第29回


粉飾決算の理屈付け

 不況がこれだけ長引くと青色吐息の会社が少なくない。決算書がボロボロでは、融資もままならないとばかりに登場してくるのが「粉飾決算」である。  話を税務だけに限ってみると、売上除外などのいわゆる「申告漏れ」と「粉飾決算」とでは、当局の対応も異なるようだ。申告漏れは税逃れだが、粉飾決算は納税の方向を持っているからだ。税務上のデメリットは、粉飾決算によって納税したものに対する還付制限がある程度である。

  ところが、粉飾決算を依頼された税理士先生や粉飾決算の実行担当者の不安感は拭えない。例えば、なんにも売上がないにもかかわらず、伝票を作成して架空売上を計上したりすれば、かなりスジの悪い粉飾ということになり、担当者は気が気ではない。依頼された税理士であれば責任問題・資格問題まで発展するだろう。

  さまざまな粉飾が考えられるが、含み益の実現や減価償却の抑制など、動機として「粉飾」だが行為としては「粉飾かどうか微妙」となるケースは意外に多い。

  粉飾決算がバレないような手法を編み出すことと、堂々と抗弁できる理屈をもって見栄えのいい決算を組むこととでは雲泥の差がある。

バックナンバー

2001.10.5 ビジネスメールUP! 208号より )

 

 
過去のニュース、コラムを検索できます
 Copyright(C) LOTUS21.Co.,Ltd. 2000-2017. All rights reserved.
 全ての記事、画像、コンテンツに係る著作権は株式会社ロータス21に帰属します。無断転載、無断引用を禁じます。
 このホームページに関するご意見、お問合せはinfo@lotus21.co.jp まで