平成31年度税制改正大綱
平成30年12月14日
自由民主党
公明党
目次
第一 平成31年度税制改正の基本的考え方-----------------------1
第二 平成31年度税制改正の具体的内容-------------------------18
一 個人所得課税--------------------------------------18
二 資産課税------------------------------------------
41
三 法人課税------------------------------------------60
四消費課税------------------------------------------
83
五 国際課税------------------------------------------
98
六 納税環境整備--------------------------------------114
七 関税--------------------------------------------- 119
第三 検討事項-------------------------------------------121
第一 平成31年度税制改正の基本的考え方
安倍内閣は、これまで、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできた。アベノミクスの推進により、生産年齢人口が450万人減少する中においても、経済は10%以上成長し、雇用は250万人増加した。賃金も2%程度の賃上げが5年連続で実現しており、雇用・所得環境は大きく改善している。
こうした経済環境の下、今こそ、少子高齢化という構造的な課題への対処に踏み出していく必要がある。高齢者から若者まで全ての世代が安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換するとともに、財政健全化も確実に進めていくため、消費税率10%への引上げを平成31年10月に確実に実施する。
現在の景気の回復基調を持続させ、デフレ脱却・経済再生を確実なものとすることが必要であり、そのためには、企業が収益の拡大を賃金上昇・雇用拡大や設備投資の増加につなげることが重要である。企業経営者がマインドを変え、賃上げや手元資金を活用した投資拡大などに積極的に取り組むことを期待する。また、前回の平成26年4月の消費税率引上げの際には、駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じ、景気の回復力が弱まることとなったという経験を踏まえ、需要変動の平準化に向けてあらゆる手立てを尽くすことが不可欠である。
こうした観点も踏まえ、消費税率引上げ分の税収については、教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等と財政再建に、概ね半分ずつ充当することとしている。また、消費税率10%への引上げに当たり、低所得者に配慮する観点から実施することとしている軽減税率制度については、制度が円滑に実施されるよう事業者の準備促進に向けた取組みを徹底する。更に、消費税率の引上げと事業者による価格設定との関係について、事業者・消費者の理解を深めていくための取組みを進めるとともに、予算・税制の両面からの支援により、税率引上げ後における購入も十分魅力的なものとするとの考え方の下、自動車と住宅に対する税制上の支援策を講ずる。
少子高齢化が進む中、持続的な成長経路を実現するためには、潜在成長率を引き上げていくことが重要であり、「生産性革命」と「人づくり革命」に最優先で取り組む必要がある。このため、イノベーションを促進する研究開発を後押しする観点から研究開発税制を見直すとともに、中小企業による生産性向上のための投資を支援する措置を講ずる。更に、経済の好循環を一層拡大していくためには、経済成長の果実を地方に波及させていくことが不可欠であり、地域経済を牽引する企業に対する集中的な支援等を講ずる。
地方創生を推進するとともに、都市と地方が支え合い、共に持続可能な形で発展していくため、地方税の充実確保を図りつつ、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組む必要がある。このため、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置を講ずる。
パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成30年度税制改正大綱の内容のとおり、森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。
持続的な経済成長には日本企業の健全な海外展開促進とその果実の国内への還流という好循環も重要である。同時に、公平な競争条件を確保し、課税逃れに効果的に対応するためにも、国際税制及び税務当局間の情報交換体制を整備する必要がある。わが国は「BEPS(注)プロジェクト」において主導的役割を果たしてきたが、引き続き、電子化を含む経済実態の変化等に対応する国際的なルール作りに積極的に参画するとともに、諸外国における取組みも踏まえ、国際合意に則った制度の見直しを進める。
(注)Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転
また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進めていく。
近年、仮想通貨取引やインターネットを通じた業務請負など、経済取引の多様化・国際化が進展する中、経済取引の健全な発展を図る観点からも、納税者による自主的かつ適正な申告を確保するための環境の整備を進める。
税制改正に当たっては、足下の経済情勢への適切な対応が重要である一方、中長期的課題にも責任をもって取り組まなければならない。厳しい財政事情の中で、経済再生と財政健全化を両立させていくことがわが国の最重要課題である。また、税制は経済社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、検討を進める。
以下、平成31年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。
1 消費税率の引上げに伴う対応等
(1)需要変動の平準化に向けた取組み
平成31年10月の消費税率引上げに当たっては、平成26年4月の引上げの経験を活かし、経済に影響を及ぼさないよう、万全を期す。
①消費税率引上げ時における価格設定の柔軟化と転嫁対策
様々な物の価格が一斉に上昇し、大きな需要変動が生じた前回引上げ時の経験を踏まえ、消費税率引上げ前の需要増等に応じた値上げが妨げられないことや、消費税率引上げ後に禁止されない宣伝・広告のあり方等を改めて事業者に周知し、小売業者が萎縮することなく柔軟に価格設定できる環境を整える。これらを通じ、消費者に誤認を与えて駆け込みを煽る行為の防止ともあわせて、需要変動の平準化を図っていく。
同時に、消費税が円滑に転嫁できるかどうか懸念を持つ中小事業者から、実効性の高い転嫁対策を求める声が寄せられていることを踏まえ、事業者間取引において、下請事業者が、大規模小売事業者等の力のある事業者から買いたたき等の転嫁拒否を受けることがないよう、業界ごとの状況を踏まえつつ、効果的な転嫁対策を強力に進める。
②住宅に係る措置
住宅に係る需要変動の平準化のため、平成32年末までの間、消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を3年延長し 13年間とする。その際、11年目以降の3年間については、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設ける。所得税額から控除しきれない額は、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補てんする。
住宅市場に係る対策については、住宅投資の波及効果に鑑み、これまでの措置の実施状況や今後の住宅市場の動向等を踏まえ、必要な対応を検討する。
③自動車に係る措置
消費税率10%への引上げにあわせ、自動車の保有に係る税負担を恒久的に引き下げることにより、自動車ユーザーの負担を軽減し、需要を平準化するとともに、国内自動車市場の活性化と新車代替の促進による燃費性能の優れた自動車や先進安全技術搭載車の普及等を図る。
具体的には、平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けた自家用乗用車(登録車)について、小型自動車を中心に全ての区分において、自動車税の税率を引き下げる。
恒久減税による地方税の減収については、まずはエコカー減税の見直しやグリーン化特例の重点化、環境性能割の基準見直しにより財源を確保し、なお生じる財源不足額についてはその全額を国費で補てんすることにより、それに見合った地方税財源を確保することとする。これにより、地方における社会インフラの更新・老朽化対策や防災・減災事業のニーズにしっかりと対応する。
自動車の取得時の負担感を緩和するため、平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に自家用乗用車(登録車及び軽自動車)を取得した場合、環境性能割の税率を1%分軽減する。なお、この措置による地方税の減収については、全額国費で補てんする。
(2)軽減税率制度の実施
来年10月の消費税率10%への引上げにあわせて実施される低所得者への配慮のための軽減税率制度について、軽減税率の適用に関する具体的な事例も含むQ&Aの追加、個別の相談対応など一層丁寧な対応による周知徹底を行うとともに、事業者の事務負担の軽減等の観点からレジ導入等への支援を行うことで準備を更に促し、制度の円滑な実施に向け万全を期す。なお、軽減税率制度の対象品目に関し、書籍・雑誌等について、平成28年度税制改正大綱に基づき、引き続き検討する。
また、軽減税率制度の導入に当たっての安定的な恒久財源の確保については、歳入面においては、平成30年度税制改正の個人所得課税の見直し及びたばこ税の見直し並びにインボイス制度の導入によるものとし、歳出面においては、総合合算制度の見送りに加えて、平成31年度予算編成過程において、これまでの社会保障の見直しの効果の一部の活用について検討することとする。
(3)医療に係る措置
社会保険診療等に係る医療は消費税非課税である一方、その価格は診療報酬
制度による公定価格となっている。このため、平成元年の消費税導入以来、仕
入れ税額相当分を診療報酬で補てんする措置が講じられてきたが、補てんにば
らつきがある等の指摘があった。今般の消費税率10%への引上げに際しては、
診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補てんのばらつ
きが是正されることとなる。今後、所管省庁を中心に、実際の補てん状況を継
続的に調査するとともに、その結果を踏まえて、必要に応じて、診療報酬の配
点方法の見直しなど対応していくことが望まれる。
なお、長時間労働の実態が指摘される医師の勤務時間短縮のため必要な器具及び備品、ソフトウェア、また地域医療提供体制の確保のため地域医療構想で合意された病床の再編等の建物及びその附属設備、さらに共同利用の推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器の3点において、特別償却制度の拡充・見直しを行う。
2 デフレ脱却・経済再生、地方創生の推進
(1)イノベーション促進のための研究開発税制の見直し
少子高齢化が中長期的に経済成長を制約する要因となる中で、持続的な成長
経路を実現していくためには、イノベーションの強化など生産性の向上により、
潜在成長率を高めていくことが重要である。このため、研究開発投資の多様化
を図り、質の高い研究を後押しするとともに、研究開発投資の増加インセンテ
ィブを強化する観点から、研究開発税制の見直しを行う。
具体的には、オープンイノベーション型については、その対象範囲を拡充し、
大企業や研究開発型ベンチャーに対する一定の委託研究等を追加するとともに、
控除上限を引き上げる。さらに、大学における研究開発の運営・管理体制の充
実に向け、大学との共同研究等に係る試験研究費について、その運用を明確化
する。
総額型については、試験研究費の増加インセンティブ強化の観点から、控除率を見直すとともに、高い水準の研究開発投資を行っている企業について、控除率を割増しする措置を講じた上で、高水準型を総額型に統合する。また、研究開発を行う一定のベンチャー企業について、利益に比べ試験研究費が多額であっても控除メリットを受けられるよう、控除上限を引き上げる。
(2)中堅・中小・小規模事業者の支援
①個人事業者の事業承継に対する支援
平成30年度税制改正における法人の事業承継税制に続き、個人事業者についても、高齢化が急速に進展する中で、円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえ、個人事業者の事業承継を促進するための相続税・贈与税の新たな納税猶予制度を創設する。
この新たな納税猶予制度については、現行措置の対象である事業用の宅地に加え、事業用の建物及び一定の減価償却資産を対象とし、税額の猶予割合は100%とするほか、相続のみならず生前贈与にも適用可能とするなど、思い切った措置を講ずる。なお、新たな制度については、節税的な利用の防止等に資する要件を設けるなど、法人の事業承継税制に準じた制度とする。新たな納税猶予制度は10年間の特例措置とし、現行措置との選択適用とする。あわせて、関係省庁において、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における遺留分に関する民法の特例が本制度の対象資産に適用されるよう、検討を行っていかなければならない。
更に、現行の事業用の小規模宅地特例について、貸付事業用の小規模宅地特例の例にならい、節税を目的とした駆け込み的な適用など、本来の趣旨を逸脱した適用を防止するための最小限の措置を講ずる。その上で、本特例については、相続後短期間での資産売却が可能であること、債務控除の併用等による節税の余地があること、事業を承継する者以外の相続人の税額に効果が及ぶことなどの課題があることを踏まえ、事業承継の支援という制度趣旨を徹底し、制度の濫用を防止する観点から、同様の課題を有する貸付事業用の小規模宅地特例とあわせて、引き続き検討を行っていく。
②中小企業による積極的な設備投資等の支援
地域経済の中核を担う中小企業は深刻な人手不足に直面しており、生産性向上や経営に対する支援を強化していく必要がある。このため、中小企業の設備投資を促進し、経営を支援する観点から、中小企業者等に係る軽減税率の特例、中小企業投資促進税制及び中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の適用期限を2年延長するとともに、商業・サービス業・農林水産業活性化税制について、売上高又は営業利益が1年間で2%以上向上するという要件を追加した上で2年延長する。
③ 中堅・中小企業による先進的な設備投資や災害の事前対策のための設備投資に対する支援
地域経済を牽引する事業について集中的に支援する観点から、地域未来投資促進税制において、特に高い付加価値を創出し、地域への大きな波及効果が期待される企業については、機械装置等の特別償却率又は税額控除率を上乗せする。
また、中小企業に対して、事業活動に災害が与える影響を踏まえて事前防災を促進する観点から、中小企業等経営強化法の改正を前提とする事業継続力強化計画(仮称)に基づいて中小企業が行った防災・減災設備への投資を対象に、特別償却ができる制度を創設する。
(3)地方創生の推進
①ふるさと納税の健全な発展に向けた制度の見直し
ふるさと納税制度の健全な発展に向けて、一定のルールの中で地方公共団体が創意工夫をすることにより全国各地の地域活性化に繋げるため、過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような地方公共団体については、ふるさと納税の対象外にすることができるよう、制度の見直しを行う。
②地域経済を牽引する事業に対する支援
アベノミクスの推進により回りつつある経済の好循環を一層拡大していくためには、経済成長の果実を都市から地方へ、大企業から中小企業へ波及させていくことが必要であることから、地域未来投資促進税制を拡充する。〔再掲〕
③地域における不動産の有効活用
地域社会の活性化のためには、未利用不動産などの地域資源の有効活用を図ることが重要である。こうした観点も踏まえ、所有者不明土地の利用を進める地域福利増進事業の用に供するために土地等を譲渡した場合について、軽減税率の特例の対象とする。また、空き家の発生を抑制するための譲渡所得の特例について、被相続人が老人ホーム等に入居していた場合も一定の要件の下で適用可能とする。
④外国人旅行者向け消費税免税制度の利便性向上
地域の特産品等の販売機会を増加させ、外国人旅行者の消費拡大を図る観点から、期間等を定めて設置する臨時の販売場での免税販売を認める措置を講ずる。
(4)頻発する災害への対応
平成29年度税制改正においては、被災者や被災事業者の不安を早期に解消する等の観点から、災害が発生した際の税制上の措置を常設化したところであるが、更に災害に備えて予め対応力を強化するための取組みを進める。
具体的には、事業継続力強化計画(仮称)に基づいて中小企業が行った防災・減災設備への投資に係る特別償却制度を創設する〔再掲〕ほか、保険会社等の異常危険準備金制度について、火災保険等に係る特例積立率を6%(現行5%)に引き上げる。
(5)その他考慮すべき課題
租税特別措置については、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となりうる一方で、税負担の歪みを生じさせる面があることから、真に必要なものに限定していくことが重要である。このため、毎年度、期限が到来するものを中心に、各措置の利用状況等を踏まえつつ、必要性や政策効果をよく見極めた上で、廃止を含めてゼロベースで見直しを行う。また、租税特別措置の創設・拡充を行う場合は、財源を確保することやいたずらに全体の項目数を増加させないことに配意する。
3 車体課税
自動車産業は日本経済や雇用創出に大きく貢献する基幹産業であるが、熾烈なグローバル競争下にあるとともに、電動化・IoT化、自動運転等の技術革新、シェアライド等の使用形態の変化等、大きな変革期を迎えている。このような環境の下で、国内自動車市場の活性化を引き続き図っていくために、自動車ユーザーの車体課税に係る負担を軽減し、自動車を購入・保有しやすい環境を作るべきとの要請がある。
その一方で、車体課税の多くは地方財源であり、道路等の維持管理・更新や防
災・減災等の推進に多額の財源が必要となること等を考慮すれば、地方の安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮することが必要である。
これら双方の観点に十分配慮しつつ、平成29年度与党税制改正大綱等における車体課税の見直しに係る基本的考え方に沿って検討を行った結果、車体課税について、以下のような大幅な見直しを行う。税制抜本改革法以来の累次の与党税制改正大綱において懸案事項とされてきた車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とする。
(1)消費税率10%への引上げにあわせ、自動車の保有に係る税負担を恒久的に引き下げることにより、自動車ユーザーの負担を軽減し、需要を平準化するとともに、国内自動車市場の活性化と新車代替の促進による燃費性能の優れた自動車や先進安全技術搭載車の普及等を図る。
具体的には、平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けた自家用乗用車(登録車)について、小型自動車を中心に全ての区分において、自動車税の税率を引き下げる。〔再掲〕
軽自動車税の税率については、変更しない。
(2)恒久減税による地方税の減収については、まずはエコカー減税の見直しやグリーン化特例の重点化、環境性能割の基準見直しにより財源を確保し、なお生じる財源不足額についてはその全額を国費で補てんすることにより、それに見合った地方税財源を確保することとする。これにより、地方における社会インフラの更新・老朽化対策や防災・減災事業のニーズにしっかりと対応する。
具体的には、以下のように対応する。
① 平成31年10月1日に導入される環境性能割については、税制抜本改革に係る地方税法等改正法の一部改正法附則の規定に基づき、その環境インセンティブ機能を強化する観点から、自家用乗用車(登録車)に係る税率の適用区分を見直す。
② 自動車税及び軽自動車税のグリーン化特例(軽課)については、環境性能割が自動車税及び軽自動車税に導入されることを契機に、その適用対象を電気自動車等に限定する。
なお、消費税率引上げに配慮し、平成33年4月1日以後に新車新規登録又は最初の新規検査を受けた自家用乗用車(登録車及び軽自動車)から適用する。
③ 自動車重量税のエコカー減税については、その政策インセンティブ機能を強化する観点から、軽減割合等の見直しを行うとともに、2回目車検時の免税対象について電気自動車等や極めて燃費水準が高いハイブリッド車等に重点化を図る。
今後、エコカー減税の適用期限の到来にあわせ、見直しを行うに当たっては、政策インセンティブ機能の強化、実質的な税収中立の確保、原因者負担・受益者負担としての性格、市場への配慮等の観点を踏まえることとする。また、次のエコカー減税等の適用期限到来に向けて、クリーンディーゼル車について、普及の状況や政策的支援の必要性等を総合的に勘案して、エコカー減税制度等における扱いを引き続き検討し、結論を得る。
④ 自動車取得税のエコカー減税については、その環境インセンティブ機能を強化する観点から、軽減割合等の見直しを行う。
⑤ 今般の改正が、消費税率10%への引上げや前述の自動車産業をとりまく環境変化に対応するため、税制抜本改革法以来の累次の与党税制改正大綱において懸案事項とされてきた車体課税の見直しの最終的な結論であることを踏まえ、異例の措置として、
イ ③の自動車重量税のエコカー減税の見直しによる増収額のうち国の一般会計分の増収の全額を、譲与割合を段階的に引き上げることにより、⑥の都道府県自動車重量譲与税制度の財源の一部として活用する。
ロ ①から④までの措置を講じてもなお累積で不足する地方税財源について、国費によりその全額を補てんすることとする。
具体的には、平成46年度と平成47年度において自動車重量税の譲与割合を変更し、⑥の都道府県自動車重量譲与税制度の財源の一部として活用するとともに、平成46年度から、揮発油税の税率を引き下げた上で地方揮発油税の税率をその同率分引き上げる。
上記の地方税財源の補てんに際して国において必要となる財源については、今後の歳出・歳入にわたる努力により確保を図る。
⑥ 自動車重量税の一部を都道府県に対して譲与する都道府県自動車重量譲与税制度を新たに創設する。
自動車税の引下げに伴う地方税財源の確保のために都道府県自動車重量譲
与税制度を創設することを踏まえ、その譲与基準は自家用乗用車(登録車)
の保有台数とする。
⑦ ⑤の揮発油税と地方揮発油税の税率調整に伴い、地方揮発油譲与税を増額する。
自動車税の引下げに伴う地方税財源の確保のために地方揮発油譲与税を増額することを踏まえ、増額分の地方揮発油譲与税は都道府県に譲与することとし、その譲与基準は自家用乗用車(登録車)の保有台数とする。
⑧ 上記の見直しに伴う都道府県・市町村間の財源調整のため、自動車税環境性能割に係る市町村交付金の交付割合を見直す。
(3)自動車の取得時の負担感を緩和するため、平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に自家用乗用車(登録車及び軽自動車)を取得した場合、環境性能割の税率を1%分軽減する。なお、この措置による地方税の減収については、全額国費で補てんする。〔再掲〕
4 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
地方創生、地方分権を推進するためには地方税の充実確保が必要であるが、税源に偏在があれば、地方税を充実すると地域間の財政力格差が拡大する。このため、税源の偏在性が小さい地方税体系の構築が必要となる。地方税の充実確保を図る前提として地方税源の偏在是正が必要という意味で、両者はいわば車の両輪として常に考える必要がある。
大都市部が将来にわたり発展していくためには、地方の活力の維持が不可欠であり、持続可能な地域社会を実現するためには、安定的な地方税財政基盤を確保することが必要である。
近年、地方税収が全体として増加する中で、地域間の財政力格差が拡大している。各種の財政指標でみても、地方交付税の交付団体と不交付団体では、大きな格差が存在し、その均衡が大きく崩れている状況にある。
また、経済社会構造も大きく変化している。産業構造のサービス産業化や、大都市部への大法人の本店の集中等を背景として、大都市部には、企業の事業活動の実態以上に税収が集中している状況にある。この傾向は、インターネット取引
等の拡大により、今後一層加速することが見込まれる。加えて、子会社化等の組織再編の進行や、フランチャイズ事業の拡大など、企業組織の多様化も税源の偏在に影響している。これらの変化は、現行の法人事業税の枠組み(分割基準等)では直ちに対応を行うことが困難な課題である。
こうしたことを背景として、地方法人課税の税収は、地域における付加価値の総計である県内総生産の分布状況と比較して、大都市部に集中している状況にあり、都市・地方を通じた安定的な地方税財政基盤を構築するため、これら構造的な課題への対処が求められている。
以上の観点から、地域間の財政力格差拡大、経済社会構造の変化等に対応し、都市と地方が支え合い、共に持続可能な形で発展していくため、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置を講ずる。
具体的には、法人事業税の一部を分離して特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)を創設する。
特別法人事業税(仮称)は国税とし、都道府県が法人事業税とあわせて賦課徴収を行うとともに、実質的な地方税源としての性格を明確にするため、交付税及び譲与税配付金特別会計に直接払い込んだ上で、都道府県に対し、特別法人事業譲与税(仮称)として譲与する。特別法人事業譲与税(仮称)の譲与基準は、新たな措置の趣旨・目的に鑑み、「人口」を基準とする。また、譲与税制度の中で、適切な偏在是正効果を実現するため、交付団体との均衡も考慮し、不交付団体に対する譲与制限の仕組みを設ける。特別法人事業税・譲与税制度(仮称)は、恒久的な措置とする。なお、経済社会情勢の変化に対応できるよう、法の施行後における検討に係る規定を設ける。この偏在是正措置により生じる財源(不交付団体の減収分)は、地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地方財政計画に計上するなど、その全額を地方のために活用する。
この新たな措置は、都市と地方の対立の観点から捉えるべきではない。都市と地方が相互に連携して、各地域の活力の維持向上に取り組むための地方税財政基盤を構築する観点から行うものである。今後、各地域が地域経済の活性化等による税源の涵養に積極的に取り組み、これによりその税財政基盤のさらなる安定化がもたらされることを期待する。
5 経済社会の構造変化等を踏まえた税制の検討
(1)個人所得課税のあり方
①今後の個人所得課税改革の基本的方向性
個人所得課税については、わが国の経済社会の構造変化を踏まえ、近年、配偶者控除等の見直し、給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の一体的な見直しなどの取組みを進めてきた。今後も、これまでの税制改正大綱に示された方針を踏まえ、経済社会の構造変化への対応や所得再分配機能の回復の観点から、各種控除のあり方等を検討する。また、適正な記帳の確保に向けた方策を講じつつ、事業所得等の適正な申告に向けた取組みを進める。
②老後の生活等に備える資産形成を支援する公平な制度のあり方
老後の生活など各種のリスクに備える資産形成については、企業年金、個人年金等の年金税制、貯蓄・投資、保険等の金融税制が段階的に整備・拡充されてきたが、働き方の多様化が進展する中で、働き方の違い等によって税制による支援が異なること、各制度それぞれで非課税枠の限度額管理が行われていることといった課題がある。また、「人生100年時代」に向けて、全世代型社会保障制度の構築が進められていく中、税制においても、どのようなライフコースを歩んだ場合でも老後に備える資産形成について公平に税制の適用を受けることができる制度のあり方を考えることが必要である。こうした認識の下、関係する諸制度について、社会保障制度を補完する観点や働き方の違い等によって有利・不利が生じないようにするなど公平な制度を構築する観点から、諸外国の制度も参考に、包括的な見直しを進める。
その際には、拠出・運用・給付の各段階を通じた課税のあり方について、公平な税負担の確保等の観点から検討する必要がある。また、給与・退職一時金・年金給付の間の税負担のバランスについて、働き方やライフコースの多様化を踏まえた検討が必要である。
あわせて、金融所得に対する課税のあり方について、家計の安定的な資産形成を支援するとともに、所得階層別の所得税負担率の状況も踏まえ、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。
NISAについては、その政策目的や制度の利用状況を踏まえ、望ましいあり方を検討する。
③子どもの貧困に対応するための個人住民税の非課税措置
子どもの貧困に対応するため、事実婚状態でないことを確認した上で支給される児童扶養手当の支給を受けており、前年の合計所得金額が135万円以下であるひとり親に対し、個人住民税を非課税とする措置を講ずる。
(2)相続税・贈与税のあり方
① 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置及び結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、祖父母や両親の資産を早期に若年世代に移転させることにより経済活性化に資することを目的に、それぞれ平成25年度及び平成27年度の税制改正で導入された。制度の適用状況をみると、両措置とも、導入当初と比べて新規契約数が大幅に減少している。また、両措置については、導入当初から、格差の固定化につながらないよう、機会の平等の確保に留意した見直しが必要との指摘があった。これらの観点を踏まえ、両措置について、所要の見直しを行った上で適用期限を2年間延長する。
②資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討
高齢化の進展に伴い、いわゆる「老々相続」が課題となる中で、生前贈与を促進する観点からも、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築が課題となっている。諸外国の制度をみると、生前贈与と相続に対して遺産税もしくは相続税を一体的に課税することにより、資産移転の時期の選択に中立的な税制が構築されている例がある。一方、わが国においては、平成15年に相続時精算課税制度が導入されており、本制度の適用を選択すれば、生前贈与と相続に対する一体的な課税が行われるが、本制度は必ずしも十分に活用されていない。今後、諸外国の制度のあり方も踏まえつつ、格差の固定化につながらないよう、機会の平等の確保に留意しながら、資産移転の時期の選択に中立的な制度を構築する方向で検討を進める。こうした検討の進捗の状況を踏まえ、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置及び結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても、次の適用期限の到来時に、その適用実態も検証した上で、両措置の必要性について改めて見直しを行うこととする。
6 経済活動の国際化・電子化への対応と租税回避・脱税の効果的な抑制
経済活動の国際化・電子化は経済成長に貢献する一方で政策課題ももたらしている。国際課税制度の構築に当たっては、引き続き、平成29年度税制改正大綱の「今後の国際課税のあり方についての基本的考え方」で掲げた基本方針の下、電子化を含む経済実態の変化や諸外国の動向を踏まえ、日本企業の健全な海外展開を支えるとともに、国際的な租税回避や脱税に対してより効果的に対応していく必要がある。
