令和3年度税制改正大綱

令和2年12月10日
自由民主党
公 明 党


 目 次

第一 令和3年度税制改正の基本的考え方・・・1
第二 令和3年度税制改正の具体的内容・・・23
一 個人所得課税・・・23
二 資産課税・・・40
三 法人課税・・・56
四 消費課税・・・83
五 国際課税・・・100
六 東日本大震災からの復興支援のための税制・・・105
七 納税環境整備・・・116
八 関税・・・127
第三 検討事項・・・129



第一 令和3年度税制改正の基本的考え方

 わが国は、本年1月に最初の感染者が確認されて以降、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)の感染拡大と戦後最大の経済の落ち込みに直面した。
 このような状況の中、感染症等の影響により厳しい状況に置かれている納税者に対し、緊急に必要な税制上の措置を講ずるために、年末における通常の年度改正から切り離して、本年4月に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」(令和2年4月6日)を決定したところである。
 足元、感染症の爆発的な感染拡大の防止に注力するとともに、これと社会経済活動との両立を図っていく必要がある。
 これまで、政府は一貫して経済の再生に取り組み、人口減少の中で、8年前の政権交代以来、新たに働く人を400万人増やすとともに、下落し続けていた地方の公示地価が昨年、27年ぶりに上昇に転じるなど、感染症拡大前においては、バブル崩壊後、最高の経済状態を実現していた。政府・与党一丸となって、ウィズコロナ・ポストコロナの新しい社会をつくり、改めてデフレ脱却と経済再生を確かなものとしていく必要がある。
 今回の感染症では、わが国における行政サービスや民間分野のデジタル化の遅れなど、様々な課題が浮き彫りになった。菅内閣においては、各省庁や自治体の縦割りを打破し、行政のデジタル化を進め、今後5年で自治体のシステムの統一・標準化を行うこととしており、こうした改革にあわせ、税制においても、国民の利便性や生産性向上の観点から、わが国社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取組みを強力に推進することとする。
 菅内閣は、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、グリーン社会実現のため、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すこととしており、税制面においても必要な支援をしていくこととする。
 持続可能で活力ある地方を創るためには、その基盤となる地方税の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することが必要である。地方公共団体が地域における感染症対策の主体であることや、産業や企業をめぐる環境が激変している状況を踏まえ、固定資産税における評価替えへの対応を含め、地方税制について所要の措置を講ずる。また、被災地の復旧・復興、各地域における魅力の向上、地域社会の安全・安心の確保等の課題に対応するため、所要の措置を講ずる。
 引き続き働き方の多様化を含む経済社会の構造変化への対応や所得再分配機能の回復の観点からの個人所得課税の検討を進める。企業年金・個人年金等に関する税制上の取扱いについて、働き方によって有利・不利が生じない公平な税制の構築に取り組む。昨今のクラウド会計ソフトの普及等も踏まえた、適正な記帳の確保に向けた方策を検討していく。子育て支援の観点から、国や地方自治体が実施する子育てに係る助成等について所要の措置を講ずる。
 持続的な経済成長には、日本企業の健全な海外展開の促進とその果実の国内への還流という好循環も重要である。公平な競争条件を確保し、課税逃れに効果的に対応する国際課税制度はそのための重要なインフラであり、わが国は「BEPS(注)プロジェクト」においてこれまで主導的役割を果たしてきた。デジタル化を含む経済実態の変化に対し、各国がそれぞれ独自に対応していては企業にとって不確実性が増し、経済活動に負の影響を及ぼすことから、国際的な合意に基づく公平なルール作りが重要である。現在OECDを中心に議論が進められているが、わが国は引き続きこの国際的な議論を積極的にリードし、国際合意に則った制度の見直しを進める。
(注)Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転
 経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、引き続き歳出・歳入両面の改革の取組みを続ける。また、税制は経済社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、検討を進める。

 以下、令和3年度税制改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的考え方を述べる。

1.ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生
(1)産業競争力の強化に係る措置
① 企業のDXを促進する措置等の創設
 ウィズコロナ・ポストコロナの新たな日常に対応した事業再構築を早急に進めていくためには、デジタル技術を活用した企業変革(DX)が重要であるが、これを企業ごとのレガシーシステムの温存・拡大につながらない形で進める必要がある。
 具体的には、新商品開発や新生産方式・販売方式の導入により新需要開拓や生産性向上に全社を挙げて取り組む企業が提出する「事業適応計画」(仮称)を認定する仕組みが産業競争力強化法で創設されることを受け、本計画により取得されるクラウド型システムを対象とする税制措置を創設することで、「つながる」デジタル環境の構築を促進し、レガシーシステムからの脱却を図る。
 また、「2050年カーボンニュートラル」という目標に向け、企業の投資を促進する税制を創設する。(後掲)

② 活発な研究開発を維持するための研究開発税制の見直し
IRノベーションの強化など生産性の向上により、潜在成長率を高めていくことは引き続き重要であり、コロナ禍において様々な変化が生じている中で国際競争力を失わないためには、企業の研究開発投資を持続・拡大させることがますます求められる。
 このため、研究開発投資を増額していくインセンティブが維持されるように、コロナ禍により売上が一定程度減少したにもかかわらず、研究開発投資を増加させた企業については、控除上限を法人税額の25%から30%に引き上げるとともに、次期科学技術基本計画を見据え、控除率カーブの見直し及び控除率の下限の引下げを行う。また、経済のデジタル化の中で企業のビジネスモデル変革を促すため、本税制の対象費用の定義についても見直しを行う。(後掲)本税制の対象費用の範囲については、国際的な基準も踏まえながら引き続き見直しを行っていく。さらに、引き続き質の高い研究開発を推進していく観点から、オープンイノベーション型の対象範囲を拡大することによって産学官連携の更なる活性化を図るとともに、運用改善策も講じ、制度の積極的な活用を促す。

③ コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し
 労働者を取り巻く環境が大きく変化する中で、企業が新しい社会へ適応していくためには、事業や構造を変革する新たな人材の獲得及び人材育成の強化が重要である。また、企業の採用状況が悪化する中で第二の就職氷河期を作らないことも重要である。このため、大企業向けの賃上げ及び投資の促進に係る税制の要件を見直し、新規雇用者の給与等支給額及び教育訓練費の増加に着目した税制とする。


④ 繰越欠損金の控除上限の特例
 わが国の経済成長力を維持していくためには、厳しい経営環境の中でも企業が果敢に投資を行い、事業再構築・再編に取り組んでいくことが強く求められる。現行の繰越欠損金の控除上限は成長志向の法人税改革の中で引き下げられてきたものであるが、今般、コロナ禍による欠損金については、一定期間に限り、DXやカーボンニュートラル等、事業再構築・再編に係る投資に応じた範囲において、最大100%までの控除を可能とする措置を、未曽有の事態を踏まえた臨時異例のものとして講ずることとする。

(2)株式対価M&Aを促進するための措置の創設
 企業間の国際競争が激化する中、産業構造の変革を更に推進するため、事業ポートフォリオの見直しなど、企業価値向上のための事業再編が重要な課題である。このため、企業の機動的な事業再構築を促し、競争力の維持・強化を図る観点から、自社株式を対価として、対象会社株主から対象会社株式を取得するM&Aについて、対象会社株主の譲渡損益に対する課税の繰延措置を講ずる。その際、自社株式にあわせて金銭等を交付するいわゆる混合対価を一定程度認めるとともに、期限の定めのない措置とする。

(3)国際金融都市に向けた税制上の措置
 わが国の国際金融センターとしての地位の確立に向けて、海外から事業者や人材、資金を呼び込む観点から、諸課題の解決を図る一環として、以下の税制上の措置を講ずる。
① 法人課税
 投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等の役員に対する業績連動給与については、投資家等のステークホルダーの監視下に置かれているという特殊性に鑑み、その算定方式や算定の根拠となる業績等を金融庁ホームページ等に公表すること等を要件として、損金算入を可能とする。

② 相続税
 高度外国人材の日本での就労等を促進する観点から、就労等のために日本に居住する外国人に係る相続等については、その居住期間にかかわらず、国外に居住する外国人や日本に短期的に滞在する外国人が相続人等として取得する国外財産を相続税等の課税対象としないこととする。

③ 個人所得課税
 ファンドマネージャーが、出資持分を有するファンド(株式譲渡等を事業内容とする組合)からその出資割合を超えて受け取る組合利益の分配(キャリード・インタレスト)について、分配割合が経済的合理性を有するなど一定の場合には、役務提供の対価として総合課税の対象となるのではなく、株式譲渡益等として分離課税の対象となることの明確化等を行う。その際、ファンドマネージャーによる申告の利便性・適正性を確保するため、金融庁において所要の対応を講ずる。

(4)固定資産税
 固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、ウィズコロナ・ポストコロナにおいても、その税収の安定的な確保が不可欠である。
 また、固定資産税は、固定資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存する受益関係に着目した財産税であり、課税標準は適正な時価とされ、地方税法の規定により、3年ごとに評価替えが実施されている。宅地等については、1年前の地価公示価格の7割を目途としつつ、基準年度及び据置年度の下落修正措置も講じられ、地価の動向を評価額に反映させる形で行われてきた。
 商業地等については、平成9年度から負担水準の均衡化を進めてきた結果、令和2年度の負担水準は、据置特例の対象となる60%から70%までの範囲(据置ゾーン)内にほぼ収斂するに至っている。
 近年、大都市を中心に地価が上昇する一方、地方において地価が下落していることを受け、負担水準が据置ゾーン外となる土地が数多く生ずると見込まれており、そうした土地の負担水準を据置ゾーン内に再び収斂させることに取り組むべきである。
 現下の商業地の地価の状況を見ると、感染症の影響により、令和2年7月時点では三大都市圏や地方圏の一部では上昇が続いている一方で、全国では5年ぶりに下落に転じた。
 このような状況を踏まえ、負担調整措置については、納税者の予見可能性に配慮するとともに固定資産税の安定的な確保を図るため、令和3年度から令和5年度までの間、下落修正措置を含め土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する。
 その上で、感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずる。
 今後の固定資産税制度については、据置特例が存在することで、据置ゾーン内における負担水準の不均衡が解消されないという課題があり、負担の公平性の観点からは更なる均衡化に向けた取組みが求められる。
 これらを踏まえ、税負担の公平性や市町村の基幹税である固定資産税の充実確保の観点から、負担調整措置のあり方について引き続き検討を行う。

(5)自動車税及び軽自動車税の環境性能割の臨時的軽減
 環境性能割の臨時的軽減は、消費税率10%への引上げにあわせた需要変動の平準化に向けた取組みとして、令和元年10月1日から令和2年9月30日までの間に自家用乗用車(登録車及び軽自動車)を取得した場合、税率を1%分軽減する措置として創設されたものである。その後、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置として、令和3年3月31日までの半年間延長されている。
 感染症の状況や経済の動向、臨時的軽減が環境インセンティブ機能に与える影響等を総合的に勘案し、この特例措置について、適用期限を9月延長し、令和3年12月31日までに取得したものを対象とする。なお、この措置による地方税の減収については、全額国費で補填する。

(6)住宅ローン控除等
 新型コロナウイルスの影響による先行きの不透明さなどを背景に、消費者においても住宅取得環境が厳しさを増している。内需の柱となる住宅投資を幅広い購買層に対して喚起するために、消費税率10%への引上げに伴う反動減対策の上乗せとして措置した控除期間13年間の特例について延長し、一定の期間(新築の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外は令和2年12月から令和3年11月末まで)に契約した場合、令和4年末までの入居者を対象とする。また、経済対策として、この延長した部分に限り、合計所得金額1,000万円以下の者については床面積40㎡から50㎡までの住宅も対象とする特例措置を講ずる。所得税額から控除しきれない額は、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補填する。また、所得税に加え個人住民税による今回の住宅ローン控除に係る措置の対象のうち、この措置を講じてもなお効果が限定的な所得層に対しては、別途、適切な給付措置を引き続き講ずる。
 なお、平成30年度決算検査報告において、住宅ローン控除の控除率(1%)を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れているケースが多く、その場合、毎年の住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回っていること、適用実態等からみて国民の納得できる必要最小限のものになっているかなどの検討が望まれること等の指摘がなされている。消費税率8%への引上げ時に反動減対策として拡充した措置の適用期限後の取扱いの検討に当たっては、こうした会計検査院の指摘を踏まえ、住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度税制改正において見直すものとする。
 また、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、令和3年4月1日から同年12月31日までの間に住宅用家屋の取得等に係る契約を締結した場合に適用される非課税限度額を、令和3年3月31日までの非課税限度額と同額まで引き上げる。併せて、床面積要件について、住宅ローン控除と同様の措置を講ずる。

(7)その他考慮すべき課題
 租税特別措置については、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となりうる一方で、税負担の歪みを生じさせる面があることから、真に必要なものに限定していくことが重要である。このため、毎年度、期限が到来するものを中心に、各措置の利用状況等を踏まえつつ、必要性や政策効果をよく見極めた上で、廃止を含めてゼロベースで見直しを行う。また、租税特別措置の創設・拡充を行う場合は、財源を確保することやいたずらに全体の項目数を増加させないことに配意する。
 住宅市場に係る対策については、住宅投資の波及効果に鑑み、これまでの措置の実施状況や今後の住宅市場の動向等を踏まえ、必要な対応を検討する。

2.デジタル社会の実現
(1)民間におけるデジタル化の促進
① 企業のDXを促進する措置の創設
 経済の持続的成長のためには、DXによる企業変革が重要となっていることを踏まえ、新規ビジネスの構築等に関する計画に基づく、接続性・クラウドの利用・レガシーシステムからの脱却・サイバーセキュリティーといった点が確保された事業変革デジタル投資を促進する税制を創設する。

② 研究開発税制の見直し
 企業のDXを促進する観点からは、ソフトウェア分野における研究開発を支援することも重要であるため、研究開発税制において、クラウド環境で提供するソフトウェアなどの自社利用ソフトウェアの普及が拡大していることも踏まえ、自社利用ソフトウェアの取得価額を構成する試験研究に要した費用について、本税制の対象に追加する。
(2)納税環境のデジタル化
① 税務関係書類における押印義務の見直し
 国・地方公共団体を通じたデジタル・ガバメントの推進による行政手続コストの削減や、感染症の感染拡大により、あらわになった課題への対応といった観点から、税務手続の負担軽減のため、税務署長等に提出する国税関係書類のうち納税者等の押印を求めているものについては、現行において実印による押印や印鑑証明書の添付を求めているもの等を除き、押印義務を廃止する。また、地方公共団体の長に提出する地方税関係書類についても、国税と同様、押印義務を廃止する。

② 電子帳簿等保存制度の見直し等
 経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直す。具体的には、事前承認制度を廃止するほか、現行の厳格な要件を充足する事後検証可能性の高い電子帳簿については、信頼性確保の観点から優良な電子帳簿としてその普及を促進するための措置を講ずるとともに、その他の電子的な帳簿についても、正規の簿記の原則に従うなど一定の要件を満たす場合には電子帳簿として電子データのまま保存することを当面可能とする。また、紙の領収書等の原本に代えてスキャナ画像を保存することができる制度(スキャナ保存制度)については、ペーパーレス化を一層促進する観点から、手続・要件を大幅に緩和するとともに、電子データの改ざん等の不正行為を抑止するための担保措置を講ずる。
 地方税においては、地方たばこ税及び軽油引取税に係る書類等の電子的保存を可能とするとともに、地方税関係帳簿書類の電子的保存の要件等について、国税と同様、所要の措置を講ずる。
 デジタル化やキャッシュレス化に対応した税制のあり方や納付方法の多様化についても引き続き検討していく。

③ 地方税務手続のデジタル化の推進
 感染症の拡大を踏まえ、従来に増して迅速に地方税務手続のデジタル化を進めていく必要があることから、地方税共通納税システムの対象税目に固定資産税、自動車税種別割等を追加し、これらの納付を電子的に行うことができるよう、所要の措置を講ずる。また、給与所得に係る特別徴収税額通知(納税義務者用)について、特別徴収義務者に対して電子的に送付する仕組みを導入する。
 これらの取組みを着実に実施した上で、引き続き、納税側・課税側双方のニーズを踏まえ、地方税務手続のデジタル化を推進する。

3.グリーン社会の実現
(1)カーボンニュートラルに向けた税制措置の創設
 気候変動問題については、経済社会システムの変革を通じて環境・エネルギー上の諸課題に対応し、環境と成長の好循環を実現することが重要である。
 「2050年カーボンニュートラル」という高い目標に向けて、産業競争力強化法において規定される予定の「中長期環境適応計画」(仮称)に基づき導入される、生産プロセスの脱炭素化に寄与する設備や、脱炭素化を加速する製品を早期に市場投入することでわが国事業者による新たな需要の開拓に寄与することが見込まれる製品を生産する設備に対して、税制上強力に支援する措置を創設する。

(2)車体課税
 自動車業界はCASEに代表される100年に一度ともいわれる大変革に直面している。世界的な脱炭素の動きを受けた電気自動車の急速な普及、内燃機関自動車に対する規制の強化、ネットワークに接続した自動車を中心とする自動運転技術の飛躍的向上などの動きに代表されるこの大変革に対応できるか否かは単に一産業の問題ではなく、日本の経済・雇用を大きく左右しかねない極めて重要な課題であり、官民が総力を結集し危機感をもって対応していく必要がある。
 税制についても、こうした変革に向けた自動車業界の対応や環境整備に貢献するものでなくてはならない。本来は車体課税についても変革に対応した見直しを早急に行うべきであるが、他方でわが国経済がコロナ禍にあることを踏まえれば、急激な変化は望ましくない。今回の見直しにおいては、次のエコカー減税等の期限到来時に抜本的な見直しを行うことを前提に、一定の猶予期間を設けることとする。関係省庁及び自動車業界には、この期間内に上記の大変革に対応する準備を早急に整えていくことを望みたい。
 自動車重量税のエコカー減税については、全体として自動車ユーザーの負担が増えないように配慮しつつ、燃費性能がより優れた自動車の普及を促進する観点から、目標年度が到来した令和2年度燃費基準を達成していることを条件に、令和12年度燃費基準の達成度に応じて減免する仕組みに切り替える。その際、2回目車検時の免税対象について電気自動車等やこれらと同等の燃費性能を有するハイブリッド車等に重点化を図る。
 自動車税及び軽自動車税の環境性能割については、燃費性能に応じた税率区分を設定し、その区分を2年ごとに見直すことにより燃費性能がより優れた自動車の普及を促進するものであり、令和2年度末が見直しの時期に当たることから、目標年度が到来した令和2年度燃費基準の達成状況も考慮しながら、令和12年度燃費基準の下で税率区分を見直す。
 クリーンディーゼル車については、燃費基準の達成状況や普及の状況等を総合的に勘案し、エコカー減税及び環境性能割においてはガソリン車と同等に扱うこととする。その際、クリーンディーゼル車の取扱いが大きく変化することから、市場への配慮等の観点も踏まえ、令和3年度及び令和4年度に関しては激変緩和措置を講ずることとし、令和5年度以降はガソリン車と同等に取り扱うこととする。
 自動車税及び軽自動車税の種別割のグリーン化特例(軽課)については、環境性能割を補完する制度であることを踏まえ、クリーンディーゼル車を対象から除くとともに、適用対象を電気自動車等に限定していない種別においても、重点化及び基準の切り替えを行った上で2年間延長する。また、次の期限到来に向けて、経済の状況などを考慮しつつ、更なる重点化を引き続き検討する。
 今後、エコカー減税等の期限到来にあわせ、見直しを行うに当たっては、政策インセンティブ機能の強化、実質的な税収中立の確保、原因者負担・受益者負担としての性格、市場への配慮等の観点を踏まえることとする。
 また、次のエコカー減税等の期限到来に向けて、新たに燃費基準の対象となった電気自動車及びプラグインハイブリッド車について、令和12年度燃費基準に基づく燃費値の表示に関する検討等を進めつつ、その結果も踏まえ、エコカー減税等における燃費基準の達成度に応じた評価について検討し、結論を得る。
 環境性能割の臨時的軽減については、感染症の状況や経済の動向、臨時的軽減が環境インセンティブ機能に与える影響等を総合的に勘案して、適用期限を9月延長し、令和3年12月31日までに取得したものを対象とする。なお、この措置による地方税の減収については、全額国費で補填する。〔再掲〕

(3)経済と環境の好循環の実現
 気候変動問題などの地球規模の課題が顕在化している。IPCCによれば、極端な気象現象の増加や人の健康・生態系へのリスクは、工業化以降の平均気温の上昇が1.5℃の場合において増加し、2℃においては更に増加すると予測されている。持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、持続可能な社会を構築するためにも、パリ協定に基づき、脱炭素化に向けた取組みを加速することが重要である。わが国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち「2050年カーボンニュートラル」、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、経済と環境の好循環、グリーン社会の実現のため、幅広い施策を横断的に実施することとしている。また、パリ協定に基づく2030年度の削減目標(2013年度比26%減の水準)を確実に達成することを目指し、この水準にとどまることなく、更なる削減努力を追求していくこととしている。

4.中小企業の支援、地方創生
(1)中小企業向け投資促進税制等の延長
① 中小企業による積極的な設備投資等の支援
 地域経済の中核を担う中小企業を取り巻く状況は、ますます厳しさを増しており、ポストコロナを見据えて、生産性の向上や経営基盤の強化を支援する必要がある。
 このため、中小企業者等に係る軽減税率の特例、中小企業投資促進税制及び中小企業経営強化税制の適用期限を2年延長するとともに、商業・サービス業・農林水産業活性化税制について、対象業種を中小企業投資促進税制に統合する。

② 地域社会における先進的な設備投資や災害に備える設備投資に対する支援
 地域未来投資促進税制について、特に高い付加価値を創出し地域経済を牽引する事業を集中的に支援する観点から、従来の措置に数値要件を追加するとともに、サプライチェーンの維持・強化を目的とする類型を追加した上で2年延長する。
 また、自然災害や感染症が事業活動の継続に与える影響を踏まえ、特定事業継続力強化設備等の特別償却制度について対象設備を見直した上で計画の認定期限を設定する等、頻発する災害に備えて対応力を強化するための取組みを進める。

