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「同族関係者からの借入金」は「株主(本人)からの借入金」が前提!
政令の規定から読む自己資本比率

 平成15年度税制改正で、同族会社に対する留保金課税制度について、自己資本比率(自己資本の額/総資産の額)が50%以下である中小法人(資本金1億円以下の法人)の、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度については、留保金課税が不適用になった。税制改正の要綱などでは、自己資本比率を計算する場合の自己資本には、「同族関係者からの借入金を含む。」との括弧書きが付されていたが、政令では、「同族会社の同族株主等に対する負債(借入金その他利子の支払の基因となる者に限る。)(措令39条の34の2第9項)」と規定されており、同族株主本人からの借入金に限定されている。同族株主等の配偶者や親族、あるいは同族株主の保有会社からの借入金については、当該借入先が直接に同族会社の株主に該当しなければ、自己資本への加算の対象とならないことが、当局への取材で確認された。

自己資本への加算額は、実質的に緩和?
 同族株主等を定義する政令は、「前項に規定する同族株主等とは、同族会社の株主等(法人税法第2条第14号に規定する株主等をいう。)のうち、法人税法施行令第71条第1項第4号イからハまでの規定中「役員」とあるのを「株主等」と読み替えた場合に同号イからハまでに掲げる要件のすべてを満たしている者をいう。(措令39条の34の2第10項)」と規定しており、法人税法に規定する株主等とは、「株主又は合名会社、合資会社若しくは有限会社の社員その他法人の出資者をいう(法法2条14号)。」ことから、親族・関係者に株主の概念を広げるものではない。政令は、自己資本への加算額を同族関係者から同族株主本人に限定(留保金課税を緩和)したものと見ることもできる。

気を付けたい!実質借入先・実質株主の認定
 同族関係者からの借入金については、同族会社の株主にはなっていない「同族株主の配偶者・親族」からの借入金にすれば、当該借入金は加算対象から外れることになる。前事業年度の期末時点での判定ではあるが、借入先が株主本人であることが、加算の前提にあるからだ。
 自己資本比率が50%ぎりぎりで、同族株主等からの借入金で50%を超えてしまうような場合には、借入先の変更(同族株主本人→株主でない同族株主の配偶者)や株主の移動により、自己資本比率を引き下げる対応がなされうることになる。もちろん、安易な債務者名義の変更は、実質借入先の認定で否認される可能性がある。
 また、(借入金その他利子の支払の基因となるものに限る。)との記載により、役員報酬・役員賞与等役務報酬の対価・資産の売却代金の未払金は、金利を付す等の特殊な事情がない限り、自己資本の額への加算対象とはならない。

 

 

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週刊「T&A master」017号(2003.4.28)「ことばのコンビニ」より転載)

(分類:税務 2003.7.4 ビジネスメールUP! 449号より )

 

 
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