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東京地裁民事38部、第2次宮岡訴訟で取消請求を棄却
調査すべき客観的必要性を認定

 平成17年9月14日、東京地裁民事38部(菅野博之裁判長)は、(1)税務調査の違法性、(2)所得税法56条の違憲性、(3)本件に所得税法56条を適用することの違憲性(適用違憲)を争点として、所得税更正処分取消請求訴訟を争ってきた第2次宮岡訴訟で、原告の請求を棄却する判決を言い渡した(平成16年(行ウ)第313号)。原告の宮岡弁護士は、9月22日、本判決を不服として、東京高裁に控訴した。

連年調査の違法性を争点に
 第1次宮岡訴訟・服部訴訟(弁護士⇒弁護士)の最高裁判決、あるいは、服部訴訟の第1審判決(原告敗訴・第2次宮岡訴訟と同じ東京地裁民事38部菅野博之裁判長が担当)からすれば、原告には厳しい状況での訴訟であった。第2次宮岡訴訟は、「課税処分取消請求事件」として争われていること(第1次訴訟は不当利得返還請求事件)、宮岡弁護士が勝訴した第1次訴訟の第一審判決の直後に、異例の連年調査が行われたことなどから、税務調査の違法性を争点に加えたところが、特色となっている。
 裁判所の審理では、原告側の「税務調査の遺法性」の主張に対して、課税庁側が「特に反論の必要はない」としてきたことが、原告側の苛立ち(あるいは勝訴への期待)を招くような場面もあった。

所法56条の主張に「理由がない」
 原告は、「所得税法56条は、妻に給与を支払ったことなどにして租税回避を行う者の出現を防止したもの」・「条文文言のみをもって個人単位課税の原則を否定するような拡大解釈は許されない」などと主張してきたが、所得税法56条の違憲性・適用違憲の主張に対し、判決は、「所得税法56条を現実の租税回避行為を防止するという目的のみの規定と解することはできない」・「平成16年最高裁判決の内容を仔細に検討しても、平成16年最高裁判決を原告の主張するとおりに理解することはできない」などと判示し、いずれの争点についても、「原告の主張は理由がない」として斥けた。

申告内容を確認するのは当然のこと
 原告は、前年に引き続いての単年度のみの税務調査であり、問題点も絞られていた上での税務調査ということを指摘した上で、「一方的な解釈権(56条の適用)に基づく検査権の行使は、認められるべきでない」と主張した。
 しかし、判決は、「過去の課税庁の的確な指導に従わないで、後続年分において同様の申告をしたことがうかがわれる納税者の申告については、課税庁がその申告内容を確認するのは当然のことである。」と判示して、調査すべき客観的必要性があったことを認め、原告の主張を斥けた。



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週刊「T&A master」132号(2005.10.3「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2005.11.2 ビジネスメールUP! 771号より )

 

 
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