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所有権移転外ファイナンス・リース取引の税務上の問題は解決せず
ASB・リース事業協会が1年間の検討結果を公表

 

 3月29日に開催された企業会計基準委員会(ASB)では、リース事業協会からの検討状況についての報告が行われた。所有権移転外ファイナンス・リース取引の例外処理を廃止した場合の税務上の問題が解決できるかどうかを1年間待った報告だが、現状では何ら進展は見られていない。

中間報告を公表し審議を一時中断
 企業会計基準委員会で検討しているリース会計基準の見直しにおける最大の論点は所有権移転外ファイナンス・リースの例外処理を継続させるかどうかという点。ファイナンス・リース取引のうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められる以外の取引については、注記することを要件に賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことを認めている。この会計処理については、国際会計基準や米国会計基準と異なる処理であるため、日本特有のものである例外処理を廃止すべきという方向で議論は一応進んでいた。しかし、リース契約については、税制との関係から、例外処理を廃止した場合には、税務上のメリットがなくなるといった強い反対を受け、審議を継続することが難しい状況になっていた。
 このため、同委員会では、昨年の3月24日に「所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理に関する検討の中間報告」を公表。中間報告では、税務上の問題から審議を一時中断し、1年を目処にリース事業協会に対して、解決の方向性を検討するよう要請していた。
 これを受け、リース事業協会では、協会内にリース会計実務研究会を設置し、1年検討。その結果、3つの対案を出したが、どれも会計上あるいは税務上の問題が残されているものであった。

今後は例外処理廃止へ
 中間報告を公表した最大の目的は、1年間議論を凍結している間に、所有権移転外ファイナンス・リースの例外処理を廃止した場合の税務上の取扱いが変更されるかどうかを課税当局と折衝する点にあった。
 しかし、同協会では税務当局の折衝は行っておらず、また、現行のリース会計基準を存続させる案しか提案できなかったことになる。
 このため、今後は、所有権移転外ファイナンス・リース取引の例外処理を廃止する方向で検討が行われることが予想される。ただ、EU(欧州連合)は今年6月にも日本の会計基準が国際会計基準と同等であるかどうかの判断を行うとしている。このため、リース会計基準の例外処理について開示を行うことで同等であると認められることになれば、リース会計基準の見直しにも大きな影響を与える可能性がある。

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週刊「T&A master」109号(2005.4.4「最重要ニュース」より転載)

(分類:会計 2005.4.25 ビジネスメールUP! 700号より )

 

 
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