平川税務会計事務所   森 秀樹


第27回
ストックオプション税制について


ストックオプション制度とは
 ストックオプション制度とは、株式会社の取締役や使用人が、決められた期間(権利行使期間)内に自社の株式をあらかじめ定められた価額(権利行使価額)で購入することができる権利(株式譲渡請求権)をいいます。

ストックオプション税制とは
 株式会社の取締役又は使用人が、一定の決議に基づき株式会社と取締役等との間に締結された契約により与えられた株式譲渡請求権又は新株引受権で一定の要件に該当するものを、契約に従って行使することにより株式の取得をした場合には、その株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さないこととされています(措法29条の2)。

 ここで、一定の要件とは、株式譲渡請求権又は新株引受権に係る契約において、次に掲げる要件が定められていることをいいます。

(1)  株式譲渡請求権等の権利行使は、付与決議の日から二年以内はできないこと
(2)  株式譲渡請求権等の行使に係る権利行使価額の年間の合計額が、千万円を超えないこと
(3)  株式譲渡請求権等の一株当たりの権利行使価額は、その会社の株式の契約の締結の時における一株当たりの価額に相当する金額以上であること
(4)  株式譲渡請求権等の権利行使に係る株式の譲渡又は新株の発行が、その譲渡又は発行のために付与決議がされた商法に定める事項に反しないで行われるものであること
(5)  株式譲渡請求権等の行使により取得する株式につき、その会社と証券業者等の間であらかじめ締結される株式の保管の委託又は管理及び処分に係る信託に関する取決めに従い、政令で定めるところにより、その取得後直ちに、その会社を通じて、その証券業者等の営業所等に保管の委託等がされること


 この経済的利益の非課税の特例の規定の適用のない株式譲渡請求権等の行使に係る経済的利益については、その権利行使時に給与所得として課税されることとなります(基通23〜35共6(1)イ)。

 また、この非課税規定の適用を受けて取得した株式を譲渡した場合には、申告分離課税が適用されることとなります。

商法の改正について
 法制審議会のとりまとめた「商法等の一部を改正する法律案」では、ストックオプションの対象者の規制緩和等が盛り込まれています。

 この改正案では、ストックオプションの付与対象制限を撤廃し、第三者にも付与ができるようにすることのほか、付与株式総数の上限などの各種規制も緩和されることとなります。

 ただし、株主以外の者に対して特に有利な条件をもって新株予約権を発行する場合には、(1)発行する新株予約権の目的となる株式の種類及び数、(2)複数の新株予約権に分割して発行するときは、発行する予約権の総数、(3)各新株予約権行使に際して払込をすべき金額、(4)新株予約権を行使できる期間、(4)新株予約権の行使の条件などについて、株主総会の特別決議が必要とされています。

 ここで、商法改正によりストックオプションの各種規制の緩和がなされた場合であっても、それがいわゆる「税制適格ストックオプション」に該当して、ストックオプションの権利行使時の経済的利益に対する所得課税が株式売却時まで繰延べられるとは限らないことに注意する必要があります。

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2001.10.29 ビジネスメールUP! 217号より )

 

 
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