第61回

地域通貨の可能性と課税問題

 日本の各地で地域通貨に関する取り組みが進められています。国家(日本銀行)の裏付けのない通貨ということで、様々な法的問題を抱えているように見えますが、地域通貨がまだ大きな力となっていないこと、地域通貨の種類にも多様性があることから、行政もいまのところ、はっきりとした対応を示していません。地域通貨の可能性と課税問題を取り上げてみたいと思います。

地域通貨は実物経済活性化への大きな武器に
  地域通貨は、回数券や割引ク−ポンのような役割を担うことができます。回数券やク−ポンは通常、貨幣への交換を予定していません。有効期限に定めのあるものもあります。使用しなければ、無価値となる信用度の低い金券ということになるでしょう。このような金券は、信用度の高い金券に比べて早く使用されるという特徴を持ちます。10,000円の紙幣と、商店街の福引セ−ルで当たった有効期間1ヶ月の金券を持った場合には、当然に、金券から使用されることでしょう。このような地域通貨は、銀行やタンスに預けられることもなく、使用されます。実物経済の活性化につながります。

地域通貨での売上は課税?非課税?
  地域通貨は、法定通貨を補完する役割を担って利用されています。例えば、1,000円の買い物に対して、50円の地域通貨の使用を認めるというような使用方法です。このような使用方法であれば、売り上げた商店の側での値引き処理も可能と考えられたからです。950円の売上を計上し、50円の地域通貨使用分は値引きや広告費として取り扱う方法です。しかし、最終的に地域通貨が、貨幣や有価物に交換されるような場合は、課税上の問題となります。地域通貨の利用範囲が大きくなればなるほど、課税上の弊害も大きくなりますし、課税当局から、売上に計上することを指示される例もあるようです。

 

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2002.6.14 ビジネスメールUP! 302号より )

 

 
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