第3回

確定拠出制度(日本版401K)導入の主役は個人B 

 前回、俗に言われる「失われた10年」にかかわる経済指標を数点取上げたが、総て右肩下がりである。悲観もしたくなるが、実は意外な要素が右肩上がりだ。

  実感の有無はともかくとして労働分配率(付加価値、粗利益に占める人件費)は上昇を続け、その比重はなんと75%近くにもなってきている。又個人金融資産残高は90年末の約1,000兆円から約10年で400兆円も増加し約1,400兆円という膨大な金額だ。(過半は高齢者が所有)一方国は国債を乱発してきたツケが回り財政赤字は著しく、企業部門においても競争力強化の為に負の遺産処理に蓄積を使い果たしてきている。未曾有の厳しさだ。にもかかわらず個人の間には、さほど緊張感があるようには感じられない。それは前述したとおり相対的に高賃金、高貯蓄にあるからだ。今まで日本経済が体面を保ってこれたのも高貯蓄によるところが大きい。 例えば国債の格下げがあっても長期金利が上昇しないのは、この個人金融資産が防波堤の役目を果しているからである。銀行という間接金融主体の資金配分がリスクを表面化させないのだ。そういう意味では企業に対する債権放棄もしかりだ。

  しかしこうした依存型とも言えるリスク吸収力を今後も持ちえるだろうか。今後個人に対して過剰雇用への高コスト是正等、よりいっそう構造調整が進むと考えるべきではないか。リストラ、ワークシュアリング等就労形態を含め雇用環境はどんどん変化してゆく。フローの影響はやがてストックにも及ぶのである。

  いってみれば、かつては国があるいは企業が丸抱えで個人のマネープランの面倒を見てきたのだが、それは成長という前提があってのこと。一般的にもうその余力はなくなってきている。

  そうした中での"日本版401K"の導入は、皆に意識改革そして真の自立を促すものである。こうした大きな潮流を踏まえ、いち早く自己改革に取組み、自らの競争力、成長力を高めるというきっかけとして、主体的に"日本版401K"を捉えることは有意義なことと思う。

2002.3.8 ビジネスメールUP! 264号より )

 

 
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