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アパート建築費用に課された消費税の還付を容認する姿勢
国税庁、「法解釈上、全額控除できると言わざるを得ない」

 アパート建築費用に係る消費税については、非課税売上に対応する課税仕入になるため、原則的には還付を受けることはできない。しかし、課税期間中に貸駐車場等による課税売上がある(課税売上割合95%以上)場合には、アパート建築費用に係る消費税の還付を受けることが可能となる。
 国税庁では、こうした事案について、現行の法解釈では、消費税の還付を認めざるを得ないとする姿勢を見せている。

課税売上割合が100%に
 例えば、資産家が個人事業としてアパート経営を行うつもりで、賃貸アパートを新築中だとする。アパートは12月に完成する予定であり、翌1月から入居者の募集を行うこととしている。
 この場合、個人事業者の課税期間は1月1日から12月31日までなので、課税期間中に課税売上がなければアパート建築費に係る消費税の還付は受けられないことになる。しかし、建築主である資産家が、12月までに建築予定地で貸駐車場等を営むことで課税売上となる収入を得ており、その他に非課税売上となる収入がなければ、アパートを新築した課税期間の課税売上割合は100%となる。
 消費税法では課税売上割合が95%以上であれば、アパート建築費に係る消費税の全額につき仕入税額控除ができるとされているので、アパート建築費用に課された消費税の還付を受けることが可能だ。
 なお、貸駐車場等の収入だけでは免税事業者となる場合には、消費税の還付を受けるために「課税事業者選択届出書」を提出することが必要となる。

売上仮装には厳しいチェックが
 通常であれば非課税売上に対応するアパート建築費用に係る消費税について、貸駐車場等の課税売上の計上があることにより還付できる点を、国税庁に確認したところ、「課税売上割合が100%なので、現行の法解釈上、全額控除できると言わざるを得ない」と還付を容認していることが分かった。
 一方で、こうした還付請求では、実際に貸していないのに貸駐車場による収入があるように仮装するケースもあり、厳しいチェックが必要としている。また、納税義務者としてもアパートの引渡時期などに十分留意しなければならない。

消費税法第30条の改正の可能性も
 なお、国税庁では、非課税売上に対応する課税仕入れと分かりながら還付されるのは好ましくないとして、財務省と調整を図りながら、消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)の見直しを検討していく模様だ。

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週刊「T&A master」143号(2005.12.19「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2006.1.27 ビジネスメールUP! 802号より )

 

 
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