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匿名組合契約による組合員の所得は原則として雑所得に
任意組合等・匿名組合の組合員の所得計算に改正通達を公表

 

 国税庁は、「所得税基本通達」・「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」などの一部改正(法令解釈通達)を国税庁ホームページ上で公表した。
「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)(課個2−39ほか)では、組合の所得計算について、任意組合等の組合員の利益の額などの取扱いが明らかとなった。
「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)(課個2−41ほか)では、@平成17年度税制改正で創設された「教育訓練費の額が増加した場合の所得税額の特別控除」に関する取扱い、A有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等に関連する取扱い、などが明確化された。

任意組合等の分配割合に経済的合理性を
 任意組合等の組合員の所得計算では、「任意組合等とは、民法上の組合契約、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約により成立する組合並びに外国におけるこれらに類するもの」、「分配割合とは、組合契約等に定める損益分配の割合」と定義した上で、「任意組合等の組合員の組合事業に係る利益の額又は損失の額は、当該任意組合等の利益の額又は損失の額のうち分配割合に応じて利益の分配を受けるべき金額又は損失を負担すべき金額とする。」としている(36・37共−19)。また、「ただし、当該分配割合が各組合員の出資の状況、組合事業への寄与の状況などからみて経済的合理性を有していないと認められる場合には、この限りではない。」として、経済的合理性を有していない分配割合を認めないことがありうることを示唆している。
 次に任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の帰属の時期について、暦年を原則としつつも、組合事業に係る損益を毎年1回以上一定の時期において計算し、かつ、当該組合員への個々の損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合には、当該任意組合等の計算期間を基として計算し、当該計算期間の終了する日の属する年分の帰属とすることを明らかにした(36・37共−19の2)。

匿名組合員は原則雑所得⇒損益通算封じ
 匿名組合契約による組合員の所得について(36・37共−21)は、「匿名組合契約の出資者が匿名組合契約の営業者から受ける利益の分配は雑所得とする。」として、原則的には、損失を計上した場合に、その他の所得との損益通算が封じられる。「ただし、匿名組合員が匿名組合事業に係る重要な業務執行の決定を行っているなど、組合事業を営業者と共に経営していると認められる場合には、当該匿名組合員が当該営業者から受ける利益の分配は、当該営業者の営業の内容に従い、事業所得又はその他の各種所得とする。」とされた。

教育訓練費等の取扱いを明確化
 措置法通達の改正により、平成17年度税制改正で創設された「教育訓練費の額が増加した場合の所得税額の特別控除」に関して、課税上の取扱いが明確化された。
 教育訓練費の額から控除する「他の者から支払を受ける金額」に、@国等からその教育訓練費に充てるために交付を受けた補助金、A販売業者等である個人がその使用人の教育訓練費に充てるために当該個人の取扱商品の製造業者等から交付を受けた金銭の額、が含まれること(10の7−1)、教育訓練費の範囲について、一の教育訓練等に自己の工場又は店舗等内で当該個人の事業に従事する専属下請先等の従業員で自己の使用人と同等の事情にある者が含まれている場合であって、その者の数が極めて少数であるときには、その一の教育訓練費の全額を教育訓練費の額とすることができる取扱い(10の7−2)が明らかにされた。
 また、有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等の所得計算について、「個人が複数の有限責任事業組合の組合事業に係る不動産所得、事業所得若しくは山林所得(「事業所得等」)を生ずべき業務を営む場合又は事業所得等を生ずべき業務のうちに有限責任事業組合の組合事業に係る事業所得等を生ずべき業務と有限責任事業組合の組合事業以外に係る事業所得等を生ずべき業務を営む場合には、損益計算書又は収支内訳書はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成する。」こと(27の2−1)などが明確化された。

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  キーワード 「匿名組合契約」
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週刊「T&A master」150号(2006.2.13「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2006.2.27 ビジネスメールUP! 815号より )

 

 
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