(2)所得拡大促進税制の見直し
 経済の好循環のためには、企業が生み出した付加価値の従業員給与への還元を促すことが引き続き必要である。雇用の維持・確保への懸念がある中においては、特に中小企業全体として雇用を守りつつ、賃上げによる所得拡大を促すことが重要である。このため、賃上げだけでなく、雇用を増加させる企業を下支えする観点から、従来の①雇用者給与等支給額が前年度を上回ること、②継続雇用者給与等支給額の1.5%以上増加という要件を雇用者給与等支給額が1.5%以上増加という要件に見直した上で2年延長する。

(3)中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
 中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築などにより、生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築していくことが重要である。このため、経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、中小企業の株式の取得後に簿外債務、偶発債務等が顕在化するリスクに備えるため、準備金を積み立てたときは、損金算入を認める措置を講ずる。併せて、同計画に必要な事項を記載して認定を受けた中小企業は、新たな類型として中小企業経営強化税制の適用を可能とし、さらに、所得拡大促進税制の上乗せ要件に必要な計画の認定を不要とすることにより、M&A後の積極的な投資や雇用の確保を促すこととする。

(4)固定資産税等
 固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、ウィズコロナ・ポストコロナにおいても、その税収の安定的な確保が不可欠である。
 納税者の予見可能性に配慮するとともに固定資産税の安定的な確保を図るため、負担調整措置については、令和3年度から令和5年度までの間、下落修正措置を含め土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続した上で、感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、納税者の負担感に配慮する観点から、令和3年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずる。〔再掲〕
 また、住宅や土地の流動化を促進し、不動産の取引の活性化や有効利用を図るため、住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置等の適用期限を延長する。

(5)地域の活性化、地域社会の安全・安心の向上
① 地域における移動の利便性向上
 公共交通機関の混雑緩和や地域における移動の利便性向上に資するシェアサイクルの普及を促進する観点から、市町村が策定する計画に基づき設置されたシェアサイクルポートに対する固定資産税の特例措置を創設する。

② 地方の生活を支える自動車の安全性能の向上等
 自動車は地方における生活の基盤として不可欠のものであり、高齢化が急速に進行する中、その安全性の向上やバリアフリー化の推進は重要である。こうした観点から、先進安全技術を搭載したトラック・バスに係る自動車税環境性能割及び自動車重量税の特例措置について、一定の装置を対象に追加した上で、適用期限を延長する。また、バリアフリー対応車両に係る特例措置についても、リフト付きバスの普及を促進する観点から、一定の車両について環境性能割の控除額を拡充した上で、適用期限を延長する。

③ 災害に対するきめ細やかな対応
 被災からの復旧・復興や防災・減災に関する取組みを一層推進していく必要がある。このため、東日本大震災、熊本地震及び平成30年7月豪雨の被災地域における被災代替住宅用地、被災代替償却資産等に係る固定資産税等の特例措置の適用期限を延長する。また、既存ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用する対策を推進するための施策の一環として、利水ダムに整備される治水用の放流施設について、固定資産税の非課税措置を講ずる。

5.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
(1)経済社会の構造変化を踏まえた個人所得課税のあり方
① 個人所得課税における諸控除の見直し
 個人所得課税については、わが国の経済社会の構造変化を踏まえ、配偶者控除等の見直し、給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の一体的な見直しなどの取組みを進めてきている。今後も、これまでの税制改正大綱に示された方針や、令和2年分所得から適用となった改正の影響等も踏まえ、働き方の多様化を含む経済社会の構造変化への対応や所得再分配機能の回復の観点から、各種控除のあり方等を検討する。

② 記帳水準の向上等
 今般の感染症の感染拡大においては、中小・小規模事業者への給付金の支給や融資に際し、売上や資産・負債等の状況が適切に記録されていないため申請に手間取るなど、日々の適正な記帳の重要性が改めて浮き彫りになった。小規模事業者の半数以上が帳簿を手書きで作成しており、また、個人事業者の場合、正規の簿記の原則に従った記帳を行っている者は約3割にとどまっているのが現状である。
 記帳水準の向上は、適正な税務申告の確保のみならず、経営状態を可視化し、経営の対応力を向上させる上でも重要である。近年、普及しつつあるクラウド会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことが可能な環境が整ってきていることも踏まえ、正規の簿記の普及を含め、個人事業者の記帳水準の向上等に向けた検討を行う。

③ 国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
 保育を主とする国や自治体からの子育てに係る助成等について、学資金や、幼児教育・保育無償化により国から受ける補助については非課税とされていることなども踏まえ、子育て支援の観点から、非課税とする措置を講ずる。

④ セルフメディケーション税制の見直し
 少子高齢化社会の中では限りある医療資源を有効活用するとともに、国民の健康づくりを促進することが重要であり、国民が適切な健康管理の下、セルフメディケーション(自主服薬)に取り組む環境を整備することが、医療費の適正化にも資する。こうした観点から、セルフメディケーション税制について、対象をより効果的なものに重点化した上で、5年の延長を行う。具体的には、いわゆるスイッチOTC成分の中でも効果の薄いものは対象外とする一方で、とりわけ効果があると考えられる薬効(3薬効程度)については、スイッチOTC成分以外の成分にも対象を拡充し、その具体的な内容等については専門的な知見も活用し決定する。併せて、手続きの簡素化を図るとともに、本制度の効果検証を行うため、適切な指標を設定した上で評価を行い、次の適用期限の到来時にその評価を踏まえて制度の見直し等を含め、必要な措置を講ずる。
(2)私的年金等に関する公平な税制のあり方
 働き方やライフコースが多様化する中で、老後の生活に備えるための支援について、働き方によって有利・不利が生じない公平な税制の構築が求められている。
 こうした観点から、拠出段階の課税については、例えばイギリスやカナダにおける各種私的年金の共通の非課税拠出限度枠なども参考に、働き方によって税制上の取扱いに大きな違いが生じないような姿を目指し、議論を具体化していく段階にきている。また、給付段階の課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立ではないこと、勤続期間が20年を超えると一年あたりの控除額が増加する仕組みが転職などの増加に対応していないといった指摘がある。雇用の流動性や経済成長との整合性なども踏まえ、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みとするべく、諸外国の例も参考に給与・退職一時金・年金給付の間の税負担のバランスを踏まえた姿とする必要がある。
 こうした課題については、拠出・運用・給付の各段階を通じた適正かつ公平な税負担を確保できる包括的な見直しを目指す必要があるが、これに対応するため、例えば従業員それぞれに私的年金等を管理する個人退職年金勘定を設けるといった議論がある。拠出段階においては、私的年金共通の非課税拠出額を設定してこの勘定に拠出することで、働き方によって有利・不利が生じない仕組みとするとともに、給付段階においては、退職金からもこの勘定に非課税で拠出できるようにし、この勘定からの受給の際の課税を統一することにより課税の中立・公平を図ろうとするものである。こういった議論も参考にしながら、老後に係る税制について、あるべき方向性や全体像の共有を深めながら、具体的な案を精力的に検討する。その際には、私的年金や退職給付のあり方は、個人の生活設計にも密接に関係することなどを踏まえ、丁寧な検討を行っていくことが重要である。
 令和3年度税制改正においては、こうした改革の一環として、私的年金の拠出限度額をより公平な算定方法に改善する等の私的年金の見直しが行われることを踏まえ、これらの拠出段階の課税についても、現行の税制上の措置を適用することとする。
 なお、金融所得に対する課税のあり方について、家計の安定的な資産形成を支援する制度の普及状況や所得階層別の所得税負担率の状況も踏まえ、税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。

(3)相続税・贈与税のあり方
① 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、孫等が受贈者である場合に贈与者死亡時の残高に係る相続税額の2割加算が適用されないこと等が節税的な利用につながっているとの指摘を踏まえ、格差の固定化の防止等の観点から所要の見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。
 なお、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、贈与の多くが扶養義務者による生活費等の都度の贈与や基礎控除の適用により課税対象とならない水準にあること、利用件数が極めて少ないこと等を踏まえ、次の適用期限の到来時に、制度の廃止も含め、改めて検討する。

② 資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討
 高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
 高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた、経済の活性化が期待される。このため、資産の再分配機能の確保に留意しつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築することが重要な課題となっている。
 わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。
 諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、資産の移転のタイミング等にかかわらず、税負担が一定となり、同時に意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられている。
 今後、こうした諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

6.経済のデジタル化への国際課税上の対応
 デジタル技術は経済活動の隅々まで浸透しつつあり、「経済のデジタル化」が急速に進展している。このような時代の変化に対し、モノを中心とした産業時代に形成された国際課税原則(「恒久的施設(PE:Permanent Establishment)なければ課税なし」等)が適切に機能しないといった問題が顕在化している。
 また、経済のグローバル化・デジタル化の進展により、知的財産等の国境を越えた取引が拡大し、軽課税国への利益移転が容易となる中、各国が低い法人税率や優遇税制によって外国企業を誘致する動きが活発化しており、過度な法人税の引下げ競争に歯止めをかけることが急務となっている。
 経済のデジタル化によって生じるこうした国際課税上の課題への対応については、2021年半ばまでに国際的な合意をまとめるべく、OECDを中心に議論が行われている。
 経済のデジタル化に対する解決策は、わが国企業に過度な負担を課さないように配慮しつつ、企業間の公平な競争環境を整備し、わが国企業の国際競争力の維持及び向上につながるものでなければならない。また、税制の不確実性をもたらす一国主義的な課税措置の拡散を防止するためにも、国際的なコンセンサスに基づく解決策への合意は、喫緊の課題である。わが国としては、令和2年度与党税制改正大綱で示した基本的考え方に沿って、OECDを中心とする国際的な議論に貢献し、国際的な合意に向けて、一層主導的な役割を果たしていくことが重要である。
 また、国際的な租税回避や脱税への対応については、今後も引き続き、国際的な議論や租税回避の態様等を踏まえ必要な見直しを迅速に講じていく。併せて、国際課税制度が大きな変革を迎える中、国内法制・租税条約の整備及び着実な執行など適時に十全な対応ができるよう、国税当局の体制強化を行うものとする。

7.円滑・適正な納税のための環境整備
(1)国際化に対応した適正課税の確保
① 納税管理人制度の拡充
 クロスボーダー取引が活発化する中で、国内に何らの拠点を持たない外国法人や非居住者らによる経済活動が活発になる中、これらの者に対して税務調査等を行う場合には、国内に所在する納税管理人を通じた接触のほか、租税条約に基づいた情報交換要請等によって対応している。しかしながら、当局側から接触の必要性があるにもかかわらず、納税者による納税管理人の選任が行われなかったとしても、現状では当局側に取りうる措置がないことから、このような場合についても効果的に税務調査等を行うため、納税管理人が適切に選任されることを確保する措置を講ずる。

② 国際的徴収回避行為への対応
 平成25年の税務行政執行共助条約の発効以降、わが国においても、租税条約に基づき各国税務当局間で互いに相手国の租税債権を徴収していこうとする、いわゆる徴収共助の枠組みが構築され、そのネットワークは着実に拡大しているところである。この枠組みは引き続き活用しながら、その一方で、徴収共助の要請が可能な国に財産を所有する滞納者が行う徴収回避行為にも適切に対応し、適正かつ公平な課税・徴収を実現する観点から、滞納処分免脱罪及び第二次納税義務の適用対象について見直しを行う。

(2)消費税転嫁対策特別措置法の失効に係る対応
 消費税転嫁対策特別措置法は、令和3年3月31日限りでその効力を失うこととなるが、期限内に行われる消費税の転嫁拒否等の行為に対する監視・取締りについては、その後も継続する。また、買いたたき等については、引き続き、独占禁止法、下請法等に基づき厳正に対処する。さらに、事業者の総額表示について、円滑に再実施することができるよう、相談対応や周知・広報等を適切に行う。

(3)退職所得課税の適正化
 退職所得課税における2分の1課税は、退職所得が長期にわたる勤務の結果生ずるものであり、勤務の対価の一部が蓄積して一挙に支払われるものであることに配慮した税負担の平準化措置であることに鑑み、法人役員等以外についても勤続年数5年以下の短期の退職金については、2分の1課税の平準化措置の適用から除外する。ただし、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を除いた支払額300万円までは引き続き2分の1課税の平準化措置を適用する。

8.その他
(1)東日本大震災からの復興
 東日本大震災から10年が経過しようとしているが、引き続き復興を支えていくため、「『復興・創生』後における東日本大震災からの復興の基本方針」(令和元年12月20日閣議決定)や復興の進捗状況等を踏まえながら、復興特区税制について、重点化された後の地域を対象として、機械装置等の特別償却・税額控除、被災雇用者等を雇用した場合の税額控除、開発研究用資産の特別償却等及び新規立地促進税制の適用期限を3年延長する。
 福島特措法税制については、福島国際研究産業都市区域の15市町村を対象とした福島イノベーション・コースト構想の推進に係る特例(機械装置等の特別償却・税額控除、避難対象雇用者等を雇用した場合の税額控除等)や、特定風評被害による経営への影響に対処するための特定事業活動に係る特例(機械装置等の特別償却・税額控除及び福島県の被災雇用者等を雇用した場合の税額控除)を創設する。また、被災代替資産等の特別償却制度等について、措置内容の見直しを行う。

(2)IRに関する税制
 IRに関する税制については以下の方向で検討し、令和4年度以降の税制改正で具体化する。

① 所得税
 IR事業の国際競争力を確保する観点から、非居住者のカジノ所得について非課税とする。
 なお、居住者のカジノ所得については、国内の公営ギャンブルと同様、課税とする。支払調書の提出は求めず、税務当局が国税通則法に基づく情報照会手続を活用すること等を通じ、自主的な適正申告の確保を図る。

② 消費税
 カジノに係る売上げが不課税となることを前提に、カジノに係る事業に対応する課税仕入れについて仕入税額控除制度の適用を制限する。その際、消費税法上の他の制度と同様、カジノに係る事業の収入がIR事業全体の収入に比して少ない場合(5%以下)は、仕入税額控除制度の適用を可能とする。なお、カジノ以外の事業に対応する課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を可能とする。

③ 法人税
 カジノ行為関連景品類について、諸外国で実施されている不特定多数の者に対する広告宣伝のための割引等クーポンの提供は広告宣伝費に、賭金額等に応じ一定の基準に基づき行うキャッシュバックは売上割戻しに該当することなど、課税上の取扱いを明確化する。

(3)屋外分煙施設等の整備の促進
 令和2年度与党税制改正大綱において、地方公共団体に対し屋外分煙施設等の整備を図るよう促したところであるが、引き続き、望まない受動喫煙対策の推進や今後の地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保の観点から、地方たばこ税の活用を含め、地方公共団体が駅前・商店街などの公共の場所における屋外分煙施設等のより一層の整備を図るよう促すこととする。

