大阪地裁・国税徴収法違反(滞納処分免脱)で有罪判決
滞納処分免脱罪では全国で4例目の判決
大阪地裁は10月20日、国税徴収法違反(滞納処分免脱)の罪で、ジャスダック上場の建設会社元会長に対して、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑1年6月)の判決を下した。
滞納処分免脱罪による有罪判決は全国で4例目となる。
虚偽書類の作成で自社株を隠蔽
国税庁によると、今回有罪判決が言い渡されたジャスダック上場の建設会社元会長は、国税滞納による滞納処分を免れるため、借金の担保に提供したとする虚偽の書類を作成するなどして、所有していた自社株約30万株(当時の株価で総額約3,600万円)を隠蔽していた。この行為が、国税徴収法187条における「納税者が滞納処分の執行を免かれる目的でその財産を隠蔽し、…たときは、その者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併料する。」に該当するとして、大阪国税局が告発、大阪地検が起訴をしていた。
なお、この大阪国税局による告発は、刑事訴訟法239条2「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発しなければならない。」に基づいて行われている。
国税徴収法違反での告発は全国で5例目
今回、大阪国税局が行った国税徴収法違反(滞納処分免脱)での告発は、全国で5例目となる。
最初の告発は、1996年に東京国税局が行ったもの。次いで2001年、熊本国税局が貸金業社を告発、以後、2002年、福岡国税局がレジャー産業、2003年、関東信越国税局が料飲業者と続き、今回の大阪国税局の告発となる。この中で、福岡国税局が告発したものが、被告人の死亡により公訴棄却となったものの、その他4件の裁判では有罪判決が出されている。
国税庁は、この告発状況について「最初の告発で滞納処分免脱罪が使えると分かり、その後、財産調査では滞納処分免脱罪を視野に入れて行ってきた。平成12年からは、特に積極的に告発に取り組んでおり、これまで年間約1件ペースできている」と話している。
金額の多寡によらずに対応
今後、改正消費税法により消費税の新規課税事業が大幅に増加することが予想されていることから、滞納案件も小口・大量に発生することが見込まれている。
国税庁では、大口滞納案件における税額処理から小口・大量案件の件数処理へと軸足を移し始めているところだが、滞納金額の多寡にはよらずに、今後も悪質・処理困難な滞納案件に対する姿勢に変わりはないようだ。
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(週刊「T&A master」137号(2005.11.7「最重要ニュース」より転載)
(分類:税務 2005.12.7 ビジネスメールUP!
785号より
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