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東京地裁、確定申告期限後の通信日付に「正当な理由」を認める
3月15日郵便局業務時間内の窓口差出に無申告加算税は酷

 

 東京地裁民事38部(菅野博之裁判長)は、平成17年12月16日、所得税の確定申告書を郵送したところ、その通信日付印が法定申告期限の翌日であったために、期限後申告書に当たるとして無申告加算税の賦課決定を受けたことに対して、法定申告期限の末日に郵便局の窓口で業務時間内に受け付けられているなどとして賦課決定等の取消しを求めた事業に、国税通則法66条1頂ただし書きにいう「正当な理由」があると認め、無申告加算税の賦課決定を取り消す判決を言い渡した。

事案の概要
 原告は、平成15年分所得税の確定申告書を税務署長あてに郵送したところ、同申告書送付の際の郵便局の消印が法定申告期限(平成16年3月15日)の翌日(同3月16日)の日付であったため、同確定申告書は期限後申告書に当たるとして、無申告加算税の賦課決定を受けた。本件は、上記賦課決定及び審査請求における棄却する旨の裁決を不服とする原告が、上記確定申告書は法定申告期限の末日(同3月15日)に郵便局の窓口で業務時間内に受け付けられているなどと主張して、上記賦課決定及び裁決の各取消しを求める事案である。

国の主張
 国は、「原告が真に3月15日に本件郵便物を差し出したかについては疑問が残る。」とした上で、「原告の主張は、(中略)原告の主観的事情に関するものにすぎない」などとして、原告が提出した本件申告書は、期限後申告書となったことに正当な理由のない期限後申告書であり、無申告加算税を課した本件決定は適法であると主張した。

裁判所の判示
 菅野裁判長は、前提事実・状況から本件郵便物の郵便局窓口ヘの提出時刻は、(無集配)郵便局の業務時間内である3月15日の「午後4時50分前後ころ」と認定した上で、期限内申告書の提出がなかったことについての「正当な理由」の有無の検討を行った。
そして、「業務時間内に郵便局の窓口へ普通郵便物を提出しても、無集配局である場合には、集配局まで搬送されないと通信日付印が押されないとか、場合によっては、翌日の通信日付印になってしまうなどといったことは、(中略)国民の多くが広く知っている常識であるということはできない。原告の郵便局の業務時間内での郵便窓口への差出は、やむを得ないところがあって、責めることができず、これを期限後申告であるとして、無申告加算税を課するのは酷であるというべきである。したがって、本件には、国税通則法66条1項ただし書きにいう『正当な理由』があると認めることができる。」と判示し、賦課決定を取り消した。

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 キーワード 「確定申告書」+「郵送」
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週刊「T&Amaster」153号(2006.3.6「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2006.3.17 ビジネスメールUP! 823号より )

 

 
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