特集! 政府税調の『基本方針』を読み解く
第3回・消費税の改革の方向性

 今回は政府税調の『あるべき税制の構築に向けた基本方針』における消費税関係を取り挙げます。消費税の改革の方向性は、「社会保障支出の増大や財政構造改革を展望すれば、今後、税率を引き上げ、消費税の役割を高めていく必要がある。」という文言が答申に盛り込まれたように、税率引き上げのための地ならし(いわゆる「益税」の解消等)を推進することにある。消費税率の引き上げについては、これまで政治的にタブ−視されてきた。しかし、この答申では、具体的な税率や引き上げ時期を提示するところまではいかないものの、引き上げの方向性を明らかにしている。答申は、公式文書としてこれまでより一歩踏み込んだものとなっている。

  答申では、消費税の信頼性、透明性の向上に向けた改革として中小企業者に対する特例措置(@事業者免税点制度A簡易課税制度)の抜本的見直しを提言している。両制度については、水準(@事業者免税点制度・課税売上高3,000万円以下A簡易課税制度・課税売上高2億円以下)の大幅な縮減が今後具体的に検討されることになる。「益税」の解消は、消費税の信頼性の向上に寄与する一方で、中小企業に、税負担・納税事務負担を課することになり、反発も予想される。

  また、消費税は、消費者からの預り金的性格を有するが、滞納・運用益等の問題が生じている。このため、答申では、納税者の事務負担・税務行政コストとの関係に留意しながらも、申告納付回数の増加を検討する必要があると指摘している。さらに答申では、消費者に対する価格表示のあり方を「総額表示方式」にすることや、仕入れ税額控除に「インボイス制度」を導入することを、税率引き上げや、複数税率の導入を視野に入れて検討すべきとしている。

  消費税の税率引き上げには、反発も予想され、景気を冷やすデメリットを持っている。消費税の具体的税率や引き上げ時期への言及は行っていないが、答申は、消費税の財源としての重要性を浮き彫りとした内容となっている。

2002.6.24 ビジネスメールUP! 306号より )

 

 
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