第二 令和3年度税制改正の具体的内容

一 個人所得課税
1 住宅・土地税制
(国 税)
〔拡充等〕
(1)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の特例措置を講ずる。
① 住宅の取得等で特別特例取得に該当するものをした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び当該控除の控除期間の3年間延長の特例を適用できることとする。
(注)上記の「特別特例取得」とは、その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等で、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める期間内にその契約が締結されているものをいう。
イ 居住用家屋の新築 令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
ロ 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等 令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間
② 上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例は、個人が取得等をした床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋についても適用できることとする。ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋に係る上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例は、その者の13年間の控除期間のうち、その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用しない。
(注1)上記①及び②について、その他の要件等は、現行の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除と同様とする。
(注2)上記①及び②について、認定住宅の新築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例及び東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例についても同様の措置を講ずる。
③ 要耐震改修住宅の取得をして耐震改修をした場合の特例、年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除その他の措置について、所要の措置を講ずる。
(2)税務署長が納税者から提供された既存住宅等に係る不動産識別事項等を使用して、入手等をした当該既存住宅等の登記事項により床面積要件等を満たすことの確認ができた住宅を、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の対象となる既存住宅等に含めることとする。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に確定申告書を提出する場合について適用する。
(3)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる(次の③の措置については、法人税についても同様とする。)。
① 火災に対する安全性が不足するマンション及び外壁の剥落等により危害を生ずるおそれのあるマンションが対象に追加されたマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡について、引き続き優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象とする。
② 上記①のマンション敷地売却事業に伴い交付された権利の消滅に対する補償金について、引き続き移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入の対象とする。
③ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用対象に、敷地分割事業が実施された場合においてその資産に係る敷地権利変換により除却敷地持分等を取得したときを加える。
④ 割引債の差益金額に係る源泉徴収等の特例について、支払を受ける割引債の償還金につき所得税の納税義務者となる内国法人の範囲に、敷地分割組合を加える。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(4)都市計画法等の改正を前提に、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
① 一団地の都市安全確保拠点施設(仮称)が都市施設に追加された後の都市計画事業により土地等が買い取られる場合について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
② 浸水被害防止区域(仮称)、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域及び急傾斜地崩壊危険区域が追加等された後の移転促進区域内にある農地等が集団移転促進事業計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合について、引き続き特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の 2,000万円特別控除の対象とする。
(5)電気事業法等の改正に伴い、次の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
① 土地収用法及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の対象事業に配電事業が追加された後も引き続き、土地収用法の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の使用の認可に関する処分に伴い一定の補償金を取得する場合を収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
② 収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象に、配電事業の用に供するために設置される一定の施設に関する事業に必要な土地等を加える。
③ その他所要の措置を講ずる。
〔縮減等〕
 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(法人税についても同様とする。)。
(1)適用対象から開発許可を受けて行われる一団の宅地造成事業を除外する。
(2)適用対象となる土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業について、その土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業の施行地区の全部が市街化区域に含まれる場合に限定する。
(地方税)
〔拡充等〕
(1)個人住民税の住宅借入金等特別税額控除について、次の特例措置を講ずる。
① 住宅の取得等で特別特例取得に該当するものをした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合における、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び当該控除の控除期間の3年間延長の特例の適用がある者のうち、適用年の各年分の住宅借入金等特別税額控除額から当該年分の所得税額(住宅借入金等特別税額控除の適用がないものとした場合の所得税額とする。)を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を当該年分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の7を乗じて得た額(最高13.65万円)の控除限度額の範囲内で減額する。また、この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補填する。
(注)上記の「特別特例取得」とは、その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等で、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める期間内にその契約が締結されているものをいう。
イ 居住用家屋の新築 令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
ロ 居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等 令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間
② その他所要の措置を講ずる。
(2)個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の対象となる既存住宅等の確認方法について、所得税における見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(3)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 火災に対する安全性が不足するマンション及び外壁の剥落等により危害を生ずるおそれのあるマンションが対象に追加されたマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡について、引き続き優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の対象とする。
② 上記①のマンション敷地売却事業に伴い交付された権利の消滅に対する補償金について、引き続き移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入の対象とする。
③ 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用対象に、敷地分割事業が実施された場合においてその資産に係る敷地権利変換により除却敷地持分等を取得したときを加える。
④ その他所要の措置を講ずる。
(4)都市計画法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。
① 一団地の都市安全確保拠点施設(仮称)が都市施設に追加された後の都市計画事業により土地等が買い取られる場合について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
② 浸水被害防止区域(仮称)、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域及び急傾斜地崩壊危険区域が追加等された後の移転促進区域内にある農地等が集団移転促進事業計画に基づき地方公共団体に買い取られる場合について、引き続き特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除の対象とする。
(5)電気事業法等の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 土地収用法及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の対象事業に配電事業が追加された後も引き続き、土地収用法の規定に基づいて収用され、補償金を取得する場合及び大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の使用の認可に関する処分に伴い一定の補償金を取得する場合を収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。
② 収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象に、配電事業の用に供するために設置される一定の施設に関する事業に必要な土地等を加える。
③ その他所要の措置を講ずる。
〔縮減等〕
 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
(1)適用対象から開発許可を受けて行われる一団の宅地造成事業を除外する。
(2)適用対象となる土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業について、その土地区画整理事業として行われる一団の宅地造成事業の施行地区の全部が市街化区域に含まれる場合に限定する。
2 金融・証券税制
(国税・地方税)
〔延長・拡充等〕
(1)障害者等に対する少額貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。
① 次に掲げる書類の金融機関の営業所等に対する書面による提出に代えて、金融機関の営業所等に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
イ (特別)非課税貯蓄申込書
ロ (特別)非課税貯蓄申告書
ハ (特別)非課税貯蓄限度額変更申告書
ニ (特別)非課税貯蓄に関する資格喪失届出書
ホ (特別)非課税貯蓄申込書を提出する者が告知をすべき事項を記載した帳簿の作成に係る申請書
ヘ (特別)非課税貯蓄申込書を提出する者が告知をすべき事項を記載した帳簿の記載事項の変更届出書
ト (特別)非課税貯蓄に関する異動申告書
チ (特別)非課税貯蓄廃止申告書
リ (特別)非課税貯蓄者死亡届出書
ヌ (特別)非課税貯蓄相続申込書
② 金融機関の営業所等の長が非課税貯蓄申告書等の写しを作成し、当該書類の写しを保存することに代えて、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を保存できることとする。
③ その他所要の措置を講ずる。
(2)次に掲げる書類の公社債等の利子等の支払をする者等に対する書面による提出に代えて、公社債等の利子等の支払をする者等に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
① 公社債等の利子等の非課税申告書
② 国外公社債等の利子等の源泉徴収不適用申告書
③ 金融機関が支払を受ける収益の分配に対する源泉徴収不適用に係る明細書
④ 公募株式等証券投資信託の受益権を買い取った金融商品取引業者等が支払を受ける収益の分配に係る源泉徴収不適用申告書
(3)同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人及びその親族等が支払を受けるものを、総合課税の対象とする。
 また、当該個人及びその親族等が支払を受けるその同族会社が発行した社債の償還金についても、総合課税の対象とする。
(注1)上記の「法人と特殊の関係のある個人」とは、法人との間に発行済株式等の50%超の保有関係がある個人等をいう。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子及び償還金について適用する。
(4)勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄非課税制度について、次の措置を講ずる。
① 勤労者等、勤務先の長、事務代行先の長又は金融機関の営業所等の長(以下①において「提出者」という。)は、次に掲げる書類について、当該書類の提出を受けるべき者に対し、書面による提出に代えて電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、その提出者は、当該書類を提出したものとみなす。
イ 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申込書
ロ 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書
ハ 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄限度額変更申告書
ニ 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書
ホ 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄の勤務先異動申告書
ヘ 転職者等の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄継続適用申告書
ト 海外転勤者の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄継続適用申告書
チ 海外転勤者の(特別)国内勤務申告書
リ 育児休業等をする者の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄継続適用申告書
ヌ 育児休業等期間変更申告書
ル 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄廃止申告書
ヲ 財産形成年金貯蓄の非課税適用確認申告書
ワ 財産形成年金貯蓄者の退職等申告書
カ 一回に支払を受ける年金の額を記載した書面
ヨ 事業譲渡等に関する書類
タ 退職等に関する通知書
レ 財産形成年金貯蓄者の退職等申告書に記載した氏名等に変更があった場合の届出書
(注1)上記イからヨまでに掲げる書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供は、給与所得者の扶養控除等申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合と同様の要件を満たしていなければならない。
(注2)提出者が、上記イからカまで及びレに掲げる書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合には、その者の氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。
② 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人につき、当該申告書に記載した勤務先(以下「前の勤務先」という。)から当該前の勤務先以外の勤務先(以下「他の勤務先」という。)への異動があり、かつ、次に掲げる場合に該当する場合には、当該個人の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄の勤務先異動申告書の提出に代えて、当該他の勤務先の長が、当該勤務先異動申告書と同様の事項を記載した書類を、金融機関の営業所等を経由して所轄税務署長に提出することができることとする。この場合において、当該個人は、当該勤務先異動申告書を提出したものとみなす。
イ 当該異動に係る他の勤務先が、前の勤務先に係る賃金の支払者の国内における事務所等である場合
ロIRに掲げる場合以外の場合であって、当該異動が出向その他の前の勤務先の賃金の支払者に係る勤労者に該当しないこととなる異動を命じられたことによるもの又は前の勤務先の事業の譲渡によるものであるとき(当該個人の財産形成住宅(年金)貯蓄に関する情報の当該他の勤務先への提供依頼等があった場合に限る。)
③ 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人につき、当該申告書に記載した賃金の支払者等の名称又は所在地の変更があった場合その他一定の場合には、当該個人の財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書の提出に代えて、当該個人の勤務先の長が、当該異動申告書と同様の事項を記載した書類を金融機関の営業所等を経由して所轄税務署長に提出することができるという現行の取扱いを法令に規定する。
④ その他所要の措置を講ずる。
(5)特定寄附信託の利子所得の非課税措置について、次の措置を講ずる。
① 次に掲げる書類の特定寄附信託に係る受託者に対する書面による提出に代えて、特定寄附信託に係る受託者に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
イ 特定寄附信託申告書
ロ 特定寄附信託契約の契約書の写し
ハ 特定寄附信託異動申告書
② 上記①イからハまでに掲げる書類は、特定寄附信託に係る受託者を経由して、当該受託者の営業所等の所在地の所轄税務署長(現行:提出者の住所地の所轄税務署長)に提出しなければならないこととする。
③ 特定寄附信託の受託者が特定寄附信託申告書等の写しを作成し、当該書類の写しを保存することに代えて、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を保存できることとする。
④ その他所要の措置を講ずる。
(6)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、次の措置を講ずる。
① 特定口座内保管上場株式等移管依頼書の書面による提出に代えて、当該特定口座内保管上場株式等移管依頼書に記載すべき事項を電磁的方法により提供できることとする。
② 次に掲げる書類の書面による提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供の際に併せて行うこととされている住所等確認書類の提示又は特定署名用電子証明書等の送信を不要とする。
イ 特定口座源泉徴収選択届出書
ロ 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書
ハ 特定管理口座開設届出書
ニ 特定口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書
ホ 特定口座への未成年者口座内上場株式等移管依頼書
ヘ 営業所の移管又は勘定の設定若しくは廃止に係る特定口座異動届出書
ト 源泉徴収選択口座内配当等受入終了届出書
③ 源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡等による事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、当該源泉徴収選択口座を開設している金融商品取引業者等に支払う投資一任契約に係る費用を必要経費に算入できることとする。
④ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記③の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する(個人住民税についても同様とする。)。
(7)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
① 次に掲げる書類の書面による提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供の際に併せて行うこととされている住所等確認書類の提示又は特定署名用電子証明書等の送信を不要とする。
イ 金融商品取引業者等変更届出書
ロ 非課税口座廃止届出書
ハ 特定口座以外の他の保管口座への非課税口座内上場株式等移管依頼書
ニ 非課税口座内上場株式等移管依頼書
ホ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書
ヘ 特定累積投資上場株式等受入選択不適用届出書
ト 勘定の変更等に係る非課税口座異動届出書
チ 非課税口座移管依頼書
② 平成29年分の非課税管理勘定が設定されている非課税口座を令和3年4月1日において開設している居住者等で、同日においてその者の個人番号を当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に告知していないものについて、令和3年分以後の非課税管理勘定又は累積投資勘定を設定するための手続を設ける。
(8)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、次に掲げる書類の書面による提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項の提供の際に併せて行うこととされている住所等確認書類の提示又は特定署名用電子証明書等の送信を不要とする。
① 未成年者口座廃止届出書
② 未成年者口座内上場株式等移管依頼書
③ 特定口座以外の他の保管口座への未成年者口座内上場株式等移管依頼書
④ 未成年者口座移管依頼書
(9)エンジェル税制(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例、特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等)の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を1年延長する。
〔縮減〕
 特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の適用対象から、特定保有株式を除外する。
3 租税特別措置等
(国 税)
〔延長・拡充等〕
 特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)について、次の措置を講じた上、その適用期限を5年延長する。
(1)本特例の対象となる医薬品の範囲について、次の見直しを行う。
① 所要の経過措置(5年未満の必要範囲内)を講じた上、対象となるスイッチOTC医薬品から、療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外する。
② スイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する要指導医薬品又は一般用医薬品(スイッチOTC医薬品を除く。)で、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加える。
(注1)上記の具体的な範囲については、専門的な知見を活用して決定する。
(注2)上記の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する。
(2)健康保険法等の規定に基づき行われる健康診査等の健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行ったことを明らかにする書類(以下「取組関係書類」という。)については、確定申告書への添付又は確定申告書の提出の際の提示を不要とする。この場合において、税務署長は、確定申告期限等から5年間、当該取組関係書類の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、当該取組関係書類の提示又は提出をしなければならないこととする。
(注1)確定申告書の提出の際に添付すべき医薬品購入費の明細書には、その取組に関する事項を記載しなければならない。
(注2)上記の改正は、令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合について適用する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
 特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)について、本特例の対象となる医薬品の範囲に係る次の見直しを行った上、その適用期限を5年延長する。
(1)所要の経過措置(5年未満の必要範囲内)を講じた上、対象となるスイッチOTC医薬品から、療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外する。
(2)スイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する要指導医薬品又は一般用医薬品(スイッチOTC医薬品を除く。)で、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加える。
(注1)上記の具体的な範囲については、専門的な知見を活用して決定する。
(注2)上記の改正は、令和5年度分以後の個人住民税について適用する。
〔廃止・縮減等〕
(1)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、国税における見直しを踏まえて所要の措置を講じた上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する。
(2)特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
4 その他
(国 税)
(1)国又は地方公共団体が行う保育その他の子育てに対する助成をする事業その他これに類する一定の助成をする事業により、これらの助成を受ける者の居宅において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は認可外保育施設その他の一定の施設の利用に要する費用に充てるため給付される金品については、所得税を課さないこととする。
(2)確定拠出年金法施行令の改正を前提に、確定拠出年金制度について次の見直し等が行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
① 確定給付企業年金制度の加入者の企業型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額2.75万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額とする。
② 確定給付企業年金制度の加入者の個人型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額1.2万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(月額2万円を上限)とする。
(3)退職所得課税の適正化
① その年中の退職手当等のうち、退職手当等の支払者の下での勤続年数が5年以下である者が当該退職手当等の支払者から当該勤続年数に対応するものとして支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないもの(以下「短期退職手当等」という。)に係る退職所得の金額の計算につき、短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用しないこととする。
② 上記①の見直しに伴い、短期退職手当等と短期退職手当等以外の退職手当等がある場合の退職所得の金額の計算方法、退職手当等に係る源泉徴収税額の計算方法及び退職所得の源泉徴収票の記載事項等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年分以後の所得税について適用する。
(4)労働者災害補償保険法の複数事業労働者傷病年金を受けている者、複数事業労働者障害年金を受けている者及び複数事業労働者遺族年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加える。
(5)特定公益増進法人等に対する寄附金の寄附金控除及び所得税額の特別控除について、その対象となる寄附金から出資に関する業務に充てることが明らかな寄附金を除外する。
(6)所得税の確定申告等について、次の措置を講ずる。
① その計算した所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、控除しきれなかった外国税額控除の額があるとき、控除しきれなかった源泉徴収税額があるとき又は控除しきれなかった予納税額があるときは、確定申告書の提出を要しないこととする。この場合における確定申告書の提出期間については、現行の申告義務のない者の還付申告書の提出期間(その年の翌年1月1日から5年間)と同様となる。
② 上記①の改正に伴い、財産債務調書の提出義務者の範囲について現行と同様とするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に確定申告書の提出期限が到来する所得税について適用する。
(7)給与等、退職手当等又は公的年金等(以下「給与等」という。)の支払を受ける者が、給与等の支払をする者に対し、次に掲げる源泉徴収関係書類の書面による提出に代えて当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合の要件であるその給与等の支払をする者が受けるべき税務署長の承認を不要とするほか、これに伴う所要の措置を講ずる。
① 給与所得者の扶養控除等申告書
② 従たる給与についての扶養控除等申告書
③ 給与所得者の配偶者控除等申告書
④ 給与所得者の基礎控除申告書
⑤ 給与所得者の保険料控除申告書
⑥ 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
⑦ 所得金額調整控除申告書
⑧ 退職所得の受給に関する申告書
⑨ 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
(注)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類について適用する。
(8)社会医療法人制度における認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の実績が一定の基準に適合することとの要件について、関係法令の改正により夜間等救急自動車等搬送件数及びへき地診療所に対する医師の延べ派遣日数等の基準値に係る特例を追加する見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(9)農水産業協同組合貯金保険法の改正を前提に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務範囲の見直しが行われた後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(10)健康保険法の傷病手当金等及び出産育児一時金等について、健康保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(11)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の改正を前提に、同法の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等について、引き続き所得税を課さないこととする。
(12)雇用保険法の育児休業給付等について、雇用保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
(13)年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律による改正後の児童扶養手当法の児童扶養手当について、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
③ 児童扶養手当を受けている児童の母である者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(14)国民年金法の障害基礎年金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 所得税を課さない。
② 国税の滞納処分による差押えを禁止する。
③ 障害基礎年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(地方税)
(1)国又は地方公共団体が行う保育その他の子育てに対する助成をする事業その他これに類する一定の助成をする事業により、これらの助成を受ける者の居宅において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は認可外保育施設その他の一定の施設の利用に要する費用に充てるため給付される金品については、個人住民税を課さないこととする。
(2)確定拠出年金法施行令の改正を前提に、確定拠出年金制度について次の見直し等が行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。
① 確定給付企業年金制度の加入者の企業型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額2.75万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額とする。
② 確定給付企業年金制度の加入者の個人型確定拠出年金の拠出限度額(現行:月額1.2万円)を、月額5.5万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(月額2万円を上限)とする。
(3)個人住民税について、所得税における次の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
① 退職所得課税の適正化
② 源泉徴収関係書類の電子提出に係る税務署長の承認の廃止
(4)労働者災害補償保険法の複数事業労働者傷病年金を受けている者、複数事業労働者障害年金を受けている者及び複数事業労働者遺族年金を受けている遺族(妻に限る。)を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者に加える。
(5)国税における特定公益増進法人等に係る次の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
① 特定公益増進法人の範囲に、試験研究業務を行う地方独立行政法人のうち定款に出資に関する業務を行う旨の定めがあるものを加える。
② 特定公益増進法人等に対する寄附金の寄附金控除及び所得税額の特別控除について、その対象となる寄附金から出資に関する業務に充てることが明らかな寄附金を除外する。
(6)所得税において一部の者に課されていた還付申告の義務をなくすこととしたことに伴い、提出義務のなくなった申告書の提出があった場合において、その提出の日の翌日から起算して2年を経過する日が通常の賦課決定の除斥期間経過後に到来するときは、その提出の日の翌日から起算して2年間、個人住民税の賦課決定を行うことができることとする。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に上記の提出の日が到来する場合について適用する。
(7)健康保険法の傷病手当金等及び出産育児一時金等について、健康保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(8)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の改正を前提に、同法の特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等について、引き続き個人住民税を課さないこととする。
(9)雇用保険法の育児休業給付等について、雇用保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
(10)年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律による改正後の児童扶養手当法の児童扶養手当について、引き続き次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
③ 児童扶養手当を受けている児童の母である者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(11)国民年金法の障害基礎年金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。
① 個人住民税を課さない。
② 地方税の滞納処分による差押えを禁止する。
③ 障害基礎年金を受けている者を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。
(12)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の必要経費算入制度の対象となる国庫補助金等の範囲について、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業等に係るものを加える。
(13)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正に伴い、同法の課徴金制度における課徴金及び延滞金について、必要経費算入しないこととする。
(14)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
(15)扶養控除における国外居住親族の取扱いの見直しを踏まえ、個人住民税均等割及び所得割の非課税限度額の算定の基礎となる扶養親族から、年齢30歳以上70歳未満の非居住者であって次のいずれにも該当しない者を除外する。
① 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
② 障害者
③ その納税義務者から前年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者
 また、個人住民税均等割の税率軽減の判定の基礎となる扶養親族についても、同様の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用する。
(16)個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の全部について源泉分離課税(申告不要)とする場合に、原則として、確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、確定申告書における個人住民税に係る附記事項を追加する。
(注)上記の改正は、令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合について適用する。

二 資産課税
1 国際金融都市に向けた税制上の措置
 国内に短期的に居住する在留資格を有する者、国外に居住する外国人等が、相続開始の時又は贈与の時において国内に居住する在留資格を有する者から、相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないこととする。
(注)上記の「在留資格」とは、出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格をいう。
2 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等
(1)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講ずる。
① 令和3年4月1日から同年12月31日までの間に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合における非課税限度額を、次のとおり、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間の非課税限度額と同額まで引き上げる。