平成31年度税制改正においては、過大支払利子税制及び移転価格税制について、「BEPSプロジェクト」の合意事項等に沿って諸外国において対応が進んでいることを踏まえ、企業実態にも配慮しつつ、必要な制度改正を行う。過大支払利子税制については、利子の損金算入制限に関し、対象利子の範囲の拡大及び損金算入限度額の算定方法の見直し等により税源浸食リスクに応じた強化を行う。また、移転価格税制については、独立企業間価格の算定方法を整備するとともに、一定の価値評価の困難な無形資産の取引に関して税務当局が取引後の事実関係を参照して取引価格の適切性を検証することが可能となるよう、OECD移転価格ガイドラインの改訂内容等を踏まえた見直しを行う。
100か国以上が参加する非居住者の金融口座情報の自動的交換(共通報告基準に基づく情報交換)が本格的に始まるなど透明性の向上に向けた取組みも進んでいる。今後も国際協調において主導的な役割を果たすため、わが国も引き続き国際合意に則った制度の整備を進める必要がある。特に、共通報告基準に関する法制については、国際的な議論を踏まえて見直しの要否を検討する。また、義務的開示制度については、「BEPSプロジェクト」における勧告や諸外国の制度・運用実態等を踏まえ、制度導入の可否等につき引き続き検討を進める。
経済の電子化に伴い、物理的な拠点なく事業を行う外国企業の事業所得に十分な課税が行えないといった現行の国際課税原則の問題が顕在化している。このような課題に対して各国が各々に対応すれば、企業のビジネス展開上の不確実性を増加させ、経済活動に負の影響をもたらすことから、グローバルかつ長期的に持
続可能な解決策を
2020年までにとりまとめるべく、来年のG20の議長国として国際的な議論を主導していく必要がある。
7 円滑・適正な納税のための環境整備
仮想通貨取引やインターネットを通じた業務請負など、経済取引の多様化・国際化が進展する中、経済取引の健全な発展を図る観点からも、適正な課税を確保することが重要である。
このため、取引の仲介業者等が保有するデータやスマートフォンを活用して電子申告を行う仕組みを構築するなど、納税者が自主的に簡便・正確な申告等を行うことができる利便性の高い納税環境の整備に向けて、官民が協働して取組みを進める。
また、自主的な適正申告を担保する観点から、国税当局が事業者等に対して必要な情報を照会するための手続を整備する。具体的には、まず、現行実務上行われている事業者等に対する任意の照会について、税法上、国税当局が事業者等に対して協力を求めることができる旨を明確化する。その上で、高額・悪質な無申告者等を特定するため特に必要な場合に限り、国税当局が事業者等に対して、担保措置を伴ったより実効的な形により情報照会を行うことができることとする。ただし、適正かつ慎重な運用を求める観点から、照会できる場合及び照会情報を限定するとともに、事業者等による不服申立て等も可能とする。地方税においても、国税における措置や地方団体における課税実務等を踏まえ、同様な情報照会の仕組みを検討する。
国外居住親族に係る扶養控除等の適用については、所得要件の判定において国内源泉所得が用いられており、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの課題があることを踏まえ、所得の少ない親族の扶養による担税力の低下を調整するという扶養控除等の制度趣旨や執行可能性、諸外国の制度とのバランス等に留意しつつ、更なる適正化について検討を行う。
今後も、経済取引の多様化・国際化の進展に対応して、適正な課税を確保するための取組みを進める。あわせて、ICTの活用等を通じて、納税者利便の更なる向上や事業者等の事務負担軽減にも着実に取り組む。
eLTAX(地方税ポータルシステム)障害時の国による対応を制度化するなど、地方税務手続においても、
更なる電子化等を促進し、納税側、課税側双方の事務負担の軽減を図る。
また、こうした経済社会の変化に伴い、調査・徴収事務の複雑・困難化が進む中、税制を円滑かつ公平に執行するため、必要な定員の確保等の税務執行体制の一層の充実を図る。
第二 平成31年度税制改正の具体的内容
一 個人所得課税
1 住宅・土地税制
(国税)
〔延長・拡充等〕
(1)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の措置を講ずる。
①住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設
個人が、住宅の取得等(その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限る。)をして平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例を創設する。
この特例は、適用年の11年目から13年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額を、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用ができることとする。
イ 一般の住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅以外の住宅)の場合
次に掲げる金額のいずれか少ない金額
(イ)住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%
(ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(4,000万円を限度)×2%÷3
ロ 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合
次に掲げる金額のいずれか少ない金額
(イ)住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1%
(ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(5,000万円を限度)×2%÷3
ハ 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象となる再建住宅の場合
次に掲げる金額のいずれか少ない金額
(イ)住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1.2%
(ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(5,000万円を限度)×2%÷3
(注1)適用年の1年目から10年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除
については、現行と同様の金額を控除できることとする。
(注2)上記の「住宅の取得等」とは、居住用家屋の新築若しくは居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等をいうものとし、上記イ(ロ)、ロ(ロ)及びハ(ロ)の「住宅の取得等の対価の額又は費用の額」は、次のとおりとする。
イ 当該住宅の取得等をした居住用家屋等のうちにその者の居住の用以外の用に供する部分がある場合には、当該居住用家屋等の床面積のうちに当該居住の用に供する部分の床面積の占める割合を乗じて計算した金額とする。
ロ 当該住宅の取得等に関し、補助金等の交付を受ける場合又は直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等の適用を受ける場合であっても、当該補助金等の額又は当該適用を受けた住宅取得等資金の額を控除しないこととする。
(注3)その他の要件等は、現行の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除と同様とする。
② 二以上の住宅の取得等をした場合の控除額の計算の調整措置、年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除その他の措置について、所要の措置を講ずる。
③ 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書について、次に掲げる事項の記載を要しないこととする。
イ 住宅の取得等をした年月日
ロ 住宅の取得等をした家屋をその者の居住の用に供した年月日
ハ 住宅の取得等(住宅借入金等に当該取得等とともにする当該取得等をした家屋の敷地の用に供される土地等の取得に係る住宅借入金等が含まれる場合には、当該土地等の取得を含む。下記④ロにおいて同じ。)の対価の額又は費用の額
ニ 住宅の取得等をした家屋の床面積
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に提出する給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書について適用する。
④ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書の記載事項は、次に掲げる事項であることを法令上明確化する。
イ 住宅の取得等をした家屋をその者の居住の用に供した年月日
ロ 住宅の取得等の対価の額又は費用の額
ハ 住宅の取得等をした家屋の床面積のうちにその者の居住の用に供する部分の床面積の占める割合及び住宅の取得等をした家屋の敷地の用に供する土地等の面積のうちに当該居住の用に供する部分の面積の占める割合
ニ 住宅借入金等が連帯債務である場合には、その負担部分の割合
ホ その他参考となるべき事項
(注)上記の改正は、居住年が平成31年以後である者に対し、平成32年10月1日以後に交付する住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書について適用する。
(2)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業(特定所有者不明土地の土地使用権の取得についての都道府県知事による裁定がされた当該裁定に係る申請書に記載されたものに限る。)を実施する者に対する当該申請書に記載された事業区域内にある次に掲げる土地等の譲渡(当該裁定後に行われるものに限る。)で、当該譲渡に係る土地等が当該地域福利増進事業の用に供されるものを加える。
①確知所有者等が有する特定所有者不明土地又はその上に存する権利
②権利取得計画に記載がされた土地等(一定の地域福利増進事業である場合におけるものを除く。)
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後の譲渡について適用する。
(3)
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する土地収用法の特例の規定による収用があった場合には、収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等を適用する(法人税についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後の譲渡について適用する。
(4)
空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、老人ホーム等に入所をしたことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、次に掲げる要件その他一定の要件を満たす場合に限り、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用するほか所要の整備を行った上、その適用期限を4年延長する。
① 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと。
② 被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用する。
(5)
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象に、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える(法人税についても同様とする。)。
(6)
農業経営基盤強化促進法の改正を前提に、次の措置を講ずる(次の①及び②の措置は、法人税についても同様とする。)。
① 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象に、農用地利用規程の特例に係る事項が定められた農用地利用規程に基づいて行われる農用地利用改善事業の実施区域内にある農用地が、当該農用地の所有者の申出に基づき農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える。
② 農地利用集積円滑化団体に対する土地等の譲渡に係る特例について、次の措置を講ずる。
イ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別
控除について、適用対象から、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づき農地利用集積円滑化団体に買い取られる場合を除外する。
ロ 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除について、適用対象から、農地利用集積円滑化団体に対して農地利用集積円滑化事業のために一定の農地等を譲渡した場合を除外する。
③その他所要の措置を講ずる。
(7)次に掲げる住宅の改修等に係る措置について、次に掲げる措置の区分に応じそれぞれ次に定める標準的な費用の額を、工事の実績を踏まえて見直すこととする。
① 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除 耐震改修工事に係る標準的な工事費用の額
② 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除 特定の改修工事に係る標準的な工事費用の額
③ 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除 認定住宅の新築等に係る標準的な性能強化費用の額
(注)上記①の改正は平成32年1月1日以後に行う耐震改修工事について、上記②の改正は特定の改修工事をした家屋を同日以後に居住の用に供する場合について、上記③の改正は認定住宅を同日以後に居住の用に供する場合について、それぞれ適用する。
(8)
関係法令の改正を前提に、福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人(一定のものに限る。)に対する避難解除区域等のうち一定の区域内にある土地等の譲渡について、次の措置を講ずる(次の②の措置は、法人税についても同様とする。)。
① 当該帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された土地を集約化する事業の用に供される土地等を譲渡した場合には、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用する。
② 当該帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された特定公益的施設又は特定公共施設のうち一定のものを整備する事業の用に供される土地等を譲渡した場合には、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を適用する。
(9)
被災居住用財産の敷地に係る譲渡期限の延長等の特例について、警戒区域設定指示等が行われた日において当該警戒区域設定指示等の対象区域内に所在し、当該警戒区域設定指示等が行われたことによって居住の用に供することができなくなった家屋又は当該家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合も適用ができることとする等の措置を講ずるとともに、その譲渡期限の要件を3年延長する。
(10)小笠原諸島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、小笠原諸島への帰島に伴う譲渡所得等の課税の特例の適用期限を5年延長する。
〔廃止〕
特定被災区域内において防災集団移転促進事業と一体で行われる一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に準ずる事業のために買い取られる土地等であることにつき国土交通大臣等の証明を受けたものを地方公共団体に譲渡した場合の5,000万円特別控除等の簡易証明制度は、適用期限の到来をもって廃止する(法人税についても同様とする。)。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)
個人住民税における住宅借入金等特別税額控除について、次の措置を講ずる。
① 個人が、住宅の取得等(その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限る。)をして平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に居住の用に供した場合における、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の適用がある者のうち、適用年の11年目から13年目までの各年分の住宅借入金等特別税額控除額から当該年分の所得税額(住宅借入金等特別税額控除の適用がないものとした場合の所得税額とする。)を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の7を乗じて得た額(最高13.65万円)の控除限度額の範囲内で減額する。
また、この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。
② 個人住民税における住宅借入金等特別税額控除の適用について、納税通知書が送達される時までに提出された申告書に住宅借入金等特別税額控除に関する事項の記載があること等の要件を不要とする。
(注)上記の改正は、平成31年度分以後の個人住民税について適用する。
③その他所要の措置を講ずる。
(2)
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業(特定所有者不明土地の土地使用権の取得についての都道府県知事による裁定がされた当該裁定に係る申請書に記載されたものに限る。)を実施する者に対する当該申請書に記載された事業区域内にある次に掲げる土地等の譲渡(当該裁定後に行われるものに限る。)で、当該譲渡に係る土地等が当該地域福利増進事業の用に供されるものを加える。
①確知所有者等が有する特定所有者不明土地又はその上に存する権利
②権利取得計画に記載がされた土地等(一定の地域福利増進事業である場合におけるものを除く。)
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後の譲渡について適用する。
(3)
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する土地収用法の特例の規定による収用があった場合には、収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等を適用する。
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後の譲渡について適用する。
(4)
空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、老人ホーム等に入所をしたことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、次に掲げる要件その他一定の要件を満たす場合に限り、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用するほか所要の整備を行った上、その適用期限を4年延長する。
① 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと。
② 被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用する。
(5)
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象に、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える。
(6)
農業経営基盤強化促進法の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の適用対象に、農用地利用規程の特例に係る事項が定められた農用地利用規程に基づいて行われる農用地利用改善事業の実施区域内にある農用地が、当該農用地の所有者の申出に基づき農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える。
② 農地利用集積円滑化団体に対する土地等の譲渡に係る特例について、次の措置を講ずる。
イ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別
控除について、適用対象から、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づき農地利用集積円滑化団体に買い取られる場合を除外する。
ロ 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除について、適用対象から、農地利用集積円滑化団体に対して農地利用集積円滑化事業のために一定の農地等を譲渡した場合を除外する。
③その他所要の措置を講ずる。
(7)関係法令の改正を前提に、福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人(一定のものに限る。)に対する避難解除区域等のうち一定の区域内にある土地等の譲渡について、次の措置を講ずる。
① 当該帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された土地を集約化する事業の用に供される土地等を譲渡した場合には、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用する。
② 当該帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された特定公益的施設又は特定公共施設のうち一定のものを整備する事業の用に供される土地等を譲渡した場合には、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を適用する。
(8)被災居住用財産の敷地に係る譲渡期限の延長等の特例について、警戒区域設定指示等が行われた日において当該警戒区域設定指示等の対象区域内に所在し、当該警戒区域設定指示等が行われたことによって居住の用に供することができなくなった家屋又は当該家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合も適用ができることとする等の措置を講ずるとともに、その譲渡期限の要件を3年延長する。
(9)小笠原諸島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、小笠原諸島への帰島に伴う譲渡所得等の課税の特例の適用期限を5年延長する。
〔廃止〕
特定被災区域内において防災集団移転促進事業と一体で行われる一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に準ずる事業のために買い取られる土地等であることにつき国土交通大臣等の証明を受けたものを地方公共団体に譲渡した場合の5,000万円特別控除等の簡易証明制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
2 金融・証券税制
(国税・地方税)
〔延長・拡充〕
(1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
① 非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合の特例措置を次のとおり講ずる。
イ 当該居住者等がその出国の日の前日までに当該非課税口座が開設されて
いる金融商品取引業者等の営業所の長に、その者に係る給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする旨、引き続き非課税措置の適用を受けようとする旨、帰国をした後再び当該非課税口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行う旨その他の事項を記載した届出書(以下「継続適用届出書」という。)の提出をしたときは、その出国の時から、その者が当該金融商品取引業者等の営業所の長に、帰国をした年月日、当該非課税口座において再び非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行わせようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「帰国届出書」という。)の提出をする日と当該継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日とのいずれか早い日までの間は、その者を居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用する。この場合において、当該帰国届出書の提出をする日までは、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定又は累積投資勘定に上場株式等を受け入れることができないこととする。
ロ 継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに当該金融商品取引業者等の営業所の長に帰国届出書の提出をしなかった場合には、同日においてその者が当該金融商品取引業者等の営業所の長に非課税口座廃止届出書を提出したものとみなす。
ハ その出国につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象となる者は、継続適用届出書の提出をすることができないこととする。
② 居住者等が非課税口座を開設することができる年齢要件をその年1月1日において18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
③ 次に掲げる書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供の際に行うこととされている本人確認の方法について、その者の氏名、生年月日及び住所の記載のある住所等確認書類を提示する方法を加える。
イ 特定口座以外の他の保管口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書
ロ 非課税口座内上場株式等移管依頼書
ハ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書
④ 非課税口座を開設している居住者等は、当該非課税口座にその年に設けられている勘定を変更しようとする場合には、当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に対し、非課税口座異動届出書の提出ができることとする。この場合において、当該非課税口座異動届出書を提出する日以前に当該勘定に既に上場株式等の受入れをしているときは、当該金融商品取引業者等の営業所の長は、当該非課税口座異動届出書を受理すること
ができないこととする。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(注)上記②の改正は、平成35年1月1日以後に設けられる非課税口座について適用するとともに、所要の経過措置を講ずる。
(2)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、次の措置を講ずる。
① 居住者等が未成年者口座の開設並びに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定をすることができる年齢要件をその年1月1日において18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げる。
② 次に掲げる書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供の際に行うこととされている本人確認の方法について、その者の氏名、生年月日及び住所の記載のある住所等確認書類を提示する方法を加える。
イ 未成年者口座内上場株式等移管依頼書
ロ 特定口座以外の他の保管口座への未成年者口座内上場株式等移管依頼書
③その他所要の措置を講ずる。
(注)上記①の改正は、平成35年1月1日以後に設けられる未成年者口座等について適用するとともに、所要の経過措置を講ずる。
(3)上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例について、次の措置を講ずる。
① 支払の取扱者が交付をする集団投資信託の収益の分配に係る上場株式等の配当等に係る源泉徴収税額から控除することとされているその集団投資信託の信託財産について納付した所得税及び外国所得税の額のうちその集団投資信託の収益の分配に対応する部分の金額の計算については、その集団投資信託の収益から収益調整金のみに係るものを除いて行うこととする。
② 受益権を他の証券投資信託の受託者に取得させることを目的とする証券投資信託の範囲に、その受益権を表示する受益証券が発行されていないもののうち当該受益権の譲渡が制限されているものを加える。
③ 支払の取扱者は、上場株式等の配当等に係る所得税の額からその上場株式等の配当等に係る外国所得税に相当する金額等を控除した場合には、その金
額を控除したことを証する書類等をその控除した日の属する年の翌年から7年間、納税地に保存しなければならないこととする。
④その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる上場株式等の配当等
について適用する。
(4)信託財産に係る利子等の課税の特例について、次の措置を講ずる。
① 集団投資信託の収益の分配に係る源泉徴収税額から控除することとされているその集団投資信託の信託財産について納付した所得税及び外国所得税の額の計算については、その集団投資信託の収益から収益調整金のみに係るものを除いて行うこととする。
② 集団投資信託の収益の分配の支払を受けた者が確定申告書に記載する源泉徴収税額から控除する外国所得税の額は、その者に係る収益の分配に係る所得税の額にその集団投資信託の信託財産の外貨建資産への運用割合を乗じた額を限度とする。
③ 受益権を他の証券投資信託の受託者に取得させることを目的とする証券投資信託の範囲に、その受益権を表示する受益証券が発行されていないもののうち当該受益権の譲渡が制限されているものを加える。
④その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる収益の分配について
適用する。
(5)
財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人が、その者の賃金の支払者、勤務先若しくは事務代行先の名称若しくは所在地の変更があった場合若しくはその者の賃金の支払者が事務代行団体に事務の委託をした場合、委託をやめた場合若しくは特定賃金支払者でなくなった場合又は現にその者の財産形成住宅(年金)貯蓄の受入れをしている金融機関の営業所等に対してその事務の全部を移管することを依頼する場合に提出する財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書及び財産形成非課税住宅(年金)貯蓄の勤務先異動申告書(以下「申告書等」という。)には、当該申告書等を提出する者の個人番号の記載を要しないこととし、当該申告書等の提出を受けた者は、当該申告書等にその提出した者の個人番号を付記するものとする。
(注)上記の改正は、申告書等の提出をする者が当該提出を受ける者に個人番号の記載された財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書等を提出していない場合には、適用しない。
