平成30年度税制改正大綱

平成29年12月14日

公  明  党

目  次


第一 平成30 年度税制改正の基本的考え方 ---------------------- 1

第二 平成30 年度税制改正の具体的内容 ------------------------ 17

一 個人所得課税 -------------------------------------- 17

二 資産課税 ----------------------------------------- 45

三 法人課税
----------------------------------------- 70

四 消費課税 ----------------------------------------- 92

五 国際課税 ----------------------------------------- 108

六 納税環境整備 -------------------------------------- 118

七 関税 -------------------------------------------- 129

第三 検討事項
------------------------------------------ 130

 

第一 平成30年度税制改正の基本的考え方

 安倍内閣はこの5年間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできた。雇用は200万人近く増加し、正社員の有効求人倍率は調査開始以来初めて1倍を超え、賃金も2%程度の賃上げが4年連続で実現するなど、雇用・所得環境は大きく改善している。
 この経済の成長軌道を確かなものとするために、安倍内閣は、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、「生産性革命」と「人づくり革命」を断行することとしている。生産性を大きく押し上げることで、4年連続の賃上げの勢いをさらに力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしていく必要がある。また、人生100年時代を見据え、わが国の経済社会システムの大改革に挑戦することにより、誰もが生きがいを感じられる「一億総活躍社会」を作り上げる必要がある。
 このため、税制面においては、働き方の多様化を踏まえ、特定の働き方だけでなく、様々な形で働く人をあまねく応援し、「働き方改革」を後押しする観点から、個人所得課税について、これまで検討を重ねてきた見直しの方向性に沿って、給与所得控除・公的年金等控除の制度の見直しを図りつつ、一部を基礎控除に振り替えるなどの対応を行う。
 デフレ脱却と経済再生に向け、生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講ずる。また、中小企業の代替わりを促進するため、事業承継税制を10年間の特例措置として抜本的に拡充する。観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として国際観光旅客税(仮称)を創設するとともに、地方創生の推進に向けて、地方拠点強化税制を見直す。
 地方創生を推進するためには、各地方公共団体が自らの発想で特色を持った地域づくりを進めていくことが重要であることから、その基盤となる地方税源の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築を進める。
 パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るための地方財源を安定的に確保する観点から、次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。
 持続的な経済成長には日本企業の健全な海外展開促進とその果実の国内への還流という好循環も重要である。公平な競争条件を確保し、課税逃れに効果的に対応する国際税制はそのための重要なインフラである。わが国は「BEPS(注)プロジェクト」において主導的役割を果たしてきたが、引き続き、国際的なルール作りに積極的に参画するとともに、変化する経済実態や諸外国における取組みも踏まえ、国際合意に則った制度の整備を進める。
 (注)Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転
 近年、経済社会のICT化が急速に進展している。ICTは、生産性の高い経済社会を構築するとともに、国民の利便性や行政の効率性を高めるために重要なツールであり、税務分野においてもその積極的な活用が必要である。こうした観点から、税務手続の電子化等を一層推進し、電子申告・納税等の拡充を進める。
 また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進めていく。
 税制改正に当たっては、足下の経済情勢への適切な対応が重要である一方、中長期的課題にも責任をもって取り組まなければならない。税制は経済社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、検討を進める。
 「人づくり革命」の断行により、2020年度の基礎的財政収支の黒字化目標は影響を受けざるを得ないが、引き続き経済再生と財政健全化を両立させることがわが国の最重要課題である。このため、基礎的財政収支の黒字化を目指すという目標を堅持し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すこととし、来年の「経済財政運営と改革の基本方針」において、その裏付けとなる具体的な計画を示す必要がある。このような厳しい財政事情に鑑み、財政物資としてのたばこの基本的性格を踏まえ、たばこ税の税率を引き上げる。
 消費税率10%への引上げを平成31年10月1日に確実に実施するとともに、あわせて実施される低所得者への配慮のための軽減税率制度について、安定的な恒久財源を確保するため、平成30年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずる。

 以下、平成30年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。

1 個人所得課税の見直し
(1)平成30年度税制改正における対応
  個人所得課税については、平成29年度税制改正大綱において、見直しに向けた基本的方向性をとりまとめた。この基本的方向性に沿って、平成30年度税制改正においては、以下のとおり個人所得課税の見直しを進める。
① 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
  経済社会の著しい構造変化の中で、働き方が様々な面で多様化している。かつては、「学校卒業後、1つの会社で定年まで勤めあげ、年金生活に入る」といったライフコースが典型的であったが、特定の企業や組織に属さず専門分野の能力等を活かしてフリーランスとして業務単位で仕事を請け負う、子育てをしながら会社員時代に培った技能を活かして在宅で仕事を請け負う、高齢者が長年培った能力や経験を活かし業務単位の仕事の請負や起業支援等の形で活躍するなど、多様な働き方が増えつつある。人生100年を生きる時代には、さらにこうした傾向が強まることが想定される。
  他方、わが国の個人所得課税は、こうした多様な働き方の拡大を想定しているとは言い難い。様々な収入の中でも、給与収入と公的年金等収入のみに給与所得控除や公的年金等控除といった所得計算上の控除が認められ、働き方や収入の稼得方法により所得計算が大きく異なる仕組みとなっている。
  様々な形で働く人をあまねく応援し、「働き方改革」を後押しする観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除や公的年金等控除から、どのような所得にでも適用される基礎控除に、負担調整の比重を移していくことが必要である。こうした基本的考え方の下、負担の変動が急激なものとならないようにするため、まずは、給与所得控除・公的年金等控除を10万円引き下げるとともに、基礎控除を同額引き上げることとする。
② 給与所得控除の見直し
  給与所得控除については、平成26年度税制改正大綱において「現行の水準は、所得税の課税ベースを大きく浸食しており、実際の給与所得者の勤務関連支出に比しても、また主要国の概算控除額との比較においても過大となっていることから、中長期的には主要国並みの控除水準とすべく、漸次適正化のための見直しが必要である」との基本的方向性が示され、同年度改正において、給与所得控除の上限を245万円(給与収入1,500万円超)から220万円(給与収入1,000万円超)に25万円引き下げた。
  平成30年度税制改正においても、この方針に沿って、引き続き給与所得控除の上限の引下げを行う。具体的には、給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除額を195万円(①の見直しによる10万円引下げ分を含む。)に引き下げる。ただし、子育てや介護に対して配慮する観点から、22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる者や特別障害者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいる者については、負担増が生じないよう措置を講ずる。
③ 公的年金等控除の見直し
  公的年金等控除については、給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく、年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど、高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている。また、諸外国は、基本的に、拠出段階、給付段階のいずれかで課税される仕組みとなっているが、わが国は、拠出段階では全額控除され、給付段階でも公的年金等控除が受けられ、拠出・給付の両段階で十分な課税がなされない仕組みとなっている。
  こうした点を踏まえ、世代内・世代間の公平性を確保する観点から、公的年金等控除について、公的年金等収入が1,000万円を超える場合、控除額に上限(見直し後の上限額:195.5万円(①の見直しによる10万円引下げ分を含む。))を設けることとする。また、公的年金等収入以外の所得金額が1,000万円を超える場合には控除額を10万円引き下げ、2,000万円を超える場合には控除額を20万円引き下げることとする。
④ 基礎控除の見直し
  わが国の基礎控除については、所得の多寡によらず一定金額を所得から控除する所得控除方式が採用されているが、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないか、高所得者ほど税負担の軽減額が大きいことは望ましくないのではないかとの指摘がある。
  主要国においては、一定の課税所得までは税率をゼロとする「ゼロ税率方式」や、課税所得に累進税率を適用した後に一定の控除額を差し引く「税額控除方式」、所得控除方式を維持しつつ高所得者について控除額を逓減・消失させる「逓減・消失型の所得控除方式」が採用されており、いずれもわが国の所得控除方式と比べて所得再分配機能が高い。
  「ゼロ税率方式」や「税額控除方式」は、所得再分配機能の強化に寄与するものの、現行の所得控除方式から変更した場合、負担の変動が急激なものとなりかねないことから、「逓減・消失型の所得控除方式」を採用する。基礎控除は、人的控除の中で最も基本的な控除であり、より広い所得階層に適用されるべきものであることを踏まえ、所得金額2,400万円超から逓減し、2,500万円超で消失する仕組みとする。
⑤ 所得情報を活用している社会保障制度等における対応
  今回の個人所得課税の見直しにおいて、給与所得控除や公的年金等控除から基礎控除へ10万円の振替を行うことにより、税負担は増加しないが、総所得金額等や合計所得金額が増加する場合が生じうる。
  この変化に伴い、所得税又は個人住民税の総所得金額等や合計所得金額を活用している社会保障制度等の給付や負担の水準に関して意図せざる影響や不利益が生じないよう、当該制度等の所管府省において、適切な措置を講じなければならない。
(2)今後の見直しに向けた基本的方向性
  今回の個人所得課税の見直しにおいては、働き方の多様化への対応とともに、所得再分配機能の回復の観点から、各種控除の見直しを行ったところである。今後も、所得再分配機能の回復や税負担のあり方の観点から、引き続き見直しを継続していく。
  経済社会の著しい構造変化の中で、近年、結婚や出産をする経済的余裕がない若者が増加しており、こうした若い世代や子育て世帯に光を当てていくことが重要である。そのため、税制のみならず、社会保障制度、労働政策等の面を含め、総合的な取組みを進める必要がある。
  給与所得控除や公的年金等控除といった所得計算上の控除については、働き方の多様化の進展状況等も踏まえ、基礎控除への更なる振替を検討するとともに、今回の見直しの考え方やこれまでの税制改正大綱に示された方針を踏まえ、そのあり方について引き続き丁寧に検討する。また、経済社会のICT化等の動向や諸外国の制度も踏まえ、適正な記帳の確保に向けた方策を講じつつ、事業所得等の適正な申告、所得把握に向けた取組みを進める。
  人的控除については、平成29年度税制改正及び今回の改正により、基礎控除、配偶者控除及び配偶者特別控除について、逓減・消失型の所得控除方式が採用されることとなる。今後の制度のあり方については、給与所得控除等からの振替による影響を見極めるとともに、所得再分配機能をどの程度強化すべきかという点も踏まえながら、引き続き検討する。
  老後の生活など各種のリスクに備える自助努力を支援するための企業年金、個人年金、貯蓄・投資、保険等に関連する諸制度のあり方について、社会保障制度を補完する観点や働き方の違い等によって有利・不利が生じないようにするなど公平な制度を構築する観点から幅広い検討を行う。
  個人住民税については、地域の住民サービスを支える基幹税としての役割の重要性に鑑み、充実強化を図ることを基本として、制度のあり方を検討していく。その際、個人住民税は、地域社会の費用を住民がその能力に応じ広く負担を分任するとの性格を有すること、応益課税としての性格を明確化する観点から比例税率により課税されていることなど、その性格や仕組み等に留意する必要がある。
  個人所得課税の見直しについては、個人の負担に直結するものであることから、累次の改正の影響も見極めつつ、国民の理解を得ながら、引き続き丁寧に議論を進めていくこととする。

2 デフレ脱却・経済再生
(1)「生産性革命」の実現に向けた税制措置
① 賃上げ・生産性向上のための税制
  わが国の企業収益が過去最高を更新し続ける中、企業が自己の収益を生産性向上のための設備投資や人材投資に振り向け、持続的な賃上げが可能となる環境を作り出すことが、成長と分配の好循環を生み出すためには重要である。この生産性に関する喫緊の課題に対応するため、賃上げ・生産性向上のための税制として、生産性革命集中投資期間中、以下の措置を講ずる。
イ 十分な賃上げや国内設備投資を行った企業について、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができる措置を講ずる(人材投資を増加した企業に対しては、税額控除割合を上乗せする。)。
(注)なお、中小企業については、別途、賃上げの促進に係る措置を講ずる。
ロ 企業内外のデータを連携・高度利活用すること等により生産性の向上を図る等、「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の要件を満たすものとして認定された計画に基づく投資(情報連携投資)について、特別償却又は税額控除ができる措置を講ずる。
ハ 所得が増加しているにもかかわらず、賃上げや設備投資をほとんど行っていない大企業について、研究開発税制等、生産性の向上に関連する税額控除の適用を行わないこととする。
② 「生産性革命」の実現に向けた中小企業の設備投資の支援
  生産性革命集中投資期間中における臨時、異例の措置として、地域の中小企業による設備投資の促進に向けて、「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の規定により市町村が主体的に作成した計画に基づき行われた中小企業の一定の設備投資について、固定資産税を2分の1からゼロまで軽減することを可能とする3年間の時限的な特例措置を創設する。本特例措置については、生産性革命集中投資期間限りの措置とする。中小企業等経営強化法に規定する認定経営力向上計画に基づき中小事業者等が取得する一定の機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置については、平成30年度末の適用期限をもって廃止する。
  なお、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、償却資産に対する固定資産税の制度は堅持する。
(2)事業承継税制の拡充
  中小企業経営者の年齢分布のピークが60歳台半ばとなり、高齢化が急速に進展する中で、日本経済の基盤である中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上は、待ったなしの課題となっている。こうした中で、事業承継税制について、10年間の特例措置として、各種要件の緩和を含む抜本的な拡充を行う。
  具体的には、施行日後5年以内に承継計画を作成して贈与・相続による事業承継を行う場合、①猶予対象の株式の制限(発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合80%を100%に引き上げることにより、贈与・相続時の納税負担が生じない制度とし、②雇用確保要件を弾力化するとともに、③2名又は3名の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大し、④経営環境の変化に対応した減免制度を創設して将来の税負担に対する不安に対応する等の特例措置を講ずる。こうした特例措置を講じるに当たっては、租税回避が助長されないよう、制度面・運用面で必要な対応を行う。
  中小企業の事業承継の問題に対応するには、こうした税制措置だけでなく、予算措置も含めた総合的な支援を行うことが必要である。この中で、中小企業の後継者難については、後継者のマッチングなどを支援し、あわせて、関係省庁において経営者の個人保証の適正化に向けた検討を行っていかなければならない。
(3)競争力の強化
① 事業再編の環境整備
  企業外の経営資源・技術を取り込むための事業の再編・統合は、新規技術等への投資と共に、わが国企業の生産性を高めていくための有効な手段である。特に著しい生産性向上等を実現するためには、大規模かつ迅速な事業再編によって、戦略分野への選択と集中、プラットフォームの提供、事業ポートフォリオ転換等を進めていくことが重要であり、これらの特定の事業再編を強力に推し進めていく観点から、自社株式を対価とした公開買付けなど、任意の株式の交換について、交換に応じた株主に対する譲渡損益課税の繰延措置を講ずる。
  また、多段階型再編等多様な手法による事業再編の円滑な実施を可能とするため、組織再編税制の適格要件を見直す。
② 国立大学法人等に対する評価性資産の寄附の促進
  わが国のGDP600兆円経済の実現に向けて、科学技術イノベーションを推進する観点から、知と人材の拠点である大学や研究開発法人を中核として、産学官が連携して、社会全体で優れた研究開発やベンチャーが自発的・連続的に創出されるイノベーション・エコシステムを構築する必要がある。このため、そのエンジンとなる国立大学法人等の経営基盤を強化することが不可欠であり、国立大学法人等は積極的に外部資金を得るように努めるなど「運営」から「経営」への脱却が求められる。国立大学法人等が外部資金獲得に向けた取組みを一層進め、寄附された資産を柔軟に活用できるようにする観点から、国立大学法人等に対して評価性資産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置について、要件を大幅に緩和する。
(4)観光立国・地方創生の実現
① 観光財源の確保
  観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図る観点から、観光促進のための税として、わが国からの出国に広く薄く負担を求める国際観光旅客税(仮称)を創設する。財源の使途に関しては、受益と負担の関係から日本人出国者を含む負担者の納得が得られ、先進的で費用対効果が高く、地方創生をはじめとするわが国が直面する重要な政策課題に合致するものとする。具体的には、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、わが国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化及び地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験・滞在の満足度の向上に資する施策に充てるものとする。
② 外国人旅行者向け消費税免税制度の利便性向上
  外国人旅行者の利便性の向上等の観点から、免税販売手続の電子化を推進し、ペーパーレス化を進めるとともに、免税販売の対象となる下限額の判定に際し、一定の条件下で一般物品と消耗品の合算を認める措置を講ずる。
③ 地方拠点強化税制の見直し
  東京一極集中の是正を図るという地方拠点強化税制の趣旨をより明確に制度に反映するとともに、首都圏から地方に移転する企業が本税制を積極的に活用するよう促すため、主として移転型事業について、支援対象地域の追加と税額控除額の見直し、雇用増加要件について、実情等に応じた適正化など、本税制の適用範囲及び要件について所要の見直しを行う。
④ 相続登記に係る登録免許税の見直し
  所有者不明土地問題を受けて、数次にわたる相続を経ても登記が放置されている土地や、相続登記を促進すべき地域における少額土地(一筆10万円以下)について、登記に係る登録免許税を減免する。これと併せ、法務省において、早急に全国の地域別・地区別の登記の現況を正確に把握する必要がある。
(5)その他考慮すべき課題
① 租税特別措置については、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となりうる一方で、税負担の歪みを生じさせる面があることから、真に必要なものに限定していくことが重要である。このため、毎年度、期限が到来するものを中心に、各措置の利用状況等を踏まえつつ、必要性や政策効果をよく見極めた上で、廃止を含めてゼロベースで見直しを行う。また、租税特別措置の創設・拡充を行う場合は、財源を確保することやいたずらに全体の項目数を増加させないことに配意する。
② 住宅市場に係る対策については、住宅投資の波及効果に鑑み、これまでの措置の実施状況や今後の住宅市場の動向等を踏まえ、必要な対応を検討する。
③ 今回の個人所得課税の見直しにおいては、働き方の多様化への対応とともに、所得再分配機能の回復の観点から、各種控除の見直しを行ったところであるが、今後の見直しにおいても、所得再分配機能の回復の必要性が高まっていることを踏まえる必要がある。
④ 金融所得に対する課税のあり方については、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。

3 地域社会を支える地方税財政基盤の構築
(1)地方消費税の清算基準の抜本的な見直し
  地方消費税は、その税負担を最終消費者に求めるものであることから、最終消費地と税収の帰属地を一致させる必要があり、このための仕組みとして、清算制度が設けられている。この清算基準については、平成9年度に導入されて以来20年が経過したことから、サービス産業化の進展など社会経済情勢や統計制度の変化等を踏まえ、社会保障財源として充実が図られている地方消費税の税収を、より適切に最終消費地に帰属させるため、清算基準の抜本的な見直しを行う。
  具体的には、消費の実態を踏まえ、清算基準における統計データの利用方法を見直し、統計データとしてそのまま利用することが適当でないものについて除外することとし、その結果として統計データがカバーする比率を現行の75%から50%に改める。また、統計データのカバー外の消費代替指標については、地方消費税創設当初と比べてサービス統計の調査対象が大きく拡大したこと等を踏まえ、従業者数は用いないこととし、人口の比率を50%に高める。
(2)土地に係る固定資産税の負担調整措置
  固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、今後ともその税収の安定的な確保が不可欠である。
  土地に係る固定資産税については、平成9年度から負担水準の均衡化を進めてきた結果、平成29年度の商業地等における負担水準は、据置特例の対象となる60%から70%までの範囲(据置ゾーン)内にほぼ収斂するに至っている。
  現下の商業地の地価の状況を見ると、三大都市圏では4年連続の上昇、地方圏では下落幅は縮小しているものの下落傾向が続いている。
  そのため、平成30年度評価替えにおいては、大都市を中心に、地価上昇の結果、負担水準が下落し据置ゾーンを下回る土地が生ずる一方で、地方では、地価下落の結果、負担水準が70%を超えて上昇する土地が数多く生ずると見込まれるところであり、まずは、そうした土地の負担水準を据置ゾーン内に再び収斂させることに優先的に取り組むべきである。
  このような状況及び現下の最優先の政策課題はデフレからの脱却を確実なものとすることであることを踏まえ、平成30年度から平成32年度までの間、土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する。
  一方、据置特例が存在することで、評価額と税額の高低が逆転する現象が生じるなど、据置ゾーン内における負担水準の不均衡が解消されないという課題があり、負担の公平性の観点からは更なる均衡化に向けた取組みが求められる。
  これらを踏まえ、税負担の公平性や市町村の基幹税である固定資産税の充実確保の観点から、固定資産税の負担調整措置のあり方について引き続き検討を行う。
(3)都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
  少子高齢化が加速する中、地域の実情に応じたきめ細かな行政サービスを地方公共団体が安定的に提供していくための基盤として、偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することはますます重要性を増している。こうした観点から、消費税率引上げに併せ、法人住民税法人税割の地方交付税原資化を段階的に進めるなど、地方税源の偏在是正に取り組んできたところである。
  近年、経済再生への取組みにより地方税収が全体として増加する中で、地域間の財政力格差は再び拡大する傾向にある。地方交付税の不交付団体においては、財源超過額が拡大し、その基金残高も大きく増加している。一方、交付団体においては、臨時財政対策債の残高が累増するなど、厳しい財政運営が続いている状況にある。
  地方創生を推進し、一億総活躍社会を実現するためには、税源の豊かな地方公共団体のみが発展するのではなく、都市も地方も支え合い、連携を強めることが求められる。また、各地方においていきいきとした生活が営まれることは、都市が将来にわたり持続可能な形で発展していくためにも不可欠である。このためには、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて、新たに抜本的な取組みが必要である。
  こうした観点から、特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、消費税率10%段階において地方法人特別税・譲与税が廃止され法人事業税に復元されること等も踏まえて検討し、平成31年度税制改正において結論を得る。

4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保
 森林を整備することは、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源の涵養、地方創生や快適な生活環境の創出などにつながり、その効果は広く国民一人一人が恩恵を受けるものである。しかしながら、森林整備を進めるに当たっては、所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加、境界未確定の森林の存在や担い手の不足等が大きな課題となっている。パリ協定の枠組みの下でわが国の温室効果ガス排出削減目標を達成し、大規模な土砂崩れや洪水・浸水といった都市部の住民にも被害が及び得る災害から国民を守るためには、こうした課題に的確に対応し、森林資源の適切な管理を推進することが必要である。
 このため、自然的条件が悪く、採算ベースに乗らない森林について、市町村自らが管理を行う新たな制度を創設することとされており、森林関連法令の見直しを行い、平成31年4月から施行することが予定されている。その見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、以下を内容とする森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。
 森林環境税(仮称)は国税とし、都市・地方を通じて、国民一人一人が等しく負担を分かち合って、国民皆で、温室効果ガス吸収源等としての重要な役割を担う森林を支える仕組みとして、個人住民税均等割の枠組みを活用し、市町村が個人住民税均等割と併せて賦課徴収を行う。
 森林環境税(仮称)は、地方の固有財源として、その全額を、国の一般会計を経ずに、交付税及び譲与税配付金特別会計に払い込んだ上で、市町村及び都道府県に対して、森林環境譲与税(仮称)として譲与する。森林環境譲与税(仮称)については、法令上使途を定め、市町村が行う間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用並びに都道府県が行う市町村による森林整備に対する支援等に関する費用に充てなければならないものとする。
 森林環境税(仮称)については、消費税率10%への引上げが平成31年10月に予定されていることや、東日本大震災を教訓として各地方公共団体が行う防災施策に係る財源確保のための個人住民税均等割の税率の引上げが平成35年度まで行われていること等を考慮し、平成36年度から課税する。税率は、新たな森林管理制度の施行後において追加的に必要となる需要量や国民の負担感等を勘案し、年額1,000円とする。
 一方で、森林現場における諸課題にはできる限り早期に対応する必要があり、新たな森林管理制度の施行とあわせ、森林環境譲与税(仮称)の譲与は、平成31年度から行う。
 平成35年度までの間における譲与財源は、後年度における森林環境税(仮称)の税収を先行して充てるという考え方の下、暫定的に交付税及び譲与税配付金特別会計における借入れにより対応する。市町村の体制整備の進捗に伴い、徐々に増加するように譲与額を設定しつつ、借入金は、後年度の森林環境税(仮称)の税収の一部をもって確実に償還する。

