税務調査の意外な効用

 個人投資家を含め私たちが企業の財務諸表を見る上での問題は、この財務諸表が正しい情報を示しているのかという点。大手企業が破綻する度に「公認会計士の監査はきちんとされていたのか」又は「公認会計士と企業が馴れ合いで仕事しているのではないか」といった疑問が生じてもおかしくはないだろう。

 例えば、三田工業が粉飾決算をした時には、企業と公認会計士とがグルになって不正を働いていたこともあったが、通常はこのようなことは稀。しかし、第三者の目からすると、「企業から監査報酬をもらっている以上、公認会計士も企業に対して、あまり強く不正を追求しないのでは?」と思ってもおかしくない。

 このため、日本公認会計士協会では、協会の倫理規則で、監査業務を行う際には、「独立性の保持に疑いをもたれるような関係や外観を呈しないよう留意しなければならない」と公認会計士(監査法人)と企業の独立性について規定している。簡単にいえば、外部から見て企業と癒着しているような疑いをもたれるようなケースでは、監査業務をしてはならないということである。例えば、企業から過剰な接待や贈り物を貰ったり、監査を行っている企業の株式を持っている場合などがこれに該当することになる。当たり前のことといえばそれまでだが、以外に難しいことなのかもしれません。

2001.12.19 ビジネスメールUP! 238号より )

 

 
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