第33回


立ち退き交渉の弁護士費用は必要経費?

 ここ最近の不況のなか、バブル経済の絶頂期のようにアパートなどを建てて家賃収入で生計を立てるといった悠々自適な生活をしてみたいと夢見る方も多いことでしょう。しかし、世の中には、実際に賃貸用ワンルームマンションを建てるため、既存の古い木造アパートを取得し独身の方や学生向けの賃貸用ワンルームマンションを建てるといったこともあるようです。

  さて、このようにアパートなどを取得する際によくあるトラブルとしては、まだ部屋に賃借人が入居しているケース。この入居者の立ち退き交渉をスムーズに行うためには弁護士に相談することになると思いますが、この弁護士報酬がマンション収入に係る不動産所得の必要経費になるのか、又は将来的にマンションを売った際の譲渡所得の計算上の取得費になるか判断に迷うところ。

  このケースですが、訴訟費用や弁護士費用のうち譲渡所得の計算に当たって取得費に該当するものは、例えば、その所有権の帰属について紛争の生じている資産を購入して、その紛争を解決してその所有権を完全に自分に帰属させた場合の訴訟費用及び弁護士費用、また現に第三者が賃借している資産で、それを業務の用に供するためにその第三者を立ち退かせた場合の訴訟費用及び弁護士費用とされています。したがって、この弁護士費用については土地の取得費となり、不動産所得の必要経費とはならないので注意したいところです。

  なお、取得したアパートとその敷地については、取得後おおむね1年以内にその建物の取り壊すなど、その取得が当初からその建物を取り壊してその敷地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取得に要した費用及びその取壊しに要した費用の合計額をその土地の取得費に算入することになります。

バックナンバー

2001.11.2 ビジネスメールUP! 219号より )

 

 
過去のニュース、コラムを検索できます
 Copyright(C) LOTUS21.Co.,Ltd. 2000-2017. All rights reserved.
 全ての記事、画像、コンテンツに係る著作権は株式会社ロータス21に帰属します。無断転載、無断引用を禁じます。
 このホームページに関するご意見、お問合せはinfo@lotus21.co.jp まで