5 経済活動の国際化への対応
(1)国際課税に関する制度の見直し
  国際課税については、引き続き、日本企業の健全な海外展開を支えることにより海外の成長を国内に取り込むとともに、国際的な脱税や租税回避に対してより効果的に対応していく。このため、平成29年度税制改正大綱の「今後の国際課税のあり方についての基本的考え方」で掲げた、①「BEPSプロジェクト」の合意事項の着実な実施を通じた国際協調の推進、②「経済活動や価値創造の場と税が支払われるべき場所を一致させる」との「BEPSプロジェクト」の基本的考え方を踏まえた、健全な海外展開を歪める誘引の除去、③税に関する透明性の向上に向けた国際的な協調、という基本方針の下で臨む。また、企業部門の予見可能性の向上にも配慮する。
  平成30年度税制改正においては、「BEPSプロジェクト」の合意事項が盛り込まれたBEPS防止措置実施条約やOECDモデル租税条約を踏まえ、国際合意に則り必要な制度改正を行う。具体的には、国際課税における基本的な概念である「恒久的施設」の定義について、租税条約と国内法の適用関係を明確化し、恒久的施設認定の人為的回避に対応するなどの見直しを行う。
  「BEPSプロジェクト」の実施枠組みへの参加は100か国を超え、非居住者保有の金融口座情報の自動的交換が一部始まるなど透明性の向上に向けた取組みも進んでいる。今後も国際協調において主導的な役割を果たすため、わが国も引き続き国際合意に則った制度の整備を進める必要がある。特に、平成29年度税制改正大綱において中期的に取り組むべき事項として掲げた、移転価格税制、過大支払利子税制及び義務的開示制度については、「BEPSプロジェクト」における勧告や諸外国の制度・運用実態等を踏まえて検討を進める。
(2)外国人の出国後の相続税納税義務の見直し
  高度外国人材等の受入れと長期間の滞在を更に促進する観点から、日本に長期間住所を有していた外国人が出国後に行った相続・贈与に対して国外財産も含めて相続税等を課税する現行制度について、租税回避抑制のための措置は講じつつ見直しを行う。具体的には、一時的に国外に住所を移した後に贈与を行う場合を除き、外国人が出国後に行った相続・贈与については原則として国外財産を相続税等の課税対象とはしないこととする。

6 円滑・適正な納税のための環境整備
(1)税務手続の電子化等の推進
  経済社会のICT化や働き方の多様化が進展する中、税務手続においても、ICTの活用を推進し、全ての納税者が簡便・正確に申告等を行うことができる利便性の高い納税環境を整備するとともに、データの円滑な利用を進めることにより、社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図ることが重要である。
  このため、法人税等に係る申告データを円滑に電子提出できるよう環境整備を進めるとともに、大法人については法人税等の電子申告を義務化する。法定調書や所得税の年末調整手続についても、一層の電子化に向けた措置を講ずる。また、地方税の電子納税について、安全かつ安定的な運営を担保するために必要な措置を講じつつ、全地方公共団体が共同で収納を行う仕組みを整備する。
  税務手続の電子化等の推進については、今後も、適正課税の観点も踏まえつつ、経済社会のICT化等の進展に遅れることなく対応を進めていく。
  給与所得に係る個人住民税の特別徴収税額通知(納税義務者用)については、電子情報処理組織(eLTAX)により特別徴収義務者を経由し、送付する仕組みを、地方公共団体間の取扱いに差異が生じないよう配慮しつつ検討する。
(2)適正な納税のための環境整備
  適正・公平な課税を実現し、税制に対する国民の信頼を確保する観点から、以下の取組みを進める。
  金の密輸事件が多発している状況等を踏まえ、関税法上の無許可輸出入等に係る罰則や輸入に係る消費税等のほ脱罪の罰則を強化する。
  一般社団法人・一般財団法人に財産を移転することによる課税逃れや、小規模宅地等の特例の本来の趣旨を逸脱した悪用を防止する観点から、贈与税・相続税の課税の適正化を図る。
  また、経済活動の国際化・ICT化により調査・徴収事務の複雑・困難化が進む中、税制を円滑かつ公平に執行するため、必要な定員の確保等の税務執行体制の一層の充実を図る。

7 その他
(1)たばこ税の見直し
  高齢化の進展による社会保障関係費の増加等もあり、引き続き国・地方で厳しい財政事情にあることを踏まえ、財政物資としてのたばこの基本的性格に鑑み、たばこ税の負担水準を見直す。その際、諸外国における税負担水準を考慮する。税率の引上げに当たっては、消費者や葉たばこ農家・たばこ小売店等への影響、市場・産業への中長期的な影響、国民の健康増進の観点などを総合的に勘案し、消費者及びたばこ関係事業者の予見可能性を高めるため、3回に分けて段階的に実施する。
  また、近年急速に市場が拡大している加熱式たばこについて、加熱式たばこと紙巻たばことの間や加熱式たばこ間に大きな税率格差が存在することも踏まえ、その製品特性を踏まえた課税方式への見直しを行う。
(2)郵政事業のユニバーサルサービスの安定的確保
  平成29年度税制改正大綱において「経営基盤の強化のために必要な措置の実現に向けた検討とともに、引き続き所要の検討を行う」こととしていた日本郵便株式会社等に係る税制上の措置については、郵政事業のユニバーサルサービスを確保するための負担金制度を創設する方向であることを踏まえ、平成30年に同制度が法制化されることを前提に税制改正の検討は行わないこととする。

 

第二 平成30年度税制改正の具体的内容

一 個人所得課税
1 個人所得課税の見直し
(1)給与所得控除等
(国税・地方税)
① 給与所得控除について、次の見直しを行う。
イ 控除額を一律10万円引き下げる。
ロ 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額を850万円、その上限額を195万円に引き下げる。
② 上記①の見直しの結果、給与所得控除額は次のとおりとなる。

給与等の収入金額

給与所得控除額

162.5万円以下

162.5万円超180万円以下

180万円超360万円以下

360万円超660万円以下

660万円超850万円以下

850万円超

55万円

その収入金額×40%-10万円

その収入金額×30%+8万円

その収入金額×20%+44万円

その収入金額×10%+110万円

195万円


③ 特定支出控除について、次の見直しを行う。
イ 特定支出の範囲に、職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを加える。
ロ 特定支出の範囲に含まれている単身赴任者の帰宅旅費について、1月に4往復を超えた旅行に係る帰宅旅費を対象外とする制限を撤廃するとともに、帰宅のために通常要する自動車を使用することにより支出する燃料費及び有料道路の料金の額を加える。
④ 上記①の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表等について所要の措置を講ずる。
(2)公的年金等控除
(国税・地方税)
① 公的年金等控除について、次の見直しを行う。
イ 控除額を一律10万円引き下げる。
ロ 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円の上限を設ける。
ハ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下である場合の控除額を上記イ及びロの見直し後の控除額から一律10万円、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円を超える場合の控除額を上記イ及びロの見直し後の控除額から一律20万円、それぞれ引き下げる。
② 上記①の見直しの結果、公的年金等控除額は次のとおりとなる。
イ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下である場合 次の(イ)の定額控除の額及び次の(ロ)の定率控除の額の合計額(その合計額が次の(ハ)の最低保障額に満たない場合には、次の(ハ)の最低保障額)
(イ)定額控除 40万円
(ロ)定率控除
(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円を超え720万円以下の部分 15%
720万円を超え950万円以下の部分 5%
(ハ)最低保障額
65歳未満 60万円
65歳以上 110万円
ロ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下である場合 次の(イ)の定額控除の額及び次の(ロ)の定率控除の額の合計額(その合計額が次の(ハ)の最低保障額に満たない場合には、次の(ハ)の最低保障額)
(イ)定額控除 30万円
(ロ)定率控除
(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円を超え720万円以下の部分 15%
720万円を超え950万円以下の部分 5%
(ハ)最低保障額
65歳未満 50万円
65歳以上 100万円
ハ 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円を超える場合 次の(イ)の定額控除の額及び次の(ロ)の定率控除の額の合計額(その合計額が次の(ハ)の最低保障額に満たない場合には、次の(ハ)の最低保障額)
(イ)定額控除 20万円
(ロ)定率控除
(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円を超え720万円以下の部分 15%
720万円を超え950万円以下の部分 5%
(ハ)最低保障額
65歳未満 40万円
65歳以上 90万円
(3)基礎控除
(国 税)
① 基礎控除について、次の見直しを行う。
イ 控除額を一律10万円引き上げる。
ロ 合計所得金額が2,400万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2,500万円を超える個人については基礎控除の適用はできないこととする。
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
イ 合計所得金額が2,400万円以下である個人 48万円
ロ 合計所得金額が2,400万円を超え2,450万円以下である個人 32万円
ハ 合計所得金額が2,450万円を超え2,500万円以下である個人 16万円
③ 上記①の見直しに伴い、年末調整において基礎控除の適用を受ける場合に合計所得金額の見積額を申告する等の所要の措置を講ずる。
(地方税)
① 基礎控除について、次の見直しを行う。
イ 控除額を一律10万円引き上げる。
ロ 前年の合計所得金額が2,400万円を超える所得割の納税義務者についてはその前年の合計所得金額に応じて控除額が逓減し、前年の合計所得金額が2,500万円を超える所得割の納税義務者については基礎控除の適用はできないこととする。
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
イ 前年の合計所得金額が2,400万円以下である所得割の納税義務者 43万円
ロ 前年の合計所得金額が2,400万円を超え2,450万円以下である所得割の納税義務者 29万円
ハ 前年の合計所得金額が2,450万円を超え2,500万円以下である所得割の納税義務者 15万円
③ 上記①の見直しに伴い、前年の合計所得金額が2,500万円を超える所得割の納税義務者については、地方税法第37条及び第314条の6に規定する調整控除を適用しないこととする等の所要の措置を講ずる。
(4)所得金額調整控除
(国税・地方税)
① その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除する。
② その年の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額(以下「給与所得控除後の給与等の金額」という。)及び公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額(以下「公的年金等に係る雑所得の金額」という。)がある居住者で、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超えるものの総所得金額を計算する場合には、給与所得控除後の給与等の金額(給与所得控除後の給与等の金額が10万円を超える場合には、10万円)及び公的年金等に係る雑所得の金額(公的年金等に係る雑所得の金額が10万円を超える場合には、10万円)の合計額から10万円を控除した残額を、給与所得の金額から控除する。
③ 上記①の所得金額調整控除は、年末調整において、適用できることとする。
④ 公的年金等に係る確定申告不要制度における公的年金等に係る雑所得以外の所得金額を算定する場合には、上記②の所得金額調整控除を給与所得の金額から控除する等の所要の措置を講ずる。
(5)青色申告特別控除
(国税・地方税)
① 取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
② 上記①にかかわらず、上記①の取引を正規の簿記の原則に従って記録している者であって、次に掲げる要件のいずれかを満たすものに係る青色申告特別控除の控除額を65万円とする。
イ その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること。
ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。
(6)上記(1)から(5)までの見直しに伴う所要の措置
(国 税)
① 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。
② 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件を95万円以下(現行:85万円以下)に引き上げる。
③ 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
④ 勤労学生の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
⑤ 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑥ 非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65歳以上の者については9万5千円(現行:10万円)に、それぞれ引き下げる。
⑦ その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
① 同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を48万円以下(現行:38万円以下)に引き上げる。
② 配偶者特別控除の対象となる配偶者の前年の合計所得金額要件を48万円超133万円以下(現行:38万円超123万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の前年の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引き上げる。
③ 勤労学生の前年の合計所得金額要件を75万円以下(現行:65万円以下)に引き上げる。
④ 障害者、未成年者、寡婦及び寡夫に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件を135万円以下(現行:125万円以下)に引き上げる。
⑤ 個人住民税均等割の非課税基準を、35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に21万円を加えた金額)とする。
  また、個人住民税所得割について、前年の所得の金額が35万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に32万円を加えた金額)以下の者を非課税とする。
⑥ 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現行:65万円)に引き下げる。
⑦ その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記1の改正は、平成32年分以後の所得税及び平成33年度分以後の個人住民税について適用する。
(注2)平成32年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳の備付けを開始する日に、これらの帳簿の電磁的記録による備付け及び保存に係る承認を受けていない場合において、同年中の日であってその承認を受けてこれらの帳簿の電磁的記録による備付けを開始する日から同年12月31日までの間におけるこれらの帳簿の電磁的記録による備付け及び保存を行っているときは、同年分の65万円の青色申告特別控除の適用における上記(5)②イの要件を満たすこととする等の所要の措置を講ずる。
2 金融・証券税制
(国税・地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例等について、次の措置を講ずる。
① 支払の取扱者が交付をする上場株式等の配当等の次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める額を、当該支払の取扱者が源泉徴収する当該上場株式等の配当等に係る所得税の額から控除する。
イ 集団投資信託の収益の分配 その集団投資信託の信託財産について納付した外国所得税の額のうち当該収益の分配に対応する部分の額
ロ 特定目的会社の利益の配当 その特定目的会社が納付した外国法人税の額のうち当該利益の配当に対応する部分の額
ハ 投資法人の投資口の配当等 その投資法人が納付した外国法人税の額のうち当該配当等に対応する部分の額
ニ 特定目的信託の受益権の剰余金の配当 その特定目的信託の信託財産について納付した外国法人税の額のうち当該剰余金の配当に対応する部分の額
② 上記①により控除する外国所得税及び外国法人税(以下「外国所得税等」という。)の額は、当該上場株式等の配当等に係る所得税の額に集団投資信託、特定目的会社、投資法人又は特定目的信託の外貨建資産への運用割合を乗じた額を限度とするとともに、当該上場株式等の配当等の金額に加算する。
③ 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税額は、上記①による外国所得税等の額の控除後の金額とする。
④ 上記①により控除された外国所得税等の額に相当する金額は、その上場株式等の配当等の交付を受ける者のその年分の所得税の額から控除できることとする(法人税についても同様とする。)。
⑤ 上記①の支払の取扱者は、上場株式等の配当等の交付を受ける者に対し、上記①により控除する外国所得税等の額に相当する金額を通知しなければならないこととする。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる上場株式等の配当等について適用する。
(2)信託財産に係る利子等の課税の特例等について、次の措置を講ずる。
① 集団投資信託の収益の分配に係る所得税の額から控除する外国所得税の額は、当該収益の分配に係る所得税の額に当該集団投資信託の外貨建資産への運用割合を乗じた額を限度とする。
② 受益権を他の証券投資信託の受託者に取得させることを目的とする証券投資信託の信託財産について納付した所得税(外国所得税を含む。)の額は、信託財産を当該証券投資信託の受益権に対する投資として運用することを目的とする公社債投資信託以外の証券投資信託でその設定に係る受益権の募集が公募以外の方法により行われたものの収益の分配に係る所得税の額から控除できることとする。
③ 集団投資信託の収益の分配に係る所得税の額から控除された当該集団投資信託の信託財産について納付された外国所得税の額のうち、その支払を受ける者の収益の分配に対応する部分の額に相当する金額は、その者のその年分の所得税の額から控除できることとする(法人税についても同様とする。)。
④ 上記③の支払を受ける者がその支払を受ける収益の分配に係る源泉徴収税額は、上記③により控除できる外国所得税の額に相当する金額の控除後の金額とする。
⑤ 集団投資信託を引き受けた法人は、当該集団投資信託の収益の分配の支払を受ける者に対し、上記③により控除できる外国所得税の額に相当する金額を通知しなければならないこととする。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる収益の分配について適用する。
(3)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
① 非課税口座の開設手続について、次の見直しを行う。
イ 金融商品取引業者等の営業所に非課税口座の開設をしようとする居住者等は、当該営業所の長に対し、非課税適用確認書の添付を要しない非課税口座簡易開設届出書の提出ができることとする。当該届出書の提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長は、当該営業所に非課税口座を開設するとともに、当該届出書に記載された事項(以下「届出事項」という。)を電子情報処理組織を使用する方法により、速やかに当該営業所の所在地の所轄税務署長に提供しなければならない。
ロ 上記イの届出事項の提供を受けた所轄税務署長は、当該届出書の提出をした者につき、その提供を受けた時前における届出事項及び非課税適用確認書の交付申請書に係る申請事項(以下「申請事項」という。)の提供の有無を確認するものとし、当該確認をした所轄税務署長は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める事項を、当該届出事項の提供をした金融商品取引業者等の営業所の長に、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならない。
(イ)当該届出事項の提供を受けた時前に届出事項及び申請事項の提供がない場合 当該金融商品取引業者等の営業所における非課税口座の開設が適当である旨
(ロ)当該届出事項の提供を受けた時前に届出事項又は申請事項の提供がある場合 当該金融商品取引業者等の営業所における非課税口座の開設が当初よりできなかった旨
② 非課税口座内上場株式等は、非課税期間終了の日(非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から5年を経過した日又は累積投資勘定が設けられた日の属する年の1月1日から20年を経過した日をいう。以下同じ。)に非課税口座が開設されている金融商品取引業者等に開設されている特定口座がある場合には、他の年分の非課税管理勘定又は特定口座以外の他の保管口座に移管されるときを除き、当該特定口座に移管されることとする。この場合において、非課税期間終了の日に非課税口座内上場株式等を特定口座以外の他の保管口座に移管しようとするときは、当該金融商品取引業者等の営業所の長に対し、当該非課税口座内上場株式等を当該他の保管口座に移管することを依頼する旨その他の事項を記載した書類の提出(当該書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供で、特定署名用電子証明書等の送信と併せて行うものを含む。)をしなければならないこととする。
③ 非課税口座廃止届出書を提出する居住者等が当該届出書の提出を受ける金融商品取引業者等の営業所の長に個人番号の告知をしていない場合には、当該営業所の長が所轄税務署長に提供する廃止届出事項から個人番号を除外する。
④ その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記①の改正は、平成31年1月1日以後に非課税口座簡易開設届出書が提出される場合について適用する。
(注2)上記②の改正については、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)における未成年者口座内上場株式等の移管(課税未成年者口座を構成する特定口座への移管を含む。)についても同様とする。
(4)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、次の措置を講ずる。
① 特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、一定の譲渡制限付株式である上場株式等で、その譲渡制限が解除された時に、当該上場株式等が管理されている口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所に開設されている特定口座に一定の方法により移管されるものを加える。
② 特定口座で管理されている上場株式等を発行した法人は、分割型分割等を行った場合には、当該特定口座が開設されている金融商品取引業者等に対し、当該上場株式等の取得価額及び当該特定口座を開設する者が当該分割型分割等により取得した上場株式等の取得価額の計算に必要な情報を通知しなければならないこととする。
(5)特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例(エンジェル税制)について、次の措置を講ずる。
① 地域再生法等の改正を前提に、適用対象となる地域再生法に規定する特定地域再生事業を行う株式会社(平成30年3月31日までに同法の確認を受けたものに限る。)により発行される株式で当該確認を受けた日から同日以後3年を経過する日までの間に発行されるものを、当該特定地域再生事業を行う株式会社により発行される株式で同法の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの間に発行されるものに見直すととともに、所要の経過措置を講ずる。
② 適用対象となる国家戦略特別区域法に規定する特定事業を行う株式会社により発行される株式の発行期限を2年延長する。
③ 適用対象となる株式の範囲から、総合特別区域法に規定する指定会社により発行される株式を除外する。
(6)個人がその氏名又は住所の変更をした場合の手続について、次の措置を講ずる。
① その都度次に掲げる告知又は告知書の提出(以下「告知等」という。)を要しないこととされる特例の適用を受ける者が氏名又は住所の変更に係る告知又は書類の提出をする場合には、その者の個人番号の告知又は当該書類への記載を要しないこととする。
イ 利子、配当等の受領者の告知
ロ 無記名公社債の利子等に係る告知書の提出
ハ 株式等の譲渡の対価の受領者の告知
ニ 信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知
ホ 先物取引の差金等決済をする者の告知
ヘ 金地金等の譲渡の対価の受領者の告知
② 次に掲げる氏名又は住所の変更に係る申告書又は届出書(以下「申告書等」という。)を提出する場合には、当該申告書等を提出する者の個人番号の記載を要しないこととし、次のイ又はホに掲げる申告書の提出を受けた者は、これらの申告書に、その提出した者の個人番号を付記するものとする。
イ (特別)非課税貯蓄に関する異動申告書
ロ (特別)非課税貯蓄申込書を提出する者が告知をすべき事項を記載した帳簿の記載事項の変更届出書
ハ 上記①イからヘまでに掲げる告知等をする者が告知等をすべき事項を記載した帳簿の記載事項の変更届出書
ニ 交付金銭等又は償還金等の受領者が告知をすべき事項を記載した帳簿の記載事項の変更届出書
ホ 特定寄附信託異動申告書
ヘ 特定口座異動届出書
ト 非課税口座異動届出書
チ 未成年者口座異動届出書
③ 上記①の告知若しくは書類の提出又は上記②の申告書等の提出の際に必要な本人確認書類の提示について、当該告知若しくは書類の提出又は申告書等の提出をする者の個人番号を証する書類の提示に代えて、その変更前の氏名又は住所及び変更後の氏名又は住所が記載された住所等確認書類の提示ができることとする。
④ 氏名又は住所の変更に係る財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書を提出する場合には、当該申告書を提出する者の個人番号の記載を要しないこととし、当該申告書の提出を受けた者は、当該申告書にその提出した者の個人番号を付記するものとする。
⑤ 特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等について、権利者等が対象株式等の管理等を行う金融商品取引業者等に対し、当該権利者等の氏名又は住所の変更に係る届出を行う場合には、当該権利者等の個人番号の届出を要しないこととする。
(注)上記の措置は、告知をする者が当該告知を受ける者に個人番号の告知をしていない場合等には、適用しない。
(7)預金保険機構から委託を受けた金融機関等が支払う休眠預金等代替金の利子に相当する部分について、当該金融機関等を当該利子に相当する部分に係る道府県民税利子割の特別徴収義務者とするため所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年1月1日以後に支払われる休眠預金等代替金の利子に相当する部分について適用する。
3 土地・住宅税制
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)都市再生特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる(次の②の措置は、法人税についても同様とする。)。
① 都市再生推進法人の業務に追加される低未利用土地の取得等の業務のために土地の先行取得を行う都市再生推進法人に対する土地等の譲渡について、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象とする。
② 拡充後の土地区画整理事業における換地処分について、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例等を適用する。
(2)卸売市場法の改正を前提に、規制の見直し後の中央卸売市場又は地方卸売市場に関する事業のために収用により土地等が買い取られる場合について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする(法人税についても同様とする。)。
(3)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
① 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の適用期限を3年延長する。
② 食品流通構造改善促進法の改正を前提に、適用対象から同法の認定を受けた計画に基づく食品商業集積施設整備事業の用に供するために土地等が地方公共団体の出資に係る法人等に買い取られる場合を除外する。
(4)農地法等の改正を前提に、次の措置を講ずる(次の①の措置は、法人税についても同様とする。)。
① コンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地の譲渡について、農地の譲渡と同様に一定の要件を満たす場合には、次に掲げる特例を適用する。
イ 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
ロ 農用地区域内にある農用地が、農業経営基盤強化促進法の協議に基づき農地利用集積円滑化団体等に買い取られる場合の譲渡所得の1,500万円特別控除
ハ 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除
② 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除について、適用対象から独立行政法人農業者年金基金に対して一定の農地等を譲渡した場合を除外する。
(5)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
(6)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、買換資産が建築後使用されたことのある家屋で耐火建築物以外のもの(以下「非耐火既存住宅」という。)である場合の要件に、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること又は地震に対する安全性に係る規定若しくはこれに準ずる基準に適合することのいずれかを満たすこと(以下「経過年数等要件」という。)を加えた上、その適用期限を2年延長する。
  なお、経過年数等要件を満たさない非耐火既存住宅を取得した場合であっても、その取得期限までに改修等を行うことにより経過年数等要件に適合することとなったときには、経過年数等要件を満たす家屋を取得したものとする。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後に買換資産を取得する場合について適用する。
(2)大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例を廃止する(法人税についても同様とする。)。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)都市再生特別措置法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 都市再生推進法人の業務に追加される低未利用土地の取得等の業務のために土地の先行取得を行う都市再生推進法人に対する土地等の譲渡について、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象とする。
② 拡充後の土地区画整理事業における換地処分について、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例等を適用する。
(2)卸売市場法の改正を前提に、規制の見直し後の中央卸売市場又は地方卸売市場に関する事業のために収用により土地等が買い取られる場合について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
(3)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の措置を講ずる。
① 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の適用期限を3年延長する。
② 食品流通構造改善促進法の改正を前提に、適用対象から同法の認定を受けた計画に基づく食品商業集積施設整備事業の用に供するために土地等が地方公共団体の出資に係る法人等に買い取られる場合を除外する。
(4)農地法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① コンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地の譲渡について、農地の譲渡と同様に一定の要件を満たす場合には、次に掲げる特例を適用する。
イ 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
ロ 農用地区域内にある農用地が、農業経営基盤強化促進法の協議に基づき農地利用集積円滑化団体等に買い取られる場合の譲渡所得の1,500万円特別控除
ハ 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除
② 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除について、適用対象から独立行政法人農業者年金基金に対して一定の農地等を譲渡した場合を除外する。
(5)居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
(6)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長する。
〔縮減等〕
 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、買換資産が建築後使用されたことのある家屋で耐火建築物以外のもの(以下「非耐火既存住宅」という。)である場合の要件に、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること又は地震に対する安全性に係る規定若しくはこれに準ずる基準に適合することのいずれかを満たすこと(以下「経過年数等要件」という。)を加えた上、その適用期限を2年延長する。
 なお、経過年数等要件を満たさない非耐火既存住宅を取得した場合であっても、その取得期限までに改修等を行うことにより経過年数等要件に適合することとなったときには、経過年数等要件を満たす家屋を取得したものとする。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後に買換資産を取得する場合について適用する。
4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保
 次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、以下を内容とする森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。
(1)森林環境税(仮称)の創設
① 基本的な仕組み
イ 納税義務者等
  森林環境税(仮称)は、国内に住所を有する個人に対して課する国税とする。
ロ 税率
  森林環境税(仮称)の税率は、年額1,000円とする。
ハ 賦課徴収
  森林環境税(仮称)の賦課徴収は、市町村において、個人住民税と併せて行うこととする。
ニ 国への払込み
  市町村は、森林環境税(仮称)として納付又は納入された額を都道府県を経由して国の交付税及び譲与税配付金特別会計に払い込むこととする。
② 施行期日
  森林環境税(仮称)は、平成36年度から課税する。
③ その他
  個人住民税に準じて非課税の範囲、減免、納付・納入、罰則等に関する所要の措置を講ずる。
(2)森林環境譲与税(仮称)の創設
① 基本的な仕組み
イ 森林環境譲与税(仮称)
  森林環境譲与税(仮称)は、森林環境税(仮称)の収入額に相当する額とし、市町村及び都道府県に対して譲与する。
ロ 譲与基準
(イ)森林環境譲与税(仮称)の10分の9に相当する額は、市町村に対し、当該額の10分の5の額を私有林人工林面積で、10分の2の額を林業就業者数で、10分の3の額を人口で按分して譲与する。
(ロ)森林環境譲与税(仮称)の10分の1に相当する額は、都道府県に対し、市町村と同様の基準で按分して譲与する。
(注)私有林人工林面積は、林野率により補正する。
ハ 使途及び公表
(イ)市町村は、森林環境譲与税(仮称)を、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないこととする。
(ロ)都道府県は、森林環境譲与税(仮称)を、森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てなければならないこととする。
(ハ)市町村及び都道府県は、森林環境譲与税(仮称)の使途等を公表しなければならないこととする。
② 施行期日
  森林環境譲与税(仮称)は、平成31年度から譲与する。
(3)創設時の経過措置
① 平成31年度から平成35年度までの間における森林環境譲与税(仮称)は、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金をもって充てることとし、各年度における借入金の額及び譲与額は次のとおりとする。

