自己信託や目的信託などの会計処理に関する実務上の取扱い案を決定
ASBJ、新信託法の施行日以後に効力が生ずる信託から適用へ
企業会計基準委員会は3月23日、実務対応報告となる「信託の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」と題する公開草案を決定した。平成18年12月15日に公布された信託法に伴う措置。新たに導入された自己信託や目的信託等の会計処理に関する取扱いを規定している。適用は、原則として、新信託法の施行日以後にその効力が生じた信託および新信託法により信託の変更がなされた信託から適用される。
一般的な信託の会計処理を明確化
今回の実務対応報告は全部で8つのQ&Aから構成されている。まずは、これまでの一般的な信託の会計処理を明確化している。
具体的には、@委託者兼当初受益者が単数の金銭の信託の場合における信託財産である金融資産および金融負債の期末時の会計処理については、金融商品会計基準等により付されるべき評価額を合計した額をもって貸借対照表価額とし、その評価差額は当期の損益として計上する、A合同運用の金銭の信託等、委託者兼当初受益者が複数の金銭の信託については、個別財務諸表上、有価証券または有価証券に準じて会計処理を行うことが通常であったが、新信託法では、受益者集会の制度等、受益者が2人以上ある信託における受益者の意思決定の方法が明示されており、受益者の連結財務諸表上、子会社および関連会社に該当するケースがあり得る、B委託者兼当初受益者が単数の金銭以外の信託については、受益者の個別財務諸表上、受益権を当該信託に対する有価証券とみなして処理する、C委託者兼当初受益者が複数の金銭以外の信託の場合は、各委託者兼当初受益者は共同で現物出資により会社を設立するときにおける移転元の企業の会計処理(事業分離等会計基準31項)に準じて行うことになる。
事業信託はこれまでの信託と同様に処理
いわゆる事業の信託の場合には、基本的にこれまでの信託と違いはないことから、委託者兼当初受益者が単数である場合には上記B、複数の場合には上記Cに準じて処理することになる。目的信託については、委託者がいつでも信託を終了することができるため、原則として、委託者の財産として取り扱われることが適当としている。
また、自己信託については、他人に信託した通常の信託と同様の会計処理を行うことになる。このため、自己信託が金銭の信託として行われる場合には上記@、金銭以外の信託として行われる場合には上記Bに準じて会計処理を行うことになる。
なお、新信託法に基づく限定責任信託や受益者が多数となる信託の会計処理については、原則として一般的に公正妥当と認められる企業会計に基づいて行うこととしている。
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(週刊「T&A master」205号(2007.4.2「今週のニュース」より転載)
(分類:会計 2007.5.18 ビジネスメールUP!
986号より
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