連結税引前利益に対する影響が概ね5%で内部統制に重要な欠陥
内部統制部会、内部統制に関する実施基準案を公表
企業会計審議会の内部統制部会は11月21日、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(公開草案)」を公表した(本誌186・187号、今号28頁参照)。平成20年4月1日開始事業年度から内部統制報告書の作成および監査が義務付けられるが、今回の実施基準案は実務上の取扱いを定めたもの。12月20日まで意見募集した後、正式決定する。
事務負担に一定の配慮
企業会計審議会の内部統制部会は昨年の12月8日に「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方」と題する意見書を公表しているが、この際の実務上の取扱いを求める声に対応するため、作業部会を設置して検討してきたものである。
実施基準では、内部統制報告書作成の負担を軽減するための措置が講じられている。
たとえば、経営者は、内部統制の不備が重要な欠陥に該当するか判断する際には、金額的な面および質的な面の双方について検討を行うことになるが、金額的な重要性の判断については、連結総資産、連結売上高、連結税引前利益などに対する比率で判断することになる。このうち、連結税引前利益については、概ね5%程度とすることが例示されている。したがって、5%程度の影響があれば、重要な欠陥に該当することとなる。
売上高の概ね3分の2程度
また、業務プロセスに係る評価の範囲の決定に際し、企業が複数の事業拠点を有する場合には、評価対象とする事業拠点を売上高等の重要性により決定する。
この場合、本社を含む各事業拠点の売上高等の金額の高い拠点から合算していき、連結ベースの売上高等の一定の割合に達している事業拠点を評価の対象とすることが認められている。一定の割合については、全社的な内部統制が良好であれば、概ね3分の2程度とすることが例示されている。
書類等は5年間保存
財務報告の内部統制の評価を行った結果、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い場合には、内部統制に重要な欠陥があると判断することになる。経営者による評価の過程で発見された不備については、適時に認識し、適切に対応する必要があるとしている。
仮に報告書における評価時点(期末日)までに是正されていれば、財務報告に係る内部統制は有効であると認めることができるとしている。
なお、経営者は、財務報告に係る内部統制の整備および運用の方針等、重要な勘定科目や開示項目に関連する業務プロセスの概要等の事項については、記録し、5年程度保存することが求められている。
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(週刊「T&A master」188号(2006.11.27「今週のニュース」より転載)
(分類:会計 2006.12.22 ビジネスメールUP!
933号より
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