|
|||
![]() |
|
退職金の打切り支給は、「相当の理由」の有無で所得区分を判断
本誌7月21日号【No.028】では、打切り支給の退職金の所得区分について疑問を提起してきたが、本誌の質問に対して当局担当官は、以下のとおり、回答を寄せている。「相当の理由」「同視しうる状況」など、不確定概念を伴う回答ではあったが、一部解説書などに明らかにされている一般的な理解とは異なる慎重な対応となっている。担当官との質疑の中でも、判断は課税現場での事実認定によることとされているため、所轄署への事前確認が有効な対応といえそうだ。 Q1.「退職所得」として取扱われるためには、原則として「退職」という事実が必要と考えられるが、所得税法基本通達30−2では、引続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするものの取扱いを明らかにしている。この(一)には、新たに退職給与規程を制定し、又は中小企業退職金共済制度若しくは適格退職年金制度への移行等相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合において、・・・・・と記載されている。移行等相当の理由に、退職金制度の廃止も含まれることになるのか? A1.使用人が引続き勤務する中で、退職金制度が改正・廃止されたことに伴い支払われる一時金は、その退職金制度の改正・廃止に「相当の理由」が認められる場合に、受給者側で「退職所得」として取扱われることになる。「相当の理由」が認められない場合には、「給与所得」として取扱われる。「相当の理由」は、個別の事情に基づき事実認定で行われるが、退職金制度の改正・廃止の理由、労使双方の実状、さらには、労使の合意が見られるかなどが判断材料となる。支給者が一方的に退職金制度を廃止するような場合には、給与所得として取扱われることもある。 Q2.使用人が執行役員(商法上の役員には該当しない)に就任する際に使用人分退職金の打切り支給が行われた場合の受給者の課税関係(所得区分)について、どのように取扱われることになるのか? A2.執行役員制度の状況が必ずしも明確だとの現状認識を持っていない。執行役員にもいろいろな形態がある。考え方として、執行役員への就任が、商法上の役員への就任と同視しうる状況が認められれば、退職所得として取扱われることになる。これも事実認定の問題だと考えられる。雇用契約から委任契約への変更など、執行役員の職務の内容・待遇その他の状況を総合的に勘案することになる。Q1.Q2ともに、事実認定の問題として現場で判断することになるので、事前に所轄署に相談することが望まれる。 ※
記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
レベルアップを望む方に最適!週刊「T&A master」がお力になります! 週刊「T&A master」には、税務・会計・商法の情報が満載です。是非、ご購読ください。
(週刊「T&A master」035号(2003.9.15)「最重要ニュース 」より転載)
(分類:税務 2003.11.12 ビジネスメールUP! 498号より )
|
|
||
Copyright(C) LOTUS21.Co.,Ltd. 2000-2023. All rights reserved. | ||
全ての記事、画像、コンテンツに係る著作権は株式会社ロータス21に帰属します。無断転載、無断引用を禁じます。
このホームページに関するご意見、お問合せはinfo@lotus21.co.jp まで |