期     間

借入金の額及び譲与額

平成31年度から平成33年度まで

200億円

平成34年度及び平成35年度

300億円

(注)借入金の額には、当該年度における利子の支払に要する費用等に相当する額を加算する。
② 平成36年度から平成44年度までの間における森林環境譲与税(仮称)は、森林環境税(仮称)の収入額から借入金の償還金及び利子の支払に要する費用等に相当する額を控除した額に相当する額とし、各年度における借入金の償還額は次のとおりとする。

期     間

償還額

平成37年度から平成40年度まで

200億円

平成41年度から平成44年度まで

100億円

(注1)平成36年度においては、借入金の償還は行わない。
(注2)償還額には、平成31年度から平成35年度までの利子の支払に要した費用等に相当する額を各年度の借入金の償還額に応じて加算する。
③ 平成31年度から平成44年度までの間における森林環境譲与税(仮称)の市町村及び都道府県への譲与割合は、次のとおりとする。

期     間

市町村

都道府県

平成31年度から平成36年度まで

100分の80

100分の20

平成37年度から平成40年度まで

100分の85

100分の15

平成41年度から平成44年度まで

100分の88

100分の12

(4)その他
  その他所要の措置を講ずる。
5 租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
 国民年金法又は厚生年金保険法に規定する年金の支給を受ける権利の消滅時効が完成した場合において、当該権利の消滅時効を援用せずに支払われる年金については、源泉徴収を要しないこととする。これに伴い、公的年金等に係る確定申告不要制度における全ての公的年金等が源泉徴収されていることとの要件について、所要の整備を行う。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に支払われる年金について適用する。
〔延長・拡充〕
(1)公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置について、次の措置を講ずる。
① 申請書の提出があった日から1月以内に国税庁長官の承認をしないことの決定がなかった場合にその承認があったものとみなす特例(以下「承認に係る特例」という。)について、次の措置を講ずる。
イ 承認に係る特例の対象範囲に次に掲げる贈与又は遺贈(以下「贈与等」という。)を加える。
(イ)国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構又は国立研究開発法人(法人税法別表第一に掲げる法人に限る。)に対する贈与等で、その贈与等に係る財産が一定の手続の下でこれらの法人の行う研究開発の実施等の業務に充てるための基金に組み入れられるもの
(ロ)国立研究開発法人(法人税法別表第二に掲げる法人に限る。)、公益社団法人又は公益財団法人に対する贈与等でこれらの法人の理事、監事、評議員その他これらに準ずるもの(その親族等を含む。)以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が一定の手続の下でこれらの法人の行う研究開発の実施等の業務等に充てるための基金に組み入れられるもの
ロ 承認に係る特例の対象資産から株式、新株予約権、特定受益証券発行信託の受益権及び社債的受益権等(以下「株式等」という。)を除外する措置を廃止する。ただし、贈与等に係る財産が株式等である場合には、上記イ(イ)の贈与等の場合を除き、上記の「1月」の期間を「3月」とする。
② 贈与等に係る財産を公益目的事業の用に直接供した日から2年以内に買い換える場合であっても、当該財産が上記①イの基金に組み入れる方法により管理されている等の要件を満たすときは、当該財産の譲渡収入の全部に相当する金額をもって取得した資産を当該方法により管理する等の一定の要件の下で非課税措置の継続適用を受けることができることとする。
③ 地方独立行政法人法の改正に伴い、申請等関係事務を市町村又は市町村の長その他の執行機関の名において処理する業務を行う地方独立行政法人に対する財産の贈与等に係る非課税承認の要件について、他の業務を行う地方独立行政法人と同様の措置を講ずる。
④ 地方独立行政法人法施行令の改正等を前提に、介護医療院の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人に対する財産の贈与等に係る非課税承認の要件について、他の業務を行う地方独立行政法人と同様の措置を講ずる。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(2)社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用対象となる社会保険診療の範囲に、介護医療院サービスを加える(法人税についても同様とする。)。
(3)山林所得に係る森林計画特別控除の適用期限を2年延長する。
〔廃止〕
 国等に対して重要有形民俗文化財を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(地方税)
〔延長・拡充〕
〈個人住民税〉
(1)公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置について、次の措置を講ずる。
① 申請書の提出があった日から1月以内に国税庁長官の承認をしないことの決定がなかった場合にその承認があったものとみなす特例(以下「承認に係る特例」という。)について、次の措置を講ずる。
イ 承認に係る特例の対象範囲に次に掲げる贈与又は遺贈(以下「贈与等」という。)を加える。
(イ)国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構又は国立研究開発法人(法人税法別表第一に掲げる法人に限る。)に対する贈与等で、その贈与等に係る財産が一定の手続の下でこれらの法人の行う研究開発の実施等の業務に充てるための基金に組み入れられるもの
(ロ)国立研究開発法人(法人税法別表第二に掲げる法人に限る。)、公益社団法人又は公益財団法人に対する贈与等でこれらの法人の理事、監事、評議員その他これらに準ずるもの(その親族等を含む。)以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が一定の手続の下でこれらの法人の行う研究開発の実施等の業務等に充てるための基金に組み入れられるもの
ロ 承認に係る特例の対象資産から株式、新株予約権、特定受益証券発行信託の受益権及び社債的受益権等(以下「株式等」という。)を除外する措置を廃止する。ただし、贈与等に係る財産が株式等である場合には、上記イ(イ)の贈与等の場合を除き、上記の「1月」の期間を「3月」とする。
② 贈与等に係る財産を公益目的事業の用に直接供した日から2年以内に買い換える場合であっても、当該財産が上記①イの基金に組み入れる方法により管理されている等の要件を満たすときは、当該財産の譲渡収入の全部に相当する金額をもって取得した資産を当該方法により管理する等の一定の要件の下で非課税措置の継続適用を受けることができることとする。
③ 地方独立行政法人法の改正に伴い、申請等関係事務を市町村又は市町村の長その他の執行機関の名において処理する業務を行う地方独立行政法人に対する財産の贈与等に係る非課税承認の要件について、他の業務を行う地方独立行政法人と同様の措置を講ずる。
④ 地方独立行政法人法施行令の改正等を前提に、介護医療院の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人に対する財産の贈与等に係る非課税承認の要件について、他の業務を行う地方独立行政法人と同様の措置を講ずる。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(2)社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用対象となる社会保険診療の範囲に、介護医療院サービスを加える。
(3)山林所得に係る森林計画特別控除の適用期限を2年延長する。
(4)金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限を2年延長する。
(5)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額を必要経費に算入する特例の適用期限を2年延長する。
〈国民健康保険税〉
(6)国民健康保険に要する費用に高齢者の医療の確保に関する法律に規定する病床転換支援金等の納付に要する費用を含めて国民健康保険税を課する特例措置の適用期限を6年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)国等に対して重要有形民俗文化財を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(2)特定災害防止準備金制度について、準備金の一括取崩し事由に、特定廃棄物最終処分場に係る設置の許可が取り消された場合及び特定廃棄物最終処分場の廃止の確認を受けた場合を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(3)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、次の見直しを行った上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する。
① 対象となる交付金等から経営所得安定対策交付金を除外する。
② 準備金の取崩し事由に次の場合を加えるとともに、その取崩し金額は次の場合に応じた次の金額とする。
イ 認定計画の定めるところにより、農用地等(農用地並びに農業用の機械装置、器具備品、建物等、構築物及びソフトウエアをいう。)の取得等をした場合 その農用地等の取得価額相当額
ロ 農用地等(農用地並びに農業用の機械装置、建物等及び構築物に限る。)の取得等をした場合(上記イの場合を除く。) その農用地等の取得価額相当額
  なお、その取崩しによる総収入金額算入額のうち上記ロの金額は、農用地等を取得した場合の課税の特例において必要経費に算入する金額の計算の基礎となる農業経営基盤強化準備金の金額の総収入金額算入額の対象としない。
6 その他
(国 税)
(1)生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る年末調整手続について、次の措置を講ずる。
① 給与等の支払を受ける者で年末調整の際に生命保険料控除又は地震保険料控除の適用を受けようとするものは、給与所得者の保険料控除申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、控除証明書の書面による提出又は提示に代えて、当該控除証明書に記載すべき事項が記録された情報で当該控除証明書の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを、当該申告書に記載すべき事項と併せて電磁的方法により提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該控除証明書を提出し、又は提示したものとみなす。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書について適用する。
② 給与等の支払を受ける者で年末調整の際に住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下「住宅ローン控除」という。)の適用を受けようとするものは、税務署長の承認を受けている給与等の支払者に対し、給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書(以下「住宅ローン控除申告書」という。)の書面による提出に代えて、当該住宅ローン控除申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該住宅ローン控除申告書を提出したものとみなす。
(注)上記の改正は、税務署長の承認を受けている給与等の支払をする者に対し、平成32年10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書について適用する。
③ 給与等の支払を受ける者で年末調整の際に住宅ローン控除の適用を受けようとするもの(居住年が平成31年以後である者に限る。)は、住宅ローン控除申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書(以下「住宅ローン控除証明書」という。)又は住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書(以下「年末残高証明書」という。)の書面による提出に代えて、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書に記載すべき事項が記録された情報で当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを、当該住宅ローン控除申告書に記載すべき事項と併せて電磁的方法により提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書を提出したものとみなす。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書について適用する。
④ 上記②及び③の改正に伴い、年末残高証明書に記載すべき事項の電磁的方法による交付を可能とする等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に交付する年末残高証明書について適用する。
⑤ 住宅ローン控除の適用を受ける際に住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書の範囲に、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書の発行者から電磁的方法により提供を受けた当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電磁的記録を一定の方法により印刷した書面で、真正性を担保するための所要の措置が講じられているものとして国税庁長官が定めるものを加える。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書等について適用する。
(2)支払調書等の電子情報処理組織(e-Tax)又は光ディスク等による提出義務制度について、提出義務の対象となるかどうかの判定基準となるその年の前々年に提出すべきであった支払調書等の枚数を100枚以上(現行:1,000枚以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成33年1月1日以後に提出すべき支払調書等について適用する。
(3)厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(以下「統合法」という。)の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 統合法の一部改正により新たに支給されることとなる特例一時金について、次の措置を講ずる。
イ 統合法の改正法の施行の日の前日において特例退職共済年金、特例退職年金、特例減額退職年金、特例通算退職年金又は特例老齢農林年金の受給権を有していた者に対して支給するこれらの年金に係る特例一時金について、次のとおりとする。
(イ)所得税法に規定する「退職手当等」とみなす。
(ロ)国税徴収法に規定する「退職手当等」として、一定額までの差押えを禁止する財産に加える。
ロ 統合法の改正法の施行の日の前日において特例障害共済年金、特例障害年金若しくは特例障害農林年金又は特例遺族共済年金、特例遺族年金、特例通算遺族年金若しくは特例遺族農林年金の受給権を有していた者に対して支給するこれらの年金に係る特例一時金について、次のとおりとする。
(イ)所得税を課さない。
(ロ)国税の滞納処分による差押えを禁止する。
② 統合法の一部改正等により廃止される特例年金給付等について、次の措置を講ずる。
イ 統合法附則の規定による特例年金給付に係る源泉徴収の方法の特例を廃止する。
ロ 特例障害農林年金を受けている者及び特例遺族農林年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者から除外する。
ハ その他所要の措置を講ずる。
(4)地方税法の改正を前提に、地方税共同機構(仮称)を公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(5)関係法令等の改正により社会医療法人制度における次の認定要件の見直しが行われることを前提に、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
① 社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に一定の予防接種に係る収入金額及び介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額を加える。
② 精神疾患及び小児疾患における時間外等診療件数に係る要件について、実績件数(現行:時間外等加算の算定件数)で判定することとする。
③ 本来業務に係る費用の額が全費用の額の100分の60を超えることとの要件を加える。
(6)犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律の犯罪被害者等給付金及び国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律の国外犯罪被害弔慰金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(7)母子及び父子並びに寡婦福祉法の高等職業訓練促進給付金について、所要の法令改正等を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(8)生活保護法の一部改正により新たに支給されることとなる進学自立給付金(仮称)について、次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(9)駐留軍関係離職者等臨時措置法、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法及び雇用対策法施行規則の一部改正により引き続き支給されることとなる雇用対策法等の職業転換給付金(事業主に対して支給されるものを除く。)について、次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(地方税)
〈個人住民税〉
(1)個人住民税について、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る年末調整手続の電子化に関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成33年度分以後の個人住民税について適用する。
(2)国税における支払調書等の電子情報処理組織(e-Tax)又は光ディスク等による提出義務基準の引下げに伴い、給与支払報告書及び公的年金等支払報告書の電子情報処理組織(eLTAX)又は光ディスク等による提出義務制度について、提出義務の対象となるかどうかの判定基準となるその年の前々年に提出すべきであった支払調書等(給与支払報告書にあっては所得税に係る給与所得の源泉徴収票、公的年金等支払報告書にあっては所得税に係る公的年金等の源泉徴収票)の枚数を100枚以上(現行:1,000枚以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成33年1月1日以後に提出すべき給与支払報告書及び公的年金等支払報告書について適用する。
(3)厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(以下「統合法」という。)の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 統合法の一部改正により新たに支給されることとなる特例一時金について、次の措置を講ずる。
イ 統合法の改正法の施行の日の前日において特例退職共済年金、特例退職年金、特例減額退職年金、特例通算退職年金又は特例老齢農林年金の受給権を有していた者に対して支給するこれらの年金に係る特例一時金について、次のとおりとする。
(イ)地方税法に規定する「退職手当等」とみなす。
(ロ)国税徴収法に規定する「退職手当等」として、一定額までの差押えを禁止する財産に加える。
ロ 統合法の改正法の施行の日の前日において特例障害共済年金、特例障害年金若しくは特例障害農林年金又は特例遺族共済年金、特例遺族年金、特例通算遺族年金若しくは特例遺族農林年金の受給権を有していた者に対して支給するこれらの年金に係る特例一時金について、次のとおりとする。
(イ)個人住民税を課さない。
(ロ)地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
② 統合法の一部改正等により廃止される特例年金給付等について、次の措置を講ずる。
イ 特例障害農林年金を受けている者及び特例遺族農林年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者から除外する。
ロ その他所要の措置を講ずる。
(4)犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律の犯罪被害者等給付金及び国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律の国外犯罪被害弔慰金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(5)母子及び父子並びに寡婦福祉法の高等職業訓練促進給付金について、所要の法令改正等を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(6)生活保護法の一部改正により新たに支給されることとなる進学自立給付金(仮称)について、次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(7)駐留軍関係離職者等臨時措置法、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法及び雇用対策法施行規則の一部改正により引き続き支給されることとなる雇用対策法等の職業転換給付金(事業主に対して支給されるものを除く。)について、次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(8)国税における特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例の創設に伴い、所要の措置を講ずる。
(9)国税における組織再編税制に係る見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(10)特定公益増進法人の範囲について、次の見直しを行う。
① 地方独立行政法人法の改正に伴い、申請等関係事務を市町村又は市町村の長その他の執行機関の名において処理する業務を行う地方独立行政法人を加える。
② 地方独立行政法人法施行令の改正等を前提に、介護医療院の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人を加える。
(11)国庫補助金等の総収入金額不算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で超高圧水素インフラ本格普及技術研究開発事業(仮称)等に係るものを加える。
(12)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
(13)給与所得に係る特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)について、当該通知に記載すべき事項を電子情報処理組織(eLTAX)を使用する方法又は光ディスク等に記録する方法により提供する場合には、マイナンバーの記載を行い、書面により送付する場合には、当面、マイナンバーの記載を行わないこととする。
(注)上記の改正は、平成30年度分以後の個人住民税について適用する。
〈国民健康保険税〉
(14)国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を58万円(現行:54万円)に引き上げる。
(15)国民健康保険税の減額の対象となる所得の基準について、次のとおりとする。
① 5割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を27.5万円(現行:27万円)に引き上げる。
② 2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を50万円(現行:49万円)に引き上げる。
(16)国民健康保険法施行令の改正に伴い、所要の措置を講ずる。