(6)
中小企業等経営強化法の改正を前提に、特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、次の措置を講ずる。
① 適用対象者の範囲に、中小企業等経営強化法に規定する認定新規中小企業者等(仮称)が同法の認定を受けた同法に規定する新事業分野開拓計画(仮称)に従って活用する取締役及び使用人等以外の者(当該新事業分野開拓計画(仮称)の実施期間の開始の日から新株予約権の行使までの間、居住者であること等の要件を満たす者に限る。以下「特定事業者」という。)を加える。
② 特定事業者が本特例の適用を受けて取得をした株式を相続等により取得をした個人は、承継特例適用者に該当しないこととする。
③ 特定事業者が、本特例の適用を受けて取得をした株式の譲渡等をするまでに国外転出をする場合には、当該国外転出の時に、当該株式に係る新株予約権の行使の日における当該株式の価額に相当する金額により当該株式の譲渡があったものとみなして、所得税を課する。
④その他所要の措置を講ずる。
(注)特定事業者の相続人は、本特例の適用はできないこととする。
(7)
特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、居住者等が発行法人等に対して役務の提供をした場合におけるその役務の提供の対価としてその居住者等に生ずる債権の給付と引換えにその居住者等が取得することとされている上場株式等を加える。
(8)
エンジェル税制(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例、特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。
(9)平成28年1月1日前に次に掲げる告知又は告知書の提出(以下「告知等」という。)を行った者で同日以後に配当等の支払を受けるものが、平成31年1月1日以後最初に配当等の支払を受ける日等までにその告知等を受けた者に行うこととされている個人番号又は法人番号の告知について、その告知期限を3年延長する。
①利子、配当等の受領者の告知
②無記名公社債の利子等に係る告知書の提出
③株式等の譲渡の対価の受領者の告知
④交付金銭等の受領者の告知
⑤償還金等の受領者の告知
⑥信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知
⑦先物取引の差金等決済をする者の告知
⑧金地金等の譲渡の対価の受領者の告知
⑨特定株式投資信託の受益者に係る情報の受託者への告知
⑩特定口座開設届出書の提出をする者の告知
⑪非課税口座開設届出書の提出をする者の告知
⑫国外送金等をする者の告知書の提出
⑬国外証券移管等をする者の告知書の提出
(10)行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 個人番号の告知を受けるべき金融機関等が、その金融機関等に個人番号の告知をすべき者でその告知をしていないもの(以下「番号未告知者」という。)の個人番号を振替機関から提供を受けて確認したときは、その番号未告知者がその金融機関等に個人番号の告知をしたものとみなして、改めてその番号未告知者がその金融機関等に個人番号の告知を行うことを要しないこととする。
② 金融機関等が番号未告知者の個人番号の確認をしたときは、その金融機関等が提出すべきその確認後にその番号未告知者に支払をする配当等に係る支払調書等には、その確認をした個人番号を記載することとする。
〔縮減〕
エンジェル税制(特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用対象となる株式の範囲から、認可金融商品取引業協会の規則においてその事業の成長発展が見込まれるものとして指定を受けている銘柄(グリーンシート・エマージング区分)の株式を発行する等の要件を満たす株式会社により発行される株式を除外する。
3 森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設
(1)森林環境税(仮称)の創設
① 基本的な仕組み
イ 納税義務者等
森林環境税(仮称)は、国内に住所を有する個人に対して課する国税とする。
ロ 税率
森林環境税(仮称)の税率は、年額1,000円とする。
ハ 賦課徴収
森林環境税(仮称)の賦課徴収は、市町村において、個人住民税と併せて行うこととする。
ニ 国への払込み
市町村は、森林環境税(仮称)として納付又は納入された額を都道府県を経由して国の交付税及び譲与税配付金特別会計に払い込むこととする。
② 施行期日
森林環境税(仮称)は、平成36年度から課税する。
③ その他
個人住民税に準じて非課税の範囲、減免、納付・納入、罰則等に関する所要の措置を講ずる。
(2)森林環境譲与税(仮称)の創設
① 基本的な仕組み
イ 森林環境譲与税(仮称)
森林環境譲与税(仮称)は、森林環境税(仮称)の収入額に相当する額
とし、市町村及び都道府県に対して譲与する。
ロ 譲与基準
(イ)森林環境譲与税(仮称)の10分の9に相当する額は、市町村に対し、当該額の10分の5の額を私有林人工林面積で、10分の2の額を林業就業者数で、10分の3の額を人口で按分して譲与する。
(ロ)森林環境譲与税(仮称)の10分の1に相当する額は、都道府県に対し、市町村と同様の基準で按分して譲与する。
(注)市町村の私有林人工林面積は、次のとおり林野率により補正する。
区 分 | 補正の方法 |
林野率85%以上の市町村 | 私有林人工林面積を1.5倍に割増し |
林野率75%以上85%未満の市町村 | 私有林人工林面積を1.3倍に割増し |
林野率75%未満の市町村 | 補正なし |
ハ 使途及び公表
(イ)市町村は、森林環境譲与税(仮称)を、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないこととする。
(ロ)都道府県は、森林環境譲与税(仮称)を、森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てなければならないこととする。
(ハ)市町村及び都道府県は、森林環境譲与税(仮称)の使途等を公表しなければならないこととする。
② 施行期日
森林環境譲与税(仮称)は、平成31年度から譲与する。
(3)創設時の経過措置
① 平成31年度から平成35年度までの間における森林環境譲与税(仮称)は、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金をもって充てることとし、各年度における借入金の額及び譲与額は次のとおりとする。
期 間 | 借入金の額及び譲与額 |
平成31年度から平成33年度まで | 200億円 |
平成34年度及び平成35年度 | 300億円 |
(注)借入金の額には、当該年度における利子の支払に要する費用等に相当する額を加算する。
② 平成36年度から平成44年度までの間における森林環境譲与税(仮称)は、森林環境税(仮称)の収入額から借入金の償還金及び利子の支払に要する費用等に相当する額を控除した額に相当する額とし、各年度における借入金の償還額は次のとおりとする。
期 間 | 償還額 |
平成37年度から平成40年度まで | 200億円 |
平成41年度から平成44年度まで | 100億円 |
(注1)平成36年度においては、借入金の償還は行わない。
(注2)償還額には、平成31年度から平成35年度までの利子の支払に要した費用等に相当する額を各年度の借入金の償還額に応じて加算する。
③ 平成31年度から平成44年度までの間における森林環境譲与税(仮称)の市町村及び都道府県への譲与割合は、次のとおりとする。
期 間 | 市町村 | 都道府県 |
平成31年度から平成36年度まで | 100分の80 | 100分の20 |
平成37年度から平成40年度まで | 100分の85 | 100分の15 |
平成41年度から平成44年度まで | 100分の88 | 100分の12 |
(4)その他
その他所要の措置を講ずる。
4 租税特別措置等
(国税)
〔延長・拡充〕
(1)
国等に対して重要文化財を譲渡した場合の譲渡所得の非課税措置の適用対象に、重要文化財を文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に譲渡した場合を加える。
(2)
債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例について、適用対象となる内国法人の範囲に、当該内国法人について平成28年4月1日以後に初めて一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき債務処理計画が策定されたこと等の要件を満たすものを加えた上、その適用期限を3年延長する。
(3)
被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例について、
適用対象となる内国法人の範囲に、当該内国法人について平成28年4月1日以後に初めて一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき債務処理計画が策定されたこと等の要件を満たすものを加えた上、その適用期限を3年延長する。
(4)児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業による金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、所得税を課さないこととする。
(5)
未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金(仮称)として給付される給付金については、所得税を課さないこととする。
(6)
政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除の適用期限を5年延長する。
〔廃止〕
(1)保険年金の保険金受取人等に係る更正の請求の特例を廃止する。
(2)
特別還付金の支給制度を廃止する。
(地方税)
〔延長・拡充〕
(1)
国等に対して重要文化財を譲渡した場合の譲渡所得の非課税措置の適用対象に、重要文化財を文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に譲渡した場合を加える。
(2)
債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例について、適用対象となる内国法人の範囲に、当該内国法人について平成28年4月1日以後に初めて一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき債務処理計画が策定されたこと等の要件を満たすものを加えた上、その適用期限を3年延長する。
(3)
被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例について、適用対象となる内国法人の範囲に、当該内国法人について平成28年4月1日以後に初めて一般に公表された債務処理を行うための手続に関する準則に基づき債務処理計画が策定されたこと等の要件を満たすものを加えた上、その適用期限を3年延長する。
(4)児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業による金銭の貸付けに
つき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、個人住民税を課さないこととする。
(5)
未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金(仮称)として給付される給付金については、個人住民税を課さないこととする。
(6)
探鉱準備金制度について、その適用期限を3年延長する。
5 その他
(国税)
(1)
中核市の長から療育手帳の交付を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加えるとともに、当該療育手帳を障害者等確認書類等の範囲に加える。
(2)
居住者が納付する森林環境税(仮称)及び森林環境税(仮称)に係る延滞金は、必要経費に算入しないこととする。
(3)
個人が保有する資金決済に関する法律に規定する仮想通貨につき、その者の所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる期末において有する仮想通貨の価額は、移動平均法又は総平均法により算出した取得価額をもって評価した金額とするほか、所要の措置を講ずる。
(4)
源泉徴収及び確定申告における配偶者に係る控除の適用について、次の見直しを行う。
① 給与等又は公的年金等の源泉徴収における源泉控除対象配偶者に係る控除の適用については、夫婦のいずれか一方しか適用できないこととする。
② 居住者の配偶者が、公的年金等の源泉徴収において源泉控除対象配偶者に係る控除の適用を受け、かつ、公的年金等に係る確定申告不要制度の適用を受ける場合等には、その居住者は、確定申告において配偶者特別控除の適用を受けることができないこととする等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成32年分以後の所得税について適用する。
(5)次に掲げる書類については、確定申告書等に添付し、又は確定申告書等の提出の際提示することを要しないこととするほか、これに伴う所要の措置を講ずる。
①給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
②オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
③配当等とみなす金額に関する支払通知書
④上場株式配当等の支払通知書
⑤特定口座年間取引報告書
⑥未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
⑦特定割引債の償還金の支払通知書
⑧ 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例を適用する際の相続税額等を記載した書類
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に提出する確定申告書等について適用する。
(6)その年において支払を受けるべき給与等で年末調整の適用を受けたものを有する居住者が提出する確定申告書の記載事項のうち、その年末調整で適用を受けた所得控除の額と確定申告で適用を受ける所得控除の額とが同額である場合におけるこれらの所得控除に関する事項については、その年末調整で適用を受けた所得控除の額の合計額の記載によることができることとする。
(注1)確定申告で適用を受ける所得控除の額のうち年末調整で適用を受けた所得控除の額と同額である所得控除については、その内訳の記載を要しないこととし、その額の記載によることができることとする。
(注2)上記の改正は、平成31年分以後の確定申告書を平成31年4月1日以後に提出する場合について適用する。
(7)公的年金等(公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下「扶養親族等申告書」という。)の提出をすることができないものを除く。以下同じ。)の源泉徴収について、次の見直しを行う。
① 扶養親族等申告書の提出をしなかった場合の源泉徴収税額は、その提出の際に経由すべき公的年金等の支払者が支払う公的年金等の金額から公的年金等控除及び基礎控除に対応する控除の月割額(その月割額が最低保障額に満たない場合には、最低保障額)にその公的年金等の支給月数を乗じて計算した金額を控除した残額に、5%の税率を乗じて計算する。
(注)上記の最低保障額は、9万円(その公的年金等の支払を受ける居住者が65歳以上である場合には、13万5千円)とする。
② 扶養親族等申告書にその者の氏名を自署した場合には、その者の押印を要しないこととする。
③ 扶養親族等申告書の記載事項から、同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者がある場合の人数を除外する。
④その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払を受けるべき公的年金等について適用する。
(8)
社会医療法人制度における認定要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、関係法令の改正により社会保険診療等に係る収入金額の範囲に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の規定に基づく障害福祉サービスに係る収入金額を加える見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(9)
奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(10)
農業協同組合法の改正により農業協同組合中央会から組織変更した農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、引き続き公共法人等とする。
(11)
漁業法等の一部を改正する等の法律による改正後の水産業協同組合法に規定する漁業協同組合等について、引き続き納税準備預金の利子の非課税の特例の対象となる預け先の金融機関等とする。
(12)
子ども・子育て支援法の一部改正により新たに支給されることとなる子育てのための施設等利用給付(仮称)について次の措置を講ずるとともに、見直し後の同法の子どものための教育・保育給付並びに児童福祉法の障害児通所給付費、特例障害児通所給付費及び障害児入所給付費について引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さない。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(13)
雇用保険法の教育訓練給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①所得税を課さない。
②国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(地方税)
〈個人住民税〉
(1)
中核市の長から療育手帳の交付を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加えるとともに、当該療育手帳を障害者等確認書類等の範囲に加える。
(2)
国税における次の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
①森林環境税(仮称)等の必要経費不算入
②仮想通貨の取得価額の計算方法等に関する措置
③確定申告書等における一定の書類の添付不要化等
④確定申告書の記載事項の見直し
⑤公的年金等の源泉徴収の見直し
(3)
漁業法等の一部を改正する等の法律による改正後の水産業協同組合法に規定する漁業協同組合等について、引き続き納税準備預金の利子の非課税の特例の対象となる預け先の金融機関等とする。
(4)
子ども・子育て支援法の一部改正により新たに支給されることとなる子育てのための施設等利用給付(仮称)について次の措置を講ずるとともに、見直し後の同法の子どものための教育・保育給付並びに児童福祉法の障害児通所給付費、特例障害児通所給付費及び障害児入所給付費について引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さない。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(5)
雇用保険法の教育訓練給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
①個人住民税を課さない。
②地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(6)
国税における組織再編税制に係る見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(7)
漁業法等の一部を改正する等の法律附則の規定により改正後の漁業法の免許を受けたものとみなされる改正前の漁業法の免許に係る漁業権について所要の措置を講ずる。
(8)
国庫補助金等の総収入金額不算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金でAI活用グローバルデータプラットフォーム創出事業(仮称)等に係るものを加える。
(9)
国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
(10)
個人住民税における都道府県又は市区町村(以下「都道府県等」という。)に対する寄附金に係る寄附金税額控除について、次の見直しを行う。
① 総務大臣は、次の基準に適合する都道府県等をふるさと納税(特例控除)の対象として指定することとする。
イ 寄附金の募集を適正に実施する都道府県等
ロ イの都道府県等で返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす都
道府県等
(イ)返礼品の返礼割合を3割以下とすること
(ロ)返礼品を地場産品とすること
②①の基準は総務大臣が定めることとする。
③指定は、都道府県等の申出により行うこととする。
④ 総務大臣は、指定をした都道府県等が基準に適合しなくなったと認める場合等には、指定を取り消すことができることとする。
⑤ 総務大臣は指定をし、又は指定を取り消したときは、直ちにその旨を告示しなければならないこととする。
⑥ 基準の制定や改廃、指定や指定の取消しについては、地方財政審議会の意見を聴かなければならないこととする。
⑦その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年6月1日以後に支出された寄附金について適用する。
(11)子どもの貧困に対応するため、次の措置を講ずる。
① 児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く。)を個人住民税の非課税措置の対象に加える。
(注1)上記の「児童」は、父又は母と生計を一にする子で前年の総所得金額等の合計額が48万円以下であるものとする。
(注2)上記の「婚姻」及び「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとする。
② 個人住民税の申告書、給与所得者の扶養親族申告書及び給与支払報告書等について、上記①の者に該当する旨の記載をし、申告することとする等の所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成33年度分以後の個人住民税について適用する。
(12)
個人住民税の非課税措置における未成年の要件について、改正後の民法の未成年と同様とする。
(13)平成
31年度分の個人住民税に係る非課税限度額(均等割・所得割)については、現行どおりとする。
〈国民健康保険税〉
(14)
国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を61万円(現行:58万円)に引き上げる。
(15)
国民健康保険税の減額の対象となる所得の基準について、次のとおりとする。
① 5割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を28万円(現行:27.5万円)に引き上げる。
② 2割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者の数に乗ずべき金額を51万円(現行:50万円)に引き上げる。
二 資産課税
1 個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設等
(1)個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設
①概要
認定相続人が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。
(注1)上記の「認定相続人」とは、承継計画に記載された後継者であって、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受けた者をいう。
(注2)上記の「特定事業用資産」とは、被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く。以下同じ。)の用に供されていた土地(面積400㎡までの部分に限る。)、建物(床面積800㎡までの部分に限る。)及び建物以外の減価償却資産(固定資産税又は営業用として自動車税若しくは軽自動車税の課税対象となっているものその他これらに準ずるものに限る。)で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものをいう。
(注3)上記の「承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された特定事業用資産の承継前後の経営見通し等が記載された計画であって、平成31年4月1日から平成36年3月31日までの間に都道府県に提出されたものをいう。
②猶予税額の計算
猶予税額の計算方法は、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例と同様とする。
③ 猶予税額の免除
イ 全額免除
次の場合には、猶予税額の全額を免除する。
(イ)認定相続人が、その死亡の時まで、特定事業用資産を保有し、事業を継続した場合
(ロ)認定相続人が一定の身体障害等に該当した場合
(ハ)認定相続人について破産手続開始の決定があった場合
(ニ)相続税の申告期限から5年経過後に、次の後継者へ特定事業用資産を
贈与し、その後継者がその特定事業用資産について贈与税の納税猶予制度(後述)の適用を受ける場合
ロ 一部免除
次の場合には、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に
準じて、猶予税額の一部を免除する。
(イ)同族関係者以外の者へ特定事業用資産を一括して譲渡する場合
(ロ)民事再生計画の認可決定等があった場合
(ハ)経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特定事業用
資産の一括譲渡又は特定事業用資産に係る事業の廃止をするとき
(注4)上記の「経営環境の変化を示す一定の要件」は、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に準じた要件とする。
なお、上記イ(ハ)又はロの場合には、過去5年間に認定相続人の青色事業専従者に支払われた給与等で必要経費として認められない額は免除しない。
④ 猶予税額の納付
イ 認定相続人が、特定事業用資産に係る事業を廃止した場合等には、猶予税額の全額を納付する。
ロ 認定相続人が、特定事業用資産の譲渡等をした場合には、その譲渡等をした部分に対応する猶予税額を納付する。
⑤ 利子税の納付
上記④により、猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、その納付税額について相続税の法定申告期限からの利子税(年3.6%)(利子税の特例(貸出約定平均利率の年平均が0.6%の場合)を適用した場合には、年
0.7%)を併せて納付する。
⑥ その他
イ 被相続人は相続開始前において、認定相続人は相続開始後において、それぞれ青色申告の承認を受けていなければならない。
ロ 認定相続人は、相続税の申告期限から3年毎に継続届出書を税務署長に提出しなければならない。
ハ 認定相続人が、相続税の申告期限から5年経過後に特定事業用資産を現物出資し、会社を設立した場合には、当該認定相続人が当該会社の株式等を保有していることその他一定の要件を満たすときは、納税猶予を継続する。
ニ 被相続人に債務がある場合には特定事業用資産の価額から当該債務の額(明らかに事業用でない債務の額を除く。)を控除した額を猶予税額の計算の基礎とする、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度における資産管理会社要件を踏まえた要件を設定する等の租税回避行為を防止する措置を講ずる。
ホ この納税猶予の適用を受ける場合には、特定事業用宅地等について小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができない。
ヘ その他非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例に準ずる措置のほか所要の措置を講ずる。
(2)個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設
① 認定受贈者(18歳(平成34年3月31日までの贈与については、20歳)以上である者に限る。以下同じ。)が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。
② 認定受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人以外の者であっても、その贈与者がその年1月1日において60歳以上である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができる。
③猶予税額の納付、免除等については、相続税の納税猶予制度と同様とする。
④ 贈与者の死亡時には、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する部分を除く。)をその贈与者から相続等により取得したものとみなし、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税を計算する。その際、都道府県の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予の適用を受けることができる。
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成31年1月1日以後に相続等又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(3)特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の
特例の見直し
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く。)を除外する。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用する。ただし、同日前から事業の用に供されている宅地等については、適用しない。
2 教育資金の一括贈与非課税措置の見直し
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
(1)
信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該信託等により取得した信託受益権等については、本措置の適用を受けることができないこととする。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。
(2)
教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるもののうち、教育に関する役務提供の対価、スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価、これらの役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料を除外する。ただし、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除外しない。
(注)上記の改正は、平成31年7月1日以後に支払われる教育資金について適用する。
(3)
信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において次のいずれかに該当する場合を除く。)において、受贈者が当該贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等について本措置の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。
