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合併新株の交付がなければ、適格合併でも株主課税の対象に
法法61条の2第2項の適用は株式の交付ある場合に限定

 

 企業グループ内で子会社同士が合併する場合、合併新株を発行しないケースが多い。このように何も資産を交付しない「無対価」による合併は、適格合併に該当するものの、株主課税の対象にはなるので注意が必要だ。

合併新株交付なら「対価=原価」に
 企業グループ内で子会社同士を合併させる場合、合併新株を含め何ら資産を交付しないケースが多い。
 このような「無対価」による合併は、「合併法人の株式以外の資産が交付されていない」という税制上の適格要件を満たすことから、適格合併に該当することになる。
 ただし、このような「無対価」による合併では、資産移転に係る課税は繰り延べられても、株主課税は行われることになるので要注意だ。その根拠となるのが、法人税法61条の2第2項である。
 まず、法人株主課税に関する原則的な取扱いである法人税法61条の2第1項の取扱いからみてみよう。1項では、株式譲渡に係る「対価」を1号、「原価」を2号で規定し、その差額が譲渡損益だとしている。
 これに対し第2項では、「内国法人が旧株を発行した法人の合併により当該株式の交付を受けた場合における前項の規定の適用については、同項一号に掲げる金額は、当該旧株の当該合併の直前の帳簿価額に相当する金額とする」とある。すなわち、2項の適用を受ける場合には、1項1号にいう「対価」は「合併直前の帳簿価額」に置き換えられる。その結果、2項の適用を受ける場合には、「対価=原価」となり、譲渡損益は発生しないことになる。
 しかし、下線部のとおり、2項が適用されるのは「株式の交付を受けた場合」に限定される。これに対し、無対価合併では、株式は交付されないため、結局、2項は適用されず、1項に戻って原則的な譲渡損益課税が行われることになる。

法人税法61条の2第1項
一 その有価証券の譲渡に係る対価の額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により第二十三条第一項第一号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額がある場合には、そのみなされる金額に相当する金額を控除した金額)
二 その有価証券の譲渡に係る原価の額(その有価証券についてその内国法人が選定した一単位当たりの帳簿価額の算出の方法により算出した金額(算出の方法を選定しなかつた場合又は選定した方法により算出しなかつた場合には、算出の方法のうち政令で定める方法により算出した金額)にその譲渡をした有価証券の数を乗じて計算した金額をいう。)


訂正とお詫び(2006.11.27掲載)
 本誌184号10頁では、無対価による合併は、適格合併に該当するものの、株主課税の対象になるとお伝えいたしました。
 しかし、その後の課税当局への取材では、適格合併は法人税法62条の2第2項により当該株式を当該内国法人の株主等に交付したものとするため、合併法人の株式以外の資産が交付されない無対価合併は法人税法61条の2第2項の「当該株式の交付を受けた場合」に該当するものとし、株主に譲渡損益は生じないとの判断が示されています。
 当該記事については、読者からの疑問が寄せられていました。謹んで訂正し、お詫び申し上げます。

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  キーワード 「合併法人」+「株式」⇒77

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(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」184号(2006.10.23「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2006.11.27 ビジネスメールUP! 922号より )

 

 
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