(時価)により判定する。
②未成年者口座
イ 未成年者口座とは、居住者等(その年1月1日において20歳未満である者及びその年に出生した者に限る。)が、本特例の適用を受けるため、金融商品取引業者等の営業所の長に対し、その者の氏名、住所及び個人番号等を記載した未成年者口座開設届出書に未成年者非課税適用確認書を添付して提出することにより平成28年から平成35年までの間に開設した口座(1人につき1口座に限る。)をいう。
ロ 未成年者口座で管理されている上場株式等につき支払を受ける配当等及び当該上場株式等を譲渡した場合におけるその譲渡代金等については、課税未成年者口座において管理されなければならない。
ハ 未成年者口座を開設した居住者等は、当該未成年者口座を開設した日から居住者等がその年3月31日において18歳である年(以下「基準年」という。)の前年12月31日までの間は、当該未成年者口座内の上場株式等を課税未成年者口座以外の口座に払い出すことはできない。ただし、当該居住者等が、その居住する家屋が災害により全壊したことその他これに類する事由(当該事由が生じたことにつき税務署長の確認を受けた場合に限る。以下「災害等の事由」という。)に基因して当該未成年者口座及び課税未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全てを払い出す場合は、この限りでない。
③課税未成年者口座
イ 課税未成年者口座とは、居住者等が未成年者口座を開設している金融商品取引業者等の営業所(当該金融商品取引業者等の関連会社の営業所を含む。)に開設した特定口座、預貯金口座又は預り金の管理口座をいう。
ロ 課税未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等は、当該課税未成年者口座を開設した居住者等の基準年の前年12月31日までは、その資金を未成年者口座における投資に用いる場合を除き、当該課税未成年者口座から払い出すことはできない。ただし、当該居住者等の災害等の事由に基因して当該課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全てを払い出す場合は、この限りでない。
④払出制限について要件違反があった場合の取扱い
イ 未成年者口座及び課税未成年者口座を開設した居住者等が、基準年の前年12月31日までに、これらの口座内の上場株式等及び預貯金等をこれらの口座から払出しをした場合には、当該払出しがあった日において上場株式等の譲渡又は配当等の支払があったものとして、次の金額に対して15%(他に地方税5%)の税率により源泉徴収を行う。
(イ)次に掲げる金額の合計額から、当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に当該未成年者口座において取得した上場株式等の取得対価の額等の合計額を控除した金額
a 当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に、当該未成年者口座において行われた上場株式等の譲渡に係る譲渡対価の額及び当該未成年者口座から課税未成年者口座に移管がされた当該移管の時における上場株式等の価額(時価)の合計額
b 当該払出しがあった日において当該未成年者口座において有する上場株式等の価額(時価)の合計額
(ロ)当該未成年者口座を開設した日から当該払出しがあった日までの間に当該未成年者口座において支払を受けた上場株式等の配当等の額の合計額
(注)上記(イ)の譲渡所得の金額の計算上損失が生じた場合には、その生じた損失の金額はなかったものとみなす。また、上記(ロ)の配当所得の金額から控除することもできない。
ロ 上記イにより源泉徴収された上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、確定申告不要制度を適用できる。
⑤年間取引報告書の税務署長への提出
 金融商品取引業者等は、未成年者口座においてその年中に生じた上場株式等の配当所得の金額及び譲渡所得等の金額その他の事項について報告書を作成し、これを翌年1月31日までに、税務署長に提出しなければならない。
⑥非課税口座(NISA口座)への移管等
イ その年1月1日において20歳である居住者等が同日に未成年者口座を開設している場合には、同日以後は、当該未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所に当該居住者等の非課税口座が開設されたものとみなすこととする。
ロ 金融商品取引業者等の営業所に開設されている未成年者口座の非課税管理勘定又は継続管理勘定において管理されていた上場株式等は、同一の金融商品取引業者等の営業所に開設されている非課税口座に移管できることとする。
(注)上記の制度は、平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申込みがされ、同年4月1日から当該未成年者口座に受け入れる上場株式等について適用する。ただし、これらの日が、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第1条第4号に定める日前となる場合には、同日からとする。
(2)国が直接支払う国債の利子について、国を当該利子に係る道府県民税利子割及び配当割の特別徴収義務者とするため所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に支払われる国債の利子について適用する。
〔拡充等〕
(1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
①非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額を、120万円(現行:100万円)に引き上げる。
(注)上記①の改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用する。
②非課税適用確認書の交付申請書の記載事項等の金融商品取引業者等の営業所の長から所轄税務署長への提供方法について、光ディスク等を提出する方法を廃止し、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法に一本化する。
③金融商品取引業者等の営業所の長が所轄税務署長の承認を受けた場合に当該所轄税務署長以外の税務署長に提供することができる事項の範囲に、次に掲げる事項を加える。
イ 居住者等から提出を受けた非課税口座異動届出書の記載事項
ロ 居住者等から提出を受けた非課税口座移管依頼書の記載事項
ハ 金融商品取引業者等に事業譲渡等があった場合の提供事項
④なお、個人番号を用いることによる非課税口座の開設手続の簡素化については、平成29年分までは基準日の住所を証する住民票の写し等の提出により重複して非課税口座を開設することを防止する実務が確立していることを踏まえ、平成30年分以後の非課税口座の開設の際に実施できるよう、引き続き検討を行う。
(2)国家戦略特別区域法の改正を前提に、エンジェル税制(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)の適用対象となる株式会社の範囲に、認定区域計画に定められている事業を実施する株式会社で次に掲げる要件を満たすことにつき国家戦略特別区域担当大臣の確認を受けたものを加える。
①高度医療の提供に資する医療技術の研究開発等に関する事業若しくは付加価値の高い農林水産物の効率的な生産に必要な高度な技術の研究開発等に関する事業を営む会社又は国家戦略特別区域法による農地法等の特例の適用を受ける特例農業法人であって次に掲げる要件その他一定の要件を満たす中小企業者である株式会社
イ 設立後1年未満かつ最初の事業年度に属している会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)研究者又は新事業活動従事者の数が2人以上であり、かつ、その数の常勤の役員及び従業員の合計に対する割合が10%以上であること(以下「研究者数等要件」という。)。
(ロ)事業の将来における成長発展に向けた事業計画を有すること(以下「事業計画要件」という。)。
ロ 設立後1年未満かつ最初の事業年度が終了している会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)資金計画に記載された特区事業費の額を前事業年度の営業費用の額で除して計算した割合が50%以上であること(以下「特区事業費要件」という。)。
(ロ)研究者数等要件
(ハ)前事業年度の売上高に占める営業利益の割合が2%を超えていないこと(以下「営業利益率要件」という。)。
ハ 設立後1年以上2年未満の会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)特区事業費要件
(ロ)新事業活動従事者の数が2人以上であり、かつ、その数の常勤の役員
及び従業員の合計に対する割合が10%以上であること(以下「新事業活動従事者数要件」という。)又は前事業年度の試験研究費等の収入金額に対する割合が3%を超えること(以下「試験研究費等要件」という。)。
(ハ)営業利益率要件
ニ 設立後2年以上5年未満の会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)特区事業費要件
(ロ)試験研究費等要件又は売上高成長率(前々事業年度の売上高に対する前事業年度の売上高の伸び率等をいう。以下同じ。)が25%を超えること。
(ハ)営業利益率要件
②雇用の創出に資する事業を営むものとして次に掲げる要件その他一定の要件を満たす小規模企業者である株式会社
イ 設立後1年未満かつ最初の事業年度に属している会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)研究者数等要件
(ロ)設立時の従業員の数が5人以上(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む会社にあっては1人以上)であること(以下「設立時従業員数要件」という。)。
(ハ)事業計画要件
ロ 設立後1年未満かつ最初の事業年度が終了している会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)特区事業費要件
(ロ)研究者数等要件
(ハ)営業利益率要件
(ニ)設立時従業員数要件
ハ 設立後1年以上2年未満の会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)特区事業費要件
(ロ)新事業活動従事者数要件又は試験研究費等要件
(ハ)営業利益率要件
(ニ)設立時従業員数要件
(ホ)投資契約の締結日における従業員の数が設立時の従業員の数以上であり、かつ、前事業年度末に比して2人以上(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む会社にあっては1人以上)増加していること(以下「従業員数増加要件」という。)。
ニ 設立後2年以上3年未満の会社次に掲げる要件の全てを満たすこと。
(イ)特区事業費要件
(ロ)試験研究費等要件又は売上高成長率が25%を超えること。
(ハ)営業利益率要件
(ニ)設立時従業員数要件
(ホ)従業員数増加要件
(注1)上記の改正は、国家戦略特別区域法の一部改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に払込みにより取得をする株式について適用する。
(注2)上記①及び②の「一定の要件」とは、次に掲げる要件をいう。
①特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の6分の5を超える会社でないこと。
②金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。
③発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。
④払込みにより当該会社の株式の取得をする者と投資契約(当該投資契約に係る払込金を、事業実施計画に記載された事業の用に供する旨の記載があるものに限る。)を締結する会社であること。
⑤その会社の営む事業が公序良俗に反しておらず、かつ、風俗営業に該当しないこと。
(3)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、次の措置を講ずる。
①特定口座間の上場株式等の移管をする場合には、移管元の特定口座で管理されている上場株式等を移管先の特定口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に保管の委託をする方法により行うことができることとする。
②特定口座に受け入れることができる生命保険会社の相互会社から株式会社への組織変更によりその社員に割り当てられた上場株式等で特別口座において管理されているものについて、次の措置を講ずる。
イ 当該上場株式等の特定口座への受入れは、その組織変更による割当ての日から10年以内に行われるものに限ることとする。
ロ 当該上場株式等の範囲に、当該上場株式等の株式の分割、株式無償割当て又は取得条項付株式の取得事由の発生により取得した上場株式等(その組織変更による割当ての日から10年以内に受け入れる同一銘柄のものに限る。)を加える。
③出国口座から特定口座に移管することができる上場株式等の範囲に、当該出国口座が開設されている金融商品取引業者等と締結した累積投資契約に基づき取得した公社債投資信託の受益権でその公社債投資信託の収益分配金のみが当該受益権と同一銘柄の受益権の購入の対価に充てられるものを加える。
④平成28年1月1日から同年12月31日までの間の特定公社債等の特定口座への受入れに関する経過措置について、国外で発行された公社債投資信託又は証券投資信託以外の投資信託の受益権で受入一般取得上場株式等に該当するものについては、受益証券基準価額帳に記載される受益証券基準価額に類する価額により特定口座に受け入れることができることとする。
(注)上記③及び④の改正は、平成28年1月1日以後に特定口座に受け入れる上場株式等について適用する。
(4)中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部改正により特定新規中小企業者の確認に係る事務の権限が経済産業大臣から都道府県知事に移譲されることに伴い、エンジェル税制(①特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例、②特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び③特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用を受ける場合に確定申告書に添付することとされている払込み等の事実の確認をした旨を証する書類の発行者を都道府県知事とする。
〔縮減等〕
(1)金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用について、次の措置を講ずる。
①対象となる金融商品取引業者等の範囲から第一種少額電子募集取扱業者を除外する。
②貿易保険法の改正により独立行政法人日本貿易保険が特殊会社化されることを前提に、対象となる金融機関の範囲に当該特殊会社を加える。
(2)上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる上場株式等及び特定公社債について、次の措置を講ずる。
①上場株式等の範囲に、特定受益証券発行信託の受益権で公募のものを加える。
②発行する社債が特定公社債となる金融商品取引業を行う法人の範囲から、第一種少額電子募集取扱業者を除外する。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に行う上場株式等の譲渡について適用する。
2 住宅・土地税制
(国税)
〔延長・拡充等〕
(1)次に掲げる住宅取得等に係る措置について適用期限(平成29年12月31日)を平成31年6月30日まで1年6月延長する。
①住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
②特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例
③既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
④既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
⑤認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
⑥東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例
(2)福島復興再生特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
①一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設(仮称)に係る都市計画事業により土地等が買い取られる場合には、収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等を適用する。
②収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象に、都市計画が定められている一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設の整備に関する事業の用に供する土地等を加える。
(3)大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づく同法の大深度地下の使用の認可を受けた事業と一体的に施行される事業(当該認可を受けた事業に係る事業計画に定められたものに限る。)により設置される施設又は工作物(当該事業計画に係る事業計画書に記載されたものに限る。)の所有を目的とした地下についての上下の範囲を定めた借地権の設定がされた場合において、その設定の対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の2分の1に相当する金額に、地表からその土地に係る当該大深度地下の深さまでの距離のうちに借地権の設定される最も浅い部分の深さから当該大深度地下の深さまでの距離の占める割合を乗じて計算した金額の10分の5に相当する金額を超えるときは、その設定の対価に係る所得を譲渡所得として課税することとする。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行う借地権の設定について適用する。
(4)国家戦略特別区域法の改正を前提に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、国家戦略特別区域内における同法の認定区域計画に定められた特定事業に係る再開発事業(施行区域の面積が500㎡以上であること等の一定の要件を満たすものに限る。)を行う民間事業者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該再開発事業の用に供されるものを加える。
(5)沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の改正を前提に、同法の買取協議について次の改正が行われた後も引き続き、同法の買取協議に基づき土地を譲渡した場合の5,000万円特別控除を適用する(法人税についても同様とする。)。
①沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法に基づき指定された特定駐留軍用地跡地(仮称)を買取協議の対象に加える。
②買取協議の対象となる土地の面積要件を市町村条例により下限なく引下げ可とする。
(6)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
①特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の適用期限を3年延長する。
②地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律等の施行による権限の移譲に伴い、適用対象となる国土利用計画法の規制区域に所在する土地等が同法の規定により買い取られた場合における確定申告書に添付すべき書類を、都道府県知事又は指定都市の長(現行:都道府県知事)のその土地等を同法の規定に基づき買い取ったものである旨を証する書類とする。
(7)地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律等の施行による権限の移譲に伴い、短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例の適用除外措置の対象である都市計画法の開発許可を受けた個人による譲渡について、国土利用計画法の規制区域に所在する土地等を同法の許可を受けて譲渡をした場合における確定申告書に添付すべき書類を、都道府県知事又は指定都市の長(現行:都道府県知事)のその許可に係る通知の文書の写しとする。
(8)適用の際に、確定申告書等に住民票の写しを添付することとされている次の特例について、税務署長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」という。)の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住民票の写しの添付を要しないこととする。
①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
②居住用財産の譲渡所得の特別控除
③特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
④住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
⑤特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例
⑥居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
⑦特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
⑧既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
⑨既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
⑩認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除
(注)上記の改正は、番号利用法附則第1条第4号に定める日の属する年分以後の所得税について適用する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)個人住民税における住宅借入金等特別税額控除について適用期限(平成29年12月31日)を平成31年6月30日まで1年6月延長する。また、この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補填する。
(2)福島復興再生特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
①一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設(仮称)に係る都市計画事業により土地等が買い取られる場合には、収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等を適用する。
②収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象に、都市計画が定められている一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設の整備に関する事業の用に供する土地等を加える。
(3)大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づく同法の大深度地下の使用の認可を受けた事業と一体的に施行される事業(当該認可を受けた事業に係る事業計画に定められたものに限る。)により設置される施設又は工作物(当該事業計画に係る事業計画書に記載されたものに限る。)の所有を目的とした地下についての上下の範囲を定めた借地権の設定がされた場合において、その設定の対価として支払を受ける金額が、その土地の価額の2分の1に相当する金額に、地表からその土地に係る当該大深度地下の深さまでの距離のうちに借地権の設定される最も浅い部分の深さから当該大深度地下の深さまでの距離の占める割合を乗じて計算した金額の10分の5に相当する金額を超えるときは、その設定の対価に係る所得を譲渡所得として課税することとする。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行う借地権の設定について適用する。
(4)国家戦略特別区域法の改正を前提に、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、国家戦略特別区域内における同法の認定区域計画に定められた特定事業に係る再開発事業(施行区域の面積が500㎡以上であること等の一定の要件を満たすものに限る。)を行う民間事業者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該再開発事業の用に供されるものを加える。
(5)沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の改正を前提に、同法の買取協議について次の改正が行われた後も引き続き、同法の買取協議に基づき土地を譲渡した場合の5,000万円特別控除を適用する。
①沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法に基づき指定された特定駐留軍用地跡地(仮称)を買取協議の対象に加える。
②買取協議の対象となる土地の面積要件を市町村条例により下限なく引下げ可とする。
(6)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の措置を講ずる。
①特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の適用期限を3年延長する。
②地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律等の施行による権限の移譲に伴い、適用対象となる国土利用計画法の規制区域に所在する土地等が同法の規定により買い取られた場合における個人住民税の申告書に添付すべき書類を、都道府県知事又は指定都市の長(現行:都道府県知事)のその土地等を同法の規定に基づき買い取ったものである旨を証する書類とする。
(7)地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律等の施行による権限の移譲に伴い、短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例の適用除外措置の対象である都市計画法の開発許可を受けた個人による譲渡について、国土利用計画法の規制区域に所在する土地等を同法の許可を受けて譲渡をした場合における個人住民税の申告書に添付すべき書類を、都道府県知事又は指定都市の長(現行:都道府県知事)のその許可に係る通知の文書の写しとする。
3 租税特別措置等
(国税)
〔拡充等〕
(1)「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」として給付される給付金について、予算措置が継続された場合には、引き続き所得税を課さないこととする。
(2)学校法人若しくは準学校法人又は学校等を設置する社会福祉法人(以下「学校法人等」という。)に寄附をした場合の所得税額の特別控除の適用対象となる学校法人等の年平均の判定基準寄附者数により判定する要件(いわゆるパブリック・サポート・テストの絶対値要件)について、学校法人等の設置する学校等の定員の合計数が5,000人に満たない場合には、年平均の判定基準寄附者数が100人以上であることとする要件(現行要件)を、その定員の合計数を5,000で除した数に100を乗じた数(最低10人)以上であることとするとともに、その判定基準寄附者に係る寄附金の額の年平均の金額が30万円以上であることとする要件を加える。
(注1)上記の「学校等」とは、学校、認定こども園、専修学校、各種学校、保育所、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、福祉型障害児入所施設及び医療型障害児入所施設並びに小規模保育事業、放課後児童健全育成事業、児童自立生活援助事業、小規模住居型児童養育事業及び障害児通所支援事業(児童発達支援、医療型児童発達支援及び放課後等デイサービスに限る。)の事業を行う施設をいう。
(注2)上記の「定員」とは、収容定員、利用定員、入所定員、入居定員及び委託児童の定員をいう。
(注3)上記の改正は、平成27年分以後の所得税について適用する。
〔縮減等〕
(1)山林所得に係る森林計画特別控除について、山林の伐採又は譲渡に係る収入金額が2,000万円を超える者の2,000万円を超える部分(現行:3,000万円を超える者の3,000万円を超える部分)の控除率を10%とした上、その適用期限を3年延長する。
(注)上記の改正は、平成28年分以後の所得税について適用する。
(地方税)
〔拡充等〕
(1)「簡素な給付措置(臨時福祉給付金)」として給付される給付金について、予算措置が継続された場合には、引き続き個人住民税を課さないこととする。
(2)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、次の見直しを行う。
①対象者について、認定新規就農者である個人を追加する。
②対象となる交付金等から環境保全型農業直接支援対策交付金を除外する。
③対象となる特定農業用機械等を機械装置、器具備品、一定の農業用施設である建物及びその附属設備、構築物並びにソフトウエア(現行:農業用の機械その他の減価償却資産)とする。
④農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する。
〔縮減等〕