①当該受贈者が23歳未満である場合
②当該受贈者が学校等に在学している場合
③当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
(注1)上記の「管理残額」とは、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち、贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等の価額に対応する金額をいう。
(注2)上記の改正は、平成31年4月1日以後に贈与者が死亡した場合について適用する。ただし、同日前に信託等により取得した信託受益権等の価額は、上記(注1)の信託受益権等の価額に含まれないものとする。
(4)教育資金管理契約の終了事由について、受贈者が30歳に達した場合においても、その達した日において上記(3)②又は③のいずれかに該当するときは教育資金管理契約は終了しないものとし、その達した日の翌日以後については、その年において上記(3)②若しくは③のいずれかに該当する期間がなかった場合におけるその年12月31日又は当該受贈者が40歳に達する日のいずれか早い日に教育資金管理契約が終了するものとする。
(注)上記の改正は、平成31年7月1日以後に受贈者が30歳に達する場合について適用する。
(5)その他所要の措置を講ずる。
3 結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
(1)信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該信託等により取得した信託受益権等については、本措置の適用を受けることができないこととする。
(2)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権
等に係る贈与税について適用する。
4 租税特別措置等
(国税)
〔新設〕
〈登録免許税〉
関係法令の改正を前提に、福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人のうち一定のものが、平成31年4月1日から平成34年3月31日までの間に、同法に規定する帰還環境整備事業計画に記載された同法に規定する特定公益的施設若しくは特定公共施設のうち一定のものを整備する事業又は土地を集約化する事業の用に供するために同法に規定する避難解除区域等内に所在する不動産を取得した場合における当該不動産の所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
(1)所有権の移転登記 1,000分の10(本則1,000分の20)
(2)地上権等の設定登記等 1,000分の5(本則1,000分の10)
〔延長・拡充等〕
〈相続税・贈与税〉
(1)
農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
① 特例適用農地等の買換え特例について、福島復興再生特別措置法に規定する認定特定復興再生拠点区域復興再生計画に記載された事業、東日本大震災復興特別区域法に規定する復興整備計画に記載された事業その他東日本大震災からの復興のための一定の事業の用に供するために譲渡をした一定の避難指示区域等内に所在する特例適用農地等に係る代替農地等(一定の避難指示区域等内に所在するものに限る。)の取得期限は、当該特例適用農地等の所在する市町村内の避難指示区域に係る避難指示の全てが解除された日から5年(現行:譲渡があった日から1年)を経過する日とする。
(注)上記の「一定の避難指示区域等」とは、南相馬市、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の区域内の避難指示区域及び避難解除区域をいう。
② 関係法令の改正を前提に、農地利用集積円滑化事業を農地中間管理事業に統合すること等に伴う所要の措置を講ずる。
(2)
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の措置を講ずる(特例制度についても同様とする。)。
① 贈与税の納税猶予における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
② 一定のやむを得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合においても、その該当した日から6月以内にこれら
の会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取消事由に該当しないものとする。
③ 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の適用を受ける場合には贈与税の納税猶予の免除届出の添付書類を不要とする等、手続の簡素化を行う。
(注)上記①の改正は、平成34年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。
〈登録免許税〉
(3)
土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(4)
利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(5)
信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(6)
農業信用基金協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(7)
日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(8)
農業競争力強化支援法に規定する認定事業再編計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(9)
金融機能の強化のための特別措置に関する法律に規定する経営強化計画に基づき行う登記(東日本大震災の影響により自己資本の充実を図ることが必要となった金融機関等が経営強化計画に基づき行うものを含む。)に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延長する。
(10)
認定民間都市再生事業計画(当該計画に係る認定が国家戦略特別区域法の規定により国土交通大臣の認定があったものとみなされるものである場合における当該計画を含む。(11)において同じ。)に基づき都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、都市再生事業の要件のうちその都市再生事業の施行される土地の区域内に整備される建築物の延べ面積を75,000㎡以上(現行:50,000㎡以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(11)
認定民間都市再生事業計画に基づき特定都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(12)
特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(13)
特例事業者等が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が新築等をした建築物及びその敷地をその新築等後10年以内に譲渡することとの要件を廃止する。
② 適用対象となる特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が取得する不動産の範囲に借地上の建築物を加える。
(14)
特定の社債的受益権に係る特定目的信託の終了に伴い信託財産を買い戻した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を3年延長する。
〈印紙税〉
(15)
特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を3年延長する。
(16)
特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置の対象となる金融機関の範囲に株式会社商工組合中央金庫を加える。
(注)上記の改正は、平成30年5月20日以後に発生した激甚災害に係る消費貸借に関する契約書について適用する。
(地方税)
〔新設〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業を実施する者が当該事業の用に供する一定の土地及び償却資産に係る固
定資産税及び都市計画税について、課税標準を最初の5年間価格の3分の2とする特例措置を平成33年3月31日まで講ずる。
(2)
河川法に規定する高規格堤防の整備に係る事業のために使用された土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が当該土地の上に取得した代替家屋に係る固定資産税について、居住部分に係る税額を最初の5年間3分の2、非居住部分に係る税額を最初の5年間3分の1減額する措置を平成34年3月31日まで講ずる。
(3)
福島復興再生特別措置法施行規則の改正を前提に、福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人が同法に規定する帰還環境整備事業計画に基づき一定の事業の用に供する土地及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税について、課税標準を最初の5年間価格の3分の1とする特例措置を平成34年3月31日まで講ずる。
〈不動産取得税〉
(4)
農地中間管理事業の推進に関する法律等の改正を前提に、農地利用集積円滑化事業を農地中間管理事業に統合することに伴い、農地利用集積円滑化団体から農地中間管理機構が承継した農地等に係る不動産取得税について、非課税とする等の所要の措置を講ずる。
(5)
福島復興再生特別措置法施行規則の改正を前提に、福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人が同法に規定する帰還環境整備事業計画に基づき取得した一定の土地に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の5分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を平成34年3月31日まで講ずる。
〈事業所税〉
(6)農業協同組合法の改正により農業協同組合中央会から組織変更した農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いることができるものが行う収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)
鉄軌道事業者が取得した新造車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①適用対象に、既存車両の改良により新造車両と同様の環境性能要件(下記
③により加える一定の環境性能要件を除く。)を備えることとなった車両の改良に係る部分を加える。
②気動車の適用要件を、液体式気動車から電気式気動車に変更する。
③ 一定の鉄軌道事業者について、適用対象となる新造車両に一定の環境性能要件を加える。
(2)
防災上重要な道路における無電柱化のため、道路の地下に埋設するために新設した電線等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
① 道路法に基づき道路上における占用の禁止又は制限の指定が行われたことにより電柱の新設が禁止された緊急輸送道路以外の道路の区域を対象に加え、当該区域の地下に埋設するために新設した電線等に係る固定資産税について、課税標準を最初の4年間価格の2分の1とする。
② 緊急輸送道路のうち、道路法に基づき道路上における占用の禁止又は制限の指定が行われたことにより電柱の新設が禁止された区域以外の区域の地下に埋設するために新設した電線等に係る固定資産税について、課税標準を最初の4年間価格の4分の3(現行:3分の2)とする。
(3)平成
31年度分及び平成32年度分の平成28年熊本地震による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税については、被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置を引き続き適用できることとする。
(4)
公益社団法人又は公益財団法人が文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する家屋及び土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(5)
子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた者が一定の保育施設の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(6)
心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等の支給を受けて
取得した事業用施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(7)
都市緑地法に規定する緑地保全・緑化推進法人が同法に規定する認定計画に基づき設置した市民緑地の用に供する土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(8)
都市再開発法に規定する市街地再開発事業の施行に伴い従前の権利者が取得した一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(9)
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得した一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(10)
鉄軌道事業者が政府の補助を受けて取得した車両の運行の安全性の向上に資する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(11)
鉄軌道事業者が取得した新造車両で高齢者、障害者等の移動等の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(12)
都市鉄道等利便増進法に規定する都市鉄道利便増進事業により取得した鉄道施設に対して、次の措置を講ずる。
① 鉄軌道事業者又は一定の第三セクター若しくは独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が取得した駅施設の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
② 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が整備した線路設備等のうち市街化区域のトンネルに係る固定資産税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(13)
国際戦略港湾及び一定の要件を満たす国際拠点港湾において、港湾運営会社が、国の無利子資金の貸付け又は補助を受けて取得した一定の荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(14)
特定貨物輸入拠点港湾において、特定貨物取扱埠頭の整備を図るため、港
湾管理者が作成する特定利用推進計画の一定の事業を実施する者が、政府の補助を受けて取得した荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(15)
都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する特定都市再生緊急整備地域において、一定の認定事業により取得した公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(16)
都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する都市再生緊急整備地域において、一定の認定事業により取得した公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(17)
新築のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(18)
東日本大震災により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で取得等をした償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(19)
不動産取得税の徴収猶予の適用を受けている農地等について、福島復興再生特別措置法に規定する認定特定復興再生拠点区域復興再生計画に記載された事業、東日本大震災復興特別区域法に規定する復興整備計画に記載された事業その他東日本大震災からの復興のための一定の事業の用に供するために譲渡をした一定の避難指示区域等内に所在する特例適用農地等に係る代替農地等(一定の避難指示区域等内に所在するものに限る。)の取得期限は、当該特例適用農地等の所在する市町村内の避難指示区域に係る避難指示の全てが解除された日から5年(現行:譲渡があった日から1年)を経過する日とする。
(注)上記の「一定の避難指示区域等」とは、南相馬市、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の区域内の避難指示区域及び避難解除区域をいう。
(20)
宅地建物取引業者が取得した既存住宅及び当該既存住宅の用に供する土地について、一定の増改築等を行った上、取得の日から2年以内に耐震基準適合
要件を満たすもの等として個人に販売し、自己の居住の用に供された場合に係る不動産取得税の減額措置について、対象工事に居室の窓の断熱改修工事又はこれと併せて行う天井、壁若しくは床の断熱改修工事で、改修後の住宅全体の省エネ性能が断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上及び断熱等性能等級3となるものを加えた上、その適用期限を2年延長する。
(21)
預金保険法に規定する協定銀行が協定の定めにより内閣総理大臣のあっせんを受けて行う破綻金融機関等の事業の譲受け又は預金保険機構の委託を受けて行う資産の買取りにより取得した不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(22)
保険業法に規定する協定銀行が協定の定めにより保険契約者保護機構の委託を受けて行う破綻保険会社等の資産の買取りにより取得した不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(23)
公益社団法人又は公益財団法人が取得した文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(24)
心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等の支給を受けて取得した事業用施設に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(25)
農業経営基盤強化促進法の規定による公告があった農用地利用集積計画に基づき取得した農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(26)
農業協同組合等が農業近代化資金等の貸付けを受けて取得した農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(27)
東日本大震災の津波被災区域を含む地域における土地改良法の規定による換地計画に基づき、事業実施地区外の農業者が取得した創設農用地換地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(28)
小笠原諸島振興開発特別措置法の一部改正により、小笠原諸島へ帰島する者が取得した不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5
年延長する。
(29)
特定目的会社が資産流動化計画に基づき取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(30)
信託会社等が投資信託により取得した一定の不動産及び投資法人が取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(31)
都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する特定都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得した不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(32)
都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得した不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(33)
新築のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置及び当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
〈事業所税〉
(34)
公益法人等が設立する理容師・美容師養成施設の修得者課程における一定の技芸の教授について、収益事業以外の事業として、事業所税の非課税措置を講ずる。
(35)
特定農産加工業経営改善臨時措置法に規定する承認計画に基づき特定農産加工業者等が事業の用に供する一定の施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置について、次の措置を講ずる。
① 特定農産加工業経営改善臨時措置法施行規則の改正を前提に、適用対象に菓子製造業、パスタ製造業及び砂糖製造業を加える。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人の事業及び平成31年以後の年分の個人の事業に対して課すべき事業所税について適用する。
② 特定農産加工業経営改善臨時措置法の改正を前提に、適用期限を1年9月(個人の事業については2年)延長する。
(36)
子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた者が設置する一定の保
育施設において行う事業に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(37)
沖縄振興特別措置法に規定する観光地形成促進地域における特定民間観光関連施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(38)
沖縄振興特別措置法に規定する情報通信産業振興地域における一定の情報通信産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(39)
沖縄振興特別措置法に規定する産業高度化・事業革新促進地域における一定の産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(40)
沖縄振興特別措置法に規定する国際物流拠点産業集積地域における一定の産業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
〈固定資産税〉
(1)
低公害車燃料等供給設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
①対象から天然ガス自動車用天然ガス充塡設備を除外する。
②課税標準を価格の4分の3(現行:3分の2)とする。
(2)
熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、課税標準を価格の12分の11(現行:6分の5)とした上、その適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(3)不動産特定共同事業法に規定する特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、適用対象から小規模不動産特定共同事業者等が取得した一定の家屋を除外した上、その適用期限を2年延長する。
5 その他
(国税)
(1)
相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げる。
(2)
次に掲げる制度における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
①相続時精算課税制度
②直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例
③相続時精算課税適用者の特例
④ 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度(特例制度についても同様とする。)(再掲)
(注)上記(1)及び(2)の改正は、平成34年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(3)民法(相続関係)の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 相続税における配偶者居住権等の評価額を次のとおりとする。
イ 配偶者居住権
建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ロ 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という。)の所有権
建物の時価-配偶者居住権の価額
ハ 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利
土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
ニ 居住建物の敷地の所有権等
土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額
(注1)上記の「建物の時価」及び「土地等の時価」は、それぞれ配偶者居住権が設定されていない場合の建物の時価又は土地等の時価とする。
(注2)上記の「残存耐用年数」とは、居住建物の所得税法に基づいて定められている耐用年数(住宅用)に1.5を乗じて計算した年数から居住建物の築後経過年数を控除した年数をいう。
(注3)上記の「存続年数」とは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める年数をいう。
(イ)配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身の間である場合 配偶者の平均余命年数
(ロ)(イ)以外の場合 遺産分割協議等により定められた配偶者居住権の存続期間の年数(配偶者の平均余命年数を上限とする。)
(注4)残存耐用年数又は残存耐用年数から存続年数を控除した年数が零以下となる場合には、上記イの「(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数」は、零とする。
②物納劣後財産の範囲に居住建物及びその敷地を加える。
③ 配偶者居住権の設定の登記について、居住建物の価額(固定資産税評価額)に対し1,000分の2の税率により登録免許税を課税する。
④特別寄与料に係る課税について、次のとおりとする。
イ 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税を課税する。
ロ 上記イの事由が生じたため新たに相続税の申告義務が生じた者は、当該事由が生じたことを知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。
ハ 相続人が支払うべき特別寄与料の額は、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除する。
ニ 相続税における更正の請求の特則等の対象に上記イの事由を加える。
⑤ 遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
⑥その他所要の措置を講ずる。
(4)次に掲げる書類について、住民票の写しの添付を要しないこととする。
①相続時精算課税選択届出書
②障害者非課税信託申告書
(注)上記①の改正は、平成32年1月1日以後に贈与により取得する財産に係
る贈与税について適用する。
(5)
関係法令の改正を前提に、社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの医療法人の移行計画の認定要件における
社会保険診療等に係る収入金額の範囲に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の規定に基づく障害福祉サービスに係る収入金額を加える見直しが行われた後も、その見直し後の認定医療法人について、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等を適用する。
(6)
奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き非課税法人(印紙税法別表第二)とし、その受ける登記等について引き続き非課税措置(登録免許税法別表第三)を講ずる。
(7)
漁業法等の一部を改正する等の法律による改正後の水産業協同組合法に規定する漁業協同組合等について、預貯金証書等に係る印紙税の非課税措置等、引き続きこれらの法人に対する現行の印紙税の税制上の措置を適用する。
(8)農業協同組合法の改正により農業協同組合中央会から組織変更した農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、引き続き印紙税の非課税法人とする。
(地方税)
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)
医療法施行規則等の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
(2)
農地中間管理事業の推進に関する法律等の改正を前提に、農地利用集積円滑化事業を農地中間管理事業に統合することに伴い、所要の措置を講ずる。
(3)
水産業協同組合法の改正により漁業協同組合等の事業が追加された後も、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
〈不動産取得税〉
(4)
医療法施行規則等の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
(5)
水産業協同組合法の改正により漁業協同組合等の事業が追加された後も、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
〈事業所税〉
(6)水産業協同組合法の改正により漁業協同組合等の事業が追加された後も、現行制度と同様の特例措置を講ずる。
三 法人課税
1 イノベーション促進のための研究開発税制の見直し
(国税)
試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う(次の(1)の控除税額の上限の見直しを除き、所得税についても同様とする。)。
(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率を次のとおり見直した上、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限を当期の法人税額の40%(現行:25%)に引き上げる。
①増減試験研究費割合が8%超
9.9%+(増減試験研究費割合-8%)×0.3
②増減試験研究費割合が8%以下 9.9%-(8%-増減試験研究費割合)×0.175
(注1)上記の「研究開発を行う一定のベンチャー企業」とは、設立後10年以内の法人のうち当期において翌期繰越欠損金額を有するもの(大法人の子会社等を除く。)をいう。