二 資産課税
1 事業承継税制の特例の創設等
(1)非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度を次のとおり創設する。
① 特例後継者(仮称)が、特例認定承継会社(仮称)の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈(以下1において「贈与等」という。)により当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予する。
(注1)上記の「特例後継者」とは、特例認定承継会社の特例承継計画(仮称)に記載された当該特例認定承継会社の代表権を有する後継者(同族関係者と合わせて当該特例認定承継会社の総議決権数の過半数を有する者に限る。)であって、当該同族関係者のうち、当該特例認定承継会社の議決権を最も多く有する者(当該特例承継計画に記載された当該後継者が2名又は3名以上の場合には、当該議決権数において、それぞれ上位2名又は3名の者(当該総議決権数の10%以上を有する者に限る。))をいう。
(注2)上記の「特例認定承継会社」とは、平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出した会社であって、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定を受けたものをいう。
(注3)上記の「特例承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた特例認定承継会社が作成した計画であって、当該特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう。
② 特例後継者が特例認定承継会社の代表者以外の者から贈与等により取得する特例認定承継会社の非上場株式についても、特例承継期間(仮称)(5年)内に当該贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、本特例の対象とする。
③ 現行の事業承継税制における雇用確保要件を満たさない場合であっても、納税猶予の期限は確定しない。ただし、この場合には、その満たせない理由を記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見が記載されているものに限る。)を都道府県に提出しなければならない。なお、その理由が、経営状況の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、特例認定承継会社は、認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければならない。
④ 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特例承継期間経過後に、特例認定承継会社の非上場株式の譲渡をするとき、特例認定承継会社が合併により消滅するとき、特例認定承継会社が解散をするとき等には、次のとおり納税猶予税額を免除する。
イ 特例認定承継会社に係る非上場株式の譲渡若しくは合併の対価の額(当該譲渡又は合併の時の相続税評価額の50%に相当する額を下限とする。)又は解散の時における特例認定承継会社の非上場株式の相続税評価額を基に再計算した贈与税額等と譲渡等の前5年間に特例後継者及びその同族関係者に対して支払われた配当及び過大役員給与等に相当する額(以下「直前配当等の額」という。)との合計額(合併の対価として交付された吸収合併存続会社等の株式の価額に対応する贈与税額等を除いた額とし、当初の納税猶予税額を上限とする。)を納付することとし、当該再計算した贈与税額等と直前配当等の額との合計額が当初の納税猶予税額を下回る場合には、その差額を免除する。
ロ 特例認定承継会社の非上場株式の譲渡をする場合又は特例認定承継会社が合併により消滅する場合(当該譲渡又は合併の対価の額が当該譲渡又は合併の時の相続税評価額の50%に相当する額を下回る場合に限る。)において、下記ハの適用を受けようとするときには、上記イの再計算した贈与税額等と直前配当等の額との合計額については、担保の提供を条件に、上記イにかかわらず、その納税を猶予する。
ハ 上記ロの場合において、上記ロの譲渡又は合併後2年を経過する日において、譲渡後の特例認定承継会社又は吸収合併存続会社等の事業が継続しており、かつ、これらの会社において特例認定承継会社の譲渡又は合併時の従業員の半数以上の者が雇用されているときには、実際の譲渡又は合併の対価の額を基に再々計算した贈与税額等と直前配当等の額との合計額(合併の対価として交付された吸収合併存続会社等の株式の価額に対応する贈与税額等を除く。)を納付することとし、当該再々計算した贈与税額等と直前配当等の額との合計額が上記ロにより納税が猶予されている額を下回る場合には、その差額を免除する。
(注4)上記の「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」とは、次のいずれか(特例認定承継会社が解散をした場合にあっては、ホを除く。)に該当する場合をいう。
イ 直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社が赤字である場合
ロ 直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社の売上高が、その年の前年の売上高に比して減少している場合
ハ 直前の事業年度終了の日における特例認定承継会社の有利子負債の額が、その日の属する事業年度の売上高の6月分に相当する額以上である場合
ニ 特例認定承継会社の事業が属する業種に係る上場会社の株価(直前の事業年度終了の日以前1年間の平均)が、その前年1年間の平均より下落している場合
ホ 特例後継者が特例認定承継会社における経営を継続しない特段の理由があるとき
  ただし、特例認定承継会社の非上場株式の譲渡等が直前の事業年度終了の日から6月以内に行われたときは上記イからハまでについて、当該譲渡等が同日後1年以内に行われたときは上記ニについて、それぞれ「直前の事業年度終了の日」を「直前の事業年度終了の日の1年前の日」とした場合にそれぞれに該当するときについても、「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」に該当するものとする。
⑤ 特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者(その年1月1日において20歳以上である者に限る。)であり、かつ、その贈与者が同日において60歳以上の者である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができることとする。
⑥ その他の要件等は、現行の事業承継税制と同様とする。
(2)現行の事業承継税制についても、上記(1)②と同様に、複数の贈与者からの贈与等を対象とする。
(3)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に贈与等により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用する。
2 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
(1)一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し
  個人から一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他一定の法人を除く。以下「一般社団法人等」という。)に対して財産の贈与等があった場合の贈与税等の課税については、贈与税等の負担が不当に減少する結果とならないものとされる現行の要件(役員等に占める親族等の割合が3分の1以下である旨の定款の定めがあること等)のうちいずれかを満たさない場合に贈与税等が課税されることとし、規定を明確化する。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に贈与又は遺贈により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用する。
(2)特定の一般社団法人等に対する相続税の課税
① 特定一般社団法人等の役員(理事に限る。以下同じ。)である者(相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員であった者を含む。)が死亡した場合には、当該特定一般社団法人等が、当該特定一般社団法人等の純資産額をその死亡の時における同族役員(被相続人を含む。)の数で除して計算した金額に相当する金額を当該被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該特定一般社団法人等に相続税を課税することとする。
② ①により特定一般社団法人等に相続税が課税される場合には、その相続税の額から、贈与等により取得した財産について既に当該特定一般社団法人等に課税された贈与税等の額を控除する。
③ その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の「特定一般社団法人等」とは、次に掲げる要件のいずれかを満たす一般社団法人等をいう。
① 相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超えること。
② 相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。
(注2)上記の「同族役員」とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)をいう。
(注3)上記の改正は、平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用する。ただし、同日前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日以後の当該一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用し、平成30年3月31日以前の期間は上記(注1)②の2分の1を超える期間に該当しないものとする。
3 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
(1)土地に係る固定資産税の負担調整措置
① 宅地等及び農地の負担調整措置については、平成30年度から平成32年度までの間、商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。
② 据置年度において簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置を継続する。
③ その他所要の措置を講ずる。
(2)土地に係る都市計画税の負担調整措置
  固定資産税の改正に伴う所要の改正を行う。
4 土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設
(1)相続により土地の所有権を取得した者が当該土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける当該移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
(2)個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)の施行の日から平成33年3月31日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるものとして法務大臣が指定する土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合において、当該移転登記の時における当該土地の価額が10万円以下であるときは、当該移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
5 租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
〈相続税〉
(1)特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設
  文化財保護法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 概要
  個人が、一定の美術館と特定美術品(仮称)の長期寄託契約を締結し、文化財保護法に規定する保存活用計画(仮称)の文化庁長官の認定を受けてその美術館(以下「寄託先美術館」という。)にその特定美術品を寄託した場合において、その者が死亡し、その特定美術品を相続又は遺贈により取得した者(以下「寄託相続人」という。)がその長期寄託契約及び保存活用計画に基づき寄託を継続したときは、担保の提供を条件に、その寄託相続人が納付すべき相続税額のうち、その特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する。
(注1)上記の「一定の美術館」とは、博物館法に規定する博物館又は博物館に相当する施設として指定された施設のうち、美術品の公開及び保管を行うものをいう。
(注2)上記の「特定美術品」とは、重要文化財に指定された美術工芸品又は登録有形文化財(建造物を除く。)であって世界文化の見地から歴史上、芸術上若しくは学術上特に優れた価値を有するものをいう。
② 税額の計算
イ 相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、寄託相続人の相続税額を算出する。
ロ 寄託相続人以外の者の取得財産は不変とした上で、寄託相続人が、通常の課税価格による特定美術品のみを相続したものとして計算した場合のその寄託相続人の相続税額と、課税価格を20%に減額したその特定美術品のみを相続するものとして計算した場合のその寄託相続人の相続税額との差額を、その寄託相続人の猶予税額とする。
  なお、上記イにより算出した寄託相続人の相続税額からこの猶予税額を控除した額が、その寄託相続人の納付税額となる。
③ 猶予税額の免除
  寄託相続人が死亡した場合は、猶予税額を免除する。このほか、寄託先美術館に対するその特定美術品の寄贈又は自然災害によるその特定美術品の滅失があった場合には、下記④にかかわらず、猶予税額を免除する。
④ 猶予税額の納付
  次に掲げる場合には、猶予税額及び法定申告期限からの期間に係る利子税を納付する。
イ 特定美術品の譲渡等をした場合
ロ 特定美術品が滅失をし、又は紛失等をした場合
ハ 長期寄託契約が終了した場合又は保存活用計画の期間満了後新たな認定を受けなかった場合
ニ 重要文化財の指定の解除若しくは登録有形文化財の登録の抹消があった場合又は保存活用計画の認定が取り消された場合
ホ 寄託先美術館が廃止された場合(新たな寄託先美術館に寄託した場合を除く。)
⑤ その他
イ 寄託相続人は、3年毎に、継続届出書に寄託先美術館の発行する証明書を添付して、寄託相続人の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 文部科学大臣又は文化庁長官は、上記④イからホまでに掲げる場合に該当することを知ったときは、寄託相続人の納税地の所轄税務署長にその旨を通知しなければならない。
ハ その他所要の措置を講ずる。
〈登録免許税〉
(2)都市再生特別措置法の改正を前提に、同法の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの間に低未利用土地権利設定等促進計画(仮称)に基づき取得する不動産の所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
① 所有権の移転登記 1,000分の10(本則1,000分の20)
② 地上権等の設定登記等 1,000分の5(本則1,000分の10)
(3)道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の改正を前提に、同法に規定する特定連絡道路工事施行者(仮称)が、同法の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの間に特定連絡道路(仮称)の用に供される土地の所有権を取得した場合における当該土地の所有権の移転登記に対する登録免許税を免税とする措置を講ずる。
(4)中小企業等経営強化法の改正を前提に、同法に規定する経営力向上計画(仮称)の認定(同法の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの間にされたものに限る。)を受けた認定事業者が、当該計画に基づき行う次に掲げる登記に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
① 合併による不動産の所有権の移転登記 1,000分の2(本則1,000分の4)
② 分割による不動産の所有権の移転登記 1,000分の4(本則1,000分の20)
③ その他の原因による不動産の所有権の移転登記 1,000分の16(本則1,000分の20)
〔延長・拡充等〕
〈相続税・贈与税〉
(1)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
① 相続税の納税猶予
イ 次に掲げる貸付けがされた生産緑地についても納税猶予を適用する。
(イ)都市農地の貸借の円滑化に関する法律(仮称)に規定する認定事業計画(仮称)に基づく貸付け
(ロ)都市農地の貸借の円滑化に関する法律に規定する特定都市農地貸付け(仮称)の用に供されるための貸付け
(ハ)特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律(以下「特定農地貸付法」という。)の規定により地方公共団体又は農業協同組合が行う特定農地貸付けの用に供されるための貸付け
(ニ)特定農地貸付法の規定により地方公共団体及び農業協同組合以外の者が行う特定農地貸付け(その者が所有する農地で行うものであって、都市農地の貸借の円滑化に関する法律に規定する協定に準じた貸付協定を締結しているものに限る。)の用に供されるための貸付け
ロ 三大都市圏の特定市以外の地域内の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行:20年)とする。
ハ 特例農地等の範囲に、特定生産緑地である農地等及び三大都市圏の特定市の田園住居地域内の農地を加える。
ニ 特定生産緑地の指定又は指定の期限の延長がされなかった生産緑地については、現に適用を受けている納税猶予に限り、その猶予を継続する。
ホ その他所要の措置を講ずる。
② 贈与税の納税猶予
  上記①ハ及びニの措置を講ずる。
(注)上記①イ及びロの改正は、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行の日以後に相続又は遺贈により取得する農地等に係る相続税について適用する。
  なお、同日前に相続又は遺贈により取得した農地等について相続税の納税猶予の適用を受けている者については、選択により、上記①イの適用ができることとし、その場合には、上記①ロも適用する。
(2)相続財産を贈与した場合の相続税の非課税制度の対象となる法人の範囲について、次の見直しを行う。
① 地方独立行政法人法の改正に伴い、申請等関係事務を市町村又は市町村の長その他の執行機関の名において処理する業務を行う地方独立行政法人を加える。
② 地方独立行政法人法施行令の改正等を前提に、介護医療院の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人を加える。
〈登録免許税〉
(3)特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(4)認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(5)特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、対象工事に居室の窓の断熱改修工事又はこれと併せて行う天井、壁若しくは床の断熱改修工事で、改修後の住宅全体の省エネ性能が断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上及び断熱等性能等級3となるものを加えた上、その適用期限を2年延長する。
(6)マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を2年延長する。
(7)農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(8)産業競争力強化法に規定する認定事業再編計画等に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、同法の改正に伴う所要の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
(9)特定創業支援事業による支援を受けて行う会社の設立の登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(10)預金保険法に規定する第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定等に基づく預金保険機構による金融機関等の株式の引受け等に伴い、当該金融機関等が受ける資本金の額の増加の登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(11)認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(12)特定国際船舶の所有権の保存登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
〈印紙税〉
(13)不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
〈相続税〉
(1)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
① 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外する。
イ 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
ロ 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者
② 貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業の用に供しているものを除く。)を除外する。
③ 介護医療院に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等について、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、上記②の改正は、同日前から貸付事業の用に供されている宅地等については、適用しない。その他所要の措置を講ずる。
〈登録免許税〉
(2)独立行政法人中小企業基盤整備機構が建築した仮設建築物に係る所有権の保存登記に対する登録免許税の免税措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(3)東日本大震災により被災した鉄道事業者が取得した鉄道施設に係る土地の所有権の保存登記等に対する登録免許税の免税措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
〈印紙税〉
(4)独立行政法人中小企業基盤整備機構が作成する不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(地方税)
〔新設〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)特定通信・放送開発事業実施円滑化法に基づき、総務大臣から実施計画について認定を受けた一定の事業者が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、その認定に係る実施計画に記載された首都直下地震緊急対策区域内のデータセンターのバックアップのための一定の設備を取得し、同区域外において専らバックアップの事業の用に供した場合には、当該設備に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の4分の3とする措置を講ずる。
(2)バリアフリー改修を行った既存家屋(住宅を除く。以下同じ。)に係る固定資産税及び都市計画税について、次のとおり税額を減額する措置を講ずる。
① 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する特別特定建築物に該当する家屋のうち主に実演芸術の公演等を行う一定のものについて、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に同法に基づく建築物移動等円滑化誘導基準に適合させるよう改修工事を行った場合において、その旨等を市町村に申告したものに限り、改修工事が完了した年の翌年度から2年度分の当該家屋に係る固定資産税及び都市計画税について、当該家屋に係る固定資産税額及び都市計画税額の3分の1に相当する金額(当該3分の1に相当する金額が当該改修工事に係る工事費の60分の1に相当する金額を超える場合は当該60分の1に相当する金額)を減額する。
② 減額を受けようとする対象家屋の所有者は、上記建築物移動等円滑化誘導基準に適合した工事であること等につき、地方公共団体の長が発行した証明書等を添付して、改修後3月以内に市町村に申告しなければならないこととする。
(3)生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、市町村の導入促進基本計画(仮称)に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小事業者等の先端設備等導入計画(仮称)に記載された一定の機械・装置等であって、生産、販売活動等の用に直接供されるもののうち、同法の施行の日から平成33年3月31日までの間において取得されるものに係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする措置を講ずる。
  上記の特例措置の創設に伴い、中小企業等経営強化法に規定する認定経営力向上計画に基づき中小事業者等が取得する一定の機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置は、適用期限をもって廃止することとし、関係規定を削除する。
(注1)上記の「中小事業者等」とは、次の法人又は個人をいう。ただし、発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人により所有されている法人等を除く。
① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
② 資本又は出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
(注2)上記の「一定の機械・装置等」とは、次の全てを満たすものとする。
① 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの
② 次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に定める販売開始時期であるもの
イ 機械・装置 10年以内
ロ 測定工具及び検査工具 5年以内
ハ 器具・備品 6年以内
ニ 建物附属設備(家屋と一体となって効用を果たすものを除く。) 14年以内
③ 次に掲げる資産の区分に応じ、1台又は1基の取得価額がそれぞれ次に定める額以上であるもの
イ 機械・装置 160万円
ロ 測定工具及び検査工具 30万円
ハ 器具・備品 30万円
ニ 建物附属設備(家屋と一体となって効用を果たすものを除く。) 60万円
(注3)上記の関係規定の削除は、平成31年4月1日から施行する。
(4)都市再生特別措置法の改正を前提に、都市再生推進法人が同法に規定する立地誘導促進施設協定(仮称)(有効期間が5年以上のものに限る。)の目的となる土地を所有し、又は無償で借り受けて、一定の施設を管理する場合には、その用に供する土地及び当該土地の上に存する償却資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を最初の3年間(当該協定の有効期間が10年以上のものについては最初の5年間)価格の3分の2とする措置を平成32年3月31日まで講ずる。
〈不動産取得税〉
(5)中小企業等経営強化法の改正を前提に、中小事業者等が同法に規定する認定経営力向上計画(仮称)に従って譲渡を受ける一定の不動産に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の6分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を平成32年3月31日まで講ずる。
(6)都市再生特別措置法の改正を前提に、同法の規定による公告があった低未利用土地権利設定等促進計画(仮称)に基づき取得する居住誘導区域又は都市機能誘導区域内にある一定の土地に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の5分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を平成32年3月31日まで講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)独立行政法人国民生活センターが一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に特定適格消費者団体が行う仮差押命令の申立てに係る担保を立てる業務の用に供する固定資産を加える。
(2)児童福祉法及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の改正後の障害児通所支援事業及び障害福祉サービス事業について、引き続き社会福祉事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置を講ずる。
(3)介護医療院について、次の措置を講ずる。
① 健康保険組合等が所有し、かつ経営する病院等に係る固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に介護医療院に係る固定資産を加える。
② 社会福祉事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に生計困難者に対して無料又は低額な費用で介護医療院を利用させる事業の用に供する固定資産を加える。
③ 日本赤十字社がその事業の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、対象に介護医療院の用に供する固定資産を加える。
(4)都市再生特別措置法の改正を前提に、土地区画整理事業において仮換地等又は仮使用地に係る固定資産税及び都市計画税の納税義務者のみなし特例措置について、同法に規定する誘導施設整備区制度(仮称)に係る土地区画整理事業についても適用する。
(5)大阪市交通局の地下鉄事業の民営化に伴い、新会社が承継する鉄軌道の市街化区域内のトンネルについて、鉄軌道の市街化区域内のトンネルに係る固定資産税の非課税措置の適用対象とする。
(6)津波防災地域づくりに関する法律に規定する津波災害警戒区域において同法に規定する管理協定の対象となった協定避難施設の用に供する家屋のうち協定避難用部分及び協定避難施設に附属する避難の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
① 家屋については、対象に同法に規定する指定避難施設の用に供する家屋のうち避難の用に供する部分を加えた上、指定避難施設に係る課税標準を、最初の5年間価格に3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする。
② 償却資産については、対象に防災用倉庫、防災用ベンチ及び非常用電源設備を加えた上、指定避難施設に附属する避難の用に供する償却資産に係る課税標準を、最初の5年間価格に次の割合を乗じて得た額とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 3分の2
ロ その他の資産 3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
(7)鉄軌道事業者が首都直下地震・南海トラフ地震に備えた鉄道施設等の耐震補強工事によって新たに取得した一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① ロッキング橋脚を有する橋りょうの耐震補強工事によって新たに取得した一定の償却資産を対象に加える。
② 一定の線区及び駅又は停留場の耐震補強工事によって新たに取得した一定の償却資産を対象から除外する。
(8)南海トラフ地震防災対策推進地域、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域及び首都直下地震緊急対策区域において、国の無利子資金の貸付けを受けて改良された港湾法に規定する特別特定技術基準対象施設である護岸、岸壁及び物揚場に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を最初の5年間価格に次の割合を乗じて得た額とした上、その適用期限を3年延長する。
① 南海トラフ地震防災対策推進地域又は首都直下地震緊急対策区域において、緊急確保航路に接続する港湾内の特別特定技術基準対象施設 2分の1(現行:3分の2)
② ①以外の特別特定技術基準対象施設 6分の5(現行:3分の2)
(9)国家戦略特別区域法に基づく特定中核事業のうち医療分野における一定の研究開発に関する事業の実施主体として同法の認定区域計画に定められた者が国家戦略特別区域内において取得した当該研究開発の用に供する一定の設備等(法人税の特別償却の対象となるものに限る。)に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(10)流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の認定を受けた事業者が、総合効率化計画に基づき取得した一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(11)都市再生特別措置法に規定する認定誘導事業者が誘導施設の整備に係る事項が記載された立地適正化計画に基づき整備した公共施設等の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(12)新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置の適用期限を2年延長する。
(13)鉄道事業者等がその事業の用に供する鉄道施設等を高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する公共交通移動等円滑化基準に適合させるために実施する一定の鉄道駅等の改良工事により取得した一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(14)地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に規定する鉄道事業再構築事業を実施する路線において政府の補助を受けて取得した一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(15)国内路線に就航する航空機に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(16)新築の認定長期優良住宅に係る固定資産税の税額の減額措置の適用期限を2年延長する。
(17)耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、次の見直しを行う。
① 耐震改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
② バリアフリー改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、床面積要件の上限を280㎡以下(現行:上限なし)とした上、その適用期限を2年延長する。
③ 省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、床面積要件の上限を280㎡以下(現行:上限なし)とした上、その適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(18)児童福祉法及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の改正後の障害児通所支援事業及び障害福祉サービス事業について、引き続き社会福祉事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置を講ずる。
(19)介護医療院について、次の措置を講ずる。
① 健康保険組合等が経営する病院等に係る不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に介護医療院に係る不動産を加える。
② 社会福祉事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に生計困難者に対して無料又は低額な費用で介護医療院を利用させる事業の用に供する不動産を加える。
③ 日本赤十字社がその事業の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に介護医療院の用に供する不動産を加える。
(20)都市再生特別措置法の改正を前提に、土地区画整理事業の施行に伴い取得する換地等に係る不動産取得税の非課税措置について、対象に同法に規定する誘導施設整備区(仮称)における換地を追加する。
(21)新耐震基準に適合しない中古住宅を取得し、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する場合における当該中古住宅の用に供する土地について、耐震基準適合既存住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200㎡を限度)相当額等の減額)と同様の措置を講ずる。
(22)宅地建物取引業者が取得した既存住宅について、一定の増改築等を行った上、取得の日から2年以内に耐震基準適合要件を満たすものとして個人に販売し、自己の居住の用に供された場合における当該宅地建物取引業者が取得する当該既存住宅のうち一定のものの用に供する土地に対して、新築住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200㎡を限度)相当額等の減額)と同様の措置を平成31年3月31日まで講ずる。
(23)中小企業者が取得する健康サポート薬局の用に供する不動産に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の6分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(24)宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置の適用期限を3年延長する。
(25)住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置の適用期限を3年延長する。
(26)河川法に規定する高規格堤防の整備に係る事業のために使用された土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が当該土地の上に取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(27)不動産取得税について、新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
(28)新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200㎡を限度)相当額等の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する特例措置の適用期限を2年延長する。
(29)マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定する施行者又はマンション敷地売却組合が取得する要除却認定マンション及びその敷地に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(30)新築の認定長期優良住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈事業所税〉
(31)児童福祉法及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の改正後の障害児通所支援事業及び障害福祉サービス事業について、引き続き社会福祉事業の用に供する施設に係る事業所税の非課税措置を講ずる。
(32)介護医療院について、次の措置を講ずる。
① 医療法に規定する病院及び診療所等に係る事業所税の非課税措置について、対象に介護医療院を加える。
② 社会福祉事業の用に供する施設に係る事業所税の非課税措置について、対象に生計困難者に対して無料又は低額な費用で介護医療院を利用させる事業の用に供する施設を加える。
(33)駐留軍関係離職者等臨時措置法、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法及び雇用対策法施行規則の一部改正後において、引き続き国の雇用に関する助成の対象となる者に対する従業者割に係る事業所税の課税標準の特例措置を講ずる。
(34)特定農産加工業経営改善臨時措置法に規定する承認計画に基づき特定農産加工業者等が事業の用に供する一定の施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を法人の事業について1年3月延長する。
〔廃止・縮減等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)ラジオ放送を行う基幹放送事業者又は基幹放送局提供事業者が取得した災害対策のための一定の無線設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、基幹放送局の送信設備の設置場所と比べて自然災害の影響を受けにくいと認められる場所に当該設備に代えて新たに設備を整備する場合を対象から除外した上、その適用期限を2年延長する。
(2)郵政民営化に伴い合併前の郵便事業株式会社及び郵便局株式会社が日本郵政公社から承継し、かつ、日本郵便株式会社が所有する一定の固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、課税標準を価格の6分の5(現行:5分の4)とした上、その適用期限を2年延長する。
(3)公害防止用設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 水質汚濁防止法の特定施設に係る汚水又は廃液を処理するための施設について、バーク処理装置を適用対象から除外した上、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 2分の1(現行:3分の1)
ロ その他の資産 2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合(現行:3分の1を参酌して6分の1以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合)
② テトラクロロエチレン溶剤及びフッ素系溶剤を使用するドライクリーニング機に係る活性炭利用吸着式処理装置のうちフッ素系溶剤を使用するドライクリーニング機に係る活性炭利用吸着式処理装置を適用対象から除外する。
③ 産業廃棄物処理施設のうち廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の処理施設については、課税標準を価格の2分の1(現行:3分の1)とする。
④ 下水道除害施設のうちバーク処理装置を適用対象から除外する。
(4)農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律の認定を受けた事業者が取得した一定のバイオ燃料製造設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、脂肪酸メチルエステル製造設備の適用対象を中小事業者等に限定した上、その適用期限を2年延長する。
(5)所有する全ての農地(10a未満の自作地を除く。)に農地中間管理事業のための賃借権等を新たに設定し、かつ、当該賃借権等の設定期間が10年以上である農地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、対象となる農地の範囲を明確化した上、その適用期限を2年延長する。
(6)電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に規定する一定の発電設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 出力が1,000kw以上の太陽光発電設備及び出力が20kw未満の風力発電設備については、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 4分の3(現行:3分の2)
ロ その他の資産 4分の3を参酌して12分の7以上12分の11以下の範囲内において市町村の条例で定める割合(現行:3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合)
② 出力が5,000kw以上の水力発電設備、出力が1,000kw未満の地熱発電設備及び出力が10,000kw以上のバイオマス発電設備については、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とする。
イ 大臣配分資産又は知事配分資産 3分の2(現行:2分の1)
ロ その他の資産 3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合(現行:2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合)
(7)日本貨物鉄道株式会社が取得した新たに製造された一定の機関車又はコンテナ貨車に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、コンテナ貨車を対象から除外した上、その適用期限を2年延長する。
(8)国際船舶に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、適用対象となる国際船舶の範囲を見直した上、その適用期限を3年延長する。
(9)成田国際空港株式会社がその事業の用に供する一定の施設に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 課税標準を価格の10分の9(現行:8分の7)とする。
② 都市計画税の課税標準の特例措置を廃止する。
(10)特定都市河川浸水被害対策法に基づき都道府県知事等の許可を要する雨水浸透阻害行為に伴い設置される一定の雨水貯留浸透施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とした上、その適用期限を3年延長する。
① 大臣配分資産又は知事配分資産 4分の3(現行:3分の2)
② その他の資産 4分の3を参酌して3分の2以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合(現行:3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において市町村の条例で定める割合)
(11)独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う仮設施設整備事業により整備した施設に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置を廃止する。
(12)三大都市圏の特定市の市街化区域農地を転用して新築した一定の貸家住宅及びその敷地に係る固定資産税の減額措置を廃止する。
〈不動産取得税〉
(13)独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う仮設施設整備事業により取得する施設に係る不動産取得税の非課税措置を廃止する。
(14)東日本大震災により被災した鉄道事業法に規定する鉄道事業者が、東日本大震災により鉄道事業の用に供することができなくなった鉄道施設であって、同法に規定する鉄道事業の休止等の届出に係るものに代わるものとして建設する一定の要件を満たす鉄道施設の敷地の用に供するために取得した土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を廃止する。
6 その他
(国 税)
(1)相続開始又は贈与の時において国外に住所を有する日本国籍を有しない者等が、国内に住所を有しないこととなった時前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年を超える被相続人又は贈与者(当該期間引き続き日本国籍を有していなかった者であって、当該相続開始又は贈与の時において国内に住所を有していないものに限る。)から相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないこととする。ただし、当該贈与者が、国内に住所を有しないこととなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったときにおける当該国外財産に係る贈与税については、この限りでない。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(2)相続税の申告書の添付書類として提出できる書類の範囲に、戸籍謄本を複写したもの等の被相続人の全ての相続人、当該相続人の法定相続分及び当該相続人が被相続人の実子又は養子のいずれに該当するかの別を明らかにする書類を加える。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に提出する申告書について適用する。
(3)個人がその氏名又は住所を変更する場合に提出する次に掲げる申告書について、これらの申告書を提出する者の個人番号の記載を要しないこととし、これらの申告書の提出を受けた者は、これらの申告書にその提出した者の個人番号を付記するものとする。
① 障害者非課税信託に関する異動申告書
② 教育資金管理契約に関する異動申告書
③ 結婚・子育て資金管理契約に関する異動申告書
(注)上記の措置は、上記の申告書を提出する者がこれらの申告書の提出を受けた者に個人番号を記載した申告書を提出していない場合には、適用しない。
(4)調書の電子情報処理組織(e-Tax)又は光ディスク等による提出義務制度について、提出義務の対象となるかどうかの判定基準となるその年の前々年に提出すべきであった調書の枚数を100枚以上(現行:1,000枚以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成33年1月1日以後に提出すべき調書について適用する。
(5)農地法等の改正を前提に、コンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地については、相続税等に関する法令の適用上、農地と同様の扱いとする所要の措置を講ずる。
(6)生計困難者に対して無料又は低額な費用で介護保険法に規定する介護医療院を利用させる事業について、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の非課税措置(登録免許税法別表第三)等を適用する。
(7)生活困窮者自立支援法施行規則の改正を前提に、改正後の認定生活困窮者就労訓練事業について、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の非課税措置(登録免許税法別表第三)を適用する。
(8)社会福祉法の改正を前提に、改正後の生計困難者のために無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業について、社会福祉法人が社会福祉事業の用に供するために取得する不動産に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の非課税措置(登録免許税法別表第三)等を適用する。
(9)都市再生特別措置法の改正を前提に、土地区画整理事業の拡充後も、土地区画整理事業の施行のため必要な土地又は建物に関する登記に対する登録免許税の非課税措置を適用する。
(10)預貯金通帳等に係る印紙税の申告及び納付等の特例を受けるため、毎年、税務署長への提出が必要とされる承認申請書について、その申請の内容に変更がない場合には、再度、承認申請書を提出することを要しないこととする。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に作成する預貯金通帳等に係る承認について適用する。
(11)地方税法の改正を前提に、地方税共同機構(仮称)を非課税法人(印紙税法別表第二)とする。
(地方税)
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)関係法令等の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、引き続き現行制度と同様の措置を講ずる。
(2)生産緑地法の改正に伴い、都市計画法に規定する生産緑地地区の区域内の農地について、次の措置を講ずる。
① 生産緑地地区の区域内の農地のうち特定生産緑地の指定がされたもの(指定の期限の延長がされなかったものを除く。)に係る固定資産税及び都市計画税について、現行制度と同様の措置を講ずる。
② 生産緑地地区の区域内の農地のうち特定生産緑地の指定又は指定の期限の延長がされなかったものに係る固定資産税及び都市計画税について、宅地並み評価とした上で、生産緑地地区の区域内の農地に該当しないこととなった市街化区域農地と同様の激変緩和措置を講ずる。
(3)都市計画法の改正に伴い、同法に規定する田園住居地域の区域内の市街化区域農地について、300㎡を超える部分に係る土地の価額が類似宅地の価額を基準として求めた価額から造成費相当額を控除した価額の2分の1となるような減価補正(総地積に対する300㎡を超える部分の割合に応じて段階的に定める減価補正)を行う評価を平成31年度から適用するため、所要の措置を講ずる。
〈不動産取得税〉
(4)関係法令等の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、引き続き現行制度と同様の措置を講ずる。
(5)農地等に係る不動産取得税の徴収猶予制度について、次の見直しを行う。
① 農地法の改正を前提に、対象となる農地等の範囲にコンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地を加える。
② 対象となる農地等の範囲に、特定生産緑地である農地等及び三大都市圏の特定市の田園住居地域内の農地を加える。
③ 特定生産緑地の指定又は指定の期限の延長がされなかった生産緑地については、現に適用を受けている徴収猶予に限り、その猶予を継続する。
(6)農業経営基盤強化促進法の改正を前提に、農地利用集積円滑化団体等が取得した農地等について、一定期間不動産取得税の徴収を猶予し、取得の日から5年以内に売却等された場合には、当該徴収猶予された税額に係る納税義務を免除する措置について、対象にコンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地を加える。
(7)土地改良法に規定する農用地の範囲の見直しを前提に、同法による農用地の交換分合に伴い取得する土地に対する不動産取得税の非課税措置について、対象にコンクリート等で覆われた農作物の栽培施設の敷地を加える。

