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「返納」で定期同額給与に該当も役員にはダブルのペナルティ
懲戒処分での返納額に加えて源泉徴収分も負担増に

 

 平成18年度改正で導入された「定期同額給与」について課税当局は、不祥事などを起こした役員の処分として役員給与を一時的に減額する場合でも、処分前と同額給与を払いつつ、「給与の○%を返納する」形をとれば、定期同額給与から外れないとしている(本誌180号6頁参照)。
 しかし、このように給与の返納を行った場合、当該役員にとっては、返納額に加えて源泉徴収分の負担が生じることになる。納税者からは、懲戒処分などの一時的な給与カットの場合は損金算入を認めるなど、弾力的な対応を求める声が出ている。

「返納」と「給与カット」の違い
 たとえば、不祥事を起こした役員の毎月の給与が100万円だった場合に、懲戒処分として、企業が当該役員に3ヵ月間、給与の30%(30万円)返納を求めたとする。このケースでは、役員給与として一度100万円が支払われるので、源泉徴収(仮に10%とする)後の90万円から、30万円を返納することになる。つまり、当該役員の手元に残るのは60万円だ。
 一方、当該役員に対する給与の30%を3ヵ月間カットした場合、役員給与として支払われるのは月70万円、そこから7万円が源泉徴収され、役員の手元に残るのは63万円となる(下表参照)。
 つまり、「返納」と「給与カット」を比べると、源泉徴収分3万円の差額が生じることになる。しかし、給与カットを行うと、「定期同額給与」の要件から外れて損金算入できなくなることから、企業は当該役員に対して返納金額以上の負担を求めることになる。

課税当局に弾力的対応求める声も
 このように、定期同額給与に該当させるための返納には、源泉徴収分の調整が必要になるという問題がある。しかし、現時点で課税当局は「以前と同額の役員給与を支払ったうえで返納すれば、定期同額給与から外れない」としている以外、通達等において具体的な取扱いを定めていない。
 納税者からは、課税当局に対して、懲戒処分など一時的な給与カットであり、課税所得への恣意性が排除されている場合には損金算入を認めることなど、弾力的な対応を求める声が出ている。

  



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  キーワード 「定期同額給与」⇒19

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解説記事 プロからの税務相談(法令等の根拠に基づく即決判断)第176回 2006-11-20
解説記事 役員の分掌変更等において支給した給与の「退職給与」性 2006-10-30
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解説記事 18年度税制改正 役員給与に関するQ&A 第3弾 2006-09-25
(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」184号(2006.10.23「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2006.11.29 ビジネスメールUP! 923号より )

 

 
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