第5回

消費税
熱を通すと税金が高くなる!?

 消費税を負担するのは我々消費者だが、これを実際に税務署に支払っているのは事業者、つまり「会社」や「お店」である。どうやって消費税を支払うのかご存知ない方のために、「肉屋さん」を例にとってごく簡単に説明しよう。

 我々は肉屋さんから肉を買うときに消費税を払う。その一方で、肉屋さんは店で売る肉を仕入れる時に、仕入先に消費税を払う。結局、肉屋さんは、我々からもらった消費税から、仕入先に払った消費税を差し引いた差額を、税務署に納めているのである。

 ただ、言うのは簡単だが、実際に消費税を計算するのはかなり面倒。特に小さな肉屋さんとなると人手も足りないことだし、なおさらだ。

 そこで、消費税法では、こうした事業者のために「簡易課税制度」という制度を設けている。これは、事業者を小売業、製造業など「5つ」の業種に区分し、それぞれの業種に応じて「売上」の50%〜90%を「仕入れ先に払った消費税」とみなす仕組み。この簡易課税制度では、「売上」だけに基づいて納める消費税を計算できるため、実際の仕入額がいくらだったかは無視できる。一見すると、確かに便利な制度だと言える。

 ところが、この簡易課税制度、「簡易」という名前に反して、かなり"難儀"な問題を抱えている。それは「業種区分」、つまり、自分が一体どの業種に該当するのか判断に苦しむ場合が少なくないということだ。

 ここで再び「肉屋さん」を例にとろう。街の肉屋さんが「トンカツ」を売っている光景をよく見かけるが、実はこのトンカツを「油で揚げているかいないか」で肉屋さんの業種は変わってくる可能性がある。まだ油で揚げてないトンカツは、パン粉がついているだけの「肉」に過ぎない。つまり、トンカツと言っても「肉」を小売しているのと変わらないので、この肉屋さんの業種は「小売業」と考えていい。しかし、この肉を油で揚げているとなると、「製造業」的な扱いとなってくる(消費税基本通達13−2−3)。ちなみに、小売業であれば売上の80%を「仕入れ先に支払った消費税」とみなしてもらえるが、製造業となるとこれが70%になる。つまり、その分、納める消費税も増えてしまうわけだ。

 街の肉屋さんがトンカツを生のまま売っているのが多い(?)のは、この簡易課税制度の仕組みが影響しているのかも知れない。

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2001.3.30 ビジネスメールUP! 136号より )

 

 
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