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会社法施行後の商業登記申請で会社の「目的」は具体性が不要に
類似商号規制の廃止に伴い、審査の在り方を変更

 会社法が今年5月1日に施行される予定であるが、法務省民事局商事課は1月5日、会社法施行後の設立の登記や目的変更の登記に関する申請の際の審査において、定款記載事項である会社の「目的」の具体性を問わないとする見解を公表(35頁参照)。2月3日まで意見募集を行う。

類似商号規制と実務上の弊害
 類似商号規制とは、他人が登記した商号と同一または類似の商号を、同一市区町村内において同一の営業のために登記することができないとするもので、現行商法19条、商業登記法27条に規定されている。
 登記官は、これを受け、登記申請の際に必要となる会社の「目的」の記載において具体性(会社の事業の範囲を客観的に正確に確定できる程度に具体的に記載すること)があるか、審査を行っていた。
 しかし、@会社を設立する者が、今後使用しようとする商号について、同一市区町村内に同一(類似)の商号がないかどうかを確認するのは手間がかかる。加えて、A実務上は「同一の営業」であるかどうかが規制に該当するかのポイントとなり、「定款の事業目的を必要以上に細分化し、同一の営業に該当しないことをもって類似商号規制に触れないことを担保しようとする傾向がある等の弊害が指摘され」(法務省民事局商事課)、さらに一方では、規制の効果そのものが限定的であるという意見もあった。

会社法下の規制
 会社法では、現行法に相当する規定を設けないことで、この規制を廃止した。
 要するに、同一(類似)の商号が同一市区町村内にあっても同一の営業のためにあっても、住所が異なる場合には、会社の設立登記等が可能となる。
 ただし、同一の商号、同一の住所によっては登記できないことが、新商業登記法27条に明文化されている。この場合、営業が同一でなくとも登記することはできない。また、会社法8条1項は、他の会社と誤認されるおそれのある商号を、不正の目的をもって使用してはならないと定める。

「商業」「商取引」などの登記も可能に
 類似商号規制の廃止後は、登記申請に際してなされる会社の目的の審査においても具体性の要件を必要としないというのが、法務省が今回示した方針である。
 目的の記載は、当該会社の意思に委ねられ、「商業」「商取引」といった抽象的・包括的な目的での登記も可能となる。
 なお、規制の廃止に伴う不都合については、衆参両院の法務委員会で附帯決議が付されており(衆議院は本誌No.115参照、参議院は本誌No.121参照)、施行後の運用状況を検証していくこととなる。



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週刊「T&A master」146号(2006.1.16「最重要ニュース」より転載)

(分類:会社法 2006.2.10 ビジネスメールUP! 808号より )

 

 
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