親会社株式をSOとして子会社の取締役等に付与するケースは?
ASB・親会社又は子会社のどちらが費用認識すべきか
企業会計基準委員会(ASB)のストック・オプション等専門委員会が10月22日に開催された。今回は、親会社株式を対象としたストック・オプションが子会社の取締役等に付与される場合の会計処理について検討した。親会社又は子会社のどちらで費用認識するかという論点だが、最終的な結論には至らなかった。
親会社と子会社の個別財務諸表上の会計処理は?
今回の論点は、親会社の上場株式を対象にしたストック・オプションを子会社の取締役等に付与するケース。
費用処理すると仮定した場合には、子会社の取締役等の役務の提供と付与されるストック・オプションを対応させて経理処理をすることになり、連結財務諸表上では、費用処理の仕訳を適切に計上することが可能であるが、親会社又は子会社の個別財務諸表では、どのように会計処理したらよいのかが問題となる。
事務局案では親会社で費用認識
事務局側からは、@親会社は、ストック・オプションをまず子会社に有償で付与し、次に子会社は取締役(子会社)に付与したと想定し、労働の対価である報酬を認識する、A親会社は、ストック・オプションをまず子会社に無償で付与し、次に子会社は取締役(子会社)に付与したと想定し、労働の対価である報酬を認識する、B親会社は、ストック・オプションを子会社の取締役(子会社)に直接付与し、親会社で費用認識を行い、子会社では報酬の認識をしない−という3案を提示している。
中でも、個別財務諸表上、子会社の取締役は、子会社にサービスを提供することを通じ、親会社の企業価値の向上に貢献している点やストック・オプションを子会社の取締役に付与するのは親会社であり、その効果が間接的だが、親会社に及ぶことを期待しているため、親会社で費用認識する旨のBの案が妥当ではないかと事務局は提案している。
役務の提供に着目すれば・・・
専門委員会では、ストック・オプション付与の意思決定は親会社であるため、子会社が費用認識することは不合理であるという意見や親会社の連結ベースの業績をよくするために子会社の取締役にストック・オプションを付与していると考えられるなどの意見があり、大方の見解としては、事務局が提案するB案を支持するものが多かった。
しかし、役務の提供という点に着目すれば、子会社で費用認識すべきという意見もあり、費用認識の論拠を最終的に決めないと、安易にBの案でよいかどうかは判断できないとする学者の意見があり、結論には至っていない状況だ。
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(週刊「T&A master」041号(2003.11.3)「最重要ニュース」より転載)
(分類:会計 2004.1.19 ビジネスメールUP!
521号より
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