 
現行
改正案
消費税等の税率10%が適用される住宅用家屋の新築等
1,200万円
1,500万円
上記以外の住宅用家屋の新築等
800万円
1,000万円

(注)上記の非課税限度額は、耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋に係る非課税限度額であり、一般の住宅用家屋に係る非課税限度額は、上記の非課税限度額からそれぞれ500万円を減じた額とする。
② 受贈者が贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限を40㎡以上(現行:50㎡以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置についても同様とする。
(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。
(2)特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例について、床面積要件の下限を40㎡以上(現行:50㎡以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、令和3年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。
(3)税務署長が納税者から提供された既存住宅用家屋等に係る不動産識別事項等を使用して、入手等をした当該既存住宅用家屋等の登記事項により床面積要件等を満たすことの確認ができた住宅を、本措置の対象となる既存住宅用家屋等に含めることとする。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に贈与税の申告書を提出する場合について適用する。
3 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において、受贈者が次のいずれかに該当する場合を除く。)には、その死亡の日までの年数にかかわらず、同日における管理残額を、受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなす。
イ 23歳未満である場合
ロ 学校等に在学している場合
ハ 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
(注)上記の「管理残額」とは、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額をいう(②において同じ。)。
② 上記①により相続等により取得したものとみなされる管理残額について、贈与者の子以外の直系卑属に相続税が課される場合には、当該管理残額に対応する相続税額を、相続税額の2割加算の対象とする。
(注)上記①及び②の改正は、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用する。
③ 本措置の対象となる教育資金の範囲に、1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事等から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものに支払われる保育料等を加える。
(注)上記の改正は、令和3年4月1日以後に支払われる教育資金について適用する。
④ 次に掲げる申告書等の書面による提出に代えて、取扱金融機関の営業所等に対して、当該申告書等に記載すべき事項等を電磁的方法により提供することができることとする。
イ 教育資金非課税申告書
ロ 追加教育資金非課税申告書
ハ 教育資金非課税取消申告書
ニ 教育資金非課税廃止申告書
ホ 教育資金管理契約に関する異動申告書
(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 贈与者から相続等により取得したものとみなされる管理残額について、当該贈与者の子以外の直系卑属に相続税が課される場合には、当該管理残額に対応する相続税額を、相続税額の2割加算の対象とする。
(注1)上記の「管理残額」とは、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額をいう。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用する。
② 受贈者の年齢要件の下限を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、令和4年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用する。
③ 本措置の対象となる結婚・子育て資金の範囲に、1日当たり5人以下の乳幼児を保育する認可外保育施設のうち、都道府県知事等から一定の基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものに支払われる保育料等を加える。
(注)上記の改正は、令和3年4月1日以後に支払われる結婚・子育て資金について適用する。
④ 次に掲げる申告書等の書面による提出に代えて、取扱金融機関の営業所等に対して、当該申告書等に記載すべき事項等を電磁的方法により提供することができることとする。
イ 結婚・子育て資金非課税申告書
ロ 追加結婚・子育て資金非課税申告書
ハ 結婚・子育て資金非課税取消申告書
ニ 結婚・子育て資金非課税廃止申告書
ホ 結婚・子育て資金管理契約に関する異動申告書
4 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
(1)土地に係る固定資産税の負担調整措置
① 宅地等及び農地の負担調整措置については、令和3年度から令和5年度までの間、据置年度において価格の下落修正を行う措置並びに商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。
② その上で、令和3年度限りの措置として、次の措置を講ずる。
イ 宅地等(商業地等は負担水準が60%未満の土地に限り、商業地等以外の宅地等は負担水準が100%未満の土地に限る。)及び農地(負担水準が100%未満の土地に限る。)については、令和3年度の課税標準額を令和2年度の課税標準額と同額とする。
ロ 令和2年度において条例減額制度の適用を受けた土地について、所要の措置を講ずる。
③ その他所要の措置を講ずる。
(2)土地に係る都市計画税の負担調整措置
 固定資産税の改正に伴う所要の改正を行う。
5 租税特別措置等
(国 税)
〔新設〕
〈登録免許税〉
(1)令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に都市再生特別措置法の居住誘導区域等権利設定等促進計画に基づき取得する不動産の所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
① 所有権の移転登記 1,000分の10(本則1,000分の20)
② 地上権等の設定登記 1,000分の5(本則1,000分の10)
(2)関係法令の改正を前提に、改正法の施行の日から令和5年3月31日までの間の措置として、医療機関の開設者が、共同再編計画(仮称)に基づき、医療機関の再編に伴い取得する土地又は建物の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずる。
① 土地の所有権の移転登記 1,000分の10(本則1,000分の20)
② 建物の所有権の保存登記 1,000分の2(本則1,000分の4)
〔延長・拡充〕
〈相続税・贈与税〉
(1)特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度について、登録有形文化財登録基準の改正を前提に、適用対象となる特定美術品の範囲に製作後50年を経過していない美術品のうち一定のものを加える。
(2)個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、適用対象となる特定事業用資産の範囲に、被相続人又は贈与者の事業の用に供されていた乗用自動車で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているもの(取得価額500万円以下の部分に対応する部分に限る。)を加える。
(3)非上場株式等に係る相続税の納税猶予の特例制度について、次に掲げる場合には、後継者が被相続人の相続開始の直前において特例認定承継会社の役員でないときであっても、本制度の適用を受けることができることとする(①については、一般制度についても同様とする。)。
① 被相続人が70歳未満(現行:60歳未満)で死亡した場合
② 後継者が中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則の確認を受けた特例承継計画に特例後継者として記載されている者である場合
(4)農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用に係る農地等を収用交換等により譲渡した場合に利子税の全額を免除する措置の適用期限を5年延長する。
〈登録免許税〉
(5)土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(6)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 火災に対する安全性が不足するマンション及び外壁の剥落等により危害を生ずるおそれのあるマンションが対象に追加されたマンション敷地売却事業について、引き続きマンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する登録免許税の免税措置を適用する。
② マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正法の施行の日から令和6年3月31日までの間の措置として、敷地権利変換手続開始の登記及び敷地権利変換後の土地について必要な登記(一定のものに限る。)に対する登録免許税を免税とする。
(7)利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(8)信用保証協会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(9)農業信用基金協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(10)日本酒造組合中央会が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(11)造船法の改正を前提に、産業競争力強化法の事業再編計画の認定があったものとみなされる造船法の認定を受けた事業基盤強化計画(仮称)に基づき行う合併の登記等を、産業競争力強化法の認定事業再編計画等に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の対象とする。
(12)農業競争力強化支援法の認定事業再編計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(13)預金保険法の改正を前提に、同法の第一号措置を行うべき旨の内閣総理大臣の決定等に基づき金融機関等が受ける増資の登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置を恒久化する。
(14)認定民間都市再生事業計画(当該計画に係る認定が国家戦略特別区域法の規定により国土交通大臣の認定があったものとみなされるものである場合における当該計画を含む。(15)において同じ。)に基づき都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(15)認定民間都市再生事業計画に基づき特定都市再生緊急整備地域内に特定民間都市再生事業の用に供する建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(16)特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。
(17)特例事業者等が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 適用対象となる不動産の範囲に保育所用の建築物及びその敷地を加える。
② 建築物の用途が住宅(サービス付き高齢者向け住宅を除く。)、倉庫又は駐車場である場合を除き、当該建築物の建築面積が150㎡以上(新築又は改築の場合には、当該建築物の床面積1㎡当たりの工事に要した費用の額が25万円以上である場合に限る。)の場合にも、特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が新築等をする建築物に係る規模要件を満たすこととする。
(18)相続に係る所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置について、適用対象となる登記の範囲に、表題部所有者の相続人が受ける土地の所有権の保存登記を加えた上、その適用期限を1年延長する。
(地方税)
〔新設〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)特定都市河川浸水被害対策法及び下水道法の改正を前提に、特定都市河川浸水被害対策法又は下水道法の規定により認定を受けた雨水貯留浸透施設整備計画(仮称)に基づき、浸水の防止を図るために取得する一定の償却資産に係る固定資産税について、課税標準を価格に次の割合を乗じて得た額とする特例措置を令和6年3月31日まで講ずる。
① 大臣配分資産又は知事配分資産 3分の1
② その他の資産 3分の1を参酌して6分の1以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合
(2)一定のダムに整備された洪水調節の用に供する一定の償却資産(利水の用に供する部分を除く。)に係る固定資産税について、非課税とする措置を講ずる。
(3)自転車活用推進法に規定する市町村自転車活用推進計画に基づくシェアサイクル事業のうち、都市再生特別措置法に規定する立地適正化計画の都市機能誘導区域内において新たに取得した一定の償却資産に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の4分の3とする特例措置を令和5年3月31日まで講ずる。
〈不動産取得税〉
(4)都市再生特別措置法の規定による公告があった居住誘導区域等権利設定等促進計画に基づく移転により取得した不動産に係る不動産取得税について、当該不動産の価格の5分の1に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を令和5年3月31日まで講ずる。
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が一定の業務の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の非課税措置について、種苗法の一部を改正する法律による国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法の改正に伴い、対象に特性表訂正のための栽培試験等の業務の用に供する固定資産を加える。
(2)平成28年熊本地震により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に取得等をした償却資産に係る固定資産税については、被災代替償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を引き続き適用できることとする。
(3)令和3年度分及び令和4年度分の平成28年熊本地震による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税については、被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置を引き続き適用できることとする。
(4)平成28年熊本地震により滅失・損壊した家屋に代わるものとして一定の被災地域内で令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に取得等をした家屋に係る固定資産税及び都市計画税については、被災代替家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置を引き続き適用できることとする。
(5)令和3年度分及び令和4年度分の平成30年7月豪雨による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税については、被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置を引き続き適用できることとする。
(6)鉄道事業者等がその事業の用に供する鉄道施設等を高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に規定する公共交通移動等円滑化基準に適合させるために実施する一定の鉄道駅等の改良事業により取得した一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、エレベーター設置事業の対象範囲に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく移動等円滑化基本構想に位置付けられた1日平均利用者数2,000人以上の駅で実施される事業を加えた上、その適用期限を2年延長する。
(7)海上運送法の改正を前提に、国際船舶に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象となる国際船舶のうち海上運送法の規定により認定を受けた特定船舶導入計画(仮称)に基づき取得した特定船舶(仮称)に係る固定資産税の課税標準を36分の1とした上、その適用期限を3年延長する。
(注)拡充の対象となる特定船舶(仮称)が満たすべき環境性能要件等は、法人税の船舶の特別償却制度における特定船舶と同一の要件とする。
(8)子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた者が一定の保育施設の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(9)公益社団法人又は公益財団法人が文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する家屋及び土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(10)心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を受けて取得した事業用施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(11)所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域福利増進事業を実施する者が、当該事業の用に供する一定の土地及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(12)密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する防災街区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得した一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(13)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する特定都市再生緊急整備地域において、一定の認定事業により取得した公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(14)都市再開発法に規定する市街地再開発事業の施行に伴い従前の権利者が取得した一定の家屋に係る固定資産税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(15)鉄軌道事業者が政府の補助を受けて取得した車両の運行の安全性の向上に資する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(16)鉄軌道事業者が取得した新造車両で高齢者、障害者等の移動等の円滑化に資する一定の構造を有する車両に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(17)国際戦略港湾及び一定の要件を満たす国際拠点港湾において、港湾運営会社が、国の無利子資金の貸付け又は補助を受けて取得した一定の荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(18)特定貨物輸入拠点港湾において、特定貨物取扱埠頭の整備を図るため、港湾管理者が作成する特定利用推進計画の一定の事業を実施する者が、政府の補助を受けて取得した荷さばき施設等に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(19)津波防災地域づくりに関する法律に規定する津波災害警戒区域における指定避難施設及び協定避難施設のうち避難の用に供する部分並びに当該施設に附属する新たに設置された避難の用に供する償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
(20)南海トラフ地震防災対策推進地域、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域及び首都直下地震緊急対策区域において、国の無利子資金の貸付けを受けて改良された港湾法に規定する特別特定技術基準対象施設である護岸、岸壁及び物揚場に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈不動産取得税〉
(21)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が一定の業務の用に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置について、種苗法の一部を改正する法律による国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法の改正に伴い、対象に特性表訂正のための栽培試験等の業務の用に供する不動産を加える。
(22)マンションの建替え等の円滑化に関する法律に規定する施行者又はマンション敷地売却組合が取得する要除却認定マンション及びその敷地に係る不動産取得税の非課税措置について、同法の改正に伴い、その適用対象を同法に規定する特定要除却認定マンション及びその敷地とする。
(23)不動産特定共同事業法に規定する特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
① 特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が新築等をした家屋及びその敷地をその新築等後10年以内に譲渡することとの要件を廃止する。
② 適用対象となる特例事業者又は適格特例投資家限定事業者が取得する不動産の範囲に借地上の家屋を加える。
③ 適用対象から一定の家屋を除外する。
(24)日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律の改正を前提に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が改正後の同法の規定に基づき取得する一定の土地に係る不動産取得税について、当該土地の価格の3分の2に相当する額を価格から控除する課税標準の特例措置を令和6年3月31日まで講ずる。
(25)預金保険法に規定する協定銀行が協定の定めにより内閣総理大臣のあっせんを受けて行う破綻金融機関等の事業の譲受け又は預金保険機構の委託を受けて行う資産の買取りにより取得した不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(26)保険業法に規定する協定銀行が協定の定めにより保険契約者保護機構の委託を受けて行う破綻保険会社等の資産の買取りにより取得した不動産に係る不動産取得税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(27)公益社団法人又は公益財団法人が取得した文化財保護法に規定する重要無形文化財に指定された伝統芸能の公演のための専用施設の用に供する不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(28)心身障害者を多数雇用する事業所の事業主が障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を受けて取得した事業用施設に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(29)農業経営基盤強化促進法の規定による公告があった農用地利用集積計画に基づき取得した農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(30)農業協同組合等が農業近代化資金等の貸付けを受けて取得した農林漁業経営の近代化又は合理化のための共同利用施設に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(31)宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置の適用期限を3年延長する。
(32)住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置の適用期限を3年延長する。
(33)宅地建物取引業者が取得した既存住宅及び当該既存住宅の用に供する土地について、一定の増改築等を行った上、取得の日から2年以内に耐震基準適合要件を満たすもの等として個人に販売し、自己の居住の用に供された場合に係る不動産取得税の減額措置の適用期限を2年延長する。
(34)特定目的会社が資産流動化計画に基づき取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(35)信託会社等が投資信託により取得した一定の不動産及び投資法人が取得した一定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(36)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する特定都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得した不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(37)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する都市再生緊急整備地域において、認定事業により取得した不動産に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈事業所税〉
(38)地方自治法の改正を前提に、認可地縁団体の認可要件の見直しが行われた後も、引き続き公益法人等とみなして、収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
(39)一定の電気事業の用に供する施設に係る事業所税の非課税措置について、対象に配電事業及び特定卸供給事業の用に供する施設を加える。
(注)上記の改正は、令和4年4月1日以後に終了する事業年度分の法人の事業及び令和4年以後の年分の個人の事業に対して課すべき事業所税について適用する。
(40)子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた者が設置する一定の保育施設において行う事業に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(41)沖縄振興特別措置法に規定する観光地形成促進地域における特定民間観光関連施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長する。
(42)沖縄振興特別措置法に規定する情報通信産業振興地域における一定の情報通信産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長する。
(43)沖縄振興特別措置法に規定する産業高度化・事業革新促進地域における一定の産業の事業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長する。
(44)沖縄振興特別措置法に規定する国際物流拠点産業集積地域における一定の産業の用に供する施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を1年延長する。
(45)特定農産加工業経営改善臨時措置法に規定する承認計画に基づき特定農産加工業者等が事業の用に供する一定の施設に対する資産割に係る事業所税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〔廃止・縮減等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)政府の補助を受けて取得した一定の低公害車燃料等供給設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、一定の補助金を対象から除外した上、その適用期限を2年延長する。
(2)政府の補助等を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置について、対象となる家屋の床面積要件の上限を180㎡以下(現行:210㎡以下)に引き下げ、一定の補助金を対象から除外した上、その適用期限を2年延長する。
(3)都市緑地法に規定する緑地保全・緑化推進法人が同法に規定する認定計画に基づき設置した市民緑地の用に供する土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、適用対象となる市民緑地の範囲を見直した上、その適用期限を2年延長する。
(4)都市再生特別措置法に規定する認定事業者が同法に規定する都市再生緊急整備地域において、一定の認定事業により取得した公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、認定事業の要件のうち整備される家屋の延べ面積要件を75,000㎡以上(現行:50,000㎡以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(5)都市鉄道等利便増進法に規定する都市鉄道利便増進事業により取得した鉄道施設に対して、次の措置を講ずる。
① 鉄軌道事業者又は一定の第三セクター若しくは独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が取得した駅施設の用に供する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
イ 対象事業から駅施設利用円滑化事業を除外する。
ロ 対象施設から自転車駐車場及び路外駐車場を除外する。
② 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が整備した線路設備等のうち市街化区域のトンネルに係る固定資産税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(6)鉄軌道事業者が取得した新造車両等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、一定の鉄軌道事業者が取得した新造車両に係る環境性能要件を見直した上、その適用期限を2年延長する。
(7)熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止する。
(8)特定都市河川浸水被害対策法に基づき都道府県知事等の許可を要する雨水浸透阻害行為に伴い設置される一定の雨水貯留浸透施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止する。
〈不動産取得税〉
(9)政府の補助等を受けて新築された一定のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置及び当該住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置について、対象となる家屋の床面積要件の上限を180㎡以下(現行:210㎡以下)に引き下げ、一定の補助金を対象から除外した上、その適用期限を2年延長する。
6 その他
(国 税)
(1)特定障害者に対する贈与税の非課税措置について、次に掲げる申告書等の書面による提出に代えて、受託者の営業所等に対して、当該申告書等に記載すべき事項等を電磁的方法により提供することができることとする。
① 障害者非課税信託申告書
② 障害者非課税信託取消申告書
③ 障害者非課税信託廃止申告書
④ 障害者非課税信託に関する異動申告書
(2)日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律の改正を前提に、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が改正後の同法の規定に基づき取得する一定の土地に係る所有権の移転登記を、登録免許税法別表第三(登録免許税の非課税登記)に追加する。
(3)新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を令和4年3月31日まで延長する。
(4)種苗法の一部を改正する法律による改正後の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法の規定に基づく品種登録審査に関する文書については、引き続き印紙税を課さないこととする。
(地方税)
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)社会医療法人制度における認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の実績が一定の基準に適合することとの要件について、関係法令の改正により夜間等救急自動車等搬送件数及びへき地診療所に対する医師の延べ派遣日数等の基準値に係る特例を追加する見直しが行われた後も、現行の社会医療法人に対する特例措置と同様の特例措置を講ずる。
(2)生産性革命の実現に向けた償却資産に係る固定資産税の特例措置について、生産性向上特別措置法の廃止及び認定先端設備等導入計画等に係る規定の他法への移管を前提に、適用期限の2年延長に関し、所要の措置を講ずる。なお、本特例措置は延長後の適用期限の到来をもって廃止することとし、関係規定を削除する。
(注1)適用期限の2年延長は、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」(令和2年4月6日)での決定事項。
(注2)上記の関係規定の削除は、令和5年4月1日から施行する。
〈不動産取得税〉
(3)社会医療法人制度における認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の実績が一定の基準に適合することとの要件について、関係法令の改正により夜間等救急自動車等搬送件数及びへき地診療所に対する医師の延べ派遣日数等の基準値に係る特例を追加する見直しが行われた後も、現行の社会医療法人に対する特例措置と同様の特例措置を講ずる。
〈事業所税〉
(4)農水産業協同組合貯金保険法の改正を前提に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務範囲の見直しが行われた後も、引き続き収益事業以外の事業に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
〈市町村交付金〉
(5)国又は地方公共団体が所有する一定のダムに整備された洪水調節の用に供する一定の償却資産(利水の用に供する部分を除く。)について、国有資産等所在市町村交付金の交付対象から除外する措置を講ずる。

