見せかけの法人税率の引き下げに騙されるな!

 6月のとりまとめに向けて、税制改革についての議論が急ピッチで進められています。経済財政諮問会議の改革案の中には、さらなる法人税率の引き下げも検討項目にあるようですが、すでに先進国の標準的な税率まで引き下げ済みであり、代替財源の確保に目途が立たないとする財政当局のガ−ドは堅いようです。法人税率の引き下げは、課税ベ−スの拡大とセットで行われることが多いのですが、課税ベ−スの拡大も残り少なくなっているようです。  

  表面的な法人税率の引き下げでわが国の産業の空洞化が回避できると考えることは、まやかしの議論です。実効税率について財務省と経産省で異なる資料が公表されたことについては、以前このコラムにも書きましたが、法人税率を単純に国際比較することはナンセンスといわざるを得ません。ヨ−ロッパ各国ではすでに間接税に多くの財源を求めています。わが国でも法人税の課税ベ−スを法人所得額から付加価値額に広げれば、税率を大きく引き下げても同額の財源を確保することができます。大事なことは、表面税率の多寡ではなく、法人にとって総合的に魅力ある国であるかどうかということではないでしょうか。

  国民に財産があり、貿易収支が黒字だから国債の引き下げはおかしいと主張することよりも、こうやって国債を償還するという道筋を示す誠実な対応が必要だと思うのです。

2002.5.24 ビジネスメールUP! 293号より )

 

 
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