平川税務会計事務所  佐々木京子


第48回
役員に支払う退職給与

☆ 役員退職給与についての基本的な考え方
  労働協約や退職給与規定に基づいて支給される使用人退職給与と異なり、役員退職給与については多分に利益処分的性格が存するといえます。またオーナー会社にあっては、その恣意的な決定による法人の利益操作のおそれがあります。そのため法人税法においては損金算入について一定の制限を設けています。(法人税法36)

☆ 役員退職給与の損金算入時期
  役員退職給与の損金算入時期は、原則として株主総会等の決議によりその金額が具体的に確定した日の属する事業年度になります。但し、支給日の属する事業年度にその支給額を損金経理すれば、損金算入を認めることとしています。(法基通9-2-18)

☆ 損金経理により未払い計上した場合
  具体的に確定した日の属する事業年度前に未払金に計上された額については、その計上した事業年度においては損金の額に算入されません。 その後その退職給与の額が具体的に確定した日又はその額を支給した日の属する事業年度で、その額を確定申告書で損金の額に算入すれば、その事業年度において損金経理したものと認められます。(法基通9-2-20)

☆ 仮払金経理した場合
 
@ その額が具体的に確定する事業年度前に、仮払経理により支給した場合に は、その支給日の属する事業年度においては損金算入されず、その後その金額が具体的に確定した事業年度において、その金額を損金経理すれば、その事業年度において損金算入が認められます。
  A その額が具体的に確定した事業年度以後に、その役員退職給与を支給し、 その支給した額について仮払金経理をしたときは、その後の事業年度におい て損金経理により仮払金を消却をしても、その消却金額は損金算入は認めら れません。(法基通9-2-21)

☆ 過大役員報酬の損金不算入
 損金経理によって支給された役員退職であっても、不相当に高額の部分の金額は損金の額に算入できません。具体的には在職年数、退職の事情、同業種・類似規模の比較法人の支給業況等からみて社会通念上相当と見られる金額であるかどうかにより判定します。 一般的な算定方法に「平均功績倍率法」があり、次の算式となります。

役員退職給与=退職時の最終報酬月額×勤続年数×功績倍率

  比較法人における役員退職給与の額に基づいて功績倍率を算出し、その平均値を乗じて適正額を求めようとするものです。 なお、この功績倍率については、かつて3倍までが是認範囲といわれてきましたが、平成11年12月10日札幌地裁において3.9倍を妥当とする判決が出されています、

2002.4.1 ビジネスメールUP! 274号より )

 

 
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