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ストック・オプションも過大役員報酬の判定対象に
発行時の公正価額=会計上の費用を基礎に判断

 

 コーポレート・ガバナンスの観点から役員給与の透明性が求められる中、役員給与を業績に連動させようとする企業が増加している。こうした中、18年度税制改正で利益連動給与の損金算入規定が導入されたが、厳格な損金算入要件を満たせず、利用を断念する企業は少なくない。そこで、同じく18年度改正で損金算入が認められた非適格ストック・オプションの導入を検討する企業もある。ただ、役員に付与されたストック・オプションは、金銭による役員報酬と同様、不相当に高額と判断された場合、当該不相当に高額な部分は損金不算入となるので要注意だ。

企業会計に法人税法が追随
 18年度税制改正では、役員に支給する利益連動給与に損金算入の途が開かれたが、利益連動給与を損金算入するには、事実上、個々の役員の利益連動給与額を有価証券報告書で開示するなど、厳格な要件が設けられていることから、その利用に二の足を踏む企業が少なくない。
 こうした中、注目を集めているのが、ストック・オプションだ。企業会計では、ストック・オプション(新株予約権)の発行時の公正価額を費用として期間配分することになった。これを受け、18年度税制改正では、役務提供の対価債権をストック・オプションの払い込みと相殺したものに限って、行使時に、新株予約権の発行時の公正価額(公正価額と払込額の差額を除く)を損金算入することとされた(法法54条@)。ただし、損金算入の対象となるのは、非適格ストック・オプションに限られる。

過大報酬に関する規定からストック・オプションは除外されず
 企業の中には、厳格な損金算入要件を満たさなければならない利益連動給与よりも、非適格ストック・オプションの導入を検討するところも少なくない。ただし、ここで注意しておきたいのは、ストック・オプションも、金銭による役員報酬と同様、不相当に高額と判断された場合には、当該不相当に高額な部分は損金不算入となるということだ。ストック・オプションは、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与について定めた法人税法34条1項の適用対象からはカッコ書きにより除かれているが、過大役員報酬について定めた同条2項からは除かれていないからだ。
 過大報酬の判定対象は、付与時点における会計上の費用、すなわち、発行時の公正価額ということになろう。所得税法上の給与課税は、「役務提供の対価」と「投資利益」を合わせたものに対して給与課税を行っているが、法人税法においては、このうち給与部分についてのみが、不相当に高額かどうかの判定対象となる。



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  キーワード 「ストック」+「公正」+「価額」⇒27

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登録日
解説記事 会社法制定に伴う法人税制の整備 2006-01-30
解説記事 ストック・オプション税制の改正事項を読む 2006-01-16
コラム ストック・オプション会計基準を読み解く 2006-01-16
会計 ストック・オプション等会計基準案では費用計上を義務付け 2005-10-24
資料 H17. 6. 9 東京地方裁判所 平成17年(モ)第6329号 保全異議申立事件 2005-06-09
資料 H17. 3.23 東京高等裁判所 平成17年(ラ)第429号 新株予約権発行差止仮処分決定認可決定に対する保全抗告 2005-03-23
(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」167号(2006.6.19「最重要ニュース」より転載)

(分類:税制改正 2006.7.14 ビジネスメールUP! 871号より )

 

 
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