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不適法意見はどこまで機能している?

 日本公認会計士協会は2月18日、「商法監査意見に関する調査結果報告」を公表した。これは、平成13年度商法監査実施報告のデータを基に不適法意見・意見差控の会社を抽出し、平成14年度で適法意見となった会社と倒産した会社を除く50社(不適法意見39社・意見差控11社)の会計監査人に対し照会を行った結果をまとめたもの。

資産評価の妥当性が主因
 不適法意見の理由としては、固定資産の減価償却不足(20社)が最も多い。
 一方、意見差控の理由としては、「貸付金の回収可能性にかかわる監査証拠を入手できなかった」が最も多く(5社)、「投資有価証券の評価の妥当性にかかわる監査証拠を入手できなかった」が3社あったとのこと。

コーポレート・ガバナンスの機能不全?
 不適法意見を出した後の会計監査人としての対応は、大きく辞任、指導、その他(会社の倒産等)に分けられる。この点、不適法意見を出した後に会計監査人を辞任したケースが8社ある一方で、指導が聞き入れられず、今後も指導するというケースは16社にのぼっている。証券取引法上の監査では不適正意見の表明は上場廃止事由となるが、商法監査においては会計監査人が不適法意見を出しても株主総会が承認決議をすれば、それで決算が確定してしまう。取締役の責任は別途発生するものの、不適法意見のついた決算書が確定してしまうこと自体コーポレート・ガバナンスが十分に機能していないことの証左といえる。

 なお、会社法制の現代化に関する要綱試案においては、「会計監査人が不適法意見を述べている場合には、決算公告において、その旨を明示しなければならないものとする。」とされている。実現すれば、不適法意見の野放しへの抑制効果を、一定程度期待できるといえよう。 
 


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週刊「T&A master」056号(2004.3.1)「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務  2004.5.10 ビジネスメールUP! 565号より )

 

 
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