(1)山林所得に係る森林計画特別控除について、山林の伐採又は譲渡に係る収入金額が2,000万円を超える者の2,000万円を超える部分(現行:3,000万円を超える者の3,000万円を超える部分)の控除率を10%とした上、その適用期限を3年延長する。
(注)上記の改正は、平成29年度分以後の個人住民税について適用する。
4 その他
(国税)
(1)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設
①特例の概要
  国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう。以下同じ。)をする居住者が、所得税法に規定する有価証券若しくは匿名組合契約の出資の持分(以下「有価証券等」という。)又は決済をしていないデリバティブ取引、信用取引若しくは発行日取引(以下「未決済デリバティブ取引等」という。)を有する場合には、当該国外転出の時に、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額により当該有価証券等の譲渡又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算する。
イ 当該国外転出の日の属する年分の確定申告書の提出時までに納税管理人の届出をした場合 当該国外転出の時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済に係る利益の額若しくは損失の額
ロ 上記イに掲げる場合以外の場合 当該国外転出の予定日の3月前の日における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済に係る利益の額若しくは損失の額
②特例の対象者
 本特例は、次のイ及びロに掲げる要件を満たす居住者について、適用する。
イ 上記①イ及びロに定める金額の合計額が1億円以上である者
ロ 国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年超である者
(注)上記の「国内に住所又は居所を有していた期間」には、下記④の納税猶予を受けている期間を含み、出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって在留していた期間を除く。
③国外転出後5年を経過する日までに帰国をした場合の取扱い
 本特例の適用を受けた者が、その国外転出の日から5年を経過する日までに帰国をした場合において、その者が当該国外転出の時において有していた有価証券等又は未決済デリバティブ取引等で当該国外転出の時以後引き続き有していたものについては、本特例による課税を取り消すことができる。
 ただし、当該帰国までの間に、当該有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る所得の計算につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく当該所得については、この限りでない。
 この課税の取消しを行う場合には、帰国の日から4月を経過する日までに、更正の請求をしなければならない。
④納税猶予
イ 国外転出をする居住者でその国外転出の時において有する有価証券等又は未決済デリバティブ取引等につき本特例の適用を受けたものが、当該国外転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をした場合には、当該国外転出の日の属する年分の所得税のうち本特例により当該有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとされた所得に係る部分については、当該国外転出の日から5年を経過する日(同日前に帰国をする場合には、同日とその者の帰国の日から4月を経過する日のいずれか早い日)まで、その納税を猶予する。
ロ この納税猶予は、その所得税に係る確定申告書の提出期限までに、納税猶予分の所得税額に相当する担保を供し、かつ、納税管理人の届出をした
場合に適用する。
ハ 納税猶予の期限は、申請により国外転出の日から10年を経過する日までとすることができる。この場合における上記③による課税の取消しは、国外転出の日から10年を経過する日までに帰国をした場合に適用することができる。
ニ 納税猶予を受けている者は、納税猶予の期限までの各年の12月31日(基準日)における当該納税猶予に係る有価証券等及び未決済デリバティブ取引等の所有に関する届出書を、基準日の属する年の翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならない。当該届出書を提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限の翌日から4月を経過する日をもって、納税猶予の期限とする。
(注)納税猶予の期限の到来により所得税を納付する場合には、当該納税猶予がされた期間に係る利子税を納付する義務が生じる。以下同じ。
⑤納税猶予の期限までに有価証券等の譲渡等があった場合
イ 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合には、その納税猶予に係る所得税のうち当該譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分については、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日をもって納税猶予に係る期限とする。
ロ 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合において、その譲渡に係る譲渡価額又は決済に係る利益の額が国外転出の時に課税が行われた額を下回るとき(決済に係る損失の額にあっては上回るとき)等は、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得税額の減額等をすることができる。
⑥納税猶予の期限が到来した場合の取扱い
 納税猶予の期限の到来に伴いその納税猶予に係る所得税の納付をする場合において、その期限が到来した日における有価証券等の価額又は未決済デリバティブ取引等の決済による利益の額若しくは損失の額が、本特例の対象となった金額を下回るとき(損失の額にあっては上回るとき)は、その到来の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得税額の減額等をすることができる。
(注)この取扱いは、納税猶予の期限が到来する日前に自ら納税猶予に係る所得税の納付をする場合には、適用しない。
⑦二重課税の調整
イ 本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をし、その所得に対する外国所得税を納付する場合において、その外国所得税の額の計算上本特例により課された所得税について二重課税が調整されないときは、その外国所得税を納付することとなった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その者が国外転出の日の属する年において当該外国所得税(納税猶予に係る所得税のうち当該譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分に相当する金額に限る。)を納付するものとみなして、外国税額控除の適用を受けることができる。
(注)有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等による所得が国内源泉所得に該当する等の一定の場合は、上記イの対象外とする。
ロ 居住者が、本特例に相当する外国の法令の規定により外国所得税を課された場合において、その対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をしたときは、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費又は取得費に算入する金額は、その外国の法令の規定により収入金額に算入された金額とする。
⑧更正の期間制限の取扱い
イ 本特例による所得税(その所得税に係る確定申告書の提出期限までに納税管理人の届出及び税務代理権限証書の提出がある場合として定める一定の場合を除く。)の更正の期間制限を7年(現行5年)とする。
ロ 上記③、⑤ロ、⑥又は⑦イによる更正の請求があった場合の更正については、更正の請求の基因となった理由が生じた日から3年間とする期間制限の特例の対象とする。
⑨納税猶予の期限を延長した場合の相続税等の納税義務の取扱い
 上記④ハにより納税猶予の期限を延長した者は、相続税又は贈与税の納税義務の判定に際しては、納税猶予がされた期間中は、相続若しくは遺贈又は贈与前5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していた場合と同様の取扱いとする。
⑩贈与、相続又は遺贈により非居住者に有価証券等が移転する場合
 上記②イ及びロに掲げる要件を満たす者の有する有価証券等又は未決済デリバティブ取引等が、贈与、相続又は遺贈により非居住者に移転した場合には、その贈与、相続又は遺贈の時に、その時における価額に相当する金額により、その有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算する。
⑪その他所要の措置を講ずる。
(注1)この特例(上記⑦ロを除く。)は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈について適用する。
(注2)上記⑦ロの特例は、平成27年7月1日以後に国外転出に相当する事由があった場合等について適用する。
(2)日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
①確定申告において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示しなければならないこととする。ただし、下記②又は③により提出し、又は提示したこれらの書類については、添付又は提示を要しないこととする。
②給与等又は公的年金等の源泉徴収において、非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除又は障害者控除(以下「扶養控除等」という。)の適用を受ける居住者は、親族関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととする。
③給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者は送金関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととし、非居住者である配偶者に係る配偶者特別控除の適用を受ける居住者は、親族関係書類及び送金関係書類を提出し、又は提示しなければならないこととする。
④その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類をいう。
①戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその非居住者がその居住者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
②外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限る。)
(注2)上記の「送金関係書類」とは、その年における次の①又は②の書類で、その非居住者である親族の生活費又は教育費に充てるためのその居住者からの支払が、必要の都度、行われたことを明らかにするものをいう。
①金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
②いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明らかにする書類
(注3)親族関係書類又は送金関係書類が外国語により作成されている場合には、訳文を添付等しなければならない。
(注4)上記の改正は、平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成28年分以後の所得税について適用する。
(3)確定拠出年金法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
①事業主が拠出する確定拠出年金法の小規模事業主掛金(仮称)について、現行の確定拠出年金の事業主掛金と同様に、従業員に対する給与所得に係る収入金額に含まれないものとする。
②個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される企業年金加入者、公務員等共済加入者及び第三号被保険者について、現行の個人型確定拠出年金制度に係る税制上の措置を適用する。なお、個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される者の拠出限度額については、次のとおりとする。
イ 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がない場合) 年額24万円
ロ 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がある場合) 年額14.4万円
ハ 確定給付型年金のみ加入者及び公務員等共済加入者 年額14.4万円
ニ 第三号被保険者年額 27.6万円
(注)上記イ及びロの企業型確定拠出年金加入者については、その者が①マッチング拠出を行わないこと及び②個人型確定拠出年金制度の加入者になることができることについて、企業型確定拠出年金の規約に定めがある場合にのみ個人型確定拠出年金制度への加入を可能とする。この場合の当該企業型確定拠出年金制度の拠出限度額(他の企業年金がない場合:年額66万円、他の企業年金がある場合:年額33万円)は、他の企業年金がない場合は年額42万円、他の企業年金がある場合は年額18.6万円とする。
③確定拠出年金制度から確定給付企業年金制度に年金資産の移換がされた場合並びに合併等に伴い確定拠出年金制度及び確定給付企業年金制度と中小企業退職金共済制度間で年金資産等の移換がされた場合の移換後の各制度における給付等について、現行の税制上の措置を適用する。
④その他所要の措置を講ずる。
(4)中小企業退職金共済法等の改正を前提に、事業主の申出による特定退職金共済制度から中小企業退職金共済制度への掛金等の移換、事業主が中小企業者でなくなったことによる退職金共済契約の解除に伴う中小企業退職金共済制度から確定拠出年金制度への解約手当金相当額の資産の移換並びに被共済者の特定業種退職金共済制度間又は特定業種退職金共済制度及び一般の中小企業退職金共済制度間の移動に伴う所要の措置を講ずるほか、移換又は移動後の各制度における給付等について、現行の税制上の措置を適用する。
(5)小規模企業共済法の改正を前提に、同法に基づき支給される次の共済金等については、引き続き退職所得控除及び公的年金等控除の対象とする。
①個人の小規模企業者が、配偶者又は子に対する事業譲渡により廃業した場合に、当該事業譲渡以外の事由による廃業の場合と同様に支払われる共済金
②65歳以上の会社等役員が、疾病等以外の事由により退任した場合に、疾病等の事由により退任した場合と同様に支払われる共済金
③共同経営者が独立開業した場合に、共済契約の掛金納付月数を通算して支払われる共済金等
(6)所得税法及び租税特別措置法等の規定による本人確認の方法について、次の措置を講ずる。
①本人確認書類の提示に代えて、個人が電子情報処理組織を使用して、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律に規定する署名用電子証明書を送信する方法によることができることとする。
②本人確認書類の範囲に、官公署等から発行された書類で金融機関等に提示する日前6月以内に作成されたもの(有効期間等があるものにあっては、提示する日において有効なもの)を加える。
(7)生命保険契約等の一時金の支払調書等について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。
(8)国立研究開発法人日本医療研究開発機構法の施行に伴い、同法に基づき設立される国立研究開発法人日本医療研究開発機構を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(9)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により新たに支給されることとなる特別弔慰金について、次の措置を講ずる。
①所得税を課さないこととする。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(10)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さないこととする。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
③障害年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(地方税)
〈個人住民税〉
(1)日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
①個人住民税の申告において、日本国内に住所を有しない親族に係る扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除若しくは障害者控除(以下「扶養控除等」という。)の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者は、親族関係書類及び送金関係書類を個人住民税の申告書に添付し、又は個人住民税の申告書の提出の際提示しなければならないこととする。ただし、下記②により提出し、又は提示したこれらの書類については、添付又は提示を要しないこととする。
②給与所得者又は公的年金等受給者の扶養親族申告書を提出する者であって、日本国内に住所を有しない親族に係る非課税限度額制度の適用を受ける者は、親族関係書類及び送金関係書類を扶養親族申告書に添付し、又は扶養親族申告書の提出の際提示しなければならないこととする。
③その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類をいう。
①戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類で日本国内に住所を有しない者が扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
②外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、日本国内に住所を有しない者が扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限る。)
(注2)上記の「送金関係書類」とは、扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける年度の初日の属する年の前年における次の①又は②の書類で、日本国内に住所を有しない親族の生活費又は教育費に充てるためのその扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者からの支払が、必要の都度、行われたことを明らかにするものをいう。
①金融機関が行う為替取引によりその者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
②いわゆるクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその扶養控除等の適用又は非課税限度額制度の適用を受ける者から受領したことを明らかにする書類
(注3)親族関係書類又は送金関係書類が外国語により作成されている場合には訳文を添付等しなければならない。
(注4)上記の改正は、平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成29年度分以後の個人住民税について適用する。
(2)確定拠出年金法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
①事業主が拠出する確定拠出年金法の小規模事業主掛金(仮称)について、現行の確定拠出年金の事業主掛金と同様に、従業員に対する給与所得に係る収入金額に含まれないものとする。
②個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される企業年金加入者、公務員等共済加入者及び第三号被保険者について、現行の個人型確定拠出年金制度に係る税制上の措置を適用する。
 なお、個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される者の拠出限度額については、次のとおりとする。
イ 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がない場合) 年額24万円
ロ 企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がある場合) 年額14.4万円
ハ 確定給付型年金のみ加入者及び公務員等共済加入者 年額14.4万円
ニ 第三号被保険者 年額27.6万円
(注)上記イ及びロの企業型確定拠出年金加入者については、その者が①マッチング拠出を行わないこと及び②個人型確定拠出年金制度の加入者になることができることについて、企業型確定拠出年金の規約に定めがある場合にのみ個人型確定拠出年金制度への加入を可能とする。この場合の当該企業型確定拠出年金制度の拠出限度額(他の企業年金がない場合:年額66万円、他の企業年金がある場合:年額33万円)は、他の企業年金がない場合は年額42万円、他の企業年金がある場合は年額18.6万円とする。
③確定拠出年金制度から確定給付企業年金制度に年金資産の移換がされた場合並びに合併等に伴い確定拠出年金制度及び確定給付企業年金制度と中小企業退職金共済制度間で年金資産等の移換がされた場合の移換後の各制度における給付等について、現行の税制上の措置を適用する。
④その他所要の措置を講ずる。
(3)小規模企業共済法の改正を前提に、同法に基づき支給される次の共済金等については、引き続き退職所得控除及び公的年金等控除の対象とする。
①個人の小規模企業者が、配偶者又は子に対する事業譲渡により廃業した場合に、当該事業譲渡以外の事由による廃業の場合と同様に支払われる共済金
②65歳以上の会社等役員が、疾病等以外の事由により退任した場合に、疾病等の事由により退任した場合と同様に支払われる共済金
③共同経営者が独立開業した場合に、共済契約の掛金納付月数を通算して支払われる共済金等
(4)国立研究開発法人日本医療研究開発機構法の施行に伴い、同法に基づき設立される国立研究開発法人日本医療研究開発機構を公共法人等が支払を受ける利子等に係る非課税措置等の対象とする。
(5)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により新たに支給されることとなる特別弔慰金について、次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さないこととする。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(6)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さないこととする。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
③障害年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(7)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所を公共法人等が支払を受ける利子等に係る非課税措置等の対象とする。
(8)福島再開投資等準備金制度の創設
 福島復興再生特別措置法の改正を前提に、同法の避難解除等区域復興再生推進事業実施計画の認定を受けた個人で帰還困難区域、居住制限区域又は避難指示解除準備区域として設定された区域内に平成23年3月11日において事業所を有していたものが、積立期間内の日を含む各年において、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する支出に充てるため、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された投資予定額の2分の1相当額以下の金額を福島再開投資等準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その年において必要経費算入できることとする。
 この準備金は、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用を受ける場合にはその適用を受ける減価償却資産の特別償却実施額に相当する金額を取り崩すほか、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日を含む年の翌年から3年間でその2年を経過する日を含む年終了の時における準備金残高の均等額を取り崩して、総収入金額に算入する。
(注)上記の「積立期間」とは、避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する資金の積立期間をいう。
 上記に伴い、福島再開投資等準備金を積み立てている個人の積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日が、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の実施区域に係る企業立地促進計画の提出のあった日又は避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後5年を経過する日より後である場合には、その個人に係る企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用期間の末日は、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日とする。ただし、その5年を経過する日後に取得等をした特定機械装置等については、一定の規模以上のものに限り、適用できることとする。
(注)上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の設備を構成する特定機械装置等の取得価額の合計額が1,000万円を超えるもの又は機械装置で一の設備を構成するものの取得価額の合計額が100万円を超えるものとする。
(9)国庫補助金等の総収入金額不算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で水素社会構築技術開発事業(仮称)等に係るものを加える。
(10)不当景品類及び不当表示防止法の改正に伴い、同法の課徴金制度における課徴金及び延滞金について、必要経費算入しないこととする。
(11)投資法人法制の見直しを前提に、利益を超える金銭の分配の額のうち一時差異等調整引当額(仮称)の増加額に相当する金額を、配当等の額(現行:資本の払戻しの額)とする。
(12)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
(13)個人住民税における都道府県又は市区町村に対する寄附金に係る寄附金税額控除(ふるさと納税)について、次の措置を講ずる。
①特例控除額の控除限度額を、個人住民税所得割額の2割(現行1割)に引き上げる。
(注)上記の改正は、平成28年度分以後の個人住民税について適用する。
②①とあわせて、ふるさと納税について、当該寄附金が経済的利益の無償の供与であること、当該寄附金に通常の寄附金控除に加えて特例控除が適用される制度であることを踏まえ、豊かな地域社会の形成及び住民の福祉の増進に寄与するため、都道府県又は市区町村がふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適切に行うよう、都道府県及び市区町村に対して要請する。(通知(技術的助言))
③確定申告を必要とする現在の申告手続について、当分の間の措置として、次のとおり、確定申告不要な給与所得者等が寄附を行う場合はワンストップで控除を受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を創設する。
イ 確定申告を行わない給与所得者等は、寄附を行う際、個人住民税課税市区町村に対する寄附の控除申請を寄附先の都道府県又は市区町村が寄附者に代わって行うことを要請できることとする。
ロ イの要請を受けた寄附先の都道府県又は市区町村は、控除に必要な事項を寄附者の個人住民税課税市区町村に通知することとする。
ハ この特例が適用される場合は、現行制度における都道府県又は市区町村に対する寄附金に係る所得税及び個人住民税の寄附金控除額の合計額の5分の2を道府県民税から、5分の3を市町村民税からそれぞれ控除する。(控除限度額は、①の措置を踏まえたものとする。)
ニ 寄附者が確定申告を行った場合又は5団体を超える都道府県若しくは市区町村に対して寄附を行った場合は、上記イ及びロにかかわらず、この特例は適用されないこととする。
ホ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる寄附について適用する。
〈国民健康保険税〉
(14)国民健康保険税の基礎課税額等に係る課税限度額について、次のとおりとする。
①基礎課税額に係る課税限度額を52万円(現行51万円)に引き上げる。
②後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を17万円(現行16万円)に引き上げる。
③介護納付金課税額に係る課税限度額を16万円(現行14万円)に引き上げる。
(15)国民健康保険税の減額の対象となる所得の基準について、次のとおりとする。
①5割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を26万円(現行24.5万円)に引き上げる。
②2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を47万円(現行45万円)に引き上げる。