三 法人課税
1 産業競争力の強化に係る措置
(国 税)
(1)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和5年3月31日までの間に、その事業適応計画に従って実施される産業競争力強化法の事業適応(仮称)の用に供するためにソフトウエアの新設若しくは増設をし、又はその事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。)の支出をした場合には、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
① 取得等をして国内にある事業の用に供した事業適応設備の取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%(グループ外の事業者とデータ連携をする場合には、5%)の税額控除との選択適用ができることとする。
② 上記の繰延資産の額の30%の特別償却とその繰延資産の額の3%(グループ外の事業者とデータ連携をする場合には、5%)の税額控除との選択適用ができることとする。
 ただし、税額控除における控除税額は、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除制度による控除税額との合計で当期の法人税額の20%を上限とする。
(注1)上記の「事業適応設備」とは、事業適応計画に従って実施される事業適応(生産性の向上又は需要の開拓に特に資するものとして主務大臣の確認を受けたものに限る。)の用に供するために新設又は増設をするソフトウエア並びにそのソフトウエア又はその事業適応を実施するために必要なソフトウエアとともに事業適応の用に供する機械装置及び器具備品をいい、開発研究用資産を除く。
(注2)上記の「グループ」とは、会社法上の親子会社関係にある会社によって構成されるグループをいう。
(注3)対象資産の取得価額及び対象繰延資産の額の合計額のうち本制度の対象となる金額は300億円を限度とする。
(2)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 試験研究費の総額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
イ 税額控除率を次のとおり見直し、その下限を2%(現行:6%)に引き下げた上、その上限を14%(原則:10%)とする特例の適用期限を2年延長する。
(イ)増減試験研究費割合が9.4%超
   10.145%+(増減試験研究費割合−9.4%)×0.35
(ロ)増減試験研究費割合が9.4%以下
   10.145%−(9.4%−増減試験研究費割合)×0.175
ロ 令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上金額減少割合が2%以上であり、かつ、試験研究費の額が基準年度試験研究費の額を超える事業年度(研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限の特例の適用を受ける事業年度を除く。)の控除税額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せする。
(注1)上記の「基準年度比売上金額減少割合」とは、当期の売上金額が令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度の売上金額に満たない場合のその満たない部分の金額のその最後に終了した事業年度の売上金額に対する割合をいう。
(注2)上記の「基準年度試験研究費の額」とは、令和2年2月1日前に最後に終了した事業年度の試験研究費の額をいう。
ハ 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を2年延長する。
② 中小企業技術基盤強化税制について、次の見直しを行う。
イ 令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上金額減少割合が2%以上であり、かつ、試験研究費の額が基準年度試験研究費の額を超える事業年度の控除税額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せする。
ロ 増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が9.4%を超える場合に次のとおりとする特例に見直した上、その適用期限を2年延長する。
(イ)税額控除率(12%)に、増減試験研究費割合から9.4%を控除した割合に0.35を乗じて計算した割合を加算する。
(ロ)控除税額の上限に当期の法人税額の10%を上乗せする。
ハ 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合(上記ロの適用がある場合を除く。)における控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を2年延長する。
(注)税額控除率は、17%を上限とする(現行と同じ。)。
③ 特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
イ 対象となる特別試験研究費の額に、国立研究開発法人の外部化法人との共同研究及び国立研究開発法人の外部化法人への委託研究に要する費用の額を加え、その税額控除率を25%とする。
(注1)共同研究及び委託研究の範囲は、出資後10年以内に限定しないことを除き、研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への委託研究と同様とする。
(注2)関係法令の改正を前提に、国立大学、大学共同利用機関及び公立大学の外部化法人との共同研究並びに国立大学、大学共同利用機関及び公立大学の外部化法人への委託研究についても同様とする。
ロ 特別試験研究費の対象となる特別研究機関等との共同研究及び特別研究機関等への委託研究について、特別研究機関等の範囲に人文系の研究機関を加える。
ハ その事業年度における特別試験研究費の額であることの共同研究の相手方の確認について、第三者が作成した報告書等によって確認することが可能であることを明確化する等の運用の改善を行う。
ニ 特別試験研究費の対象となる大学等との共同研究及び大学等への委託研究について、契約上の試験研究費の総見込額が50万円を超えるものに限定する。
(注)中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)及び農業協同組合等については現行どおりとする。
ホ 特別試験研究費の対象となる特定中小企業者等への委託研究について、次の要件を満たすものに限定する。
(イ)受託者の委託に基づき行う業務がその受託者において試験研究に該当するものであること。
(ロ)委託に係る委任契約等(契約又は協定で、委任又は準委任の契約その他これに準ずるものに該当するものをいう。)において、その委託して行う試験研究の目的とする成果をその委託に係る委任契約等に基づき委託法人が取得するものとされていること。
(3)給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度を見直し、青色申告書を提出する法人が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内新規雇用者に対して給与等を支給する場合において、新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2%以上であるときは、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除ができる制度とする。この場合において、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上であるときは、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。
(注1)設立事業年度は対象外とする。
(注2)上記の「新規雇用者給与等支給額」とは、国内の事業所において新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者(支配関係がある法人から異動した者及び海外から異動した者を除く。)に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額をいい、上記の「新規雇用者比較給与等支給額」とは、前期の新規雇用者給与等支給額をいう。
(注3)上記の「控除対象新規雇用者給与等支給額」とは、国内の事業所において新たに雇用した者(支配関係がある法人から異動した者及び海外から異動した者を除く。)に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額をいう。ただし、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額を上限とするとともに、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度の適用がある場合には、所要の調整を行う。
(注4)比較教育訓練費の額は、前期の教育訓練費の額とする。
(注5)給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」について、その範囲を明確化するとともに、新規雇用者給与等支給額及び新規雇用者比較給与等支給額からは雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除しないこととする。
(4)繰越欠損金の控除上限の特例の創設
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の改正法の施行の日から同日以後1年を経過する日までの間に産業競争力強化法の事業適応計画(仮称)の認定を受けたもののうちその事業適応計画に従って同法の事業適応(仮称)を実施するものの適用事業年度において特例対象欠損金額がある場合には、その特例対象欠損金額については、欠損金の繰越控除前の所得の金額(その所得の金額の50%を超える部分については、累積投資残額に達するまでの金額に限る。)の範囲内で損金算入できることとする。
(注1)事業適応は、経済社会情勢の著しい変化に対応して行うものとして一定の基準に該当するものに限る。
(注2)上記の「適用事業年度」とは、次のいずれにも該当する事業年度をいう。
① 基準事業年度(特例対象欠損金額が生じた事業年度のうちその開始の日が最も早い事業年度後の事業年度で所得の金額が生じた最初の事業年度をいう。)開始の日以後5年以内に開始した事業年度であること。
② 事業適応計画の実施時期を含む事業年度であること。
③ 令和8年4月1日以前に開始する事業年度であること。
(注3)上記の「特例対象欠損金額」とは、令和2年4月1日から令和3年4月1日までの期間内の日を含む事業年度(一定の場合には、令和2年2月1日から同年3月31日までの間に終了する事業年度及びその翌事業年度)において生じた青色欠損金額をいう。
(注4)上記の「累積投資残額」とは、事業適応計画に従って行った投資の額から既に本特例により欠損金の繰越控除前の所得の金額の50%を超えて損金算入した欠損金額に相当する金額を控除した金額をいう。
(地方税)
(1)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和5年3月31日までの間に、その事業適応計画に従って実施される産業競争力強化法の事業適応(仮称)の用に供するためにソフトウエアの新設若しくは増設をし、又はその事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。)の支出をした場合に選択適用ができることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に、税額控除を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
(2)中小企業者等の試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う。
① 中小企業技術基盤強化税制について、次の見直しを行う。
イ 令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度のうち基準年度比売上金額減少割合が2%以上であり、かつ、試験研究費の額が基準年度試験研究費の額を超える事業年度の控除税額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せする。
ロ 増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が9.4%を超える場合に次のとおりとする特例に見直した上、その適用期限を2年延長する。
(イ)税額控除率(12%)に、増減試験研究費割合から9.4%を控除した割合に0.35を乗じて計算した割合を加算する。
(ロ)控除税額の上限に当期の法人税額の10%を上乗せする。
ハ 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合(上記ロの適用がある場合を除く。)における控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を2年延長する。
(注)税額控除率は、17%を上限とする(現行と同じ。)。
② 特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
イ 対象となる特別試験研究費の額に、国立研究開発法人の外部化法人との共同研究及び国立研究開発法人の外部化法人への委託研究に要する費用の額を加え、その税額控除率を25%とする。
ロ 特別試験研究費の対象となる特別研究機関等との共同研究及び特別研究機関等への委託研究について、特別研究機関等の範囲に人文系の研究機関を加える。
ハ その事業年度における特別試験研究費の額であることの共同研究の相手方の確認について、第三者が作成した報告書等によって確認することが可能であることを明確化する等の運用の改善を行う。
ニ 特別試験研究費の対象となる特定中小企業者等への委託研究について、次の要件を満たすものに限定する。
(イ)受託者の委託に基づき行う業務がその受託者において試験研究に該当するものであること。
(ロ)委託に係る委任契約等(契約又は協定で、委任又は準委任の契約その他これに準ずるものに該当するものをいう。)において、その委託して行う試験研究の目的とする成果をその委託に係る委任契約等に基づき委託法人が取得するものとされていること。
(3)給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度等の見直し
① 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の付加価値割の課税標準からの控除制度を見直し、法人が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内新規雇用者に対して給与等を支給する場合において、新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2%以上であるときは、控除対象新規雇用者給与等支給額を付加価値割の課税標準から控除できることとする。
② 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の中小企業者等の税額控除制度を見直し、法人が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内新規雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たすときに適用できることとされる法人税の税額控除を、中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
③ その他所要の措置を講ずる。
(4)繰越欠損金の控除上限の特例の創設
法人住民税及び法人事業税について、繰越欠損金の控除上限の特例の創設に関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
2 株式対価M&Aを促進するための措置の創設
(国 税)
 法人が、会社法の株式交付により、その有する株式を譲渡し、株式交付親会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べることとする(所得税についても同様とする。)。
(注1)対価として交付を受けた資産の価額のうち株式交付親会社の株式の価額が80%以上である場合に限ることとし、株式交付親会社の株式以外の資産の交付を受けた場合には株式交付親会社の株式に対応する部分の譲渡損益の計上を繰り延べる。
(注2)株式交付親会社の確定申告書の添付書類に株式交付計画書及び株式交付に係る明細書を加える(株式交換及び株式移転についても同様とする。)とともに、その明細書に株式交付により交付した資産の数又は価額の算定の根拠を明らかにする事項を記載した書類を添付することとする。
(注3)外国法人の本措置の適用については、その外国法人の恒久的施設において管理する株式に対応して株式交付親会社の株式の交付を受けた部分に限る。
3 国際金融都市に向けた税制上の措置
(国 税)
 金融商品取引法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で特定投資運用業者に該当するものが令和3年4月1日から令和8年3月31日までの間に開始する各事業年度(同法の改正法の施行の日以後に終了する事業年度に限る。)においてその業務執行役員に対して業績連動給与を支給する場合において、投資家の事前承認要件を満たすときは、その業績連動給与に係る役員給与の損金不算入制度の適用については、その法人が提出した金融商品取引法の事業報告書で金融庁長官によりインターネットに公表されたものは、利益に関する指標等が記載されるべき有価証券報告書とみなすとともに、その法人が、その業績連動給与に係る算定方法の内容を、報酬委員会における決定等の手続終了の日以後遅滞なく、その事業報告書に記載して提出し、かつ、同法の説明書類に記載して公衆の縦覧に供し、又は公表した場合には、算定方法の内容が有価証券報告書等で開示されていることとの要件を満たすこととする。
(注1)上記の「特定投資運用業者」とは、その事業年度の収益の額の合計額のうちに占める次の業務に係る収益の額の合計額の割合が75%以上である法人(有価証券報告書提出会社及びその完全子法人を除く。)をいう。
① 金融商品取引業者等の投資運用業
② 特例業務届出者の適格機関投資家等特例業務
③ 海外投資家等特例業務届出者(仮称)の海外投資家等特例業務(仮称)
④ 届出をして移行期間特例業務(仮称)を行う者の移行期間特例業務
(注2)業績連動給与は、その運用財産の運用として行った取引により生ずる利益に関する指標を基礎とした客観的なものに限る。
(注3)上記の「投資家の事前承認要件」とは、次のいずれかの要件を満たすことをいう。
① その運用財産に係るファンド契約書等においてその業績連動給与を支給する旨及びその算定方法を記載すること。
② 本制度の適用を受けようとする事業年度開始前にその運用財産に係る投資事業有限責任組合の組合員の集会等においてその業績連動給与を支給する旨及びその算定方法についての報告が行われ、かつ、その議事録にその報告につき組合員等から異議があった旨の記載又は記録がないこと。
4 民間におけるデジタル化の促進
(国 税)
(1)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設(再掲)
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和5年3月31日までの間に、その事業適応計画に従って実施される産業競争力強化法の事業適応(仮称)の用に供するためにソフトウエアの新設若しくは増設をし、又はその事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。)の支出をした場合には、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
① 取得等をして国内にある事業の用に供した事業適応設備の取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%(グループ外の事業者とデータ連携をする場合には、5%)の税額控除との選択適用ができることとする。
② 上記の繰延資産の額の30%の特別償却とその繰延資産の額の3%(グループ外の事業者とデータ連携をする場合には、5%)の税額控除との選択適用ができることとする。
 ただし、税額控除における控除税額は、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除制度による控除税額との合計で当期の法人税額の20%を上限とする。
(注1)上記の「事業適応設備」及び「グループ」は、上記1(1)(注1)及び(注2)と同様とする。
(注2)対象資産の取得価額及び対象繰延資産の額の合計額のうち本制度の対象となる金額は300億円を限度とする。
(2)研究開発税制の対象となる試験研究費について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。
① 試験研究費のうち、研究開発費として損金経理をした金額で非試験研究用資産の取得価額に含まれるものを加える。
(注1)上記の「非試験研究用資産」とは、棚卸資産、固定資産及び繰延資産で、事業供用の時に試験研究の用に供さないものをいう。
(注2)上記に伴い、売上原価並びに取得価額に研究開発費として損金経理をした金額が含まれる非試験研究用資産の償却費、譲渡損及び除却損を研究開発税制の対象となる試験研究費から除外するとともに、取得価額に研究開発費として損金経理をした金額が含まれる非試験研究用資産について研究開発税制と特別償却等に関する制度との選択適用とする。
② リバースエンジニアリング(新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う試験研究に該当しないもの)を除外する。
③ 開発中の技術をその開発をする者において試行する場合において、その技術がその者の業務改善に資するものであっても、その技術に係る試験研究が工学又は自然科学に関する試験研究に該当するときは、その試験研究に要する費用は研究開発税制の対象となること等、研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲について明確化する。
(地方税)
(1)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設(再掲)
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和5年3月31日までの間に、その事業適応計画に従って実施される産業競争力強化法の事業適応(仮称)の用に供するためにソフトウエアの新設若しくは増設をし、又はその事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。)の支出をした場合に選択適用ができることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に、税額控除を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
(2)中小企業者等の試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)の対象となる試験研究費について、次の見直しを行う。
① 試験研究費のうち、研究開発費として損金経理をした金額で非試験研究用資産の取得価額に含まれるものを加える。
② リバースエンジニアリング(新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う試験研究に該当しないもの)を除外する。
③ 開発中の技術をその開発をする者において試行する場合において、その技術がその者の業務改善に資するものであっても、その技術に係る試験研究が工学又は自然科学に関する試験研究に該当するときは、その試験研究に要する費用は研究開発税制の対象となること等、研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲について明確化する。
5 カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
(国 税)
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の中長期環境適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和6年3月31日までの間に、その中長期環境適応計画に記載された産業競争力強化法の中長期環境適応生産性向上設備(仮称)又は中長期環境適応需要開拓製品生産設備(仮称)の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合には、その取得価額の50%の特別償却とその取得価額の5%(温室効果ガスの削減に著しく資するものにあっては、10%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の税額控除制度による控除税額との合計で当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。
(注1)上記の「中長期環境適応生産性向上設備」とは、産業競争力強化法の生産性向上設備等のうち、生産工程の効率化による温室効果ガスの削減その他の中長期環境適応(仮称)に用いられるものをいう。
(注2)上記の「中長期環境適応需要開拓製品生産設備」とは、中長期環境適応に用いられる製品であって、温室効果ガスの削減に資する事業活動に特に寄与する製品その他の我が国事業者による新たな需要の開拓に寄与することが見込まれる製品として主務大臣が定める製品の生産に専ら使用される設備をいう。
(注3)対象資産の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は500億円を限度とする。
(地方税)
 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の中長期環境適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和6年3月31日までの間に、その中長期環境適応計画に記載された産業競争力強化法の中長期環境適応生産性向上設備(仮称)又は中長期環境適応需要開拓製品生産設備(仮称)の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合に選択適用ができることとされる法人税の特別償却を法人住民税及び法人事業税に、税額控除を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。
6 中小企業向け投資促進税制等
(国 税)
(1)中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長する。
(2)中小企業投資促進税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 対象となる指定事業に次の事業を加える。
イ 不動産業
ロ 物品賃貸業
ハ 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)
② 対象となる法人に商店街振興組合を加える。
③ 対象資産から匿名組合契約等の目的である事業の用に供するものを除外する。
(3)特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(4)中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象に計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る。)を実施するために必要不可欠な設備を加えた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(5)地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 対象となる事業にサプライチェーンの強靭化に資する類型を加えるとともに、承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件について、次の見直しを行う。
イ 事業の先進性の確認に当たっては、投資収益率又は労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認することとする。
ロ サプライチェーンの強靭化に資する類型については、上記イの投資収益率又は労働生産性の伸び率の確認に代えて、海外に生産拠点が集中している一定の製品の製造をすること及びその地域経済牽引事業計画が実施される都道府県の行政区域内でのその製品の承認地域経済牽引事業者の取引額の一定水準以上の増加が見込まれることを確認することとする。
ハ 承認地域経済牽引事業の実施場所が特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合に先進性に係る要件を満たすこととする特例について、その承認地域経済牽引事業に係る地域経済牽引事業計画の承認を受けた日がその特定非常災害発生日から1年(現行:5年又は3年)を経過していない場合とし、対象となる区域を特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区のうちその特定非常災害に基因して事業又は居住の用に供することができなくなった建物等の敷地等の区域とする。
② 特別償却率及び税額控除率の引上げに係る要件について、その確認に当たっては、投資収益率及び労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認することとする。
③ 主務大臣の確認を受けた承認地域経済牽引事業計画の実施期間内には、同一の都道府県知事又は主務大臣の承認を受けた他の地域経済牽引事業計画について主務大臣の確認を受けられないこととし、承認地域経済牽引事業計画の実施期間終了後に、同一の都道府県知事又は主務大臣の承認を受けた他の地域経済牽引事業計画について主務大臣の確認を受けようとする場合には、主務大臣は、現行の要件の確認に加えて、その確認に係る地域経済牽引事業計画前の地域経済牽引事業計画に係る投資収益率及び労働生産性の伸び率の実績を確認することとする。
(6)特定事業継続力強化設備等の特別償却制度について、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
① 対象法人を中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月16日)から令和5年3月31日までの間に中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画等の認定を受けた中小企業者等とし、対象資産をその認定を受けた日から1年以内に、取得等をして、事業の用に供する資産とする。
② 対象資産に次の資産を加える。
イ 架台(対象資産をかさ上げするために取得等をするものに限る。)及び無停電電源装置
ロ 感染症対策のために取得等をするサーモグラフィ
ハ 資本的支出により取得等をする資産
③ 対象資産から次の資産を除外する。
イ 火災報知器、スプリンクラー、消火設備、排煙設備及び防火シャッター
ロ 資産の取得等に充てるための補助金等の交付を受けて取得等をするもの
④ 令和5年4月1日以後に取得等をする資産の特別償却率を18%(現行:20%)に引き下げる。
(地方税)
 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は中小企業者等の税額控除制度(地域未来投資促進税制)について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。
(1)対象となる事業にサプライチェーンの強靭化に資する類型を加えるとともに、承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件のうち先進性に係る要件について、次の見直しを行う。
① 事業の先進性の確認に当たっては、投資収益率又は労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認することとする。
② サプライチェーンの強靭化に資する類型については、上記①の投資収益率又は労働生産性の伸び率の確認に代えて、海外に生産拠点が集中している一定の製品の製造をすること及びその地域経済牽引事業計画が実施される都道府県の行政区域内でのその製品の承認地域経済牽引事業者の取引額の一定水準以上の増加が見込まれることを確認することとする。
③ 承認地域経済牽引事業の実施場所が特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合に先進性に係る要件を満たすこととする特例について、その承認地域経済牽引事業に係る地域経済牽引事業計画の承認を受けた日がその特定非常災害発生日から1年(現行:5年又は3年)を経過していない場合とし、対象となる区域を特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区のうちその特定非常災害に基因して事業又は居住の用に供することができなくなった建物等の敷地等の区域とする。
(2)特別償却率及び税額控除率の引上げに係る要件について、その確認に当たっては、投資収益率及び労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認することとする。
(3)主務大臣の確認を受けた承認地域経済牽引事業計画の実施期間内には、同一の都道府県知事又は主務大臣の承認を受けた他の地域経済牽引事業計画について主務大臣の確認を受けられないこととし、承認地域経済牽引事業計画の実施期間終了後に、同一の都道府県知事又は主務大臣の承認を受けた他の地域経済牽引事業計画について主務大臣の確認を受けようとする場合には、主務大臣は、現行の要件の確認に加えて、その確認に係る地域経済牽引事業計画前の地域経済牽引事業計画に係る投資収益率及び労働生産性の伸び率の実績を確認することとする。
7 所得拡大促進税制の見直し
(国 税)
 中小企業における所得拡大促進税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(1)適用要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件に見直す。
(2)税額控除率が25%となる要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることとの要件に見直す。
(注)給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」について、その範囲を明確化するとともに、次の見直しを行う。
① 上記(1)及び(2)の要件を判定する場合には、雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除しないこととする。
② 税額控除率を乗ずる基礎となる雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額は、雇用調整助成金及びこれに類するものの額を控除して計算した金額を上限とする。
(地方税)
 中小企業における所得拡大促進税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(1)適用要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件に見直す。
(2)税額控除率が25%となる要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が2.5%以上であることとの要件に見直す。
8 中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
(国 税)
 中小企業等経営強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)のうち同法の改正法の施行の日から令和6年3月31日までの間に中小企業等経営強化法の経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る。)の認定を受けたものが、その認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る。)をし、かつ、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合(その株式等の取得価額が10億円を超える場合を除く。)において、その株式等の価格の低落による損失に備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できることとする。
 この準備金は、その株式等の全部又は一部を有しなくなった場合、その株式等の帳簿価額を減額した場合等において取り崩すほか、その積み立てた事業年度終了の日の翌日から5年を経過した日を含む事業年度から5年間でその経過した準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する。
(注)上記の「中小企業者」とは、中小企業等経営強化法の中小企業者等であって租税特別措置法の中小企業者に該当するものをいう。
9 円滑・適正な納税のための環境整備
(国 税)
(1)寄附金の損金不算入制度について、次の見直しを行う。
① 特定公益増進法人等に対する寄附金の別枠の損金算入限度額について、その対象となる寄附金から出資に関する業務に充てることが明らかな寄附金を除外する。
② みなし寄附金制度について、その対象となる寄附金の額から収益事業以外の事業のために支出した金額のうち事実を隠蔽し又は仮装して経理することにより支出した金額を除外する。
(2)投資法人に係る課税の特例及び特定投資信託に係る受託法人の課税の特例における特定の資産の総資産のうちに占める割合が50%を超えていることとする要件について、ファイナンス・リース取引に係る金銭債権はそのファイナンス・リース取引の目的となっている資産として、その割合を計算する。
10 その他の租税特別措置等
(国 税)
〔拡充等〕
(1)過疎地域自立促進特別措置法の期限の到来に伴い、及び過疎地域に関する新たな法律(新過疎法)の制定を前提に、所要の経過措置を講じた上、特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち過疎地域に係る措置について、青色申告書を提出する法人が、新過疎法の施行の日から令和6年3月31日までの間に、新過疎法の過疎地域のうち市町村が定める過疎計画(仮称)において産業振興施策促進事項(仮称)に記載されている地区の区域内において、機械装置、建物等及び構築物の取得等をした場合には、5年間普通償却限度額の32%(建物等及び構築物については、48%)の割増償却ができる措置に改組する(所得税についても同様とする。)。
(注1)対象となる事業は次の事業とし、対象となる機械装置、建物等及び構築物は次の事業の区分に応じそれぞれ次の設備を構成するこれらのものとする。なお、次の①から④までの減価償却資産の取得価額は、法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
① 製造業 一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が500万円以上(資本金の額等が5,000万円超1億円以下である法人にあっては1,000万円以上とし、資本金の額等が1億円超である法人又は適用除外事業者に該当する法人にあっては2,000万円以上とする。)である場合のその一の設備
② 農林水産物等販売業 一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が500万円以上である場合のその一の設備
③ 旅館業 一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が500万円以上(資本金の額等が5,000万円超1億円以下である法人にあっては1,000万円以上とし、資本金の額等が1億円超である法人又は適用除外事業者に該当する法人にあっては2,000万円以上とする。)である場合のその一の設備
④ 情報サービス業等 一の設備を構成する減価償却資産の取得価額の合計額が500万円以上である場合のその一の設備
(注2)取得等とは、取得又は製作若しくは建設をいい、建物等にあっては、増築、改築、修繕又は模様替のための工事による取得又は建設を含む。なお、資本金の額等が5,000万円超である法人又は適用除外事業者に該当する法人にあっては、新設又は増設による取得等に限る。
(2)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 火災に対する安全性が不足するマンション及び外壁の剥落等により危害を生ずるおそれのあるマンションが対象に追加されたマンション敷地売却事業を実施する者に対する土地等の譲渡について、引き続き、法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)の対象とする。
② 敷地分割事業における敷地権利変換について、換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例のうち完全支配関係がある法人の間で譲渡された譲渡損益調整資産の譲渡利益額を引き続き計上しないこととする措置の対象とする。
③ その他所要の措置を講ずる。
〔延長〕
(1)事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(2)沖縄の情報通信産業特別地区における認定法人の所得控除制度の適用期限を1年延長する。
〔廃止・縮減等〕
(1)高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、所要の経過措置を講じた上、令和3年3月31日をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(2)中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、被災代替資産等の特別償却制度及び特定事業継続力強化設備等の特別償却制度について、これらの制度のみなし大企業の判定における大規模法人の有する株式又は出資から中小企業等経営強化法の事業再編投資計画の認定に係る投資事業有限責任組合の組合財産である株式を発行した中小企業者の株式のうちその投資事業有限責任組合に係る組合員の出資をした独立行政法人中小企業基盤整備機構の有する株式を除外する措置を廃止する。
(3)沖縄の観光地形成促進地域において特定民間観光関連施設を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、対象資産のうち特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律の特定高度情報通信技術活用システム(以下「5G情報通信システム」という。)に該当するものを同法の認定導入計画に記載されたもので認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の対象となるもの(以下「認定特定高度情報通信技術活用設備」という。)に限定した上、その適用期限を1年延長する。
(4)沖縄の情報通信産業振興地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除制度について、対象資産のうち5G情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定した上、その適用期限を1年延長する。
(5)沖縄の産業高度化・事業革新促進地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を1年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
① 対象事業からこん包業、機械設計業、経営コンサルタント業、エンジニアリング業、商品検査業及び研究開発支援検査分析業を除外する。
② 対象資産のうち5G情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定する。
③ 特別償却制度における対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
(6)沖縄の国際物流拠点産業集積地域において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を1年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
① 対象事業からこん包業を除外する。
② 対象資産のうち5G情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定する。
③ 特別償却制度における対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
(7)沖縄の経済金融活性化特別地区において工業用機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を1年延長する(特別償却制度は、所得税についても同様とする。)。
① 対象事業から自然科学研究所、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所及び税理士事務所に属する事業を除外する。
② 対象資産のうち5G情報通信システムに該当するものを認定特定高度情報通信技術活用設備に限定する。
③ 特別償却制度における対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とする。
(8)大企業につき研究開発税制その他生産性の向上に関連する税額控除の規定を適用できないこととする措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 本措置の対象に、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の税額控除及びデジタルトランスフォーメーション投資促進税制の税額控除を加える。
② 継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額を超えることとの要件を判定する場合に雇用調整助成金及びこれに類するものを控除しないこととする。
(9)再生可能エネルギー発電設備等の特別償却制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(10)船舶の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 外航船舶について、事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
② 内航船舶について、対象から匿名組合契約等の目的である船舶貸渡業の用に供される船舶を除外するとともに、事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
(11)関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、施設規模要件を3億5,000万円以上(現行:3億円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(12)共同利用施設の特別償却制度について、取得価額要件を400万円以上(現行:200万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(13)沖縄の離島の地域において旅館業用建物等を取得した場合の特別償却制度について、対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とした上、その適用期限を1年延長する(所得税についても同様とする。)。
(14)特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち次の措置について、対象資産の取得価額が一定の金額以上であることとの要件における取得価額を法人税法等の規定による圧縮記帳の適用後の金額とした上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 半島振興対策実施地域に係る措置
② 離島振興対策実施地域に係る措置
③ 奄美群島に係る措置
(15)特定地域における工業用機械等の特別償却制度のうち振興山村に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(16)医療用機器等の特別償却制度について、医療用機器に係る措置につき次の見直しを行った上、制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 診療所における全身用CT及び全身用MRIの配置効率化等を促すための措置を講ずる。
② 対象機器の見直しを行う。
(17)特定都市再生建築物の割増償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 対象となる民間都市再生事業計画の認定要件に複合用途開発であることとの要件を加える。
② 対象となる民間都市再生事業計画のうち特定都市再生緊急整備地域における民間都市再生事業計画の認定要件にオフィスの基準階面積が1,000㎡以上であることとの要件を加える。
(18)中小企業者等の貸倒引当金の特例について、割賦販売小売業並びに包括信用購入あっせん業及び個別信用購入あっせん業に係る法定繰入率を1,000分の7(現行:1,000分の13)に引き下げる。
(19)沖縄の国際物流拠点産業集積地域における認定法人の所得控除制度について、対象事業からこん包業を除外した上、その適用期限を1年延長する。
(20)沖縄の経済金融活性化特別地区における認定法人の所得控除制度について、対象事業から自然科学研究所、法律事務所、特許事務所、公認会計士事務所及び税理士事務所に属する事業を除外した上、その適用期限を1年延長する。
(21)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、次の見直しを行った上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
① 対象法人を農地中間管理事業の推進に関する法律の規定により市町村が公表した人・農地プランにおいて地域の中心となる経営体として位置付けられたものに限定する。
(注)上記の改正は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
② 農業経営基盤強化準備金制度の損金算入限度額及び農用地等を取得した場合の課税の特例の圧縮限度額となる所得の金額について、積立て後5年を経過した農業経営基盤強化準備金の取崩しにより益金の額に算入される金額はその所得の金額を構成しないものとして計算することとする。
(22)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例のうち過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(23)特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
(24)技術研究組合の所得の計算の特例について、対象資産から鉱業権を除外した上、その適用期限を3年延長する。
(地方税)
〔新設〕
(1)電気事業法の改正に伴い、電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、広域的運営推進機関が交付する電気工作物の災害その他の事由による被害からの復旧に関する費用の一部に充てるための交付金を追加する措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和3年4月1日以後に終了する事業年度から適用する。
(2)ガス事業会計規則の改正を前提に、ガス供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、特別一般ガス導管事業者によるガス小売事業又はガス製造事業の兼業が禁止されることに伴い分社化しグループ会社となったガス事業者の間の取引に係る収入金額のうち、ガスの安定供給の確保のためにやむを得ずグループ会社間で行わなければならないものとして事前に経済産業大臣の承認を受けた取引を行う場合において当該取引の料金として支払うべき金額に相当する金額を追加する課税標準の特例措置を令和4年4月1日から5年間に限り講ずる。
〔延長〕
 電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、卸電力取引市場において売却した電気を自ら購入する場合において当該電気の料金として支払うべき金額に相当する金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
〔廃止〕
 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は中小企業者等の税額控除制度は、所要の経過措置を講じた上、令和3年3月31日をもって廃止する。
11 その他
(国 税)
(1)電気事業法の改正に伴い、次の措置を講ずる(次の①の措置は、所得税についても同様とする。)。
① 電気ガス供給施設利用権(無形固定資産)の範囲に、電気事業法の配電事業者に対して電気供給施設を設けるために要する費用を負担して、その電気供給施設を利用して電気の供給を受ける権利を加える。
② 工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度の対象事業に電気事業法の配電事業を加える。
(2)特定公益増進法人の範囲に、試験研究業務を行う地方独立行政法人のうち定款に出資に関する業務を行う旨の定めがあるものを加える(所得税についても同様とする。)。
(3)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度の対象となる国庫補助金等の範囲について、次の見直しを行う(次の①の見直しは、所得税についても同様とする。)。
① 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業等に係るものを加える。
② 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律の改正を前提に、改正後の同法に基づく独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の助成金で鉄道施設等の安全対策に対する追加的支援に係るものを、引き続き対象とする。
(4)貸倒引当金制度について、割賦販売法の改正に伴い、その適用を受けることができる法人に同法の登録少額包括信用購入あっせん業者に該当する法人を加え、その法人に係る対象となる金銭債権を同法の規定により基礎特定信用情報として指定信用情報機関に提供された支払時期未到来等の包括信用購入あっせんに係る金銭債権とする。
(5)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正に伴い、同法の課徴金制度における課徴金及び延滞金について、損金算入しないこととする(所得税についても同様とする。)。
(6)社会医療法人制度における認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の実績が一定の基準に適合することとの要件について、関係法令の改正により夜間等救急自動車等搬送件数及びへき地診療所に対する医師の延べ派遣日数等の基準値に係る特例を追加する見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(7)農水産業協同組合貯金保険法の改正を前提に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務範囲の見直しが行われた後も、引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。
(8)地方自治法の改正を前提に、認可地縁団体の認可要件の見直しが行われた後も、引き続き公益法人等とみなす。
(地方税)
(1)電気事業法の改正に伴い、次の措置を講ずる。
① 電気供給業のうち、配電事業に係る法人事業税については、収入割額によって、特定卸供給事業に係る法人事業税については、資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人にあっては収入割額、付加価値割額及び資本割額の合算額によって、資本金1億円以下の普通法人等にあっては収入割額及び所得割額の合算額によって、それぞれ課することとする。
② 配電事業及び特定卸供給事業に係る法人事業税の標準税率をそれぞれ次のとおりとする。
イ 配電事業
 収入割  1.0%
ロ 特定卸供給事業
(イ)資本金1億円超の普通法人
 収入割  0.75%
 付加価値割  0.37%
 資本割  0.15%
(ロ)資本金1億円以下の普通法人等
 収入割  0.75%
 所得割  1.85%
③ 配電事業及び特定卸供給事業に係る法人事業税の分割基準をそれぞれ次のとおりとする。
イ 配電事業
課税標準の4分の3を事務所又は事業所の所在する都道府県において発電所に接続する電線路(一定の要件を満たすものに限る。下記ハにおいて同じ。)の送電容量により、4分の1を事務所又は事業所の固定資産の価額により関係都道府県に分割する。
ロ 特定卸供給事業
課税標準の4分の3を事務所又は事業所の固定資産で発電所の用に供するものの価額により、4分の1を事務所又は事業所の固定資産の価額により関係都道府県に分割する。
ハ 発電所に接続する電線路を有しない場合の配電事業又は事務所若しくは事業所の固定資産で発電所の用に供するものを有しない場合の特定卸供給事業
上記イ及びロにかかわらず、課税標準を事務所又は事業所の固定資産の価額により関係都道府県に分割する。
④ 配電事業を行う法人として収入割額によって法人事業税を課されるものの特別法人事業税の額は、基準法人収入割額に30%の税率を乗じて得た金額とし、特定卸供給事業を行う法人として収入割額、付加価値割額及び資本割額の合算額又は収入割額及び所得割額の合算額により法人事業税を課されるものの特別法人事業税の額は、基準法人収入割額に40%の税率を乗じて得た金額とする。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年4月1日以後に終了する事業年度から適用する。
(2)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