(注2)上記①については、10%を上限とする(現行と同じ。)。
(注3)上記②については、6%を下限とする(現行と同じ。)。
(2)試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税額の上限の上乗せ特例について、次のとおり改組した上、その適用期限を2年延長する。
① 試験研究費の総額に係る税額控除制度における控除税額の上限(当期の法人税額の25%又は40%)に、当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%を上限とする。)を乗じて計算した金額を上乗せする(現行と同じ。)。
②試験研究費の総額に係る税額控除制度における税額控除率を、上記(1)①及び②並びに(注3)により算出した率に、その算出した率に控除割増率を乗じて計算した率を加算した率とする(小数点以下3位未満の端数は切捨て)。
(注)上記の「控除割増率」とは、試験研究費割合から10%を控除した割合に0.5を乗じた割合(10%を上限とする。)をいう。
(3)
試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率(上記(1)及び(2)②)の上限を14%(原則:10%)とする特例の適用期限を2年延長する。
(4)
中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が5%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例に見直した上、その適用期限を2年延長する。また、上記(2)②と同様に、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合に税額控除率を割り増す措置を講ずる。
(5)
特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
① 対象となる特別試験研究費の額に、次の要件を満たす企業間の委託研究に要する費用の額を加え、その税額控除率を下記③を除き20%とする。
イ 受託者の委託に基づき行う業務がその受託者において試験研究に該当す
るものであること。
ロ 委託に係る委任契約等(契約又は協定で、委任又は準委任の契約その他これに準ずるものに該当するものをいう。)において、その委託して行う試験研究の目的とする成果をその委託に係る委任契約等に基づき委託法人が取得するものとされていること。
ハ 次のいずれかを満たすこと。
(イ)委託して行う試験研究が委託法人の基礎研究又は応用研究であること。(ロ)委託して行う試験研究が受託者の知的財産権等を利用するものである
こと。
(注)上記の「知的財産権等」とは、知的財産権、これに準ずるノウハウ(第三者との契約により受託者が権利を有することが明らかなものに限る。)その他これらを活用した機械その他の減価償却資産をいう。
ニ 委託に係る委任契約等において、その委託に係る試験研究が委託法人の工業化研究に該当するものでない旨又は受託者の知的財産権等を利用するものである旨その他一定の事項が定められていること。
② 特別試験研究費の対象となる国の指定を受けた医薬品等に関する試験研究について、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正を前提に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所からの助成金の交付を受けて行う特定用途医薬品等に関する試験研究を加えるとともに、その助成金の交付を受ける法人の常時使用従業員数が1,000人以下であることとの要件を設ける。
(注)上記の「特定用途医薬品等」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の特定用途医薬品、特定用途医療機器及び特定用途再生医療等製品のうち、その用途に係る対象者の数が本邦において5万人未満であるものをいう。
③ 研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への上記①の委託研究に係る税額控除率を25%とする。
(注)上記の「研究開発型ベンチャー企業」とは、産業競争力強化法の新事業開拓事業者でその発行する株式の全部又は一部が同法の認定ベンチャーファンドの組合財産であるものその他これに準ずるものをいう。
④控除税額の上限を当期の法人税額の10%(現行:5%)に引き上げる。
⑤ 特別試験研究費のうち大学等との共同研究に係る費用について、研究開発のプロジェクトマネジメント業務等を担う者の人件費の適用を明確化する。(6)上記(2)の改組に伴い、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税
額控除制度を廃止する。
(7)新設の分割承継法人等に係る調整計算等の適正化その他の所要の整備を行う。
(地方税)
中小企業者等の試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う。
(1)
中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が5%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例に見直した上、その適用期限を2年延長する。
(2)
試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限の上乗せ特例について、次のとおり改組した上、その適用期限を2年延長する。
① 中小企業技術基盤強化税制における控除税額の上限(当期の法人税額の25%)に、当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%を上限とする。)を乗じて計算した金額を上乗せする(現
行と同じ。)。
② 中小企業技術基盤強化税制における税額控除率を、12%又は上記(1)の特例による率に、その率に控除割増率を乗じて計算した率を加算した率とする(小数点以下3位未満の端数は切り捨てた率とし、17%を上限とする。)。
(3)
特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
① 対象となる特別試験研究費の額に、次の要件を満たす企業間の委託研究に要する費用の額を加え、その税額控除率を下記③を除き20%とする。
イ 受託者の委託に基づき行う業務がその受託者において試験研究に該当す
るものであること。
ロ 委託に係る委任契約等(契約又は協定で、委任又は準委任の契約その他これに準ずるものに該当するものをいう。)において、その委託して行う試験研究の目的とする成果をその委託に係る委任契約等に基づき委託法人が取得するものとされていること。
ハ 次のいずれかを満たすこと。
(イ)委託して行う試験研究が委託法人の基礎研究又は応用研究であること。
(ロ)委託して行う試験研究が受託者の知的財産権等を利用するものである
こと。
ニ 委託に係る委任契約等において、その委託に係る試験研究が委託法人の工業化研究に該当するものでない旨又は受託者の知的財産権等を利用するものである旨その他一定の事項が定められていること。
② 特別試験研究費の対象となる国の指定を受けた医薬品等に関する試験研究について、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正を前提に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所からの助成金の交付を受けて行う特定用途医薬品等に関する試験研究を加えるとともに、その助成金の交付を受ける法人の常時使用従業員数が1,000人以下であることとの要件を設ける。
③ 研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への上記①の委託研究に係る税額控除率を25%とする。
④控除税額の上限を当期の法人税額の10%(現行:5%)に引き上げる。
⑤特別試験研究費のうち大学等との共同研究に係る費用について、研究開発のプロジェクトマネジメント業務等を担う者の人件費の適用を明確化する。
(4)上記(2)の改組に伴い、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度を廃止する。
(5)新設の分割承継法人等に係る調整計算等の適正化その他の所要の整備を行う。
2 中堅・中小・小規模事業者の支援
(国税)
(1)
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長する。
(2)
中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(3)
中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、特定経営力向上設備等の範囲の明確化及び適正化を行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(4)
特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、経営改善設備の投資計画の実施を含む経営改善により売上高又は営業利益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて認定経営革新等支援機関等の確認を受けることを適用要件に加えた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に取得等をする経営改善設備について適用する。なお、同日前に交付を受けた経営改善指導助言書類に係る経営改善設備のうち同年9月30日までに取得等をしたものについては、上記の確認を受けることを不要とする経過措置を講ずる。
(5)
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)について、関係法令の改正を前提に、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 承認地域経済牽引事業について主務大臣の確認を受ける事業年度の前事業年度の付加価値額がその確認を受ける事業年度の前々事業年度の付加価値額より8%以上増加していることとの要件を満たす場合には、その承認地域経済牽引事業の用に供した機械装置及び器具備品について、特別償却率を
50%(現行:40%)に、税額控除率を5%(現行:4%)に、それぞれ引き上げる。
② 承認地域経済牽引事業の実施場所が平成29年7月31日以前に発生した特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合において、その計画承認日が特定非常災害発生日から5年(現行:3年)を経過していないときは、その承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件を満たすものとする。
③ 適用投資額の上限を80億円(現行:100億円)に引き下げる。
(6)
中小企業等経営強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)のうち同法の事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から平成33年3月31日までの間に、その認定に係る事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画に係る特定事業継続力強化設備等の取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却ができることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「中小企業者」とは、中小企業等経営強化法の中小企業者であって租税特別措置法第42条の4第8項第6号の中小企業者その他これに準ずる法人に該当するものをいう。
(注2)上記の「特定事業継続力強化設備等」とは、中小企業等経営強化法の事業継続力強化設備等(仮称)として認定事業継続力強化計画又は認定連携事業継続力強化計画(仮称)に記載された機械装置、器具備品及び建物附属設備のうち、一定の規模以上のものをいう。
(注3)上記の「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいう。
①機械装置 1台又は1基の取得価額が100万円以上のもの
②器具備品 1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
③建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
(7)法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置等におけるみなし大企業の範囲について、次の見直しを行う。
① 中小企業投資促進税制、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度、中小企業経営強化税制、被災代替資産等の特別償却制度及び上記(6)の制度について、次のとおり、事業承継ファンドを通じて株式を保有されている場合の措置を講ずる。
中小企業等経営強化法の事業再編投資計画の認定に係る投資事業有限責任組合の組合財産である株式を発行した中小企業者について、中小企業投資促進税制、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度、中小企業経営強化税制、被災代替資産等の特別償却制度及び上記(6)の制度のみなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から、その投資事業有限責任組合に係る組合員の出資をした独立行政法人中小企業基盤整備機構の有する株式を除外する。
② みなし大企業の判定において、大規模法人に次の法人を加えるとともに、その判定対象となる法人の発行済株式又は出資からその有する自己の株式又は出資を除外する。
イ 大法人の100%子法人
ロ 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有さ
れている法人
(注)上記の「大法人」とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上である法人、相互会社若しくは外国相互会社(常時使用従業員数が1,000人超のものに限る。)又は受託法人をいう。
(地方税)
(1)
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は中小企業者等の税額控除制度(地域未来投資促進税制)について、関係法令の改正を前提に、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 承認地域経済牽引事業について主務大臣の確認を受ける事業年度の前事業年度の付加価値額がその確認を受ける事業年度の前々事業年度の付加価値額より8%以上増加していることとの要件を満たす場合には、その承認地域経済牽引事業の用に供した機械装置及び器具備品について、特別償却率を50%(現行:40%)に、税額控除率を5%(現行:4%)に、それぞれ引き上げる。
② 承認地域経済牽引事業の実施場所が平成29年7月31日以前に発生した特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合にお
いて、その計画承認日が特定非常災害発生日から5年(現行:3年)を経過していないときは、その承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件を満たすものとする。
③適用投資額の上限を80億円(現行:100億円)に引き下げる。
(2)
法人住民税関係の中小企業向けの各特例措置等におけるみなし大企業の判定において、大規模法人に次の法人を加えるとともに、その判定対象となる法人の発行済株式又は出資からその有する自己の株式又は出資を除外する。
①大法人の100%子法人
②100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有され
ている法人
3 地方創生の推進
(国税)
(1)
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)について、関係法令の改正を前提に、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。(再掲)
① 承認地域経済牽引事業について主務大臣の確認を受ける事業年度の前事業年度の付加価値額がその確認を受ける事業年度の前々事業年度の付加価値額より8%以上増加していることとの要件を満たす場合には、その承認地域経済牽引事業の用に供した機械装置及び器具備品について、特別償却率を50%(現行:40%)に、税額控除率を5%(現行:4%)に、それぞれ引き上げる。
② 承認地域経済牽引事業の実施場所が平成29年7月31日以前に発生した特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合において、その計画承認日が特定非常災害発生日から5年(現行:3年)を経過していないときは、その承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件を満たすものとする。
③適用投資額の上限を80億円(現行:100億円)に引き下げる。
(2)
認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度について、対象事業に地方創生関係交付金による事業も含まれることの明確化等の運用の改善を行う。
(地方税)
(1)
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は中小企業者等の税額控除制度(地域未来投資促進税制)について、関係法令の改正を前提に、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。(再掲)
① 承認地域経済牽引事業について主務大臣の確認を受ける事業年度の前事業年度の付加価値額がその確認を受ける事業年度の前々事業年度の付加価値額より8%以上増加していることとの要件を満たす場合には、その承認地域経済牽引事業の用に供した機械装置及び器具備品について、特別償却率を50%(現行:40%)に、税額控除率を5%(現行:4%)に、それぞれ引き上げる。
② 承認地域経済牽引事業の実施場所が平成29年7月31日以前に発生した特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合において、その計画承認日が特定非常災害発生日から5年(現行:3年)を経過していないときは、その承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件を満たすものとする。
③適用投資額の上限を80億円(現行:100億円)に引き下げる。
(2)
認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人事業税額及び法人住民税法人税割額の特別控除制度について、対象事業に地方創生関係交付金による事業も含まれることの明確化等の運用の改善を行う。
4 頻発する災害への対応
(国税)
(1)中小企業等経営強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)のうち同法の事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から平成33年3月31日までの間に、その認定に係る事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画に係る特定事業継続力強化設備等の取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の20%の特別償却ができることとする(所得税についても同様とする。)。(再掲)
(注1)上記の「中小企業者」とは、中小企業等経営強化法の中小企業者であって租税特別措置法第42条の4第8項第6号の中小企業者その他これに準ずる法人に該当するものをいう。
(注2)上記の「特定事業継続力強化設備等」とは、中小企業等経営強化法の事業継続力強化設備等(仮称)として認定事業継続力強化計画又は認定連携事業継続力強化計画(仮称)に記載された機械装置、器具備品及び建物附属設備のうち、一定の規模以上のものをいう。
(注3)上記の「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいう。
① 機械装置 1台又は1基の取得価額が100万円以上のもの
②器具備品 1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
③建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
(2)
保険会社等の異常危険準備金制度における特例積立率について、次の措置を講ずる。
①火災保険等に係る特例積立率を6%(現行:5%)に引き上げた上、その適用期限を3年延長する。
②火災共済に係る特例積立率の適用期限を3年延長する。
(3)
東日本大震災への対応
① 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度のうち復興産業集積区域に係る措置について、復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域内にあるものに限る。)内において産業集積事業等の用に供した機械装置、建物等及び構築物につき、特別償却率及び税額控除率を引き上げる措置の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
② 企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、旧緊急時避難準備区域以外の区域につき、福島県知事の認定を受ける期間及び適用期間の末日を避難指示解除日等から7年(現行:5年)を経過する日とする(所得税についても同様とする。)。
③ 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、旧緊急時避難準備区域以外の区域につき、福島県知事の確認を受ける期間及び適用期間の末日を避難指示解除日等から7年(現行:5年)
を経過する日とする(所得税についても同様とする。)。
④ 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度について、復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域内にあるものに限る。)内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に支給する給与等の額につき、税額控除率を引き上げる措置の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
⑤ 企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の税額控除制度について、旧緊急時避難準備区域以外の区域につき、福島県知事の認定を受ける期間の末日を避難指示解除日等から7年(現行:3年)を経過する日とする(所得税についても同様とする。)。
⑥ 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の税額控除制度について、旧緊急時避難準備区域以外の区域につき、福島県知事の確認を受ける期間の末日を避難指示解除日等から7年(現行:3年)を経過する日とする(所得税についても同様とする。)。
⑦ 復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却制度等について、中小企業者等に限り、復興産業集積区域(雇用等被害地域を含む市町村の区域内にあるものに限る。)内において開発研究の用に供した開発研究用資産につき、特別償却率を引き上げる措置の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
⑧ 震災特例法に係る被災代替資産等の特別償却制度について、対象資産から漁船以外の船舶を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
⑨ 関係法令の改正を前提に、福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人(一定のものに限る。)に対する避難解除区域等のうち一定の区域内にある土地等の譲渡で、当該譲渡に係る土地等が当該帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された土地を集約化する事業の用に供されるものについて、法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)を適用する。
5 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
(1)法人事業税(所得割及び収入割に限る。)の税率の改正
法人事業税の標準税率を次のとおりとし、平成31年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。
①資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人の所得割の標準税率
現 行 | 改正案 | |
年400万円以下の所得 | 1.9% | 0.4% |
年400万円超年800万円以下の所得 | 2.7% | 0.7% |
年800万円超の所得 |
3.6% | 1% |
②資本金1億円以下の普通法人等の所得割の標準税率
現 行 | 改正案 | |
年400万円以下の所得 | 5% | 3.5% |
年400万円超年800万円以下の所得 | 7.3% | 5.3% |
年800万円超の所得 |
9.6% | 7% |
③特別法人の所得割の標準税率
現 行 | 改正案 | |
年400万円以下の所得 | 5% | 3.5% |
年400万円超の所得 | 6.6% | 4.9% |
(特定の協同組合等の年10億円超の所得 | 7.9% | 5.7%) |
④収入金額課税法人の収入割の標準税率
現 行 | 改正案 | |
電気供給業、ガス供給業及び保険業 を行う法人の収入金額に対する税率 |
1.3% | 1% |
(注1)資本金1億円超の普通法人の所得割の制限税率について、標準税率の
1.7倍(現行:1.2倍)に引き上げる措置を講ずる。
(注2)3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人のうち資本金1,000万円以上であるものの所得割に係る税率については、軽減税率の適用はない。
(注3)上記の「現行」とは、平成31年10月以降に適用することとされている税率に関する規定である。
(2)特別法人事業税(仮称)の創設
① 特別法人事業税(仮称)の基本的な仕組み
イ 納税義務者等
特別法人事業税(仮称)は、法人事業税(所得割又は収入割)の納税義務者に対して課する国税とする。
ロ 課税標準
法人事業税額(標準税率により計算した所得割額又は収入割額とする。)
ハ税率
(イ)付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に
対する税率 260%
(ロ)所得割額によって法人事業税を課税される普通法人等の所得割額に対する税率 37%
(ハ)所得割額によって法人事業税を課税される特別法人の所得割額に対する税率 34.5%
(ニ)収入割額によって法人事業税を課税される法人の収入割額に対する税率 30%
ニ 申告納付
特別法人事業税(仮称)の申告納付は、都道府県に対して、法人事業税と併せて行うものとする。
ホ 賦課徴収
特別法人事業税(仮称)の賦課徴収は、都道府県において、法人事業税と併せて行うものとする。
ヘ 国への払込み
都道府県は、特別法人事業税(仮称)として納付された額を国の交付税及び譲与税配付金特別会計に払い込むものとする。
②適用期日
特別法人事業税(仮称)は、平成31年10月1日以後に開始する事業年度から適用する。
(3)特別法人事業譲与税(仮称)の創設
特別法人事業税(仮称)の収入額を、使途を限定しない一般財源として都道府県へ譲与する特別法人事業譲与税(仮称)を創設する。
特別法人事業譲与税(仮称)の譲与の基準は以下のとおりとし、平成32年度から譲与する。
① 特別法人事業税(仮称)の収入額を人口で按分した額を各都道府県への譲与額とする。
② 当該年度の普通交付税の財源超過団体に対しては、①による譲与額から当該譲与額の75%に相当する額(当該額が当該財源超過団体の財源超過額(①に基づく譲与が行われたとした場合の財源超過額とする。)を超える場合には、当該財源超過額)を控除した額を譲与する。
③ 当該年度の普通交付税の財源超過団体以外の都道府県に対しては、②で控除した額をこれらの都道府県の人口で按分した額を①の譲与額に加算した額を譲与する。
④②の財源超過額は、東京都においては、特別区との合算額を用いる。
(4)その他
① 特別法人事業税(仮称)の創設に伴い、法人事業税交付金の交付水準に変動が生じないよう、交付率を100分の7.7(現行:100分の5.4)に引き上げる。その際、交付金の算定基礎から、法人事業税の超過課税分を除く措置を講ずる。
(注)上記の「現行」とは、平成31年10月以降に適用することとされている交付率に関する規定である。
② 平成32年2月以降に都道府県から国に払い込まれた地方法人特別税の収入額を特別法人事業譲与税(仮称)の原資に加える等の所要の措置を講ずる。
③ 特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)については、施行後適当な時期において、施行後の状況を勘案し、必要があると認めるときは、検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
④ 都道府県の財政運営に支障が生じないよう、法人事業税の標準税率の引下げ並びに特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)の創設により減収が生じる場合に、地方債の発行を可能とする措置を講ずる。
⑤その他所要の措置を講ずる。
6 円滑・適正な納税のための環境整備
(国税)
(1)
課税所得の範囲の変更に伴う調整措置について、次の見直しを行う。
① 公益法人等である一般社団法人若しくは一般財団法人又は医療法人が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算について、対象となる法人を公益法人等全般とした上、公益法人等が協同組合等に移行する場合についても対象とする。
② 普通法人又は協同組合等である一般社団法人若しくは一般財団法人、医療法人又は生産森林組合が公益法人等に移行する場合に解散及び設立があったものとする措置について、対象となる法人を普通法人又は協同組合等全般とする。
(2)
法人税における仮想通貨の評価方法等について、次のとおり時価法を導入する等の措置を講ずる。
① 法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。
② 法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
③ 仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
④ 法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。なお、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、上記①及び④を適用しないことができる経過措置を講ずる。
(3)
法人設立届出書及び外国普通法人となった旨の届出書について、定款等の写し以外の書類の添付を要しないこととする。また、収益事業開始届出書について、収益事業の概要等を記載した書類及び合併により設立した法人に係る書類
の添付を要しないこととする。
(4)
投資法人に係る課税の特例及び特定投資信託に係る受託法人の課税の特例について、他の法人の発行済株式又は出資の50%以上を有していないこととの要件に係る次の見直しを行う。
①他の法人の出資に匿名組合出資を含めることとする。