二 資産課税
1 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の見直し
(1)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。
①非課税限度額を次のとおりとする。
イ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円
平成29年10月~平成30年9月 1,500万円 1,000万円
平成30年10月~平成31年6月 1,200万円 700万円

ロ 上記イ以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
~平成27年12月 1,500万円 1,000万円
平成28年1月~平成29年9月 1,200万円 700万円
平成29年10月~平成30年9月 1,000万円 500万円
平成30年10月~平成31年6月 800万円 300万円

(注)上記の「良質な住宅用家屋」とは、省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)又は耐震等級2以上若しくは免震建築物に該当する住宅用家屋をいう。下記(3)において同じ。
②上記①の良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋を加える。
③適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加える。
(注)平成28年9月以前に契約を締結した住宅用家屋について上記①ロに掲げる非課税限度額の適用を受けた者であっても、上記①イに掲げる非課税限度額を適用できることとする。
(2)特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例について、適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加えた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。
(3)東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。
①非課税限度額を次のとおりとする。
イ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円
平成29年10月~平成31年6月 1,500万円 1,000万円

ロ 上記イ以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
~平成31年6月 1,500万円 1,000万円

②上記①の良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋
を加える。
③適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加える。
(注)平成28年9月以前に契約を締結した住宅用家屋について上記①ロに掲げる非課税限度額の適用を受けた者であっても、上記①イに掲げる非課税限度額を適用できることとする。
(4)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。
2 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
(1)概要
 個人(20歳以上50歳未満の者に限る。以下「受贈者」という。)の結婚・子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属(以下「贈与者」という。)が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行等及び金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
(注)上記の「結婚・子育て資金」とは、内閣総理大臣が定める次に掲げる費用に充てるための金銭をいう。
①結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含む。)に要する費用、住居に要する費用及び引越に要する費用のうち一定のもの
②妊娠に要する費用、出産に要する費用、子の医療費及び子の保育料のうち一定のもの
(2)申告
 受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した非課税申告書を、金融機関を経由し受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(3)払出しの確認等
 受贈者は、払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払に充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない。
 金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が結婚・子育て資金の支払に充当されたことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、その書類及び記録を結婚・子育て資金を管理するための契約(以下「結婚・子育て資金管理契約」という。)の終了の日の翌年3月15日後6年を経過する日まで保存しなければならない。
(4)結婚・子育て資金管理契約の終了
 次に掲げる事由に該当した場合には、結婚・子育て資金管理契約は終了する。
①受贈者が50歳に達した場合
②受贈者が死亡した場合
③信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき
(5)終了時の取扱い
①調書の提出
 金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額(以下「非課税拠出額」という。)及び結婚・子育て資金管理契約の期間中に結婚・子育て資金として払い出した金額(上記(3)により記録された金額とする。)の合計金額(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とする。以下「結婚・子育て資金支出額」という。)その他の事項を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
②残額の取扱い
 上記(4)①又は③に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、これらの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税する。
 なお、上記(4)②に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、贈与税を課さない。
(6)期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い
 信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、当該死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。この場合において、当該残額に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象としない。
 なお、当該残額は、結婚・子育て資金支出額とみなす。
(7)その他所要の措置を講ずる。
3 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
(1)土地に係る固定資産税の負担調整措置
①宅地等及び農地の負担調整措置については、平成27年度から平成29年度までの間、商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。
②据置年度において簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置を継続する。
③その他所要の措置を講ずる。
(2)土地に係る都市計画税の負担調整措置
 固定資産税の改正に伴う所要の改正を行う。
4 復興支援のための税制上の措置
(国税)
〔延長・拡充等〕
(1)東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長する。(再掲)
①非課税限度額を次のとおりとする。
イ 住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円
平成29年10月~平成31年6月 1,500万円 1,000万円

ロ 上記イ以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
~平成31年6月 1,500万円 1,000万円

②上記①の良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋
を加える。
③適用対象となる増改築等の範囲に、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事を加える。
5 租税特別措置等
(国税)
〔新設〕
〈登録免許税〉
(1)構造改革特別区域法の改正を前提に、公社管理道路運営権者(仮称)が同法の改正の施行の日から平成29年3月31日までの間に受ける認定公社管理道路運営事業(仮称)に係る公共施設等運営権の設定登録に対する登録免許税の税率を、1,000分の0.5(本則:1,000分の1)に軽減する措置を講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈相続税・贈与税〉
(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を平成31年3月31日まで延長する。
①特例の対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等を加える。
②金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、当該領収書等に代えて支払先、支払金額等の明細を記載した書類を提出することができることとする。
(注)上記②の改正は、平成28年1月1日以後に提出する書類について適用する。
(2)非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
①経営贈与承継期間経過後に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した場合において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、その適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る猶予税額を免除する。
②経営贈与承継期間内に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した場合(身体障害等のやむを得ない理由により当該経営承継受贈者が認定贈与承継会社の代表者でなくなった場合に限る。)において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、その適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る猶予税額を免除する(相続税の納税猶予制度についても同様とする。)。
③中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の改正を前提に、認定承継会社等に係る認定事務が都道府県に移譲されることに伴う所要の措置を講ずる。
④その他所要の措置を講ずる。
〈登録免許税〉
(3)土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(4)住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(5)利用権設定等促進事業により農用地区域内の農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(6)信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(7)農業信用基金協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(8)日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(9)認定民間都市再生事業計画(当該計画に係る認定が国家戦略特別区域法の規定により国土交通大臣の認定があったものとみなされるものである場合における当該計画を含む。(10)において同じ。)に基づき都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を1,000分の3.5(現行:1,000分の3)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(10)認定民間都市再生事業計画に基づき特定都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(11)特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産の範囲に倉庫及びその敷地を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(12)特例事業者が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産の範囲に倉庫及びその敷地を加えた上、その適用期限を2年延長する。
〔廃止〕
〈登録免許税〉
(1)会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(地方税)
〔新設〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の対象から除外する措置を講ずる。
(2)事業所内保育事業(利用定員が6人以上)の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
(3)家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業又は事業所内保育事業(利用定員が1人以上5人以下)の用に直接供する家屋及び償却資産(他の用途に供されていないものに限る。)に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を価格の2分の1とする措置を講ずる。
(4)児童福祉法の改正に伴い、同法に規定する放課後児童健全育成事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、所要の措置を講ずる。
(5)社会福祉法人等が認定生活困窮者就労訓練事業の用に直接供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を価格の2分の1とする措置を講ずる。
(6)南海トラフ地震防災対策推進地域、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域及び首都直下地震緊急対策区域において、国の無利子資金の貸付けを受けて改良された港湾法に規定する特別特定技術基準対象施設である護岸、岸壁及び物揚場に係る固定資産税について、津波防災地域づくりに関する法律の推進計画に基づき新たに取得等された津波対策の用に供する一定の償却資産に係る課税標準の特例措置との適用関係を整理の上、課税標準を最初の5年間価格の3分の2とする措置を平成30年3月31日まで講ずる。
(7)国立研究開発法人日本医療研究開発機構の設立に伴い、当該法人が一定の業務の用に供する償却資産に係る固定資産税について、課税標準を最初の5年度分価格の3分の1、その後の5年度分価格の3分の2とする措置を講ずる。
(8)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の設立に伴い、当該法人が一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
(9)独立行政法人森林総合研究所が森林保険業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
(10)日本私立学校振興・共済事業団法の改正に伴い、所要の措置を講ずる。
〈不動産取得税〉
(11)事業所内保育事業(利用定員が6人以上)の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(12)家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業又は事業所内保育事業(利用定員が1人以上5人以下)の用に直接供する家屋(他の用途に供されていないものに限る。)に係る不動産取得税について、課税標準を価格の2分の1とする措置を講ずる。
(13)社会福祉法人等が認定生活困窮者就労訓練事業の用に直接供する不動産に係る不動産取得税について、課税標準を価格の2分の1とする措置を講ずる。
(14)宅地建物取引業者が取得した既存住宅について、一定の増改築等を行った上、取得の日から2年以内に耐震基準適合要件を満たすものとして個人に販売し、自己の居住の用に供された場合には、耐震基準適合既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例と同様の措置を2年間に限り講ずる。
(15)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の設立に伴い、当該法人が一定の業務の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(16)独立行政法人森林総合研究所が森林保険業務の用に供する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(17)独立行政法人労働安全衛生総合研究所と独立行政法人労働者健康福祉機構の統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(18)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人農業生物資源研究所、国立研究開発法人農業環境技術研究所及び独立行政法人種苗管理センターの統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(19)独立行政法人水産大学校と国立研究開発法人水産総合研究センターの統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(20)独立行政法人日本原子力研究開発機構が行う量子科学技術に関する研究開発業務の移管に伴い、独立行政法人放射線医学総合研究所が独立行政法人日本原子力研究開発機構から承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(21)独立行政法人大学評価・学位授与機構と独立行政法人国立大学財務・経営センターの統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(22)国立研究開発法人海上技術安全研究所、国立研究開発法人港湾空港技術研究所及び国立研究開発法人電子航法研究所の統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(23)独立行政法人航海訓練所と独立行政法人海技教育機構の統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(24)自動車検査独立行政法人と独立行政法人交通安全環境研究所の統合に伴い、統合法人が承継する不動産に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
〈事業所税〉
(25)家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業又は事業所内保育事業の用に供する施設に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(26)認定生活困窮者就労訓練事業の用に供する施設に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(27)国立研究開発法人日本医療研究開発機構の設立に伴い、当該法人が行う事業に対する事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(28)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の設立に伴い、当該法人が行う事業に対する事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)新幹線鉄道の新たな営業路線の開業のために新設された線路設備等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象路線に北海道新幹線を加える。
(2)青函トンネルの鉄道施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、その対象に北海道新幹線(津軽海峡線と共用する区間に限る。)に係る一定の鉄道施設を加える。
(3)水防法に規定する浸水防止計画に基づき、地下街等の所有者又は管理者が取得する一定の浸水防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、同法の改正を前提に、その対象区域を改正後の洪水浸水想定区域とする。
(4)沖縄電力株式会社が電気供給業の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(5)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、国又は地方公共団体により選定された選定事業者が、選定事業により整備する公共施設のうち公共代替性が強く、民間競合のおそれのない施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(6)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する国立大学法人の校地内の校舎の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(7)公益社団法人又は公益財団法人が所有する文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する家屋及び土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(8)心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等の支給を受けて取得する事業用施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(9)密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得する一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(10)市街地再開発事業の施行に伴い従前の権利者が取得する家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(11)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が都市再生緊急整備地域において、一定の認定事業により取得した公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①家屋については、価格に5分の3を参酌して2分の1以上10分の7以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額を課税標準とする。
②償却資産については、価格に次の割合を乗じて得た額を課税標準とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 5分の3
ロ その他の資産 5分の3を参酌して2分の1以上10分の7以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
(12)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が特定都市再生緊急整備地域において、一定の認定事業により取得した公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①家屋については、価格に2分の1を参酌して5分の2以上5分の3以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額を課税標準とする。
②償却資産については、価格に次の割合を乗じて得た額を課税標準とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 2分の1
ロ その他の資産 2分の1を参酌して5分の2以上5分の3以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
(13)公害防止用設備(下水道除害施設)に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(14)鉄軌道事業者が政府の補助を受けて取得した車両の運行の安全性の向上に資する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(15)都市鉄道等利便増進法に規定する都市鉄道利便増進事業により取得する鉄道施設に対して、次の措置を講ずる。
①鉄軌道事業者又は一定の第三セクター若しくは独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が取得する駅施設の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
②独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が取得する線路設備等のうち市街化区域のトンネルに係る固定資産税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(16)国際船舶に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(17)国際戦略港湾及び一定の要件を満たす国際拠点港湾において、港湾運営会社が、国の無利子資金の貸付け又は補助を受けて取得した一定の荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(18)特定貨物輸入拠点港湾において、特定貨物取扱埠頭の整備を図るため、港湾管理者が作成する特定利用推進計画の一定の事業を実施する者が、政府の補助を受けて取得した荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(19)都市再生特別措置法に規定する都市再生安全確保計画に基づき整備する都市再生安全確保施設のうち、同法に規定する管理協定の対象となった備蓄倉庫の用に供する家屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(20)津波防災地域づくりに関する法律に規定する津波災害警戒区域において同法に規定する管理協定の対象となった協定避難施設の用に供する家屋のうち協定避難用部分及び協定避難施設に附属する避難の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
①家屋については、価格に2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額を課税標準とする。
②償却資産については、価格に次の割合を乗じて得た額を課税標準とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 2分の1
ロ その他の資産 2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
(21)特定都市河川浸水被害対策法に基づき都道府県知事等の許可を要する雨水浸透阻害行為に伴い設置される一定の雨水貯留浸透施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、特例の適用対象となる当該施設の所有者が、許可を行う都道府県知事等が発行した証明書の写しを添付して市町村に申告する場合に適用することとした上、その適用期限を3年延長する。
(22)鉄軌道事業者が首都直下地震・南海トラフ地震に備えた鉄道施設等の耐震補強工事によって新たに取得した一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(23)サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置について、税額を最初の5年間3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を減額することとした上、その適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(24)住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置の適用期限を3年延長する。
(25)宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置の適用期限を3年延長する。
(26)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づき、国又は地方公共団体により選定された選定事業者が、選定事業により整備する公共施設のうち公共代替性が強く、民間競合のおそれのない施設の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(27)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する選定事業者が政府の補助を受けて選定事業により整備する国立大学法人の校地内の校舎の用に供する家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(28)特定目的会社が資産流動化計画に基づき取得する一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(29)信託会社等が投資信託により取得する一定の不動産及び投資法人が取得する一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、対象となる不動産に物流施設を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(30)不動産特定共同事業法に規定する特例事業者が不動産特定共同事業契約に基づき取得する一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、用途の認定に関する規定の整備を行った上、その適用期限を2年延長する。
(31)預金保険法に規定する協定銀行が協定の定めにより内閣総理大臣のあっせんを受けて行う破綻金融機関等の事業の譲受け又は預金保険機構の委託を受けて行う資産の買取りにより取得する不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(32)保険業法に規定する協定銀行が協定の定めにより保険契約者保護機構の委託を受けて行う破綻保険会社等の資産の買取りにより取得する不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(33)公益社団法人又は公益財団法人が取得する文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(34)心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等の支給を受けて取得する事業用施設に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(35)農業経営基盤強化促進法の規定による公告があった農用地利用集積計画に基づき取得する農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(36)東日本大震災の津波被災区域を含む地域における土地改良法の規定による換地計画に基づき、事業実施地区外の農業者が取得する創設農用地換地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(37)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、価格から控除する額を、当該不動産の価格の5分の1(当該割合を参酌して10分の1以上10分の3以下の範囲内において都道府県の条例で定める場合にはその割合)に相当する額とした上、その適用期限を2年延長する。
(38)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が特定都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、価格から控除する額を、当該不動産の価格の2分の1(当該割合を参酌して5分の2以上5分の3以下の範囲内において都道府県の条例で定める場合にはその割合)に相当する額とした上、その適用期限を2年延長する。
(39)一定の新築のサービス付き高齢者向け賃貸住宅について、一定の新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置及び一定の新築住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置の床面積要件の下限を緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
〈事業所税〉
(40)民間都市開発推進機構が行う共同型都市再構築業務について、都市再生特別措置法の改正後も引き続き収益事業以外の事業として、事業所税の非課税措置を講ずる。
〔廃止・縮減等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)低公害車燃料等供給施設の用に供する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象となる天然ガス自動車用天然ガス充塡設備の取得価額要件を4,000万円以上(現行2,000万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(2)熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の先端性に係る設備要件を加えた上、その適用期限を2年延長する。
①最新モデル(10年以内に販売が開始されたもので最も新しいモデルをいう。ただし、販売開始年度が取得等をする年度及びその前年度であるモデルを含む。)であること。
②旧モデル比で生産性(エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するものであること。
(3)三大都市圏の特定市の市街化区域農地を転用して新築した一定の貸家住宅及びその敷地に係る固定資産税の減額措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
①貸家住宅 最初の2年間(現行3年間)3分の2減額、その後3年間(現行2年間)2分の1減額。
②敷地 最初の3年間12分の1(現行6分の1)減額。
(4)鉄軌道事業者が取得する新造車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、輸送力増強車両に代替車両と同様の環境要件を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(5)鉄軌道事業者が取得する新造車両で高齢者、障害者等の移動等の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、適用要件を見直した上、その適用期限を2年延長する。
(6)流通システム効率化を促進する物流施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、対象となる特定倉庫のうち一般倉庫の規模要件を3,000平方メートル以上(現行1,500平方メートル以上)、多階建て6,000平方メートル以上(現行3,000平方メートル以上)とし、冷蔵倉庫の規模要件を6,000立方メートル以上(現行3,000立方メートル以上)とした上、その適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(7)農業協同組合等が農業近代化資金等の貸付けを受けて取得する農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、控除額の上限を価格の2分の1とする等の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(8)耐震基準適合既存住宅に係る耐震基準適合要件について、築年数に係る要件を廃止する。
6 その他
(国税)
(1)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例に係る納税猶予の期限を延長した者は、相続税又は贈与税の納税義務の判定に際しては、納税猶予がされた期間中は、相続若しくは遺贈又は贈与前5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していた場合と同様の取扱いとする。(再掲)
(2)小規模企業共済法の改正を前提に、小規模企業共済制度の受給権者に追加される者が支給を受ける一時金について、相続税法上のみなし相続財産(退職手当金等に含まれる給付)として相続税の課税対象とするとともに、法定相続人1人当たり500万円までの非課税制度の対象とする。
(3)適用の際に、申告書に住民票の写し等を添付することとされている次の特例について、税務署長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」という。)の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住民票の写し等の添付を要しないこととする。
①贈与税の配偶者控除
②相続時精算課税制度の選択
③小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
④直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
⑤特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例
⑥東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
(注)上記の改正は、番号利用法附則第1条第4号に定める日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(4)調書について、次の措置を講ずる。
①保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければならないこととする。
②生命保険金等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後の契約者変更について適用する。
(5)介護保険法及び老人福祉法の改正後の老人居宅介護等事業及び老人デイサービス事業等について、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の非課税措置(登録免許税法別表第三)を引き続き適用する。
(6)生活困窮者自立支援法の認定生活困窮者就労訓練事業について、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の非課税措置(登録免許税法別表第三)を適用する。
(7)国立研究開発法人日本医療研究開発機構法の施行に伴い、同法に基づき設立される国立研究開発法人日本医療研究開発機構を非課税法人(印紙税法別表第二)とする。
(8)貿易保険法の改正により独立行政法人日本貿易保険が特殊会社化されることを前提に、次の措置を講ずる。
①特殊会社が受ける設立に係る登記等及び増資の登記に対する登録免許税を免税とする。
②特殊会社を非課税法人(印紙税法別表第二)とする。
(9)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により新たに支給されることとなる特別弔慰金について、特別弔慰金に関する書類及び特別弔慰金国債を担保とする金銭の貸借に関する書類には、印紙税を課さないこととする。
(地方税)
(1)適用の際に、申告書に住民票の写しを添付することとされている次の特例について、市町村長が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」という。)の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、住民票の写しの添付を要しないこととする。
①バリアフリー改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置
②省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置
(注)上記の改正は、番号利用法附則第1条第4号に定める日以後に提出される申告書について適用する。
(2)介護保険法の改正に伴い、所要の措置を講ずる。