三 法人課税
1 賃上げ・生産性向上のための税制
(国 税)
(1)所得拡大促進税制の改組
(注)中小企業における所得拡大促進税制については後掲。
  雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度を改組し、青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができる制度とする。この場合において、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上であるときは、給与等支給増加額の20%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。
① 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること。
② 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であること。
(注1)設立事業年度は対象外とする。
(注2)上記の「給与等支給増加額」とは、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいう。ただし、改組後の地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度の適用がある場合には、現行と同様の調整を行う。
(注3)上記の「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用で次のものをいい、上記の「比較教育訓練費の額」とは、前期及び前々期の教育訓練費の額の年平均額をいう。
イ その法人が教育訓練等(教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいう。)を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用
ロ 他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
ハ 他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用
(注4)平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額については、計算の基礎となる継続雇用者の範囲を見直し、当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定のものとするほか、所要の措置を講ずる。なお、計算の基礎となる継続雇用者がない場合には、上記①の要件は満たさないものとする。
(注5)上記の「国内設備投資額」とは、法人が当期において取得等をした国内にある減価償却資産となる資産で当期末において有するものの取得価額の合計額をいい、上記の「減価償却費の総額」とは、その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額(前期の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む。)をいう。
(2)情報連携投資等の促進に係る税制の創設
  生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の革新的データ活用計画(仮称)の認定を受けたものが、同法の施行の日から平成33年3月31日までの間に、その革新的データ活用計画に従ってソフトウエアを新設し、又は増設した場合で一定の場合において、情報連携利活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の5%(上記(1)①の要件を満たさない場合には、3%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%(上記(1)①の要件を満たさない場合には、15%)を上限とする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「一定の場合」とは、その新設又は増設をしたソフトウエアの取得価額の合計額(そのソフトウエアとともに取得又は製作をした機械装置又は器具備品がある場合には、これらの取得価額の合計額を含む。)が5,000万円以上の場合をいう。
(注2)上記の「情報連携利活用設備」とは、上記(注1)のソフトウエア、機械装置及び器具備品をいい、開発研究用資産を除く。なお、機械装置は、データ連携・利活用の対象となるデータの継続的かつ自動的な収集を行うもの又はデータ連携・利活用による分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示を受けるものに限る。
(注3)上記の「データ連携・利活用」とは、革新的データ活用計画に基づく生産性向上の実現のための臨時措置法の革新的データ活用(仮称)のうち次の要件を満たすものをいう。
① 次のいずれかに該当すること。
イ 他の法人若しくは個人が収集若しくは保有をするデータ又は自らがセンサーを利用して新たに取得するデータを、既存の内部データとあわせて連携し、利活用すること。
ロ 同一の企業グループに属する異なる法人間又は同一の法人の異なる事業所間において、漏えい又は毀損をした場合に競争上不利益が生ずるおそれのあるデータを、外部ネットワークを通じて連携し、利活用すること。
② 次の全てが行われること。
イ 上記①イの各データ又は上記①ロの各データの継続的かつ自動的な収集及び一体的な管理
ロ 上記①イの各データ又は上記①ロの各データ同士の継続的な連携及び分析
ハ 上記ロの分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示
③ 上記②イからハまでを行うシステムのセキュリティの確保等につきセキュリティの専門家が確認をするものであることその他の要件を満たすこと。
(3)租税特別措置の適用要件の見直し
  大企業が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において次の要件のいずれにも該当しない場合には、その事業年度については、研究開発税制その他の一定の税額控除を適用できないこととする。ただし、その所得の金額が前期の所得の金額以下の一定の事業年度にあっては、対象外とする(所得税についても同様とする。)。
① 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること。
② 国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること。
(注1)上記の「大企業」とは、中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)又は農業協同組合等以外の法人をいう。
(注2)一定の税額控除は、次の制度の税額控除とする。
イ 試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)
ロ 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)
ハ 情報連携投資等の促進に係る税制(上記(2))
(注3)所得の金額は、欠損金の繰越控除前の金額とするほか、必要な調整を行う。なお、受取配当等の益金不算入、外国子会社から受ける配当等の益金不算入等は調整を行わない。
(注4)一定の事業年度からは、設立事業年度又は合併等の日を含む事業年度を除く。
(注5)平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額は上記(1)(注4)と同様とし、その計算の基礎となる継続雇用者がない場合には上記①の要件は満たすものとする。
(注6)国内設備投資額及び減価償却費の総額は、上記(1)(注5)と同様とする。
(4)中小企業における所得拡大促進税制の改組
  青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができることとする。この場合において、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の25%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。
① 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上であること。
② 次のいずれかの要件を満たすこと。
イ 教育訓練費の額の前期の教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上であること。
ロ その中小企業者等がその事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと。
(注1)上記の「中小企業者等」とは、中小企業者又は農業協同組合等をいう。なお、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものを除く。
(注2)上記(1)の制度との選択適用とする。
(注3)上記(1)の(注1)から(注4)までは、上記においても同様とする。
(地方税)
(1)所得拡大促進税制の改組
① 付加価値割の所得拡大促進税制を改組し、法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額を付加価値割の課税標準から控除できることとする。
イ 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること。
ロ 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上であること。
② 雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度を改組し、法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たすときに適用できることとされる法人税の税額控除を、中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
(2)情報連携投資等の促進に係る税制の創設
  生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、同法の革新的データ活用計画(仮称)の認定を受けた法人が、同法の施行の日から平成33年3月31日までの間に、その革新的データ活用計画に従ってソフトウエアを新設し、又は増設した場合で一定の場合において、情報連携利活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときに選択適用できることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に、税額控除を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
2 競争力強化のための税制措置
(国 税)
(1)特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例の創設
  産業競争力強化法の改正を前提に、法人が、同法の特別事業再編計画(仮称)の認定を同法の改正法の施行の日から平成33年3月31日までの間に受けた事業者の行ったその特別事業再編計画に基づく産業競争力強化法の特別事業再編(仮称)により、その有する株式(出資を含む。)を譲渡し、その認定を受けた事業者の株式の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べることとする(所得税についても同様とする。)。
(2)組織再編税制について、次の見直しを行う。
① 完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定することとする。
② 当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間で従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち従業者従事要件及び事業継続要件を満たすこととする。
③ いわゆる無対価組織再編成について、適格組織再編成となる類型の見直しを行うとともに、非適格組織再編成となる場合における処理の方法を明確化する。
④ その他所要の措置を講ずる。
3 地方創生の実現
(国 税)
 地方拠点強化税制の見直し
(1)地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(2)特定の地域において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)のうち同意雇用開発促進地域に係る措置の廃止に伴い、同制度のうち地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度に改組するとともに、次の見直しを行い、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 「増加雇用者数が5人以上(中小企業者等については、2人以上)であること」との要件を、「地方事業所基準雇用者数のうち、有期雇用又はパートタイムである新規雇用者を除いた数が2人以上であること」とする。
② 「給与等支給額が比較給与等支給額以上であること」との要件における比較給与等支給額について、その計算の基礎となる増加雇用者数に応じた給与等支給額に乗ずる割合を20%(現行:30%)に引き下げる。
③ 地方事業所基準雇用者数に係る措置における地方事業所税額控除限度額を次の金額の合計額とする。
イ 30万円(雇用者の増加割合が8%以上(移転型事業にあっては、5%以上)であることとの要件を満たす場合には、60万円)に、地方事業所基準雇用者数のうち無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数に達するまでの数を乗じて計算した金額
ロ 20万円(雇用者の増加割合が8%以上(移転型事業にあっては、5%以上)であることとの要件を満たす場合には、50万円)に、新規雇用者総数(地方事業所基準雇用者数を超える部分を除く。)から無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数を控除した数のうち新規雇用者総数の40%に達するまでの数と地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した数との合計数を乗じて計算した金額
(注)地方事業所基準雇用者数は、増加雇用者数を上限とする。
④ 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置における地方事業所特別税額控除限度額について、改正後の地域再生法の準地方活力向上地域(仮称)の特定業務施設に係る金額を20万円(原則:30万円)にその特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額とする。
(注1)地方事業所基準雇用者数に係る措置については、上記(1)の制度との選択適用とする。
(注2)地方事業所特別基準雇用者数に係る措置については、上記(1)の制度の適用を受ける事業年度において地方事業所基準雇用者数に係る措置の要件を満たす場合には、適用できることとする。
(注3)控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする。
(3)地域再生法等の改正及び運用の適正化を前提に、地方活力向上地域特定業務施設整備計画につき、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部を、移転型事業の対象地域とする。
② 「特定業務施設の従業員数及び増加従業員数が10人以上(中小企業者については、5人以上)であること」との計画の認定要件について、5人以上(中小企業者については、2人以上)に引き下げる。
③ 移転型事業に係る「計画期間を通じた特定業務施設の増加従業員数の過半数が特定集中地域からの転勤者であること」との計画の認定要件(現行要件)に、「特定業務施設が整備され事業を開始した年度における特定業務施設の増加従業員数の過半数が特定集中地域からの転勤者であり、かつ、計画期間を通じた特定業務施設の増加従業員数の4分の1以上の数が特定集中地域からの転勤者であること」との要件を加えた上、現行要件との選択とする。
④ 工場内にある一定の研究施設等が特定業務施設に該当すること及び移転型事業の対象地域の範囲について明確化する。
(地方税)
 地方拠点強化税制の見直し
(1)地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は中小企業者等の税額控除制度の適用期限を2年延長する。
(2)中小企業者等の特定の地域において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)のうち同意雇用開発促進地域に係る措置の廃止に伴い、同制度のうち地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を中小企業者等の地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度に改組するとともに、次の見直しを行い、その適用期限を2年延長する。
① 「増加雇用者数が2人以上であること」との要件を、「地方事業所基準雇用者数のうち、有期雇用又はパートタイムである新規雇用者を除いた数が2人以上であること」とする。
② 「給与等支給額が比較給与等支給額以上であること」との要件における比較給与等支給額について、その計算の基礎となる増加雇用者数に応じた給与等支給額に乗ずる割合を20%(現行:30%)に引き下げる。
③ 地方事業所基準雇用者数に係る措置における地方事業所税額控除限度額を次の金額の合計額とする。
イ 30万円(雇用者の増加割合が8%以上(移転型事業にあっては、5%以上)であることとの要件を満たす場合には、60万円)に、地方事業所基準雇用者数のうち無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数に達するまでの数を乗じて計算した金額
ロ 20万円(雇用者の増加割合が8%以上(移転型事業にあっては、5%以上)であることとの要件を満たす場合には、50万円)に、新規雇用者総数(地方事業所基準雇用者数を超える部分を除く。)から無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数を控除した数のうち新規雇用者総数の40%に達するまでの数と地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した数との合計数を乗じて計算した金額
④ 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置における地方事業所特別税額控除限度額について、改正後の地域再生法の準地方活力向上地域(仮称)の特定業務施設に係る金額を20万円(原則:30万円)にその特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額とする。
(注)地方事業所基準雇用者数に係る措置については、上記(1)の制度との選択適用とする。
(3)地域再生法等の改正及び運用の適正化を前提に、地方活力向上地域特定業務施設整備計画につき、次の見直しを行う。
① 準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部を、移転型事業の対象地域とする。
② 「特定業務施設の従業員数及び増加従業員数が10人以上(中小企業者については、5人以上)であること」との計画の認定要件について、5人以上(中小企業者については、2人以上)に引き下げる。
③ 移転型事業に係る「計画期間を通じた特定業務施設の増加従業員数の過半数が特定集中地域からの転勤者であること」との計画の認定要件(現行要件)に、「特定業務施設が整備され事業を開始した年度における特定業務施設の増加従業員数の過半数が特定集中地域からの転勤者であり、かつ、計画期間を通じた特定業務施設の増加従業員数の4分の1以上の数が特定集中地域からの転勤者であること」との要件を加えた上、現行要件との選択とする。
④ 工場内にある一定の研究施設等が特定業務施設に該当すること及び移転型事業の対象地域の範囲について明確化する。
4 税務手続の電子化等の推進
(国 税)
(1)申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設
① 大法人の法人税及び地方法人税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の提出については、これらの申告書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供しなければならないこととする。
(注)上記の「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社をいう。
② 上記①の大法人の上記①の申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、若しくは記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法又は当該事項を記録した光ディスク等を提出する方法により提供しなければならないこととする。
③ 上記①の大法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の承認を受けて、上記①の申告書及び上記②の添付書類を書面により提出できることとする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(2)法人税の次の制度の適用を受ける場合に確定申告書等に添付することとされている第三者作成書類については、添付することに代えて保存することにより次の制度の適用を認めることとする。
① 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
② 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例
③ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
④ 収用換地等の場合の所得の5,000万円特別控除
⑤ 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の2,000万円特別控除
⑥ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の1,500万円特別控除
(3)連結子法人の個別帰属額等の届出について、次の見直しを行う。
① 連結親法人が連結子法人の個別帰属額等を電子情報処理組織を使用する方法又は当該個別帰属額等を記録した光ディスク等を提出する方法により当該連結親法人の納税地の所轄税務署長に提供した場合には、連結子法人が当該個別帰属額等を記載した書類を当該連結子法人の本店等の所轄税務署長に提出したものとみなす。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に終了する連結事業年度について適用する。
② 更正の場合の個別帰属額等の異動の届出を不要とする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後の個別帰属額等の異動について適用する。
(4)次の書類について、連結子法人となる法人又は連結子法人による提出を不要とする。
① 連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書
② 完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類
③ 連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に生じた事実について適用する。
(5)法人税、地方法人税及び復興特別法人税の申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止する。
(6)地方税法の改正を前提に、地方税共同機構(仮称)を公共法人(法人税法別表第一)とする。
(7)その他法人税及び地方法人税の申告手続について、勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化等を図るほか、所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設
① 大法人の法人住民税及び法人事業税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の提出については、これらの申告書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法(eLTAX)により提供しなければならないこととする。
(注)上記の「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社をいう。
② 上記①の大法人の上記①の申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(備考)上記①の大法人の上記②の添付書類の提出方法の柔軟化及び電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合の宥恕措置について、国税における措置等を踏まえ、検討する。
(2)外形標準課税対象法人又は収入金額課税法人が法人税の確定申告書又は中間申告書の提出を電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行い、かつ、これらの申告書に貸借対照表及び損益計算書の添付がある場合には、法人事業税の確定申告又は中間申告において、これらの書類の添付があったものとみなすこととする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日から施行する。
(3)法人事業税及び地方法人特別税の申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止する。
(4)その他所要の措置を講ずる。
5 その他の租税特別措置
(国 税)
〔新設〕
(1)青色申告書を提出する法人で特定事業者等であるものが、適用期間内に、高度省エネルギー増進設備等の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合には、その取得価額の30%の特別償却(中小企業者等については、取得価額の7%の税額控除との選択適用)ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「特定事業者等」とは、次の者をいう。
① エネルギーの使用の合理化等に関する法律のエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある者として経済産業大臣に指定された工場等を設置している者(その指定に係る同法の加盟者を含む。)
② 改正後のエネルギーの使用の合理化等に関する法律の連携省エネルギー計画(仮称)の認定を受けた工場等を設置している者
③ 改正後のエネルギーの使用の合理化等に関する法律の荷主連携省エネルギー計画(仮称)の認定を受けた荷主
(注2)上記の「適用期間」とは、上記(注1)の①の法人については平成30年4月1日から平成32年3月31日までの期間とし、上記(注1)の②及び③の法人についてはエネルギーの使用の合理化等に関する法律の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの期間とする。
(注3)上記の「高度省エネルギー増進設備等」とは、上記(注1)の①の法人にあってはエネルギーの使用の合理化等に関する法律により主務大臣に提出した中長期的計画に記載されたエネルギーの使用の合理化のために設置する機械その他の減価償却資産で特に効果の高い一定のものをいい、上記(注1)の②の法人にあってはその連携省エネルギー計画に記載された連携省エネルギー措置(仮称)の実施により取得等をされる一定の機械その他の減価償却資産をいい、上記(注1)の③の法人にあってはその荷主連携省エネルギー計画に記載された荷主連携省エネルギー措置(仮称)の実施により取得等をされる一定の機械その他の減価償却資産をいう。
(注4)上記の「機械その他の減価償却資産」とは、機械装置、器具備品、建物附属設備、構築物及びソフトウエアをいう。
(注5)上記の「中小企業者等」とは、中小企業者又は農業協同組合等をいう。なお、中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものを除く。
(注6)補助金等の交付を受けて取得等をしたものは対象外とする。
(2)青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、再生可能エネルギー発電設備等の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却ができることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「再生可能エネルギー発電設備等」とは、次の資産のうちエネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律の非化石エネルギー源の利用に資する一定のものをいう。ただし、太陽光、風力、原子力等一定の非化石エネルギー源の利用に資する次の①の資産及び原子力等一定の非化石エネルギー源の利用に資する次の②の資産は対象外とする。
① 非化石エネルギー源から電気若しくは熱を得るため又は非化石エネルギー源から燃料を製造するための機械その他の減価償却資産
② 上記①の資産とともに使用するための機械その他の減価償却資産でその資産の持続的な利用に必要なもの
(注2)電気事業法の一般送配電事業者に該当する法人等が取得等をしたものは対象外とする。
(注3)補助金等の交付を受けて取得等をしたものは対象外とする。
(3)青色申告書を提出する法人で特定通信・放送開発事業実施円滑化法の地域特定電気通信設備供用事業の実施計画の認定を受けたものが、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、その実施計画に記載された情報流通円滑化設備の取得等をして、東京圏以外の地域内において事業の用に供した場合には、その取得価額の15%の特別償却ができることとする。
(注1)上記の「情報流通円滑化設備」とは、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の特定電気通信設備のうち特定の地域における情報の円滑な流通の確保に特に資するものをいう。
(注2)上記の「東京圏」とは、多極分散型国土形成促進法の東京圏をいう。
(4)青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に、企業主導型保育施設用資産の取得等をして、その保育事業の用に供した場合には、3年間12%(建物等及び構築物については、15%)の割増償却ができることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「企業主導型保育施設用資産」とは、事業所内保育施設の新設又は増設とともに幼児遊戯用構築物等の取得等をする場合で、かつ、その事業所内保育施設につき子ども・子育て支援法による企業主導型保育事業の助成金を受ける場合におけるその事業所内保育施設を構成する建物等及びその幼児遊戯用構築物等をいう。
(注2)上記の「幼児遊戯用構築物等」とは、保育事業の用に供する遊戯用の構築物、遊戯具、家具及び防犯設備をいう。
〔拡充等〕
(1)耐震基準適合建物等の特別償却制度のうち技術基準適合施設に係る措置について、特別償却率(現行:20%)につき次の見直しを行った上、その適用に係る報告期間を平成30年4月1日から平成32年3月31日までの期間とする。
① 港湾隣接地域(港湾法の緊急確保航路に隣接する港湾区域に隣接する地域に限る。)内において取得又は建設をした技術基準適合施設 22%
② 上記①以外の港湾隣接地域内において取得又は建設をした技術基準適合施設 18%
(2)原子力発電施設解体準備金制度について、関係法令の改正を前提に、準備金の積立期間を原則40年(現行:50年)とする。
(3)都市再生特別措置法の改正を前提に、都市再生推進法人の業務に追加される低未利用土地の取得等の業務のために土地の先行取得を行う都市再生推進法人に対する土地等の譲渡について、法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)の対象とする。
(4)都市再生特別措置法の改正を前提に、拡充後の土地区画整理事業における換地処分について、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例のうち完全支配関係がある法人の間で譲渡された譲渡損益調整資産の譲渡利益額を引き続き計上しないこととする措置の対象とする。
(5)特定の医療法人の法人税率の特例について、次の措置を講ずる。
① 承認要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に一定の予防接種に係る収入金額、助産に係る収入金額(一の分娩に係る助産に係る収入金額が50万円を超えるときは、50万円を限度とする。)及び介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額を加える。
② 承認要件に、その経理に関し次の基準に適合していることを加える。
イ 青色申告法人の帳簿書類の保存に準じて、帳簿書類を備え付けてその帳簿書類にその取引を記録し、かつ、その帳簿書類を保存していること。
ロ その支出した金銭でその費途が明らかでないものがあることその他の不適正な経理が行われていないこと。
(6)投資法人に係る課税の特例における投資法人の支払配当等の額が配当可能利益の額の90%を超えていることとする要件における配当可能利益の額について、関係法令の改正を前提に、その投資法人が納付した外国法人税額等の控除後の額とする。
(7)特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、飲食店において設置する受動喫煙の防止のための喫煙専用室に係る器具備品及び建物附属設備がその対象となることを明確化する(所得税についても同様とする。)。
〔延長〕
(1)倉庫用建物等の割増償却制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(2)新事業開拓事業者投資損失準備金制度について、産業競争力強化法の改正を前提に、その適用期限を1年延長する。
(3)金属鉱業等鉱害防止準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(4)国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例の適用期限を2年延長する。
(5)交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長する。
(6)技術研究組合の所得の計算の特例の適用期限を3年延長する。
(7)中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置について、その適用期限を2年延長するとともに、設備廃棄等欠損金額の特例の適用期限を2年延長する。
(8)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
〔廃止・縮減等〕
(1)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(環境関連投資促進税制)は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(2)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除制度について、次の①の見直しを行うとともに、その適用期限を2年延長した上、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等(平成31年3月31日以前に受けた確認に係る事業実施計画に記載されたものを除く。)につき、次の②及び③の見直しを行う。
① 国家戦略特別区域法等の改正を前提に、対象事業について、次の見直しを行う。
イ 指定金融機関から事業を行うのに必要な資金の貸付けを受けて行われる事業について、事業を行うのに必要な資金の貸付けについて政府による利子補給金の支給を受ける指定金融機関からその利子補給契約に係る貸付けを受けて行われるものに限定する。
ロ 対象事業から国際会議等への外国人の参加者の便宜となるサービスの提供に関する事業及び外国会社、国際機関等に勤務する者の子女等を対象とした外国語による教育に関する事業を除外する。
② 特別償却率を、機械装置及び器具備品については45%(現行:50%)に、建物等及び構築物については23%(現行:25%)に、それぞれ引き下げる。
③ 税額控除率を、機械装置及び器具備品については14%(現行:15%)に、建物等及び構築物については7%(現行:8%)に、それぞれ引き下げる。
(3)国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の①の見直しを行うとともに、その適用期限を2年延長した上、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等(平成31年3月31日以前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に記載されたものを除く。)につき、次の②及び③の見直しを行う。
① 関係法令の改正を前提に、対象事業から国際海上輸送網の拠点となる港湾等の整備等に関する事業及び国際的な事業機会の創出等に係る国際的な規模の事業活動の促進に資する事業を除外する。
② 特別償却率を、機械装置及び器具備品については34%(現行:40%)に、建物等及び構築物については17%(現行:20%)に、それぞれ引き下げる。
③ 税額控除率を、機械装置及び器具備品については10%(現行:12%)に、建物等及び構築物については5%(現行:6%)に、それぞれ引き下げる。
(4)特定の地域において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)のうち同意雇用開発促進地域に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(5)特定地域における電気通信設備の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
(6)障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度について、基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が50%以上であることとの要件における重度障害者割合を55%以上に引き上げた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(7)次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の次世代育成支援対策資産の割増償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(8)海外投資等損失準備金制度について、資源開発事業法人及び資源開発投資法人に係る準備金積立率を20%(現行:30%)に、資源探鉱事業法人及び資源探鉱投資法人に係る準備金積立率を50%(現行:70%)に、それぞれ引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
(9)特定災害防止準備金制度について、準備金の一括取崩し事由に、特定廃棄物最終処分場に係る設置の許可が取り消された場合及び特定廃棄物最終処分場の廃止の確認を受けた場合を加えた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(10)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、次の見直しを行った上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する(次の①の見直しを除き、所得税についても同様とする。)。
① 対象法人から特定農業法人である農地所有適格法人(認定農地所有適格法人を除く。)を除外する。
② 対象となる交付金等から経営所得安定対策交付金を除外する。
③ 準備金の取崩し事由に次の場合を加えるとともに、その取崩し金額は次の場合に応じた次の金額とする。
イ 認定計画の定めるところにより、農用地等(農用地並びに農業用の機械装置、器具備品、建物等、構築物及びソフトウエアをいう。)の取得等をした場合 その農用地等の取得価額相当額
ロ 農用地等(農用地並びに農業用の機械装置、建物等及び構築物に限る。)の取得等をした場合(上記イの場合を除く。) その農用地等の取得価額相当額
  なお、その取崩しによる益金算入額のうち上記ロの金額は、農用地等を取得した場合の課税の特例の圧縮限度額の計算の基礎となる農業経営基盤強化準備金の金額の益金算入額の対象としない。
(地方税)
〔新設〕
 電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、卸電力取引市場において売却した電気を自ら購入する場合において当該電気の料金として支払うべき金額に相当する金額を追加する課税標準の特例措置を3年間に限り講ずる。
〔拡充等〕
 原子力発電施設解体準備金制度等について、関係法令の改正を前提に、準備金の積立期間を原則40年(現行:50年)とする等、所要の措置を講ずる。
〔廃止・縮減等〕
(1)国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却制度等について、次の①の見直しを行うとともに、その適用期限を2年延長した上、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等(平成31年3月31日以前に受けた確認に係る事業実施計画に記載されたものを除く。)につき、次の②の見直しを行う。
① 国家戦略特別区域法等の改正を前提に、対象事業について、次の見直しを行う。
イ 指定金融機関から事業を行うのに必要な資金の貸付けを受けて行われる事業について、事業を行うのに必要な資金の貸付けについて政府による利子補給金の支給を受ける指定金融機関からその利子補給契約に係る貸付けを受けて行われるものに限定する。
ロ 対象事業から国際会議等への外国人の参加者の便宜となるサービスの提供に関する事業及び外国会社、国際機関等に勤務する者の子女等を対象とした外国語による教育に関する事業を除外する。
② 特別償却率を、機械装置及び器具備品については45%(現行:50%)に、建物等及び構築物については23%(現行:25%)に、それぞれ引き下げる。
(2)国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却制度について、次の①の見直しを行うとともに、その適用期限を2年延長した上、平成31年4月1日から平成32年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等(平成31年3月31日以前に受けた指定に係る指定法人事業実施計画に記載されたものを除く。)につき、次の②の見直しを行う。
① 関係法令の改正を前提に、対象事業から国際海上輸送網の拠点となる港湾等の整備等に関する事業及び国際的な事業機会の創出等に係る国際的な規模の事業活動の促進に資する事業を除外する。
② 特別償却率を、機械装置及び器具備品については34%(現行:40%)に、建物等及び構築物については17%(現行:20%)に、それぞれ引き下げる。
(3)中小企業者等の特定の地域において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)のうち同意雇用開発促進地域に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
6 その他
(国 税)
(1)法人税における収益の認識等について、次の措置を講ずる。
① 資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下「資産の販売等」という。)に係る収益の額として所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、原則として、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とすることを法令上明確化する。この場合において、引渡しの時における価額又は通常得べき対価の額は、貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合の価額とする。
(注)資産の販売等に係る収益の額を実質的な取引の単位に区分して計上できることとするとともに、値引き及び割戻しについて、客観的に見積もられた金額を収益の額から控除することができることとする。
② 資産の販売等に係る収益の額は、原則として目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入することを法令上明確化する。
③ 資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って上記②の日に近接する日の属する事業年度の収益の額として経理した場合には、上記②にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、原則として当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入することを法令上明確化する。
④ 返品調整引当金制度は、廃止する。なお、平成30年4月1日において返品調整引当金制度の対象事業を営む法人について、平成33年3月31日までに開始する各事業年度については現行どおりの損金算入限度額による引当てを認めるとともに、平成33年4月1日から平成42年3月31日までの間に開始する各事業年度については現行法による損金算入限度額に対して1年ごとに10分の1ずつ縮小した額の引当てを認める等の経過措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
⑤ 長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額及び費用の額を計算する選択制度は、廃止する。なお、平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について、平成35年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額及び費用の額を計算することができることとするとともに、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上する等の経過措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
(注)ファイナンス・リース取引並びに関西国際空港及び大阪国際空港に係る公共施設等運営権の設定の対価については、現行どおりとする。
⑥ その他所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
(2)独立行政法人日本学生支援機構に対して支出された寄附金で、学資の支給に充てられるものを、指定寄附金とする(所得税についても同様とする。)。
(3)特定公益増進法人の範囲について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 地方独立行政法人法の改正に伴い、申請等関係事務を市町村又は市町村の長その他の執行機関の名において処理する業務を行う地方独立行政法人を加える。
② 地方独立行政法人法施行令の改正等を前提に、介護医療院の設置及び管理の業務を行う地方独立行政法人を加える。
(4)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で超高圧水素インフラ本格普及技術研究開発事業(仮称)等に係るものを加える(所得税についても同様とする。)。
(5)繰延ヘッジ処理又は時価ヘッジ処理における特別な有効性判定方法等について、承認申請書の提出期限をその適用を受けようとする最初の事業年度の申告期限の3月前の日とした上、その承認申請書に記載された適用を受けようとする最初の事業年度から(現行:承認を受けた日の属する事業年度の翌事業年度から)適用できることとする。
(注)これに伴い、承認申請書の記載事項につき所要の見直しを行う。
(6)関係法令等の改正により社会医療法人制度における次の認定要件の見直しが行われることを前提に、その見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。
① 社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に一定の予防接種に係る収入金額及び介護保険法の規定に基づく保険給付に係る収入金額を加える。
② 精神疾患及び小児疾患における時間外等診療件数に係る要件について、実績件数(現行:時間外等加算の算定件数)で判定することとする。
③ 本来業務に係る費用の額が全費用の額の100分の60を超えることとの要件を加える。
(地方税)
(1)ガス供給業を行う法人の事業税について、次の見直しを行う。
① ガス供給業のうち、旧一般ガスみなしガス小売事業者(旧供給区域等について経済産業大臣の指定を受けた事業者に限る。)以外の事業者であって、ガス製造事業者以外の事業者である法人が行うもののうち、自らが維持し、及び運用する液化ガス貯蔵設備等を用いてガスを製造する事業並びにガス小売事業に係る事業税について、資本金の額又は出資金の額1億円超の普通法人にあっては付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって、それ以外の法人にあっては所得割額によって、それぞれ課することとする。
② その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用するとともに、所要の経過措置を講ずる。
(2)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