②匿名組合を通じて間接的に有する株式等を合算(その保有株式等に匿名組
合出資割合を乗じて算出する。)して判定することとする。
7 その他の租税特別措置
(国税)
〔拡充等〕
(1)
船舶の特別償却制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 外航船舶について、対象に海上運送法の認定先進船舶導入等計画(導入に関するものに限る。)に記載された特定先進船舶を加えるとともに、特別償却率を次のとおりとした上、環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
イ 特定先進船舶
(イ)日本船舶 20%
(ロ)日本船舶以外のもの 18%
ロ 特定先進船舶以外のもの
(イ)日本船舶 17%(現行:18%)
(ロ)日本船舶以外のもの 15%(現行:16%)
(注)上記の「特定先進船舶」とは、海上運送法の先進船舶のうち一定の設備等に環境への負荷の低減に特に資する先進的な技術を用いた船舶をいう。
②内航船舶について、環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
(2)
医療用機器の特別償却制度について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 医療法の構想区域内の配置の効率化又は共同利用を特に図る必要がある特定の医療用機器(病院用のCT及びMRI)について配置効率化等を促すためその適用に当たり次の仕組みを講ずるとともに、対象機器の見直しを行った上、本制度を医療用機器に係る措置として、その適用期限を2年延長する。
イ 更新投資をする場合には、既存機器の有効利用率が一定以上であることにつき都道府県の確認を受けるものとする。
ロ 新増設をする場合には、同様の機器を有しない他の医療機関との共同利用を行うことにつき都道府県の確認等を受けるものとする。
ハ 上記イ又はロの確認等を受けない場合には、地域医療構想調整会議における協議により適当な配置であると認められたことにつき都道府県の確認を受けるものとする。
② 医療提供体制の確保に資する勤務時間短縮用設備に係る措置として、青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から平成33年3月31日までの間に、勤務時間短縮用設備のうち一定の規模以上のものの取得等をして、その医療保健業の用に供した場合には、その取得価額の15%の特別償却ができることとする。
(注1)上記の「勤務時間短縮用設備」とは、器具備品(医療用機器を含む。)及びソフトウエアのうち、その法人の医師勤務時間短縮計画(医療勤務環境改善支援センターの助言を受けて作成する医師の勤務時間を短縮するための計画で、その長及び都道府県による医師の勤務時間の短縮に資するものである旨の確認を受けたものに限る。)に基づき取得等をするものをいう。
(注2)上記の「一定の規模以上のもの」とは、1台又は1基の取得価額等が30万円以上のものをいう。
③ 地域医療提供体制の確保に資する病床の再編等に係る措置として、青色申告書を提出する法人で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から平成33年3月31日までの間に、構想適合病院用建物等の取得等をして、その医療保健業の用に供した場合には、その取得価額の8%の特別償却ができることとする。
(注1)上記の「構想適合病院用建物等」とは、医療法の構想区域等内において取得等をする病院用又は診療所用の建物及びその附属設備のうち、次に掲げる要件のいずれかに該当するもので、その地域医療構想調整会議における協議による方針に基づく病床の機能区分に応じた病床数の増減に資するものであること等につきその構想区域等に係る都道府県の確認を受けたものをいう。
イ 既存の病院用又は診療所用の建物及びその附属設備についてその用途を廃止し、これに代わるものとして新たに建設されるものであること。
ロ 改修により既存の病院用又は診療所用の建物において一の病床の機能区分に応じた病床数が増加する場合のその改修によるものであること。
(注2)上記の「取得等」とは、取得又は建設をいい、改修のための工事による取得又は建設を含むものとし、「改修」とは、増築、改築、修繕又は模様替をいう。
(3)
探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する(探鉱準備金制度は、所得税についても同様とする。)。
① 海外探鉱準備金制度における国内鉱業者に準ずる法人等の要件のうち国外鉱山を有する国外子会社に係るその法人の持分割合が50%以上の外国法人であることとの要件等について、持分割合の判定を議決権割合(現行:株数割合)とする。
② 海外探鉱準備金制度における海外自主開発法人の要件について、採取鉱物引取数量割合要件を40%以上(現行:30%以上)に引き上げる。
(4)
法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)について、対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業(特定所有者不明土地の土地使用権の取得についての都道府県知事による裁定がされた当該裁定に係る申請書に記載されたものに限る。)を実施する者に対する当該申請書に記載された事業区域内にある次に掲げる土地等の譲渡(当該裁定後に行われるものに限る。)で、当該譲渡に係る土地等が当該地域福利増進事業の用に供されるものを加える。
①確知所有者等が有する特定所有者不明土地又はその上に存する権利
② 権利取得計画に記載がされた土地等(一定の地域福利増進事業である場合におけるものを除く。)
(5)
特定の医療法人の法人税率の特例について、その承認要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件における社会保険診療等に係る収入金額の範囲に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の規定に基づく障害福祉サービスに係る収入金額を加える。
〔延長〕
(1)
沖縄の観光地形成促進地域において特定民間観光関連施設を取得した場合の法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する。
(2)
沖縄の情報通信産業振興地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する。
(3)
沖縄の産業高度化・事業革新促進地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
(4)
沖縄の国際物流拠点産業集積地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
(5)
沖縄の経済金融活性化特別地区において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度の適用期限を2年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
(6)
共同利用施設の特別償却制度の適用期限を2年延長する。
(7)
特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち次の措置の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。ただし、次の④の措置は、奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提とする。
①過疎地域に係る措置
②半島振興対策実施地域に係る措置
③離島振興対策実施地域に係る措置
④奄美群島に係る措置
⑤振興山村に係る措置
(8)
沖縄の離島の地域において旅館業用建物等を取得した場合の特別償却制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(9)
事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度の適
用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(10)
沖縄の情報通信産業特別地区における認定法人の所得控除制度の適用期限を2年延長する。
(11)
沖縄の国際物流拠点産業集積地域における認定法人の所得控除制度の適用期限を2年延長する。
(12)
沖縄の経済金融活性化特別地区における認定法人の所得控除制度の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)
公害防止用設備の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(2)
自動車教習用貨物自動車の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(3)
関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、機械装置の取得価額要件を400万円以上(現行:240万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(4)
特定都市再生建築物等の割増償却制度について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 都市再生特別措置法の認定計画(同法の整備計画及び国家戦略特別区域法の国家戦略民間都市再生事業を定めた区域計画を含む。)に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、特定都市再生緊急整備地域以外の都市再生緊急整備地域内において整備される建築物の割増償却率を25%(現行:30%)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。
②雨水貯留利用施設に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(5)
新事業開拓事業者投資損失準備金制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
(6)
公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。なお、平成31年4月1日から平成35年3月31日までの間に開始する各事業年度における貸倒引当金の繰入限度額の計算については、現行法による割増率(10%)に対して1年ごとに5分の1ずつ縮小した率による割増しを認める経過措置を講ずる。
(7)
中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の
評価損益等の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(8)
農業協同組合等の合併に係る課税の特例について、適用対象から全国の区域を地区とする農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併を除外した上、その適用期限を3年延長する。
(地方税)
〔新設〕
電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、一般送配電事業者及び送電事業者による小売電気事業又は発電事業の兼業が禁止されることに伴い分社化しグループ会社となった電気事業者の間の取引に係る収入金額のうち、電気の安定供給の確保のためにやむを得ずグループ会社間で行わなければならないものとして事前に経済産業大臣の承認を受けた取引を行う場合において当該取引の料金として支払うべき金額に相当する金額を追加する課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。
〔延長〕
(1)
ガス供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、他のガス供給業を行う法人から託送供給を受けてガスの供給を行う場合の当該供給に係る収入金額のうち、ガスの供給に係る託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(2)
北海道旅客鉄道株式会社及び四国旅客鉄道株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(3)
預金保険法に規定する承継銀行及び協定銀行に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(4)
新関西国際空港株式会社及び関西国際空港土地保有株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(5)
中部国際空港株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(6)
大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法に規定する特定鉄道事業者に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(7)
東京湾横断道路株式会社に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(8)
株式会社地域経済活性化支援機構に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
8 その他
(国税)
(1)
組織再編税制について、次の見直しを行う。
① 株式交換等の後に株式交換等完全親法人を被合併法人とし、株式交換等完全子法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、その株式交換等に係る適格要件のうち完全支配関係継続要件、支配関係継続要件及び親子関係継続要件について、その適格合併の直前の時までの関係により判定することとする。
② 合併、分割及び株式交換に係る適格要件並びに被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件のうち、対価に関する要件について、対象となる合併法人等の親法人の株式に合併法人等の発行済株式の全部を間接に保有する関係がある法人の株式を加える(旧株の譲渡損益の繰延要件は、所得税についても同様とする。)。
(2)
公益法人等の収益事業に係る課税について、収益事業から除外される理容師法又は美容師法の規定により都道府県知事の指定を受けた施設で行う技芸の教授に、修得者課程における技芸の教授でその修業期間が1年以上(通信課程にあっては、1年6月以上)であること等の要件に該当するものを加える。
(3)
漁業法等の一部を改正する等の法律附則の規定により改正後の漁業法の免許を受けたものとみなされる改正前の漁業法の免許に係る漁業権について所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
(4)
法人が連結親法人又は連結親法人となる法人との間に完全支配関係を有することとなり、連結納税への加入時期の特例の適用を受けるための手続について、連結親法人又は連結親法人となる法人に一元化する。
(5)
連結子法人の本店等所在地に異動があった場合に提出することとされている届出書について、提出すべき法人をその連結子法人(現行:連結親法人)とした上、連結親法人の納税地の所轄税務署長への提出を要しないこととする。
(6)
法人の支給する役員給与における業績連動給与の手続に係る要件について、次の見直しを行う。
① 報酬委員会及び報酬諮問委員会(以下「報酬委員会等」という。)における決定等の手続について、次の見直しを行う。
イ 報酬委員会等を設置する法人の業務執行役員が報酬委員会等の委員でな
いこととの要件を除外するとともに、業務執行役員が自己の業績連動給与の決定等に係る決議に参加していないこととの要件を加える。
ロ 報酬委員会等の委員の過半数が独立社外役員であること及び委員である独立社外役員の全てが業績連動給与の決定に賛成していることとの要件を加える。
② 監査役会設置会社における監査役の過半数が適正書面を提出した場合の取締役会の決定及び監査等委員会設置会社における監査等委員の過半数が賛成している場合の取締役会の決定の手続を除外する。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に支給に係る決議をする給与について適用する。なお、同日から平成32年3月31日までの間に支給に係る決議をする給与については、現行の手続による業績連動給与の損金算入を認める経過措置を講ずる。
(7)
国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金でAI活用グローバルデータプラットフォーム創出事業(仮称)等に係るものを加える(所得税についても同様とする。)。
(8)
奄美群島振興開発特別措置法の期限の延長を前提に、独立行政法人奄美群島振興開発基金を引き続き公共法人(法人税法別表第一)とする。
(9)
社会医療法人制度における認定要件のうち社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、関係法令の改正により社会保険診療等に係る収入金額の範囲に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の規定に基づく障害福祉サービスに係る収入金額を加える見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(10)
農業協同組合法の改正により農業協同組合中央会から組織変更した農業協
同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、引き続き公益法人等とする。
(11)
漁業法等の一部を改正する等の法律による改正後の水産業協同組合法に規定する漁業協同組合等について、引き続き協同組合等(法人税法別表第三)とする。
(12)
農業経営基盤強化促進法の改正を前提に、農地所有適格法人について、その役員に係る要件の見直し後も、引き続き現行の措置を適用する。
(地方税)
(1)
農業協同組合法の改正により農業協同組合中央会から組織変更した農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、収益事業を行わない場合には、引き続き法人住民税及び法人事業税について非課税とする措置を講ずる。
(2)
個人の事業税に係る課税客体の認定上、薬剤師が薬局において販売した場合に薬剤師業とされる医薬品の範囲について、要指導医薬品がその対象となることを明確化する。
(3)
国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
四 消費課税
1 車体課税等の見直し
(国税)
(1)排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に係る自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「自動車重量税のエコカー減税」)について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 乗用自動車
イ 現行、税率を75%軽減する自動車に係る軽減割合を50%とし、税率を50%軽減する自動車に係る軽減割合を25%とする。
ロ 新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する措置の対象となる揮発油自動車及び石油ガス自動車は、平成32年度燃費基準値より90%以上燃費性能の良い自動車とする。
②バス・トラック(車両総重量が2.5t以下のもの)
新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する措置の対象となる自動車の範囲から、揮発油自動車を除外する。
③ バス・トラック(車両総重量が2.5tを超えるもの)
イ 本措置の適用対象となる自動車の範囲から、現行、税率を25%軽減する自動車を除外する。
ロ 新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する措置の対象となる自動車の範囲から、揮発油自動車及び軽油自動車を除外する。
(2)揮発油税及び地方揮発油税の税率(1㎘当たり)を次のとおりとする。
現 行 | 改正案 | |
揮発油税 | 48,600円 (本則税率:24,300円) |
48,300円 (本則税率:24,000円) |
地方揮発油税 | 5,200円 (本則税率:4,400円) |
5,500円 (本則税率:4,700円) |
(注)上記の改正は、平成46年4月1日から施行する。
(3)
その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
〈自動車取得税〉
(1)
排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(新車に限る。)の取得に対して課する自動車取得税に係る特例措置(いわゆる「自動車取得税のエコカー減税」)について、次の見直しを行った上、その適用期限を6月延長する。
① 現行、税率を80%軽減する乗用車及び税率を60%軽減する乗用車に係る軽減割合を
50%とし、税率を40%軽減する乗用車に係る軽減割合を25%とする。
② 本措置の適用対象となる自動車の範囲から、現行、税率を25%軽減するバス・トラックを除外する。
(2)
排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(新車を除く。)の取得に対して課する自動車取得税の課税標準の特例措置について、その適用期限を6月延長する。
(3)
その他所要の措置を講ずる。
〈自動車税環境性能割〉
(4)平成31年10月1日に導入される環境性能割について、次の見直しを行う。
① 環境性能に応じた非課税又は1%若しくは2%の税率(営業用自動車にあっては、非課税又は0.5%若しくは1%の税率)の適用区分について、次の見直しを行う。
イ 天然ガス自動車(車両総重量が3.5t以下のもの)
平成30年排出ガス規制に適合するものを非課税の適用を受ける区分に
加える。
ロ 乗用車
(イ)自家用乗用車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。
現 行 | 改正案 | |
非課税 | 平成32年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの |
平成32年度燃費基準値より20%以上燃費性能の良いもの |
1% | 平成32年度燃費基準値を満たすもの | 平成32年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの |
2% | 平成27年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良いもの |
平成32年度燃費基準値を満たすもの |
(ロ)ガソリン自動車で平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車を、非課税又は1%若しくは2%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限る。
(ハ)石油ガス自動車(液化石油ガスを内燃機関の燃料とする自動車をいう。)で平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車を、非課税又は1%若しくは2%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)ガソリン自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限る。
(ニ)軽油自動車で平成30年排出ガス規制に適合するものを非課税の適用を受ける区分に加える。ハ バス・トラック(車両総重量が2.5t以下のもの)
ガソリン自動車で平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車を、非課税又は1%若しくは2%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限る。
ニ バス・トラック(車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のもの)
(イ)ガソリン自動車で次に掲げるものを、非課税又は1%若しくは2%の税率の適用を受ける区分に加える。
a 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車
b 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より25%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車
(注)上記aについては、平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限り、上記bについては、平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限る。
(ロ)軽油自動車で平成30年排出ガス規制に適合する自動車を、非課税又
は1%若しくは2%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限る。
② 市町村交付金の交付割合を、次のとおりとする。
現 行 | 100分の65 |
平成31年度から平成33年度まで | 100分の47 |
平成34年度以降 | 100分の43 |
(注)上記の「現行」とは、環境性能割導入以後に適用することとされている交付割合に関する規定である。
(5)平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車に係る環境性能割について、次のとおり税率1%分を軽減する特例措置を講ずる。
また、この措置による減収については、全額国費で補塡する。
本措置を講ずる前の税率 | 本措置を講じた後の税率等 |
1% | 非課税 |
2% | 1% |
3% | 2% |
(6)その他所要の措置を講ずる。
〈自動車税種別割〉
(7)
自家用乗用車(三輪の小型自動車を除く。)に係る種別割の税率を次のとおりとし、平成31年10月1日以後に新車新規登録を受けたものから適用する。
(総排気量) | 現行 | 改正案 |
1,000cc以下 | 29,500円 | 25,000円 |
1,000cc超1,500cc以下 | 34,500円 | 30,500円 |
1,500cc超2,000cc以下 | 39,500円 | 36,000円 |
2,000cc超2,500cc以下 | 45,000円 | 43,500円 |
2,500cc超3,000cc以下 | 51,000円 | 50,000円 |
3,000cc超3,500cc以下 | 58,000円 | 57,000円 |
3,500cc超4,000cc以下 | 66,500円 | 65,500円 |
4,000cc超4,500cc以下 | 76,500円 | 75,500円 |
4,500cc超6,000cc以下 | 88,000円 | 87,000円 |
6,000cc超 | 111,000円 | 110,000円 |
(8)
自動車税において講じている燃費性能等の優れた自動車の税率を軽減し、一定年数を経過した自動車の税率を重くする特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化特例」)について、次の措置を講ずる。
① 自家用乗用車
イ 自動車税のグリーン化特例(軽課)
平成33年度及び平成34年度に新車新規登録を受けた自動車について、現行対象としている自動車のうち電気自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車及び軽油自動車に限った特例措置(税率を概ね100分の75軽減する措置)を、当該登録の翌年度に講ずる。その上で、平成31年度及び平成32年度に新車新規登録を受けた自動車については、平成30年度に新車新規登録を受けた自動車に係る自動車税において講じられている措置と同様の措置を適用する。
ロ 自動車税のグリーン化特例(重課)
平成31年度及び平成32年度において、現行と同様の措置を講ずる。
②①以外の自動車
現行のグリーン化特例(軽課)及びグリーン化特例(重課)の適用期限を2年延長する。
(9)その他所要の措置を講ずる。
〈軽自動車税環境性能割〉
(10)平成31年10月1日に導入される環境性能割の環境性能に応じた非課税又は1%若しくは2%の税率(営業用自動車にあっては、非課税又は0.5%若しくは1%の税率。自家用軽自動車に係る特例措置による2%の税率を除く。)の適用区分について、次の見直しを行う。
① 天然ガス軽自動車
平成30年排出ガス規制に適合するものを非課税の適用を受ける区分に加える。
② 乗用車及びトラック(車両総重量が2.5t以下のもの)
ガソリン軽自動車で平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より
50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない軽自動車を、非課税又は1%若しくは2%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車と同様の燃費性能に関する要件を満たすものに限る。
(11)平成31年10月1日から平成32年9月30日までの間に取得した自家用乗用車に係る環境性能割について、次のとおり税率1%分を軽減する特例措置を講ずる。
また、この措置による減収については、全額国費で補塡する。
本措置を講ずる前の税率 | 本措置を講じた後の税率等 |
1% | 非課税 |
2% | 1% |
(12)
その他所要の措置を講ずる。
〈軽自動車税種別割〉
(13)軽自動車税において講じている、燃費性能等の優れた軽自動車(新車に限る。)を取得した日の属する年度の翌年度分の税率を軽減する特例措置(いわゆる「軽自動車税のグリーン化特例(軽課)」)について、次の措置を講ずる。
① 自家用乗用車
平成33年度及び平成34年度に新規取得した軽自動車について、現行対象としている軽自動車のうち電気軽自動車及び天然ガス軽自動車に限った特例措置(税率を概ね100分の75軽減する措置)を、当該取得の翌年度に講ずる。その上で、平成31年度及び平成32年度に新規取得した軽自動車については、平成30年度に新規取得した軽自動車に係る軽自動車税において講じられている措置と同様の措置を適用する。
② ①以外の軽自動車
現行のグリーン化特例(軽課)の適用期限を2年延長する。
(14)
その他所要の措置を講ずる。
〈自動車重量譲与税〉
(15)
自動車重量譲与税の自動車重量税の収入額に対する割合について、次のとおりとする。
期 間 | 本則の割合 | 当分の間の割合 |
現行 | 3分の1 | 1,000分の407 |
平成31年度から平成33年度まで | 1,000分の348 | 1,000分の422 |
平成34年度から平成45年度まで | 1,000分の357 | 1,000分の431 |
平成46年度 | 1,000分の401 | 1,000分の475 |
平成47年度以降 | 1,000分の416 | 1,000分の490 |
(16)
都道府県自動車重量譲与税制度を次のとおり創設する。
①自動車重量税の収入額の一部を、都道府県に対して譲与する。
② 都道府県又は市町村に対する自動車重量譲与税の譲与割合は、次のとおりとする。
期 間 | 都道府県に対する譲与割合 | 市町村に対する譲与割合 |
平成31年度から平成33年度まで | 348分の15 (422分の15) |
348分の333 (422分の407) |
平成34年度から平成45年度まで | 357分の24 (431分の24) |
357分の333 (431分の407) |
平成46年度 | 401分の68 (475分の68) |
401分の333 (475分の407) |
平成47年度以降 | 416分の83 (490分の83) |
416分の333 (490分の407) |
(注)カッコ内の割合は、当分の間の譲与割合である。
③ 都道府県自動車重量譲与税は、自家用乗用車(登録車)の保有台数(自動車税(平成31年10月1日以後にあっては、自動車税種別割)の賦課期日時点における課税台数)で按分して譲与する。
