「5,000円基準」の適用には講師料と飲食費の明確な区別が必要
同業者パーティの主催者に求められる“配慮”
業界団体等により主催される同業者パーティは、講演会と懇親会がセットで実施されることが多いが、今後、主催者は、懇親会に要する費用を明確に区分しておく必要がありそうだ。
平成18年度税制改正で導入された飲食費に係る「5,000円基準」は、同業者パーティへの参加費についても適用されることになるが、この参加費が講演会の費用(講師料等)と懇親会の費用(飲食費)で構成されトータルで5,000円を超えている場合であっても、講演会費と懇親会費が明確に区別されており、かつ、懇親会費が1人当たり5,000円以下であれば、損金算入が可能となる。
「一体」で参加費請求なら損金不算入
平成18年度税制改正では、1人当たり5,000円以下の飲食費を交際費等の範囲から除外し、損金算入することが可能となった(措法61条の4、措令37条の5)。この「5,000円基準」の対象は、レストラン等での飲食だけでなく、法人が同業者パーティで支払う参加費も対象になる。先に国税庁が公表した「交際費等(飲食費)に関するQ&A」では、同業者パーティへの参加費は「社内飲食費に該当しない」ことが明らかにされており、当該参加費が1人当たり5,000円以下であれば、交際費等から除外されることになる。
ただ、同業者パーティの中には、講師を招いての講演会と、講演会後の懇親会がセットになって「参加費1万円」としているようなものが少なくない。この参加費は、通常は講演会と懇親会が一体的なものとみなされることにより、「5,000円基準」を満たさず、損金不算入となると考えるべきだろう。
どちらか一方への参加を可能にする必要
理屈の上では「参加費1万円」は、講演会と懇親会それぞれの対価の合計額と考えられる。
しかし、たとえ懇親会費(飲食費)相当額が5,000円以下だったとしても、参加費1万円から懇親会費用だけを取り出して「5,000円基準」の対象とするためには、講演会費と懇親会費が明確に区別されている必要がある。具体的には、「講演会のみ出席」「懇親会のみ出席」というように、参加者がどちらか一方のみへの参加を選択できるようになっているとともに、金額についても講演会費、懇親会費が区別されていることが求められよう。
同業者パーティーに出席する法人が「5,000円基準」の適用を受けられるようにするためには、パーティーの主催者側において、懇親会費用の額を明確にしたり、懇親会費用のみのための領収書を用意するなど、様々な配慮が必要になりそうだ。
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(週刊「T&A master」176号(2006.8.28「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2006.9.27 ビジネスメールUP!
898号より
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