四 消費課税
1 観光立国・地方創生の実現
(1)国際観光旅客税(仮称)の創設
① 納税義務者
  国際観光旅客等(出入国管理及び難民認定法による出国の確認を受けて本邦から出国する観光旅客その他の者等をいい、船舶又は航空機の乗員等を除く。以下同じ。)は、国際観光旅客税(仮称)を納める義務がある。
② 課税の対象
  国際船舶等(本邦と外国との間で観光旅客その他の者の運送の用に供される船舶又は航空機(公用船及び公用機を除く。)をいう。以下同じ。)による本邦からの出国には、国際観光旅客税(仮称)を課する。
③ 非課税
  次に掲げる国際観光旅客等の出国には、国際観光旅客税(仮称)を課さない。
イ 航空機により入国後24時間以内に出国する乗継旅客
ロ 天候その他の理由により本邦に寄港した国際船舶等に乗船等していた者
ハ 2歳未満の者
(注)本邦に派遣された外交官等の一定の出国については、関係法令の改正により、国際観光旅客税(仮称)を課さないこととする。
④ 納税地
  国際観光旅客税(仮称)の納税地は、国内運送事業者(国内に住所等を有する国際運送事業(国際船舶等を使用して有償で旅客を運送する事業をいう。以下同じ。)を営む者をいう。以下同じ。)の特別徴収による場合は、原則としてその住所等の所在地とし、国外運送事業者(国内運送事業者以外の国際運送事業を営む者をいう。以下同じ。)の特別徴収及び国際観光旅客等の納付による場合は、原則として出国する港の所在地とする。
⑤ 税率
  国際観光旅客税(仮称)の税率は、出国1回につき1,000円とする。
⑥ 納付等
イ 国際運送事業を営む者による特別徴収等
  国際運送事業を営む者は、国際観光旅客等が国際船舶等に乗船等する時までに国際観光旅客税(仮称)を当該国際観光旅客等から徴収し、翌々月末日までに国に納付するとともに、納付すべき税額に係る計算書を、国内運送事業者にあっては納税地を所轄する税務署長に、国外運送事業者にあっては納税地を所轄する税関長に提出しなければならない。国際運送事業を営む者が納付すべき国際観光旅客税(仮称)を納付しなかったときは、税務署長又は税関長はその国際観光旅客税(仮称)を当該国際運送事業を営む者から徴収する。
ロ 国際観光旅客等による納付
  上記イの適用がない場合、国際観光旅客等は国際船舶等に乗船等する時までに国際観光旅客税(仮称)を国に納付しなければならない。国際観光旅客等が納付すべき国際観光旅客税(仮称)を納付しなかったときは、税関長はその国際観光旅客税(仮称)を当該国際観光旅客等から徴収する。
⑦ 国際運送事業の開廃等の届出及び記帳義務
イ 国際運送事業を開始しようとする者は、その旨を納税地を所轄する税務署長又は税関長に届け出なければならない。事業を廃止等する場合も同様とする。
ロ 国際運送事業を営む者は、その国際運送事業に係る国際観光旅客等の出国に関する事実を帳簿に記載しなければならない。
⑧ 適用時期
  国際観光旅客税(仮称)は、平成31年1月7日以後の出国に適用する。
(注)平成31年1月7日前に締結された運送契約による国際運送事業に係る出国(運送契約等により運賃の領収とは別に国際観光旅客税(仮称)を徴収することとされている場合等を除く。)には適用しない。
⑨ その他
イ 現に国際運送事業を営んでいる者の国際運送事業の開始の届出に係る措置等の所要の経過措置を講ずる。
ロ 国際観光旅客税(仮称)に係る質問検査等に関する規定を整備するとともに、国際観光旅客税(仮称)を税理士業務の対象外税目とする等、所要の関係法令の整備を行う。
ハ その他所要の措置を講ずる。
(2)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しを行う。
① 免税販売手続の電子化
イ 免税販売手続については、輸出物品販売場を経営する事業者が、外国人旅行者から旅券等の提示を受け、その購入の事実及び氏名その他の旅券等に記載された情報に係る電磁的記録を、電子情報処理組織を使用して、遅滞なく国税庁長官に提供する方法とする。ただし、国税庁長官に提供した電磁的記録(紙で出力したものを含む。)を当該事業者が保存しない場合には、その販売について、外国人旅行者向け消費税免税制度は適用しない。
(注1)手続委託型輸出物品販売場については、当該手続委託型輸出物品販売場に係る承認免税手続事業者が上記イの電磁的記録を提供することとする。この場合において、当該承認免税手続事業者は当該電磁的記録(紙で出力したものを含む。)を当該手続委託型輸出物品販売場を経営する事業者に対し提供又は交付するものとする。
(注2)上記の免税販売手続の電子化に伴い、輸出物品販売場を識別するための措置等を講ずる。
ロ 輸出物品販売場を経営する事業者は、外国人旅行者に対して、免税購入した物品を輸出しなければならないこと等を説明しなければならないこととする。
ハ 輸出物品販売場において免税購入した外国人旅行者は、その出国の際、税関長にその所持する旅券等を提示しなければならないこととする。
ニ 免税販売手続の電子化に伴い、免税購入された物品等に関する税関職員による調査に係る質問検査権の規定の整備その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の免税販売手続の電子化に伴い、輸出物品販売場における現行の次の手続等は廃止する。
イ 外国人旅行者がその所持する旅券等に購入記録票の貼付けを受け、当該旅券等との間に割印を受ける手続
ロ 外国人旅行者による輸出物品販売場を経営する事業者に対する購入者誓約書及び旅券等の写しの提出並びに当該事業者による当該購入者誓約書及び旅券等の写しの保存義務
ハ 外国人旅行者による税関長への購入記録票の提出義務
(注2)基地内輸出物品販売場については、上記の免税販売手続の電子化の対象としない。
(注3)上記の改正は、平成32年4月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。
(注4)平成32年4月1日から平成33年9月30日までの間については、現行の免税販売手続を引き続き適用できることとするとともに、所要の経過措置を講ずる。
(注5)上記の改正に伴い、輸出酒類販売場における酒税の免税販売手続について、所要の措置を講ずる。
② 免税販売の対象となる下限額の判定の見直し
イ 一般物品について、国土交通大臣及び経済産業大臣が財務大臣と協議して定める方法により包装等を行う場合には、当該一般物品と消耗品の販売金額を合計して、免税販売の対象となる下限額を判定できることとする。
ロ 上記イの対象となる一般物品については、消耗品として免税販売手続を行うこととするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成30年7月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。
2 たばこ税の見直し
(国税・地方税)
(1)たばこ税率の引上げ
① 国及び地方のたばこ税の税率を、次のように引き上げる。

 

現 行

改正案

国のたばこ税

1,000本につき

5,302円

6,802円

地方のたばこ税

道府県たばこ税

市町村たばこ税

1,000本につき

1,000本につき

1,000本につき

6,122円

860円

5,262円

7,622円

1,070円

6,552円

合  計

1,000本につき

11,424円

14,424円

(注)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係るたばこ税の税率を、1,000本につき、14,424円(現行:11,424円)に引き上げる。
② 上記①の改正は、平成30年10月1日から実施するが、激変緩和等の観点や予見可能性への配慮から、税率改正の実施時期について次のとおり経過措置を講ずる。
イ 第一段階 平成30年10月1日
ロ 第二段階 平成32年10月1日
ハ 第三段階 平成33年10月1日
③ 上記②による税率改正の実施時期における具体的な税率は、1,000本につき、次のとおりとする。

 

現 行

改正案

第一段階

第二段階

第三段階

国のたばこ税

5,302円

5,802円

6,302円

6,802円

地方のたばこ税

道府県たばこ税

市町村たばこ税

6,122円

860円

5,262円

6,622円

930円

5,692円

7,122円

1,000円

6,122円

7,622円

1,070円

6,552円

合  計

11,424円

12,424円

13,424円

14,424円

(注)上記のほか、特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係るたばこ税の税率を、1,000本につき、第一段階で12,424円(現行:11,424円)に、第二段階で13,424円に、第三段階で14,424円に引き上げる。
④ 平成27年度税制改正において講じた旧3級品の製造たばこに係る国及び地方のたばこ税並びにたばこ特別税の税率の経過措置について、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間の税率は、同年9月30日まで適用する。
(注)上記の「旧3級品」とは、専売納付金制度下において3級品とされていた紙巻たばこをいう。
⑤ 手持品課税を実施する。
⑥ その他所要の措置を講ずる。
(2)加熱式たばこの課税方式の見直し
① 課税区分の新設
  たばこ税法及び地方税法上の喫煙用の製造たばこの区分として、「加熱式たばこ」の区分を設ける。
② みなし製造たばこの整備
  加熱式たばこの喫煙用具であって、加熱により蒸気となるグリセリンその他の物品又はこれらの混合物が充?されたもの(一定の者が製造したものを除く。)は、製造たばことみなしてたばこ税法及び地方税法の規定を適用し、この場合の製造たばこの区分は加熱式たばことする。
③ 紙巻たばこの本数への換算方法の見直し
  加熱式たばこの課税標準は、次のイ及びロによって換算した紙巻たばこの本数の合計本数とする。
イ 加熱式たばこの重量に基づく換算方法に用いる重量は、フィルターその他の一定の物品の重量を含まない重量とし、当該重量0.4gをもって紙巻たばこの0.5本に換算する。
ロ 加熱式たばこの小売定価に基づく換算方法を導入し、紙巻たばこ1本当たりの平均小売価格をもって、加熱式たばこの小売価格を紙巻たばこの0.5本に換算する。
(注1)上記の「小売定価」とは、たばこ事業法第33条の規定により、財務大臣の認可を受けた製造たばこの価格をいう。なお、小売定価のない加熱式たばこについては、一定の方法により算出した金額によることとする。
(注2)上記の「加熱式たばこの小売価格」は、小売定価から消費税及び地方消費税に相当する金額を除いた金額とする。
(注3)上記の「紙巻たばこ1本当たりの平均小売価格」とは、紙巻たばこ1本当たりの国及び地方のたばこ税並びにたばこ特別税に相当する金額の合計額を100分の60で除して計算した金額とする。
④ 上記①から③までの改正は、平成30年10月1日から実施するが、上記③の改正は、激変緩和等の観点から、その実施時期について次のとおり経過措置を講ずる。
イ 第一段階 平成30年10月1日
ロ 第二段階 平成31年10月1日
ハ 第三段階 平成32年10月1日
ニ 第四段階 平成33年10月1日
ホ 第五段階 平成34年10月1日
⑤ 上記③の改正に係る上記④の実施時期における加熱式たばこの具体的な課税標準は、次のとおり、現行の換算方法により計算した紙巻たばこの本数(⑤において「現行の換算本数」という。)及び改正後の換算方法により計算した紙巻たばこの本数(⑤において「新換算本数」という。)のそれぞれに一定の率を乗じて計算した本数の合計本数とする。