三 法人課税
1 成長志向に重点を置いた法人税改革
(国税)
(1)法人税の税率を23.9%(現行25.5%)に引き下げ、法人の平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(注1)中小法人の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%)の適用期限は、2年延長する。また、中小法人の軽減税率(19%)は、引き続き、中小法人課税全体の見直しの中で検討する。
(注2)公益法人等の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%等)の適用期限は、2年延長する。また、公益法人等の軽減税率(19%等)は、引き続き、公益法人等課税全体の見直しの中で検討する。
(注3)協同組合等の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800万円以下の部分に対する税率:19%→15%等)の適用期限は、2年延長する。また、協同組合等の軽減税率等(19%等)は、引き続き、協同組合等課税全体の見直しの中で検討する。
(2)欠損金の繰越控除制度等について、次の見直しを行う。
①青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、次のとおり、段階的に引き下げる。
イ 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の65相当額(現行100分の80相当額)とする。
ロ 平成29年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の50相当額とする。
②上記①に伴い、次の措置を講ずる。
イ 中小法人等については、現行の控除限度額(所得の金額又は連結所得の金額)を存置する。
(注)上記の「中小法人等」とは、次の法人(連結納税の場合には、連結親法人)をいう。
(イ)普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等、資本金の額等が5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及び100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人を除く。)
(ロ)公益法人等
(ハ)協同組合等
(ニ)人格のない社団等
ロ 更生手続開始の決定があったこと、再生手続開始の決定があったこと等の事実が生じた法人(連結納税の場合には、連結親法人)については、その決定等の日から更生計画認可の決定、再生計画認可の決定等の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度又は各連結事業年度については、控除限度額を所得の金額又は連結所得の金額とする。ただし、金融商品取引所への再上場等があった場合におけるその再上場された日等以後に終了する事業年度又は連結事業年度は対象外とする。
ハ 法人の設立(合併法人にあっては合併法人又は被合併法人のうちその設立が最も早いものの設立等)の日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度又は各連結事業年度については、控除限度額を所得の金額又は連結所得の金額とする。ただし、金融商品取引所に上場された場合等におけるその上場された日等以後に終了する事業年度又は連結事業年度は対象外とする。
(注)対象となる法人から、資本金の額等が5億円以上の法人等(大法人)の100%子法人及び100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人を除く。
ニ 特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法人で、支払配当等の損金算入制度の適用対象となるものについては、現行の控除限度額(所得の金額)を存置する。
(注1)上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(注2)上記ロの措置に伴い、平成23年12月改正における更生手続開始の決定があったこと等の事実が生じた場合に係る経過措置については、これに統合する形で廃止する。
(注3)会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度については、現行どおりとする。
③青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を10年(現行9年)に延長する。これに伴い、次の措置を講ずる。
イ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存要件について、その保存期間を10年(現行9年)に延長する。
ロ 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を10年(現行9年)に延長する。
ハ 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を10年(現行9年)に延長する。
(注)上記の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用する。
(3)受取配当等の益金不算入制度について、次の見直しを行う。
①益金不算入の対象となる株式等の区分及びその配当等の益金不算入割合を次のとおりとする。

現行 改正案
区分 不算入割合 区分 不算入割合
完全子法人株式等(株式等保有割合100%) 100分の100  完全子法人株式等(株式等保有割合100%) 100分の100
関係法人株式等(株式等保有割合25%以上)  関連法人株式等(株式等保有割合3分の1超)
その他の株式等  100分の50 
 上記以外の株式等  100分の50 
非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下) 100分の20

②公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額については、その全額を益金算入(現行収益の分配の額の2分の1(4分の1)の金額の100分の50相当額を益金不算入)とする。ただし、特定株式投資信託の収益の分配の額については、その受益権を株式等と同様に扱い、上記①の非支配目的株式等として、その収益の分配の額の100分の20相当額を益金不算入とする。
③上記①のその他の株式等及び非支配目的株式等について、負債利子がある場合の控除計算(負債利子控除)の対象から除外する。
④上記①及び②に伴い、青色申告書を提出する保険会社が受ける非支配目的株式等に係る配当等の額については、その100分の40相当額(原則100分の20相当額)を益金不算入とする特例を創設する。
(注1)上記の改正に伴い、関連法人株式等に係る負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度とする。
(注2)上記③の改正に伴い、損害保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例(特別利子に係る負債利子控除の特例)を廃止する。
(4)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
①控除税額の上限を当期の法人税額の30%(原則20%)に引き上げる措置を適用期限の到来をもって廃止するとともに、新たに以下の措置により控除税額の上限の総枠を当期の法人税額の30%とする。
②特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
イ 税額控除率(現行12%)を次のとおり引き上げる。
(イ)特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究 30%
(ロ)上記以外のもの 20%
ロ 控除税額の上限を試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制とは別枠で当期の法人税額の5%とする。
ハ 特別試験研究費の範囲について、次の見直しを行う。
(イ)特別試験研究機関等のうち試験研究独立行政法人の範囲から国立研究開発法人以外の法人を除外する。
(ロ)特定中小企業者に対する委託研究の対象となる委託先の範囲に公益法人等、地方公共団体の機関、地方独立行政法人等を加える。
(ハ)特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料を加える。
③試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限を当期の法人税額の25%とする。
(注)これらの制度の対象となる試験研究費の額には、特別試験研究費の額に係る税額控除制度の対象とした特別試験研究費の額を含まないこととする。
④繰越税額控除限度超過額及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度を廃止する。
(5)雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度における雇用者給与等支給増加割合の要件について、次の法人の区分ごとに次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
①中小企業者等又は中小連結親法人及びその連結子法人
 平成28年4月1日以後に開始する適用年度について、3%以上(現行5%以上)とする。
②上記①以外の法人
 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度について、4%以上(現行5%以上)とする。
(地方税)
(1)外形標準課税の拡大
①法人事業税の税率の改正
 資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率を次のとおりとし、それぞれ平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。

  現行 改正案
平成27年度 平成28年度~
付加価値割 0.48% 0.72% 0.96%
資本割 0.2% 0.3% 0.4%


年400万円以下の所得 3.8%
(2.2%)
3.1%
(1.6%)
2.5%
(0.9%)
年400万円超800万円以下の所得 5.5%
(3.2%)
4.6%
(2.3%)
3.7%
(1.4%)
年800万円超の所得 7.2%
(4.3%)
6.0%
(3.1%)
4.8%
(1.9%)

(注1)所得割の税率下段のカッコ内の率は、地方法人特別税等に関する暫定措置法適用後の税率。
(注2)3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の所得割に係る税率については、軽減税率の適用はない。
②地方法人特別税の税率の改正
 資本金1億円超の普通法人の地方法人特別税の税率を次のとおりとし、それぞれ平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。

  現行 改正案
平成27年度 平成28年度~
付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率 67.4% 93.5% 152.6%

