継続開示義務違反企業の課徴金の算定方法が明らかに
金融庁・借入コストの低下などを利得と算定
金融審議会金融分科会第一部会は2月8日、継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金の算定方法(案)を明らかにした。金融庁では、今通常国会に証券取引法の一部改正法案を提出したい意向だ。
届出書虚偽記載の課徴金は4月導入
上場会社による有価証券報告書の虚偽記載問題を受け、金融庁では、ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応策を公表している(12月28日公表)。この対応策の中には、継続開示義務違反に対する課徴金制度を導入する旨が明記されていた。
平成16年6月の証券取引法の改正により、平成17年4月から、有価証券届出書の虚偽記載(新規発行時の届出)やインサイダー取引、相場操縦等の不公正取引に対して、課徴金制度が導入される。課徴金額については、違反者の経済的利得を基準として法定。発行開示書類の虚偽記載については社債等の場合は発行額の1%、株券等の場合は発行額の2%とされている。しかし、継続開示書類については、虚偽記載による経済的利得の算定が困難などといった理由から課徴金制度の導入が見送られていた経緯があった。
格付上昇などの利得
金融庁は、今回の課徴金制度導入に当たり、継続開示書類の虚偽記載により、@財務状況が実際によく見えることによる会社の格付の上昇等による借入コストの低下、Aレピュテーション(※評判、信認)の上昇及びそれに伴う取引拡大、人材確保の容易化、B上場の維持等を通じた当該会社の有価証券の価格水準や流動性の確保−といった利得が生じるとした。
その上で、前記@及びAのうち取引拡大を通じた経済的利得の株式時価総額に対する割合は、(1)格付が一段落上昇した場合の資金調達金利の平均的な低下率から利得の株式時価総額に対する割合と(2)東証に上場した企業の上場前後の売上の平均上昇率から利得の株式時価総額に対する割合を算出したものを合計して計算。
最終的な経済的利得は、虚偽記載時の株式時価総額×株式時価総額に対する利得の割合×虚偽記載の継続年数(現行制度における除斥期間3年が限度)で算出するとしている。
課徴金は損金不算入
なお、有価証券届出書の虚偽記載やインサイダー取引等に対する課徴金については、証券取引法等の一部改正に併せて法人税法及び所得税法が改正されており、損金不算入(必要経費に算入できない)とされている。仮に、継続開示義務違反に対する課徴金制度が導入された場合、この課徴金についても損金不算入となろう。
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(週刊「T&A master」103号(2005.2.21「最重要ニュース」より転載)
(分類:会計 2005.3.9 ビジネスメールUP!
681号より
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