 

現行の換算方法

改正後の換算方法

現 行

現行の換算本数×1.0

改 正 案

第一段階

現行の換算本数×0.8

新換算本数×0.2

第二段階

現行の換算本数×0.6

新換算本数×0.4

第三段階

現行の換算本数×0.4

新換算本数×0.6

第四段階

現行の換算本数×0.2

新換算本数×0.8

第五段階

新換算本数×1.0

⑥ その他所要の措置を講ずる。
3 地方消費税の清算基準の抜本的な見直し
 地方消費税の清算基準について、次の見直しを行う。
(1)消費に相当する額のうち、小売年間販売額について、現行の額から、商業統計の「医療用医薬品小売」、「自動販売機による販売」、「百貨店」、「衣料品専門店」、「家電大型専門店」及び「衣料品中心店」による「年間商品販売額」の欄の額を除外する。ただし、「百貨店」、「衣料品専門店」、「家電大型専門店」及び「衣料品中心店」については、「通信・カタログ販売」、「インターネット販売」及び「自動販売機による販売」によるものを除く。
(2)消費に相当する額のうち、サービス業対個人事業収入額について、現行の額から、経済センサス活動調査の「建物売買業、土地売買業」(「土地売買業」を除く。)、「不動産賃貸業(貸家業、貸間業を除く)」(「土地賃貸業」を除く。)、「不動産管理業」、「火葬・墓地管理業」、「娯楽に附帯するサービス業」、「社会通信教育」及び「医療、福祉」(「社会保険事業団体」を除く。)の欄の額を除外する。
(3)消費に相当する額に対して、小売年間販売額及びサービス業対個人事業収入額が占めるウェイトを75%から50%に、人口が占めるウェイトを17.5%から50%に、それぞれ変更する。
(注)上記の改正は、平成30年4月1日以後に行われる地方消費税の清算について適用する。
4 税務手続の電子化等の推進
(国 税)
(1)申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設
① 大法人の消費税の確定申告書、中間申告書、修正申告書及び還付申告書の提出については、これらの申告書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供しなければならないこととする。
(注)上記の「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金等の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人、特定目的会社、国及び地方公共団体をいう。
② 上記①の大法人の上記①の申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととする。
③ 上記①の大法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の承認を受けて、上記①の申告書及び上記②の添付書類を書面により提出できることとする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。
(2)地方税法の改正を前提に、地方税共同機構(仮称)を消費税法別表第三法人とする。
(3)適格簡易請求書の交付について、書面による交付に代えて当該適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録を提供できることとする。
(注)上記の改正は、平成35年10月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用する。
(4)その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
 消費税の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設に伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。
5 租税特別措置等
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)清酒等に係る酒税の税率の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を5年延長する。
① 果実酒(その他の発泡性酒類に該当するものを除く。)の軽減割合について、平成32年10月1日以後は、その前年度の課税移出数量が1,000㎘以下の場合にあっては90分の26(現行:100分の20)、1,000㎘を超え1,300㎘以下の場合にあっては100分の20(現行:100分の10)とする。
② 清酒等の製造者のうち、その前年度の酒類の総課税移出数量が10,000㎘を超える酒類製造者を適用対象から除外する。
(2)ビールに係る酒税の税率の特例措置について、ビールの製造者のうち、その前年度の酒類の総課税移出数量が10,000㎘を超える酒類製造者を適用対象から除外した上、その適用期限を3年延長する。
(3)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置について、特例税率を1,000本につき12,000円(現行:11,000円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長する。
(注)上記の改正のうち、税率引上げについては、平成30年10月1日から実施する。
(4)バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(5)公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を平成33年3月31日まで延長する。
(6)車両安定性制御装置等を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
① 車両総重量が12t以下のバス等(専ら人の運送の用に供する自動車で乗車定員10人以上のもの(立席を有するものを除く。)をいう。①及び③から⑤までにおいて同じ。)及び車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラック(トラクタ及びトレーラーを除く。①から⑤までにおいて同じ。)のうち、車両安定性制御装置(横滑り及び転覆に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②、③及び⑤において同じ。)、衝突被害軽減制動制御装置(衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。①から③まで及び⑤において同じ。)又は車線逸脱警報装置(車線からの逸脱に対する安全性の向上を図るための装置をいう。①、④及び⑤において同じ。)のうちいずれか2以上の装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置)を装備したものについて、平成30年5月1日から平成31年10月31日(車両総重量が8tを超え20t以下のトラックにあっては平成30年10月31日)までに新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を75%軽減する。
② 車両総重量が20tを超え22t以下のトラックのうち、車両安定性制御装置及び衝突被害軽減制動制御装置を装備したものについて、平成30年5月1日から平成30年10月31日までに新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を50%軽減する。
③ 車両総重量が12t以下のバス等及び車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラックのうち、車両安定性制御装置又は衝突被害軽減制動制御装置のいずれか一方の装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては衝突被害軽減制動制御装置)を装備したもの(①に該当するものを除く。)について、平成30年5月1日から平成31年10月31日(車両総重量が8tを超え20t以下のトラックにあっては平成30年10月31日)までに新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を50%軽減する。
④ バス等及び車両総重量が3.5tを超え22t以下のトラックのうち、車線逸脱警報装置を装備したもの(①又は②に該当するものを除く。)について、平成30年5月1日から平成31年10月31日(車両総重量が8tを超え20t以下のトラックにあっては平成30年10月31日、車両総重量が20tを超え22t以下のトラックにあっては平成32年10月31日)までに新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を25%軽減する。
⑤ 車両総重量が12t以下のバス等及び車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラックのうち、車両安定性制御装置、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置)を装備したものについて、平成31年11月1日(車両総重量が8tを超え20t以下のトラックにあっては平成30年11月1日)から平成33年4月30日までに新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税を50%軽減する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈自動車取得税〉
(1)次に掲げる自動車で車線逸脱警報装置(車線からの逸脱に対する安全性の向上を図るための装置をいう。(2)において同じ。)を装備したものに係る自動車取得税について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成30年4月1日から平成31年3月31日(車両総重量が8tを超え20t以下のトラック(トラクタ及びトレーラーを除く。②及び(2)において同じ。)にあっては、平成30年10月31日)までの間に行われたときに限り、その取得価額から175万円を控除する。
① 車両総重量が12t以下のバス等(専ら人の運送の用に供する自動車で乗車定員10人以上のもの(立席を有するものを除く。)をいう。(2)において同じ。)
② 車両総重量が3.5tを超え22t以下のトラック
(2)車両安定性制御装置及び衝突被害軽減制動制御装置を装備した自動車に係る自動車取得税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行う。
① 次に掲げる自動車で車両安定性制御装置(横滑り及び転覆に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②において同じ。)、衝突被害軽減制動制御装置(衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②において同じ。)及び車線逸脱警報装置を装備したものに係る自動車取得税について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成30年4月1日から平成31年3月31日(車両総重量が8tを超え20t以下のトラックにあっては、平成30年10月31日)までの間に行われたときに限り、その取得価額から525万円を控除する。
イ 車両総重量が5tを超え12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラック
② 次に掲げる自動車で車両安定性制御装置、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置を装備したものに係る自動車取得税について、当該自動車(新車に限る。)の取得がイに掲げるトラックにあっては平成30年11月1日から平成31年3月31日までの間に行われたときに限り、ロに掲げるトラックにあっては平成30年4月1日から平成30年10月31日までの間に行われたときに限り、その取得価額から350万円を控除する。
イ 車両総重量が8tを超え20t以下のトラック
ロ 車両総重量が20tを超え22t以下のトラック
(注)車両安定性制御装置及び衝突被害軽減制動制御装置を装備した上記(2)①並びに②ロに掲げる自動車については、引き続き現行の措置を適用する。
(3)自動車取得税の免税点の特例措置の適用期限を1年6月延長する。
〈軽油引取税〉
(4)船舶の使用者が当該船舶の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(5)自衛隊が通信の用に供する機械等の電源又は動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(6)鉄道事業又は軌道事業を営む者等が鉄道用車両、軌道用車両等(日本貨物鉄道株式会社にあっては、駅の構内等において専らコンテナ貨物の積卸しの用に供するフォークリフト等の機械を含む。)の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(7)農業又は林業を営む者等が動力耕うん機等の機械の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(8)セメント製品製造業を営む者が事業場内において専らセメント製品又はその原材料の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(9)生コンクリート製造業を営む者が事業場内において専ら骨材の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(10)鉱物(岩石及び砂利を含む。)の掘採事業を営む者が事業場内において専ら鉱物の掘採等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(11)とび・土工工事業を営む者が工事現場において専らくい打ち等のために使用する建設機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(12)鉱さいバラス製造業を営む者が事業場内において専ら鉱さいの破砕等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(13)港湾運送業を営む者が港湾において専ら港湾運送のために使用されるブルドーザー等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(14)倉庫業を営む者が倉庫において専ら当該倉庫業のために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(15)鉄道(軌道を含む。)に係る貨物利用運送事業又は鉄道貨物積卸業を営む者が駅の構内において専ら積込み事業等のために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(16)航空運送サービス業を営む者が空港等において専ら航空機への旅客の乗降等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(17)廃棄物処理事業を営む者が廃棄物の埋立地内において専ら廃棄物の処分のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(18)木材加工業を営む者が事業場内において専ら木材の積卸しのために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(19)木材市場業を営む者が事業場内において専ら木材の積卸しのために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(20)堆肥製造業を営む者が事業場内において、専ら堆肥の製造工程において使用する機械等の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(21)索道事業を営む者がスキー場において専ら当該スキー場の整備のために使用する積雪を圧縮するための特殊な構造を有する装置を備えた機械等の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(22)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律、重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律、武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律又は国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律に基づき行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(23)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、日豪物品役務相互提供協定又は日英物品役務相互提供協定に基づき豪軍又は英軍の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)電気供給業を営む者が汽力発電装置の助燃の用途又はガスタービン発電装置の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、ガスタービン発電装置の動力源の用途を対象から除外した上、その適用期限を3年延長する。
(2)地熱資源開発事業を営む者が地熱資源の開発のために使用する動力付試すい機の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置を廃止する。
6 その他
(国 税)
(1)輸入に係る消費税の脱税犯に係る罰金刑の上限について、脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍(現行:脱税額)に引き上げる。
(注)上記の改正は、法律の公布の日から起算して10日を経過した日以後にした違反行為について適用する。
(2)消費税における長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等について延払基準により資産の譲渡等の対価の額を計算する選択制度は、廃止する。なお、平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の譲渡等を行った事業者について、平成35年3月31日までに開始する各年又は各事業年度について現行の延払基準により資産の譲渡等の対価の額を計算することができることとするとともに、平成30年4月1日以後に終了する課税期間において延払基準の適用をやめた場合の賦払金の残金を10年均等で資産の譲渡等の対価の額とする等の経過措置を講ずる。
(注)ファイナンス・リース取引については、現行どおりとするとともに、その他所要の措置を講ずる。
(3)券面のない有価証券等の譲渡に係る消費税の内外判定について、次のとおりとし、その他所要の措置を講ずる。
① 振替機関又はこれに類する外国の機関(以下「振替機関等」という。)が取り扱う券面のない有価証券等については、振替機関等の所在地で判定する。
(注)上記①の有価証券等には、券面の発行された有価証券のうち振替機関等が取り扱うものを含むこととする。
② ①以外の券面のない有価証券等については、当該有価証券等に係る法人の本店、主たる事務所その他これらに準ずるものの所在地で判定する。
(4)消費税の簡易課税制度について、農林水産業のうち消費税の軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業を第2種事業とし、そのみなし仕入率を80%(現行:70%)とする。
(注)上記の改正は、平成31年10月1日を含む課税期間から適用する。ただし、同日前における食用の農林水産物を生産する事業については、適用しない。
(5)介護医療院を創設する地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律による改正後の介護保険法の規定に基づく施設サービスについて、引き続き消費税を非課税とする。
(6)関係法令等の改正を前提に、改正後の社会医療法人について、引き続き消費税法別表第三法人とする。
(7)生活困窮者自立支援法施行規則の改正を前提に、改正後の認定生活困窮者就労訓練事業のうち生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等について、引き続き消費税が非課税とされる社会福祉事業等の範囲から除外する。
(8)酒類等の製造業又は販売業を相続しようとする場合の相続申告の添付書類として提出できる書類の範囲に、戸籍抄本を複写したもの等の申告者と被相続人及び他の相続人との続柄を明らかにする書類を加える。
(9)被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を3年延長する。
(10)たばこ税、揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税における未納税移出又は移出に係る特定用途免税等の特例の適用に当たって必要となる移入証明書及び移入届出書の税務署長への提出について、継続的な移出入がある場合において税務署長の承認を受けた場合には、これらの書類の提出を不要とする等、未納税制度に係る手続の簡素化を図る。
(地方税)
 輸入に係る消費税の脱税犯に係る罰金刑の上限の引上げに伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、法律の公布の日から起算して10日を経過した日以後にした違反行為について適用する。

五 国際課税
1 恒久的施設関連規定の見直し
(国 税)
 恒久的施設(Permanent Establishment)(以下1において「PE」という。)関連規定について、次の見直しを行う。
(1)PEの定義の見直し
① PE認定の人為的回避防止措置の導入
イ いわゆる代理人PEについて、その範囲に、国内において非居住者又は外国法人(以下(1)において「非居住者等」という。)のために、その事業に関し反復して契約を締結し、又は一定の契約の締結のために反復して主要な役割を果たす者で、これらの契約が非居住者等の資産の所有権の移転等に関する契約である場合における当該者を加えるとともに、独立代理人の範囲から、専ら又は主として一又は二以上の自己と密接に関連する者に代わって行動する者を除外する。
(注)上記の「密接に関連する者」とは、その個人又は法人との間に直接・間接の持分割合50%超の関係その他の支配・被支配の関係にある者をいう。
ロ 保管、展示、引渡しその他の特定の活動を行うことのみを目的として使用する事業を行う一定の場所等は、PEに含まれないものとする。ただし、その活動が非居住者等の事業の遂行にとって準備的又は補助的な機能を有するものである場合に限る。
(注)上記の取扱いは、事業を行う一定の場所を有する非居住者等と密接に関連する者が当該一定の場所等において事業活動を行う等の場合において、当該一定の場所等がその者のPEを構成する等の一定の要件に該当するとき(当該事業活動が一体的な業務の一部として補完的な機能を果たすときに限る。)は、当該一定の場所については、適用しない。
ハ いわゆる建設PEの期間要件について、契約を分割して建設工事等の期間を1年以下とすることにより建設PEを構成しないことがその契約の分割の主たる目的の一つであった場合には、分割された期間を合計して判定を行うこととする。
② 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備
イ わが国が締結した租税条約において、国内法上のPEと異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者等については、その租税条約上のPEを国内法上のPEとする。外国居住者等所得相互免除法についても同様とする。
ロ いわゆる支店PEについて、その範囲を国内にある支店、事務所等その他事業を行う一定の場所に改める。
ハ 建設PEについて、建設PEを構成する場所を、国内にある建設工事を行う場所等に限定する。
ニ 代理人PEについて、在庫保有代理人及び注文取得代理人の定義に関する規定を削除するとともに、同業者代理人に関する措置を廃止する等の措置を講ずる。
(2)その他
① 外国組合員に対する課税の特例について、PE帰属所得(投資組合契約に基づいて行う事業に係るPEに帰せられる一定のものに限る。)に対する所得税及び法人税を非課税とする措置に改組する。
② その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年分以後の所得税及び平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。
(地方税)
 個人住民税、法人住民税及び事業税について、恒久的施設(Permanent Establishment)関連規定の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年度分以後の個人住民税並びに平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人住民税及び事業税について適用する。
2 外国子会社合算税制等の見直し
(国 税)
 内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について、次の見直しを行う。
(1)経済活動基準
  株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち外国金融子会社等に相当する金融持株会社について、事業基準を満たすこととする。
(2)会社単位の合算課税制度における適用対象金額
① 一定の株式譲渡益の適用対象金額からの控除
  特定外国関係会社又は対象外国関係会社(注1)(以下①において「特定外国関係会社等」という。)が、外国関係会社に該当することとなった外国法人の統合に関する基本方針及び統合に伴う組織再編の実施方法等を記載した計画書に基づいて、一定の期間内(注2・3)に、その有する対象株式等(注4)を当該特定外国関係会社等に係る内国法人又は他の外国関係会社(特定外国関係会社等に該当するものを除く。)に譲渡をした場合において、その譲渡の日から2年以内に当該譲渡をした特定外国関係会社等の解散が見込まれること等の要件を満たすときは、その対象株式等の譲渡による利益の額(注5)を、当該譲渡をした特定外国関係会社等の適用対象金額の計算上控除することとする。
(注1)一定の内国法人が株主等である特定外国関係会社又は対象外国関係会社を除く。
(注2)居住者等株主等による当該特定外国関係会社等に係る直接・間接の株式保有割合等が50%を超えることとなった場合における当該超えることとなった日(以下①において「特定関係発生日」という。)から原則として当該特定関係発生日以後2年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度とする。
(注3)特定外国関係会社等の平成30年4月1日から平成32年3月31日までの間に開始する各事業年度については、特定関係発生日から当該特定関係発生日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度とする。
(注4)外国関係会社(特定外国関係会社等に該当するものを除く。)の株式等で特定関係発生日に有するものをいう。
(注5)対象株式等を発行した外国関係会社の合併、解散による残余財産の分配その他の事由に伴って特定外国関係会社等において生ずる対象株式等の譲渡による利益の額を除く。
② 無税国に所在する外国関係会社の租税負担割合
  無税国に所在する外国関係会社の租税負担割合は、その外国関係会社に係る各事業年度の租税の額の所得の金額(決算に基づく所得の金額につき、税法令がある国に所在する外国関係会社が計算する場合と同様の調整を加えて計算した額)に対する割合とする。この場合において、その外国関係会社が受ける配当等の額があるときは、その配当等の額はその所得の金額から減算することとし、その所得の金額がないとき又は欠損の金額となるときは、その外国関係会社に係る租税負担割合は零とする。
(3)部分合算課税制度における部分適用対象金額
① 関連者等に対する金銭の貸付けに係る利子
  部分合算課税の対象としないこととされる関連者等に対する金銭の貸付けに係る利子について、その関連者等の範囲から個人を除外する。
② 解散した外国金融子会社等に係る部分適用対象金額
  外国金融子会社等である部分対象外国関係会社が解散により外国金融子会社等に該当しない部分対象外国関係会社に該当することとなった場合には、その該当することとなった日から原則として同日以後3年を経過する日までの期間内の日を含む事業年度の一定の金融所得について、部分合算課税の対象としないこととする。
(4)外国金融子会社等に係る部分合算課税制度
① 外国金融子会社等に該当する保険子会社の要件
  英国ロイズ市場において、現地の法令に従って設立された保険引受子会社と管理運営子会社が一体となって保険業を営む場合には、これらを一体として外国金融子会社等の該当要件の判定を行うこととする。英国ロイズ市場以外で、保険委託者と保険受託者を別会社とした上で、現地の法令に従って、これらが一体となって保険業を営む場合も同様とする。
② 外国金融子会社等に該当する外国金融持株会社の要件
イ 一の内国法人による100%保有要件
  対象となる部分対象外国関係会社に関する「一の内国法人によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている部分対象外国関係会社である」旨の要件について、「一の内国法人及び当該一の内国法人との間に発行済株式等の全部を保有する等の関係のある内国法人によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている部分対象外国関係会社である」旨の要件に見直す。
ロ 外国金融機関等に対する経営管理要件及び経営管理業務従事要件
  その本店所在地国の法令に準拠して専ら外国金融機関(発行済株式等の50%超を有するものに限る。)及び他の外国金融持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。)の経営管理等を行う旨の要件(経営管理要件)並びにこれらの経営管理を的確に遂行するために必要と認められる業務の全てに従事している旨の要件(経営管理業務従事要件)について、その対象に一定の中間持株会社が発行済株式等の50%超を有する外国金融機関及び一定の中間持株会社が発行済株式等の50%超を有する他の外国金融持株会社を加える。
ハ 75%要件
  総資産の帳簿価額のうちに外国金融機関等の株式等の帳簿価額の占める割合が75%を超える旨の要件について、(イ)に掲げる金額の(ロ)に掲げる金額に対する割合が75%を超え、かつ、(ハ)に掲げる金額の(ニ)に掲げる金額に対する割合が50%を超える旨の要件に見直す。
(イ)その有する外国金融機関(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)、他の外国金融持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)、一定の中間持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)及び一定の従属関連業務子会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ハにおいて同じ。)の株式等の帳簿価額の合計額
(ロ)その総資産の額から外国金融機関、他の外国金融持株会社、一定の中間持株会社及び一定の従属関連業務子会社に対する貸付金の額を控除した残額
(ハ)その有する外国金融機関、他の外国金融持株会社及び一定の中間持株会社の株式等の帳簿価額の合計額
(ニ)総資産の額から外国金融機関、他の外国金融持株会社及び一定の中間持株会社に対する貸付金の額を控除した残額
ニ 一定の中間持株会社の範囲
  上記ロ及びハの「一定の中間持株会社」は、次に掲げる要件の全てに該当する特定外国関係会社又は対象外国関係会社とする。
(イ)その発行済株式等の50%超が外国金融持株会社の判定対象となる部分対象外国関係会社(以下ニにおいて「判定対象金融持株会社」という。)によって保有されていること。
(ロ)その本店所在地国が判定対象金融持株会社又はいずれかの外国金融機関(一定の中間持株会社に該当するかどうかの判定対象となる中間持株会社(以下ニにおいて「判定対象中間持株会社」という。)が発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ニにおいて同じ。)の本店所在地国と同一であること。
(ハ)判定対象中間持株会社におけるaに掲げる金額のbに掲げる金額に対する割合が75%を超えること。
a その有する外国金融機関、他の外国金融持株会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。以下ニにおいて同じ。)及び一定の従属関連業務子会社(発行済株式等の50%超を有するものに限る。bにおいて同じ。)の株式等の帳簿価額の合計額
b その総資産の額から外国金融機関、他の外国金融持株会社及び一定の従属関連業務子会社に対する貸付金の額を控除した残額
(ニ)判定対象中間持株会社におけるaに掲げる金額のbに掲げる金額に対する割合が50%を超えること。
a その有する外国金融機関及び他の外国金融持株会社の株式等の帳簿価額の合計額
b その総資産の額から外国金融機関及び他の外国金融持株会社に対する貸付金の額を控除した残額
(ホ)一又は二以上の外国金融機関の株式等を有すること。
ホ 一定の従属関連業務子会社の範囲
  上記ハ及びニの「一定の従属関連業務子会社」は、関連者の営む事業に従属する業務又は銀行業、第一種金融商品取引業若しくは保険業に付随し、若しくは関連する業務を行う外国関係会社のうち一定の要件を満たすものとする。
ヘ 外国金融機関に対する出資規制がある場合の外国金融持株会社の判定
  外国金融持株会社の判定における上記ロ及びハの要件並びに一定の中間持株会社の判定における上記ニ(ロ)から(ホ)までの要件の対象とされる発行済株式等の50%超を有する外国金融機関には、次に掲げる要件の全てに該当する外国法人が含まれることとする。
(イ)その本店所在地国の法令に準拠して銀行業、第一種金融商品取引業又は保険業を行う外国法人で、その本店所在地国においてその役員又は使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事している部分対象外国関係会社に相当すること。
(ロ)法令又は慣行その他やむを得ない理由により、その発行済株式等の50%超の保有が認められないこと。
(ハ)その議決権の40%以上を有し、かつ、次のいずれかの要件に該当すること。
a その財務及び事業の方針の決定を支配していることが推測される一定の事実が存在すること。
b その財務及び事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される一定の事実が存在すること。
ト 外国関係会社への該当
  上記ヘにより外国金融持株会社及び一定の中間持株会社の判定において発行済株式等の50%超を有する外国金融機関に含まれることとされる外国法人については、本税制の適用上、外国関係会社に該当することとする。
③ 異常な水準の資本に係る所得の課税
  対象となる部分対象外国関係会社に関する「一の内国法人によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている部分対象外国関係会社である」旨の要件について、上記②イと同様の見直しを行う。
(5)二重課税調整
  内国法人が合算課税の適用を受ける場合に、外国関係会社に対して課されたわが国の所得税等、地方法人税及び法人住民税(現行:所得税等)の額のうち合算対象とされた所得に対応する部分に相当する金額をその内国法人の法人税及び地方法人税(現行:法人税)の額から控除することとする。
(6)その他
  上記の見直しのほか、内国法人に係る外国子会社合算税制について所要の措置を講ずる。
(7)関連制度の整備
  居住者に係る外国子会社合算税制、特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記の見直しを踏まえた所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
(地方税)
 内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について、次の見直しを行う。
(1)二重課税調整
  内国法人が合算課税の適用を受ける場合に、外国関係会社に対して課されたわが国の所得税等、地方法人税及び法人住民税の額のうち合算対象とされた所得に対応する部分に相当する金額のうち、その内国法人の法人税及び地方法人税の額から控除しきれなかった金額を、法人住民税の額から控除することとする。
(2)その他
  上記の見直しのほか、個人住民税、法人住民税及び事業税について、外国子会社合算税制等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
3 特定目的会社の利益の配当等に係る二重課税調整の改正
(国 税)
(1)特定目的会社の利益の配当の額に係る所得税の額から控除する外国法人税(その特定目的会社が納付した外国法人税をいう。以下3において同じ。)の額は、当該利益の配当の額に係る所得税の額に当該特定目的会社の外貨建資産への運用割合を乗じた額を限度とする。
(2)特定目的会社の利益の配当の額に係る所得税の額から控除された外国法人税の額のうち、その支払を受ける者の利益の配当の額に対応する部分の額に相当する金額は、その者のその年分の所得税の額から控除できることとする(法人税についても同様とする。)。
(3)上記(2)の支払を受ける者がその支払を受ける特定目的会社の利益の配当の額に係る源泉徴収税額は、上記(2)により控除できる外国法人税の額に相当する金額の控除後の金額とする。
(4)特定目的会社は、その利益の配当の額の支払を受ける者に対し、上記(2)により控除できる外国法人税の額に相当する金額を通知しなければならないこととする。
(5)その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の改正は、投資法人の配当等に係る二重課税調整、特定目的信託の利益の分配に係る二重課税調整及び特定投資信託の収益の分配に係る二重課税調整についても同様とする。
(注2)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる利益の配当等について適用する。
4 その他
(国 税)
(1)BEPS防止措置実施条約等の実施に係る国内法の整備
① 非居住者又は外国法人に係る不動産関連法人の株式等譲渡益課税について、適用対象となる株式等の判定時期を、株式等の譲渡の日前365日以内のいずれかの時に見直す。
(注)上記の改正は、平成31年分以後の所得税及び平成30年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。
② 第三国に所在する恒久的施設に帰せられる所得に対して租税条約の特典が制限される場合に国税庁長官から当該特典を受けるための手続の整備を行う等の所要の措置を講ずる。
(2)租税条約等における提供済情報の外国当局による利用範囲の明確化及び要件・手続の整備
  租税条約等に基づき提供した情報に係る条約相手国による犯則事件等以外の目的での利用について、その範囲を明確化し、財務大臣の同意等を要件として許容することとする。
(3)店頭デリバティブ取引に係る証拠金の利子の非課税制度の適用期限を3年延長する。
(4)公的年金等控除の見直しに伴い、非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65歳以上の者については9万5千円(現行:10万円)に、それぞれ引き下げる。(再掲)
(注)上記の改正は、平成32年分以後の所得税について適用する。