③資本割の課税標準の見直し等
 現行の資本割の課税標準である資本金等の額が、資本金に資本準備金を加えた額を下回る場合、当該額を資本割の課税標準とする。
 法人住民税均等割の現行の税率区分の基準である資本金等の額に無償増減資等の金額を加減算する措置を講ずるとともに、当該資本金等の額が資本金に資本準備金を加えた額を下回る場合、当該額を均等割の税率区分の基準とする。
④付加価値割における所得拡大促進税制の導入
 平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度に国内雇用者に対して給与等を支給する法人について、その法人の雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が3%以上(平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度については4%以上、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上)であるとき(次のイ及びロの要件を満たす場合に限る。)は、その雇用者給与等支給増加額を付加価値割の課税標準から控除できることとする。
イ 雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額以上であること
ロ 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を上回ること
(注)国内雇用者、雇用者給与等支給額及び基準雇用者給与等支給額等については、法人税における雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度の計算の例による。
 雇用安定控除との調整等所要の措置を講ずる。
⑤法人事業税の税率の改正に伴う負担変動の軽減措置
 資本金1億円超の普通法人のうち平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に係る付加価値額が40億円未満の法人について、当該事業年度に係る事業税額が平成27年3月31日現在の付加価値割、資本割及び所得割の税率を当該事業年度のそれぞれの課税標準に乗じて計算した額を超える場合にあっては、付加価値額が30億円以下の法人についてはその超える額に2分の1の割合を乗じた額を、付加価値額が30億円超40億円未満の法人についてはその超える額に付加価値額に応じて2分の1から0の間の割合を乗じた額を、それぞれ当該事業年度に係る事業税額から控除する措置を講ずる。
 資本金1億円超の普通法人のうち平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度に係る付加価値額が40億円未満の法人について、当該事業年度に係る事業税額が平成28年3月31日現在の付加価値割、資本割及び所得割の税率を当該事業年度のそれぞれの課税標準に乗じて計算した額を超える場合にあっては、付加価値額が30億円以下の法人についてはその超える額に2分の1の割合を乗じた額を、付加価値額が30億円超40億円未満の法人についてはその超える額に付加価値額に応じて2分の1から0の間の割合を乗じた額を、それぞれ当該事業年度に係る事業税額から控除する措置を講ずる。
⑥その他
 その他所要の措置を講ずる。
(2)法人住民税及び法人事業税について、欠損金の繰越控除制度等に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講ずる。
(3)中小企業者等の試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う。
①控除税額の上限を当期の法人税額の30%(原則20%)に引き上げる措置を適用期限の到来をもって廃止するとともに、新たに以下の措置により控除税額の上限の総枠を当期の法人税額の30%とする。
②特別試験研究費の額に係る税額控除を法人住民税に適用する。
③中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限を当期の法人税額の25%とする。
(注)この制度の対象となる試験研究費の額には、特別試験研究費の額に係る税額控除制度の対象とした特別試験研究費の額を含まないこととする。
④繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度を廃止する。
(4)中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度における雇用者給与等支給増加割合の要件について、平成28年4月1日以後に開始する適用年度について、3%以上(現行5%以上)とする。
2 地方創生・国家戦略特区
(国税)
〔新設・拡充〕
(1)地方拠点強化税制の創設
 地域再生法の改正を前提に、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
①地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設
 青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地域再生法の地方拠点強化実施計画(仮称)について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内に、その地方拠点強化実施計画に記載された建物及びその附属設備並びに構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の15%(その地方拠点強化実施計画がその法人の同法の特定施設(仮称)の同法の特定地域(仮称)から同法の大都市等(仮称)以外の地域への移転に関するものである場合には、25%)の特別償却とその取得価額の2%(その地方拠点強化実施計画がその法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域への移転に関するものである場合には、4%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
 なお、地域再生法の改正法の施行の日から平成29年3月31日までの間に地方拠点強化実施計画について承認を受けた法人が取得等をしたものについては、その特別償却とその取得価額の4%(その地方拠点強化実施計画がその法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域への移転に関するものである場合には、7%)の税額控除との選択適用ができることとする。
(注)上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の建物及びその附属設備並びに構築物の取得価額の合計額が2,000万円以上(中小企業者にあっては、1,000万円以上)のものをいう。
②雇用促進税制の拡充
 雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)について、次の見直しを行う。
イ 青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方拠点強化実施計画について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内の日を含む事業年度において、その地方拠点強化実施計画に従って移転又は新増設をした特定施設である事業所における増加雇用者数(法人全体の増加雇用者数を上限とする。)に次の場合の区分に応じ次の金額を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
(イ)現行の適用要件を満たす場合 50万円
(ロ)現行の適用要件のうち雇用者増加割合が10%以上であることとの要件以外の要件を満たす場合 20万円
(注)上記イの措置の適用を受ける場合で上記イ(イ)に該当する場合には、現行の雇用促進税制の適用の基礎となる増加雇用者数から、この措置の適用の基礎となる増加雇用者数を控除する。
ロ 青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方拠点強化実施計画(その法人の特定施設の特定地域から大都市等以外の地域への移転に関するものに限る。)について承認を受けたものが、その承認の日から2年以内の日を含む事業年度(以下「対象年度」という。)において上記イの措置の適用を受ける場合には、対象年度のうちその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(その特定施設である事業所における雇用者数又は法人全体の雇用者数が減少した事業年度以後の事業年度を除く。)において、対象年度のうち当該事業年度以前の各事業年度のその特定施設である事業所における増加雇用者数の合計数に30万円を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
(注)上記ロの措置は、事業主都合による離職者がある場合及び風俗営業等を行っている場合には、適用しない。
 ただし、上記イ及びロによる控除税額は、当期の法人税額の30%から現行の雇用促進税制による控除税額と上記①の税額控除制度による控除税額との合計額を控除した残額を上限とする。
(2)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度について、国家戦略特別区域法令の改正を前提に、次の見直しを行う。
①特定中核事業に革新的な情報サービスを活用した農業の生産性向上に係る研究開発に関する事業を加える。
②特定中核事業以外の事業にインターナショナルスクールの整備に関する事業を加えた上、対象資産にその事業の用に供される貸付用の建物等を加える。
(3)法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)について、国家戦略特別区域法の改正を前提に、対象に、国家戦略特別区域内における認定区域計画に定められた同法の特定事業に係る再開発事業(施行区域の面積が500㎡以上であること等の一定の要件を満たすものに限る。)を行う民間事業者に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等が当該再開発事業の用に供されるものを加える。
(地方税)
〔新設・拡充〕
(1)地方拠点強化税制の創設
 地域再生法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
①地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設
 地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地域再生法の地方拠点強化実施計画(仮称)について承認を受けた法人が、その承認の日から2年以内に、その地方拠点強化実施計画に記載された建物及びその附属設備並びに構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合に選択適用できることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に、税額控除を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
②雇用促進税制の拡充
 中小企業者等の雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)について、次の見直しを行う。
イ 地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方拠点強化実施計画について承認を受けた中小企業者等が、その承認の日から2年以内の日を含む事業年度において、その地方拠点強化実施計画に従って移転又は新増設をした地域再生法の特定施設(仮称)である事業所における増加雇用者数(法人全体の増加雇用者数を上限とする。)に次の場合の区分に応じ次の金額を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
(イ)現行の適用要件を満たす場合 50万円
(ロ)現行の適用要件のうち雇用者増加割合が10%以上であることとの要件以外の要件を満たす場合 20万円
(注)上記イの措置の適用を受ける場合で上記イ(イ)に該当する場合には、現行の雇用促進税制の適用の基礎となる増加雇用者数から、この措置の適用の基礎となる増加雇用者数を控除する。
ロ 地域再生法の改正法の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方拠点強化実施計画(その法人の特定施設の地域再生法の特定地域(仮称)から同法の大都市等(仮称)以外の地域への移転に関するものに限る。)について承認を受けた中小企業者等が、その承認の日から2年以内の日を含む事業年度(以下「対象年度」という。)において上記イの措置の適用を受ける場合には、対象年度のうちその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(その特定施設である事業所における雇用者数又は法人全体の雇用者数が減少した事業年度以後の事業年度を除く。)において、対象年度のうち当該事業年度以前の各事業年度のその特定施設である事業所における増加雇用者数の合計数に30万円を乗じた金額の税額控除ができる措置を講ずる。
(注)上記ロの措置は、事業主都合による離職者がある場合及び風俗営業等を行っている場合には、適用しない。
 ただし、上記イ及びロによる控除税額は、当期の法人税額の30%から現行の雇用促進税制による控除税額と上記①の税額控除制度による控除税額との合計額を控除した残額を上限とする。
(2)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却制度等について、国家戦略特別区域法令の改正を前提に、次の見直しを行う。
①特定中核事業に革新的な情報サービスを活用した農業の生産性向上に係る研究開発に関する事業を加える。
②特定中核事業以外の事業にインターナショナルスクールの整備に関する事業を加えた上、対象資産にその事業の用に供される貸付用の建物等を加える。
3 復興支援のための税制上の措置
(国税)
〔新設〕
(1)福島再開投資等準備金制度の創設
 福島復興再生特別措置法の改正を前提に、帰還困難区域、居住制限区域又は避難指示解除準備区域として設定された区域内に平成23年3月11日において事業所を有していた法人で同法の避難解除等区域復興再生推進事業実施計画の認定を受けたものが、積立期間内の日を含む各事業年度において、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する支出に充てるため、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された投資予定額の2分の1相当額以下の金額を福島再開投資等準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、損金算入できることとする。
 この準備金は、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用を受ける場合にはその適用を受ける減価償却資産の特別償却実施額に相当する金額を取り崩すほか、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日を含む事業年度の翌事業年度から3年間でその2年を経過する日を含む事業年度終了の時における準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する(所得税についても同様とする。)。
(注)上記の「積立期間」とは、避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する資金の積立期間をいう。
 上記に伴い、福島再開投資等準備金を積み立てている法人の積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日が、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業の実施区域に係る企業立地促進計画の提出のあった日又は避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後5年を経過する日より後である場合には、その法人に係る企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の適用期間の末日は、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日とする。ただし、その5年を経過する日後に取得等をした特定機械装置等については、一定の規模以上のものに限り、適用できることとする(所得税についても同様とする。)。
(注)上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の設備を構成する特定機械装置等の取得価額の合計額が1,000万円を超えるもの又は機械装置で一の設備を構成するものの取得価額の合計額が100万円を超えるものをいう。
4 円滑・適正な納税のための環境整備
(国税)
(1)繰延ヘッジ処理又は時価ヘッジ処理におけるオプション取引に係るヘッジの有効性判定について、ヘッジ対象の資産等の評価差額とオプション取引に係る基礎商品の時価変動額とを比較する方法により行う場合には、税務署長に届出書を提出することによりその方法に変更することができることとする。
(2)連結納税の承認及び青色申告の承認について、次の見直しを行う。
①連結納税の承認を受けている法人は、退職年金等積立金に対する法人税に係る申告書を青色申告書により提出できることとする。
②法人が連結納税の承認を取り消された場合には、税務署長は必ずその法人の青色申告の承認も取り消すことを明確化する。
(3)中小企業等の貸倒引当金の特例について、実質的に債権とみられない金額の計算について基準年度実績による簡便法を用いる場合の基準年度を平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度に見直す(所得税についても同様とする。)。
(4)特定目的会社に係る課税の特例について、平成22年4月1日前に設立された特定目的会社のうち平成27年3月31日までに業務開始届出をしていないものに対して、同年4月1日以後に終了する事業年度について、特定出資の国内募集割合が50%を超えていることとする要件を適用する。
5 その他の租税特別措置等
(国税)
〔拡充等〕
(1)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の改正を前提に、特別試験研究費のうち希少疾病用医薬品、希少疾病用医療機器及び希少疾病用再生医療等製品に関する試験研究費の希少疾病の範囲に難病の患者に対する医療等に関する法律の指定難病を加える(所得税についても同様とする。)。
(2)次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度について、対象法人に次世代育成支援対策推進法の特例基準適合認定を受けた法人を加え、対象資産を一般事業主行動計画に記載された器具備品、車両運搬具並びに建物及び建物附属設備で、次世代育成支援対策に資する一定のものとし、割増償却率(現行認定事業年度32%)につき次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
①器具備品及び車両運搬具
イ 基準適合認定 認定事業年度18%(中小事業主にあっては、24%)
ロ 特例基準適合認定 認定事業年度以後3年間12%
②建物及び建物附属設備
イ 基準適合認定 認定事業年度24%(中小事業主にあっては、32%)
ロ 特例基準適合認定 認定事業年度以後3年間15%
(注)上記の「中小事業主」とは、一般事業主行動計画の届出が努力義務とされている一般事業主(常時雇用労働者数100人以下のもの)をいう。
(3)使用済燃料再処理準備金制度及び原子力発電施設解体準備金制度について、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律等の改正を前提に、適格分割又は適格現物出資によりこれらの準備金を引き継ぐ等の措置を講ずる。
(4)換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例について、完全支配関係がある法人の間で譲渡された譲渡損益調整資産についてその譲渡の後に土地区画整理法の換地処分、第一種市街地再開発事業の権利変換等があったことにより本特例の適用を受ける場合には、その譲渡損益調整資産の譲渡利益額を引き続き計上しないこととする。
〔延長〕
(1)公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(環境関連投資促進税制)のうち普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却ができる措置(即時償却)について、対象資産から太陽光発電設備を除外した上、その適用期限を1年延長する(所得税についても同様とする。)。
(2)国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(3)特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、対象者から認定経営革新等支援機関等を除外し、対象設備の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(4)船舶の特別償却制度について、総トン数1万トン未満の外航船舶の除外その他環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(5)関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、対象資産を新設又は増設により取得等をしたものに限定した上、その適用期限を2年延長する。
(6)共同利用施設の特別償却制度について、取得価額要件(100万円以上)を設定した上、その適用期限を2年延長する。
(7)特定農産加工品生産設備等の特別償却制度における新用途米穀加工品等製造設備に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(8)特定信頼性向上設備等の特別償却制度における特定信頼性向上設備に係る措置について、対象地域から除外される地域を首都直下地震対策特別措置法の首都直下地震緊急対策区域(現行東京圏)とし、特別償却率を10%(現行15%)に引き下げた上、その適用期限を1年2月延長する。
(9)特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
①振興山村に係る措置について、山村振興法の改正を前提に、対象法人を中小企業者に限定するとともに、対象事業の見直しを行うほか、振興山村として指定された地区内の市町村が作成する同法の同意山村振興計画(仮称)の計画区域内において、機械装置、建物等及び構築物の取得等をした場合には、5年間普通償却限度額の24%(建物等及び構築物については、36%)の割増償却ができる措置に改組した上、その適用期限を2年延長する。
(注1)対象となる事業は次の事業とし、対象となる機械装置、建物等及び構築物は次の事業の区分に応じそれぞれ次の設備を構成するこれらのものとする。
イ 地域資源を活用する製造業 一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が500万円以上(資本金の額等が5,000万円を超える法人にあっては、1,000万円以上)である場合のその一の設備
ロ 農林水産物等販売業 一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が500万円以上である場合のその一の設備
(注2)上記の「取得等」とは、取得又は製作若しくは建設をいい、建物等にあっては、増築、改築、修繕又は模様替のための工事による取得又は建設を含む。なお、資本金の額等が5,000万円を超える法人にあっては、新設又は増設による取得等に限る。
②半島振興対策実施地域に係る措置について、半島振興法の改正を前提に、同法の認定産業振興促進計画(仮称)に記載された区域及び事業に係る措置とした上、その適用期限を2年延長する。
③過疎地域に係る措置、離島振興対策実施地域に係る措置及び奄美群島に係る措置の適用期限を2年延長する。
(10)医療用機器等の特別償却制度について、高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器に係る措置の対象資産の見直しを行い、医療の安全の確保に資する機器に係る措置を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(11)支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(12)次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度について、対象法人及び対象資産の見直し、割増償却率の引下げ等を行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。(再掲)
(13)特定再開発建築物等の割増償却制度について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
①都市再開発法の施設建築物に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
②都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、特定都市再生緊急整備地域以外の都市再生緊急整備地域内において行われる都市再生事業により整備される建築物の割増償却率を30%(現行40%)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
③中心市街地の活性化に関する法律の認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づく特定民間中心市街地経済活力向上事業により整備される建築物及び構築物に係る措置の適用期限を2年延長する。
④雨水貯留浸透利用施設に係る措置について、下水道法の改正を前提に、対象区域を同法の浸水被害対策区域(仮称)とし、対象施設から浸透性舗装及び補助金等をもって取得等をしたものを除外した上、その適用期限を2年延長する。
(14)倉庫用建物等の割増償却制度について、対象となる倉庫用建物等の規模要件を引き上げた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(15)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、次の見直しを行った上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
①対象者について、農業生産法人以外の特定農業法人を除外するとともに、認定新規就農者である個人を追加する。
②対象となる交付金等から環境保全型農業直接支援対策交付金を除外する。
③対象となる特定農業用機械等を機械装置、器具備品、一定の農業用施設である建物及びその附属設備、構築物並びにソフトウエア(現行農業用の機械その他の減価償却資産)とする。
(16)認定研究開発事業法人等の課税の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(17)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例における長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えについて、次の見直しを行った上、その適用期限を2年3月延長する(所得税についても同様とする。)。
①買換資産から機械装置及びコンテナ用の貨車を除外する。
②改正後の地域再生法の大都市等(仮称)以外の地域から大都市等への買換えについて、課税の繰延べ割合を75%(同法の特定地域(仮称)への買換えの場合には、70%)(現行80%)に引き下げる。
(18)技術研究組合の所得の計算の特例について、対象資産から土地の上に存する権利を除外した上、その適用期限を3年延長する。
(19)特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例について、適用対象から独立行政法人農畜産業振興機構の業務に係る負担金を除外する(所得税についても同様とする。)。
(地方税)
〔拡充等〕
(1)電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、一般送配電事業者の収入金額のうち、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律に規定する特定実用発電用原子炉設置者に対して、同法の施行の日までの特定実用発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等に要する費用に充てるため積み立てるべき金銭として交付すべき金額に相当する金額を追加する課税標準の特例措置を4年間に限り講ずる。
〔廃止〕
(1)国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
6 その他
(国税)
(1)公益法人等の収益事業に係る課税について、収益事業から除外される民間都市開発推進機構が参加業務として行う不動産販売業及び不動産貸付業における支援限度額の算定対象となる施設に都市再生特別措置法の誘導施設等整備事業支援業務における支援限度額の算定対象となる公益的施設を加える。
(2)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で水素社会構築技術開発事業(仮称)等に係るものを加える(所得税についても同様とする。)。
(3)不当景品類及び不当表示防止法の改正に伴い、同法の課徴金制度における課徴金及び延滞金について、損金算入しないこととする(所得税についても同様とする。)。
(4)借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入制度について、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法に基づく同法の大深度地下の使用の認可を受けた事業と一体的に施行される事業(その認可を受けた事業に係る事業計画に定められたものに限る。)により設置される施設又は工作物(その事業計画に係る事業計画書に記載されたものに限る。)の所有を目的とした地下についての上下の範囲を定めた借地権の設定がされた場合における損金算入に係る要件は、その設定の直前における土地の価額のうちに、その価額からその設定の直後における土地の価額を控除した残額の2倍に相当する金額に地表からその土地に係るその大深度地下の深さまでの距離をその借地権の設定がされる最も浅い部分の深さからその大深度地下の深さまでの距離で除して得た数を乗じて計算した金額の占める割合が10分の5以上となるときとする。
(5)確定拠出年金法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
①個人型確定拠出年金における小規模事業主掛金納付制度(仮称)の創設に伴い、次の措置を講ずる。
イ 事業主が拠出する確定拠出年金法の小規模事業主掛金(仮称)について、現行の確定拠出年金の事業主掛金と同様に、損金算入する(所得税についても同様とする。)。
ロ 小規模事業主掛金に係る個人型確定拠出年金の積立金について、現行の確定拠出年金の積立金と同様に、退職年金等積立金に対する法人税の課税対象に加える。
②次の年金制度間及び年金制度と中小企業退職金共済制度との間において年金資産等の移換がされた場合の移換後の各制度における掛金等及び積立金等について、引き続き現行の措置を適用する。
イ 確定拠出年金制度から確定給付企業年金制度への年金資産の移換
ロ 合併等に伴う確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度から中小企業退職金共済制度への年金資産の移換
ハ 合併等の後も引き続き事業主が中小企業者である場合のその合併等に伴う中小企業退職金共済制度から確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度への解約手当金相当額の資産の移換
(6)中小企業退職金共済法等の改正を前提に、事業主が中小企業者でなくなったことによる退職金共済契約の解除に伴う中小企業退職金共済制度から確定拠出年金制度への解約手当金相当額の資産の移換がされた場合の同制度における事業主掛金及び積立金について、引き続き現行の措置を適用する。
(7)国立研究開発法人日本医療研究開発機構法の施行に伴い、同法に基づき設立される国立研究開発法人日本医療研究開発機構を公共法人(法人税法別表第一)とする。
(8)医療法等の改正により社会医療法人制度における次の認定要件の見直しが行われることを前提に、その見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。
①病院及び診療所が所在する全ての都道府県において救急医療等確保事業に係る業務を行っていることとの要件について、医療法人の基幹的な病院が所在する二次医療圏と隣接する市町村であってその病院が所在する都道府県以外の都道府県に属するものにその医療法人の診療所が所在し、かつ、その病院が所在する都道府県及びその診療所が所在する都道府県の医療計画にこれらの都道府県境周辺地域における医療提供・連携体制の確保のために必要な事項が記載されている場合において、その医療法人がその病院において救急医療等確保事業に係る業務を行っているときは、その要件を満たすものとする。
②へき地診療所への医師派遣又はへき地への巡回診療を年間53日以上実施することとの要件について、へき地医療拠点病院への医師派遣及びそのへき地医療拠点病院からへき地診療所への医師派遣又はへき地への巡回診療をそれぞれ純増で年間106日以上実施すること等を加えた上、その要件との選択とする。
(9)貿易保険法の改正により独立行政法人日本貿易保険が特殊会社化されることを前提に、特殊会社について、次の措置を講ずるほか、資産・負債の承継等に係る所要の措置を講ずる。
①貿易保険に係る責任準備金のうち異常危険準備金の積立額の損金算入ができることとする。
②貸倒引当金制度の対象法人に加えるとともに、その有する非常事故代位債権を個別評価金銭債権として同制度を適用する。
(10)医療法の改正により医療法人の分割制度が創設されることを前提に、資本又は出資を有しない法人については、共同事業を行うための適格分割の要件判定に際し、株式継続保有要件を除外して判定する。
(11)地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律等の施行による権限の移譲に伴い、短期の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置の対象である都市計画法の開発許可を受けた法人による譲渡について、国土利用計画法の規制区域に所在する土地等を同法の許可を受けて譲渡をした場合における確定申告書に添付すべき書類を、都道府県知事又は指定都市の長(現行都道府県知事)のその許可に係る通知の文書の写しとする。
(12)投資法人法制の見直しを前提に、次の措置を講ずる。
①利益を超える金銭の分配の額のうち一時差異等調整引当額(仮称)の増加額に相当する金額を、配当等の額(現行資本の払戻しの額)とする(所得税についても同様とする。)。
②投資法人に係る課税の特例について、支払配当等の額が配当可能利益の額の90%を超えていることとする要件における配当可能利益の額から一時差異等調整積立金(仮称)の増加額を控除する等の措置を講ずる。
(地方税)
(1)貿易保険法の改正により独立行政法人日本貿易保険が特殊会社化されることを前提に、特殊会社について、次の措置を講ずる。
①法人事業税について、保険業と同様の課税方式とし、課税標準である収入金額は、各事業年度の正味収入保険料に100分の15を乗じて得た金額とする。
②その他所要の措置を講ずる。
(2)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