四 消費課税
1 車体課税の見直し
(国 税)
 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車に係る自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「自動車重量税のエコカー減税」)について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
(1)乗用自動車(軽油自動車を除く。)
① 自動車重量税を免除し、又は税率を50%若しくは25%軽減する自動車に係る燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が140%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準を達成しているもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)

② 新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する自動車は、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるものとする。
(2)乗用自動車(軽油自動車に限る。)
① 新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税を免除する自動車は、令和2年度燃費基準を達成しているものとする。
(注)上記の改正は、令和4年5月1日から施行する。
② 新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する自動車は、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるものとする。
(3)バス(車両総重量が3.5t以下の揮発油自動車及び軽油自動車に限る。)
① 揮発油自動車のうち、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの及び軽油自動車のうち、平成30年排出ガス規制に適合するもの又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ないものに係る本措置の適用については、次のとおりとする。
イ 令和2年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上である自動車について、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税を免除する。
ロ 令和2年度燃費基準を達成している自動車について、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を75%軽減する。
② 揮発油自動車のうち、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より25%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの及び軽油自動車のうち平成21年排出ガス規制に適合するものに係る本措置の適用については、次のとおりとする。
イ 令和2年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上である自動車について、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税を免除する。
ロ 令和2年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上である自動車について、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を75%軽減する。
ハ 令和2年度燃費基準を達成している自動車について、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を50%軽減する。
(4)その他所要の措置を講ずる。
(地方税)
〈自動車税環境性能割〉
(1)環境性能に応じた非課税又は1%若しくは2%の税率(営業用自動車にあっては、非課税又は0.5%若しくは1%の税率)の適用区分について、次の見直しを行う。
① 自家用乗用車
イ 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が85%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準を達成しているもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)

ロ 軽油自動車に係る非課税の適用を受ける要件に、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が85%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成していることを加える。
ハ 軽油自動車で平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上である自動車を、1%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)令和2年度燃費基準を達成しているものに限り、ロに掲げるものを除く。
ニ 軽油自動車で平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上である自動車を、2%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)令和2年度燃費基準を達成しているものに限り、ロ及びハに掲げるものを除く。
ホ ロからニまでに掲げる軽油自動車以外の軽油自動車に係る環境性能割の税率を3%とする。
② 営業用乗用車
イ 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準を達成しているもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が65%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)

ロ 軽油自動車に係る非課税の適用を受ける要件に、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成していることを加える。
ハ 軽油自動車で平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が65%以上である自動車を、0.5%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)令和2年度燃費基準を達成しているものに限り、ロに掲げるものを除く。
ニ 軽油自動車で平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上である自動車を、1%の税率の適用を受ける区分に加える。
(注)令和2年度燃費基準を達成しているものに限り、ロ及びハに掲げるものを除く。
ホ ロからニまでに掲げる軽油自動車以外の軽油自動車に係る環境性能割の税率を当分の間、2%とする。
③ バス(車両総重量が2.5t以下のもの)
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの 令和2年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるものの 令和2年度燃費基準を達成しているもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの

④ トラック(車両総重量が 2.5t以下のもの)
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が125%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるものの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの

⑤ バス(車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のもの)
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの 令和2年度燃費基準を達成しているもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるものの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの
平成27年度燃費基準を達成しているもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるもの

⑥ トラック(車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のもの)
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるものの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの
平成27年度燃費基準を達成しているもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるもの

⑦ バス・トラック(車両総重量が3.5tを超えるもの)
 軽油自動車で平成21年排出ガス規制に適合するもの(平成28年排出ガス規制に適合する自動車及び平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車を除く。)を非課税又は1%若しくは2%の税率(営業用自動車にあっては、非課税又は0.5%若しくは1%の税率)の適用を受ける区分から除外する。
(2)次に掲げる軽油自動車のうち、平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合するものに係る環境性能割を非課税とする措置を講ずる。
① 令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得した軽油自動車(乗用車に限る。)
② 令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に取得した軽油自動車で、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(乗用車に限る。)
(3)令和元年10月1日から令和3年3月31日までの間に取得した自家用乗用車に係る環境性能割について、次のとおり税率1%分を軽減する特例措置の適用期限を9月延長する。
 また、この措置による減収については、全額国費で補填する。

本措置を講ずる前の税率
本措置を講じた後の税率等
1%
非課税
2%
1%
3%
2%

(4)その他所要の措置を講ずる。
〈自動車税種別割〉
(5)種別割において講じている燃費性能等の優れた自動車の税率を軽減し、一定年数を経過した自動車の税率を重くする特例措置(いわゆる「種別割のグリーン化特例」)について、次のとおり適用期限を2年延長する。
① 種別割のグリーン化特例(軽課)
 令和3年度及び令和4年度に新車新規登録を受けた自動車について、以下のとおり、当該登録の翌年度に特例措置を講ずる。
イ 自家用乗用車の税率を概ね100分の75軽減する特例措置について、軽油自動車を適用対象から除外し、電気自動車、天然ガス自動車及びプラグインハイブリッド自動車に限った措置とする。
ロ 次に掲げる自動車(自家用乗用車を除く。)について、税率を概ね100分の75軽減する。
(イ)電気自動車
(ロ)天然ガス自動車で平成30年排出ガス規制に適合するもの又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
(ハ)プラグインハイブリッド自動車
(ニ)平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(揮発油又は液化石油ガスを内燃機関の燃料とする営業用乗用車に限る。)
(ホ)平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(軽油を内燃機関の燃料とする営業用乗用車に限る。)
ハ 次に掲げる自動車について、税率を概ね100分の50軽減する。
(イ)平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が70%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(揮発油又は液化石油ガスを内燃機関の燃料とする営業用乗用車に限る。)
(ロ)平成30年排出ガス規制又は平成21年排出ガス規制に適合する自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が70%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(軽油を内燃機関の燃料とする営業用乗用車に限る。)
② 種別割のグリーン化特例(重課)
 現行のグリーン化特例(重課)の適用期限を2年延長し、令和4年度分及び令和5年度分を特例措置の対象とする。
(6)その他所要の措置を講ずる。
〈軽自動車税環境性能割〉
(7)環境性能に応じた非課税又は1%若しくは2%の税率(営業用自動車にあっては、非課税又は0.5%若しくは1%の税率。自家用軽自動車に係る特例措置による2%の税率を除く。)の適用区分について、次の見直しを行う。
① 自家用乗用車
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準を達成しているもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が55%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)

② 営業用乗用車
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
令和2年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
令和2年度燃費基準を達成しているもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が60%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が55%以上であるもの(令和2年度燃費基準を達成しているものに限る。)

③ トラック(車両総重量が2.5t以下のもの)
 燃費性能に関する要件を次のとおりとする。

現行
改正案
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が125%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの
平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの 平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの

(8)令和元年10月1日から令和3年3月31日までの間に取得した自家用乗用車に係る環境性能割について、次のとおり税率1%分を軽減する特例措置の適用期限を9月延長する。
 また、この措置による減収については、全額国費で補填する。

本措置を講ずる前の税率
本措置を講じた後の税率等
1%
非課税
2%
1%

(9)その他所要の措置を講ずる。
〈軽自動車税種別割〉
(10)種別割において講じている、燃費性能等の優れた軽自動車(新車に限る。)を取得した日の属する年度の翌年度分の税率を軽減する特例措置(いわゆる「種別割のグリーン化特例(軽課)」)について、次のとおり適用期限を2年延長する。
① 次に掲げる軽自動車(自家用乗用車を除く。)について、税率を概ね100分の75軽減する。
イ 電気軽自動車
ロ 天然ガス軽自動車で平成30年排出ガス規制に適合するもの又は平成21年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
② 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない軽自動車又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない軽自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(揮発油を内燃機関の燃料とする営業用軽自動車で乗用のものに限る。)について、税率を概ね100分の50軽減する。
③ 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物等の排出量が少ない軽自動車又は平成17年排出ガス規制に適合し、かつ、平成17年排出ガス基準値より75%以上窒素酸化物等の排出量が少ない軽自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が70%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているもの(揮発油を内燃機関の燃料とする営業用軽自動車で乗用のものに限り、②の軽自動車を除く。)について、税率を概ね100分の25軽減する。
(11)その他所要の措置を講ずる。
2 租税特別措置等
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)ビールに係る酒税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。
(2)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置について、特例税率を1,000本につき14,500円(現行:13,500円)に引き上げた上、その適用期限を1年延長する。
(注)上記の改正のうち、税率引上げについては、令和3年10月1日から実施する。
(3)航空機燃料税の税率の特例措置について、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間の税率を1㎘につき9,000円(現行:18,000円)とする。
(4)沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置について、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間の税率を1㎘につき4,500円(現行:9,000円)とする。
(5)特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置について、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間の税率を1㎘につき6,750円(現行:13,500円)とする。
(6)公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を3年延長する。
(7)車両安定性制御装置等を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
① 車両総重量が8tを超え20t以下のトラック(トラクタ及びトレーラーを除く。②において同じ。)のうち、車両安定性制御装置、衝突被害軽減制動制御装置、車線逸脱警報装置及び側方衝突警報装置(左側面への衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。③において同じ。)を装備したものについて、令和3年5月1日から同年10月31日までの間に新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を75%軽減する。
② 車両総重量が12t以下のバス等及び車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラックのうち、車両安定性制御装置、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置(車両総重量が5t以下のバス等にあっては衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置)を装備したもの(①に該当するものを除く。)について、令和3年5月1日から同年10月31日までの間に新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を50%軽減する。
③ 車両総重量が8tを超えるトラック(トレーラーを除く。)のうち、側方衝突警報装置を装備したもの(①に該当するものを除く。)について、令和3年5月1日から令和6年4月30日までの間に新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を25%軽減する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈自動車税環境性能割〉
(1)公共交通移動等円滑化基準に適合したノンステップバス及びリフト付きバス並びにユニバーサルデザインタクシー(新車に限る。)に係る自動車税環境性能割の課税標準の特例措置について、一般乗合旅客自動車運送事業者がその事業の用に供するリフト付きバス(乗車定員30人以上の空港アクセスバスに限る。)を取得した場合における通常の取得価額からの控除額を800万円に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。
(2)車両安定性制御装置等を装備した自動車(新車に限る。)に係る自動車税環境性能割の課税標準の特例措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
① 車両総重量が8tを超え20t以下のトラック(トラクタ及びトレーラーを除く。②において同じ。)で車両安定性制御装置(横滑り及び転覆に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②において同じ。)、衝突被害軽減制動制御装置(衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②において同じ。)、車線逸脱警報装置(車線からの逸脱に対する安全性の向上を図るための装置をいう。②において同じ。)及び側方衝突警報装置(左側面への衝突に対する安全性の向上を図るための装置をいう。③において同じ。)を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車の取得が令和3年4月1日から同年10月31日までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から525万円を控除する。
② 次に掲げる自動車で車両安定性制御装置、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置(車両総重量が5t以下のバス等(専ら人の運送の用に供する自動車で乗車定員10人以上のもの(立席を有するものを除く。)をいう。)にあっては、衝突被害軽減制動制御装置及び車線逸脱警報装置)を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車の取得が令和3年10月31日までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から350万円を控除する。
イ 車両総重量が12t以下のバス等
ロ 車両総重量が3.5tを超え20t以下のトラック
③ 車両総重量が8tを超えるトラック(トレーラーを除く。)で側方衝突警報装置を装備したものに係る自動車税環境性能割について、当該自動車の取得が令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に行われたときに限り、その通常の取得価額から175万円を控除する。
(3)都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスに係る自動車税環境性能割の非課税措置の適用期限を2年延長する。
〈軽油引取税〉
(4)船舶の使用者が当該船舶の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(5)自衛隊が通信の用に供する機械等の電源又は動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(6)鉄道事業又は軌道事業を営む者等が鉄道用車両、軌道用車両等(日本貨物鉄道株式会社にあっては、駅の構内等において専らコンテナ貨物の積卸しの用に供するフォークリフト等の機械を含む。)の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(7)農業又は林業を営む者等が動力耕うん機等の機械の動力源に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(8)セメント製品製造業を営む者が事業場内において専らセメント製品又はその原材料の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(9)生コンクリート製造業を営む者が事業場内において専ら骨材の積卸しのために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(10)鉱物(岩石及び砂利を含む。)の掘採事業を営む者が事業場内において専ら鉱物の掘採等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(11)とび・土工工事業を営む者が工事現場において専らくい打ち等のために使用する建設機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(12)港湾運送業を営む者が港湾において専ら港湾運送のために使用されるブルドーザー等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(13)倉庫業を営む者が倉庫において専ら当該倉庫業のために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(14)鉄道(軌道を含む。)に係る貨物利用運送事業又は鉄道貨物積卸業を営む者が駅の構内において専ら積込み事業等のために使用するフォークリフト等の機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(15)航空運送サービス業を営む者が空港等において専ら航空機への旅客の乗降等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(16)木材市場業を営む者が事業場内において専ら木材の積卸しのために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(17)堆肥製造業を営む者が事業場内において、専ら堆肥の製造工程において使用する機械等の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(18)索道事業を営む者がスキー場において専ら当該スキー場の整備のために使用する積雪を圧縮するための特殊な構造を有する装置を備えた機械等の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(19)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律、重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律、武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律又は国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律に基づき行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
(20)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、日豪物品役務相互提供協定、日英物品役務相互提供協定、日仏物品役務相互提供協定又は日加物品役務相互提供協定に基づき豪軍、英軍、仏軍又は加軍の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置の適用期限を3年延長する。
〈航空機燃料譲与税〉
(21)航空機燃料譲与税の譲与割合を令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間、9分の4(現行:9分の2)とする。
(注)令和3年度の航空機燃料税の収入額のうち調査決定された額に相当する部分については9分の4とし、それ以外の部分については9分の2とする。
〔縮減等〕
〈軽油引取税〉
(1)鉱さいバラス製造業を営む者が事業場内において専ら鉱さいの破砕等のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、適用対象を中小事業者等に限定した上、その適用期限を3年延長する。
(注)上記の「中小事業者等」とは、次の法人又は個人をいう。
① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(ただし、発行済株式等の総数等の2分の1以上が同一の大規模法人により所有されている法人及び発行済株式等の総数等の3分の2以上が複数の大規模法人により所有されている法人を除く。)
② 資本又は出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
③ 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
(2)廃棄物処理事業を営む者が廃棄物の埋立地内において専ら廃棄物の処分のために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、廃棄物処理事業を営む者のうち、産業廃棄物処分業者及び特別管理産業廃棄物処分業者にあっては、適用対象を中小事業者等に限定した上、その適用期限を3年延長する。
(注)上記の「中小事業者等」は、上記(1)(注)と同様とする。
(3)木材加工業を営む者が事業場内において専ら木材の積卸しのために使用する機械の動力源の用途に供する軽油の引取りに係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、木材注薬業を営む者を適用対象から除外した上、その適用期限を3年延長する。
3 その他
(国 税)
(1)電気事業法の改正に伴い、消費税法上の調整対象固定資産である電気ガス供給施設利用権(無形固定資産)の範囲に、電気事業法の配電事業者に対して電気供給施設を設けるために要する費用を負担して、その電気供給施設を利用して電気の供給を受ける権利を加える。
(2)割賦販売法の改正により創設される登録少額包括信用購入あっせん業者が行う包括信用購入あっせんに係る手数料について、消費税を非課税とする。
(3)母子保健法の改正により創設される産後ケア事業として行われる資産の譲渡等につき、社会福祉事業に類するものとして、消費税を非課税とする。
(4)関税法第76条第1項に規定する郵便物として資産を輸出し、消費税の輸出免税の適用を受ける場合には、輸出したことを証明する書類として、日本郵便株式会社より交付を受けた当該郵便物の引受証及び発送伝票の控え等を保存しなければならないこととする。
(注)上記の改正は、令和3年10月1日以後に行われる資産の譲渡等について適用する。
(5)消費税の仕入控除税額の計算について、課税売上割合に準ずる割合を用いようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日以後1月を経過する日までに税務署長の承認を受けた場合には、当該承認申請書を提出した日の属する課税期間から課税売上割合に準ずる割合を用いることができることとする。
(6)金又は白金の地金の課税仕入れに係る仕入税額控除の要件として保存することとされている消費税法上の本人確認書類のうち、在留カードの写し並びに国内に住所を有しない者の旅券の写し及びその他これらに類する書類をその対象から除外する。
(注)上記の改正は、令和3年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて適用する。
(7)社会医療法人制度における認定要件のうち救急医療等確保事業に係る業務の実績が一定の基準に適合することとの要件について、関係法令の改正により夜間等救急自動車等搬送件数及びへき地診療所に対する医師の延べ派遣日数等の基準値に係る特例を追加する見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き消費税法別表第三法人とする。
(8)農水産業協同組合貯金保険法の改正を前提に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務範囲の見直しが行われた後も、引き続き消費税法別表第三法人とする。
(9)地方自治法の改正を前提に、認可地縁団体の認可要件の見直しが行われた後も、引き続き消費税法別表第三に掲げる法人とみなす。
(10)沖縄県産酒類に係る酒税の軽減措置の適用期限を1年延長する。
(11)酒類業組合等における理事会について、書面又は電磁的方法により議決権を行使すること及び理事全員の同意等を要件として理事の提案を可決する旨の決議があったものとみなすことを可能とする。

