契約の束

 この数年における会計制度・商法の改革には、目を見張るものがあります。時価会計・新株予約権・金庫株・債務の株式化・種類株式・株式交換・株式移転・企業分割などについて、どれぐらい理解することができるのでしょうか。

  取得原価主義や資本充実の原則・利益と資本の分離の原則で、商法・会計学を学んでいらした方も多く、最近の改正にはついていけないと感じていらっしゃるのではないでしょうか。

  上記の各制度を理解することは、それぞれ大変なことですが、全体像を理解するのに役立つキ−ワ−ドが「契約の束」です。

  会社の本質を「会社を取り巻くあらゆる利害関係者と会社の間の契約の束である」とする捉え方が、経済学・経営学の視点から提起されています。取引先との契約はもちろんのこと、株主・債権者・従業員・国・地方公共団体・地域住民など多くの利害関係者との間で契約が結ばれ、その集合体として会社の本質が認められるとするものです。そして、会社法や会計制度での規制を緩和して、この契約に自由を認めていこうとする動きが、上記の改革の背後にある考え方なのです。 「契約の束」として会社をとらえる結果、最終的な会社の剰余分は、株主に帰属することになります。

  「契約の束」という考え方は、株主の利益の最大化を会社統治の基本原則として適当なものと考える基礎にもなっています。

2002.2.27 ビジネスメールUP! 260号より )

 

 
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