合併等対価の柔軟化の施行で改正会社法施行規則が公布
附則では経過措置が設けられる
会社法における「合併等対価の柔軟化」が5月1日から施行されることに対応し、4月25日、会社法施行規則の一部を改正する省令(平成19年法務省令第30号)が公布された。5月1日に施行される(施行に合わせた登録免許税法施行規則等の改正について、今号17頁・34頁参照)。
消滅会社等の株主を保護
会社法施行規則(以下「施行規則」という)の今般の改正は、合併等対価の柔軟化の実施により様々な財産の交付を受けることとなる吸収合併消滅株式会社・株式交換完全子会社(以下「消滅会社等」という)の株主を保護し、当該吸収合併・株式交換に対する判断を的確に行えるようにする見地から、対価についての十分な情報が事前に与えられることが不可欠であるとして、@事前開示書類における記載事項を大幅に拡充し、または明確化を図り(改正施行規則182条・184条)、A消滅会社等の株主総会において当該吸収合併等の承認に関する議案を付議する場合の株主総会参考書類の記載事項を拡充・明確化するものである(改正施行規則86条・88条)。
3月に示された改正案(本誌203号4頁・18頁・25頁参照)から技術的修正が施されているが、おおむね原案どおりの内容となっている(改正施行規則182条4項1号等参照)。附則については、本則185条・186条について「必要な見直し等の措置を講ずる」と規定していた附則9条が削除された。改正施行規則の附則2項では経過措置が手当てされている。
吸収合併消滅株式会社の事前開示は……
吸収合併の場合、吸収合併消滅株式会社は、吸収合併の内容その他「法務省令で定める事項」を記載した書面等を、吸収合併契約等備置開始日から吸収合併の効力発生日まで本店に備え置く(会社法782条1項1号)。「法務省令で定める事項」は、(1)合併対価の相当性に関する事項、(2)合併対価について参考となるべき事項等である(改正施行規則182条1項)。
(1)は改正により明確化が図られ、具体的には、@対価の総数・総額の相当性に関する事項、A対価として当該種類の財産を選択した理由、B当事会社が共通支配下関係にある場合、当該消滅会社株主の利益を害さないように留意した事項(同条2項)。
合併対価が存続会社以外の法人(以下「当該法人」という)等の株式、持分またはその他これらに準ずるものである場合、上記
(2)は、従前、
@ 当該法人等の定款の定め
A 当該法人等が決算公告をせず、または有価証券報告書を提出していない場合、過去5年間の貸借対照表の内容
B 当該法人等が登記されていない場合、
(イ)代表者の氏名・名称、住所、(ロ)役員の氏名・名称
であった(現行施行規則182条3号)。
改正により、これらに加えて、
C 当該法人等が株主等に外国語で情報提供している場合、その言語
D 吸収合併の効力発生日における当該法人等の議決権総数見込み
E 当該法人等の最終事業年度に係る計算書類・事業報告の内容(監査を受けている場合、監査報告の内容の概要を含む)
F 当該株式等の換価方法(取引市場、媒介者、処分に制限がある場合の内容等)
G 当該株式等に市場価格がある場合、その価格に関する事項
H 当該法人等が会社でない場合、消滅会社の株主等が有することとなる「剰余金の配当を受ける権利」等の内容
等の開示が求められることとされている(改正施行規則182条4項2号)。
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(週刊「T&A master」209号(2007.4.30「今週のニュース」より転載)
(分類:会社法 2007.6.13 ビジネスメールUP!
997号より
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