四 消費課税
1 消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期の変更等
(国税)
(1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律について、次の措置を講ずる。
①消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とする。
②消費税率(国・地方)の10%への引上げに係る適用税率の経過措置について、請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を平成28年10月1日とする等の改正を行う。
③附則第18条第3項を削除する。
④その他所要の措置を講ずる。
(2)消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とすることにあわせ、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法の期限を平成30年9月30日とする等、関連する法令について、所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律について、次の措置を講ずる。
①消費税率(国・地方)の10%への引上げ等の施行日を平成29年4月1日とする。
②平成29年度における地方消費税額について、その19分の10(本則22分の10)を社会保障財源化分以外とし、その19分の9(本則22分の12)を社会保障財源化分とする経過措置を講ずる。
③附則第19条第3項を削除する。
④その他所要の措置を講ずる。
2 地方創生
(国税)
(1)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しを行う。
①手続委託型輸出物品販売場制度の創設
イ 輸出物品販売場について、その販売場における全ての免税販売手続を免税手続カウンター(下記ロの許可を受けた物的施設をいう。)を設置する事業者に代理させることを前提とした許可制度を創設する。
ロ 他の事業者が経営する販売場における免税販売手続の代理をしようとする事業者(課税事業者に限る。)は、その販売場が所在する次に掲げる場所に設けた物的施設において免税販売手続を行うことについて、納税地を所轄する税務署長の許可を受けるものとする。
(イ)その販売場が商店街振興組合の組合員が経営する販売場であるときは、その組合の定款に定められた地区
(ロ)その販売場が中小企業等協同組合法上の組合の組合員が経営する販売場であるときは、その組合員が形成する一の商店街
(ハ)その販売場が大規模小売店舗内にあるときは、その大規模小売店舗の施設
(ニ)その販売場が一棟の建物内にあるとき(上記(ハ)に該当する場合を除く。)は、その建物
ハ 免税手続カウンターにおいて、免税販売手続を代理する複数の販売場の販売金額を一般物品と消耗品の別に合計している場合には、免税販売の対象となる下限額をその合計額でそれぞれ判断するものとする。
②外航クルーズ船が寄港する港湾における輸出物品販売場に係る届出制度の創設
 外航クルーズ船が寄港する港湾の港湾施設内に場所及び期限を定めて臨時販売場を設置しようとする事業者(既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限る。)が、あらかじめ臨時販売場を設置する見込みである港湾施設につき納税地を所轄する税務署長の許可を受けている場合において、その設置日の前日までに輸出物品販売場を設置する旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなす制度を創設する。
③その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる輸出物品販売場等の許可申請又は同日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。
3 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し
(国税)
(1)内外判定基準の見直し
①対象取引
 電子書籍・音楽・広告の配信等の電気通信回線を介して行われる役務の提供を「電気通信役務の提供」(仮称。以下同じ。)と位置付け、内外判定基準を役務の提供に係る事務所等の所在地から、役務の提供を受ける者の住所地等に見直す。
(注)電気通信役務の提供には、電気通信役務の提供以外の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供や、単に通信回線を利用させる役務の提供は、含まれない。
②その他
イ 電気通信役務の提供には、著作物の利用の許諾に該当する取引が含まれることを明らかにする。
ロ 上記①の見直しに伴い、現行の内外判定に係る規定について所要の整備を行う。
(2)課税方式の見直し(事業者向け電気通信役務の提供(仮称。以下同じ。)に対するリバースチャージ方式の導入)
 国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち、当該役務の性質又は当該役務の提供に係る契約条件等により、当該役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかなものを「事業者向け電気通信役務の提供」と位置付け、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける事業者に転換する(リバースチャージ方式の導入)。
(注)上記の「国外事業者」とは、所得税法上の非居住者である個人事業者及び法人税法上の外国法人をいう。
①リバースチャージ方式の導入に係る課税対象、納税義務者の規定の見直し
イ 消費税の課税対象である資産の譲渡等から事業者向け電気通信役務の提供を除くとともに、事業として他の者から受けた事業者向け電気通信役務の提供(以下「特定仕入れ」(仮称)という。)を課税対象とする。
ロ 納税義務の対象となる課税資産の譲渡等から事業者向け電気通信役務の提供を除くとともに、国内において行った課税仕入れのうち特定仕入れに該当するもの(以下「特定課税仕入れ」(仮称)という。)を納税義務の対象とする。
(注1)国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち事業者向け電気通信役務の提供以外のもの(以下「消費者向け電気通信役務の提供」(仮称)という。)については、当該国外事業者が納税義務者となる。
(注2)事業者向け電気通信役務の提供を受ける免税事業者については、納税義務は生じない。
②事業者向け電気通信役務の提供を行う国外事業者の義務
 国内において事業者向け電気通信役務の提供を行う国外事業者は、当該役務の提供に際し、あらかじめ、当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税の納税義務者となる旨を表示しなければならない。
(3)適正課税を確保するための経過的な措置
①国外事業者から受けた電気通信役務の提供に係る仕入税額控除の制限
 当分の間、国外事業者から提供を受けた消費者向け電気通信役務の提供については、その課税仕入れに係る消費税につき、仕入税額控除制度の適用を認めない。ただし、下記②の登録国外事業者に該当する者から受けた消費者向け電気通信役務の提供については、当該登録国外事業者の登録番号等が記載された請求書等の保存等を要件として、その課税仕入れに係る消費税につき仕入税額控除制度の適用を認める。
②登録国外事業者制度の創設
イ 登録国外事業者は、次に掲げる要件を満たす一定の国外事業者(事業者免税点制度の適用を受けない者に限る。)として、納税地を所轄する税務署長を経由して国税庁長官に申請書を提出し、国税庁長官の登録を受けた事業者とする。
(イ)国内において行う電気通信役務の提供に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地が国内にあること又は消費税に関する税務代理人(国税通則法第74条の9第3項第2号に規定する税務代理人をいう。)があること。
(注)国税通則法第117条第1項(納税管理人)の規定の適用を受ける事業者にあっては、納税管理人を指定している場合に限るものとする。
(ロ)国税の滞納がないこと及び登録国外事業者の登録取消しから1年を経過していること。
ロ 国税庁長官は、登録国外事業者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び登録番号等について、インターネットを通じて登録後速やかに公表しなければならないこととする。
ハ 登録国外事業者が、登録の取消しを求める届出書を納税地を所轄する税務署長を経由して国税庁長官に提出した場合には、届出書の提出があった日の属する課税期間(当該届出書の提出が一定の日以後になされた場合には翌課税期間)の末日の翌日以後は、当該登録は失効するものとする。
ニ 登録を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間については、上記ハによる登録の取消しを求める届出書の提出が行われない限り、事業者免税点制度は適用しない。
ホ その他登録国外事業者制度に係る所要の措置を講ずる。
(注)上記の登録国外事業者制度に係る登録申請については、平成27年7月1日以後にできることとする。
(4)所要の経過措置
①事業者免税点制度に係る特例
 事業者の課税期間の基準期間の初日が平成27年10月1日前であるときは、当該基準期間の初日からこの制度の見直しが行われていたものとして事業者免税点制度の規定を適用する。ただし、当該基準期間の初日からこの制度の見直しが行われていたものとして課税売上高を計算することにつき困難な事情があるときは、平成27年4月1日から同年6月30日までの間においてこの制度の見直しが行われていたものとして計算した課税売上高に4を乗じて計算した金額によることを認める。
②特定課税仕入れに関する経過措置
 特定課税仕入れがある課税期間の課税売上割合が95%以上である場合には、当分の間、当該課税期間において行った当該特定課税仕入れはなかったものとする。
(5)その他
①国外事業者を含む事業者免税点制度の適用上限については、資産の譲渡等を行う事業者に納税義務が課される課税売上高によって判断することとし、特定課税仕入れの支払対価の額については適用上限の計算に含まないこととする。
②特定課税仕入れを行った者が単なる名義人であった場合に、実質的に当該仕入れを行った者に消費税法の規定を適用する旨の規定を設ける。
③消費税の課税標準について、リバースチャージ方式の導入に伴う所要の措置を講ずる。
④仕入控除税額の計算に関する規定について、
イ 特定課税仕入れにつき課されるべき消費税額を仕入控除税額の計算の対象とする旨の改正を行う。
ロ 簡易課税制度の適用を受ける課税期間について特定課税仕入れにつき課されるべき消費税額がある場合には、現行規定によりみなし仕入率を乗じて計算した課税仕入れ等の税額と当該特定課税仕入れにつき課されるべき消費税額の合計額を課税仕入れ等の税額の合計額とする旨の改正を行う。ただし、当分の間、当該課税期間において行った当該特定課税仕入れはなかったものとする。
(6)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、(3)②を除き、平成27年10月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れ並びに保税地域から引き取られる課税貨物について適用する。
(地方税)
(1)国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税が見直されることに伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年10月1日から適用する。
4 たばこ税の見直し
(国税・地方税)
(1)旧3級品の製造たばこに係る国及び地方のたばこ税の特例税率を廃止する。
(注)上記の「旧3級品」とは、専売納付金制度下において3級品とされていた紙巻たばこをいう。
(2)上記の改正は、平成28年4月1日から実施するが、激変緩和等の観点から次のとおり経過措置を講ずる。
①税率改正の実施時期
イ 第一段階 平成28年4月1日
ロ 第二段階 平成29月4月1日
ハ 第三段階 平成30年4月1日
ニ 第四段階 平成31年4月1日
②具体的な税率(1,000本当たり)は、次のとおりとする。

  現 行 改正案
第一段階 第二段階 第三段階 第四段階
国のたばこ税
 たばこ税
 たばこ特別税
2,906円
2,517円
389円
3,406円
2,950円
456円
3,906円
3,383円
523円
4,656円
4,032円
624円
6,122円
5,302円
820円
地方のたばこ税
 道府県たばこ税
 市町村たばこ税
2,906円
411円
2,495円
3,406円
481円
2,925円
3,906円
551円
3,355円
4,656円
656円
4,000円
6,122円
860円
5,262円
合 計 5,812円 6,812円 7,812円 9,312円 12,244円

(3)その他
①手持品課税を実施する。
②その他所要の措置を講ずる。
5 車体課税の見直し
(国税)
(1)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に係る自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「自動車重量税のエコカー減税」)について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①自動車重量税を免除し、又は税率を75%若しくは50%軽減する検査自動車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

イ 乗用自動車

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの 平成32年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成32年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準を満たすもの 平成32年度燃費基準を満たすもの

ロ バス・トラック(車両総重量が2.5t以下のもの)

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より25%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準を満たすもの 平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの

ハ バス・トラック(車両総重量が2.5tを超えるもの)

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準を満たすもの 平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの

②次に掲げる検査自動車(①の検査自動車を除く。)に係る自動車重量税の税率を25%軽減する。
イ 乗用自動車及び車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成21年排出ガス規制(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車にあっては、平成17年排出ガス規制)に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車にあっては、平成17年排出ガス基準値より75%以上)窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準を満たすもの
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車にあっては、平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車)のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの
ニ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準を満たすもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
③①及び②の改正により本措置の対象外となる平成27年度燃費基準を満たす検査自動車で平成29年4月30日までに新車に係る新規検査を受けるものについては、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税について本則税率を適用する経過措置を講ずる。
④その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
〈自動車取得税〉
(1)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(新車に限る。)の取得に対して課する自動車取得税に係る特例措置(いわゆる「自動車取得税のエコカー減税」)について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①自動車取得税を非課税とし、又はその税率を80%若しくは60%軽減する自動車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。
イ 乗用車

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの 平成32年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成32年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準を満たすもの 平成32年度燃費基準を満たすもの

ロ バス・トラック(車両総重量が2.5t以下のもの)

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より25%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準を満たすもの 平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの

ハ バス・トラック(車両総重量が2.5tを超えるもの)

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの
平成27年度燃費基準を満たすもの 平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの

②次に掲げる自動車(①の自動車を除く。)に係る自動車取得税の税率を40%軽減する。
イ 乗用車及び車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成21年排出ガス規制(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車にあっては、平成17年排出ガス規制)に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車にあっては、平成17年排出ガス基準値より75%以上)窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準を満たすもの
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車にあっては、平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車)のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの
ニ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準を満たすもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
③乗用車及び車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限り、①及び②の自動車を除く。)に係る自動車取得税の税率を20%軽減する。
(2)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(新車を除く。)の取得に対して課する自動車取得税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①取得価額から45万円を控除する自動車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。
イ 乗用車

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの 平成32年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの

ロ バス・トラック(車両総重量が2.5t以下のもの)

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より25%以上燃費性能の良いもの

ハ バス・トラック(車両総重量が2.5tを超えるもの)

現 行 改正案
平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの 平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの

②次に掲げる自動車(①の自動車を除く。)について、取得価額から35万円を控除する。
イ 乗用車で平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成32年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ロ 車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ニ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車(電力併用自動車に限る。)に限る。)
ヘ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車(電力併用自動車に限る。)に限る。)
③次に掲げる自動車(①及び②の自動車を除く。)について、取得価額から25万円を控除する。
イ 乗用車で平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成32年度燃費基準を満たすもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ロ 車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ニ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車(電力併用自動車に限る。)に限る。)
ヘ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車(電力併用自動車に限る。)に限る。)
④次に掲げる自動車(①から③までの自動車を除く。)について、取得価額から15万円を控除する。
イ 乗用車及び車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ロ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準を満たすもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る。)
ハ 車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの
ニ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準を満たすもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車(電力併用自動車に限る。)に限る。)
ホ 車両総重量が3.5tを超えるバス・トラックで平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(軽油を内燃機関の燃料とする自動車(電力併用自動車に限る。)に限る。)
⑤乗用車及び車両総重量が2.5t以下のバス・トラックで平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、平成27年度燃費基準値より5%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限り、①から④までの自動車を除く。)について、取得価額から5万円を控除する。
(3)その他所要の措置を講ずる。
〈軽自動車税〉
(4)平成27年4月1日から平成28年3月31日までに新規取得した四輪以上及び三輪の軽自動車(新車に限る。)で、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さいものについて、当該取得をした日の属する年度の翌年度(平成28年度)分の軽自動車税の税率を軽減する特例措置(いわゆる「軽自動車税のグリーン化特例(軽課)」)を、次のとおり講ずる。
 なお、本特例措置は、自動車税・軽自動車税における環境性能割の導入の際に自動車税のグリーン化特例(軽課)とあわせて見直す。
①電気自動車及び天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの。)について、税率を概ね100分の75軽減する。

四輪以上 乗用・自家用 2,700円
    乗用・営業用 1,800円
    貨物用・自家用 1,300円
    貨物用・営業用 1,000円
三輪   1,000円

②平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもののうち、乗用のものについては平成32年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする軽自動車に限る。)について、貨物用のものについては平成27年度燃費基準値より35%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする軽自動車に限る。)について、税率を概ね100分の50軽減する。

四輪以上 乗用・自家用 5,400円
    乗用・営業用 3,500円
    貨物用・自家用 2,500円
    貨物用・営業用 1,900円
三輪   2,000円

③平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ないもののうち、乗用のものについては平成32年度燃費基準を満たすもの(揮発油を内燃機関の燃料とする軽自動車に限り、②の軽自動車を除く。)について、貨物用のものについては平成27年度燃費基準値より15%以上燃費性能の良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする軽自動車に限り、②の軽自動車を除く。)について、税率を概ね100分の25軽減する。

四輪以上 乗用・自家用 8,100円
    乗用・営業用 5,200円
    貨物用・自家用 3,800円
    貨物用・営業用 2,900円
三輪   3,000円

