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最高裁、免税事業者の課税売上高は「税込み」と判断
張江税理士、当局と裁判所を「三権不分立」と批判

 

 最高裁第三小法廷(濱田邦夫裁判長)は2月1日、免税事業者の基準期間における課税売上高は、税抜きか税込みかで争われていた、いわゆる「張江消費税訴訟」について、納税者の上告を棄却する判決を下した(平成12年(行ヒ)126号)。

免税事業者の売上高は税抜きか税込みか
 この事件は、消費税の基準期間において免税事業者に該当し、売上総額が3,052万円余りだった法人が、免税事業者であっても、課税売上高は課されるべき消費税額3%(旧税率)を控除して算定すべきであると判断。これにより、売上総額3,052万9,410円に103分の100を乗じた2,964万203円が課税売上高となるため、消費税の申告・納付をしなかったことに基因するもの。平成7年、「免税事業者に該当しない」と判断され、当局による無申告加算税賦課決定処分を受けたため、処分の取消しを求めて平成9年、東京地裁へ提訴していた。

地裁、高裁とも納税者の訴えを棄却
 東京地裁は平成11年1月、「免税事業者の行った課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税が存在しない以上、基準期間において免税事業者であった者の売上総額から除外すべき消費税額に相当する額も存在しない」などと判示。原告の主張を斥ける判決を下した。
 これに対し、納税者側は、「課税事業者か免税事業者かに関わらず、売上高から課されるべき消費税に相当する額を控除した金額をもって、免税事業者に当たるかどうかを判断するのが、文理上自然な解釈である。」などと反論した。しかし、平成12年1月、東京高裁も、納税者側の控訴を棄却する判決を下していた。

最高裁、免税事業者の課税売上高は税込み
 最高裁第三小法廷(濱田邦夫裁判長)は2月1日、「消費税の納税義務を負わず、課税資産の譲渡等の相手方に対して自らに課される消費税に相当する額を転嫁すべき立場にない免税事業者は、消費税相当額を控除することは法の予定しないところというべき」などと判示。消費税法9条及び28条の趣旨・目的に照らすと、免税事業者の課税売上高は消費税額を含むものと解するのが相当だと判断した。
 訴訟当事者である張江税理士は、判決後、「司法判断には期待していなかったが、三権不分立だ。通達(消基通1−4−5)も後付だった。」などと当局と裁判所の姿勢を批判。一連の裁判について、「司法の場では、“免除”という言葉と“非課税”という言葉 が同一視されてしまった。免税事業者か否かを判断する際は、免税事業者と課税事業者を区別せず、同じ基準で判断すべきだ。」などと主張した。
<判決原文>
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/829b431dcb94897149256f9b001e39db?OpenDocument

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週刊「T&A master」101号(2005.2.7「最重要ニュース」より転載)

 

(分類:税務 2005.2.16 ビジネスメールUP! 672号より )

 

 
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