役員賞与の取扱い

 法人税法35条は、役員に対して支給する賞与の額は、その法人の損金の額に算入しないことを規定しています。会計上も役員賞与金については、利益処分における処分項目として取扱われるため、法人税法の取扱いと基本的には(費用・損金にならないということで)一致し、法人税申告書上での調整を行うことは少ないようです。企業の業績に連動して支払われる役員報酬は、役員賞与として、損金の額に算入されないことになります。
  この数年、わが国は、国際競争力の回復を期して、企業再編成税制の整備・連結納税制度の導入に取り組んできました。そして、国際競争力という観点から欠かすことができないものに、法人税法における役員賞与の取扱いがあります。
  アメリカでは、企業の業績に連動して支払われる役員報酬(賞与)は、法人税の課税所得の計算上控除されるものとなっています。仮に役員賞与支給前の法人の当期利益を10億円、当期利益に対して3割の役員に対する業績変動報酬(賞与)を認めるものとしたならば、役員業績賞与額は、3億円になります。日米が、同じ法人税率(40%)としたならば、日本では4億円、アメリカでは、2.8億円の法人税負担になり、1.2億円(3億円×40%)の違いが生じることになります。この違いがわが国企業の国際競争力を減らすことと考えられるからです。さらに、わが国にプロの経営者が生まれにくいのは、このような業績賞与の考え方が徹底していないことに起因すると指摘されています。
  今後、法人税法の役員賞与の取扱いは、税制改正の議論の対象に上ってくるものと思われます。

2002.3.4 ビジネスメールUP! 262号より )

 

 
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