著作権等について会社概要質問・お問い合せサイトマップ

 

東証、決算短信の見直しで業績予想の拡充を求める報告書
「会社の対処すべき課題」等は重要な変更時のみの開示へ

 

 東京証券取引所は3月20日、決算短信に関する研究会(座長・黒沼悦郎早稲田大学大学院教授)が取りまとめた報告書「決算短信に関する研究会報告〜決算情報のより適切な開示に向けて〜」を公表した。同研究会では、昨年9月から今年3月15日まで計8回の会合において、決算発表時に投資者が必要とする情報が迅速・適切に開示されるよう決算短信の開示内容や開示時期を幅広く見直してきた。来年3月期決算発表からの適用を提言している。

開示内容整理の視点
 決算短信の開示内容整理に当たっての基本的な考え方は、次のとおりである。
 @基本的な決算情報等に加え、投資者がこれらを適切に理解・活用する上で重要な情報は開示を求める、A重要性によっては決算発表より後に行われる有価証券報告書の電子開示に委ねるとしても足りる情報はこれに委ねる、B重要な変更がない場合に直近の有報など既に開示されている資料で足りる情報は重要な変更時のみ開示を求める、C決算に関する情報ではなく決算発表で開示する必要が乏しい情報は決算短信から分離し別途閲覧できる環境を整備する。

決算短信での開示が必要な項目
 財務諸表の注記事項では、@セグメント情報、A持分法投資損益(連結財務諸表非作成会社のみ)、B貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書に関する注記、C重要な後発事象、D1株当たり情報、E継続企業の前提を必要的開示項目とした。
 また、定性的情報について、(1)必要な開示としては、@会社の利益配分に関する基本方針、A経営成績・財政状態(当期実績・翌期見通しの分析)を挙げ、(2)重要な変更時のみの開示として、@会社の経営の基本方針、A目標とする経営指標、B中長期的な会社の経営戦略、C会社の対処すべき課題を掲げている。
 業績予想では、標準的開示項目への「営業利益」の追加を適当とし、通期・中間期の、特定の数値による予想を求めている。
 なお、連結財務諸表作成会社の単体情報は最低限の開示が要請され、簡略化される。
 以上は、連結・個別を一体とする2頁建ての資料として開示される見込みだ。

望ましい開示時期、開示できない場合
 報告書では、遅くとも期末後45日以内の開示が「適当」であるとし、30日以内が「より望ましい」としている。
 早期開示の実現に向け、期末後例えば50日以内に開示できない場合には、「その理由及び翌年度以降の開示時期の見込み・計画」について開示が求められる方向。
 東証に対しては、早期開示事例の紹介など上場会社への支援を要請している。

※ 記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
  ⇒著作権等について

 

  T&Amaster ニュース関連情報(注:閲覧には読者IDとパスワードが必要になります)ID・パスの取得方法
  キーワード 「東京証券取引所」+「決算短信」⇒16

東証、業績予想の適切な開示を要請 2006-03-28
東証の決算短信研究会、45日以内の開示が適当 2006-03-27
コーポレート・ガバナンス報告書には内部統制の状況などを開示 2006-01-09
内部統制の状況などを明記したコーポレート・ガバナンス報告書を義務付け 2005-12-25
東証がコーポレート・ガバナンス報告書を上場会社に求める 2005-12-05
東証が平成18年5月からコーポレートガバナンス報告書を求める 2005-11-24
(以上、最新順)

 

 

週刊「T&A master」156号(2006.3.27「最重要ニュース」より転載)

(分類:会計 2006.4.17 ビジネスメールUP! 836号より )

 

 
過去のニュース、コラムを検索できます
 Copyright(C) LOTUS21.Co.,Ltd. 2000-2023. All rights reserved.
 全ての記事、画像、コンテンツに係る著作権は株式会社ロータス21に帰属します。無断転載、無断引用を禁じます。
 このホームページに関するご意見、お問合せはinfo@lotus21.co.jp まで