第11回

相続税
囚人と遺産分割協議

 "争族"と揶揄されるほど、遺族間の醜い遺産の奪い合いが展開されることも珍しくない遺産相続。そこで、遺産相続においては、後々のトラブルを防止するため、多くの場合「遺産分割協議書」なるものを作成する。その際、文書の法的信頼性を高めるために、各相続人が「実印」を捺印するのが普通だ。

 何の問題もないはずのこの行為、実は「ある事情」により相続人のうち一人だけ実印の捺印ができないというケースがある時、実際に起こった。非常に稀な例ではあるが、実は相続人のうちの一人が「囚人」、つまり"刑務所の住人"だったのである。実印をキッチリ保管しているシッカリ者の囚人というのもそうそういるものではない。しかも、彼らの住所は刑務所。そこで、この相続に関与していた税理士先生は大いに困ったという。

 結局、税理士先生はどうしたかというと、相続人である囚人が収容されている刑務所の所長さんの印を代わりにもらったのだという。囚人の住所はもちろん「刑務所」である。そして、何とか遺産分割協議は法的に有効なものとして無事終了したそうだ。

 何でも、この囚人、結構な遺産を取得したのだという。しかし、場所は刑務所。もちろん、お金を派手に使うことなどできない。きっとその囚人は、自分の犯した罪の重さを骨身にしみて感じたに違いない。

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2001.5.18 ビジネスメールUP! 153号より )

 

 
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