(5)平成27年度分以後の年度分について適用することとされている原動機付自転車及び二輪車に係る税率について、適用開始を1年間延期し、平成28年度分以後の年度分について適用することとする。
(6)その他所要の措置を講ずる。
6 狩猟税の見直し
(地方税)
(1)狩猟税について、次の措置を平成31年3月31日まで講ずる。
①鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に規定する対象鳥獣捕獲員が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税を非課税とする。
②鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部改正により創設される認定鳥獣捕獲等事業者の従事者が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税を非課税とする。
(注)上記の改正は、平成27年5月29日以後に狩猟者の登録を受ける者に対して課すべき狩猟税について適用する。
③狩猟者登録を申請した日前1年以内に、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止等の目的で、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第9条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲に従事した者が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税の税率を通常の税率の2分の1とする。
④その他所要の措置を講ずる。
7 租税特別措置等
(国税)
〔延長・拡充等〕
(1)入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
(2)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
(3)沖縄発電用特定石炭等に係る石油石炭税の免税措置の適用期限を5年延長する。
(4)新車新規登録から13年を経過した検査自動車に係る自動車重量税率の特例措置について、車検制度の見直しに伴う規定の整備を行う。
(5)公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を3年延長する。
(6)衝突被害軽減制動制御装置を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
①次に掲げる検査自動車のうち、車両安定性制御装置(横滑り及び転覆に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②及び③において同じ。)及び衝突被害軽減制動制御装置(衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②及び③において同じ。)を装備したものについて新車に係る新規検査(車両総重量が20tを超え22t以下のトラック(トラクタ及びトレーラーを除く。①から③までにおいて同じ。)にあっては、平成28年10月31日までに受けるものに限る。)を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を75%軽減する。
イ 車両総重量が5tを超え12t以下のバス等(専ら人の運送の用に供する自動車で乗車定員10人以上のもの(立席を有するものを除く。)をいう。③において同じ。)
ロ 車両総重量が3.5tを超え22t以下のトラック
②車両総重量が20tを超え22t以下のトラックのうち、車両安定性制御装置及び衝突被害軽減制動制御装置を装備したものについて新車に係る新規検査(平成28年11月1日以後に受けるものに限る。)を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を50%軽減する。
③次に掲げる検査自動車のうち、車両安定性制御装置又は衝突被害軽減制動制御装置のいずれか一方の装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては、衝突被害軽減制動制御装置)を装備したものについて新車に係る新規検査(車両総重量が20tを超え22t以下のトラックにあっては、平成28年10月31日までに受けるものに限る。)を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を50%軽減する。
イ 車両総重量が12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え22t以下のトラック
(地方税)
〔新設〕
〈軽油引取税〉
(1)日豪物品役務相互提供協定に基づき豪軍の船舶の動力源に供するため提供される免税軽油について、軽油引取税のみなす課税を適用しないこととする等の措置を講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈自動車取得税〉
(1)公共交通移動等円滑化基準に適合したノンステップバス及びリフト付きバス並びにユニバーサルデザインタクシー(新車に限る。)に係る自動車取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(2)衝突被害軽減制動制御装置を装備した自動車に係る自動車取得税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①次に掲げる自動車で車両安定性制御装置(横滑り及び転覆に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②及び③において同じ。)及び衝突被害軽減制動制御装置(衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②及び③において同じ。)を装備したものに係る自動車取得税について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成29年3月31日(車両総重量が20tを超え22t以下のトラック(トラクタ及びトレーラーを除く。①から③までにおいて同じ。)にあっては、平成28年10月31日)までの間に行われたときは、その取得価額から525万円を控除する。
イ 車両総重量が5tを超え12t以下のバス等(専ら人の運送の用に供する自動車で乗車定員10人以上のもの(立席を有するものを除く。)をいう。③において同じ。)
ロ 車両総重量が3.5tを超え22t以下のトラック
②車両安定性制御装置及び衝突被害軽減制動制御装置を装備した車両総重量が20tを超え22t以下のトラックに係る自動車取得税について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成28年11月1日から平成29年3月31日までの間に行われたときは、その取得価額から350万円を控除する。
③次に掲げる自動車で車両安定性制御装置又は衝突被害軽減制動制御装置のいずれか一方の装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては、衝突被害軽減制動制御装置)を装備したものに係る自動車取得税について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成29年3月31日(車両総重量が20tを超え22t以下のトラックにあっては、平成28年10月31日)までの間に行われたときは、その取得価額から350万円を控除する。
イ 車両総重量が12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え22t以下のトラック
(3)独立行政法人労働安全衛生総合研究所と独立行政法人労働者健康福祉機構の統合に伴い、統合法人が承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(4)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人農業生物資源研究所、国立研究開発法人農業環境技術研究所及び独立行政法人種苗管理センターの統合に伴い、統合法人が承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(5)独立行政法人水産大学校と国立研究開発法人水産総合研究センターの統合に伴い、統合法人が承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(6)独立行政法人日本原子力研究開発機構が行う量子科学技術に関する研究開発業務の移管に伴い、独立行政法人放射線医学総合研究所が独立行政法人日本原子力研究開発機構から承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講じる。
(7)国立研究開発法人海上技術安全研究所、国立研究開発法人港湾空港技術研究所及び国立研究開発法人電子航法研究所の統合に伴い、統合法人が承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(8)独立行政法人航海訓練所と独立行政法人海技教育機構の統合に伴い、統合法人が承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講ずる。
(9)自動車検査独立行政法人と独立行政法人交通安全環境研究所の統合に伴い、統合法人が承継する自動車に係る自動車取得税について、非課税とする措置を講ずる。
〈軽油引取税〉
(10)船舶の使用者が当該船舶の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(11)自衛隊の使用する機械を管理する者が自衛隊の使用する通信の用に供する機械等の電源又は動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(12)鉄道事業又は軌道事業を営む者等が鉄道用車両、軌道用車両等(日本貨物鉄道株式会社にあっては、駅の構内等において専らコンテナ貨物の積卸しの用に供するフォークリフト等の機械を含む。)の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(13)農業又は林業を営む者等が動力耕うん機等の機械の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(14)セメント製品製造業を営む者が事業場内において専らセメント製品又はその原材料の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(15)生コンクリート製造業を営む者が事業場内において専ら骨材の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(16)電気供給業を営む者が汽力発電装置の助燃の用途等に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(17)地熱資源開発事業を営む者が地熱資源の開発のために使用する動力付試すい機の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(18)鉱物の掘採事業を営む者が事業場内において専ら鉱物の掘採等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(19)とび・土工工事業を営む者が工事現場において専らくい打ち等のために使用する建設機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(20)鉱さいバラス製造業を営む者が事業場内において専ら鉱さいの破砕等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(21)港湾運送業を営む者が港湾において専ら港湾運送のために使用されるブルドーザー等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(22)倉庫業を営む者が倉庫において専ら当該倉庫業のために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(23)鉄道(軌道を含む。)に係る貨物利用運送事業又は鉄道貨物積卸業を営む者が駅の構内において専ら積込み事業等のために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(24)航空運送サービス業を営む者が空港等において専ら航空機への旅客の乗降等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(25)廃棄物処理事業を営む者が廃棄物の埋立地内において専ら廃棄物の処分のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(26)木材加工業を営む者が事業場内において専ら木材の積卸しのために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(27)木材市場業を営む者が事業場内において専ら木材の積卸しのために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(28)たい肥製造業を営む者が事業場内において、専らたい肥の製造工程において使用する機械等の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(29)索道事業を営む者がスキー場において専ら当該スキー場の整備のために使用する積雪を圧縮するための特殊な構造を有する装置を備えた機械等の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
〔廃止〕
〈軽油引取税〉
(1)海上保安庁が設置し、及び管理する航路標識の電源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置を廃止する。
(2)警察の用に供する電気通信設備を設置し、及び管理する者が当該設備の電源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置を廃止する。
(3)消防庁及び地方公共団体が消防事務の用に供する電気通信設備の電源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置を廃止する。
(4)陶磁器製造業を営む者が陶磁器の製造工程における焼成及び乾燥の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置を廃止する。
8 その他
(国税)
(1)国外事業者による芸能・スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税方式の見直し
①国外事業者が国内において行う芸能・スポーツ等の役務の提供について、その取引に係る消費税の納税義務を、役務の提供を行う事業者から役務の提供を受ける事業者に転換する(リバースチャージ方式の導入)。
②その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に行われる役務の提供について適用する。
(2)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、外国人旅行者が輸出物品販売場において免税購入する際に提示する旅券等の範囲に、船舶観光上陸許可書を加える。
(3)消費税が非課税とされる社会福祉事業等の範囲から、生活困窮者自立支援法に基づく認定生活困窮者就労訓練事業のうち生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等を除外する。
(4)介護保険法の改正により介護サービスの見直しが行われることに伴い、消費税が非課税とされる資産の譲渡等の範囲について、所要の措置を講ずる。
(5)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付に係る医療について、所要の法令改正を前提に、引き続き消費税を非課税とする。
(6)沖縄の揮発油に係る揮発油税及び地方揮発油税の軽減措置の適用期限を5年延長する。
(地方税)
(1)国外事業者による芸能・スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税方式が見直されることに伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日から適用する。
(2)地方消費税の清算基準について、次の見直しを行う。
①消費に相当する額の75%のウェイトを占める小売年間販売額及びサービス業対個人事業収入額のうち、サービス業対個人事業収入額について、サービス業基本調査に基づき定める額から、経済センサス活動調査のサービス業に係る部分(「サービス関連産業B」(「情報通信業」、「土地売買業」、「土地賃貸業」、「貸家業、貸間業」、「旅行業」及び「競輪・競馬等の競走場、競技団」を除く。)及び「医療、福祉」(「社会保険事業団体」を除く。))に基づき定める額に変更する。
②消費に相当する額の25%のウェイトを占める人口及び従業者数について、その割合を1:1から3:2に変更する。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる地方消費税の清算について適用する。

五 国際課税
1 外国子会社配当益金不算入制度の見直し
(国税)
(1)内国法人が外国子会社(持株割合25%以上等の要件を満たす外国法人をいう。以下1において同じ。)から受ける配当等の額で、その配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店所在地国の法令において当該外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている場合には、その受ける配当等の額を、本制度の適用対象から除外する。
(2)内国法人が外国子会社から受ける配当等の額で、その配当等の額の一部が当該外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入された場合には、その受ける配当等の額のうち、その損金の額に算入された部分の金額((3)において「損金算入額」という。)を、上記(1)により本制度の適用対象から除外する金額とすることができる。
(3)上記(2)の適用を受けた事業年度後の各事業年度において、内国法人が外国子会社から受けた配当等の額につき損金算入額が増額された場合には、その増額された後の損金算入額を、本制度の適用対象から除外する。
(4)上記(2)の適用については、確定申告書等に上記(2)の適用を受けようとする旨並びに上記(2)の適用に係る配当等の額及びその計算に関する明細を記載した書類を添付するとともに、一定の書類の保存を要することとする。
(5)上記(1)から(3)までにより本制度の適用対象から除外する配当等の額に対して課される外国源泉税等の額を、外国税額控除の対象とする。
(6)その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が外国子会社から受ける配当等の額について適用する。
(注2)平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法人が外国子会社から受ける配当等の額(平成28年4月1日において有する当該外国子会社の株式等に係るものに限る。)については、従前どおりの取扱いとする。
2 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の整備
(国税)
(1)平成29年1月1日以後に銀行等の一定の金融機関(以下「報告金融機関」という。)との間でその国内にある営業所等を通じて預金又は貯金の受入れを内容とする契約の締結等の一定の取引(以下「特定取引」という。)を行う者は、その者(その者が一定の法人(以下「特定法人」という。)である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の氏名又は名称、住所、生年月日、居住地国(その者が居住者として租税を課される国又は地域をいう。以下同じ。)、居住地国が外国の場合にあっては当該居住地国における納税者番号、その者の居住地国が住所に係る国又は地域と異なる場合にはその異なる事情の詳細その他必要な事項を記載した届出書を、その特定取引を行う際、当該報告金融機関の営業所等の長に提出しなければならない。
(注1)上記の「支配者」とは、法人の事業経営を実質的に支配できる関係にある一定の者をいう。
(注2)届出書を提出した者は、その提出後に居住地国の異動があった場合には、報告金融機関に対し、異動後の居住地国その他必要な事項を記載した届出書を提出しなければならない。
(注3)届出書の提出があった場合には、報告金融機関は当該届出書に記載されている事項につき確認をしなければならない。
(注4)届出書に記載すべき事項は、電磁的方法による提供も可能とする。
(2)報告金融機関は、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める方法により、その者(その者が特定法人である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の居住地国を特定しなければならない。
①平成29年1月1日以後に特定取引を行う者 上記(1)により提出された届出書に記載されている事項による方法
②平成28年12月31日以前に特定取引を行った者で、同日において当該特定取引に係る契約を有するもの その保有する記録を検索する等の一定の方法
(注1)報告金融機関は、上記②に定める方法による特定の後に上記②に掲げる者の居住地国に異動が生じたことを知った場合には、その者に提出を求めた届出書に記載されている事項による等の一定の方法により、その者の居住地国を特定しなければならない。
(注2)上記②に掲げる者は、上記(1)と同様の事項を記載した届出書を提出することができる。この場合には、報告金融機関は、その届出書に記載されている事項により、その者の居住地国を特定しなければならない。
(注3)届出書を提出した者は、その提出後に居住地国の異動があった場合には、報告金融機関に対し、異動後の居住地国その他必要な事項を記載した届出書を提出しなければならない。
(注4)届出書の提出があった場合には、報告金融機関は当該届出書に記載されている事項につき確認をしなければならない。
(注5)届出書に記載すべき事項は、電磁的方法による提供も可能とする。
(3)報告金融機関は、その年の12月31日において、当該報告金融機関の国内にある営業所等に報告対象契約がある場合には、当該報告対象契約を有する者(その者が特定法人である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の氏名又は名称、住所、生年月日、居住地国、居住地国における納税者番号、同日における当該報告対象契約に係る財産の価額、その年における当該報告対象契約に係る財産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他必要な事項(以下「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用して送付する方法又は光ディスク等に記録して提出する方法により、当該報告金融機関の本店所在地等の所轄税務署長に提供しなければならない。
(注)上記の「報告対象契約」とは、特定取引に係る契約のうち、次のいずれかの者が有するものをいう。
①租税条約等の相手国等のうち一定の国又は地域(以下「報告対象国等」という。)を居住地国とする者(以下「報告対象者」という。)
②報告対象国等以外の国又は地域を居住地国とする特定法人であって、当該特定法人の支配者である個人が報告対象者であるもの
(4)報告金融機関は、特定取引を行った者(その者が特定法人である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の居住地国の特定のために採った措置その他必要な事項に関する記録を作成し、保存しなければならない。
(5)報告事項の提供に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
(6)届出書の不提出・虚偽記載又は報告事項の不提供・虚偽記載若しくは報告事項の提供に関する調査に係る検査忌避等に対する罰則を設ける。
(7)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成29年1月1日から適用する。
3 店頭デリバティブ取引に係る証拠金の利子の非課税制度の創設
(国税)
(1)外国金融機関等が、国内金融機関等との間で平成30年3月31日までに行う店頭デリバティブ取引に関して当該国内金融機関等に預託する証拠金で一定のものにつき支払を受ける利子について、非課税適用申告書の提出等を要件として、所得税を非課税とする。
(2)外国金融機関等が平成30年3月31日までに行う店頭デリバティブ取引で金融商品取引清算機関がその債務を負担するものに係る証拠金につき当該外国金融機関等が支払を受ける利子及び国内金融機関等が同日までに行う店頭デリバティブ取引で外国金融商品取引清算機関がその債務を負担するものに係る証拠金につき当該外国金融商品取引清算機関が支払を受ける利子について、上記(1)と同様の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成27年7月1日以後に支払を受けるべき利子について適用する。
4 外国子会社合算税制等の見直し
(国税)
 内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等について、次の見直しを行う。
(1)特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)を20%未満(現行20%以下)に変更する。
(2)外国子会社合算税制の適用除外基準について、次の見直しを行う。
①事業基準の判定における被統括会社の範囲に、特定外国子会社等が発行済株式等の50%以上を有する等の要件を満たす内国法人を加える。
②事業基準の判定における統括会社の要件のうち、二以上の被統括会社に対して統括業務を行っていることとする要件について、二以上の外国法人である被統括会社を含む複数の被統括会社に対して統括業務を行っていることに改める。
③事業基準の判定における事業持株会社の要件に、統括会社の有する外国法人である被統括会社の株式等の帳簿価額の合計額の当該統括会社の有する全ての被統括会社の株式等の帳簿価額の合計額に対する割合又は統括会社の外国法人である被統括会社に対して行う統括業務に係る対価の額の合計額の当該統括会社の全ての被統括会社に対して行う統括業務に係る対価の額の合計額に対する割合が50%を超えていることを加える。
(注)非関連者基準の判定上、卸売業を主たる事業として営む統括会社が内国法人である被統括会社との間で行う取引については、関連者取引に該当するものとする。
(3)適用除外基準の適用がある旨を記載した書面の添付がない確定申告書の提出があり、又はその適用がある旨を明らかにする資料等を保存していない場合においても、税務署長がその添付又は保存がなかったことにつきやむを得ない事情があると認めるときは、当該書面及び資料等の提出があった場合に限り、適用除外基準を適用することができることとする。
(注)上記(1)から(3)までの改正は、特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
(4)特定外国子会社等が子会社(持株割合25%以上等の要件を満たす法人をいう。以下(4)において同じ。)から受ける損金算入配当等の額(当該子会社から受ける配当等の額で、その配当等の額の全部又は一部が当該子会社の本店所在地国の法令において当該子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている場合におけるその受ける配当等の額をいう。(5)及び(6)において同じ。)は、当該特定外国子会社等の合算対象とされる金額の計算上控除しないこととする。
(5)特定外国子会社等が他の特定外国子会社等(上記(4)の子会社に該当するものに限る。以下(5)において同じ。)から受ける損金算入配当等の額のうち、当該他の特定外国子会社等の合算対象とされた金額から充てられた部分の額は、当該特定外国子会社等の合算対象とされる金額の計算上控除する。
(注)上記(4)及び(5)の改正は、特定外国子会社等の平成28年4月1日以後に開始する事業年度に係る合算対象とされる金額について適用する。
(6)内国法人が特定外国子会社等(上記1(1)の外国子会社に該当するものに限る。以下(6)において同じ。)から受ける損金算入配当等の額のうち、当該内国法人の配当等を受ける日を含む事業年度及び当該事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度において当該特定外国子会社等につき合算対象とされた金額の合計額に達するまでの金額は、当該内国法人の所得の金額の計算上益金の額に算入しないこととする。
(注1)上記(6)の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度において内国法人が特定外国子会社等から受ける配当等の額について適用する。
(注2)平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において内国法人が特定外国子会社等から受ける配当等の額(平成28年4月1日において有する当該特定外国子会社等の株式等に係るものに限る。)については、従前どおりの取扱いとする。
(7)特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例について、上記(1)及び(3)から(6)までと同趣旨の改正を行う。
(8)その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
 個人住民税における国内に住所を有する者の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等について、特定外国子会社等に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準(いわゆるトリガー税率)を20%未満(現行:20%以下)に変更する。
5 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施
(国税)
 平成26年度税制改正で措置された国際課税原則の帰属主義への変更(平成28年4月1日施行)が円滑に実施されるよう、次の措置を講ずる。
(1)外国法人が得る履行期間が6月未満の売掛債権等に係る利子は、法人税法に規定する国内源泉所得である「国内資産の運用・保有所得」に該当しない旨を明確化する。
(2)外国法人の恒久的施設と本店等との間で、恒久的施設に帰属しなくても課税対象となる国内不動産の譲渡所得や貸付対価等の国内源泉所得を生ずべき資産の当該恒久的施設による譲渡又は取得に相当する内部取引があった場合には、当該内部取引は、その資産の内部取引の直前の帳簿価額に相当する金額により行われたものとして、当該外国法人の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額を計算することとする。
 この場合の当該外国法人の恒久的施設における内部取引に係る資産の取得価額は、当該内部取引の直前の帳簿価額に相当する金額とする。
(注)非居住者の恒久的施設と事業場等との間の内部取引についても、上記(2)と同様の措置を講ずる。
(3)外国銀行等の資本に係る負債の利子の損金算入制度による損金算入額は、確定申告書等に記載された金額を限度とする。
(4)内国法人の外国税額控除における国外所得金額について、国外事業所等帰属所得とそれ以外の国外源泉所得に区分して計算方法を定めるとともに、国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算について明確化のための所要の整備を行う。
 また、内国法人の本店等と国外事業所等との間の内部取引について、上記(2)と同様の措置を講ずる。
(5)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用する。
(地方税)
 個人住民税、法人住民税及び事業税について、国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税並びに平成30年度分以後の個人住民税について適用する。
6 クロスボーダーの組織再編成に係る適格性判定の特例の見直し
(国税)
 合併等の組織再編成に係る適格性を判定するための特定軽課税外国法人の定義について、次の見直しを行う。
(1)設立後間もないために、その外国法人の実際の租税負担割合を計算することができない場合には、その外国法人が所得を得たとした場合に適用される本店所在地国の外国法人税の税率をもってその外国法人の租税負担割合とする。
(2)外国子会社合算税制におけるトリガー税率を20%未満(現行20%以下)に変更することに伴い、特定軽課税外国法人に該当することとされる著しく低い租税負担割合の基準を20%未満(現行20%以下)に変更する。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行われる合併等について適用する。