六 納税環境整備
1 申告手続の電子化促進のための環境整備
(国 税)
(1)法人税等の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設(再掲)
① 大法人の法人税及び地方法人税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の提出については、これらの申告書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供しなければならないこととする。
(注)上記の「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社をいう。
② 上記①の大法人の上記①の申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、若しくは記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法又は当該事項を記録した光ディスク等を提出する方法により提供しなければならないこととする。
③ 上記①の大法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の承認を受けて、上記①の申告書及び上記②の添付書類を書面により提出できることとする。
(2)消費税の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設(再掲)
① 大法人の消費税の確定申告書、中間申告書、修正申告書及び還付申告書の提出については、これらの申告書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととする。
(注)上記の「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金等の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人、特定目的会社、国及び地方公共団体をいう。
② 上記①の大法人の上記①の申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととする。
③ 上記①の大法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の承認を受けて、上記①の申告書及び上記②の添付書類を書面により提出できることとする。
(注1)上記(1)の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度について、上記(2)の改正は、同日以後に開始する課税期間について、それぞれ適用する。
(注2)上記(1)③及び(2)③以外の理由により電子申告がなされない場合には無申告として取り扱うこととする。
  ただし、現在の運用上の取扱いを踏まえ、期限内に申告書の主要な部分が電子的に提出されていれば無申告加算税は課さない取扱いとする。申告書の主要な部分以外の書類の電子提出の確保策については、施行後の電子的な提出状況等を踏まえ、そのあり方を検討する。
(3)その他電子化促進のための環境整備
① 法人税の次の制度の適用を受ける場合に確定申告書等に添付することとされている第三者作成書類については、添付することに代えて保存することにより次の制度の適用を認めることとする。(再掲)
イ 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
ロ 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例
ハ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
ニ 収用換地等の場合の所得の5,000万円特別控除
ホ 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の2,000万円特別控除
ヘ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の1,500万円特別控除
② 電子情報処理組織による申請等と併せてスキャナ等により作成して電磁的記録(いわゆる「イメージデータ」)を送信する添付書面等について、一定の解像度及び階調の要件を付した上で、税務署長による当該添付書面等の提示等を求める措置を廃止することとする。
③ 法人(上記(1)①の大法人を除く。)の法人税及び地方法人税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を記録した光ディスク等を提出する方法により提供することができることとする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日から施行する。
④ 連結子法人の個別帰属額等の届出について、次の見直しを行う。(再掲)
イ 連結親法人が連結子法人の個別帰属額等を電子情報処理組織を使用する方法又は当該個別帰属額等を記録した光ディスク等を提出する方法により当該連結親法人の納税地の所轄税務署長に提供した場合には、連結子法人が当該個別帰属額等を記載した書類を当該連結子法人の本店等の所轄税務署長に提出したものとみなす。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に終了する連結事業年度について適用する。
ロ 更正の場合の個別帰属額等の異動の届出を不要とする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後の個別帰属額等の異動について適用する。
⑤ 次の書類について、連結子法人となる法人又は連結子法人による提出を不要とする。(再掲)
イ 連結納税の承認の申請書を提出した旨の届出書
ロ 完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類
ハ 連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に生じた事実について適用する。
⑥ 法人税、地方法人税及び復興特別法人税の申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止する。(再掲)
⑦ 電子情報処理組織により法人が行う申請等について、当該法人の代表者から委任を受けた者(当該法人の役員及び職員に限る。)の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書を送信する場合には、当該代表者の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
⑧ その他法人税及び地方法人税の申告手続について、別表(明細記載を要する部分に限る。)、財務諸表及び勘定科目内訳明細書に係るデータ形式の柔軟化、勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化等を図ることと合わせ、電子情報処理組織の送信容量の拡大など運用上の対応を行うこととするほか、所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)法人住民税及び法人事業税の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設(再掲)
① 大法人の法人住民税及び法人事業税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の提出については、これらの申告書に記載すべきものとされる事項を電子情報処理組織を使用する方法(eLTAX)により提供しなければならないこととする。
(注)上記の「大法人」とは、内国法人のうち事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人並びに相互会社、投資法人及び特定目的会社をいう。
② 上記①の大法人の上記①の申告書の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととする。
(注1)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(注2)電子申告がなされない場合には不申告として取り扱うこととする。
(備考)上記①の大法人の上記②の添付書類の提出方法の柔軟化及び電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合の宥恕措置について、国税における措置等を踏まえ、検討する。
(2)消費税の申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設に伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。(再掲)
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。
(3)その他電子化促進のための環境整備
① 外形標準課税対象法人又は収入金額課税法人が法人税の確定申告書又は中間申告書の提出を電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行い、かつ、これらの申告書に貸借対照表及び損益計算書の添付がある場合には、法人事業税の確定申告又は中間申告において、これらの書類の添付があったものとみなすこととする。(再掲)
(注)上記の改正は、平成32年4月1日から施行する。
② 法人事業税、地方法人特別税及び鉱産税の申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度を廃止する。
③ 電子情報処理組織(eLTAX)により法人が行う申請等について、当該法人の代表者から委任を受けた者(当該法人の役員及び職員に限る。)の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書を送信する場合には、当該代表者の電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
④ その他所要の措置を講ずる。
(備考)法人(上記(1)①の大法人を除く。)の法人住民税及び法人事業税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書の添付書類の提出方法の柔軟化について、国税における措置等を踏まえ、検討する。
2 年末調整手続の電子化(再掲)
(国 税)
 生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る年末調整手続について、次の措置を講ずる。
(1)給与等の支払を受ける者で年末調整の際に生命保険料控除又は地震保険料控除の適用を受けようとするものは、給与所得者の保険料控除申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、控除証明書の書面による提出又は提示に代えて、当該控除証明書に記載すべき事項が記録された情報で当該控除証明書の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを、当該申告書に記載すべき事項と併せて電磁的方法により提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該控除証明書を提出し、又は提示したものとみなす。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書について適用する。
(2)給与等の支払を受ける者で年末調整の際に住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下「住宅ローン控除」という。)の適用を受けようとするものは、税務署長の承認を受けている給与等の支払者に対し、給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書(以下「住宅ローン控除申告書」という。)の書面による提出に代えて、当該住宅ローン控除申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該住宅ローン控除申告書を提出したものとみなす。
(注)上記の改正は、税務署長の承認を受けている給与等の支払をする者に対し、平成32年10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書について適用する。
(3)給与等の支払を受ける者で年末調整の際に住宅ローン控除の適用を受けようとするもの(居住年が平成31年以後である者に限る。)は、住宅ローン控除申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書(以下「住宅ローン控除証明書」という。)又は住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書(以下「年末残高証明書」という。)の書面による提出に代えて、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書に記載すべき事項が記録された情報で当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書の発行者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを、当該住宅ローン控除申告書に記載すべき事項と併せて電磁的方法により提供することができることとする。この場合において、当該給与等の支払を受ける者は、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書を提出したものとみなす。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書について適用する。
(4)上記(2)及び(3)の改正に伴い、年末残高証明書に記載すべき事項の電磁的方法による交付を可能とする等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に交付する年末残高証明書について適用する。
(5)住宅ローン控除の適用を受ける際に住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書の範囲に、当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書の発行者から電磁的方法により提供を受けた当該住宅ローン控除証明書又は年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電磁的記録を一定の方法により印刷した書面で、真正性を担保するための所要の措置が講じられているものとして国税庁長官が定めるものを加える。
(注)上記の改正は、平成32年10月1日以後に提出する住宅ローン控除申告書等について適用する。
(地方税)
 個人住民税について、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に係る年末調整手続の電子化に関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成33年度分以後の個人住民税について適用する。
3 共通電子納税システム(共同収納)の導入
 一定の地方税について、納税義務者等がeLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)の運営主体が運営する共通電子納税システムを利用して納付又は納入を行う場合、その収納の事務については、eLTAXの運営主体及び金融機関に行わせるものとし、これらの税は金融機関からeLTAXの運営主体を経由して地方公共団体に払い込まれるものとする。
(注1)対象税目は、平成31年10月1日時点においては、個人住民税(給与所得又は退職所得に係る特別徴収分)、法人住民税、法人事業税及び事業所税(これらの税と併せて納付又は納入することとされている税を含む。)とし、実務上対応が可能となった段階で順次、税目の拡大を措置する。
(注2)上記の改正は、平成31年10月1日から適用する。
4 eLTAXの安全かつ安定的な運営のための措置
 eLTAXの運営主体について、以下の措置を講ずる。
(1)総務大臣の監督権限
  総務大臣は、eLTAXの運営主体に対し、地方税法及び定款に違反するおそれがある場合の報告・立入検査及び違法行為等の是正の要求並びにeLTAXの運営主体による適正な事務の実施のための命令及び報告・立入検査等を行うことができることとする。
(2)安全確保措置
  eLTAXの運営主体の役職員に対する秘密保持義務、義務に違反した場合の罰則、役職員を刑法その他の罰則の適用について公務員とみなす規定等の所要の措置を講ずる。
(3)eLTAXの運営主体である一般社団法人地方税電子化協議会を、次のとおり、地方税法に設置根拠・組織運営が規定される法人(地方税共同機構(仮称))(以下「機構」という。)とする。
① 設立の手続
  都道府県知事、市長又は町村長の全国的連合組織(以下「地方三団体」という。)が選任する設立委員が、総務大臣の認可を得て、平成31年4月1日に機構を設立する。
  これに伴い、一般社団法人地方税電子化協議会を廃止し、その権利義務は機構が承継するものとする。
② 組織
イ 機構に、代表者会議を置き、地方三団体が選任する都道府県知事、市長又は町村長及び地方三団体が選任する学識経験者をもって組織し、議長は委員の互選とする。
ロ 定款の変更、業務方法書、予算及び事業計画等については、代表者会議の議決を経なければならないものとする。また、代表者会議は、機構の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、理事長に対し、機構の業務並びに資産及び債務の状況に関し報告させ、役職員の行為が地方税法、他の法令又は定款に違反するおそれがあると認めるときは、理事長に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを命ずることができるものとする。
ハ 機構に、役員として、理事長及び監事を置く。また、定款の定めにより、理事又は副理事長を置くことができるものとする。
ニ 理事長及び監事は、代表者会議が任命し、理事又は副理事長は、理事長が代表者会議の同意を得て任命するものとする。また、代表者会議又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が欠格事項のいずれかに該当するときは、その役員を解任しなければならないこととする。
ホ 機構の職員は、理事長が任命するものとする。
ヘ 機構は、共同収納、eLTAXの設置・管理等に関する事務(以下「税務情報等処理事務」という。)を行うほか、地方税に関する地方公共団体への支援等(調査研究・広報・職員向け研修等)を行うものとする。
ト 機構は、業務方法書を作成し、総務大臣に届け出るとともに、その業務方法書を公表するものとする。
チ 機構に、運営審議会を置き、委員は、学識経験者のうちから、代表者会議が任命することとし、理事長は、業務方法書、予算及び事業計画の作成又は変更等について、運営審議会の意見を聴くとともに、代表者会議の議決を求めるときは、その意見を報告しなければならないこととする。また、運営審議会は、機構の業務について、理事長の諮問に応じ、又は自ら建議を行い、当該建議のため必要と認めるときは、理事長に対し報告を求めることができることとし、理事長は、運営審議会が述べた意見を尊重しなければならないものとする。
リ 機構に、税務情報保護委員会を置き、委員は、学識経験者のうちから、理事長が任命することとし、税務情報の保護に関する事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める意見を理事長に述べることができることとする。
ヌ 機構の運営に要する費用は、地方公共団体が負担することとする。
③ その他
イ 税務情報等処理事務について機構の成立に伴う所要の規定を整備する。
ロ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、(3)①を除き、平成31年4月1日から適用する。
5 その他
(国 税)
(1)国税のコンビニ納付について、自宅等において納付に必要な情報(いわゆる「QRコード」)を出力することにより行うことができることとする。
(注)上記の改正は、平成31年1月4日以後に納付の委託を行う国税について適用する。
(2)国税の予納制度について、対象となる国税を概ね12月(現行:6月)以内において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる国税に拡充し、併せて、ダイレクト納付により行うことができることとする。
(注)上記の改正は、平成31年1月4日以後に納付手続を行う国税について適用する。
(3)電子情報処理組織を使用して行うことができる処分通知等について、その範囲に次の処分通知等を加えるほか所要の整備を行う。
① 更正の請求に係る減額更正等の通知
② 住宅ローン控除証明書の交付
③ 適格請求書発行事業者の登録に係る通知
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に行う処分通知等について適用する。
(4)参加差押えをした行政機関等は、参加差押えに係る不動産について、差押えをした行政機関等に換価の催告をしてもなお換価が行われない場合には、差押えをした行政機関等の同意を得ることを要件として、配当順位を変更することなく、換価の執行をする旨の決定(以下「換価執行決定」という。)をすることができることとする。また、先行する差押えが解除された場合において、参加差押えをした行政機関等が、第二順位であるときは原則として換価を続行することができることとし、第三順位以降であるときは換価執行決定を取り消すこととするほか所要の整備を行う。
(注)上記の改正は、平成31年1月1日以後の換価執行決定により行う換価について適用する。
(5)法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例等の適用がある場合における利子税について、申告した後に減額更正がされ、その後更に増額更正等があった場合には、増額更正等により納付すべき税額(その申告により納付すべき税額に達するまでの部分に限る。)のうち延長後の申告期限前に納付がされていた部分は、その納付がされていた期間を控除して計算することとする。
(注)上記の改正は、平成29年1月1日以後に法定納期限が到来した国税について適用する。
(6)税理士試験に係る受験手数料について、受験科目が1科目の場合は4,000円(現行:3,500円)に、受験科目が2科目以上の場合は1科目追加ごとに加算する額を1,500円(現行:1,000円)に引き上げることとする。
(7)各士業の資格等における成年被後見人等の欠格条項の見直しに係る所要の法令改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 税理士の欠格条項について、その範囲から成年被後見人等を除外するほか所要の整備を行う。
② 酒類販売管理者の欠格条項の範囲について、成年被後見人等を心身の故障により酒類販売管理者の業務を行うことができない者とする。
(8)税理士の登録申請書に添付が必要とされる戸籍抄本について、試験申込時から登録までの間に氏名等の変更がある申請者を除き、提出を要しないこととする。
(地方税)
(1)地方税に関する延滞金等について、私人への収納委託の対象とする。
(2)参加差押えをした行政機関等は、参加差押えに係る不動産について、差押えをした行政機関等に換価の催告をしてもなお換価が行われない場合には、差押えをした行政機関等の同意を得ることを要件として、配当順位を変更することなく、換価の執行をする旨の決定(以下「換価執行決定」という。)をすることができることとする。また、先行する差押えが解除された場合において、参加差押えをした行政機関等が、第二順位であるときは原則として換価を続行することができることとし、第三順位以降であるときは換価執行決定を取り消すこととするほか所要の整備を行う。
(注)上記の改正は、平成31年1月1日以後の換価執行決定により行う換価について適用する。
(3)法人事業税の確定申告書の提出期限の延長の特例等の適用がある場合における延滞金の計算期間について、国税における利子税の計算期間の見直しに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成29年1月1日以後に法定納期限が到来した地方税について適用する。
(4)成年被後見人等の欠格条項の見直しに係る所要の法令改正を前提に、固定資産評価員の欠格条項について、その範囲から成年被後見人等を除外するほか所要の整備を行う。

七 関税
1 暫定税率の適用期限の延長等
(1)平成30年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(392品目)について、平成31年3月31日まで適用期限の延長を行う。
(2)平成30年3月31日に適用期限の到来する特別緊急関税制度及び牛肉・豚肉に係る関税の緊急措置(牛肉の発動基準数量の算定基礎の特例を含む。)について、平成31年3月31日まで適用期限の延長を行う。
2 個別品目の基本税率等の見直し
(1)ラミー糸及び剣道用の小手の基本税率を無税とする。
(2)化粧品、繊維製品の一部品目の分類を簡素化し税率を統一する。
3 特恵関税制度の見直しに伴う基本税率の無税化等
(1)特恵税率の適用除外要件の見直し等を踏まえ、ジスプロシウム鉄合金、オキシ塩化ジルコニウム等6品目の基本税率を無税とする。
(2)今後、特恵適用除外国からの迂回輸入が増加する可能性を踏まえ、特恵適用貨物に対する事後確認手続等の整備を行う。
4 金の密輸入に対する罰則の引上げ
 無許可輸出入罪の罰金額を500万円以下から1,000万円以下(貨物の価格の5倍が1,000万円超の場合、価格の5倍まで)にする等、金の密輸に関する罰則を引き上げる。
5 その他
(1)入国旅客に係る紙巻たばこの免税枠の区分を撤廃し400本に統合した上、3年後に200本とする等、紙巻たばこ等に係る携帯品免税枠を簡素化する。
(2)「成年後見制度利用促進基本計画」を踏まえ、通関業法上の欠格条項を改正する。


第三 検討事項

1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意するとともに、今般の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。

2 デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための実効性ある方策の必要性を踏まえ、検討する。

3 小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、引き続き、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

4 子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の対応について、児童扶養手当の支給に当たって事実婚状態でないことを確認する制度等も参考にしつつ、平成31年度税制改正において検討し、結論を得る。

5 個人事業者の事業承継に係る税制上の措置については、現行制度上、事業用の宅地について特例措置があり、既に相続税負担の大幅な軽減が図られていること、事業用資産以外の資産を持つ者との公平性の観点に留意する必要があること、法人は株式等が散逸して事業の円滑な継続が困難になるという特別の事情により特例が認められているのに対し、個人事業者の事業承継に当たっては事業継続に不可欠な事業用資産の範囲を明確にするとともに、その承継の円滑化を支援し代替わりを促進するための枠組みが必要であること等に留意し、既存の特例措置のあり方を含め、引き続き総合的に検討する。

6 医療に係る消費税のあり方については、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見、特に高額な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえ、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ、平成31年度税制改正に際し、税制上の抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得る。

7 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税のあり方については、平成27年度税制改正の実施状況、国際機関等の議論、欧州諸国等における仕向地主義に向けた対応、各種取引の実態等を踏まえつつ、課税の対象とすべき取引の範囲及び適正な課税を確保するための方策について引き続き検討を行う。

8 原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

9 事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。

10 現在、電気供給業、ガス供給業及び保険業については、収入金額による外形標準課税が行われている。今後、これらの法人の地方税体系全体における位置付けや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引き続き検討する。また、電気事業者の法的な分社化に伴うグループ内取引については、法令上の位置付けや実務上の観点等を踏まえ、収入金額の算定のあり方について検討を行う。

11 ゴルフ場利用税については、今後長期的に検討する。

12 現在、政府において、民法における成年年齢を20歳から18歳に引き下げるとともに、他法令における行為能力や管理能力に着目した年齢要件を引き下げる方向で法改正に向けた作業を進めているところである。税制上の年齢要件については、対象者の行為能力や管理能力に着目して設けられているものであることから、民法に合わせて要件を18歳に引き下げることを基本として、法律案の内容を踏まえ実務的な観点等から検討を行い、結論を得る。