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最高裁、旺文社事件で、口頭弁論期日を指定
「無償資産譲渡から増資等の資本等取引は除外」などと旺文社が主張

 最高裁判所第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、平成17年10月11日、子会社が行った著しく有利な価額での第三者割当増資は、親会社の合意に基づくものとして法人税法22条2項に規定する「無償による資産の譲渡」に該当するかを主たる争点とする「旺文社事件」で、旺文社(現・オウブンシャホールディング)の上告受理申立てを受理すること、及び11月29日に口頭弁論期日を指定することを決定し、関係者に通知した。

事案の概要
 本件は、オランダにおいて設立された上告人の100%出資の外国子会社(A社)において、増資がされ、発行された株式の全部が上告人のオランダにおける関連会社であるB社に著しく有利な価額で割り当てられたことにつき、上告人が保有するA社株式の資産価値をB社に移転させたもので、移転した資産価値相当額がB社に対する寄付金に当たるとしてされた更正処分等の取消しが求められた事案である。
 第一審(東京地裁)は、上告人はB社に対して何らの行為もしておらず、法人税法22条2項(無償による資産の譲渡又はその他の取引)及び132条1項1号(同族会社の行為計算否認)のいずれにも該当しないとして、処分を取消した。
 控訴審は、「B社はA社の資産価値を実現しうる権利を取得し、反対に上告人がこれを喪失するのであり、このような法的効果に着目すれば、本件増資により、上告人はB社に対して法22条2項に定める無償による資産の譲渡又はその他の取引をしたと認めることができる。」と判示し、第一審判決を取消し、請求を棄却した。

上告審の争点
 控訴審判決を不服として、旺文社は、上告及び上告受理申立てを行った。私法上有効な取引に対する否認権の乱用が租税法律主義に違反することなどを理由とした上告は棄却決定されたが、法人税法22条2項にいう「無償取引」の解釈・適用に誤りがあることなどを理由とした上告受理申立てが受理され、上告審として争われ、口頭弁論期日も指定された。
 上告人は、上告審では、「上告人の行った現物出資及びA社の増資はいずれも資本等取引に当たり、法人税法22条2項の対象外である。」・「上告人とB社との間に両者の合意に基づく『資産の譲渡』又は『その他の取引』に当たる資産の移動は存在していない。」・「第三者割当が行われた場合に、増資決議に賛同した株主から新株引受人に対する持分(持分割合)の贈与という効果は生じない。」などとの主張(いずれも上告受理申立て理由書に記載)を展開していくものとみられている。



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週刊「T&A master」135号(2005.10.24「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2005.11.14 ビジネスメールUP! 776号より )

 

 
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