六 納税環境整備
1 財産債務明細書の見直し
(国税)
 財産債務明細書について、次の見直しを行い、新たに、財産債務調書として整備する。
(1)提出基準の見直し
 現行の提出基準である「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」を提出基準とする。
(2)記載事項の見直し
 現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の記載事項と同様の事項の記載を要することとする。
(注)財産の評価については、原則として「時価」とする。ただし、「見積価額」とすることもできることとする。また、有価証券等については、取得価額の記載も要することとする。
(3)過少申告加算税等の特例
 国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する特例措置を講ずる。
(4)その他
①財産債務調書の提出に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
②現行の財産債務明細書と同様、国外財産調書に記載した国外財産については、財産債務調書への内容の記載は要しないこととする。
(注)この場合、運用上、財産債務調書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとする。
③財産債務調書の記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に配慮することとする。
④その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用する。
2 マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置
(国税)
 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」という。)の改正に併せて国税通則法を改正し、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(以下「マイナンバー」という。)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課すこととする。
(注1)番号利用法の改正により、預金保険・貯金保険においてマイナンバーが利用できるようになるとともに、社会保障給付関係法、預金保険・貯金保険関係法令の改正により、社会保障給付事務や預金保険・貯金保険事務において、マイナンバーが付された預貯金情報の提供を求めることができることとなる。
(注2)上記の改正は、内閣官房が提出を予定している高度な情報通信技術の活用の進展に伴う個人情報の保護及び有用性の確保に資するための個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)において一括して行われ、同法律案に規定する施行の日から適用される。
(地方税)
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「番号利用法」という。)の改正に併せて地方税法を改正し、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(以下「マイナンバー」という。)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課すこととする。
(注1)番号利用法の改正により、預金保険・貯金保険においてマイナンバーが利用できるようになるとともに、社会保障給付関係法、預金保険・貯金保険関係法令の改正により、社会保障給付事務や預金保険・貯金保険事務において、マイナンバーが付された預貯金情報の提供を求めることができることとなる。
(注2)上記の改正は、内閣官房が提出を予定している高度な情報通信技術の活用の進展に伴う個人情報の保護及び有用性の確保に資するための個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)において一括して行われ、同法律案に規定する施行の日から適用される。
3 税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
(国税)
 国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しを行う。
(1)対象書類の見直し
 スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(現行:3万円未満)を廃止する。
 この際、重要書類(契約書・領収書等をいう。以下同じ。)については、適正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、これに基づき事務処理を実施していること(適正事務処理要件を満たしていること)をスキャナ保存に係る承認の要件とする。
(注)上記の「適正事務処理要件」とは、内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していることをいう。
(2)業務処理後に保存を行う場合の要件の見直し
 重要書類について、業務処理後にスキャナ保存を行う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件を廃止する。
(3)電子署名要件の見直し
 スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名を不要とし、タイムスタンプを付すこととするとともに、入力者等に関する情報の保存を要件とする。
(4)大きさ情報・カラー保存要件の見直し
 重要書類以外の書類について、スキャナで読み取る際に必要とされているその書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの保存を不要とし、グレースケール(いわゆる「白黒」)での保存でも要件を満たすこととする。
(注)上記の改正は、平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用する。
(地方税)
 地方税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しを行う。
(1)対象書類の見直し
 スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(現行:3万円未満)を廃止する。
 この際、重要書類(契約書・領収書等をいう。以下同じ。)については、適正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、これに基づき事務処理を実施していること(適正事務処理要件を満たしていること)をスキャナ保存に係る承認の要件とする。
(注)上記の「適正事務処理要件」とは、内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していることをいう。
(2)業務処理後に保存を行う場合の要件の見直し
 重要書類について、業務処理後にスキャナ保存を行う場合に必要とされている関係帳簿の電子保存の承認要件を廃止する。
(3)電子署名要件の見直し
 スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名を不要とし、タイムスタンプを付すこととするとともに、入力者等に関する情報の保存を要件とする。
(4)大きさ情報・カラー保存要件の見直し
 重要書類以外の書類について、スキャナで読み取る際に必要とされているその書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの保存を不要とし、グレースケール(いわゆる「白黒」)での保存でも要件を満たすこととする。
(注)上記の改正は、平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用する。
4 猶予制度の見直し
(地方税)
 地方税法総則に定める猶予制度について、納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、納税者の申請に基づく換価の猶予制度を創設するなど次の措置を講ずる。その際、地方分権を推進する観点や、地方税に関する地域の実情が様々であることを踏まえ、換価の猶予に係る申請期限など一定の事項については、各地域の実情等に応じて条例で定める仕組みとする。
(1)換価の猶予の特例(申請)の創設
①地方団体の長は、滞納者につき地方税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その地方税の納期限から地方団体の条例で定める期間の末日までにされたその者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、その納付すべき地方税(徴収猶予の適用を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができることとする。ただし、その申請に係る地方税以外の当該地方団体の地方税(猶予の申請中の地方税及び一定の猶予中の地方税を除く。)その他地方税以外の債権の滞納がある場合その他の地方団体が条例で定める場合には、適用しないものとすることができることとする。
②上記①の換価の猶予をする場合には、その猶予に係る地方税(その納付を困難とする金額として、滞納地方税の額から納付可能な額を控除した一定の額を限度とする。)の納付については、その猶予に係る金額をその猶予期間内において、地方団体の条例で定めるところにより分割して納付させるものとする。この場合は、滞納者の財産の状況その他の事情からみて、分割して納付させるそれぞれの金額が合理的かつ妥当なものとなるようにしなければならないこととする。
③地方団体の長は、上記①の換価の猶予をした場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、滞納者の申請に基づき、その期間を延長(当初の猶予期間と併せて2年間を限度)することができることとする。
④換価の猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請をしようとする者は、次の事項その他の地方団体の条例で定める事項を記載した申請書に、財産目録、担保の提供に関する書類その他の地方団体の条例で定める書類を添付した上で提出しなければならないこととする。
イ 地方税を一時に納付することによりその事業の継続若しくはその生活の維持が困難となる事情の詳細又は猶予期間を延長する場合のその期間内に納付することができない理由
ロ 納付を困難とする金額及び猶予を受けようとする期間
⑤上記の他、延滞金の軽減については換価の猶予(職権)と同様とし、担保の徴取基準、猶予の申請手続(猶予の不許可事由、申請に係る補正の手続等、猶予の取消事由)については、見直し後の徴収猶予(下記(2)①及び④から⑥までを参照)と同様とする。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に納期限が到来する地方税について適用する。
(2)徴収猶予及び換価の猶予(職権)の見直し
①担保の徴取基準の見直し
 地方団体の条例で定める場合には担保を不要とする。
②納付方法の見直し
イ 徴収猶予をする場合その猶予に係る金額をその猶予期間内において、地方団体の条例で定めるところによりその者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させることができることとする。
(注)法人の事業税に係る徴収猶予の納付方法についても同様とする。
ロ 換価の猶予をする場合上記(1)②と同様とする。
③申請・添付書類の整備
イ 徴収猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請をしようとする者は、その猶予の種類等に応じ、猶予該当事情の詳細、猶予を受けようとする金額・期間その他の地方団体の条例で定める事項を記載した申請書に、猶予該当事実を証するに足りる書類、担保の提供に関する書類その他の地方団体の条例で定める書類を添付(災害等による徴収猶予の場合で提出が困難な場合を除く。)した上で提出しなければならないこととする。
ロ 換価の猶予(その猶予期間の延長を含む。)をする場合において、地方団体の長は、必要があると認めるときは、財産目録、担保の提供に関する書類その他の地方団体の条例で定める書類又は分割納付計画書の提出を求めることができることとする。
④猶予の不許可事由の整備
 地方団体の長は、徴収猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、その猶予を認めないことができることとする。
イ 滞納者の財産につき強制換価手続が開始された場合等一定の場合において、その者がその猶予に係る地方税を猶予期間内に完納することができないと認められるとき
ロ 申請に係る事項についての徴税吏員の質問に対して答弁せず、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき
ハ 不当な目的で猶予の申請がなされたとき、その他その申請が誠実にされたものでないとき
ニ 上記の他、地方団体の条例で定める場合に該当するとき
⑤申請に係る補正の手続等
 提出された申請書若しくは必要な添付書類についてその記載に不備があった場合又は必要な添付書類の提出がなかった場合には、地方団体の長はこれらの書類の訂正又は提出を申請者に請求することができることとする。この場合において、請求後地方団体の条例で定める期間内にこれらの書類について訂正又は提出がされなかった場合には、徴収猶予(その猶予期間の延長を含む。)の申請は取り下げたものとみなすこととする。
⑥猶予の取消事由の整備
 猶予の取消し(猶予期間の短縮を含む。)の事由について、次の場合をその対象に加える。
イ 上記②により定めた分割納付の方法により地方税を納付しないとき(地方団体の長がやむを得ない理由があると認めるときを除く。)
ロ 新たにその猶予に係る地方税以外の当該地方団体の地方税その他地方団体の条例で定める債権を滞納したとき(地方団体の長がやむを得ない理由があると認めるときを除く。)
ハ 偽りその他不正な手段により猶予の申請がされ、その申請に基づき猶予をしたことが判明したとき
ニ 上記の他、地方団体の条例で定める場合に該当するとき
⑦徴収猶予の申請に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に申請される徴収猶予又は同日以後にされる換価の猶予について適用する。
(3)その他所要の措置を講ずる。
5 個人住民税等における還付加算金の起算日の見直し
  所得税の申告に基因して個人住民税及び個人事業税の減額賦課決定が行われた場合等に生じる過納金に係る還付加算金の起算日について、所得税の還付加算金の起算日と同様の扱いとする。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に還付のため支出を決定し又は充当する過納金に加算すべき金額について適用する。
6 その他
(国税)
(1)電子情報処理組織により申請等を行う際に送信する電子署名及びその電子署名に係る電子証明書について、個人が、当該申請等に係る開始届出等の際に行われた本人確認に基づき通知された識別符号及び暗証符号を入力して申請等を行う場合には、その電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
(注1)本人確認は、次のいずれかの方法により行うこととする。
①携帯電話等を利用した音声通信認証による本人確認
②電子署名及び電子証明書の送信による本人確認
③税務署への来署時における税務署職員による本人確認
(注2)上記の改正は、平成29年1月4日以後に電子情報処理組織により申請等を行う場合について適用する。
(2)電子情報処理組織により申請等を行う場合において書面により提出をする必要がある一定の書類については、スキャナによる読み取り等により作成した電磁的記録(いわゆる「イメージデータ」)を当該申請等に併せて送信することにより、書面による提出に代えることができることとする。この場合において、当該書類のうち法令の規定により原本を提出することが必要とされている書類については、税務署長は、確定申告等の期限から5年間(贈与税及び移転価格税制に係る法人税等については6年間、法人税に係る純損失等がある場合については9年間)、その内容の確認のために当該書類の提出等を求めることができることとする。
(注)上記の改正は、平成28年4月1日以後に電子情報処理組織により申請等を行う場合について適用する。
(3)地方税当局の申告書作成システムに係る端末を使用して電子情報処理組織により行う所得税等の申告については、地方公共団体の職員による本人確認を前提に、当該申告を行う者の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
 これにより、自宅等からの本人による電子情報処理組織を使用した申告と同様、添付すべき書類の記載事項を入力して送信することで当該書類の添付を省略するとともに、作成された申告書については、電磁的記録のまま国税当局に引き継ぐことを可能とする。
(注)上記の改正は、平成29年1月4日以後に電子情報処理組織により申告を行う場合について適用する。
(4)調査手続について次の見直しを行う。
①調査が終了した後において「新たに得られた情報」に照らし非違があると認めるときは再調査を行うことができる規定について、再調査の前提となる前回調査の範囲を「実地の調査」に限ることとし、前回調査が「実地の調査以外の調査」である場合には、「新たに得られた情報」がない場合であっても再調査を行うことができることとする。
(注)上記の改正は、再調査の前提となる前回調査が平成27年4月1日以後に開始され、その前回調査後に行う再調査について適用する。
②複数の税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人が代表となる税務代理人を税務代理権限証書に記載して定めたときは、これらの税務代理人への事前通知は、その代表となる税務代理人に対してすれば足りることとする。
(注)上記の改正は、平成27年7月1日以後に行う事前通知について適用する。
(5)期限後申告書が提出された場合において、期限内申告書を提出する意思があったと認められるものにつき無申告加算税を課さないこととする制度について、適用対象となる期限後申告書の提出期限を、法定申告期限から1月以内(現行:2週間以内)に延長する。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用する。
(地方税)
(1)複数の税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人が代表となる税務代理人を税務代理権限証書に記載して定めたときは、これらの税務代理人への事前通知は、その代表となる税務代理人に対してすれば足りることとする。
(注)上記の改正は、平成27年7月1日以後に行う事前通知について適用する。
(2)期限後に申告書が提出された場合において、期限内に申告書を提出する意思があったと認められるものにつき不申告加算金を課さないこととする制度について、適用対象となる申告書の提出期限を、法定の申告書の提出期限から1月以内(現行:2週間以内)に延長する。
(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に申告書の提出期限が到来する地方税について適用する。

七 関税
1 指定薬物の「輸入してはならない貨物」への追加
 医薬品医療機器等法上輸入が認められていない指定薬物について、水際における取締りを強化するため、関税法上の「輸入してはならない貨物」に追加する。
2 暫定税率の適用期限の延長等
(1)平成27年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(431品目)について、その適用期限を平成28年3月31日まで延長する。アルコール製造用糖みつに係る暫定税率(2品目)については廃止する。
(2)平成27年3月31日に適用期限の到来する特別緊急関税制度及び牛肉・豚肉に係る関税の緊急措置(牛肉の発動基準数量の算定基礎の特例を含む。)について、その適用期限を平成28年3月31日まで延長する。
(3)子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、幼稚園・保育所等が給食用に使用する脱脂粉乳に対する関税暫定措置法の関税減税措置の対象に小規模保育事業等を追加する。
3 無申告加算税の不適用制度の見直し
 無申告加算税の不適用制度の見直しに係る国税通則法改正に合わせ、関税法上の所要の措置を講ずる。
4 その他
(1)知的財産侵害物品の輸出入差止申立ての有効期間を2年から4年に延長する。
(2)輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用して行うことができる手続に以下の手続を追加する。
①知的財産侵害物品の認定手続に係る権利者等による資料の提出
②航空会社による旅客の予約情報の報告
(3)特恵関税制度に関し、ニット製衣類に関する特恵原産地規則の緩和等を行う。
(4)適正な税関行政の執行のため必要な定員の確保など、税関執行体制の一層の充実を図る。

第三 検討事項
1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意して、年金制度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。

2 医療費控除については、医療費の増大や医療・医薬品を取り巻く環境変化、当該控除に係る執行面の実情等を踏まえ、公正な課税を確保するとともに、セルフメディケーション(自己治療)の推進により医療費を削減する観点から、医療保険制度における実効性ある枠組みの構築とあわせ、そのあり方を総合的に検討する。

3 デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、意図的な租税回避の防止に十分留意し、引き続き検討する。

4 寄附金税制のあり方については、これまでの累次にわたる制度拡充の効果等を踏まえ、所得控除による対応を基本としている所得税において主要諸外国にはない税額控除の選択制がとられていること等も勘案しつつ、引き続き検討する。

5 小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

6 寡婦控除については、家族のあり方にも関わる事柄であることや他の控除との関係にも留意しつつ、制度の趣旨も踏まえながら、所得税の諸控除のあり方の議論の中で検討を行う。

7 個人事業者の事業承継に係る税制上の措置については、現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること、法人と異なり、対象とすべき事業用資産とそれ以外の資産の区分が明確でなく、それを客観的に区分することも困難であること、株式等が散逸して事業の円滑な継続が困難になるという特別の事情により特例が認められている法人の事業承継とは異なること等の問題があることに留意し、既存の特例措置のあり方を含め総合的に検討する。

8 投資法人等の課税については、投資家と運用対象資産とを結びつける導管としての実態が確保される場合には支払配当の損金算入を認めている特例的な制度であり、通常法人との課税の公平性を確保する必要があることを前提として、その運用対象資産の範囲について、こうした制度の趣旨や、投資家に対してインフラファンド市場等を通じて投資を促す政策的意義等を考慮しつつ、諸外国における制度・事例にも留意しながら、引き続き検討する。

9 日本郵便株式会社等に係る税制上の措置については、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保のために必要な措置の実現に向けた検討とともに、引き続き所要の検討を行う。

10 医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税率が10%に引き上げられることが予定される中、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額分を「見える化」することなどにより実態の正確な把握を行う。税制上の措置については、こうした取組みを行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。

11 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税のあり方については、今回の改正の実施状況、国際機関等の議論、欧州諸国等における仕向地主義に向けた対応、各種取引の実態等を踏まえつつ、課税の対象とすべき取引の範囲及び適正な課税を確保するための方策について引き続き検討を行う。

12 酒税については、同一の分類に属する酒類間における税率格差が、商品開発や販売数量に影響を与え、それがひいては、酒税の減収にもつながっている。
 このため、類似する酒類間の税負担の公平性の観点や厳しい財政状況、財政物資としての酒類の位置付け等を踏まえ、同一の分類に属する酒類間の税率格差を縮小・解消する方向で見直しを行うこととし、速やかに結論を得る。その際、税率構造の簡素化や各酒類の定義の見直し等も検討する。
 また、平成26年6月に、アルコール健康障害対策基本法が施行されたことにも留意する。

13 原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

14 森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する財源の確保について、財政面での対応、森林整備等に要する費用を国民全体で負担する措置等、新たな仕組みの導入に関し、森林整備等に係る受益と負担の関係に配意しつつ、COP21に向けた2020年以降の温室効果ガス削減目標の設定までに具体的な姿について結論を得る。

15 外国子会社合算税制のあり方については、航空機リース事業の取扱いを含め、BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトにおける国際的な税制の調和に向けた議論を踏まえ、軽課税国に所在する外国子会社を利用した租税回避の防止という本税制の趣旨、日本の産業競争力や経済への影響、適正な執行の確保等に留意しつつ、引き続き検討する。

16 事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。

17 現在、電気供給業、ガス供給業及び保険業については、収入金額による外形標準課税が行われている。今後、これらの法人の地方税体系全体における位置付けや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引き続き検討する。

18 設備投資促進を目的とした固定資産税の償却資産課税に関する税制措置については、固定資産税が基礎的自治体である市町村を支える安定した基幹税であることを踏まえ、政策目的とその効果、補助金等他の政策手段との関係、新たな投資による地域経済の活性化の効果、市町村財政への配慮、実務上の問題点など幅広い観点から、引き続き検討する。

19 利用の効率化及び高度化の促進が必要な農地に対する課税については、農地中間管理機構による事業の実施状況、制度・規制面での環境整備の状況、農地間の税負担の公平性等を勘案しながら、保有に係る課税の強化・軽減等の方策について、総合的に検討する。

20 今後のセルフメディケーションの推進に資する薬局の役割や機能に関する制度設計を踏まえ、不動産取得税の特例措置等について検討する。