④その他所要の措置を講ずる。
(17)その他所要の措置を講ずる。
〈揮発油税・地方揮発油税〉
(18)揮発油税及び地方揮発油税の税率(1㎘当たり)を次のとおりとする。〔再掲〕
現 行 | 改正案 | |
揮発油税 | 48,600円 (本則税率:24,300円) |
48,300円 (本則税率:24,000円) |
地方揮発油税 | 5,200円 (本則税率:4,400円) |
5,500円 (本則税率:4,700円) |
(注)上記の改正は、平成46年4月1日から施行する。
〈地方揮発油譲与税〉
(19)地方揮発油譲与税について、次の見直しを行う。
① 地方揮発油譲与税に、現行道路の延長及び面積を基準として都道府県及び市町村に対して譲与している分(現行譲与分)とは別に、新たに都道府県に対して譲与する分(新譲与分)を創設する。
②都道府県に対する新譲与分の譲与割合は、1,000分の55とする。
③ 都道府県に対する新譲与分は、自家用乗用車(登録車)の保有台数(自動車税種別割の賦課期日時点における課税台数)で按分して譲与する。
④ 新譲与分の創設に伴い、都道府県及び指定市に対する現行譲与分の譲与割合を1,000分の548(現行:100分の58)とし、市町村に対する現行譲与分の譲与割合を1,000分の397(現行:100分の42)とする。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成46年4月1日から施行する。
2 復興支援のための税制上の措置
(国税)
〔延長〕
(1)
被災自動車等に係る自動車重量税の還付措置の適用期限を2年延長する。
(2)
被災自動車等の使用者であった者が取得する自動車に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を平成33年3月31日まで延長する。
(地方税)
〔延長〕
〈自動車取得税・自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割〉
(1)被災代替自動車等の取得に係る自動車取得税の非課税措置の適用期限を6月延長する。また、自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割について、自動車取得税と同様の非課税措置を平成31年10月1日から平成33年3月31日まで講ずる。
〈自動車税・軽自動車税〉
(2)被災代替自動車等に係る自動車税及び軽自動車税の非課税措置の適用期限を次のとおり2年延長する。
① 平成31年度に被災代替自動車等として取得された自動車等については平成31年度分及び平成32年度分の、平成32年度に被災代替自動車等として取得された自動車等については平成32年度分及び平成33年度分の自動車税及び軽自動車税を非課税とする措置を講ずる。
3 租税特別措置等
(国税)
〔延長・拡充等〕
(1)
入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置について、ウイスキー及びブランデーに係る特例税率を1㎘につき800,000円(現行:600,000円)に、スピリッツに係る特例税率を1㎘につき500,000円(現行:400,000円)に、リキュールに係る特例税率を1㎘につき400,000円(現行:300,000円)に、それぞれ引き上げる。
(注)上記の改正は、平成31年10月1日から実施する。
(2)
入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置について、特例税率を1,000本につき12,500円(現行:12,000円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長する。
(注)上記の改正のうち、税率引上げについては、平成31年10月1日から実施する。
(3)
沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の適用対象に、下地島と沖縄県以外の本邦の地域(離島振興法に規定する離島振興対策実施地域に含まれる離島等を除く。)との間を航行する航空機を加える。
(4)
公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る自動車重量税の免税措置の適用対象に、一般貸切旅客自動車運送事業者がその事業の用に供する
ノンステップバス及びリフト付きバスを加える。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈自動車取得税・自動車税環境性能割〉
(1)
公共交通移動等円滑化基準に適合したノンステップバス及びリフト付きバス並びにユニバーサルデザインタクシー(新車に限る。)に係る自動車取得税の課税標準の特例措置について、対象に一般貸切旅客自動車運送事業者がその事業の用に供するノンステップバス及びリフト付きバス(新車に限る。)を加えた上、その適用期限を6月延長する。また、自動車税環境性能割について、自動車取得税と同様の課税標準の特例措置を平成31年10月1日から平成33年3月31日まで講ずる。
(2)
都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスに係る自動車取得税の非課税措置の適用期限を6月延長する。また、自動車税環境性能割について、自動車取得税と同様の非課税措置を平成31年10月1日から平成33年3月31日まで講ずる。
(3)
車両安定性制御装置等を装備した自動車(新車に限る。)に係る自動車取得税の課税標準の特例措置の適用期限を6月延長する。また、自動車税環境性能割について、自動車取得税と同様の課税標準の特例措置を、次の見直しを行った上、平成31年10月1日から平成33年3月31日まで講ずる。
① 次に掲げる自動車で車両安定性制御装置(横滑り及び転覆に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②及び③において同じ。)、衝突被害軽減制動制御装置(衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。①から③までにおいて同じ。)又は車線逸脱警報装置(車線からの逸脱に対する安全性の向上を図るための装置をいう。①、②及び④において同じ。)のうちいずれか2以上の装置(車両総重量が5t以下のバス等(専ら人の運送の用に供する自動車で乗車定員10人以上のもの(立席を有するものを除く。)をいう。①から④までにおいて同じ。)にあっては、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置)を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成31年10月1日から平成31年10月31日までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から525万円を控除する。
イ 車両総重量が12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え8t以下のトラック(トラクタ及びトレーラ
ーを除く。②から④までにおいて同じ。)
② 次に掲げる自動車で車両安定性制御装置、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置)を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成31年10月1日(イに掲げるバス等及び車両総重量が3.5tを超え8t以下のトラックにあっては、平成31年11月1日)から平成33年3月31日までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から350万円を控除する。
イ 車両総重量が12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラック
③ 次に掲げる自動車で車両安定性制御装置又は衝突被害軽減制動制御装置のいずれか一方の装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては、衝突被害軽減制動制御装置)を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成31年10月1日から平成31年10月31日までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から350万円を控除する。
イ 車両総重量が12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え8t以下のトラック
④ 次に掲げる自動車で車線逸脱警報装置を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車(新車に限る。)の取得が平成31年10月1日から平成31年10月31日(ハに掲げるトラックにあっては、平成32年10月31日)までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から175万円を控除する。
イ バス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え8t以下のトラック
ハ 車両総重量が20tを超え22t以下のトラック
〈軽油引取税〉
(4)
船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、わが国とわが国以外の締約国との間の物品又は役務の相互の提供に関する条約その他の国際約束に基づき、当該締約国の軍隊の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、日加物品役務相互提供協定の締結を前提に、同協定に基づきカナダ軍隊の船舶の動力源に供するため譲渡する場合を対象に加える。
(5)
船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、わが国とわが国以外の締約国との間の物品又は役務の相互の提供に関する条約その他の国際約束に基づき、当該締約国の軍隊の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、日仏物品役務相互提供協定の締結を前提に、同協定に基づきフランス共和国の軍隊の船舶の動力源に供するため譲渡する場合を対象に加える。
〈狩猟税〉
(6)
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に規定する対象鳥獣捕獲員が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税の課税免除の特例措置の適用期限を5年延長する。
(7)
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に規定する認定鳥獣捕獲等事業者の従事者が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税の課税免除の特例措置の適用期限を5年延長する。
(8)
狩猟者登録の申請書を提出する日前1年以内の期間に、鳥獣の管理の目的で、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第9条第1項の規定による許可を受け、当該許可に係る鳥獣の捕獲等を行った者等が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税の税率の特例措置の適用期限を5年延長する。
4 その他
(国税)
(1)外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、次の見直しを行う。
① 臨時販売場に係る届出制度の創設
イ 7月以内の期間を定めた臨時販売場を設置しようとする事業者(既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限る。)が、その設置日の前日までにその設置期間等を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなすこととする。
ロ 上記イの適用を受けようとする事業者は、あらかじめその納税地を所轄する税務署長の承認を受けなければならないこととする。
(注1)上記の臨時販売場に係る届出制度の創設に伴い、外航クルーズ船が寄港する港湾における輸出物品販売場に係る届出制度を廃止する。
(注2)上記の改正は、平成31年7月1日以後に行われる課税資産の譲渡等
について適用する。
(注3)上記の承認等については、平成31年5月1日からその申請等を受け付けることとする。
② 手続委託型輸出物品販売場許可申請書について、承認免税手続事業者の承認通知書の写しの添付を要しないこととする。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に提出する申請書について適用する。
(2)金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除制度の見直し
① 密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。
② 金又は白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える。
(注)上記①の改正は平成31年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、上記②の改正は同年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、それぞれ適用する。
(3)
関係法令の改正を前提に、改正後の社会医療法人について、引き続き消費税法別表第三法人とする。
(4)
農業協同組合法の改正により農業協同組合中央会から組織変更した農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により、その名称中に、引き続き農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、引き続き消費税法別表第三法人として取り扱う。
(5)
日豪円滑化協定(仮称)の締結を前提に、オーストラリア国防軍等が輸入する公用品等及び国内において航空機に積み込む航空機燃料については、同協定において認められる範囲内でこれらの物品に係る内国消費税及び航空機燃料税を免除する。
(6)
沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(7)
構造改革特別区域法の改正を前提に、構造改革特別区域内において清酒の製造免許を受けている者が、当該構造改革特別区域内の特定の施設において清酒の製造体験を提供する場合には、当該施設内に設ける一定の体験製造場をその者の既存の清酒の製造場と一の清酒の製造場とみなす措置を講ずる。
(8)
酒類の製造免許等を受ける者及び酒類販売管理者に選任される者における成年の基準について、改正後の民法の成年と同様とする。
(9)
道路運送車両法の改正による自動車検査証の電子化に伴い、自動車重量税の法定納期限の見直しを行う等の所要の措置を講ずる。
(地方税)
〈地方消費税〉
(1)地方消費税の清算に利用するサービス業対個人事業収入額について、平成24年経済センサス活動調査に基づき定める額から、平成28年経済センサス活動調査に基づき定める額に更新する。
なお、更新に際して、当該調査の「総合リース業」、「産業用機械器具賃貸業」、「経営コンサルタント業、純粋持株会社」、「広告業」、「商業写真業」、「その他の技術サービス業」、「産業廃棄物処理業」、「機械修理業(電気機械器具を除く)」、「労働者派遣業」、「ビルメンテナンス業」及び「他に分類されない事業サービス業」の欄の額を除外する。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行われる地方消費税の清算について適用する。
〈自動車取得税・自動車税・軽自動車税〉
(2)
日豪円滑化協定(仮称)の締結を前提に、オーストラリア国防軍等が取得し、又は所有する自動車に係る自動車取得税、自動車税及び軽自動車税については、同協定において認められる範囲内で非課税措置を講ずる。
(3)
道路運送車両法の改正による自動車検査証の電子化に伴い、所要の措置を講ずる。
〈軽油引取税〉
(4)日豪円滑化協定(仮称)の締結を前提に、オーストラリア国防軍等が軽油の輸入をする場合及び国内において軽油の引取りを行う場合については、同協定において認められる範囲内で軽油引取税を免除する。
五 国際課税
1 過大支払利子税制の見直し
(国税)
関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)について、次の見直しを行う。
(1)
対象となる純支払利子等の額
その事業年度における対象支払利子等の額(支払利子等の額から対象外支払利子等の額を控除した残額をいう。以下同じ。)の合計額からこれに対応するものとして計算した受取利子等の額の合計額(以下「控除対象受取利子等合計額」という。)を控除した残額(以下「対象純支払利子等の額」という。)を本税制の対象とする。
(2)
対象外支払利子等の額
上記(1)の「対象外支払利子等の額」とは、次に掲げる支払利子等の区分に応じ、それぞれ次に定める金額(注)をいう。
(注)一定の関連者が他の者を通じて当該法人に資金を供与したと認められる場合その他の場合における当該他の者に対する支払利子等の額を除く。
① ②に掲げる支払利子等以外の支払利子等 次に掲げる金額
イ 支払利子等を受ける者においてわが国の課税所得に含まれる支払利子等
の額
ロ 一定の公共法人に対する支払利子等の額
ハ 借入れと貸付けの対応関係が明らかな債券現先取引等に係る支払利子等
の額(イ及びロに掲げる金額を除く。)
② 特定債券利子等(当該法人が発行した債券(その取得をした者が実質的に多数でないものを除く。)に係る支払利子等で非関連者に対するものをいう。以下同じ。)
債券ごとに次のいずれかの金額
イ その支払の時に源泉徴収が行われ、又はその特定債券利子等を受ける者においてわが国の課税所得に含まれる特定債券利子等の額及び一定の公共法人に対する特定債券利子等の額
ロ 次に掲げる債券の区分に応じ、それぞれ次に定める金額
(イ)国内で発行された債券 特定債券利子等の額の95%に相当する金額
(ロ)国外で発行された債券 特定債券利子等の額の25%に相当する金額
(3)
調整所得金額
調整所得金額の計算上、当期の所得金額に加算する金額から受取配当等の益金不算入額及び外国子会社配当等の益金不算入額を除外し、当期の所得金額から減算する金額から法人税額から控除する所得税額の損金不算入額を除外するほか、匿名組合契約の営業者の調整所得金額の計算について所要の措置を講ずる。
(4)
損金不算入額
その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(現行:50%)を超える場合には、その超える部分の金額に相当する金額は、損金の額に算入しないこととする。
(5)
適用免除基準
次のいずれかに該当する場合には、本税制を適用しないこととする。
① その事業年度における対象純支払利子等の額が2,000万円以下(現行:1,000万円以下)であること。
② その事業年度におけるイに掲げる金額のロに掲げる金額に対する割合が20%以下であること。
イ 内国法人及び当該内国法人との間に発行済株式等の50%超を保有する
等の関係のある他の内国法人(その事業年度開始の日及び終了の日がそれぞれ当該開始の日の属する当該内国法人の事業年度開始の日及び終了の日であるものに限る。ロにおいて同じ。)の対象純支払利子等の額の合計額から対象純受取利子等の額(控除対象受取利子等合計額から対象支払利子等の額の合計額を控除した残額をいう。)の合計額を控除した残額
ロ 内国法人及び当該内国法人との間に発行済株式等の50%超を保有する等の関係のある他の内国法人の調整所得金額の合計額から調整損失金額(調整所得金額の計算において零を下回る金額が算出される場合のその零を下回る金額をいう。)の合計額を控除した残額
(注)適用免除に係る「その事業年度における関連者支払利子等の額の合計額が総支払利子等の額の50%以下である」旨の要件は廃止する。
(6)
超過利子額の損金算入
① その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(現行:50%)に満たない場合において、前7年以内に開始した事業年度に本税制の適用により損金不算入とされた金額(以下「超過利子額」という。)があるときは、その対象純支払利子等の額と調整所得金額の20%(現行:50%)に相当する金額との差額を限度として、当該超過利子額に相当する金額を損金の額に算入する。
② 上記①について、修正申告書又は更正請求書にその適用を受ける金額等を記載した書類の添付がある場合にもその適用を受けることができることとする等の見直しを行う。
(7)
その他
上記の見直しのほか、過大支払利子税制について所要の措置を講ずる。
(8)
関連制度の整備
連結法人の関連者等に係る純支払利子等の課税の特例について、上記(5)②を除き、上記と同様の見直しを行う。
(注1)上記((6)②を除く。)の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。
(注2)上記(6)②の改正は、平成32年4月1日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用する。
(地方税)
法人住民税及び事業税について、関連者等に係る純支払利子等の課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
2 移転価格税制の見直し
(国税)
国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる「移転価格税制」)について、「BEPSプロジェクト」の勧告により改訂されたOECD移転価格ガイドライン等を踏まえ、次の見直しを行う。
(1)
移転価格税制の対象となる無形資産の明確化
移転価格税制の対象となる無形資産は、法人が有する資産のうち、有形資産及び金融資産(現金、預貯金、有価証券等)以外の資産で、独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付け等が行われるとした場合に対価の支払が行われるべきものとする。
(2)
独立企業間価格の算定方法の整備
独立企業間価格の算定方法(以下「価格算定方法」という。)として、OECD移転価格ガイドラインにおいて比較対象取引が特定できない無形資産取引等に対する価格算定方法として有用性が認められているディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を加える。
これに伴い、独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類の提出等がない場合の推定課税における価格算定方法に、国税当局の当該職員が国外関連取引の時に知り得る状態にあった情報を基にしてDCF法により算定した金額を独立企業間価格とする方法を加える。
(3)評価困難な無形資産に係る取引(特定無形資産取引)に係る価格調整措置の導入
特定無形資産に係る取引(以下「特定無形資産取引」という。)に係る独立企業間価格の算定の基礎となる予測と結果が相違した場合には、税務署長は、当該特定無形資産取引に係る結果及びその相違の原因となった事由の発生の可能性を勘案して、当該特定無形資産取引に係る最適な価格算定方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができることとする。ただし、上記により算定した金額と当初取引価格との相違が20%を超えていない場合は、この限りでない。
①特定無形資産
上記の「特定無形資産」とは、次に掲げる要件の全てを満たす無形資産をいう。
イ 独自性があり重要な価値を有するものであること。
ロ 予測収益等の額を基礎として独立企業間価格を算定するものであること。
ハ 独立企業間価格の算定の基礎となる予測が不確実であると認められるものであること。
②適用免除要件
国税当局の当該職員が次のイ又はロに掲げる書類の提出等を求めた日から一定期間以内に法人からその書類の提出等があった場合には、価格調整措置は適用しない。
イ 次に掲げる書類
(イ)特定無形資産取引に係る独立企業間価格の算定の基礎となる予測の詳細を記載した書類
(ロ)当該予測と結果が相違する原因となった事由が災害その他これに類するものであり取引時においてその発生を予測することが困難であったこと、又は取引時において当該事由の発生の可能性を適切に勘案して独立企業間価格を算定していたことを証する書類
ロ 特定無形資産の使用により生ずる非関連者収入が最初に生じた日を含む事業年度開始の日から5年を経過する日までの間の予測収益等の額と実際収益等の額との相違が20%を超えていないことを証する書類
(注)法人から上記ロに掲げる書類の提出等があった場合には、価格調整措置はその経過する日後は適用しない。
(4)
移転価格税制に係る更正期間等の延長
移転価格税制に係る法人税の更正期間及び更正の請求期間等を7年(現行:6年)に延長する。
(5)
差異調整方法の整備
比較対象取引の利益率を参照する価格算定方法に係る差異調整について、定量的に把握することが困難な差異があるために必要な調整を加えることができない場合には、いわゆる四分位法に基づく方法により差異調整を行うことができることとする。
(6)
その他
上記の見直しのほか、移転価格税制について所要の措置を講ずる。
(7)
関連制度の整備
外国法人等の内部取引に係る課税の特例及び内国法人等の国外所得金額の計算の特例について、上記と同様の見直しを行う。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成33年分以後の所得税について適用する。
(地方税)
個人住民税、法人住民税及び事業税について、国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる「移転価格税制」)の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
3 外国子会社合算税制の見直し
(国税)
内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)について、次の見直しを行う。
(1)特定外国関係会社
① ペーパー・カンパニーの範囲から、次の外国関係会社を除外する。
イ 持株会社である一定の外国関係会社
(イ)子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その資産
の額の95%超が子会社の株式等及び一定の現預金等の資産の額であり、かつ、その収入の額の95%超が子会社からの配当等の額及び一定の預金利子の額であるもの
(注)上記の「子会社」とは、その外国関係会社の本店所在地国と同一国に所在する外国法人で、当該外国関係会社による持分割合が25%以上等の要件に該当するものをいう。
(ロ)特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その本店所在地国と同一国に所在する管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営等が行われていること、当該管理支配会社が当該同一国において行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たすこと、その資産の額の95%超が特定子会社の株式等及び一定の現預金等の資産の額であること、その収入の額の95%超が特定子会社からの配当等の額、特定子会社の株式等の一定の譲渡対価の額及び一定の預金利子の額であること等の要件の全てに該当するもの((ロ)において「被管理支配会社」という。)
(注1)上記の「特定子会社」とは、その外国関係会社の本店所在地国と同一国に所在する部分対象外国関係会社又は管理支配会社に係る他の被管理支配会社をいう。
(注2)上記の「管理支配会社」とは、経済活動基準を満たす外国関係会社で、その本店所在地国においてその役員又は使用人がその主たる事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものをいう。ロにおいて同じ。
ロ 不動産保有に係る一定の外国関係会社
(イ)その本店所在地国と同一国に所在する一定の不動産又は特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、当該同一国に所在する管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営等が行われていること、当該管理支配会社が当該同一国において行う事業(不動産業に限る。)の遂行上欠くことのできない機能を果たすこと、その資産の額の95%超が当該不動産、特定子会社の株式等及び一定の現預金等の資産の額であること、その収入の額の95%超が当該不動産及び特定子会社の株式等から生ずる収入の額並びに一定の預金利子の額であること等の要件の全てに該当するもの((イ)において「被管理支配会社」という。)
(注)上記の「特定子会社」とは、管理支配会社に係る他の被管理支配会社をいう。
(ロ)その本店所在地国と同一国に所在する管理支配会社が自ら使用する当該同一国に所在する不動産の保有を主たる事業とする外国関係会社で、当該管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営等が行われていること、当該管理支配会社が当該同一国において行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たすこと、その資産の額の95%超が当該不動産及び一定の現預金等の資産の額であること、その収入の額の95%超が当該不動産から生ずる収入の額及び一定の預金利子の額であること等の要件の全てに該当するもの
ハ 資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社
特定子会社の株式等の保有、非関連者から調達した資金の特定子会社への提供又はその外国関係会社の本店所在地国と同一国に所在する一定の不動産の保有を主たる事業とする外国関係会社で、当該同一国に所在する管理支配会社等によってその事業の管理、支配及び運営等が行われていること、当該管理支配会社等が当該同一国において行う当該同一国の石油・天然ガス等の資源又は社会資本の開発又は整備等に関する事業(ハにおいて「資源開発等プロジェクト」という。)の遂行上欠くことのできない機能を果たすこと、その資産の額の95%超が特定子会社の株式等、特定子会社に対する一定の貸付金、当該不動産及び一定の現預金等の資産の額であること、その収入の額の95%超が特定子会社の株式等、当該貸付金及び当該不動産から生ずる収入の額並びに一定の預金利子の額であること等の要件の全てに該当するもの
(注1)上記の「特定子会社」とは、その外国関係会社の本店所在地国と同一国に所在する持分割合10%以上の外国法人で、管理支配会社等が当該同一国において行う資源開発等プロジェクトの遂行上欠くことのできない機能を果たすものをいう。
(注2)上記の「管理支配会社等」とは、経済活動基準を満たす外国関係会社で、その本店所在地国においてその役員又は使用人が資源開発等プロジェクトを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものをいい、その本店所在地国と同一国に所在する他の外国法人の役員又は使用人と共同で当該業務の全てに従事している場合の当該他の外国法人を含む。
② ペーパー・カンパニーの判定における保険委託者特例について、次の措置を講ずる。
イ 保険委託者特例の対象となる外国関係会社に関する「一の内国法人(保
険業を主たる事業とするものに限る。)によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている外国関係会社である」旨の要件について、「一の内国法人(保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に限る。)及び当該一の内国法人との間に発行済株式等の全部を保有する等の関係のある内国法人(保険業を主たる事業とするもの又は保険持株会社に限る。)によってその発行済株式等の全部を直接又は外国法人を通じて間接に保有されている外国関係会社である」旨の要件に見直す。
