第9回

消費税
交際費課税のタテマエとホンネ

 "接待、供応、慰安、贈答"――――何やらお経のようだが、現行の「交際費」はこれらの古くさい言葉で規定されている。  「得意先に手土産を持っていったが、この手土産代は交際費になるのか?」   「お客様にお茶お菓子を出したが、茶菓子代は交際費か?」 このような素朴な疑問を持つ担当者は多いはずだ。にもかかわらず、経理担当者はこれら日常的な出費に何らかの科目を付して処理している。

  よく「3,000円以下なら交際費ではない」とか「5,000円以下なら大丈夫」などと言われるが、よくよく突き詰めていくと、このような基準にピッタリの法令は存在しないのである。

  経理担当者にしてみればこれでは困るが、同じように困るのが「調査官」である。雑費とされた980円や300円の伝票や領収証を検討して接待、供応、慰安、贈答がないかなどをチェックしていては、いつまで経っても調査は終了しない。

  このため国税局単位では、例えば、
・ 手土産代だったらおおむね3,000円以下ならば交際費課税のための抽出はしない
・ 茶菓の接待費用は同じく抽出しない
・ タクシー代で5,000円を下回るものは否認しない、 などの基準が内部的に決められていた(平成12年6月までに廃止され現在は存在しない)。

 この内部取り決めが世間に伝わり、前述の3,000円、5,000円となったと見るべきだろう。 ともあれ、交際費処理のホンネとも言える「一定の金額基準」は"効率的な調査"のためには不可欠であり、経理マンにとっても有効である。

  しかし、現在では内部的な取り決めがなく、交際費課税のタテマエ(冒頭のお経)だけが残された格好だ。タテマエばかりがまかり通ると、結果的に、個々の調査官のさじ加減が大きくなりすぎないだろうか?

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2001.5.7 ビジネスメールUP! 148号より )

 

 
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