株の10%超保有は「特殊支配同族会社逃れ」に当たるか?
従業員持株会、中小企業投資組合、ベンチャー・キャピタル……

 

 本誌No.165で、税理士が10%超の株式を保有することによるいわば「特殊支配同族会社逃れ」に関する課税上の問題点をお伝えしたが、同様の株主になり得るのは何も税理士ばかりではない。従業員持株会、中小企業投資組合、ベンチャー・キャピタルなどが「10%超」の株主となった場合にも同様の問題が起こり得る。

焦点は法人税法施行令72条4項の運用
「特殊支配同族会社」とは、業務を主宰する役員及びその同族関係者等によって株式の90%以上が保有される会社のことを指すため、形式的には、「業務主宰役員及びその同族関係者等以外の者(以下、「第三者」)」が10%超の株式を保有していれば、「特殊支配同族会社」には該当しないことになる。
 ただし、法人税法施行令72条4項には、第三者による10%超の株式の保有が「業務主宰役員等の意思決定に従うこと」を前提にしている場合には、当該株式に係る議決権は業務主宰役員等が保有するものとみなされる旨規定されている。

同族会社の従業員は役員の言いなり?
 中小同族会社においても、従業員持株会を設けているところは少なくない。中小同族会社の株主総会に株主である従業員が参加した場合、「従業員」という立場を離れ、「株主」として経営陣の意思に反する意見を述べるのは難しいという現実もあろう。したがって、課税当局に法人税法施行令72条4項のケース、すなわち、「業務主宰役員等の意思決定に従うことが前提になっている」と判断される可能性を明確に否定することはできない。しかし、少なくとも、中小同族会社の従業員であるからというだけで、「業務主宰役員等の意思決定に従っている」と当局が認定することは、立証という観点からは容易ではないだろう。
 税理士のケースと同様、「白紙委任状」により議決権を放棄しているなど、従業員に議決権を行使する意思がなければ、法人税法施行令72条4項の適用対象となる可能性は高い。また、最近従業員持株会を設けたり、従業員持株会の持分が増えた結果、特殊支配同族会社から外れた場合には、課税当局の目を引きやすいと言えよう。

中小企業投資育成会社やVCは「金も出すが口も出す」が普通
 一方、中小企業投資育成会社やベンチャー・キャピタルが株式を保有するケースについては、株式の保有を背景に、経営にも関与するのが通常となっており、経営への関与が認められる限り、法人税法施行令72条4項のケース、すなわち、「業務主宰役員等の意思決定に従うことが前提になっている」と判断される可能性は少ないと言えそうだ。

 

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  キーワード 「株主」+「従業員」⇒165

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週刊「T&A master」166号(2006.6.12「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2006.7.12 ビジネスメールUP! 870号より )

 

 
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