五 国際課税
1 国際金融都市に向けた税制上の措置
(国 税)
 外国組合員に対する課税の特例について、次の措置を講ずる。
(1)特例適用投資組合契約を締結している外国組合員が組合契約(当該特例適用投資組合契約を除く。)を締結している場合における当該特例適用投資組合契約に係る組合財産(以下「投資組合財産」という。)に対する持分割合の要件について、当該特例適用投資組合契約を直接に締結している組合に係る組合契約(以下「特定組合契約」といい、次に掲げる要件を満たすものに限る。)に係る組合財産として当該投資組合財産に対する持分を有する者(当該外国組合員及び当該外国組合員と特殊の関係のある者(以下「外国組合員等」という。)を除く。)の持分割合を除外して判定する。
① 当該特定組合契約に係る組合財産に対する当該外国組合員等(当該特定組合契約を直接に締結している組合に係る組合契約に係る組合財産に対する当該外国組合員等の持分割合が25%以上である等の場合には、当該組合契約に係る組合財産に対する持分を有する者(当該外国組合員等を除く。)を含む。)の持分割合の合計が25%未満であること。
② 当該特定組合契約に係る組合財産として当該投資組合財産に対する持分を有する者が当該特例適用投資組合契約に基づいて行う事業に係る重要な業務の執行に関する行為を行わないこと。
(2)特例適用申告書等の提出手続について、次の措置を講ずる。
① 特例適用申告書等及び特例適用投資組合契約等の契約書の写し等の配分の取扱者に対する書面による提出に代えて、配分の取扱者に対してこれらの書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、これらの書類の提出があったものとみなす。
② 配分の取扱者が特例適用申告書等の写しを作成し、当該特例適用申告書等の写しを保存することに代えて、当該特例適用申告書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を保存することができることとする。
(3)特例適用申告書及び特例適用投資組合契約等の契約書の写し等を5年ごとに提出することとする。
(4)その他所要の措置を講ずる。
2 クロスボーダー取引に係る利子等の課税の特例等における非課税適用申告書等の電子提出等
(国 税)
(1)振替国債等の利子の課税の特例等について、次の措置を講ずる。
① 次に掲げる書類の特定振替機関等に対する書面による提出に代えて、特定振替機関等に対して当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該書類の提出があったものとみなす。
イ 振替国債等の利子の課税の特例における次に掲げる書類
(イ)非課税適用申告書等
(ロ)組合等届出書等及び組合契約書等の写し
(ハ)適格外国仲介業者の承認申請書
ロ 振替社債等の利子等の課税の特例又は振替割引債の差益金額等の課税の特例における次に掲げる書類
(イ)上記イ(イ)から(ハ)までに掲げる書類
(ロ)適格口座管理機関の承認申請書
ハ 民間国外債等の利子の課税の特例における非課税適用申告書
② 上記①イ(ハ)又はロ(ロ)に掲げる書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う者は、当該書類に係る添付書類の特定振替機関に対する書面による提出に代えて、当該書類に記載すべき事項の電磁的方法による提供に併せて特定振替機関に対して当該添付書類に記載すべき事項をスキャナによる読み取り等により作成した電磁的記録(一定の解像度及び階調の要件を満たすものに限る。)の提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該添付書類の提出があったものとみなす。
③ 民間国外債等の利子の支払をする者が上記①ハに掲げる書類の写しを作成し、当該書類の写しを保存することに代えて、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を保存することができることとする。
(2)外国金融機関等の店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の課税の特例について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。
① 非課税適用申告書等の国内金融機関等又は金融商品取引清算機関に対する書面による提出について、上記(1)①と同様の措置を講ずる。
② 国内金融機関等又は金融商品取引清算機関による上記①の書類の写しの作成及び当該書類の写しの保存について、上記(1)③と同様の措置を講ずる。
(3)外国金融機関等の債券現先取引等に係る利子等の課税の特例について、次の措置を講じた上、特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の適用期限を2年延長する。
① 非課税適用申告書等の特定金融機関等に対する書面による提出について、上記(1)①と同様の措置を講ずる。
② 特定金融機関等による上記①の書類の写しの作成及び当該書類の写しの保存について、上記(1)③と同様の措置を講ずる。
(4)条約届出書等の提出手続について、次の措置を講ずる。
① 源泉徴収義務者等に対する書面による提出に代えて、源泉徴収義務者等で一定の要件を満たすものに対して条約届出書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該条約届出書等の提出があったものとみなす。
(注)条約届出書等(社債、株式等の振替に関する法律の対象となる振替株式等の配当等に係る一定の条約届出書等を除く。)の提出を行う者が、当該条約届出書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う場合には、その者の氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。
② 条約届出書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供を行う者は、当該条約届出書等に係る添付書類の源泉徴収義務者等に対する書面による提出に代えて、当該条約届出書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に併せて源泉徴収義務者等に対して当該添付書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録(当該添付書類が居住者証明書等である場合には、スキャナによる読み取り等により作成した電磁的記録で一定の解像度及び階調の要件を満たすものに限る。)の提供を行うことができることとする。この場合において、当該提供があったときは、当該添付書類の提出があったものとみなす。
(5)その他所要の措置を講ずる。
3 その他
(国 税)
(1)対象純支払利子等に係る課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)について、次の見直しを行う。
① 対象外支払利子等の額に、次に掲げる金額を含めることとする。
イ 生命保険契約又は損害保険契約に基づいて保険料積立金に繰り入れる予定利子の額
ロ 損害保険契約に基づいて払戻積立金に繰り入れる予定利子の額
② 対象純支払利子等の額(対象支払利子等の額の合計額から控除対象受取利子等合計額を控除した残額をいう。)の計算において、法人が受ける公社債投資信託の収益の分配の額に係る受取利子等相当額(その収益の分配の額のうち公社債の利子から成る部分の金額をいう。)を受取利子等の額に加えることができることとする。
(注)上記の改正は、令和3年3月31日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。
(2)外国法人の恒久的施設に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入制度による損金不算入額について、その恒久的施設を通じて行う事業に係る負債の利子の額に、自己資本不足額がその利子の支払の基因となる負債その他資金の調達に係る負債の総額(現行:その利子の支払の基因となる負債の総額)に占める割合を乗じて計算することとする。
(注)内国法人の国外事業所等に帰せられるべき資本に対応する負債の利子の損金不算入制度等及び国外支配株主等に係る負債の利子等の課税の特例(いわゆる「過少資本税制」)について、上記と同様の見直しを行う。
(3)内国法人が外国子会社から受ける配当等の額に係る外国源泉税等の額の取扱いについて、次の見直しを行う。
① 外国子会社から受ける配当等の額(外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける部分の金額に限る。)に係る外国源泉税等の額の損金算入について、その配当等の額のうち内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)との二重課税調整の対象とされる金額に対応する部分に限ることとする(現行:全額損金算入)。
② 外国子会社から受ける配当等の額(外国子会社配当益金不算入制度の適用を受けない部分の金額に限る。)に係る外国源泉税等の額の外国税額控除について、その配当等の額のうち外国子会社合算税制との二重課税調整の対象とされない金額に対応する部分につきその適用を認めることとする(現行:全額不適用)。
(注)上記②により外国税額控除の適用を受ける場合には、その対象とされる外国源泉税等の額は損金不算入とする。
③ 特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例について、上記と同様の見直しを行う。
④ その他所要の措置を講ずる。
(4)外国法人の株式対価M&Aを促進するための措置の適用については、その外国法人の恒久的施設において管理する株式に対応して株式交付親会社の株式の交付を受けた部分に限る(所得税についても同様とする。)。(再掲)
(地方税)
 個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

六 東日本大震災からの復興支援のための税制
1 個人所得課税
(国 税)
〔拡充〕
(1)福島復興再生特別措置法の改正により移住及び定住を促進する環境を整備するための事業が追加された後の帰還・移住等環境整備推進法人に対する土地等の譲渡について、引き続き次に掲げる特例の対象とする(次の②の特例は、法人税についても同様とする。)。
① 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
② 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除
(2)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、福島県知事が作成できることとされた農用地利用集積等促進計画の定めるところにより農地中間管理機構が行う農地売買等事業のために農地等を譲渡した場合を農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除の対象とする等の措置を講ずる(法人税についても同様とする。)。
〔廃止・縮減等〕
(1)特定住宅被災市町村の区域内の土地等を地方公共団体等に譲渡した場合の2,000万円特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を5年延長する(法人税についても同様とする。)。
① 東日本大震災からの復興に向けた取組を重点的に推進する必要があると認められる区域内にある土地等が買い取られる場合について、適用対象となる事業を市町村等の復興のための計画に記載された東日本大震災からの復興のための事業とする。
② 東日本大震災からの復興に向けた取組を重点的に推進する必要があると認められる区域以外の区域内にある土地等が買い取られる場合について、適用対象となる事業を令和3年3月31日における市町村等の復興のための計画に記載された東日本大震災からの復興のための事業とする。
(2)復興指定会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例は、所要の経過措置を講じた上、指定期限の到来をもって廃止する。
(地方税)
〔拡充〕
(1)福島復興再生特別措置法の改正により移住及び定住を促進する環境を整備するための事業が追加された後の帰還・移住等環境整備推進法人に対する土地等の譲渡について、引き続き次に掲げる特例の対象とする。
① 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
② 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除
(2)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、福島県知事が作成できることとされた農用地利用集積等促進計画の定めるところにより農地中間管理機構が行う農地売買等事業のために農地等を譲渡した場合を農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除の対象とする等の措置を講ずる。
〔縮減等〕
 特定住宅被災市町村の区域内の土地等を地方公共団体等に譲渡した場合の2,000万円特別控除について、次の見直しを行った上、その適用期限を5年延長する。
(1)東日本大震災からの復興に向けた取組を重点的に推進する必要があると認められる区域内にある土地等が買い取られる場合について、適用対象となる事業を市町村等の復興のための計画に記載された東日本大震災からの復興のための事業とする。
(2)東日本大震災からの復興に向けた取組を重点的に推進する必要があると認められる区域以外の区域内にある土地等が買い取られる場合について、適用対象となる事業を令和3年3月31日における市町村等の復興のための計画に記載された東日本大震災からの復興のための事業とする。
2 資産課税
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、福島県知事が作成できることとされた農用地利用集積等促進計画について、次に掲げる制度の適用上、農用地利用集積計画と同様の取扱いとする所要の措置を講ずる。
① 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度
② 利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
③ 農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置
(2)東日本大震災の被災者等が新築又は取得をした建物に係る所有権の保存登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を5年延長する。
(3)東日本大震災の被災者等が被災代替建物に係る土地を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を5年延長する。
(4)東日本大震災の被災者等が取得した農用地に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置の適用期限を5年延長する。
(5)被災関連市町村から特定の交換により土地を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置の適用期限を5年延長する。
(6)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、帰還環境整備推進法人の事業に移住及び定住を促進する環境を整備するための事業が追加された後も、引き続き、当該法人が取得をした不動産に係る所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置を適用する。
(7)東日本大震災の被災者等が建造又は取得をした船舶又は航空機に係る所有権の保存登記等に対する登録免許税の免税措置について、適用対象から漁船以外の船舶及び航空機に係る保存登記等を除外した上、その適用期限を5年延長する。
(8)東日本大震災の被災者等に対して行う特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置の適用期限を5年延長する。
(9)東日本大震災の被災者が作成する代替建物の取得又は新築等に係る不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税措置の適用期限を5年延長する。
(10)東日本大震災の被災者が作成する被災農用地の譲渡に係る不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税措置の適用期限を5年延長する。
(11)東日本大震災の被災者が作成する船舶又は航空機の取得又は建造に係る船舶又は航空機の譲渡に関する契約書等の印紙税の非課税措置について、適用対象から漁船以外の船舶及び航空機に係る契約書を除外した上、その適用期限を5年延長する。
〔廃止〕
(1)東日本大震災の被災者等が受ける本店等の移転の登記等に対する登録免許税の免税措置は、適用期限の到来をもって廃止する。
(2)株式会社商工組合中央金庫が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の特例に係る適用期間の延長の特例は、適用期限の到来をもって廃止する。
(地方税)
〔延長・拡充等〕
〈固定資産税・都市計画税〉
(1)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、帰還環境整備推進法人の事業に移住及び定住を促進する環境を整備するための事業が追加された後も、引き続き、当該法人が一定の施設の用に供する土地及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置を適用する。
(2)東日本大震災による被災住宅用地に代わるものとして取得した土地に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置の適用期限を5年延長する。
(3)東日本大震災により滅失・損壊した家屋に代わるものとして取得等をした家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置の適用期限を5年延長する。
(4)東日本大震災による被災住宅用地等に係る固定資産税及び都市計画税の特例措置の適用期限を5年延長する。
(5)東日本大震災により滅失・損壊した償却資産に代わるものとして一定の被災地域内で取得等をした償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。
〈不動産取得税〉
(6)東日本大震災の津波被災区域を含む地域における土地改良法の規定による換地計画に基づき、事業実施地区外の農業者が取得した創設農用地換地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
(7)東日本大震災により耕作又は養畜の用に供することが困難となった農用地に代わるものとして取得した農用地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(8)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、福島県知事が作成できることとされた農用地利用集積等促進計画について、次に掲げる制度の適用上、農用地利用集積計画と同様の取扱いとする所要の措置を講ずる。
① 農地等に係る不動産取得税の徴収猶予制度
② 農業経営基盤強化促進法の規定による公告があった農用地利用集積計画に基づき取得した農用地区域内にある土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置
(9)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、帰還環境整備推進法人の事業に移住及び定住を促進する環境を整備するための事業が追加された後も、引き続き、当該法人が取得した土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を適用する。
(10)東日本大震災により滅失・損壊した家屋に代わるものとして取得した家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(11)東日本大震災により滅失・損壊した家屋の敷地の用に供されていた土地に代わるものとして取得した土地に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
3 法人課税
(国 税)
(1)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、次の制度を創設する(所得税についても同様とする。)。
① 特定事業活動を行う法人が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
 福島復興再生特別措置法の規定により福島県知事が作成する特定事業活動振興計画に定められた特定事業活動を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること等の要件に該当するものとして福島県知事の指定を受けた法人が、その特定事業活動振興計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に、福島県の区域内においてその特定事業活動に係る事業の用に供する施設又は設備の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る一定の機械装置、器具備品、建物等及び構築物の取得等をして、その特定事業活動に係る事業の用に供したときは、その普通償却限度額との合計でその取得価額まで(建物等及び構築物については、それぞれその取得価額の25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物等及び構築物については、8%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は4年間の繰越しができる。
(注)復興産業集積区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、企業立地促進区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、避難解除区域等に係る特別償却若しくは税額控除制度又は再投資等準備金制度との選択適用とする。
② 特定事業活動を行う法人が特定被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度
 福島復興再生特別措置法の規定により福島県知事の作成する特定事業活動振興計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間にその特定事業活動振興計画に定められた特定事業活動を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること等の要件に該当するものとして福島県知事の指定を受けた法人が、その指定があった日から同日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度のその期間内において、福島県の区域内に所在するその特定事業活動を行う事業所に勤務する特定被災雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その支給する給与等の額のうちその各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものの10%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は当期の法人税額の20%を上限とする。
(注1)上記の「特定被災雇用者等」とは、平成23年3月11日において福島県の区域内に所在する事業所に勤務していた者又は同日において福島県の区域内に居住していた者をいう。
(注2)復興産業集積区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、企業立地促進区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、上記①の制度、避難解除区域等に係る特別償却若しくは税額控除制度、再投資等準備金制度、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度又は上記三1(3)若しくは7の制度との選択適用とする。
③ 新産業創出等推進事業促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
 福島復興再生特別措置法の新産業創出等推進事業実施計画の認定を受けた法人が、福島県知事の作成する新産業創出等推進事業促進計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に、その新産業創出等推進事業促進計画に定められた新産業創出等推進事業促進区域内において新産業創出等推進事業の用に供する施設又は設備の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る一定の機械装置、器具備品、建物等及び構築物の取得等をして、その新産業創出等推進事業の用に供したときは、その普通償却限度額との合計でその取得価額まで(建物等及び構築物については、それぞれその取得価額の25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物等及び構築物については、8%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は4年間の繰越しができる。
(注)復興産業集積区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、企業立地促進区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、上記①若しくは②の制度、避難解除区域等に係る特別償却若しくは税額控除制度又は再投資等準備金制度との選択適用とする。
④ 新産業創出等推進事業促進区域において避難対象雇用者等又は特定雇用者を雇用した場合の税額控除制度
 福島県知事の作成する新産業創出等推進事業促進計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に福島復興再生特別措置法の新産業創出等推進事業実施計画の認定を受けた法人が、その認定を受けた日から同日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度のその期間内において、その新産業創出等推進事業促進計画に定められた新産業創出等推進事業促進区域内に所在する新産業創出等推進事業を行う事業所に勤務する避難対象雇用者等又は特定雇用者に対して給与等を支給する場合には、その支給する給与等の額(研究開発税制の適用を受ける給与等の額を除く。)のうちその各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものの15%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は当期の法人税額の20%を上限とする。
(注1)上記の「特定雇用者」とは、次の者(避難対象雇用者等を除く。)をいう。
イ 平成23年3月11日において福島国際研究産業都市区域内に所在する事業所に勤務していた者又は同日において福島国際研究産業都市区域内に居住していた者
ロ その法人が行う新産業創出等推進事業に関する専門的な知識及び技能を必要とする業務に新たに従事する者(上記イの者を除く。)
(注2)復興産業集積区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、企業立地促進区域に係る特別償却若しくは税額控除制度、上記①から③までの制度、避難解除区域等に係る特別償却若しくは税額控除制度、再投資等準備金制度、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度又は上記三1(3)若しくは7の制度との選択適用とする。
⑤ 新産業創出等推進事業促進区域における開発研究用資産の特別償却制度等
イ 福島復興再生特別措置法の新産業創出等推進事業実施計画の認定を受けた法人が、福島県知事の作成する新産業創出等推進事業促進計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に、開発研究用資産の取得等をして、その新産業創出等推進事業促進計画に定められた新産業創出等推進事業促進区域内において開発研究の用に供した場合には、その開発研究用資産の普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却ができることとする。
ロ 上記イの適用を受ける法人が研究開発税制の適用を受ける場合には、その開発研究用資産の減価償却費は、特別試験研究費として取り扱うこととする。
(2)復興産業集積区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、福島県の地方公共団体の指定を受けた法人が取得等をする機械装置の特別償却率を50%(現行:普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却)に引き下げた上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
(注)東日本大震災復興特別区域法の特定復興産業集積区域以外の地域において令和3年4月1日前に地方公共団体の指定を受けている法人が、やむを得ない事情により、同日前に、その地域内において対象資産の取得等をして、産業集積事業又は建築物整備事業の用に供することができなかった場合には、同日から令和6年3月31日までの間に、取得等をして、これらの事業の用に供する一定の資産について従前どおり適用を受けることができる経過措置を講ずる。
(3)次の制度の適用期限を3年延長する(次の①の制度は、所得税についても同様とする。)。
① 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度
② 再投資等準備金制度
(注)東日本大震災復興特別区域法の特定復興産業集積区域以外の地域において令和3年4月1日前に地方公共団体の指定を受けている法人について、所要の経過措置を講ずる。
(4)復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却制度等について、福島県の地方公共団体の指定を受けた法人が取得等をする開発研究用資産の特別償却率を34%(中小企業者等については、50%)(現行:普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却)に引き下げた上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
(注)東日本大震災復興特別区域法の特定復興産業集積区域以外の地域において令和3年4月1日前に地方公共団体の指定を受けている法人が、やむを得ない事情により、同日前に、その地域内において対象資産の取得等をして、開発研究の用に供することができなかった場合には、同日から令和6年3月31日までの間に、取得等をして、開発研究の用に供する一定の資産について従前どおり適用を受けることができる経過措置を講ずる。
(5)被災代替資産等の特別償却制度について、対象資産から車両運搬具を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
(6)福島復興再生特別措置法の改正により移住及び定住を促進する環境を整備するための事業が追加された後の帰還・移住等環境整備推進法人に対する土地等の譲渡について、引き続き、法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)の対象とする。
(7)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例の適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。
(注)被災区域から特定被災区域への買換えに係る買換資産を東日本大震災復興特別区域法の東日本大震災からの復興に向けた取組を重点的に推進する必要があると認められる一定の区域内にある資産とする。
(8)次の制度は、適用期限の到来をもって廃止する(所得税についても同様とする。)。
① 復興居住区域において被災者向け優良賃貸住宅を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
② 被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度
(9)既に期限が到来している震災特例法の措置について規定の削除を行うほか、所要の規定の整備を行う。
(地方税)
(1)福島復興再生特別措置法の改正に伴い、法人税に講じられる次の措置を、法人住民税及び法人事業税に適用する。
① 特定事業活動を行う法人が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
 福島復興再生特別措置法の規定により福島県知事が作成する特定事業活動振興計画に定められた特定事業活動を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること等の要件に該当するものとして福島県知事の指定を受けた法人が、その特定事業活動振興計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に、福島県の区域内においてその特定事業活動に係る事業の用に供する施設又は設備の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る一定の機械装置、器具備品、建物等及び構築物の取得等をして、その特定事業活動に係る事業の用に供したときは、その普通償却限度額との合計でその取得価額まで(建物等及び構築物については、それぞれその取得価額の25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物等及び構築物については、8%)の税額控除との選択適用ができることとする。
② 特定事業活動を行う法人が特定被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度
 福島復興再生特別措置法の規定により福島県知事の作成する特定事業活動振興計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間にその特定事業活動振興計画に定められた特定事業活動を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること等の要件に該当するものとして福島県知事の指定を受けた法人が、その指定があった日から同日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度のその期間内において、福島県の区域内に所在するその特定事業活動を行う事業所に勤務する特定被災雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その支給する給与等の額のうちその各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものの10%の税額控除ができることとする。
③ 新産業創出等推進事業促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
 福島復興再生特別措置法の新産業創出等推進事業実施計画の認定を受けた法人が、福島県知事の作成する新産業創出等推進事業促進計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に、その新産業創出等推進事業促進計画に定められた新産業創出等推進事業促進区域内において新産業創出等推進事業の用に供する施設又は設備の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る一定の機械装置、器具備品、建物等及び構築物の取得等をして、その新産業創出等推進事業の用に供したときは、その普通償却限度額との合計でその取得価額まで(建物等及び構築物については、それぞれその取得価額の25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物等及び構築物については、8%)の税額控除との選択適用ができることとする。
④ 新産業創出等推進事業促進区域において避難対象雇用者等又は特定雇用者を雇用した場合の税額控除制度
 福島県知事の作成する新産業創出等推進事業促進計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に福島復興再生特別措置法の新産業創出等推進事業実施計画の認定を受けた法人が、その認定を受けた日から同日以後5年を経過する日までの期間内の日を含む各事業年度のその期間内において、その新産業創出等推進事業促進計画に定められた新産業創出等推進事業促進区域内に所在する新産業創出等推進事業を行う事業所に勤務する避難対象雇用者等又は特定雇用者に対して給与等を支給する場合には、その支給する給与等の額(研究開発税制の適用を受ける給与等の額を除く。)のうちその各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものの15%の税額控除ができることとする。
⑤ 新産業創出等推進事業促進区域における開発研究用資産の特別償却制度等
イ 福島復興再生特別措置法の新産業創出等推進事業実施計画の認定を受けた法人が、福島県知事の作成する新産業創出等推進事業促進計画の提出のあった日から令和8年3月31日までの間に、開発研究用資産の取得等をして、その新産業創出等推進事業促進計画に定められた新産業創出等推進事業促進区域内において開発研究の用に供した場合には、その開発研究用資産の普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却ができることとする。
ロ 上記イの適用を受ける法人が研究開発税制の適用を受ける場合には、その開発研究用資産の減価償却費は、特別試験研究費として取り扱うこととする。
(2)株式会社東日本大震災事業者再生支援機構に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
(3)復興居住区域において被災者向け優良賃貸住宅を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、適用期限の到来をもって廃止する。
(4)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。
4 消費課税
(国 税)
〔延長〕
 被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を2年延長する。
〔廃止〕
 消費税の中間申告書の提出を要しない場合の特例について規定の削除を行う。

