三角合併、合併法人以外の株交付や共同事業要件が問題に
来年度改正での課税繰延措置の導入が濃厚

 

 日米関係のプレッシャーのもと、来年度税制改正で「三角合併」に関する課税繰延措置が導入されることが確実な情勢となってきた。
 ただ、課税繰延べが実現するためには、合併法人の株式以外の資産が交付される問題や、共同事業要件への抵触の問題をどうクリアするかが大きな課題となりそうだ。

会社法で実現も、課税繰延べの手当てなし
 ここでいう「三角合併」とは、外国企業の日本法人(合併法人)と日本企業(被合併法人)が合併することにより、外国企業が日本企業を傘下に収める手法のこと。これまでは、親会社株式の所有や、合併の対価として親会社株式を交付することが商法上認められていなかったことから、このような三角合併は不可能だったが、会社法ではこれを許容する規定が設けられた(会社法749条1項2号ホ等)。ただ、三角合併が実際に活用されるかどうかは、法人税法上、課税繰延措置が実現するかどうかにかかっているといってよい。この点については政府も日米関係への配慮から「やらざるを得ない」との認識を持っており、課税繰延措置の導入は確実な情勢となっている。

想定される“ダミー会社”の設立
 現行法人税法によれば、三角合併は「適格合併」に該当せず、合併による資産移転について課税繰延べの適用を受けることはできない。
 最大の障害となるのが、「被合併法人に対して移転資産等の対価として合併法人の株式以外の資産が交付されていないこと」との適格要件(法法2条12号の8)である。三角合併では、被合併法人(日本企業)の株主に対して外国企業の株式(すなわち、合併法人でない企業の株式)が交付されることになるからだ。
 また、「共同事業要件」における、合併法人(外国企業の日本法人)と被合併法人(日本企業)の事業の関連性(法法2条12号の8ハ、法人税法施行令4条の2第3項1号)も問題となるだろう。この点については、合併法人となる外国企業の日本法人が実際に日本で事業を行っていればクリアできるものと思われるが、仮に外国企業が、三角合併を実現するために、一種の“ダミー会社”として日本法人を作った場合には問題となる。ダミー会社は実際には事業を行っていないため、「事業の関連性」を判断する以前の問題として、共同事業要件を満たさないことになる。
 いずれにせよ、三角合併に係る課税繰延措置が実現するためには、上記の適格要件の緩和が求められる。その内容によっては、外国企業の日本進出戦略も大きく左右されかねないだけに、関係者は高い関心をもって議論の行方を見守っている。

 

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週刊「T&A master」174号(2006.8.7「今週のニュース」より転載)

(分類:税制改正 2006.9.15 ビジネスメールUP! 894号より )

 

 
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