第6回

連結納税制度の導入に向けて

   経団連税制グループ副長 井上 隆

 企業組織再編税制の創設により、わが国法人税制上の最大かつ最優先の課題は連結納税制度の導入となった。企業組織再編税制の検討で一時中断された形となっていた政府税調法人課税小委員会での検討も近く再開される予定であり、2002年度導入に向けた本格的な議論が期待される。

 昨年7月の政府税調中期答申によれば、「わが国において導入を目指すべき本格的な連結納税制度の例としては、アメリカとフランスの連結納税制度が代表的」とされ、イギリスやドイツに見られるような損益振替型ではなく、所得通算型の制度構築が示唆されている。

 すでに、経団連では平成8年の段階でフランス型を意識した所得通算型の経団連モデルを政府での検討に先駆けて提示し、その早期導入を要望している。損益振替型モデルでは、結果的に子会社の損失を親会社が負担するという結果につながりかねず、個々の企業の自主的な経営責任の追求という、連結グループ経営の要諦に矛盾する惧れありと判断したからである。そこには、子会社の赤字を親会社で吸収できさえすれば「OK」(本ビジネスメール135号)といった考えは微塵も無い。

 純粋持株会社の解禁、株式交換や会社分割といった一連の商法改正、連結ベースのディスクロージャーへの移行等々、経団連がここ数年で取り組んできた課題は、企業の自由な組織再構築の実現のためのインフラ整備、それによる経済構造改革の推進である。今後進められる連結納税制度の具体的検討にあたっても同様の次元から、経済実態に即した制度構築に向けた意見を取りまとめる予定である。

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2001.4.25 ビジネスメールUP! 147号より )

 

 
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