七 納税環境整備
1 税務関係書類における押印義務の見直し
(国 税)
 提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
(注1)国税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用する。
(注3)上記の改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。
(地方税)
 提出者等の押印をしなければならないこととされている地方税関係書類について、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。
(注1)地方税犯則調査手続における質問調書等への押印については、刑事訴訟手続に準じた取扱いとする。
(注2)上記の改正は、令和3年4月1日以後に提出する地方税関係書類について適用する。
2 電子帳簿等保存制度の見直し
(国 税)
(1)国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度について、次の見直しを行う。
① 承認制度を廃止する。
② 国税関係帳簿書類(国税関係帳簿については、正規の簿記の原則に従って記録されるものに限る。②において同じ。)について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合には、次に掲げる要件に従って、その国税関係帳簿書類に係る電磁的記録の保存を行うことができることとする。
イ 電子計算機処理システムの概要書その他一定の書類の備付けを行うこと。
ロ 電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書等を備え付け、ディスプレイの画面等に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができること。
ハ 国税庁等の当該職員の質問検査権に基づくその国税関係帳簿書類に係る電磁的記録のダウンロードの求めがある場合には、これに応じることとすること。
③ 上記②イ及びロの要件、現行の訂正等履歴要件及び相互関連性要件並びに下記(2)④の見直し後と同様の検索要件の全てを満たして一定の国税関係帳簿に係る電磁的記録の保存等を行う者(その旨の届出書をあらかじめ提出した者に限る。)のその電磁的記録に記録された事項に関し所得税、法人税又は消費税に係る修正申告又は更正があった場合(申告漏れについて、隠蔽し、又は仮装された事実がある場合を除く。)には、その記録された事項に関し生じた申告漏れに課される過少申告加算税の額については、通常課される過少申告加算税の額から当該申告漏れに係る所得税、法人税又は消費税の5%に相当する金額を控除した金額とする。
(注)上記の「一定の国税関係帳簿」とは、所得税若しくは法人税の青色申告者が保存しなければならないこととされる仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿又は消費税の事業者が保存しなければならないこととされる帳簿をいう。
④ 上記の改正に伴い、所得税の青色申告特別控除の控除額65万円の適用要件について、仕訳帳及び総勘定元帳につき国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っていることを、仕訳帳及び総勘定元帳につき上記③の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っていることとするほか、所要の措置を講ずる。
(2)国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、次の見直しを行う。
① 承認制度を廃止する。
② タイムスタンプ要件について、付与期間(現行:3日以内)を記録事項の入力期間(最長約2月以内)と同様とするとともに、受領者等がスキャナで読み取る際に行う国税関係書類への自署を不要とするほか、電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の保存を行うことをもって、タイムスタンプの付与に代えることができることとする。
③ 適正事務処理要件(相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等をいう。)を廃止する。
④ 検索要件について、検索項目を取引等の年月日、取引金額及び取引先に限定するとともに、保存義務者が国税庁等の当該職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることとする場合にあっては、範囲指定及び項目を組み合わせて設定できる機能の確保を不要とする。
(3)電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。以下同じ。)の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、次の見直しを行う。
① タイムスタンプ要件について、付与期間(現行:遅滞なく)を上記(2)②の見直し後と同様の期間とする。
② 検索要件について、上記(2)④と同様の措置を講ずることに加え、判定期間における売上高が1,000万円以下である保存義務者が上記(2)④の求めに応じることとする場合にあっては、検索要件の全てを不要とする。
(注)上記の「判定期間」とは、個人事業者にあっては電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間をいい、法人にあっては電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度をいう。
(4)国税関係書類に係るスキャナ保存制度並びに申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、次のとおり電磁的記録の適正な保存を担保するための措置を講ずる。
① スキャナ保存が行われた国税関係書類の保存義務者又は申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者のその電磁的記録に記録された事項に関し、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき期限後申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等があった場合には、その記録された事項に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税の額については、通常課される重加算税の額に当該申告漏れ等に係る本税の10%に相当する金額を加算した金額とする。
② スキャナ保存が行われた国税関係書類の電磁的記録並びに申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、次のとおりとする。
イ スキャナ保存が行われた国税関係書類の保存義務者は、上記(2)②から④までの見直し後の要件を含めた保存要件を満たさない電磁的記録についても、保存しなければならないこととする。
ロ 申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置は、廃止する。
ハ 上記(2)②から④まで又は上記(3)①及び②の見直し後の要件を含めた保存要件を満たさない電磁的記録については、国税関係書類等と扱わないこととするとともに、災害その他やむを得ない事情により、当該保存要件に従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には、その事情が生じた日以後については、当該保存要件を不要とする。
(5)その他所要の措置を講ずる。
(注1)上記の改正は令和4年1月1日から施行することとし、上記(1)②、(2)②から④まで及び(4)②イの改正は同日以後に備付けを開始する国税関係帳簿又は保存を行う国税関係書類について、上記(1)③及び(4)①の改正は同日以後に法定申告期限等が到来する国税について、上記(3)及び(4)②ロの改正は同日以後に行う電子取引の取引情報について、それぞれ適用する。
(注2)上記の改正の施行の際、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度又は国税関係書類に係るスキャナ保存制度の承認を受けている国税関係帳簿書類等については、従前どおりとする。
(地方税)
(1)地方のたばこ税における輸出免税等の適用に当たって必要となる課税免除事由に該当することを証するに足りる書類について、当該書類の保存義務者が一貫して電子計算機で作成し、一定の要件を満たす場合には、電磁的記録等により保存を行うことができることとする。
(2)次に掲げる書類について、一定の要件を満たす場合には、スキャナ保存を行うことができることとする。
① 地方のたばこ税における小売販売業者の営業所ごとの売渡しに係る製造たばこの数量等を記載した書類
② 地方のたばこ税における売渡しに係る製造たばこが卸売販売用であることを証する書類
③ 地方のたばこ税における輸出免税等の適用に当たって必要となる課税免除事由に該当することを証するに足りる書類
④ 軽油引取税における軽油の引取りを行った者の事務所又は事業所ごとの納入に係る軽油の数量等を記載した書類
⑤ 軽油引取税における自動車用炭化水素油譲渡証の写し
(3)次に掲げる書類について、一定の要件を満たす場合には、当該書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を徴し、又は提出することができることとする。
① 地方のたばこ税における小売販売業者の営業所ごとの売渡しに係る製造たばこの数量等を記載した書類
② 地方のたばこ税における売渡しに係る製造たばこが卸売販売用であることを証する書類
③ 軽油引取税における軽油の引取りを行った者の事務所又は事業所ごとの納入に係る軽油の数量等を記載した書類
(4)(3)に掲げる書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を徴し、又は提出を受けた場合には、当該書類の保存義務者は、当該電磁的記録等を保存しなければならないこととする。
(5)その他国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日から施行することとし、上記(1)、(2)及び(4)の改正は、同日以後に保存を行う電磁的記録等について、上記(3)の改正は、同日以後に徴し、又は提出する電磁的記録について、それぞれ適用する。
3 納税管理人制度の拡充
(国 税)
 納税管理人制度について、次の措置を講ずる。
(1)納税者に対する納税管理人の届出をすべきことの求め
 納税管理人を定めるべき納税者が納税管理人の届出をしなかったときは、所轄税務署長等は、その納税者に対し、納税管理人に処理させる必要があると認められる事項(以下「特定事項」という。)を明示して、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日(以下「指定日」という。)までに、納税管理人の届出をすべきことを求めることができることとする。
(注)上記の「所轄税務署長等」とは、その納税者に係る国税の納税地を所轄する税務署長又は国税局長をいう。
(2)国内便宜者に対する納税者の納税管理人となることの求め
 納税管理人を定めるべき納税者が納税管理人の届出をしなかったときは、所轄税務署長等は、特定事項の処理につき便宜を有する者(国内に住所又は居所を有する者に限る。以下「国内便宜者」という。)に対し、その納税者の納税管理人となることを求めることができることとする。
(3)税務当局による特定納税管理人の指定
 所轄税務署長等は、上記(1)の求めを受けた納税者(以下「特定納税者」という。)が指定日までに納税管理人の届出をしなかったときは、上記(2)により納税管理人となることを求めた国内便宜者のうち一定の国内関連者を特定事項を処理させる納税管理人(以下「特定納税管理人」という。)として指定することができる。
(注)上記の「一定の国内関連者」とは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。
① 特定納税者が個人である場合 次に掲げる者
イ その特定納税者と生計を一にする配偶者その他の親族で成年に達した者
ロ その特定納税者の国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実についてその特定納税者との間の契約により密接な関係を有する者
ハ 電子情報処理組織を使用して行われる取引その他の取引をその特定納税者が継続的に行う場を提供する事業者
② 特定納税者が法人である場合 次に掲げる者
イ その特定納税者との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の50%以上を保有する関係その他の特殊の関係のある法人
ロ その特定納税者の役員又はその役員と生計を一にする配偶者その他の親族で成年に達した者
ハ 上記①ロ又はハに掲げる者
(4)上記(3)の特定納税管理人の指定については、特定納税者及び特定納税管理人に対して書面により通知を行い、これらの者による不服申立て又は訴訟を可能とするほか、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に行う上記(1)から(3)までの求めについて適用する。
4 無償譲渡等の譲受人等の第二次納税義務の整備
(国 税)
 徴収共助の要請をした場合に徴収をしてもなお徴収不足であると認められる場合において、その徴収不足が国税の法定納期限の1年前の日以後に滞納者が行った国外財産の無償譲渡等に基因するときは、その無償譲渡等の譲受人等は、第二次納税義務を負うこととする。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後に滞納となった国税(同日前に行われた無償譲渡等に係るものを除く。)について適用する。
5 滞納処分免脱罪の適用対象の整備
(国 税)
 滞納処分免脱罪の適用対象に、納税者等が徴収共助の要請による徴収を免れる目的で国外財産の隠蔽等の行為をした場合を加える。
(注)上記の改正は、令和4年1月1日以後にした違反行為について適用する。
6 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
(地方税)
 地方公共団体の収納事務を行う地方税共同機構が電子的に処理する特定徴収金の対象税目に固定資産税、都市計画税、自動車税種別割及び軽自動車税種別割を追加し、eLTAX(地方税のオンライン手続のためのシステム)を通じて電子的に納付を行うことができるよう、所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和5年度以後の課税分について適用する。
7 個人住民税の特別徴収税額通知の電子化
(地方税)
 個人住民税の特別徴収税額通知について、次の見直しを行う。
(1)給与所得に係る特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)について、eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者が申出をしたときは、市町村は、当該通知の内容をeLTAXを経由し、当該特別徴収義務者に提供しなければならないこととする。
(注)現在、選択的サービスとして行われている、書面による特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)の送付の際の電子データの副本送付は、終了することとする。
(2)給与所得に係る特別徴収税額通知(納税義務者用)について、eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者であって、個々の納税義務者に当該通知の内容を電磁的方法により提供することができる体制を有する者が申出をしたときは、市町村は、当該通知の内容をeLTAXを経由して当該特別徴収義務者に提供し、当該特別徴収義務者を経由して納税義務者に提供しなければならないこととする。この場合において、当該特別徴収義務者は、当該通知の内容を電磁的方法により納税義務者に提供するものとする。
(3)その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用する。
8 軽自動車税関係手続のオンライン化
(地方税)
 軽自動車税環境性能割及び種別割の申告又は報告並びに継続検査時における種別割の納付の有無の事実の確認について、国の関連システムの更改時期(注)に合わせて、オンライン手続により行うことを可能とする。
(注)自動車登録検査業務電子情報処理システム等の更改時期:令和5年1月予定
9 その他
(国 税)
(1)スマートフォンを使用した決済サービスによる納付手続の創設
 国税の納付手続について、国税を納付しようとする者がスマートフォンを使用した決済サービスに係る事項につきインターネットを利用して行う入力により納付しようとする場合には、国税庁長官が指定する納付受託者に納付を委託することができることとする。この場合において、納付受託者が国税を納付しようとする者の委託を受けた日に国税の納付があったものとみなして、延滞税、利子税等に関する規定を適用するほか、納付受託者の納付義務、帳簿保存義務、納付受託者の指定の取消し等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月4日以後に納付する国税について適用する。
(2)国外からの納付方法の拡充
 国外に住所又は居所を有する納税者が行う国税の納付について、国外の金融機関を通じて国税収納官吏の国内預金口座に送金する方法により行うことができることとする。この場合において、その国外の金融機関を通じて送金した日に国税の納付があったものとみなして、延滞税、利子税等に関する規定を適用するほか、納付に必要な情報の提供手続等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月4日以後に納付する国税について適用する。
(3)e-Taxによる申請等の方法の拡充
 税務署長等に対する申請等で電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)によりその申請等に係る書面に記載すべき事項を入力して送信することができないものについて、書面による提出に代えて、スキャナによる読み取り等により作成した電磁的記録(いわゆる「イメージデータ」)を送信することにより行うことができることとする。
(注1)上記の改正は、令和3年4月1日以後に行う申請等について適用する。
(注2)上記の改正の趣旨を踏まえ、上記の申請等については、施行日前においても、運用上、上記により行うことができることとする。
(注3)政府全体として行政手続のデジタル化の推進を図る観点から、上記の改正と併せて、e-Taxとマイナポータル等のシステム連携による申告利便等の更なる向上に取り組む。
(4)処分通知等の電子交付の拡充
 電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる処分通知等について、その範囲に次の処分通知等を加える。
① 加算税の賦課決定通知書の送付
② 所得税の予定納税額等の通知(予定納税額の減額承認申請に対する処分に係る通知を含む。)
③ 国税還付金振込通知書の送付
(注)上記①の改正は令和4年1月1日以後に行う送付について、上記②の改正は令和5年1月1日以後に行う通知について、上記③の改正は同年6月1日以後に行う送付について、それぞれ適用する。
(5)クラウド等を利用した支払調書等の提出方法の整備
 支払調書等の提出をする者は、あらかじめ税務署長に届け出た場合には、クラウド等(国税庁長官の定める基準に適合するものであることについてそのクラウド等を管理する者が国税庁長官の認定を受けたものに限る。以下同じ。)に備えられたファイルにその支払調書等に記載すべき事項(以下「記載情報」という。)を記録し、かつ、税務署長に対してそのファイルに記録されたその記載情報を閲覧し、及び記録する権限を付与することにより、支払調書等の提出をすることができることとするほか、所要の措置を講ずる。
(注1)上記の届出及び国税庁長官の認定に関する手続については、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができることとする。
(注2)上記の改正は、令和4年1月1日以後に提出する支払調書等について適用する。
(注3)上記の改正と併せて、クラウド等に記録された支払調書等の記載情報を納税者が活用するための対応を運用上行う。
(6)納税地の異動があった場合における質問検査権の管轄の整備
 法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について、調査通知後に納税地の異動があった場合において、その異動前の納税地の所轄国税局長又は所轄税務署長が必要があると認めるときは、その異動前の納税地の所轄国税局又は所轄税務署の当該職員が質問検査権を行使することができることとする。
(注)上記の改正は、令和3年7月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査及び当該調査に係る反面調査について適用する。
(地方税)
(1)スマートフォンを使用した決済サービスによる納付のための所要の措置
 地方税の納付手続について、地方税を納付しようとする者がスマートフォンを使用した決済サービスにより納付しようとする場合には、地方団体の長が指定する事業者に納付を委託することができることを法令上明確化する。この場合において、国税の制度と同様に、当該事業者の納付義務等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和4年1月4日以後に地方税の納付を委託する場合について適用する。
(2)eLTAXの対象となる申請等の範囲の拡充
 電子情報処理組織(eLTAX)を利用して行うことができる申請等の範囲を拡充するほか所要の整備を行う。
(3)地方税務システムの標準化に係る所要の措置
 地方公共団体の基幹税務システムの標準化に伴い、所要の措置を講ずる。

八 関税
1 暫定税率等の適用期限の延長等
(1)令和3年3月31日に適用期限の到来する暫定税率(416品目)及び特別緊急関税制度について、令和4年3月31日まで適用期限の延長を行う。
(2)加糖調製品(6品目)について、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大に伴い、次のとおり暫定税率の引下げを行う。

関税率表番号
主な品名
現行
改正案
1806.10-1 ココア粉
25.8%
24.4%
1806.20-2(1)-B ココアの調整品
25%
24%
1901.90-2-(1)-A-(b) ミルクの調整品

26.6%

25.5%
2101.11-1 コーヒーのエキス
16.9%
14.5%
2106.10-2-(1)-B たんぱく質濃縮物
15.3%
13.4%
2106.90-2-(2)-E-(a)-ハ-(ロ)-Ⅲ-(Ⅰ) 乳糖を含有する調整食料品
26.6%
25.5%

(3)令和3年3月31日に適用期限の到来する沖縄に係る特例措置(選択課税制度)について、令和4年3月31日まで適用期限の延長を行う。
2 個別品目の関税率の見直し
(1)ポリ塩化ビニル製使い捨て手袋について、暫定税率を無税とする。
(2)2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及びメタ−フェニレンジアミンについて、基本税率を無税とする。
3 特恵関税制度の適用期限の延長
 令和3年3月31日に適用期限の到来する特恵関税制度について、令和13年3月31日まで適用期限の延長を行う。
4 HS条約2022改正に対応するための関税率表の改正
 令和4年1月1日から適用される、HS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)の改正に応じて、関税率表の改正を行う。
5 災害等による納期限等の延長制度の拡充
 災害その他やむを得ない理由により期限までに納付等をすることができない場合に、現行の地域指定による期限延長に加えて、財務大臣が対象者を指定すること及び財務大臣又は税関長が申請に応じて個別指定することにより、期限延長することができることとし、所要の規定の整備を行う。
6 税関関係書類における押印義務の見直し
 原則、税関関係書類における押印義務を廃止する。
7 通関時における関税等の納付手段の多様化
 本邦に入国する旅客等の携帯品等に係る関税等について、クレジットカードやスマートフォンを利用したキャッシュレス納付に係る所要の規定の整備を行う。
8 その他
 納税環境整備に係る内国税の規定を踏まえた所要の規定の整備を行う。

第三 検討事項

1 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度間のバランス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意するとともに、平成30年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性、諸外国の例も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。

2 デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、総合取引所における個人投資家の取引状況等も踏まえつつ、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備する観点から、時価評価課税の有効性や課題を始めとして多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための実効性ある具体的方策を含め、関係者の理解を得つつ、早期に検討する。

3 小規模企業等に係る税制のあり方については、働き方の多様化を踏まえ、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、正規の簿記による青色申告の普及を含め、記帳水準の向上を図りながら、引き続き、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。

4 相続等に係る不動産登記の登録免許税のあり方については、所有者不明土地等問題の解決に向けて、相続発生時における登記申請の義務化、新たな職権的登記の創設等を含めた不動産登記法等の見直しについて次期通常国会に関連法案を提出する方向で検討が進められていることから、その成案を踏まえ、令和4年度税制改正において必要な措置を検討する。

5 自動車関係諸税については、「2050年カーボンニュートラル」目標の実現に積極的に貢献するものとするとともに、自動運転をはじめとする技術革新の必要性や保有から利用への変化、モビリティーの多様化を受けた利用者の広がり等の自動車を取り巻く環境変化の動向、地域公共交通へのニーズの高まりや上記の環境変化にも対応するためのインフラの維持管理や機能強化の必要性等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、受益と負担の関係も含め、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討を行う。

6 原料用石油製品等に係る免税・還付措置の本則化については、引き続き検討する。

7 帳簿等の税務関係書類の電子化を推進しつつ、納税者自らによる記帳が適切に行われる環境を整備することが、申告納税制度の下における適正・公平な課税の実現のみならず、経営状態の可視化による経営力の強化、バックオフィスの生産性の向上のためにも重要であることに鑑み、正規の簿記の原則に従った帳簿の普及、トレーサビリティの確保を含む帳簿の事後検証可能性の確立の観点から、納税者の事務負担やコストにも配慮しつつ、記帳水準の向上、電子帳簿の信頼性の確保に向け優良な電子帳簿の普及を促進するための更なる措置、記帳義務の適正な履行を担保するためのデジタル社会にふさわしい諸制度のあり方やその工程等について早期に検討を行い、結論を得る。

8 税理士制度については、ウィズコロナ・ポストコロナの新しい社会を見据え、税理士の業務環境や納税環境の電子化といった、税理士を取り巻く状況の変化に的確に対応するとともに、多様な人材の確保や、国民・納税者の税理士に対する信頼の向上を図る観点も踏まえつつ、税理士法の改正を視野に入れて、その見直しに向けて検討を進める。

9 事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。

10 ガス供給業に係る収入金額による外形標準課税については、小売全面自由化され2022年に導管部門が法的分離するガス供給業における他のエネルギーとの競合や新規参入の状況とその見通し、行政サービスの受益に応じた負担の観点、地方財政や個々の地方公共団体の税収に与える影響等を考慮しつつ、これらの法人に対する課税の枠組みに、付加価値額及び資本金等の額による外形標準課税を組み入れていくことについて、引き続き検討する。