ロ 特定保険受託者の要件に、その本店所在地国においてその役員又は使用人が保険業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事している旨の要件を加える。
(注1)上記イ及びロは、対象外国関係会社の判定及び部分対象外国関係会社である外国金融機関の判定についても同様とする。
(注2)上記イ、ロ及び(注1)は、英国ロイズ市場において、現地の法令に従って設立された保険引受子会社と管理運営子会社が一体となって保険業を営む場合も同様とする。
③ 事実上のキャッシュ・ボックスの範囲に、次のいずれにも該当する外国関係会社を加える。
イ 当該事業年度における非関連者等からの一定の収入保険料(ロにおいて
「特定収入保険料」という。)の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が10%未満である外国関係会社
ロ 当該事業年度における収入保険料(特定収入保険料を除く。ロにおいて同じ。)に係る非関連者等に対する一定の支払再保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が50%未満である外国関係会社
(2)対象外国関係会社(非関連者基準)
保険業を主たる事業とする外国関係会社の非関連者基準の判定について、次の措置を講ずる。
① 特定保険委託者又は特定保険受託者の再保険に係る収入保険料のうち、次に掲げる要件の全てに該当する再保険に係るものについて、関連者から収入するものに該当しないこととする。
イ 特定保険委託者とその特定保険委託者に係る特定保険受託者との間で行
われる再保険又は同一の特定保険受託者に係る特定保険委託者の間で行われる再保険であること。
ロ その再保険に係る元受保険の95%以上が本店所在地国に所在する非関連者のリスクに係るものであること。
ハ 資本の効率化に資するものであること。
② 特定保険受託者に係る特定保険委託者は関連者に含まれないものとはしないこととした上で、特定保険受託者がその特定保険委託者から受ける業務委託手数料相当額について、関連者からの収入保険料に該当しないこととする。
英国ロイズ市場において、現地の法令に従って設立された保険引受子会社と管理運営子会社が一体となって保険業を営む場合も同様とする。
(3)
会社単位の合算課税制度における適用対象金額
現地法令基準を用いて適用対象金額を計算する場合の基準所得金額は、外国関係会社の本店所在地国の法人所得税に関する法令の規定から連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いた規定を適用して計算した外国関係会社の所得の金額に非課税所得等の金額の調整を加えた金額とする。
(4)
適用免除基準における租税負担割合
①所得の金額
外国関係会社の本店所在地国の外国法人税に関する法令の規定により計算した所得の金額は、当該法令の規定から連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いた規定を適用して計算した外国関係会社の所得の金額に非課税所得等の金額の調整を加えた金額とする。
②外国法人税の額
外国関係会社の本店所在地国(注)において課される外国法人税の額は、当該外国法人税に関する法令の規定から連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いた規定を適用して計算した外国関係会社の所得の金額につき外国法人税が課されるものとして計算される外国法人税の額とする。
(注)その本店所在地国が無税国又は一定の免税国であり、かつ、その本店所在地国以外の国において当該本店所在地国以外の国の法人として課税を受ける一定の外国関係会社にあっては、当該本店所在地国以外の国とする。
(5)部分合算課税制度における部分適用対象金額
①に掲げる金額から②に掲げる金額を減算した金額について、部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものを除く。)に係る部分合算課税の対象となる特定所得の金額に加える。
①収入した保険料の合計額から支払った再保険料の合計額を控除した残額
② 支払った保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額
(注1)上記により特定所得の金額に加えられる金額は、部分適用対象金額の計
算上、損益通算グループ所得の金額に該当することとする。
(注2)特定所得の金額である異常所得の金額は、上記①に掲げる金額から上記
②に掲げる金額を減算した金額がないものとした場合の各事業年度の所得の金額を基礎として計算することとする。
(6)二重課税調整
① 外国関係会社が本店所在地国で連結納税等を適用している場合の外国税額控除の計算
内国法人が合算課税の適用を受ける場合に控除される外国法人税の額のうち、外国関係会社の本店所在地国(注)において課される外国法人税の額は、当該外国法人税に関する法令の規定から連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いた規定を適用して計算した外国関係会社の所得の金額につき外国法人税が課されるものとして計算される外国法人税の額とする。
(注)その本店所在地国が無税国又は一定の免税国であり、かつ、その本店所在地国以外の国において当該本店所在地国以外の国の法人として課税を受ける一定の外国関係会社にあっては、当該本店所在地国以外の国とする。
②外国子会社からの配当等に係る二重課税調整の適用要件
内国法人が合算課税の対象となった外国法人等から受ける配当等に係る二重課税調整について、修正申告書又は更正請求書にその適用を受ける金額等を記載した書類の添付がある場合にもその適用を受けることができることとする等の見直しを行う。
(7)
その他
上記の見直しのほか、外国子会社合算税制について所要の措置を講ずる。
(8)
関連制度の整備
居住者に係る外国子会社合算税制及び特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例について、上記と同様の見直しを行う。
(注1)上記((1)③、(5)及び(6)②を除く。)の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度の合算課税(外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度に係るものに限る。)について適用する。
(注2)上記(1)③及び(5)の改正は、外国関係会社の平成31年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(注3)上記(6)②の改正は、内国法人の平成31年4月1日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用する。
(地方税)
個人住民税、法人住民税及び事業税について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
4 平成32年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課税の特例の創設
(国税)
(1)平成
32年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)に参加する選手である非居住者の一定の給与等及び報奨金等並びに大会に参加する選手団に属する非居住者及び審判員である非居住者その他大会の円滑な準備又は運営に関する一定の業務((2)において「大会関連業務」という。)を行う非居住者の一定の給与等については、所得税を課さない。
(2)
大会を主催する外国法人、大会の放送に係る映像の制作等を行う外国法人、大会の放送に関する権利を有する外国法人、大会の競技に係る計測等又は結果の集計等を行う外国法人その他の大会関連業務を行う外国法人が支払を受ける一定の使用料及びその一定の恒久的施設帰属所得については、それぞれ所得税及び法人税を課さない。
(3)
上記(2)の外国法人の法人税の課税対象とされる国内源泉所得に係る所得の金額の全部につき法人税が非課税とされる場合に確定申告書等の提出を不要とする等の所要の措置を講ずる。
(地方税)
(1)
個人住民税について、平成32年に開催される東京オリンピック競技大会又
は東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)に参加する選手である非居住者の一定の給与等及び報奨金等並びに大会に参加する選手団に属する非居住者及び審判員である非居住者その他大会の円滑な準備又は運営に関する一定の業務((2)において「大会関連業務」という。)を行う非居住者の一定の給与等に関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(2)
大会を主催する外国法人、大会の放送に係る映像の制作等を行う外国法人、大会の放送に関する権利を有する外国法人、大会の競技に係る計測等又は結果の集計等を行う外国法人その他の大会関連業務を行う外国法人((3)において「大会関連法人」という。)のうち、大会関連業務のみを行う恒久的施設以外の恒久的施設を有さない者に対しては、法人住民税及び法人事業税を課さない等の所要の措置を講ずる。
(3)
大会関連法人のうち上記(2)の適用を受け法人住民税及び法人事業税が非課税とされる場合に確定申告書等の提出を不要とする等の所要の措置を講ずる。
5 台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度等の整備
(国税)
(1)台湾との間での金融口座情報の自動的な提供のための報告制度の整備
① 報告金融機関等は、その年の12月31日において、当該報告金融機関等の国内にある営業所等を通じて特定取引を行った者(外国金融商品取引所において上場されている法人等を除く。)が報告対象契約を締結している場合には、その報告対象契約ごとに、特定取引を行った者(その者が特定法人である場合における当該特定法人に係る実質的支配者等を含む。)の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地、特定居住地国及び当該報告対象契約に係る資産の価額、当該資産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他必要な事項(以下「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用する方法又は光ディスク等の記録用の媒体を提出する方法により、当該報告金融機関等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならない。
(注)上記の「報告対象契約」とは、特定取引に係る契約のうち次に掲げるものをいう。
イ 特定居住地国が台湾である者等が締結しているもの
ロ 特定居住地国が台湾以外の国又は地域である特定法人で、当該特定法人に係る実質的支配者の特定居住地国が台湾である特定法人が締結しているもの
② 報告金融機関等は、報告事項その他必要な事項に関する記録を作成し、保存しなければならない。
③報告事項の提供に関する調査に係る質問検査権の規定を整備する。
④ 報告事項の不提供・虚偽記載又は報告事項の提供に関する調査に係る検査忌避等に対する罰則を設ける。
⑤その他所要の措置を講ずる。
(2)国別報告事項の提供制度における子会社方式の適用に係る最終親会社等の居住地国に台湾を加える。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に開始する最終親会計年度に係る
国別報告事項について適用する。
6 その他
(国税)
(1)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 非課税の対象となる債券現先取引の範囲に、特定金融機関等(金融商品取引清算機関及び日本銀行を除く。)との間で次に掲げる債券を用いて行う取引期間3月以内等の要件を満たす債券現先取引を加える。
イ 一定の外国が発行し、又は保証する債券(当該外国の通貨をもって表示
されるものに限る。)
ロ 上記イの外国の特別の法令の規定に基づき設立された一定の外国法人が発行する債券(当該外国の通貨をもって表示されるものに限る。)
② 外国投資信託の信託財産につき支払を受ける債券現先取引に係る利子について、当該外国投資信託が振替公社債等の利子等の非課税制度における適格外国証券投資信託である場合に限り、一定の要件の下に、所得税の非課税の対象とする。
③その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に開始する債券現先取引につき支払を受ける利子等について適用する。
(2)
非居住者又は外国法人が受ける振替社債等の利子等の非課税制度について、次の措置を講ずる。
① 振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権につき支払を受ける剰余金の配当等の非課税措置の適用期限を3年延長する。
② 東日本大震災復興特別区域法に規定する特定地方公共団体との間に完全支配関係がある内国法人が発行する利益連動債(地方公共団体が債務保証をしないものに限る。)につき支払を受ける利子等の非課税措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(3)平成
30年度税制改正で見直しが行われた特定目的会社の利益の配当等に係る源泉徴収等の特例(平成32年1月1日施行)を円滑に実施するため、次の措置を講ずる。
① 特定目的会社の利益の配当の額に係る所得税の額から控除する外国法人税の額は、その外国法人税の額のうち、その支払に係る利益の配当の額に対応する部分の額を限度として、その支払を受ける者ごとに計算した金額の合計額とする。
②その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の改正は、投資法人の配当等に係る源泉徴収等の特例、特定目的信託の剰余金の配当に係る源泉徴収等の特例及び特定投資信託の剰余金の配当に係る源泉徴収等の特例についても同様とする。
(注2)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる利益の配当等について適用する。
(4)組織再編税制の見直しへの対応
① 合併法人等の発行済株式の全部を間接に保有する関係がある法人の株式を対価とする合併等が行われる場合の適格合併等の該当性の要件の見直しに伴い、企業グループ内の一定の法人間で合併等が行われる場合の適格合併等の該当性を判定するための要件について、合併法人等の発行済株式の全部を間接に保有する関係がある一定の外国法人(②において「特定関係外国法人」という。)の株式を対価とする場合には、当該要件を満たさないこととする。
②特定関係外国法人の株式を対価とする合併等が行われる場合において、その合併等が適格合併等に該当しないときは、その合併等の時に株主の旧株の譲渡益に対して課税することとする。
(5)
外国税額控除における控除対象外国法人税の額の範囲等の見直し
わが国で所得と認識されない金額に対して課されるものとして外国税額控除の対象から除外される外国法人税の額に、内国法人に対する配当等の支払があったものとみなして課される一定の外国法人税の額を加えるほか、所要の措置を講ずる。
(6)
租税条約の実施のための国内法の整備
① 租税条約の相手国等において国外転出に係る課税の規定の適用を受けた財産を譲渡した場合の二重課税調整
租税条約の相手国等の国外転出に係る課税の規定の適用を受けた居住者が、当該適用に係る財産の譲渡をした場合において、当該租税条約の規定により当該譲渡による所得の金額に係る所得税の額の計算について二重課税調整を行うこととされているときにおける事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、当該規定により課される外国所得税の額の計算において収入金額に算入することとされた金額をもって、当該財産の取得に要した金額とする等の措置を講ずる。
②その他
イ 租税条約の適用上、「一方の締約国の居住者」とされる事業体(当該租税条約の相手国等において納税義務者として取り扱われないものに限る。)に対する当該租税条約の規定に基づくわが国の課税の取扱いを明確化するための措置を講ずる。
ロ 限度税率を定める租税条約の規定の適用がある譲渡収益に係る所得の金額について、限度税率により源泉徴収等を行うこととする。
ハ 国際運輸に運用される船舶内又は航空機内において行う勤務により受ける給与に対する租税条約の適用手続に関する規定の整備を行うほか、所要の措置を講ずる。
(地方税)
個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
六 納税環境整備
1 番号が付された証券口座情報の効率的な利用に係る措置
(国税)
個人番号又は法人番号(以下「番号」という。)が付された証券口座に係る顧客の情報を税務上効率的に利用できるよう、次の措置を講ずる。
(1)
証券会社等の口座管理機関は、証券口座に係る顧客の情報を番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととする。
(2)
振替機関は、証券口座に係る顧客の情報を番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととするとともに、調書を提出すべき者(株式等の発行者又は口座管理機関に限る。)から証券口座に係る顧客の番号その他の情報の提供を求められたときは、これらの情報を提供するものとする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日から施行する。
(地方税)
個人番号又は法人番号(以下「番号」という。)が付された証券口座に係る顧客の情報を税務上効率的に利用できるよう、次の措置を講ずる。
(1)
証券会社等の口座管理機関は、証券口座に係る顧客の情報を番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととする。
(2)
振替機関は、証券口座に係る顧客の情報を番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととする。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日から施行する。
2 情報照会手続の整備
(国税)
税務当局による情報照会の仕組みについて、次のとおり整備を行う。
(1)
事業者等への協力要請
国税庁等の当該職員は、事業者及び特別の法律により設立された法人に、国税に関する調査(犯則事件の調査を除く。以下同じ。)に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができることを法令上明確化する。
(2)
事業者等への報告の求め
① 所轄国税局長は、次の要件の全てを満たす場合には、事業者、官公署又は特別の法律により設立された法人(以下「事業者等」という。)に、特定取引者の氏名又は名称、住所又は居所及び個人番号又は法人番号につき、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日までに、報告を求めることができることとする。
イ 特定取引者の国税について、更正決定等をすべきこととなる相当程度の
可能性がある場合
ロ この報告の求めによらなければ、特定取引者を特定することが困難である場合
(注1)上記の「所轄国税局長」とは、事業者等の所在地を所轄する国税局長をいう。
(注2)上記の「特定取引者」とは、事業者等との取引(事業者等を介して行われる取引を含む。以下「特定取引」という。)を行う不特定の者をいう。なお、下記(注3)(イ)に該当する場合にあっては、年間1,000万円の課税標準を生じ得る取引金額を超える特定取引を行う者に限る。
(注3)上記イの「更正決定等をすべきこととなる相当程度の可能性がある場合」とは、次のいずれかに該当する場合をいう。
(イ)特定取引と同種の取引を行う者(その取引に係る課税標準等が年間1,000万円を超える者に限る。)に対する国税に関する調査において、その半数以上の者について、その取引に係る課税標準等・税額等につき更正決定等をすべきと認められる場合
(ロ)特定取引に係る物品又は役務を用いることにより、当該特定取引に係る特定取引者の課税標準等・税額等について国税に関する法律の規定に違反すると認められる場合
(ハ)特定取引が経済的観点から見て通常であれば採られないような不合理な取引態様であることにより、違法行為の存在を推認させる場合
② 所轄国税局長は、上記①の報告の求めを行う場合には、事業者等の事務負担に配慮するとともに、報告を求める事項を書面で事業者等に通知しなければならないこととする。
(注)上記①の報告の求めに対する拒否又は虚偽報告については、検査拒否等の場合と同様の罰則を設ける。
③ 上記①の報告の求めについては、処分として不服申立て又は訴訟の対象とするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に行う協力又は報告の求めについて適用する。
3 eLTAX障害発生時の申告等に係る期限延長
eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)に障害が発生した場合の申告等に係る期限について、迅速かつ全国統一的な対応を行うため、次の見直しを行う等の所要の措置を講ずる。
(1)
総務大臣は、eLTAXの障害によって多くの納税者が期限までに申告等をすることができないと認めるときは、告示を行うことにより、当該期限を延長することができることとする。
(2)
地方税共同機構(eLTAXの運営主体)は、eLTAXの障害が生じたときは、遅滞なく総務大臣に報告しなければならないこととする。
4 大法人の電子申告の義務化に伴う所要の措置
(地方税)
大法人の電子申告義務化に伴い、以下の措置を講ずる。
(1)申告書の電子情報処理組織による提出義務の創設に伴う申告書の添付書類の提出方法の柔軟化及び電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合の宥恕措置
① 大法人が法人住民税及び法人事業税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書を提出する際の添付書類の提出については、当該添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を電子情報処理組織を使用する方法に加えて、当該事項を記録した光ディスク等を提出する方法により提供することができることとする。
② 上記①の大法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面により上記①の申告書を提出することができると認められるときは、地方団体の長の承認を受けて、上記①の申告書及び添付書類を書面により提出できることとする。
③ 上記①の大法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合において、書面により法人税及び地方法人税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書を提出することができると認められ、これらの申告書を書面により提出することについて、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、上記①の申告書の書面による提出について、上記②の地方団体の長の承認があったものとみなす。
④ 総務大臣が、eLTAXの障害により、上記①の大法人が上記①の申告書を電子情報処理組織を使用する方法により提出することが困難であると認めた場合において、告示を行ったときは、上記①の大法人は、上記①の申告書及び添付書類を書面により提出できることとする。
(2)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成32年4月1日から適用する。
5 その他
(国税)
(1)
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(仮称)の制定を前提に、同法の趣旨を踏まえ、税務手続のオンライン化を推進するほか所要の整備を行う。
(2)
税理士試験受験資格認定申請書及び税理士試験免除申請書について、住民票の写しの添付を要しないこととする。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に提出する申請書について適用する。
(3)
マイナポータルを利用して電子情報処理組織により法人設立届出書等の設立関係書類の申請等を行う場合において、その設立関係書類への記載事項等をマイナポータルに入力して送信する際に電子署名及び電子証明書の送信を行うときは、その設立関係書類の情報について電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
(4)
電子情報処理組織を使用して行うことができる申請等について、その範囲に地方揮発油税法に基づく申請等を加えるほか、添付書類に係る電子署名付の電磁的記録の提出方法を法令上明確化する等の所要の整備を行う。
(5)
国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度及びスキャナ保存制度について、次の見直しを行うこととする。
① 新たに業務を開始した個人の承認申請書について、業務を開始した日から2月以内に提出することができることとする。
②承認申請手続等について、運用上、次の対応を行う。
イ ソフトウェアの要件適合性の確認業務を行う公益社団法人による確認を受けたソフトウェアを利用する者が行う承認申請書の提出手続の簡素化を行う。
ロ 受託開発されるシステム等を利用する者が要件適合性を事前に国税当局に確認できる体制を構築する等の対応を行う。
③ スキャナ保存の承認を受けている者は、その承認以前に作成又は受領をした契約書・領収書等の重要書類(過去に本措置に係る届出書を提出した重要書類と同一の種類のものを除く。)について、所轄税務署長等への届出書の提出等の一定の要件の下、スキャナ保存を行うことができることとする。
(注)上記①及び②イの改正は平成31年9月30日以後に行う承認申請について、上記③の改正は同日以後に提出する届出書に係る重要書類について、それぞれ適用する。
(6)
国税犯則調査手続における臨検等及び国税徴収手続における捜索の立会人並びに税理士となる資格を有する者の成年の要件について、改正後の民法の成年と同様とする。
(7)
外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の改正を前提に、弁護士・外国法事務弁護士共同法人(仮称)(弁護士である社員の全員が国税局長に通知しているものに限る。)について、国税局長に通知することにより税理士業務ができることとするほか、無限責任社員の第二次納税義務の対象となる社員の範囲に、弁護士・外国法事務弁護士共同法人(仮称)の社員を加える等の所要の整備を行う。
(8)
独立行政法人日本学生支援機構法の学資支給金について、同法の改正を前提に、引き続き国税の滞納処分による差押えを禁止することとする。
(地方税)
(1)
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(仮称)の制定を前提に、同法の趣旨を踏まえ、税務手続のオンライン化を推進するほか所要の整備を行う。
(2)
マイナポータルを利用して電子情報処理組織により法人設立届出書等の設立関係書類の申請等を行う場合において、その設立関係書類への記載事項等をマイナポータルに入力して送信する際に電子署名及び電子証明書の送信を行うときは、その設立関係書類の情報について電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
(3)
地方税犯則調査手続における臨検等の立会人の成年の要件について、改正後の民法の成年と同様とする。
(4)
外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の改正を前提に、無限責任社員の第二次納税義務の対象となる社員の範囲に、弁護士・外国法事務弁護士共同法人(仮称)の社員を加える等の所要の整備を行う。
(5)
独立行政法人日本学生支援機構法の学資支給金について、同法の改正を前提に、引き続き地方税の滞納処分による差押えを禁止することとする。
七 関税
1 暫定税率等の適用期限の延長等
(1)平成
31年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(411品目)について、平成32年3月31日まで適用期限の延長を行う。
(2)平成
31年3月31日に適用期限の到来する特別緊急関税制度及び牛肉・豚肉に係る関税の緊急措置(牛肉の発動基準数量の算定基礎の特例を含む。)について、平成32年3月31日まで適用期限の延長を行う。
(3)
乳幼児用調製液状乳の製造に使用されるホエイについて、関税割当制度の対象に加える。
(4)平成
31年3月31日に適用期限の到来する沖縄に係る特例措置(選択課税制度)について、平成33年3月31日まで適用期限の延長を行う。
2 個別品目の関税率等の見直し
(1)
ヘキサメチレンジアミンの基本税率を無税とする。
(2)
海藻製品の分類変更に伴い、税細分を新設した上、現行関税率を維持する。
(3)
特恵関税適用除外措置を踏まえ、ビニレンカーボネート等4品目について基本税率を無税とし、バイオポリエチレンについて暫定税率を無税とする。
3 その他
入国者の輸入貨物(携帯品・別送品)に対する簡易税率について、現行水準(酒類(蒸留酒300円/ℓ、その他200円/ℓ)、その他の物品15%)を維持する。
第三 検討事項
1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意するとともに、平成30年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。
2 デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備し、証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所の実現にも資する観点から、多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための実効性ある方策の必要性を踏まえ、検討する。
3 小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、引き続き、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。
4 子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する更なる税制上の対応の要否等について、平成32年度税制改正において検討し、結論を得る。
5 経済の国際化・電子化への課税上の対応については、企業活動や各種取引の実態、国際的な議論、諸外国における対応等を踏まえつつ、適正な課税を確保するための方策について引き続き検討を行う。
6 自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自動車を取り巻く環境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方
について、中長期的な視点に立って検討を行う。
7 原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。
8 事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。
9 現在、電気供給業、ガス供給業及び保険業については、収入金額による外形標準課税が行われている。今後、法人事業税における収入金額課税全体としてのあり方を踏まえながら、小売全面自由化され2020年に法的分離する電気供給業及びガス供給業における新規参入の状況とその見通し、行政サービスの受益に応じた負担の観点、地方財政や個々の地方公共団体の税収に与える影響等を考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引き続き検討する。
10 ゴルフ場利用税については、今後長期的に検討する。