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株主資本等変動計算書や純資産の部の表示の会計基準を決定
ASB・会社法施行日以後終了する事業年度から適用

 

 企業会計基準委員会(ASB)は12月2日、貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準案及び適用指針案、株主資本等変動計算書に関する会計基準案及び適用指針案、自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準案及び適用指針案、その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理案を決定した(12月9日公表予定)。これらは、会社法対応によるもの。

資本の部は純資産の部に表示変更
 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準によると、貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産の部に区分することになる(本誌No.140参照)。純資産の部は、株主資本と株主資本以外の各項目に区分。株主資本は、資本金、資本剰余金及び利益剰余金に区分されることになる。
 個別貸借対照表では、資本剰余金は、さらに資本準備金及びその他資本剰余金に区分。また、利益剰余金は、利益準備金、任意積立金等及びその他利益剰余金に区分する。株主資本以外の各項目は、評価・換算差額等及び新株予約権に区分する。一方、連結貸借対照表では、株主資本以外の各項目は、評価・換算差額等、新株予約権及び少数株主持分に区分する。
 なお、適用時期は、会社法施行日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間に係る中間連結財務諸表及び中間財務諸表並びに連結会計年度及び事業年度に係る連結財務諸表及び財務諸表からとなる。適用初年度においては、これまでの資本の部の合計に相当する金額を注記することが必要。

株主資本等変動計算書は計算書類の一つ
 株主資本等変動計算書に関する会計基準は、会社法において計算書類の一つとされた株主資本等変動計算書の表示区分及び表示方法等を定めたもの。貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成するものである。すべての会社で作成が必要になる。
 株主資本等変動計算書の表示区分は、前述の貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準に定める貸借対照表の純資産の部の表示に従うことになる。
 貸借対照表の純資産の部における株主資本の各項目は、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は変動事由ごとにその金額を表示する。
 連結損益計算書の当期純利益(又は当期純損失)は、連結株主資本等変動計算書において利益剰余金の変動事由として表示する。また、個別損益計算書の当期純利益(又は当期純損失)は、個別株主資本等変動計算書においてその他利益剰余金又はその内訳科目である繰越利益剰余金の変動事由として表示することになる。
 貸借対照表の純資産の部における株主資本以外の各項目については、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は純額で記載する。ただし、当期変動額について主な変動事由ごとにその金額を表示(注記による開示を含む)することができるとされている。
 注記事項に関して、まず、連結株主資本等変動計算書では、@発行済株式の種類及び総数に関する事項、A自己株式の種類及び株式数に関する事項、B新株予約権及び自己新株予約権に関する事項、C配当に関する事項が求められている。また、個別株主資本等変動計算書では、自己株式の種類及び株式数に関する事項が注記事項とされ、前記@、B、Cに準じた事項を注記してもよいこととされている。

様式は縦方式も容認
 適用時期については、会社法施行日以後終了する連結会計年度及び事業年度から作成することとされ、中間株主資本等変動計算書は、会社法施行日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間から作成する。なお、会計基準の適用に伴い、個別損益計算書の末尾は当期純利益(又は当期純損失)、中間個別損益計算書の末尾は中間純利益(又は中間純損失)となり、連結剰余金計算書及び中間連結剰余金計算書は廃止される。
 また、適用指針で明らかにされている様式については、純資産の各項目を横に並べる様式により作成することとされたが、企業側の要望もあり、純資産の各項目を縦に並べる様式により作成することも容認した。

会社法が適用される処理から
 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準及び適用指針については、会社法で手当てされた自己株式の取得及び処分に関する手続の整備、株式の消却手続の整理、剰余金の分配における株主に対する会社財産の払戻し行為に関する統一的な財源規制に伴う所要の措置が行われている。会社法の定めが適用される処理に関して適用される。

会社法施行期日以後に認識される配当から
 その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理では、株主がその他資本剰余金の処分による配当を受けた場合であっても配当受領額を収益として計上することが明らかに合理的である場合は、受取配当金として収益計上できることとされている。今回の改正では、当該会計処理が適用できる場合の例示として、「事業分離等に関する会計基準」の定めに対応し、投資先企業を結合当事企業とした企業再編が行われた場合の取扱いが追加された。
 また、配当を受領した株主が配当金を計上する際に、配当の原資がその他利益剰余金(現行の当期未処分利益)の処分によるものか、その他資本剰余金の処分によるものかが不明な場合が生じる可能性があるとの指摘に対応するため、会社の意思決定機関で定められた配当金の原資を速やかに公表することが望ましい旨が追加されている。
 なお、適用時期については、会社法施行日以後に認識される配当からとなる。

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週刊「T&A master」142号(2005.12.12「最重要ニュース」より転載)

(分類:会社法 2006.1.23 ビジネスメールUP! 800号より )

 

 
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